説明

高分解能信号処理装置および高分解能信号処理方法

【課題】従来の高分解能信号処理は、距離や角度等の所望の諸元を精度良く算出できるが処理負荷が大きく、実装ではメモリや演算回路のコストが大きくなり、演算精度を落とすと、桁落ちやオーバーフローが発生し、解が期待値からずれるため、高分解能処理で生じる演算結果のずれを補正し、正確な演算結果を得る。
【解決手段】受信した時間次元の信号を時間方向フーリエ変換部で周波数次元にフーリエ変換し、周波数次元の信号から、所望信号検出部で検出した所望の信号を用い、共分散行列生成部で高分解能処理用共分散行列を生成し、高分解能処理部で、共分散行列を入力として算出した所望信号の到来角度を、信号対雑音比と算出角度に対する補正値の対応を格納する補正処理用データベースを参照して、信号対雑音比計算部で計算した所望信号の信号対雑音比をもとに、補正処理部で補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は受信素子で受信した信号から、共分散行列を生成し、受信信号の到来角度または受信信号の発生源との距離を高分解能処理によって算出する高分解能信号処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の受信素子から構成される受信装置を持つ信号処理装置において、所望信号の到来角度や信号源までの距離を高い分解能で算出する方法として、非特許文献1のMUSIC(Multiple Signal Classification)や非特許文献2のESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)といった高分解能信号処理アルゴリズムが知られている。この高分解能信号処理アルゴリズムを用いると、受信信号に異なる発生源からの複数の波の情報が混在する、いわゆる多重波環境となる場合においても、複数の波を分離して発生源までの距離や角度を算出することができる。これらのアルゴリズムは超分解能処理とも呼ばれている。
【0003】
この超分解能処理(高分解能信号処理アルゴリズム)は、距離や角度といった所望の諸元を精度良く算出することができるが、一方、行列の固有値展開や逆行列算出といった処理負荷の大きい演算を伴う。加えて、高分解能信号処理では、解の精度を落とさないように、倍精度などの高い演算精度を用いて処理を実現しようとすることがしばしばであり、この傾向は、とりわけ、実装段階前のシミュレーションによる検討段階において甚だしい。
一方、実装では、高い演算精度を用いると、メモリや演算回路のコストが大きくなる。これを避けるために行われる方法の1つに、演算精度を落として単精度や固定小数点数で実装する方法が挙げられる。しかし、演算精度を落とす場合、桁落ちやオーバーフローが発生し、得られる解が期待値からずれてしまう。
【0004】
また、従来、アンテナや増幅器などのアナログ処理部をフロントエンドにもつシステムにおいては、アナログ部分の特性によって生じるずれや誤差を補正する技術があり、例えば、特許文献1では、非回転対称性アンテナによって生じるバイアス誤差を補正するアイディアが示されている。しかしながら、この特許に示されるような補正技術はアナログ部分をターゲットとしたものであり、ディジタルシステム後段の演算で生じるずれを考慮しておらず、これらの技術をもってしてもディジタルシステムの演算で生じるずれは補正できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-82664号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】R. O. Schmidt, “Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation”, IEEE Trans, vol.AP-34, No.3, pp.276-280, March, 1986
【非特許文献2】R. Roy and T. Kailath, “ESPRIT - Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques”, IEEE Trans, vol.ASSP-37, pp.984-995, Jul. 1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように従来の高分解能信号処理は、距離や角度といった所望の諸元を精度良く算出することができる反面、処理負荷の大きい演算が伴い、算出値の精度を落とさないために、倍精度などの高い演算精度を用いて処理することがしばしばある。
一方、実装では、高い演算精度を用いると、メモリや演算回路のコストが大きくなるので、演算精度を落とし、単精度や固定小数点数で実装する方法が考えられるが、演算精度を落とすと、桁落ちやオーバーフローが発生し、演算結果である解が期待値からずれてしまう問題点がある。
【0008】
また、特許文献1に示されるアナログ部分の特性によって生じるずれや誤差を補正する従来技術は、アナログ部分をターゲットとしたもので、ディジタルシステム後段の演算で生じるずれは考慮されておらず、この技術を用いてもディジタルシステムでの演算で生じるずれは補正できない。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、高分解能処理の演算精度によって生じる演算結果へのずれを補正し、より正確な演算結果を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る高分解能信号処理装置は、
受信信号から、共分散行列を生成し、倍精度よりも演算精度の低い高分解能処理によって受信信号の到来角度または受信信号の発生源との距離を算出する高分解能信号処理装置において、
受信した時間次元の信号をフーリエ変換し、周波数次元に変換する時間方向フーリエ変換部、
周波数次元の信号の中から、周波数次元において所定条件を満たす所望の信号を検出する所望信号検出部、
検出した所望信号を用いて、高分解能処理用の共分散行列を生成する共分散行列生成部、
共分散行列を入力として、高分解能に所望信号の到来角度又は受信信号の発生源との距離を算出する高分解能処理部、
所望信号の信号対雑音比を計算する信号対雑音比計算部、
信号対雑音比と算出角度又は受信信号の発生源との算出距離に対する補正値の対応を格納する補正処理用データベース、
補正処理用データベースを参照し、高分解能処理部の算出角度又は受信信号の発生源との算出距離を補正する補正処理部を備える。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る高分解能信号処理装置によれば、
高分解能処理による算出値のずれを、予め算出された信号対雑音比と算出値に対する補正値の対応を格納する補正処理用データベースを参照して、補正処理部により補正を行うことで、演算精度の低い演算を実施する場合において、演算精度による演算結果への影響を修正することができ、演算精度の高い演算を実施して得られる結果と同等の結果を得ることができる。
また、低い演算精度を用いることができるため、高い演算精度を用いる場合と比べて実装回路の規模を小さくすることができ、実装コストを抑えることが可能で、扱う1つ1つのデータの量を小さくできるため、データの読み出しや書き出しにおける速度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1を示す高分解能信号処理装置の構成図である。
【図2】従来の高分解能信号処理装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための形態の詳細な説明をする前に、図2を参照して従来の一般的な高分解能信号処理を用いた測角処理装置について説明する。
アナログ処理部11は、信号の受信アンテナ、周波数変換器、周波数フィルター、増幅器によって構成され、アナログ信号を処理しA/D変換するための信号を生成する。A/D変換部12は、アナログ処理部11で処理したアナログ信号をディジタル信号に変換する。時間方向フーリエ変換部13は、時間次元の受信信号を周波数次元に変換する。ピーク検出部14は、振幅または強度においてピークとなる信号を検出する。共分散行列生成部15は、検出したピークに対応する時間フーリエ変換後の周波数次元の信号を用いて、高分解能信号処理の入力となる共分散行列を生成する。高分解能処理部16は共分散行列によって信号の発生源の角度を算出する。
【0014】
図2に示した、処理装置を用いる方法では低い演算精度で演算した場合の演算誤差を生じないようにするため、高い演算精度を用いていた。ここで倍精度のような高い演算精度での演算は行わず、より低い演算精度、例えば固定小数点数を用いた演算を行うことで、メモリや回路規模といった実装にかかるコストを抑えることができる。
しかしながら、前述したように、図2に示す従来の一般的な高分解能処理装置の各処理部において低い演算精度での演算を適用すると、固有値展開や逆行列算出といった反復演算を行う複雑な行列演算によって構成される高分解能処理部16はもちろんのこと、共分散行列生成部15での共分散行列生成までの処理で桁落ちが生じると、後段の高分解能処理部16での処理はさらにその影響をうけ、算出された値が期待値からずれる。
【0015】
そこで、共分散行列生成部15での共分散行列生成までの処理を対象とし、演算精度の結果への影響を確認するために、シミュレーションを行った。シミュレーションでは、高分解能処理部16は、高分解能アルゴリズムの1つである、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)を用いた測角処理とした。
シミュレーションのために、図2のA/D変換部12から共分散行列算出部15までを、倍精度と固定小数点数のそれぞれを用いて実装した2通りのシミュレータを用意した。入力データは、受信点での信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio, 以後の記述ではS/N比と記載する)を変え、また各S/N比において複数個の入力データを用意した。そして各S/N比の入力データに対するシミュレーションを行い、結果の平均値と標準偏差を算出した。
【0016】
上記のシミュレーションの結果から以下の知見を得た。
(1).演算精度に倍精度を用いた場合は、想定したS/N比の範囲において、平均値は真値とほぼ一致し、標準偏差はS/N比が小さくなるにつれて大きくなる。一方、固定小数点数を用いた場合は、平均値はS/N比が高い場合は真値とほぼ一致するが、S/N比が低くなるにつれて徐々に真値からずれる。標準偏差は、S/N比が高い場合は倍精度を用いた場合の標準偏差とほぼ一致し、S/N比が小さくなるにつれて、倍精度を用いた場合の標準偏差よりも徐々に大きくなる。
【0017】
(2).演算精度の高い倍精度での演算結果と演算精度の低い固定小数点数での演算結果を比べると、S/N比が小さくなると、算出される値に徐々にずれが生じる。このずれが大きくなるのは受信信号のS/N比が小さい場合であるが、S/N比が小さい受信信号は雑音に起因するゆらぎの効果から、もともと、算出される値の誤差が大きい。その誤差がずれよりも大きい場合には、算出される値のずれは表面化しない。
【0018】
(3).誤差は雑音によって生じるが、ずれは演算精度によって生じるものであり、さらに、標準偏差は固定小数点数演算を用いても倍精度演算を用いた結果と比べて、S/N比が著しく小さい場合を除き、大きな差異が生じない。その場合は、演算精度に起因するずれを補正することで、固定小数点数演算によって得られる結果は倍精度演算によって得られる結果とほぼ一致させることができる。
【0019】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1では、前述の知見を基に、算出した値と真値とのずれに対し補正処理を行う構成をとる。その構成を図1に示す。図1において、21はアナログ(RF)処理部、22はA/D変換部、23は時間方向フーリエ変換部、24はピーク検出部、25は共分散行列生成部、26は高分解能処理部、27はS/N比算出部、28は補正処理用データベース、29は補正処理部である。
アナログ処理部21、A/D変換部22、時間方向フーリエ変換部23、ピーク検出部24、共分散行列生成部25は図2に示す従来の一般的な高分解能信号処理を用いた測角処理装置と略同様な構成であり、同様な動作を行う。
【0020】
図1の構成における処理の流れを説明する。アナログ処理部21からピーク検出部24までは、図2に示す従来の一般的な高分解能信号処理の測角処理装置と同一の動作をする。S/N比算出部27はピーク検出部24で検出されたピークとなる信号のS/N比を算出する。共分散行列生成部25と高分解能処理部26は、それぞれ図2の共分散行列生成部15、高分解能処理部16と同じような動作するが、それぞれの出力はS/N比算出部27で算出したS/N比も合わせて出力する。補正処理部29は、高分解能処理部26の出力した算出角度とS/N比を入力とし、補正処理用データベース28を参照して、補正値を算出角度に適用し、補正した角度を出力する。補正処理用データベース28は、S/N比とS/N比に対応する高分解能処理で算出した角度に対する補正値をテーブルとして保持する。補正値は、各S/N比における複数の入力データに対する前述シミュレーションの結果で得られたずれの値の正負の符号を反転させた値とし、前もってテーブルに保存しておくものとする。
【0021】
また、補正処理用データベースは、信号対雑音比と算出角度に対する標準偏差値も格納し、補正処理部は、この標準偏差値を補正後の値と共に出力してもよい。
標準偏差値は、補正値の精度、即ち信頼度を表し、この情報を後段の追尾などの処理に活用することができる。
【0022】
実施の形態1における効果
このように、ずれの補正を行う機構をもつことで、演算精度の低い演算を実施する場合において、演算精度による演算結果への影響を修正することができる。そして、雑音によって生じる誤差は演算精度の高い演算と演算精度の低い演算とで大きく変わらないため、演算精度の高い演算を実施して得られる結果と同等の結果を得ることができる。また、低い演算精度を用いることができるため、高い演算精度を用いる場合と比べて実装回路の規模を小さくすることができ、実装コストを抑えることができ、扱う1つ1つのデータの量を小さくできるため、データの読み出しや書き出しにおける速度を向上することができる。
上記の効果は、高分解能アルゴリズムを用いて解として他の諸元(例えば距離)を求める処理においても同様である。
【0023】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1において、補正処理を適用するS/N比に制限を設け、設定した値よりも高いS/N比のデータに対しては補正処理を適用しない。そのために、図2の補正処理用データベース28は、設定した値よりも低いS/N比に対する補正値のみ保持する。図2の補正処理部29は、設定した値よりも高いS/N比のデータに対しては、補正処理用データベース28を参照せずに、算出角度を出力する。一方、設定した値よりも低いS/N比のデータに対しては、実施の形態1と同様に補正処理用データベース28を参照して、補正処理を施す。
【0024】
実施の形態2における効果
前述シミュレーションの結果で述べたように、高いS/N比においては、低い演算精度を用いても期待値とほぼ一致する結果を得ることができる。よって、前述のように構成し、補正処理部29が補正処理を適用するS/N比に制限を設けることで、高いS/N比のデータに対しては補正処理を省いて結果を出力することができ、補正処理の負荷を抑えることができる。一方、低いS/N比のデータに対しては補正を施すので、S/N比が高いデータから低いデータまで、ずれを修正した所望の結果を得ることができる。
また、補正処理用データベース28は、設定した値よりも低いS/N比に対する補正値のみ保持するので、保持するデータ量を減らすことができ、データの読み出し速度を向上することができる。
上記の効果は、高分解能アルゴリズムを用いて解として他の諸元(例えば距離)を求める処理においても同様である。
【0025】
実施の形態3.
実施の形態3では、補正処理用データベース28では、補正値に対応する、高分解能処理部26の算出値またはS/N比算出部27のS/N比の値の精度を、高分解能処理部26の算出値またはS/N比算出部27の算出値の精度に対して粗くする。
すなわち、補正処理用データベース28に格納される補正対象とする高分解能処理部26の算出値を、各々所定の数値幅を有する算出距離または算出角度ごとに、信号対雑音比と補正値の対応が格納されたデータとする。
また、S/N比算出部27の算出値についても、各々所定の数値幅を有するS/N比ごとに、所定の数値幅を有する算出距離または算出角度ごとと補正値の対応が格納されたデータとする。
【0026】
このように、補正値のもち方を粗くすることにより、データベースで保持するデータの量を低減することができる。これは、高分解能処理結果またはS/N比による補正値の差異が小さい場合に好適である。
上記の効果は、高分解能アルゴリズムを用いて解として他の諸元(例えば距離)を求める処理においても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明は、装置規模の小型化・軽量化、および消費電力の減少などが可能であり、容量や重量に厳しい制約が課される環境への適用、特に航空機搭載の測角装置やレーダ装置などに利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
11;アナログ処理部、12;A/D変換部、13;時間方向フーリエ変換部、14;ピーク検出部、15;共分散行列生成部、16;高分解能処理部、21;アナログ処理部、22;A/D変換部、23;時間方向フーリエ変換部、24;ピーク検出部、25;S/N比算出部、26;共分散行列生成部、27;高分解能処理部、28;補正処理用データベース、29;補正処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号から、共分散行列を生成し、倍精度よりも演算精度の低い高分解能処理によって受信信号の到来角度を算出する高分解能信号処理装置において、
受信した時間次元の信号をフーリエ変換し、周波数次元に変換する時間方向フーリエ変換部、
周波数次元の信号の中から、周波数次元において所定条件を満たす所望の信号を検出する所望信号検出部、
検出した所望信号を用いて、高分解能処理用の共分散行列を生成する共分散行列生成部、
共分散行列を入力として、高分解能に所望信号の到来角度を算出する高分解能処理部、
所望信号の信号対雑音比を計算する信号対雑音比計算部、
信号対雑音比と算出角度に対する補正値の対応を格納する補正処理用データベース、
補正処理用データベースを参照し、高分解能処理部の算出角度を補正する補正処理部を備える高分解能信号処理装置。
【請求項2】
受信信号から、共分散行列を生成し、倍精度よりも演算精度の低い高分解能処理によって受信信号の発生源との距離を算出する高分解能信号処理装置において、
受信した時間次元の信号をフーリエ変換し、周波数次元に変換する時間方向フーリエ変換部、
周波数次元の信号の中から、周波数次元において所定条件を満たす所望の信号を検出する所望信号検出部、
検出した所望信号を用いて、高分解能処理用の共分散行列を生成する共分散行列生成部、
共分散行列を入力として、高分解能に所望信号の発生源までの距離を算出する高分解能
処理部、
所望信号の信号対雑音比を計算する信号対雑音比計算部、
信号対雑音比と算出距離に対する補正値の対応を格納する補正処理用データベース、
補正処理用データベースを参照し、高分解能処理部による所望信号の発生源との距離を補正する補正処理部を備える高分解能信号処理装置。
【請求項3】
補正処理部は、信号対雑音比が所定の閾値よりも低い信号に対してのみ、補正処理用データベースを参照して、高分解能処理部による算出値を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の高分解能信号処理装置。
【請求項4】
補正処理用データベースは、各々所定の数値幅を有する算出距離または算出角度ごとに、信号対雑音比と補正値の対応を格納し、
補正処理部は、算出信号に対応する補正値を補正処理用データベースから取り出し、高分解能処理部の算出値を補正する構成にされたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の高分解能信号処理装置。
【請求項5】
補正処理用データベースは、信号対雑音比と算出距離または信号対雑音比と算出角度に対する標準偏差値を格納し、
補正処理部は、補正処理用データベースから標準偏差値を受け取って算出信号に対応する補正値として出力する構成にされたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の高分解能信号処理装置。
【請求項6】
受信信号から、共分散行列を生成し、受信信号の到来角度を、演算精度が倍精度よりも低い高分解能処理によって算出する高分解能信号処理方法において、
受信した時間次元の信号をフーリエ変換し、周波数次元に変換する時間方向フーリエ変換工程、
周波数次元の信号の中から、周波数次元において所定条件を満たす所望の信号を検出する所望信号検出工程、
検出した所望信号を用いて、高分解能処理用の共分散行列を生成する共分散行列生成工程、
共分散行列を入力として、高分解能に所望信号の到来角度を算出する高分解能処理工程、
所望信号の信号対雑音比を計算する信号対雑音比計算工程、
信号対雑音比と算出角度に対する補正値の対応を格納する補正処理用データベースを参照し、高分解能処理工程の算出到来角度を補正する補正処理工程、
を備える高分解能信号処理方法。
【請求項7】
受信信号から、共分散行列を生成し、受信信号の発生源との距離を、演算精度が倍精度よりも低い高分解能処理によって算出する高分解能信号処理方法において、
受信した時間次元の信号をフーリエ変換し、周波数次元に変換する時間方向フーリエ変換工程、
周波数次元の信号の中から、周波数次元において所定条件を満たす所望の信号を検出する所望信号検出工程、
検出した所望信号を用いて、高分解能処理用の共分散行列を生成する共分散行列生成工程、
共分散行列を入力として、高分解能に所望信号の発生源までの距離を算出する高分解能処理工程、
所望信号の信号対雑音比を計算する信号対雑音比計算工程、
信号対雑音比と算出距離に対する補正値の対応を格納する補正処理用データベースを参照し、高分解能処理工程の算出価を補正する補正処理工程、
を備える高分解能信号処理方法。
【請求項8】
補正処理工程は、信号対雑音比が所定の閾値よりも低い信号に対してのみ、補正処理用データベースを参照し、高分解能処理工程の算出値を補正することを特徴とする請求項6または7に記載の高分解能信号処理方法。
【請求項9】
補正処理工程は、算出信号に対応する補正値を、各々所定の数値幅を有する算出距離または算出角度ごとに、信号対雑音比と補正値の対応が格納された補正処理用データベースから取り出し、高分解能処理工程の算出値を補正する処理とされたことを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の高分解能信号処理方法。
【請求項10】
補正処理用データベースは、信号対雑音比と算出距離または信号対雑音比と算出角度に対する標準偏差値を格納し、
補正処理工程は、信号対雑音比と算出距離または信号対雑音比と算出角度に対する標準偏差値を格納した補正処理用データベースから標準偏差値を受け取って算出信号に対応する補正値として出力する処理とされたことを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の高分解能信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−13018(P2011−13018A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155654(P2009−155654)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】