説明

高分子化合物

【課題】本発明は、優れた固体吸着性を示し、洗浄剤用等として好適に使用することができる高分子化合物を提供する。
【解決手段】本発明の高分子化合物は、(A)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物に、(B)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/100g以上の化合物、及び、(C)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/100g未満の化合物、が導入され、(B):(C)が重量比で1:99〜99:1、(B)及び(C)の合計量が、高分子化合物全量に対して、重量比率で20重量%以上90重量%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体吸着性に優れる高分子化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築部材、家電、家具等の表面においては、大気中に浮遊する塵、誇り、油及び排ガス、また落書き等の汚染物質によって汚染されることが、しばしば問題として取り上げられている。
一度汚染されてしまった各表面は、通常水や洗浄剤などを用いて、洗浄することにより、汚染物質を除去し、再び美しい表面を取り戻すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、水を用いて洗浄する場合は、ブラシなどを用いて洗浄すればよいが、汚染物質は油溶性のものが多く、洗浄効果に優れているとは言い難いものである。
近年では、特殊な界面活性剤等の化合物を使用した洗浄剤が用いられている(例えば、特許文献1〜4等)。
例えば、特許文献1では、脂肪酸石鹸と特定のアルキルアミンオキシドを使用した洗浄剤が記載されており、汚染物質の洗浄効果の向上を図っている。
また、特許文献2では、特定のセスキテルペン及び界面活性剤等使用した洗浄剤が記載されており、汚染物質の洗浄効果の向上を図っている。
これら特許文献の洗浄剤では、油溶性である汚染物質が、それぞれ特定の化合物に吸着されることにより、洗浄力を発揮している。
【0004】
しかし、上記の方法では、ある程度の洗浄効果は期待できるものの、満足できる洗浄効果は得られない場合があり、さらなる洗浄効果の向上が望まれている。
さらに洗浄効果を高めるために、界面活性剤等の量を増やすことも可能であるが、この場合必要以上にコストがかかってしまい、また、環境上好ましいものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−238990号公報
【特許文献2】特開平7−292390号公報
【特許文献3】特開2005−89610号公報
【特許文献4】特開平10−251699号公報
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の問題点を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、(A)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物に、(B)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/g以上の化合物、(C)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/g未満の化合物が導入された高分子化合物が、汚染物質等を含む固体物質の吸着性に優れ、少量で優れた汚染除去能を有することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1.(A)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物に、
(B)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/100g以上の化合物、及び
(C)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/100g未満の化合物、が導入され、
(B):(C)が重量比で1:99〜99:1、(B)及び(C)の合計量が、高分子化合物全量に対して、重量比率で20重量%以上90重量%以下であることを特徴とする高分子化合物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の高分子化合物は、優れた固体吸着性を示し、洗浄剤用等として好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をその最良の形態に基づき詳細に説明する。
【0010】
本発明の高分子分散剤は、(A)1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が2以上のイソシアネート化合物(以下、「(A)成分」ともいう。)に、(B)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/g以上の化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)と、(C)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/g未満の化合物(以下、「(C)成分」ともいう。)が導入されたことを特徴とするものである。
なお、水への溶解度とは、水(温度25℃)100gに対する溶解度のことである。
【0011】
(A)成分は、1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が2以上(好ましくは2.2以上20以下、さらに好ましくは2.5以上10以下)であることを特徴とする。このような(A)成分は、各種固体との固体吸着能が高く、例えば、汚染物質や各種粉体との吸着能に優れていることを特徴とするものである。
1分子中に含まれるイソシアネート基の平均官能基数が2以上であることにより、(B)成分、(C)成分を(A)成分に導入しやすくなり、親水・疎水バランスの取れた化合物の製造が可能となる。イソシアネート基の平均官能基数が2より少ない場合、(B)成分、(C)成分が導入されにくく、あらゆる固体に対し適用することが困難となる。またイソシアネート基の平均官能基数が多すぎる場合、分岐が多すぎる構造となり、ゲル化する場合がある。
【0012】
(A)成分としては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネート、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
1,3−キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香脂肪族ジイソシアネート;
等、及びこれらのイソシアネート基含有化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及びこれらのイソシアネート基を含有する化合物と共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
【0013】
本発明では、特に、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等、、及びこれらのイソシアネート基含有化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及びこれらのイソシアネート基を含有する化合物と共重合可能な単量体との共重合体等を用いることが好まししい。
【0014】
(B)成分、(C)成分は、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物であり、イソシアネート基と反応可能な官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられ、特にヒドロキシル基が好ましい。
【0015】
ヒドロキシル基を含有する化合物としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール類、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族グリコール類、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール類等の単量体グリコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレングリコールポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンエチレンポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール、フッ素含有ポリオール、ケイ素含有系ポリオール等の高分子量ポリオール類等、
また、乳酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ひまし油脂肪酸、水添ひまし油脂肪酸、δ−ヒドロキシ吉草酸、ε−ヒドロキシカプロン酸、P−ヒドロキシエチレンオキシカルボン酸、2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸、2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸、ヒドロキシピバリン酸、11−オキシヘキサデカン酸、2−オキシドデカン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グリセリン酸、メバロン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸等の等のヒドロキシル基及びカルボキシル基含有化合物、
ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノプロパノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール等のヒドロキシル基及びアミノ基含有化合物、
セルロース及び/またはその誘導体、アミロース等の多糖類、
等が挙げられる。
【0016】
このうち、ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の官能基数3以上のポリオール、エチレンジアミン、トルエンジアミン類のポリアミン類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させた水酸基含有ポリエーテルポリオール等及びテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0017】
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸等と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等のジオール、又はトリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール、又はビスフエノールA、ビスフエノールF等との重縮合反応によって得られるもの等が挙げられる。
【0018】
ポリエーテルエステルポリオールとしてはエーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物を前記ジカルボン酸またはそれらの無水物とを反応させるか、またはポリエステルグリコールにアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートが挙げられる。
【0019】
ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジメチルカーボネートル、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートの脱アルコール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られる。この多価アルコールとしては例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、あるいは、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等が挙げられる。
【0020】
アミノ基を含有する化合物としては、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン等の脂肪族アミノ基含有化合物;
メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、DBU等の脂環族アミノ基含有化合物;
メタフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミノ基含有化合物;
キシレンジアミン、キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミノ基含有化合物;
3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(ATU)、モルホリン、N−メチルモルホリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン等のエーテル結合を有するアミノ基含有化合物;
テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等の酸無水物類;
ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアミンを反応させて得られるポリアミド、ダイマー酸以外のポリカルボン酸を使ったポリアミド等のポリアミドアミン類;
2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;
ポリオキシプロピレン系ジアミン、ポリオキシプロピレン系トリアミン等のポリオキシプロピレン系アミン類;
上記アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、上記アミン類にホルマリン、フェノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミン、アルジミンといった変性アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの2−エチルヘキサン酸塩等のアミン塩等、
また、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン等の1級アミノ基含有化合物;
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の2級アミノ基含有化合物;
等が挙げられる。
【0021】
これらのイソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物は、1種または2種以上を用いることができる。
【0022】
(B)成分としては、上述した化合物のうち、水への溶解度が、50g/g以上(好ましくは60g/g以上、さらに好ましくは70g/g以上)の化合物を用いる。
(C)成分としては、上述した化合物のうち、水への溶解度が、50g/g未満(好ましくは30g/g以下、さらに好ましくは10g/g以下)の化合物を用いる。
このような(B)成分、(C)成分を(A)成分に導入することによって、親水性から疎水性まで幅広い固体に対し優れた固体吸着能を発揮することができる。
【0023】
本発明の高分子化合物は、上記(A)成分に、上記(B)成分、(C)成分を導入することにより得ることができる。
導入する方法としては、例えば、(A)成分と(B)成分を混合し反応させ、次いで(C)成分を混合し反応させる方法、(A)成分と(C)成分を混合し反応させ、次いで(B)成分を混合し反応させる方法、(A)成分と(B)成分、(C)成分を一括して混合し反応させる方法等が挙げられる。
反応温度としては、50℃〜110℃程度、またそれぞれ反応時間としては1時間〜24時間程度であればよい。
【0024】
また、上述のような反応には、通常使用できる反応触媒を用いてもよい。
例えば、(B)成分、(C)成分として、ヒドロキシル基を含有する化合物を用いた場合、反応触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;ブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート、錫オクチレート等の錫カルボン酸塩類;オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物類等が使用可能である。
【0025】
(B)成分、(C)成分の導入比率としては、重量比で(B):(C)が1:99〜99:1(好ましくは10:90〜95:5、さらに好ましくは20:80〜90:10)である。
また(B)成分及び(C)成分の合計量が、高分子化合物全量に対して、重量比率で20重量%以上90重量%以下(好ましくは25重量%以上85重量%以下)の割合で導入する。
このような導入比率、重量比率であることにより、親水性から疎水性まで幅広い固体に対し優れた固体吸着能を発揮することができる。
(B):(C)が規定範囲外の場合、幅広い固体に対し優れた固体吸着能を発揮することができない場合がある。
また、本発明の高分子化合物は、再凝集防止効果にも優れており、特に、高分子化合物にカルボキシル基や、アミノ基等を導入することによって、再凝集防止効果を高めることもできる。
【0026】
このようにして得られた高分子化合物は、固体吸着能に優れている。そのため固体の吸着能が要求される各種用途に適用することができる。具体的には、大気中に浮遊する塵、誇り、油及び排ガス、また落書き等の汚染物質との吸着性に優れるため、洗浄剤として有用である。
本発明の高分子化合物は、水100重量部に対し、0.01重量部〜5重量部(好ましくは0.03重量部〜3重量部、さらに好ましくは0.05重量部〜1重量部)程度で混合し、用いればよい。このような混合量であれば、各種固体(粉体等)を液中に効率よく取り込むことができる。洗浄剤として用いる場合は、このような少量で、十分な洗浄効果を発揮することができる。
本発明の高分子化合物は、上記の他、親水性から疎水性まで幅広い固体に対して優れた固体吸着性能を発揮することが可能であり、これら性能を必要とする各分野にも適用可能である。
【実施例】
【0027】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0028】
(実施例1)
表1に示す原料を用いて、次のような方法で高分化合物を得た。
酢酸エチルを400重量部、イソシアネート化合物1を82.0重量部、触媒としてジブチルスズジラウレートを0.08重量部混合し、重合釜へ添加した。
次に、窒素雰囲気下、70℃にて、攪拌羽で攪拌(250rpm)しながら、酢酸エチル100重量部にヒドロキシル基を含有する化合物1を151.2重量部混合した混合溶液を重合釜へ滴下した。滴下後、さらに1.5時間攪拌を行った。
次に、窒素雰囲気下、70℃にて、攪拌羽で攪拌(250rpm)しながら、酢酸エチル100重量部にヒドロキシル基を含有する化合物2を160.0重量部混合した混合溶液を重合釜へ滴下した。滴下後、さらに1.5時間攪拌を行った。
次に、窒素雰囲気下、70℃にて、攪拌羽で攪拌(250rpm)しながら、酢酸エチル200重量部にヒドロキシル基を含有する化合物3を22.5重量部混合した混合溶液を重合釜へ滴下した。滴下後、さらに2時間攪拌を行った。
次に、窒素雰囲気下、70℃にて、攪拌羽で攪拌(250rpm)しながら、酢酸エチル150重量部にヒドロキシル基を含有する化合物4を17.5重量部混合した混合溶液を重合釜へ滴下した。滴下後、さらに5時間攪拌を行い、高分子化合物を得た。
得られた高分子化合物について、次の洗浄性試験を行った。
【0029】
(洗浄性試験)
市販の壁紙にインク(黒)をふきつけて、1時間放置した。その後、該壁紙表面を、水100重量部、高分子化合物0.5重量部を混合した洗浄液を用いて、壁面を洗浄した。洗浄性試験の評価は、5(汚れ(インク)を洗浄することができた。)>4>3>2>1(汚れ(インク)が残っていた。)の5段階評価で行った。結果は表2に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
(実施例2〜7、比較例1)
表2に示す組成比以外は、実施例1と同様の方法で、高分子化合物を得た。得られた高分子化合物について、実施例1と同様の洗浄性試験を行った。結果は表2に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物に、
(B)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/100g以上の化合物、及び、
(C)該イソシアネート基と反応可能な官能基を有し、水への溶解度が50g/100g未満の化合物、が導入され、
(B):(C)が重量比で1:99〜99:1、(B)及び(C)の合計量が、高分子化合物全量に対して、重量比率で20重量%以上90重量%以下であることを特徴とする高分子化合物。




【公開番号】特開2007−70577(P2007−70577A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262361(P2005−262361)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】