説明

高分子材料及びそれを用いた高分子発光素子

【課題】発光素子とした場合に、長時間高輝度で発光する高分子材料の提供。
【解決法】ポリスチレン換算の重量平均分子量が10〜10である重合体1種類以上を含んでなる高分子材料であって、該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含み、かつ該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位として2価の芳香族アミン基を1種類以上含み、該高分子材料が固体状態でルミネッセンスを示すことを特徴とする上記高分子材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料及びそれを用いた高分子発光素子(以下高分子LEDということがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子量の発光材料及び電荷輸送材料は低分子量のそれらとは異なり溶媒に可溶で、塗布法により発光素子における層を形成できることから種々検討されている。その例として、フルオレンジイル基を繰り返し単位として有する重合体(特許文献1参照)、フルオレノンジイル基を繰り返し単位として有する共重合体が挙げられる(非特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】WO97/05184パンフレット
【非特許文献1】J.Appl.Phys., 2002,92(5),p2795−2802
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高分子LEDに必要な特性として、長時間高輝度で発光することが挙げられるが、公知の重合体を用いて作製した素子は高輝度で発光する時間が短かった。
本発明の目的は、素子を作製した場合に、長時間高輝度で発光する高分子材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、所定の分子量を有する重合体1種類以上を含んでなる高分子材料であって、該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含み、かつ該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位として2価の芳香族アミン基を1種類以上含む高分子材料からなる素子が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち本発明は、以下の通りである。
(1) ポリスチレン換算の重量平均分子量が10〜10である重合体1種類以上を含んでなる高分子材料であって、該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含み、かつ該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位として2価の芳香族アミン基を1種類以上含み、該高分子材料が固体状態でルミネッセンスを示すことを特徴とする上記高分子材料。
(2) 前記フルオレノンジイル基が下記式(1)で示される上記(1)の高分子材料。


[式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、又はアリールアルキル基を表す。上記式(1)において一つの構造中に複数のRを有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。]
(3) 前記2価の芳香族アミン基が下記式(2)で示される上記(1)記載の高分子材料。


〔式中、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立にアリーレン基又は2価の複素環基を示す。Ar、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基、又は1価の複素環基を示す。Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは置換基を有していてもよい。u及びvはそれぞれ独立に0又は1の整数を示し、0≦u+v≦1である。〕
(4) 繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上と2価の芳香族アミン基を1種類以上とを含有する共重合体を含む、上記(1)記載の高分子材料。
(5) 繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含む重合体と、繰り返し単位として2価の芳香族アミン基を1種類以上含有する重合体とを含む、上記(1)記載の高分子材料。
(6) 請求項1〜5に記載の高分子材料を含んでなることを特徴とする薄膜。
(7) 陽極及び陰極からなる電極間に、上記(1)〜(5)に記載の高分子材料を含む層を有することを特徴とする高分子電子素子。
(8) 陽極及び陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が、上記(1)〜(5)に記載の高分子材料を含むことを特徴とする高分子発光素子。
(9)上記(8)に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とする面状光源。
(10)上記(8)に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするセグメント表示装置。
(11)上記(8)に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
(12)上記(8)に記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
(13)上記(1)〜(5)に記載の高分子材料を含むことを特徴とするインク組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の高分子材料を用いて高分子LEDを作製すると、長時間高輝度で発光する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が10〜10である重合体1種類以上を含んでなる高分子材料であって、該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含み、かつ該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位として2価の芳香族アミン基を1種類以上含み、該高分子材料が固体状態でルミネッセンスを示すことを特徴とする上記高分子材料である。
本発明の高分子材料としては、
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上と2価の芳香族アミン基を1種類以上とを含む共重合体からなる高分子材料、
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上と2価の芳香族アミン基を1種類以上を含む共重合体と、フルオレノンジイル基も2価の芳香族アミン基も繰り返し単位として含まない重合体とからなる高分子材料(組成物)、
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含む重合体と、2価の芳香族アミン基を1種類以上含む重合体とからなる高分子材料(組成物)、
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含む重合体と、2価の芳香族アミン基を1種類以上含む重合体と、フルオレノンジイル基も2価の芳香族アミン基をも繰り返し単位として含まない重合体とからなる高分子材料(組成物)、
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上と、2価の芳香族アミン基を1種類以上含む共重合体と、2価の芳香族アミン基を1種類以上含む重合体とからなる高分子材料(組成物)などが例示される。
【0009】
フルオレノンジイル基は、フルオレノンの任意の水素原子を2個取り除いた基であり、該基は置換基を有していてもよく、好ましくは下記式(1)で示される。


[式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、又はアリールアルキル基を表す。上記式(1)において一つの構造中に複数のRを有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。]
【0010】
上記式(1)の構造はモノマー合成の行いやすさ、重合の行いやすさ等から下記式(1−1)又は下記式(1−2)の構造であることが好ましく、下記式(1−3)又は下記式(1−4)の構造であることがより好ましい。


[式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基を表す。上記式において一つの構造中に複数のRを有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。i1〜i4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。]
【0011】
上記式(1)、(1−1)、(1−2)、(1−3)におけるRとしては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基等が挙げられる。
【0012】
ここで、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、その炭素数は通常1〜20程度であり、その例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基などが挙げられる。
【0013】
アルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、その炭素数は通常1〜20程度であり、その例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられる。
【0014】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、その炭素数は通常1〜20程度であり、その例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられる。
【0015】
アルキルシリル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、その炭素数は通常1〜60程度であり、その例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、イソプロピルシリル基、ブチルシリル基、イソブチルシリル基、t−ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、シクロヘキシルシリル基、ヘプチルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、ノニルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ラウリルシリル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基などが挙げられる。
【0016】
アルキルアミノ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、モノアルキルアミノ基でもジアルキルアミノ基でもよく、その炭素数は通常1〜40程度であり、その例として、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基などが挙げられる。
【0017】
アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48である。具体的には、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基(C〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
〜C12アルキルフェニル基として具体的にはメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
【0018】
アリールオキシ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは7〜48である。具体的には、フェノキシ基、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
〜C12アルキルフェノキシ基として具体的にはメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。
【0019】
アリールチオ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニルチオ基、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0020】
アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは7〜48である。具体的には、フェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基、1−ナフチル−C〜C12アルキル基、2−ナフチル−C〜C12アルキル基などが例示され、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基が好ましい。
【0021】
2価の芳香族アミン基は、芳香族アミンの任意の芳香族炭化水素の水素原子を2個取り除いた基であり、該基は置換基を有していてもよく、好ましくは下記式(2)で示される構造が挙げられる。


〔式中、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立にアリーレン基又は2価の複素環基を示す。Ar、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基、又は1価の複素環基を示す。Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは置換基を有していてもよい。u及びvはそれぞれ独立に0又は1の整数を示し、0≦u+v≦1である。〕
ここで、アリール基としては、前述のアリール基の具体例が例示され、アリーレン基、2価の複素環基としては後述のアリーレン基、2価の複素環基の具体例が例示される。1価の複素環基としては、後述の2価の複素環基の具体例の2個の結合手のうちの1個を後述のR’で置換した構造が例示される。
【0022】
2価の芳香族アミン基としては、下記構造が好ましい。


上記式中のRとしては、前述のRが例示されるが、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基が好ましい。
【0023】
2価の芳香族アミン基の具体例としては、下記構造が例示される。



【0024】
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上有する重合体は、溶解性や特性向上の観点からフルオレノンジイル基以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
繰り返し単位として2価の芳香族アミン基を1種類以上含む重合体は、溶解性や特性向上の観点から2価の芳香族アミン基以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上と2価の芳香族アミン基を1種類以上とを含む共重合体は、溶解性や特性向上の観点からフルオレノンジイル基及び2価の芳香族アミン基以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0025】
フルオレノンジイル基及び2価の芳香族アミン基以外の繰り返し単位としては、下記式(3)の構造、下記式(4)の構造、2価の複素環基、アリーレン基、スチルベンジイル基が挙げられる。


[式中、Xは−O−、−S−、−N(R)−、−C(R)−、−Si(R)−、−Se−を表す。Y及びYは−O−、−S、−C(R’)−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−Si(R’)−、−N(R’)−、−B(R’)−、−P(R’)−又はP(=O)(R’)−を表す。ただし、YとYは同一になることはない。この場合、例示中の置換基R’の数が2つ少なくなる。YとYは二重結合で結ばれていてもよい。この場合、例示中の置換基R’の数が1つ少なくなる。Rは、前述のRと同様である。R’は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、又はアリールアルキル基を表す。上記式において一つの構造中に複数のR、R’を有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。A環、B環、C環、及びD環はそれぞれ独立に芳香環を表す。]
【0026】
上記式(3)のA環及びB環はそれぞれ独立に芳香環であるが、芳香族炭化水素環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環であることがより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環であることが更に好ましい。
【0027】
上記式(3)で示される構造を含む繰り返し単位は、下記式(3−1)〜式(3−5)であることが好ましい。


[式中、X、Rは、前述のX、Rと同様である。上図において一つの構造中に複数のRを有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。b1、b2、c1、c2、d1、e1、f1はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。d2、e2、f2はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。]
【0028】
Xが、−O−、−S−、−Se−の場合、溶解性の点から、b1+b2は1以上であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。c1+c2は1以上であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。d1+d2は1以上であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。e1+e2は1以上であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。f1+f2は1以上であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
【0029】
上記式(3)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、及び(3−5)のRの種類としては、溶解性、蛍光特性等の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が更に好ましい。
【0030】
上記式(3)、(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、及び(3−5)のXとしては、溶解性、蛍光特性等の観点から、−O−、−S−、−N(R)−、−C(R)−が好ましい。
【0031】
上記式(3)の具体的構造としては、下記化合物が挙げられる。

【0032】
上記式(4)のC環及びD環はそれぞれ独立に芳香環であるが、芳香族炭化水素環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環であることがより好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環であることが更に好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
【0033】
式(4)中のY及びYは、電荷注入性、蛍光特性等の観点から、−O−、−S−、−C(R’)−、−C(=O)−、−N(R’)−であることが好ましく、−O−、−N(R’)−、−C(R’)−であることがより好ましく、−O−、−C(R’)−であることが更に好ましい。
【0034】
上記式(4)で示される構造を含む繰り返し単位は、下記式(4−1)〜式(4−3)であることが好ましく、式(4−1)であることがより好ましい。


[式中、Yは−O−、−S、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−Si(R’)−、−N(R’)−、−B(R’)−、−P(R’)−又はP(=O)(R’)−を表す。Yは、−O−、−S、−S(=O)−、−SO−、−Si(R’)−、−N(R’)−、−B(R’)−、−P(R’)−又はP(=O)(R’)−を表す。Yは−Si(R’)−、−N−を表す。]
【0035】
は、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R’)−であることが好ましく、−O−、−N(R’)−であることがより好ましく、−O−であることが更に好ましい。Yは、−O−、−S、−N(R’)−が好ましい。Yは、−N−が好ましい。
【0036】
上記式(4)の具体的構造としては、下記化合物が挙げられる。

【0037】
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基が挙げられる。
【0038】
フェニレン基は、下記式(5)の構造で示される。


[Rは前述の置換基が例示される。上図において一つの構造中に複数のRを有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。gは0〜4の整数を表す。]
【0039】
gはモノマー合成の行いやすさ、溶解性の観点から、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
【0040】
上記式(5)の構造の中では下記式(5−1)の構造がより好ましい。

【0041】
上記式(5)及び(5−1)のRの種類としては、溶解性、蛍光特性等の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基が更に好ましい。
【0042】
ナフタレンジイル基は、下記式(6)の構造で示される。


[Rは前述の置換基が例示される。上記式において一つの構造中に複数のRを有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。hは0〜6の整数を表す。]
【0043】
hはモノマー合成の行いやすさ、溶解性の観点から、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
【0044】
上記式(6)の構造の中では下記式(6−1)〜式(6−3)の構造がより好ましく、下記式(6−1)の構造が更に好ましい。

【0045】
上記式(6)、(6−1)、(6−2)及び(6−3)のRの種類としては、溶解性、蛍光特性等の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基が更に好ましい。
【0046】
アントラセンジイル基は、下記式(7)の構造で示される。


[Rは前述の置換基が例示される。上図において一つの構造中に複数のRを有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。kは0〜8の整数を表す。]
【0047】
kはモノマー合成の行いやすさ、溶解性の観点から、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
【0048】
上記式(7)の構造の中では下記式(7−1)又は下記式(7−2)の構造がより好ましく、下記式(7−2)の構造が更に好ましい。

【0049】
上記式(7)、(7−1)、及び(7−2)のRの種類としては、溶解性、蛍光特性等の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基が更に好ましい。
【0050】
スチルベンジイルジイル基は、下記式(8−1)、及び(8−2)の構造で示される。


[Rは前述の置換基が例示される。上図において一つの構造中に複数のRを有している場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。m1、m2、m3、m4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。]
【0051】
上記式(8−1)及び(8−2)のRは溶解性、合成の行いやすさの観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基であることが好ましく、アルコキシ基、アリールオキシ基であることが更に好ましい。
【0052】
上記式(8−1)及び(8−2)のm1、m2、m3及びm4は溶解性、合成の行いやすさの観点から、m1+m2は1以上であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。また、m3+m4は1以上であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
【0053】
上記式(8−1)及び(8−2)の具体的構造としては


などが挙げられる。
【0054】
2価の複素環基としては、




[式中、R’としては前述のR’が例示される。上記式において一つの構造中に複数のR’を有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。]が挙げられる。
【0055】
固体状態でルミネッセンスを示すとは、固体状態で蛍光を発すること、固体状態でりん光を発することなどが挙げられる。
【0056】
本発明の高分子組成物に用いる重合体及び共重合体は、重量平均分子量がポリスチレン換算で10〜10であり、成膜性の点から好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは1×10〜2×10、更に好ましくは2×10〜1×10であり、特に好ましくは3×10〜1×10である。
【0057】
本発明の高分子組成物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子組成物に含まれる重合体及び共重合体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に高分子組成物を0.1重量%以上溶解させることができる。
【0058】
本発明の高分子組成物に用いられる重合体及び共重合体は、例えば、一般式(9)、(10)、(11)及び/又は(12)で示される単量体を反応させることにより製造することができる。
−Ar11−Y (9)
−Ar12−Y (10)
−E (11)
−E (12)
〔式中、Ar11、Ar12はそれぞれ独立に、フルオレンジイル基、2価の芳香族アミン基、上記式(3)で示される構造、上記式(4)で示される構造、2価の複素環基、アリーレン基又はスチルベンジイル基を表す。E及びEはそれぞれ末端基を表す。Y、Y、Y、Y、Y及びYはそれぞれ独立に、脱離基を表す。但し、E及びEは互いに相異なる。〕
【0059】
脱離基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、又はB(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)で示される基が挙げられる。
【0060】
ここに、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子が最も好ましい。アルキルスルホニルオキシ基は、フッ素原子で置換されていてもよく、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。アリールスルホニルオキシ基は、アルキル基で置換されていてもよく、フェニルスルホニルオキシ基、トリスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0061】
−B(OR11で示される基において、R11は、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、炭素数は、通常1〜20程度であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。また、アルキル基どうしは、つながって環を形成していてもよい。
【0062】
−B(OR11で示される基として、具体的には、


が挙げられ、


が好ましい。
【0063】
一般式(11)及び(12)の単量体の仕込み量の合計は、一般式(9)及び(10)の単量体の仕込み量の合計に対して、一般的には0.1〜10モル%であり、0.2〜5モル%が好ましく、0.5〜3モル%がより好ましい。
【0064】
本発明の高分子材料に用いる重合体及び共重合体の製造方法としては、例えば上述した該当する単量体を、Suzuki反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(共立出版、高分子機能材料シリーズ第2巻、高分子の合成と反応(2)、432−3頁)、山本重合法により重合する方法(プログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog.Polym.Sci.),第17巻,1153−1205頁,1992年)、FeCl等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法(丸善、実験化学講座第4版、28巻、339−340頁)などが例示される。
【0065】
Suzuki反応を用いる場合について説明する。この場合、例えば、Y及びYがそれぞれ独立に−B(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)で示される基であり、Y及びYがそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基であり、Y及びYがそれぞれ独立に−B(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)で示される基であるか、又はそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基若しくはアリールスルホニルオキシ基であり、Yが−B(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)で示される基であり、Yがハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基である単量体を用い、これらの単量体をPd(0)触媒の存在下に反応させる。
【0066】
なおこの反応に供する、2個の脱離基を有する2種以上の単量体のうち、少なくとも1種が−B(OR11(ここで、R11は水素原子又はアルキル基である)を2個有する単量体であり、少なくとも1種が、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基を2個有する単量体である場合、その反応は、通常、式(9)及び/又は(10)で表される単量体を1〜100時間程度反応させた後、その後系内に単量体(11)を添加して0.5〜50時間程度反応させ、その後、単量体(12)を系内に添加して0.5〜50時間程度反応させる。
【0067】
Pd(0)触媒として、例えばパラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類などを用い、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基、フッ化セシウムなどの無機塩をモノマーに対して当量以上、好ましくは1〜10当量加えて反応させる。無機塩を水溶液として、2相系で反応させてもよい。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどが例示される。溶媒にもよるが50〜160℃程度の温度が好適に用いられる。溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は1時間から200時間程度である。
【0068】
山本重合法を用いる場合について説明する。この場合、例えば、Y、Y、Y、Y、Y及びYがそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基又はアリールスルホニルオキシ基である単量体を用い、これらの単量体をNi(0)錯体の存在下に反応させることにより製造することができる。反応は、通常は、単量体(9)〜(12)の全てを混合して実施するが、単量体(9)及び(10)を先に反応させ、5分〜1時間後に単量体(11)及び(12)を反応器に入れて反応させてもよい。
【0069】
ニッケル錯体としてNi(0)錯体(ゼロ価ニッケル錯体)を用いる場合は、ゼロ価ニッケルをそのまま使う方法と、ニッケル塩を還元剤の存在下で反応させ、系内でゼロ価ニッケルを生成させ、反応させる方法とがある。ゼロ価ニッケル錯体としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなどが例示され、中でも、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が、汎用性で安価という観点で好ましい。
また、中性配位子を添加することが、収率向上の観点から好ましい。ここに、中性配位子とは、アニオンやカチオンを有していない配位子であり、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の含窒素配位子;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン等の第三ホスフィン配位子などが例示され、汎用性、安価の点で含窒素配位子が好ましく、2,2’−ビピリジルが高反応性、高収率の点で特に好ましい。特に、重合体の収率向上の点から、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を含む系に中性配位子として2,2’−ビピリジルを加えた系が好ましい。系内でゼロ価ニッケルを反応させる方法においては、ニッケル塩として塩化ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
還元剤としては、亜鉛,水素化ナトリウム,ヒドラジン及びその誘導体、リチウムアルミニウムハイドライドなどが挙げられ、必要に応じて添加物として、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等が用いられる。
重合溶媒としては、重合を阻害しないものであれば特に限定されないが、1種類以上の芳香族炭化水素系溶媒及び/又はエーテル系溶媒を含むものが好ましい。ここに芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ブチルベンゼン、ナフタリン、テトラリン等が挙げられ、トルエン、キシレン、テトラリン、テトラメチルベンゼンが好ましい。また、エーテル系溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等が挙げられ、高分子化合物に対する良溶媒である、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが好ましい。溶媒の中では、テトラヒドロフランが最も好ましい。また、重合性、溶解性を改良する観点から、溶媒としては、重合反応を阻害しないものであれば、芳香族炭化水素系溶媒及び/又はエーテル系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒及びエーテル系溶媒以外の溶媒との混合溶媒を用いてもよい。
【0070】
反応操作等は、例えば、特開2000−44544号公報に記載の方法に準じて行うことができる。山本重合法においては、例えば、重合反応は、通常アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下、テトラヒドロフラン溶媒中、60℃の温度で、ゼロ価のニッケル錯体、中性配位子の存在下に行われる。重合時間は、通常0.5〜100時間程度であるが、製造コストの点から、10時間以内が好ましい。重合温度は、通常0〜200℃程度であるが、高収率、低加熱費の点から、20〜100℃が好ましい。
【0071】
また、中性配位子を使用する場合には、その使用量としては、反応収率とコストの点からゼロ価のニッケル錯体1モルに対して、0.5〜10モル程度が好ましく、0.8〜1.5モルがより好ましく、0.9〜1.1モルが更に好ましい。
【0072】
ゼロ価のニッケル錯体の使用量は、重合反応を阻害しない程度ならば、特には限定されないが、使用量が過少だと分子量が低い傾向にあり、使用量が過大であると後処理が繁雑になる傾向がある。そのため、モノマー1モルに対して、0.1〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましく、2〜3.5モルが更に好ましい。
【0073】
本発明の高分子材料を用いて作製した薄膜は様々な用途に適用することができる。薄膜の成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。
【0074】
薄膜の膜厚としては、用いる材料、用途によって最適値が異なるが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
【0075】
薄膜の用途としては、高分子LED、有機トランジスタ、有機太陽電池、導電性薄膜、二次電池、レーザー用色素、電子写真感光体、感光性フィルム、有機コンデンサ、色フィルター、有機超伝導体、電磁波シールド、高分子圧電体などが挙げられる。
【0076】
高分子電子素子としては、高分子LED、高分子フォトニクス用素子、高分子アイオニクス用素子等が例示される。
【0077】
本発明の高分子材料を高分子LEDの発光材料として用いる場合、高分子材料に用いる重合体及び共重合体の純度が発光特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製した後に重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0078】
本発明の高分子LEDは陽極及び陰極からなる電極間に発光層を有し、該発光層が、本発明の高分子材料を含むことを特徴とする。本発明の高分子LEDには、少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して導電性高分子を含む層を設けた高分子発光素子、少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して平均膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子発光素子も含まれる。
【0079】
また、本発明の高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
【0080】
本発明の高分子LEDの構造としては、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0081】
ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、及び電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
【0082】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
【0083】
更に電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄い絶縁層を挿入してもよい。 積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
【0084】
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。 例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0085】
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
【0086】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上10以下がより好ましく、10−5S/cm以上10以下が更に好ましい。
【0087】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上10S/cm以下がより好ましく、10−5S/cm以上10S/cm以下が更に好ましい。 通常は該導電性高分子の電気伝導度を10−5S/cm以上10以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0088】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0089】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
【0090】
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
【0091】
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
【0092】
発光層は、本発明の高分子材料を含むが、発光層に上記材料以外の発光材料を混合して使用してもよい。また、本発明の高分子LEDにおいては、上記高分子材料以外の発光材料を含む発光層が、上記高分子材料を含む発光層と積層されていてもよい。該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン又はその誘導体、ペリレン又はその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン又はその誘導体、又はテトラフェニルブタジエン又はその誘導体などを用いることができる。具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0093】
発光層の成膜の方法に制限はないが、例えば、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0094】
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0095】
本発明の高分子材料はインクジェット法により成膜できることを特徴としている。インクジェット法とは、高分子材料や重合体を溶媒に溶解させインクジェット装置等で吐出する方法である。溶液を作製する際に、添加剤やドーパントを含んでいてもよい。インクジェット法は、色の塗り分けが可能な点や材料のロスが少なく有効に活用できる点が長所である。
【0096】
インクジェット法で成膜するためには、本発明の高分子組成物を溶媒に溶解させてインク組成物にする必要がある。溶媒は1種類でも2種類以上でもよいが、2種類以上が好ましい。また、溶媒が2種類以上の場合は、上記高分子組成物に用いられる重合体又は共重合体の溶解度が低い溶媒や全く溶解しない溶媒を1種類以上含んでいてもよい。
【0097】
インク組成物を作成するための溶媒としては、例えば、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレン、1、3、5−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、n−ブチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、イソブタノール、オクタノール、エチルヘキサノール、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロメタン、塩化メチレン、フェノール、アニソール、エトキシベンゼン、メチルイソブチルケトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ベンジルアセテート、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ−n−ブチル、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、(シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、ジメチルイミダゾリジノン、ドデシルベンゼン、ドデカン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸−n−プロピル、安息香酸−n−ブチル、ベンジルアセテート、エチレングリコールジアセテート、n−メチルピロリドン、メシチレン、デカリン、アニリン、アセトアニリド、アセトアルデヒド、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0098】
発光層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
【0099】
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリシラン又はその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリピロール又はその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)又はその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)又はその誘導体などが例示される。
【0100】
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0101】
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリシラン又はその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)又はその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)又はその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、ポリビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリシラン又はその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体が更に好ましい。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0102】
ポリビニルカルバゾール又はその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
【0103】
ポリシラン又はその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0104】
ポリシロキサン又はその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが例示される。
【0105】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0106】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0107】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0108】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0109】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
【0110】
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン又はその誘導体、ベンゾキノン又はその誘導体、ナフトキノン又はその誘導体、アントラキノン又はその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン又はその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン又はその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体、ポリキノリン又はその誘導体、ポリキノキサリン又はその誘導体、ポリフルオレン又はその誘導体等が例示される。なお上記誘導体には金属錯体誘導体も含まれる。
【0111】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0112】
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン又はその誘導体、アントラキノン又はその誘導体、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体、ポリキノリン又はその誘導体、ポリキノキサリン又はその誘導体、ポリフルオレン又はその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンが更に好ましい。なお上記誘導体には金属錯体誘導体も含まれる。
【0113】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液又は溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
【0114】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0115】
溶液又は溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0116】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)又はその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)又はその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが例示される。
【0117】
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
【0118】
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0119】
通常は、陽極及び陰極からなる電極の少なくとも一方が透明又は半透明であり、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、更に好ましくは50nm〜500nmである。また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0120】
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、更に好ましくは50nm〜500nmである。
【0121】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0122】
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子が傷付くのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、更に酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0123】
本発明の高分子発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。
【0124】
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0125】
更に、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0126】
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0127】
ここで、数平均分子量及び重量平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(島津製作所製:LC−10Avp)によりポリスチレン換算のZ平均分子量、数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。測定する重合体は、約0.5wt%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。GPCの移動相としてはテトラヒドロフランを用い、0.6mL/minの流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)を用いた。
素子にした場合において、輝度が40%低下する時間は、それぞれの初期輝度が異なるため、初期輝度を100cd/mに換算した時間で比較した。具体的には、初期輝度(cd/m)を100cd/mで割った値を2剰し、その値に実際に輝度が40%低下する時間を乗じて100cd/mに換算した時間を求めた。
【0128】
合成例1
<共重合体1の合成>
2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン3.3gと、2,7−ジブロモ−9,9−ジイソブチルフルオレン0.7gと、2,7−ジブロモフルオレノン0.0025gと、2,2’―ビピリジル2.75gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)200gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を5.0gを加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この反応溶液を冷却した後、25%アンモニア水30ml/メタノール150ml/イオン交換水150ml混合溶液を注ぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を乾燥した後、トルエンに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、このトルエン溶液を1規定塩酸で洗浄した後、静置、分液、トルエン溶液を回収、このトルエン溶液を、約3%アンモニア水で洗浄した後、静置、分液、トルエン溶液を回収、次に、このトルエン溶液をイオン交換水で洗浄し、静置、分液、トルエン溶液を回収した。このトルエン溶液に、攪拌下、メタノールを加えることにより、再沈精製した。
次に、生成した沈殿を回収し、この沈殿を減圧乾燥して、共重合体1を2.0g得た。得られた共重合体1のポリスチレン換算重量平均分子量は、7.3x10であり、数平均分子量は、1.8x10であった。
反応の仕込み比より、共重合体1中のフルオレンとフルオレノンのモル比は999:1であった。
【0129】
合成例2
<共重合体2の合成>
下記化合物A 1.8gと、下記化合物B 2.2gと、2,2’―ビピリジル1.8gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)160gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を3.4gを加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この反応溶液を冷却した後、25%アンモニア水30ml/メタノール100ml/イオン交換水200ml混合溶液を注ぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿をメタノール150ml/イオン交換水150ml混合溶液で洗浄した後、減圧乾燥した。次に、この沈殿をトルエンに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、次に、このトルエン溶液をアルミナを充填したカラムに通し、精製した。次に、このトルエン溶液を、約5%アンモニア水で洗浄した後、分液し、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液をイオン交換水で洗浄した後、分液し、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液をアルミナを充填したカラムを通し、精製した。次に、このトルエン溶液をメタノール中に注ぎ込むことにより、再沈精製した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を減圧乾燥して、共重合体2を1.2gを得た。共重合体2のポリスチレン換算重量平均分子量は、4.9x10であり、数平均分子量は、1.8x10であった。
反応の仕込み比より、共重合体2中の化合物Aに由来する構造単位と化合物Bに由来する構造単位のモル比は1:1であった。
【0130】

【0131】

【0132】
実施例1
<高分子材料1の調製>
共重合体1と共重合体2を8:2の混合比(重量比)で混合し、トルエンに1.5wt%となるよう溶解させた。その後、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを除去し、高分子材料1を得た。
【0133】
実施例2
<輝度測定>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、高分子材料1のトルエン溶液を用いてスピンコートにより1500rpmの回転速度で成膜した。更に、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、フッ化リチウムを約4nmを蒸着し、陰極として、カルシウムを約20nm、次いでアルミニウムを約50nm蒸着して、高分子EL素子を作製した。なお真空度が、1×10−4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。得られた素子に電圧を引加することにより、460nm及び530nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は、7.1Vの電圧をかけたところ初期輝度が588cd/mとなり、輝度の減衰を測定した。初期輝度を100cd/mに換算した場合、輝度が40%減少するのに要する時間は8201時間であった。
【0134】
合成例3
<共重合体3の合成>
2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン4.0gと、2,7−ジブロモ−9,9−ジイソブチルフルオレン0.85gと、2,2’−ビピリジル3.4gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)240gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を6.0gを加え、室温で10分間攪拌した後、45分かけて60℃まで昇温し、60±3℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この反応溶液を冷却した後、25%アンモニア水18g/メタノール79g/イオン交換水100g混合溶液を注ぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過した後乾燥し、組成生物5.2gを回収した。組成生物のうち1.7gをトルエンに80gに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液を、アルミナ10gを充填したカラムに通液し、精製した。次に、このトルエン溶液を5%塩酸水、3%アンモニア水、イオン交換水で順次洗浄した後、このトルエン溶液に、攪拌下、メタノールを加えることにより、再沈精製した。次に、生成した沈殿を回収し、この沈殿を減圧乾燥して、重合体0.30gを得た。この共重合体を共重合体3と呼ぶ。得られた共重合体3のポリスチレン換算重量平均分子量は、2.8x10であり、数平均分子量は、1.2x10であった。
反応の仕込み比より、共重合体3中の9,9−ジオクチルフルオレンと9,9−ジイソブチルフルオレンのモル比は4:1であった。
【0135】
比較例1
<高分子材料2の調製>
共重合体3と共重合体2を8:2の混合比(重量比)で混合し、トルエンに1.5wt%となるよう溶解させた。その後、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを除去し、高分子材料2を得た。
【0136】
比較例2
<輝度測定>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、高分子材料2のトルエン溶液を用いてスピンコートにより1500rpmの回転速度で成膜した。更に、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、フッ化リチウムを約4nmを蒸着し、陰極として、カルシウムを約20nm、次いでアルミニウムを約50nm蒸着して、高分子EL素子を作製した。なお真空度が、1×10−4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。得られた素子に電圧を引加することにより、476nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は、8.5Vの電圧をかけたところ初期輝度が353cd/mとなり、輝度の減衰を測定した。初期輝度を100cd/mに換算した場合、輝度が40%減少するのに要する時間は100時間であった。
【0137】
比較例3
<輝度測定>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、共重合体1の1.5wt%トルエン溶液を用いてスピンコートにより1500rpmの回転速度で成膜した。更に、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、フッ化リチウムを約4nmを蒸着し、陰極として、カルシウムを約20nm、次いでアルミニウムを約50nm蒸着して、EL素子を作製した。なお真空度が、1×10−4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。得られた素子に電圧を引加することにより、530nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は、6.0Vの電圧をかけたところ初期輝度が1347cd/mとなり、輝度の減衰を測定した。初期輝度を100cd/mに換算した場合、輝度が40%減少するのに要する時間は1687時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の高分子材料を高分子LEDの発光層に発光材料として用いたとき、その高分子LEDは、特性に優れている。したがって、該高分子LEDは、液晶ディスプレイのバックライト又は照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等の装置に好ましく使用できる。また、本発明の高分子材料は、有機トランジスタ用材料、有機太陽電池用材料、導電性薄膜用材料、二次電池用材料、レーザー用色素用材料、電子写真感光体用材料、感光性フィルム用材料、有機コンデンサ用材料、色フィルター用材料、有機超伝導体用材料、電磁波シールド用材料、高分子圧電体用材料などに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン換算の重量平均分子量が10〜10である重合体1種類以上を含んでなる高分子材料であって、該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含み、かつ該重合体の少なくとも1種類は繰り返し単位として2価の芳香族アミン基を1種類以上含み、該高分子材料が固体状態でルミネッセンスを示すことを特徴とする上記高分子材料。
【請求項2】
前記フルオレノンジイル基が下記式(1)で示される請求項1記載の高分子材料。


[式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、又はアリールアルキル基を表す。上記式(1)において一つの構造中に複数のRを有する場合があるが、これらは同一であっても相異なってもよい。a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。]
【請求項3】
前記2価の芳香族アミン基が下記式(2)で示される請求項1記載の高分子材料。


〔式中、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立にアリーレン基又は2価の複素環基を示す。Ar、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基、又は1価の複素環基を示す。Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは置換基を有していてもよい。u及びvはそれぞれ独立に0又は1の整数を示し、0≦u+v≦1である。〕
【請求項4】
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上と2価の芳香族アミン基を1種類以上とを含有する共重合体を含む、請求項1記載の高分子材料。
【請求項5】
繰り返し単位としてフルオレノンジイル基を1種類以上含む重合体と、繰り返し単位として2価の芳香族アミン基を1種類以上含有する重合体とを含む、請求項1記載の高分子材料。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の高分子材料を含んでなることを特徴とする薄膜。
【請求項7】
陽極及び陰極からなる電極間に、請求項1〜5に記載の高分子材料を含む層を有することを特徴とする高分子電子素子。
【請求項8】
陽極及び陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が、請求項1〜5に記載の高分子材料を含むことを特徴とする高分子発光素子。
【請求項9】
請求項8に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とする面状光源。
【請求項10】
請求項8に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするセグメント表示装置。
【請求項11】
請求項8に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
【請求項12】
請求項8に記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
請求項1〜5に記載の高分子材料を含むことを特徴とするインク組成物。

【公開番号】特開2006−124533(P2006−124533A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315434(P2004−315434)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】