説明

高分子膜およびその製造方法

【課 題】高い選択性をもって二酸化炭素を他のガスから分離するための高分子膜およびその製造方法並びに該高分子膜を用いたガス分離方法を提供する。
【解決手段】多官能重合性単量体を重合させてなる高分子重合体に、式(1)


(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基、または式(2)


(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなることを特徴とする高分子膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を分離するための高分子膜および該高分子膜の製造方法並びに該高分子膜を用いたガス分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高分子素材には、その素材に特有の気体透過性があるため、高分子素材から構成された膜によって、気体成分を分離できることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。特に、膜による気体成分の分離技術は、エネルギーが少ない、装置が小型化できる、装置のメンテナンスが容易になるなどの利点があり、種々の分野で使用されている。
近年、膜により気体成分を分離する技術の中でも、二酸化炭素を選択的に分離する技術が精力的に検討されている。この技術は、油田のオフガス、ゴミ焼却や火力発電の排ガス、天然ガスなどからの二酸化炭素の分離回収に利用することができる。
【0003】
しかしながら、従来の高分子膜では二酸化炭素の選択性(二酸化炭素の膜透過速度/分離対象ガスの膜透過速度)が不十分で、目的とする濃度で二酸化炭素を回収することが出来なかった。そのため、二酸化炭素選択性に優れた分離膜の開発が望まれていた。
このような膜を得るために、二酸化炭素に対して選択的に親和性が高い素材を用いることが提案されている。例えば、室温で液状物質であるポリアミドアミンデンドリマーを、微多孔質の支持体に含浸させた分離膜が提案されている(非特許文献2および3)。この含浸膜の分離性能を、ヘリウムキャリアー法と言う膜に圧力差を設けない方法を用いて測定すると、二酸化炭素選択性が1000を超える優れた二酸化炭素選択性を示した。
しかしながら、液状物質であるポリアミドアミンデンドリマーを微多孔質の支持体に含浸させた分離膜では、この膜に圧力を掛けると、含浸させたデンドリマーが時間と共に支持体から抜け出して、性能を維持できないため、実用に供することが困難である。
【0004】
したがって、ポリアミドアミンデンドリマーのような二酸化炭素に選択的に強い親和性を有する物質を固定して、実用的な圧力差をかけることが可能な高分子膜の開発が切望されていた。
【非特許文献1】ガス分離技術の新展開、東レリサーチセンター調査研究事業部編、株式会社東レリサーチセンター発行、1990年、第345〜362頁
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.122(2000)7594〜7595
【非特許文献3】Ind.Eng.Chem.Res.40(2001)2502〜2511
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い選択性をもって二酸化炭素を他のガスから分離するための高分子膜およびその製造方法並びに該高分子膜を用いたガス分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のアミン化合物の存在下、多官能重合性単量体を重合させて高分子重合体とすると、該高分子重合体内に、前記アミン化合物が固定化されてなる高分子膜にすることによって、二酸化炭素に対する高い選択性を有すると共に、圧力差に耐え実用に供することが可能な高分子膜を得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1] 多官能重合性単量体を重合させて得られる高分子重合体内に、式(1)
【化1】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基、または式(2)
【化2】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなることを特徴とする高分子膜、
[2] アミン化合物が、ポリアミドアミン系デンドリマーである前記[1]に記載の高分子膜、
[3]ポリアミドアミン系デンドリマーが、式
【化3】

からなる群から選ばれる少なくとも1以上の第0世代デンドリマー、またはこれらに対応する第1〜5世代デンドリマーである前記[2]に記載の高分子膜、
[4] 多官能重合性単量体が、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類、多官能ビニルエーテル類およびジビニルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子膜、
[5] 多官能(メタ)アクリレート類が、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類またはテトラ(メタ)アクリレート類である前記[4]に記載の高分子膜、
[6] ジ(メタ)アクリレート類が、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である前記[5]に記載の高分子膜、
[7] 高分子重合体が、多官能重合性単量体に単官能重合性単量体を加えて重合させて得られることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載の高分子膜、
[8] 単官能重合性単量体が、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類、単官能ビニル化合物類および単官能α,β−不飽和化合物類からなる群から選ばれる1種以上である前記[7]に記載の高分子膜、
[9] 単官能(メタ)アクリレート類が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールメタクリレートおよびポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である前記[8]に記載の高分子膜、
[10] 単官能重合性単量体がポリエチレングリコールメタクリレートであり、多官能重合性単量体がポリエチレングリコールジメタクリレートである前記[7]〜[9]のいずれかに記載の高分子膜、
[11] 該高分子膜が、ガス分離膜である前記[1]〜[10]のいずれかに記載の高分子膜、
[12] 式(1)
【化4】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基、または式(2)
【化5】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基を有するアミン化合物の存在下に、多官能重合性単量体を重合反応させて生成する高分子重合体内に上記アミン化合物を固定化させることを特徴とする高分子膜の製造方法、
[13] アミン化合物が、ポリアミドアミン系デンドリマーである前記[12]に記載の高分子膜の製造方法、
[14] ポリアミドアミン系デンドリマーが、式
【化6】

からなる群から選ばれる少なくとも1以上の第0世代デンドリマー、またはこれらに対応する第1〜5世代デンドリマーである前記[13]に記載の高分子膜の製造方法、
[15] 多官能重合性単量体が、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類、多官能ビニルエーテル類およびジビニルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上である前記[12]〜[14]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法、
[16] 多官能(メタ)アクリレート類が、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類またはテトラ(メタ)アクリレート類である前記[15]に記載の高分子膜の製造方法、
[17] ジ(メタ)アクリレート類が、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である前記[16]に記載の高分子膜の製造方法、
[18] 重合反応における重合成分として、多官能重合性単量体と単官能重合性単量体とを併用することを特徴とする前記[12]〜[17]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法、
[19] 単官能重合性単量体が、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類、単官能ビニル化合物類および単官能α,β−不飽和化合物類からなる群から選ばれる1種以上である前記[18]に記載の高分子膜の製造方法、
[20] 単官能重合性単量体がポリエチレングリコールメタクリレートであり、多官能重合性単量体がポリエチレングリコールジメタクリレートである前記[18]または[19]に記載の高分子膜の製造方法、
[21] 重合反応が、光重合反応である前記[12]〜[20]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法、
[22] 重合反応が、熱重合反応である前記[12]〜[20]のいずれかに記載の高分子膜の製造方法、
[23] 光重合反応を光重合開始剤の存在下に行う前記[21]に記載の高分子膜の製造方法、
[24]熱重合反応を熱重合開始剤の存在下に行う前記[22]に記載の高分子膜の製造方法、
[25] 光重合開始剤が1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである前記[23]に記載の高分子膜の製造方法、
[26] 熱重合開始剤がアゾビスイソブチロニトリルである前記[24]に記載の高分子膜の製造方法、
[27] さらに、増感剤の存在下に重合反応を行う前記[23]または[25]に記載の高分子膜の製造方法、
[28] 増感剤が三級アミンである前記[27]に記載の高分子膜の製造方法、
[29] 三級アミンがトリエタノールアミンである前記[28]に記載の高分子膜の製造方法、および
[30] 二酸化炭素を含む混合ガスを、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の高分子膜に接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を選択的に透過させる工程を含むことを特徴とする二酸化炭素の分離方法、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い選択性をもって二酸化炭素を他のガスから分離できる高分子膜およびその製造方法が提供される。また、本発明によれば、該高分子膜を用いて効率よく二酸化炭素を他のガスから分離する方法が提供される。
なお、本発明の高分子膜は、二酸化炭素分離能を有するアミン化合物が高分子膜の表面に担持されているのではなく、該高分子膜内に固定化されているため、安定性が非常に優れているという特長を有する。すなわち、本発明で得られる高分子膜は圧力をかけた場合に式(1)または(2)で示される基を有するアミン化合物が漏出することがないため、支持膜との複合膜にすることなく、自立膜として使用することができる特長を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の高分子膜は、多官能重合性単量体を重合させて得られる高分子重合体内に、式(1)
【化7】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基、または式(2)
【化8】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなることを特徴とする。
【0010】
多官能重合性単量体を重合させてなる高分子重合体内に固定化されているアミン化合物は、前記式(1)または(2)で示される基を有するアミン化合物であるが、式(1)または(2)中、AまたはAで示される炭素数1〜3の二価有機残基としては、例えば、直鎖状または分枝状の炭素数1〜3のアルキレン基が挙げられる。このようなアルキレン基の具体例としては、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH(CH)−などが挙げられ、これらのうち特に−CH−が好ましい。本発明のアミン化合物は、式(1)または式(2)で示される基が1個以上含まれている限り、該基の数については特に制限されないが、好ましくは該基が2〜4096個、更に好ましくは該基を3〜128個有するものが例示される。
また、本発明で使用されるアミン化合物において、式(1)または式(2)の基が占める重量分率は、特に制限されるものではない。二酸化炭素と水素の分離能を高めるという観点から、該アミン化合物に占める式(1)または式(2)で示される基の重量分率が5%以上、好ましくは10〜94%、更に好ましくは15〜53%であるのが望ましい。
【0011】
本発明で使用されるアミン化合物において、式(1)または(2)で示される基が結合する骨格を示すと、例えば次のものが挙げられる。
【化9】

【化10】

[式中、nは0〜10の整数を示す。]
【0012】
すなわち、本発明で使用されるアミン化合物は、式(1)または(2)で示される基が、上記式において米印の結合子の一部または全部に、直接またはアルキレン基を介して結合し、式(1)または(2)で示される基が結合してない結合子には、水素原子、アルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基などが結合した化合物である。
【0013】
本発明で使用されるアミン化合物の具体的な化合物は、例えば、下記の式で示される第0世代のポリアミドアミン系デンドリマー、並びにこれら第0世代ポリアミドアミン系デンドリマーに対応する第1世代以上のものが挙げられる。
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【0014】
上記ポリアミドアミン系デンドリマーのうち、特に好適な化合物の一例として、下記ポリアミドアミン系デンドリマーが挙げられる。
【化17】

【0015】
なお、本発明で用いるポリアミドアミン系デンドリマーは、枝の長さがすべて等しいものと、そのうちの少なくとも1つがヒドロキシアルキル基またはアルキル基で置換され、枝の長さが異なるものを含む。また、ポリアミドアミン系デンドリマーは、表面基[すなわち、式(1)または(2)で示される基]の数が異なる各種のポリアミドアミン系デンドリマーを使用することができる。ポリアミドアミン系デンドリマーの表面基の数と世代の関係は、第0世代の表面基の数をa(aは3以上の整数を示す。)とすると、第b世代(bは整数を示す。)の表面基の数cは、次の通りである。
【数1】

本発明においては市販品(例えば、アルドリッチ社製の第0〜10世代のPAMAMデンドリマー)を使用することもでき、とりわけ第0〜5世代のポリアミドアミン系デンドリマーを好適に使用することができる。第0世代の表面基の数が4個の場合の世代ごとの表面基の数を下記表1に示す。
【表1】

【0016】
式(1)で示される基を有するアミン化合物は、公知の有機合成法に従って製造することができる。当該アミン化合物の合成方法の一例として、メチルエステル基を有する母核化合物と、下記式(1a)で示されるアミン化合物を反応させる方法が例示される。かかる方法によれば、メチルエステル基を有する化合物の該メチルエステル基が式(1)で示される基に変換されて、式(2)で示される基を有するアミン化合物を製造することができる。下式は、当該合成法において、メチルエステル基が式(1)で示される基に変換される式である。
【化18】

[式中、Aおよびnは前記と同意義を示す。]
【0017】
メチルエステル基を有する化合物と、式(1a)で示されるアミン化合物との反応は、メチルエステル基を有する化合物1モルに対して、式(1a)で示されるアミン化合物を、通常約3〜20モル、好ましくは約5〜10モルの割合で使用して行われる。
メチルエステル基を有する化合物と、式(1a)で示されるアミン化合物との反応は、通常、適当な溶媒中で行われる。溶媒としては、反応を阻害しない溶媒であれば公知のものを広く使用できる。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。これらの溶媒には、水が含まれていていることを妨げるものではない。
メチルエステル基を有する化合物と、(1a)で示されるアミン化合物との反応は、通常約0〜40℃、好ましくは約20〜30℃で、約90〜180時間、好ましくは約160〜170時間攪拌を続けることにより行われる。
原料として用いられるメチルエステル基を有する化合物、および式(1a)で示されるアミン化合物は公知化合物の化合物を用いることができる。
上記反応によって得られた反応混合物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出などの単離操作に供して粗反応生成物を分離し、更に必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶などの通常の精製操作を行うことによって式(1)で示される基を有するアミン化合物を単離精製することができる。
【0018】
また、式(2)で示される基を有するアミン化合物(c)は、アミノ基を有する母核化合物と下記式(2a)で示される末端にメチルエステル基を有するアミン化合物を、前記と同様に反応させることにより製造することができる。
【化19】

[式中、Aおよびnは前記と同意義を示す。]
【0019】
本発明に係る高分子膜は、前記のアミン化合物の存在下に多官能重合性単量体を重合させることにより調製できる。
多官能重合性単量体としては、炭素−炭素不飽和結合を2個以上有する重合可能な化合物であれば、特に限定されない。例えば、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類等の多官能アクリル系単量体、多官能ビニルエーテル類またはジビニルベンゼン等の多官能ビニル系単量体等が挙げられる。これらの多官能重合性単量体は、単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
上記多官能(メタ)アクリルアミド類としては、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、エチジウムブロマイド−N,N’−ビスアクリルアミド(Ethidium bromide−N,N’−bisacrylamide)、エチジウムブロマイド−N,N’−ビスメタクリルアミド(Ethidium bromide−N,N’−bismethacrylamide)、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
上記多官能(メタ)アクリレート類としては、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類またはテトラ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
上記ジ(メタ)アクリレート類としては、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
上記トリ(メタ)アクリレート類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記テトラ(メタ)アクリレート類としては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記多官能ビニルエーテル類としては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0021】
また、必要に応じて、重合反応を上記多官能重合性単量体と単官能重合性単量体とを併用して行ってもよい。併用することにより、図1に示されるような高分子重合体内の網目の大きさを調節することができる。
単官能重合性単量体としては、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類等の単官能アクリル系単量体、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類または単官能ビニル化合物類等の単官能ビニル系単量体、単官能α,β−不飽和化合物類等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリルアミド類としては、2−アセトアミドアクリル酸、(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリレート類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記単官能ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
上記単官能N−ビニル化合物類としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
上記単官能ビニル化合物類としては、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
上記単官能α,β−不飽和化合物類としては、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、無水イタコン酸、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、メチレンマロン酸、メチレンマロン酸ジメチル、桂皮酸、桂皮酸メチル、クロトン酸、クロトン酸メチル等が挙げられる。
【0022】
上記高分子重合体内に固定化される上記式(1)で示される基または式(2)で示される基を有するアミン化合物の量は、ポリマー100重量部に対して通常約2〜400重量部、好ましくは約25〜250重量部、さらに好ましくは約40〜100重量部である。
【0023】
本発明の多官能重合性単量体を前記のアミン化合物の存在下に重合反応させる方法としては、熱重合であっても光重合であってもよい。この場合、通常(熱または光)重合開始剤が用いられる。
上記熱重合開始剤としては、公知のものを使用でき、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエー卜、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等が好適である。また、熱重合時には硬化促進剤を混合して使用してもよく、硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等または3級アミン等が好適である。熱重合開始剤の添加量としては、上記多官能重合性単量体100重量部に対し、好ましくは約0.01〜10重量部、より好ましくは約0.1〜1重量部である。
【0024】
上記光重合開始剤としては、公知のものを使用でき、具体的には、以下のような化合物が好適である。これらは単独または2種以上の混合物として使用される。
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類。
【0025】
2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;アシルフォスフィンオキサイド類およびキサントン類。
【0026】
上記光重合開始剤の添加量としては、上記多官能重合性単量体100重量部に対し、好ましくは約0.5〜10重量部、より好ましくは約2〜3重量部である。
【0027】
本発明に用いる多官能重合性単量体を光により硬化させる場合、光重合開始剤とともに増感剤として塩基性化合物を用いることができる。塩基性化合物としてはアミン化合物を用いることが好ましく、上記アミン化合物としては、特に制限されないが、具体的には、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらの中で特に三級アミン化合物が好適である。
上記三級アミン化合物としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、メチルジブタノールアミン、エチルジエタノールアミン、エチルジイソプロパノールアミン、エチルジブタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、プロピルジイソプロパノールアミン、プロピルジブタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルブタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエチルイソプロパノールアミン、ジエチルブタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジプロピルイソプロパノールアミン、ジプロピルブタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジブチルイソプロパノールアミン、ジブチルブタノールアミン、メチルエチルエタノールアミン、メチルエチルイソプロパノールアミン、メチルエチルブタノールアミン、ベンジルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、テトラエタノールエチレンジアミン、テトラプロパノールエチレンジアミン等が挙げられる。また、これら水酸基含有三級アミン化合物にエチレンオキサイドを付加させてポリエチレングリコール鎖を導入したもの、水酸基含有三級アミン化合物に水酸基と反応性を有する官能基を含有するモノマーを付加させて重合性二重結合を導入したもの、ポリマーまたはオリゴマーに三級アミノ基を導入したもの等も用いることができる。これらのアミン化合物は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
上記増感剤の使用量は、光重合開始剤100重量部に対し、好ましくは約1〜10重量部、より好ましくは約5〜8重量部である。
【0029】
上記重合反応は、適当な溶媒中、熱重合の場合は加熱により、光重合の場合は紫外線の照射により実施することが好ましい。溶媒としては、上記アミン化合物と上記多官能重合性単量体を溶解するものであれば特に限定されないが、通常アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)が好適に使用できる。熱重合の加熱は、通常約40〜90℃、好ましくは約60〜70℃で、通常約2〜24時間、好ましくは約5〜10時間で行われる。光重合の紫外線照射は、通常約200〜400nm、好ましくは約250〜360nmの波長を用いて、通常約30秒〜10分、好ましくは約1〜3分で行われる。
かくして、高分子重合体が生成すると同時に、該高分子重合体内に式(1)または式(2)で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなる高分子膜が得られる。得られる高分子膜は、該三次元網目構造を有する高分子重合体の該網目構造内に式(1)または式(2)で示される基を有するアミン化合物が封入され、固定化されているものが好適に挙げられる。
【0030】
(炭酸ガス分離方法)
本発明の他の一つは、上記で得られた高分子膜を用いて、二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離する方法である。すなわち、本発明のガス分離方法は、二酸化炭素を含む混合ガスを上記で得られた高分子膜に接触させて該混合ガス中の二酸化炭素を選択的に透過させる工程を含むことを特徴とする。
当該ガス分離方法は、分離膜のガス供給側とガス透過側との間に圧力差を設けておくのが好ましい。この圧力差は、通常、ガス透過側を減圧にすることにより設けられる。また、本分離方法は、通常5〜80℃、好ましくは室温〜50℃の温度条件下で実施するのが望ましい。
本発明の分離方法に適用できる混合ガスは、二酸化炭素を含む混合ガスであれば特に制限されないが、二酸化炭素と他のガスとの分離性能を向上させるためには、混合ガスの相対湿度を30%以上、好ましくは60〜100%に調製しておくのが好ましい。
上記ガス分離方法は、例えば、火力発電所、鉄鋼プラントなどで発生する燃焼排ガスから二酸化炭素(CO)を分離するのに適用することができる。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
[実施例1]
下記式
【化20】

で示される第0世代のポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(表面基:−CONHCHCHNH;アミノ基の数:4個;20重量%メタノール溶液;アルドリッチ社製)10gを減圧濃縮し、ポリエチレングリコールジメタクリレート(以下、PEGDMAと略す、分子量:750;アルドリッチ社製)2g(2.67mmol)をメタノール(和光純薬工業株式会社製)2gに溶かした。
次いで、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとトリエタノールアミンをそれぞれ0.04mmol/mL、0.8mmol/mLとなるように加えた。得られた溶液をシャーレに展開し、B−100APランプ(UVP社製)を用いて紫外光(波長ピーク:360nm)を室温で1分間照射することにより、ポリエチレングリコールジメタクリレートを重合した。その後、反応溶媒であるエタノールを減圧下で留去し、目的の高分子膜(以下、本発明品1という)を得た。本高分子膜の膜厚は約0.54mmで、該高分子膜中のPAMAMデンドリマーの含有量は50重量%であった。
【0033】
[実施例2〜4]
実施例1において、PAMAMデンドリマーとポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)の使用量、膜厚を下記表1の通りとする以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品2、3、4という)。本高分子膜の膜厚は下記表2の通りである。
【0034】
【表2】

【0035】
[実施例5〜7]
実施例1において、第0世代のPAMAMデンドリマーの代わりに第1、3、5世代のPAMAMデンドリマー(表面基:−CONHCHCHNH;表面基の数:8個(第1世代)、32個(第3世代)、128個(第5世代);20重量%メタノール溶液;アルドリッチ社製)とする以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品5、6、7という)。本高分子膜の膜厚は下記表3の通りである。
【表3】

【0036】
[実施例8]
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)の代わりにポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)とポリエチレングリコールメタクリレート(分子量:475;アルドリッチ社製)の混合物(モル比1:3、合計量2g)とする以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た。
【0037】
[実施例9]
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)の代わりにポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:550;アルドリッチ社製)とする以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品9という)。
【0038】
[実施例10]
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)に対してトリメチロールプロパントリメタクリレート(アルドリッチ社製)を25重量%添加し、溶媒としてエタノールの代わりに、重量比で5:1のメタノールと水の混合溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品10という)。
【0039】
[実施例11〜12]
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:750;アルドリッチ社製)に対してトリメチロールプロパントリメタクリレート(アルドリッチ社製)を25、50重量%添加する以外は、実施例1と同様にして目的の高分子膜を得た(以下、本発明品11、12という)。
【0040】
[比較例]
PAMAMデンドリマーを加えない以外は実施例1と同様にして高分子膜を得た(以下、比較品という)。得られた高分子膜の膜厚は0.48mmであった。
【0041】
[試験例1]二酸化炭素と水素の分離試験
実施例1〜7、9〜12および比較例で得た高分子膜(本発明品1〜7、9〜12および比較品)を用いてCO分離能を測定した。すなわち、該高分子膜に混合ガス(二酸化炭素ガス5%、水素ガス95%)を供給し、分離膜を透過したガスの透過速度QCO2およびQH2(m(STP)/msPa)を下記条件でガスクロマトグラフィーと流量計を用いて測定し、下記式に従って透過係数を算出し、該透過係数から選択性α=PCO2/PH2を算出した。その結果を表4に示す。
【数2】

(式中、Qは透過速度、lは膜厚、Aは膜面積、tは時間、Δpは供給側分圧と透過側分圧の差を意味する。)
【0042】
<ガス透過測定装置の設定条件>
供給ガス量:約100ml/分、
測定温度:25℃、
供給ガス組成:CO/H=5/95(vol/vol)、
透過側循環ガス:He(乾燥)、
相対湿度:80%、
圧力:供給側;100kPa、透過側;0kPa
<ガスクロマトグラフィー分析条件>
製品:GC390B(ツクバリカセイキ社製)
Heキャリアーガス量:約10ml/分、
カラム1: シリコ 1/8 inch×4m/MS/シリコ 1/8 inch×2m
カラム2: ユニビーズ 2S 1/8 inch×4m
【0043】
【表4】

表中、QCO2とQH2、およびPCO2とPH2の単位はそれぞれm(STP)/msPaとm(STP)m/msPaである。また、供給ガス圧力の単位はMPaである。
【0044】
以上の結果から、本発明の高分子膜は優れたガス分離能を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の高分子膜は、二酸化炭素を他のガスから分離するための用途に使用されるものであり、例えば、火力発電所、鉄鋼プラントなどで発生する燃焼排ガスからのCO分離などにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、ポリエチレングリコールジメタクリレートとポリエチレングリコールメタクリレートを重合させて得られる高分子重合体を用いた場合の高分子膜の概略図である。
【図2】図2は、ガス分離装置の概略図である。図中、GCはガスクロマトグラフィーを意味する。
【符号の説明】
【0047】
1 上記式(1)または式(2)で示される基を有するアミン化合物
2 高分子膜
3 ガス透過セル
4 温湿度計
5 加湿器
6 恒温槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能重合性単量体を重合させて得られる高分子重合体内に、式(1)
【化1】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基、または式(2)
【化2】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基を有するアミン化合物が固定化されてなることを特徴とする高分子膜。
【請求項2】
アミン化合物が、ポリアミドアミン系デンドリマーである請求項1に記載の高分子膜。
【請求項3】
ポリアミドアミン系デンドリマーが、式
【化3】

からなる群から選ばれる少なくとも1以上の第0世代デンドリマー、またはこれらに対応する第1〜5世代デンドリマーである請求項2に記載の高分子膜。
【請求項4】
多官能重合性単量体が、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類、多官能ビニルエーテル類およびジビニルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の高分子膜。
【請求項5】
多官能(メタ)アクリレート類が、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類またはテトラ(メタ)アクリレート類である請求項4に記載の高分子膜。
【請求項6】
ジ(メタ)アクリレート類が、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項5に記載の高分子膜。
【請求項7】
高分子重合体が、多官能重合性単量体に単官能重合性単量体を加えて重合させて得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子膜。
【請求項8】
単官能重合性単量体が、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類、単官能ビニル化合物類および単官能α,β−不飽和化合物類からなる群から選ばれる1種以上である請求項7に記載の高分子膜。
【請求項9】
単官能(メタ)アクリレート類が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールメタクリレートおよびポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項8に記載の高分子膜。
【請求項10】
単官能重合性単量体がポリエチレングリコールメタクリレートであり、多官能重合性単量体がポリエチレングリコールジメタクリレートである請求項7〜9のいずれかに記載の高分子膜。
【請求項11】
該高分子膜が、ガス分離膜である請求項1〜10のいずれかに記載の高分子膜。
【請求項12】
式(1)
【化4】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基、または式(2)
【化5】

(式中、Aは炭素数1〜3の二価有機残基を示し、nは0または1の整数を示す。)
で示される基を有するアミン化合物の存在下に、多官能重合性単量体を重合反応させて生成する高分子重合体内に上記アミン化合物を固定化させることを特徴とする高分子膜の製造方法。
【請求項13】
アミン化合物が、ポリアミドアミン系デンドリマーである請求項12に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項14】
ポリアミドアミン系デンドリマーが、式
【化6】

からなる群から選ばれる少なくとも1以上の第0世代デンドリマー、またはこれらに対応する第1〜5世代デンドリマーである請求項13に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項15】
多官能重合性単量体が、多官能(メタ)アクリルアミド類、多官能(メタ)アクリレート類、多官能ビニルエーテル類およびジビニルベンゼンからなる群から選ばれる1種以上である請求項12〜14のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
【請求項16】
多官能(メタ)アクリレート類が、ジ(メタ)アクリレート類、トリ(メタ)アクリレート類またはテトラ(メタ)アクリレート類である請求項15に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項17】
ジ(メタ)アクリレート類が、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項16に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項18】
重合反応における重合成分として、多官能重合性単量体と単官能重合性単量体とを併用することを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
【請求項19】
単官能重合性単量体が、単官能(メタ)アクリルアミド類、単官能(メタ)アクリレート類、単官能ビニルエーテル類、単官能N−ビニル化合物類、単官能ビニル化合物類および単官能α,β−不飽和化合物類からなる群から選ばれる1種以上である請求項18に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項20】
単官能重合性単量体がポリエチレングリコールメタクリレートであり、多官能重合性単量体がポリエチレングリコールジメタクリレートであるである請求項18または19に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項21】
重合反応が、光重合反応である請求項12〜20のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
【請求項22】
重合反応が、熱重合反応である請求項12〜20のいずれかに記載の高分子膜の製造方法。
【請求項23】
光重合反応を光重合開始剤の存在下に行う請求項21に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項24】
熱重合反応を熱重合開始剤の存在下に行う請求項22に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項25】
光重合開始剤が1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである請求項23に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項26】
熱重合開始剤がアゾビスイソブチロニトリルである請求項24に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項27】
さらに、増感剤の存在下に重合反応を行う請求項23または25に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項28】
増感剤が三級アミンである請求項27に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項29】
三級アミンがトリエタノールアミンである請求項28に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項30】
二酸化炭素を含む混合ガスを、請求項1〜11のいずれかに記載の高分子膜に接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を選択的に透過させる工程を含むことを特徴とする二酸化炭素の分離方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−185118(P2009−185118A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23854(P2008−23854)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(591178012)財団法人地球環境産業技術研究機構 (153)
【Fターム(参考)】