説明

高分子電解質膜

【課題】プロトン伝導性が十分高く、かつ吸水線膨張が小さい高分子電解質膜を提供する。
【解決手段】式(1)によって定義され、小角X線回折装置を用いて測定される膜面方向の周期長Lが52.0nmから64.9nmの範囲にあることを特徴とする高分子電解質膜。
L=λ/(2sin(2θ/2)) (1)
(ここで2θiは膜面方向の散乱角、λ1は膜面方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。)
式(2)によって定義され、小角X線回折装置を用いて測定される異方性kが0.295〜0.440の範囲にある前記記載の高分子電解質膜。
k=(2θi/λ1)/(2θz/λ2) (2)
(ここで2θi、2θzはそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角、λ1、λ2はそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子型燃料電池に用いられる、高分子電解質膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池(以下、「燃料電池」と略記することがある)は、水素と酸素の化学的反応により発電させる発電装置であり、次世代エネルギーの一つとして電気機器産業や自動車産業等の分野において大きく期待されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池は基本的に2つの触媒電極と、電極に挟まれた高分子電解質膜から構成される。燃料である水素は一方の電極でイオン化され、この水素イオン(プロトン)は高分子電解質膜中を拡散した後に他方の電極で酸素と結合する。このとき2つの電極を外部回路で接続していると、電流が流れ、外部回路に電力を供給する。ここで高分子電解質膜は、水素イオンを拡散させると同時に、燃料ガスの水素と酸素を物理的に隔離しかつ電子の流れを遮断する機能を担っている。
【0004】
このようなプロトン伝導性に優れた高分子電解質膜として、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーからなる膜が挙げられ、市販されている(ナフィオン(Nafion)、デュポン社、登録商標)。
【0005】
パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーからなる膜は、水、1−プロパノールおよび2−プロパノールの混合溶媒に溶解させたパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーの溶液をガラス板上の塗布し、25℃で乾燥させて製造されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
固体高分子型燃料電池においては、燃料である水素が酸素と反応して水が生成するため、生成した水で高分子電解質膜が膨潤して寸法が変化する。この吸水線膨張が大きい場合は破損の原因となるため、吸水線膨張の小さい高分子電解質膜が求められていた。
【0007】
そこで、特許文献2には、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーと[2,2−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール]とからなる高分子電解質であって、膜は小角X線回折装置を用いて測定されるクラスター寸法が数nmであり、かつクラスター異方性指数が0.03〜0.30(一般的なクラスターのサイズは数nmから数10nmであり、その範囲において、クラスター異方性指数0.03〜0.3を異方性kに換算すると0.77〜0.97となる。)である高分子電解質膜が、吸水線膨張の小さい高分子電解質膜として提案されているが、十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−199144号公報
【特許文献2】特開2006−185832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明はプロトン伝導性が十分高く、かつ吸水線膨張が小さい高分子電解質膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するため、高分子電解質膜の異方性について鋭意検討した。
【0011】
その結果、高分子電解質膜の小角X線散乱を用いて測定される膜面方向の周期長を一定の範囲とすることにより、プロトン伝導性に優れ、かつ吸水線膨張率が小さい高分子電解質膜となることを見出した。また、高分子電解質膜を含む溶液を流延塗布後の乾燥工程において、温度、湿度をある一定の条件に制御することにより、本発明の高分子電解質膜を製造することができることを見出し、本発明に達した。
【0012】
すなわち本発明は<1>〜<9>を提供する。
<1> 式(1)によって定義され、小角X線回折装置を用いて測定される膜面方向の周期長Lが52.0nmから64.9nmの範囲にあることを特徴とする高分子電解質膜。

L=λ/(2sin(2θ/2)) (1)

(ここで2θiは膜面方向の散乱角、λ1は膜面方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。)
<2> 式(2)によって定義され、小角X線回折装置を用いて測定される異方性kが0.295〜0.440の範囲にある<1>記載の高分子電解質膜。

k=(2θi/λ1)/(2θz/λ2) (2)

(ここで2θi、2θzはそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角、λ1、λ2はそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。)
<3> イオン交換性基を有する重合体を含む、<1>または<2>に記載の高分子電解質膜。
<4> イオン交換性基を有するブロックとイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ少なくとも一つ以上含むブロック共重合体を含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の高分子電解質膜。
<5> 主鎖又は側鎖に芳香族基を有しイオン交換性基を有するブロックと主鎖又は側鎖に芳香族基を有しイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上含むブロック共重合体を含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の高分子電解質膜。
<6> ホスホン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基からなる群から選ばれる1種類以上のイオン交換性基を有するブロックとイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上含むポリアリーレン系ブロック共重合体を含む、<1>〜<5>のいずれかに記載の高分子電解質膜。
<7> <1>〜<6>のいずれかに記載の高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池。
<8> 高分子電解質を含む溶液を基材に塗布し、溶媒を除去することにより高分子電解質膜を得る、高分子電解質膜の製造方法において、該溶媒除去工程を、該工程の雰囲気の比湿H(ただし0≦H≦1)が式(3)を満たす範囲内で保たれ、かつ該工程の雰囲気の摂氏温度Tが式(4)を満たす範囲内で保たれることを特徴とする高分子電解質膜の製造方法。

0.01≦H≦0.0033T−0.2 (3)
60≦T≦160 (4)

<9> 前記の溶媒除去工程において、前記の溶液が実質的に固化するまでの時間内で、該工程の雰囲気の比湿と温度とが実質的に一定に保たれていることを特徴とする高分子電解質膜の<8>記載の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高分子電解質膜は、膜厚方向に高いプロトン伝導度を保持しつつ、吸水膨潤時の優れた構造安定性を示す。このため、水素もしくはメタノールを燃料とする電池、具体的には、家庭用電源向け燃料電池、自動車用燃料電池、携帯電話用燃料電池、パソコン用燃料電池、携帯端末用燃料電池、デジタルカメラ用燃料電池、ポータブルCD、MD用燃料電池、ヘッドホンステレオ用燃料電池、ペットロボット用燃料電池、電動アシスト自転車用燃料電池、電動スクーター用燃料電池等の用途に好適に使用することができる。また、本発明の製造方法によれば、このような本発明の高分子電解質膜を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の燃料電池の断面構成を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について具体的に説明する。
本発明の高分子電解質膜は、式(1)によって定義され、小角X線回折装置を用いて測定される膜面方向の周期長Lが52.0nmから64.9nmの範囲にあることを特徴とする。

L=λ/(2sin(2θ/2)) (1)

(ここで2θiは膜面方向の散乱角、λ1は膜面方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。)
【0016】
その理由は定かではないが、本発明の高分子電解質膜としては、ある種の構造的な異方性を有しているものが好ましい。具体的には、小角X線散乱測定において、式(2)によって定義される異方性kも、高いプロトン伝導性と吸水膨潤時の低い吸水線膨張率と強い相関が見られ、kは0.295〜0.440の範囲にあることが好ましく、0.310〜0.385の範囲にあることがより好ましく、0.350〜0.375の範囲にあることがさらに好ましい。

k=(2θi/λ1)/(2θz/λ2) (2)

ここで、λ1、λ2はそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。
【0017】
また、X線の散乱角は通常2θと呼ばれる(日本化学会編、「実験化学講座 11」、丸善、p.2)ことから、ここで膜面方向、及び膜厚方向の散乱角をそれぞれ2θi及び2θzとあらわす。
【0018】
本発明に係る高分子電解質としては、公知の高分子電解質を適宜用いることができ、イオン交換基を有する重合体からなるものが好ましい。
【0019】
ここで、「イオン交換性基」とは、高分子電解質を膜にして用いたとき、イオン伝導性、特にプロトン伝導性を高分子に付与する機能を有する基であり、「イオン交換性基を有する」とは繰り返し単位当たり有しているイオン交換性基が、概ね平均0.5個以上であることを意味し、「イオン交換性基を実質的に有さない」とは繰り返し単位あたり有しているイオン交換性基が概ね平均0.1個以下であることを意味する。このイオン交換性基は、カチオン交換基(以下、酸性基と呼ぶことがある)、アニオン交換基(以下、塩基性基と呼ぶことがある)のどちらでもよいが、高いプロトン伝導性を実現させる観点からは、カチオン交換基の方が望ましい。
【0020】
また、公知の高分子電解質と非高分子電解質を適宜組み合わせて用いることもできる。また、公知の非高分子電解質と低分子電解質を適宜組み合わせて用いることもできる。このような公知の高分子電解質の中でも、本発明においては少なくとも2相以上にミクロ相分離するものが好適に用いることができる。
【0021】
例えば、イオン交換性基を有する部位と、イオン交換性基を実質的に有さない部位とをそれぞれ一つ以上を有しており、膜に成形したときに、イオン交換性基を有する部位が主に凝集している領域と実質的にイオン交換性基を有さない部位が主に凝集している領域との少なくとも2相にミクロ相分離構造を発現し得るものがあげられる。
【0022】
2相以上のミクロ相分離する高分子電解質として、例えば、イオン交換性基を有するブロックとイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ少なくとも一つ以上含むブロック共重合体を含むものが挙げられ、主鎖又は側鎖に芳香族基を有しイオン交換性基を有するブロックと主鎖又は側鎖に芳香族基を有しイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上含むブロック共重合体を含むものが好ましい。
【0023】
該芳香族基としては例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル基、キノキサリンジイル基、チオフェンジイル基等の2価の芳香族複素環基等が挙げられる。
【0024】
本発明の高分子電解質膜に用いることができる芳香族基を有する化合物からなる高分子電解質は、該芳香族基を主鎖に有していても側鎖に有してもよいが、高分子電解質膜の安定性の観点から、主鎖に有していることが好ましい。該芳香族基を主鎖に有している場合は、芳香環に含まれる炭素、あるいは窒素原子が共有結合することにより高分子主鎖を形成していても、芳香環以外の炭素、あるいはホウ素、酸素、窒素、ケイ素、硫黄、リンなどを介して高分子主鎖を形成していてもよいが、高分子電解質膜の耐水性の観点から、芳香環に含まれる炭素、あるいは窒素原子が共有結合することにより高分子主鎖を形成している、あるいは芳香族基をスルホン基(−SO2−)、カルボニル基(−CO−)、エーテル基(−O−)、アミド基(−NH−CO−)、式($)に示すイミド基を介して高分子鎖を形成している高分子が望ましい。また、イオン交換性基を有するブロックとイオン交換性基を有しないブロックとで同じ種類の高分子主鎖を用いてもよいし、異なる種類の高分子主鎖を用いてもよい。
【0025】

($)
ただし、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基を表す。
【0026】
該イオン交換性基としては、弱酸、強酸、超強酸等の酸性基が挙げられるが、強酸基、超強酸基が好ましい。酸性基の例としては、例えば、ホスホン酸基、カルボン酸基等の弱酸基;スルホン酸基、スルホンイミド基(−SO2−NH−SO2−R。ここでRはアルキル基、アリール基等の一価の置換基を表す。)等の強酸基が挙げられ、中でも、強酸基であるスルホン酸基、スルホンイミド基が好ましく使用される。また、フッ素原子等の電子吸引性基で該芳香環および/またはスルホンイミド基の置換基(−R)上の水素原子を置換することにより、フッ素原子等の電子吸引性基の効果で前記の強酸基を超強酸基として機能させることも好ましい。
【0027】
これらのイオン交換基は、単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を同時に用いてもよい。2種類以上のイオン交換基を用いる場合は、限定されないが異なるイオン交換基を持つ高分子をブレンドしてもよいし、共重合などの方法で高分子中に2種類以上のイオン交換基を有する高分子を用いてもよい。また、イオン交換基は部分的にあるいは全てが、金属イオンや4級アンモニウムイオンなどで交換されて塩を形成していてもよいが、燃料電池用高分子電解質膜などとして使用する際には、実質的に全く塩を形成していない状態であることが好ましい。
【0028】
前段のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換されたアリール基等が挙げられる。
【0029】
本発明に係る高分子電解質のイオン交換性基導入量は用途やイオン交換基の種類に依存するが、一般には、イオン交換容量で表して、2.0meq/g〜10.0meq/gが好ましく、さらに好ましくは2.3meq/g〜9.0meq/gであり、特に好ましくは2.5meq/g〜7.0meq/gである。イオン交換容量が2.0meq/g以上であると、イオン交換性基同士が密接に隣接することとなり、プロトン伝導性がより高くなるので好ましい。一方、イオン交換性基導入量を示すイオン交換容量が10.0meq/g以下であると、製造がより容易であるので好ましい。
【0030】
本発明に係る高分子電解質としては、分子量がポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5000〜1000000であることが好ましく、中でも15000〜400000であることが特に好ましい。
【0031】
上記高分子電解質として具体的には例えば、主鎖構造にフッ素を含むフッ素系高分子電解質や、主鎖構造にフッ素を含まない炭化水素系高分子電解質のいずれも用いることができるが、炭化水素系高分子電解質が好ましい。なお、上記高分子電解質として、フッ素系のものと炭化水素系のものを組み合わせて含有してもよいが、この場合、炭化水素系のものを主成分として含むことが好ましい。
【0032】
上記炭化水素系高分子電解質としては、例えば、ポリイミド系、ポリアリーレン系、ポリエーテルスルホン系、ポリフェニレン系の高分子電解質が挙げられる。これらは、一種を単独で含まれていてもよく、2種以上を組み合わせて含まれていてもよい。
【0033】
上記ポリアリーレン系の炭化水素系高分子電解質の好ましいものの1つは、例えば、ポリアリーレン構造を有するブロック共重合体(以下、「ポリアリーレン系ブロック共重合体」ということがある)である。本発明で用いるポリアリーレン系ブロック共重合体としては、例えば、特開2005−320523号公報、または特開2007−177197号公報に開示されている合成方法を用いて好適に合成することができる。
【0034】
該ポリアリーレン系ブロック共重合体を含む高分子電解質は、いずれも本発明の高分子電解質膜として特に好適に用いることができ、ホスホン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基からなる群から選ばれる1種類以上のイオン交換性基を有するブロックとイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上含むポリアリーレン系ブロック共重合体を含む高分子電解質は、本発明の高分子電解質膜として用いた場合に吸水線膨張が小さくなるので、とりわけ特に好適に用いることができる。
【0035】
次に、該ポリアリーレン系ブロック共重合体を例にして、該高分子電解質を燃料電池等の電気化学デバイスのプロトン伝導膜として使用する場合について説明する。プロトン伝導膜への適用は該ポリアリーレン系ブロック共重合体に限定されない。
【0036】
この場合は、ポリアリーレン系ブロック共重合体は、通常、膜の形態で使用され、膜に成形(製膜)する方法としては、後述するようなある特定の雰囲気下で溶液状態より製膜する方法(溶液キャスト法)を用いると好適な高分子電解質膜が得られ易くなる傾向にある。
【0037】
具体的には、本発明のポリアリーレン系ブロック共重合体を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。製膜に用いる溶媒は、ポリアリーレン系高分子が溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等がポリマーの溶解性が高く好ましい。
【0038】
塗布工程における高分子電解質を含む溶液の基材上への塗布は、流延塗布以外にも、例えば、キャスト法、ディップ法、グレードコート法、スピンコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、インクジェット法等により行うことができ、流延塗布が好ましい。
【0039】
溶液を塗布する基材の材質としては、化学的に安定であり、また用いる溶媒に対して不溶であるものが好ましい。さらに、基材としては、高分子電解質膜が形成された後に、得られた膜を容易に洗浄でき、しかもこの膜の剥離が容易であるようなものがより好ましい。このような基材としては、例えば、ガラス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)からなる板やフィルム等が挙げられる。
【0040】
また、溶媒除去工程における雰囲気の温度は、溶媒の凝固点の温度以上であって溶媒の沸点よりも50℃高い温度以下の温度とすることが好ましい。溶媒除去工程の雰囲気の温度条件がこの範囲以下であると、溶媒の蒸発が極めて生じ難くなる。一方、この範囲を超えると、溶媒の不均一な蒸発が生じ、高分子電解質膜の外観が悪化したりする傾向にある。したがって、該温度は、このような好適な温度範囲内に保たれるように設定することが好ましい。
【0041】
良好な構成を有する高分子電解質膜をより容易に得る観点からは、溶媒除去工程における温度の上限は、溶媒の沸点よりも10℃低い温度とすることが好ましく、溶媒の沸点よりも20℃低い温度とすることがより好ましい。また、下限は、溶媒の凝固点より40℃高い温度とすることが好ましい。例えば、溶媒がジメチルスルホキシドである場合は、溶媒除去工程の温度範囲は、60〜160℃とすることが好ましく、65〜140℃とすることがより好ましく、70〜120℃とすることが更に好ましく、80〜110℃とすることが特に好ましい。
【0042】
溶媒除去工程における雰囲気の湿度条件は、該溶媒除去工程の温度に応じて比湿H(ただし、0≦H≦1)で決めることができる。
該工程の雰囲気の比湿Hが式(3)を満たす範囲内で保たれ、かつ該工程の雰囲気の摂氏温度Tが式(4)を満たす範囲内で保たれることが好ましい。さらに好ましくは比湿Hが式(3)を満たす範囲内で、摂氏温度Tが式(4)を満たす範囲内で一定に保たれることがさらに好ましい。

0.01≦H≦0.0033T−0.2 (3)
60≦T≦160 (4)

比湿とは単位質量の湿潤空気中に含まれる水蒸気の量をいい、ここでは1kgの空気中の水蒸気の量をkg単位で表す。
【0043】
溶媒除去工程の雰囲気の比湿がこの上限を超えると、高分子電解質膜の吸水時の線膨張が大きくなる傾向にある。一方、この下限を下回ると厚み方向のイオン伝導度が低下する傾向にある。したがって、該比湿は、このような好適な範囲内に保たれるように設定されることが好ましい。
【0044】
上述の溶媒除去工程における雰囲気の制御は、溶媒除去工程のうち、基材に流延塗布された高分子電解質を含んだ溶液が実質的に固化するまでの間に実施されることが好ましい。ここで実質的に固化するとは、該基材を傾けても該溶液が実質的に流れはじめないということである。
【0045】
上述の溶媒除去工程における雰囲気の制御は、用いられる高分子電解質、溶媒、基材、該工程に用いる装置に応じて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で制御方法を変えることができる。
【0046】
高分子電解質の種類にもよるが本発明の高分子電解質膜の好適な厚さは、10〜300μmである。この厚さが10μm以下であると、実用に十分な強度を有し易くなる。また、300μm以下であると、膜抵抗が小さくなり、燃料電池に適用した場合により高い出力が得られるようになる傾向にある。高分子電解質膜の膜厚は、上述した製造方法において、溶液を塗布する際の塗布厚を変えることによって調節することができる。
【0047】
(燃料電池)
次に、好適な実施形態の燃料電池について説明する。この燃料電池は、上述した実施形態の高分子電解質膜を備えるものである。
【0048】
図1は、本実施形態の燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。図1に示すように、燃料電池10は、上述した好適な実施形態の高分子電解質膜からなる高分子電解質膜12(プロトン伝導膜)の両側に、これを挟むように触媒層14a,14b、ガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18bが順に形成されている。高分子電解質膜12と、これを挟む一対の触媒層14a,14bとから、膜−電極接合体(以下、「MEA」と略す)20が構成されている。
【0049】
高分子電解質膜12に隣接する触媒層14a,14bは、燃料電池における電極層として機能する層であり、これらのいずれか一方がアノード電極層となり、他方がカソード電極層となる。かかる触媒層14a,14bは、触媒を含む触媒組成物から構成されるものであり、上述した実施形態の高分子電解質を含むものであると更に好適である。
【0050】
触媒としては、水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、例えば、貴金属、貴金属合金、金属錯体、金属錯体を焼成してなる金属錯体焼成物等が挙げられる。なかでも、触媒としては、白金の微粒子が好ましく、触媒層14a,14bは、活性炭や黒鉛等の粒子状または繊維状のカーボンに白金の微粒子が担持されてなるものであってもよい。
【0051】
ガス拡散層16a,16bは、MEA20の両側を挟むように設けられており、触媒層14a,14bへの原料ガスの拡散を促進するものである。このガス拡散層16a,16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されるものが好ましい。例えば、多孔質性のカーボン不織布やカーボンペーパーが、原料ガスを触媒層14a,14bへ効率的に輸送することができるため、好ましい。
【0052】
これらの高分子電解質膜12、触媒層14a,14b及びガス拡散層16a,16bから膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)が構成されている。このようなMEGAは、例えば、以下に示す方法により製造することができる。すなわち、まず、高分子電解質を含む溶液と触媒とを混合して触媒組成物のスラリーを形成する。これを、ガス拡散層16a,16bを形成するためのカーボン不織布やカーボンペーパー等の上にスプレーやスクリーン印刷方法により塗布し、溶媒等を蒸発させることで、ガス拡散層上に触媒層が形成された積層体を得る。そして、得られた一対の積層体をそれぞれの触媒層同士が対向するように配置し、これらの間に高分子電解質膜12を配置して、これらを圧着する。こうして、上述した構造のMEGAが得られる。なお、ガス拡散層上への触媒層の形成は、例えば、所定の基材(ポリイミド、ポリ4フッ化エチレン等)の上に触媒組成物を塗布・乾燥して触媒層を形成した後、これをガス拡散層に熱プレスで転写することにより行うこともできる。
【0053】
セパレータ18a,18bは、電子伝導性を有する材料で形成されており、かかる材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレス等が挙げられる。かかるセパレータ18a,18bは、図示しないが、触媒層14a,14b側に、燃料ガス等の流路となる溝が形成されていると好ましい。
【0054】
そして、燃料電池10は、上述したようなMEGAを、一対のセパレータ18a,18bで挟み込み、これらを接合することによって得ることができる。
【0055】
なお、燃料電池は、必ずしも上述した構成を有するものに限られず、適宜異なる構成を有していてもよい。例えば、上記燃料電池10は、上述した構造を有するものを、ガスシール体等で封止したものであってもよい。さらに、上記構造の燃料電池10は、直列に複数個接続して、燃料電池スタックとして実用に供することもできる。そして、このような構成を有する燃料電池は、燃料が水素である場合は固体高分子形燃料電池として、また燃料がメタノール水溶液である場合は直接メタノール型燃料電池として動作することができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態について説明を行ったが、本発明は必ずしもこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
(高分子電解質の合成)
(合成例1)
国際公開番号WO2007/043274号公報記載の実施例7、実施例21記載の方法を参考にして、スミカエクセルPES 5200P(住友化学株式会社製)を使用して合成した、下記

で示される繰り返し単位からなる、スルホン酸基を有するセグメントと、下記



で示される、イオン交換基を有さないセグメントとを有するブロック共重合体1(イオン交換容量=2.39meq/g、Mw=290000、Mn=140000)を得た。
(膜厚方向の伝導度の測定)
【0059】
本検討で用いた高分子電解質膜について、以下に示す方法に従ってその膜厚方向のイオン伝導度を測定した。まず、1cm2の開口部を有するシリコンゴム(厚さ200μm)の片面にカーボン電極を貼り付けた測定用セルを2つ準備し、これらをカーボン電極同士が対向するように配置した。そして、測定用セルに直接インピーダンス測定装置の端子を接続した。
【0060】
測定用セル間に高分子電解質膜を挟み、測定温度23℃で2つの測定用セル間の抵抗値を測定した。続いて、高分子電解質膜を取り除いた状態で再び抵抗値を測定した。
【0061】
高分子電解質膜を有する状態で得られた抵抗値と、高分子電解質膜を有さない状態とで得られた抵抗値とを比較し、これらの抵抗値の差に基づいて高分子電解質膜の膜厚方向の抵抗値を算出した。そして、このようにして得られた膜厚方向の抵抗値から、膜厚方向のイオン伝導度を求めた。なお、測定は、高分子電解質膜の両側に1mol/Lの希硫酸を接触させた状態で行った。
【0062】
(膜面方向の散乱角2θiの測定方法)
高分子電解質膜を直径1cmの円形に切り出し、充分な信号強度が得られる枚数を重ねて試料ホルダに保持した。X線ミラーにより単色化したCuKα線(波長λ1:1.54Å)を用いて90分間、イメージングプレートで2次元散乱パターンを記録した。得られた2次元散乱パターンから全方向の強度プロファイルを作成し、その積分をした。得られた1次元の散乱パターンからバックグラウンドの信号を除去し、それ以外の領域で信号が極大を示し、且つその強度が最大の散乱角から膜面方向の散乱角2θiを得た。
ここで、0.08°以下の信号はバックグラウンドの信号であるため除去した。
【0063】
(周期長の計算方法)
得られた2θiを式(1)に適用し、膜面方向の周期長Lを得た。
L=λ/(2sin(2θ/2)) (1)
ここで、λ1は膜面方向の散乱角を測定する場合のX線の波長であり、2θiは膜面方向の散乱角をあらわす。
【0064】
(膜厚方向の散乱角2θzの測定方法)
高分子電解質膜について放射光小角X線散乱装置SAXSによる高次構造の測定、解析を行った。ビームラインは高エネルギー加速器研究機構のBL−15Aを使用した。試料フィルムを長さ数cm、幅1mmに切り出し測定に用いた。X線ビームが膜断面に垂直に入射するように試料ホルダに保持した。試料中を通過するX線の光路長は1mmである。試料にX線を照射し(波長λ2:1.47Å)、実験ハッチの外からゴニオメーターを遠隔制御して測定に最適な位置を決定した。使用したX線エネルギーは8keV、露光時間は6分間、検出器にはイメージングプレートを用いて2次元散乱パターンを記録した。得られた2次元散乱パターンから子午線方向の強度を取り出し、1次元の強度プロファイルを作成した。得られた強度プロファイルから、試料を入れない場合のプロファイルを引き、1次元のプロファイルを得た。得られたプロファイルにおいて信号強度が極大を示し、且つその強度が最大の角度を散乱角2θzとした。
また、0.115°以下の信号はバックグラウンドの信号であるため除去した。
【0065】
(異方性kの計算方法)
得られた散乱角を式(2)に適用し、異方性kを得た。

k=(2θi/λ1)/(2θz/λ2) (2)

2θi、2θzはそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角、λ1、λ2はそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。
【0066】
(吸水線膨張係数の測定)
得られた高分子電解質膜を一辺3cmの正方形に切断する。その正方形の中心に一辺2cmの正方形に印を付けた。その膜を80℃の水に1時間吸水膨潤させたときの印間の距離(Lw)とその後、80℃の空気下で1時間乾燥させた後、温度23℃、相対湿度50%で2時間放冷させたときの印間の距離(Ld)を測定し、以下のように計算して求めた。

寸法変化率[%]=(Lw−Ld)÷Ld×100[%] (13)
【0067】
(実施例1)
合成例1に準拠して合成された高分子電解質をジメチルスルホキシドに溶解して、濃度が10重量%の溶液を調製した。得られた溶液を、基材(東洋紡績社製社製PETフィルム、E5000グレード厚さ100μm)を用いて、温度100℃、比湿0.091kg/kgの条件下で約30μmの高分子電解質膜を作製した。この膜を2N硫酸に2時間浸漬後、再度イオン交換水で水洗せしめて、更に風乾することで、伝導膜1を作製した。製膜された伝導膜1の小角X線散乱測定の結果、膜厚方向、膜面方向の散乱角2θ、2θがそれぞれ0.440°、0.145°であり、膜面方向の周期長Lは60.9nm、異方性kは0.315であった。プロトン伝導度は0.109S/cmであり、吸水膨潤時の寸法変化率は4.1%であった。
【0068】
(実施例2)
温度を80℃、比湿を0.055kg/kgとした以外は実施例と同様に実験を行い伝導膜2を作製した。製膜された伝導膜2の小角X線散乱測定の結果、膜厚方向、膜面方向の散乱角2θ、2θがそれぞれ0.370°、0.140°であり、膜面方向の周期長Lは63.0nm、異方性kは0.361であった。プロトン伝導度は0.101S/cmであり、吸水膨潤時の寸法変化率は3.6%であった。
【0069】
(実施例3)
温度を90℃、比湿を0.045kg/kgとした以外は実施例と同様に実験を行い伝導膜3を作製した。製膜された伝導膜3の小角X線散乱測定の結果、膜厚方向、膜面方向の散乱角2θ、2θがそれぞれ0.450°、0.140°であり、膜面方向の周期長Lは63.0nm、異方性kは0.297であった。プロトン伝導度は0.094S/cmであり、吸水膨潤時の寸法変化率は3.8%であった。
【0070】
(比較例1)
温度を80℃、比湿を0.103kg/kgとした以外は実施例と同様に実験を行い比較膜1を作製した。製膜された比較膜1の小角X線散乱測定の結果、膜厚方向、膜面方向の散乱角2θ、2θがそれぞれ0.365°、0.170°であり、膜面方向の周期長Lは51.9nm、異方性kは0.445であった。プロトン伝導度は0.146S/cmであり、吸水膨潤時の寸法変化率は30%であった。
【0071】
(比較例2)
温度を80℃、比湿を0.002kg/kgとした以外は実施例と同様に実験を行い、比較膜2を作製した。製膜された比較膜2の小角X線散乱測定の結果、膜厚方向、膜面方向の散乱角2θ、2θがそれぞれ0.445°、0.135°であり、膜面方向の周期長Lは65.4nm、異方性kは0.290であった。プロトン伝導度は0.081S/cmであり、吸水膨潤時の寸法変化率は3.2%であった。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【符号の説明】
【0074】
10 燃料電池
12 プロトン伝導膜
14a 触媒層
14b 触媒層
16a ガス拡散層
16b ガス拡散層
18a セパレータ
18b セパレータ
20 膜−電極接合体(MEA)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)によって定義され、小角X線回折装置を用いて測定される膜面方向の周期長Lが52.0nmから64.9nmの範囲にあることを特徴とする高分子電解質膜。

L=λ/(2sin(2θ/2)) (1)

(ここで2θiは膜面方向の散乱角、λ1は膜面方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。)
【請求項2】
式(2)によって定義され、小角X線回折装置を用いて測定される異方性kが0.295〜0.440の範囲にある請求項1記載の高分子電解質膜。

k=(2θi/λ1)/(2θz/λ2) (2)

(ここで2θi、2θzはそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角、λ1、λ2はそれぞれ膜面方向及び膜厚方向の散乱角を測定する場合のX線の波長を表す。)
【請求項3】
イオン交換性基を有する重合体を含む、請求項1または2に記載の高分子電解質膜。
【請求項4】
イオン交換性基を有するブロックとイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ少なくとも一つ以上含むブロック共重合体を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質膜。
【請求項5】
主鎖又は側鎖に芳香族基を有しイオン交換性基を有するブロックと主鎖又は側鎖に芳香族基を有しイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上含むブロック共重合体を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質膜。
【請求項6】
ホスホン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基からなる群から選ばれる1種類以上のイオン交換性基を有するブロックとイオン交換性基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上含むポリアリーレン系ブロック共重合体を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質膜。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池。
【請求項8】
高分子電解質を含む溶液を基材に塗布し、溶媒を除去することにより高分子電解質膜を得る、高分子電解質膜の製造方法において、該溶媒除去工程を、該工程の雰囲気の比湿H(ただし0≦H≦1)が式(3)を満たす範囲内で保たれ、かつ該工程の雰囲気の摂氏温度Tが式(4)を満たす範囲内で保たれることを特徴とする高分子電解質膜の製造方法。

0.01≦H≦0.0033T−0.2 (3)
60≦T≦160 (4)
【請求項9】
前記の溶媒除去工程において、前記の溶液が実質的に固化するまでの時間内で、該工程の雰囲気の比湿と温度とが実質的に一定に保たれていることを特徴とする高分子電解質膜の請求項8記載の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−245936(P2009−245936A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56099(P2009−56099)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】