説明

高効率吸収式ヒートポンプ及び使用方法

【解決手段】高効率吸収式ヒートポンプ装置を含むエネルギー変換システムであって、高圧力ステージと、超臨界冷却ステージと、機械的エネルギー抽出ステージを使用し、加熱、冷却及びエネルギーの非毒性複合システムを提供する。本発明は、部分的に混和性の吸収体流体を有する二酸化炭素ガスを使用し、システムの作動流体として望ましいイオン性液体を含み、吸収体からCO2を脱離し、超臨界状態にあるガスを冷却して、熱を送給する。冷却されたCO2ガスは、望ましくは、膨張エネルギーを機械的エネルギーに変換する膨張エネルギーを通じて、膨張させ、それによって冷却、加熱温度の上昇と電気エネルギーをもたらし、吸収体へ戻されてさらなるサイクルが行われる。熱交換器、望ましくは、ナノスケール粉末及び熱水力圧縮機/ポンプを含むマイクロチャネル熱交換器を使用することにより、システムの効率及び性能をさらに増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的にヒートポンプに関するもので、より具体的には、二酸化炭素と低蒸気圧吸収体を循環流体として使用する高圧吸収式ヒートポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
<背景>
ヒートポンプは当該分野でよく知られている。ヒートポンプは、単にシステムに熱と冷たさを送達する装置であるのに対して、リフリジェレータ(refrigerator)は、システムから熱を除去するための装置である。したがって、リフリジェレータは、ヒートポンプの一種と考えられることができる。この明細書の中で、本発明におけるヒートポンプは、リフリジェレータ、エアコン、温水器、熱電併給システム(熱と電力の複合利用又はCHPシステムとも呼ばれ、熱機関や発電所に用いられ、電気と有用な熱を同時に発生させるものである)やトリジェネレーションシステム(trigeneration system)(さらになる冷却をもたらす熱電併給システム)についても、装置の操作を変更することなく置き換えられることができるという意味で、ヒートポンプを意味するものとする。ヒートポンプの固有の特徴は、熱エネルギーを熱源からヒートシンクに移送/移動させることである。ゆえに、ヒートポンプという語は、熱エネルギーを一方のエンタルピー/エントロピー状態から他方へ移送するものとして広く適用される。このように、ヒートポンプの利用は、加熱又は冷却の発生に制限されるのではなく、実質的にあらゆる熱力学的サイクルにおける熱エネルギーの固有移動にも用いられ、該サイクルにはそのような熱エネルギーを発電(例えば、電気又は機械的エネルギー)に変えるための手段が含まれる。
【0003】
吸収式ヒートポンプにおいて、水などの吸収材は、冷媒(典型例ではアンモニア)を吸収し、熱を発生する。二成分溶液と称される複合溶液は、加圧され、さらに加熱され、冷媒は排出される。冷媒は、予め冷却され、膨張されて低圧になり、冷却作用する。低圧冷媒は、次に、枯渇溶液(depelted solution)と混合されて、サイクルを完了する。
【0004】
現在用いられている多くの吸収式ヒートポンプ/リフリジェレータは、水とアンモニアの結合、又は水と臭化リチウムの結合を利用している。これらの2つの吸収結合には、特定の欠点がある。水とアンモニア結合は、アンモニアの毒性及び可燃性の点で問題があり、LiBrは腐食性で、低圧操作による漏れが生じ易く、汚染を生じる。さらに、結晶化する傾向があり、目詰まりの問題を起こし得る。また、低圧力で操業することは、水の凍結によって不可能になることがある。その他の吸収プロセスが提案されているが、一般的に、作動流体が、毒性、可燃性、オゾン層破壊、又は地球温暖効果を有するという問題がある。
【0005】
Jonesに付与された米国特許第6,374,630号「Carbon dioxide absorption heat pump」は、臨界二酸化炭素を用いる吸収サイクルを開示している。'630特許は、非常に低い蒸気圧、50℃未満の沸点、0.70よりも良好な性能係数を達成できる任意の手段を有する吸収体を示唆していない。'630特許はまた、脱離温度を低減する熱的手段を示唆せず、また膨張エネルギーの抽出も示唆していない。二酸化炭素CO2という語と、二酸化炭素の略記CO2は相互に置き換えて使用される。同様に、水H2Oという語と、水の略記H2Oは相互に置き換えて使用される。
【0006】
Sami et al.の米国特許出願第2003/0182946号「Method and apparatus for using magnetic fields for enhancing heat pump and refrigeration equipment performance」は、磁場を利用して、分子間力を崩壊させて、分子間引力を弱めて、作動流体の蒸気相への膨張を促進するものである。Sami et al.は、脱離エネルギーを低減するために磁場を利用することを示唆していないが、磁場エネルギーは、冷媒分子の極性を変えて、冷媒分子間の分子間ファンデルワールス分散力を崩壊させることが示されている。
【0007】
Ng et al.に付与された米国特許第6,434,955号「Electro-adsorption chiller: a miniaturized cooling cycle with applications from microelectronics to conventional air-conditioning」は、吸収装置と熱電冷却装置を組み合わせたものである。支配する物理プロセスは、主として、バルク効果よりも表面であるか、又は流体の流れよりも電子が関係する。'955特許は、連続吸収プロセスを示唆しておらず、熱エネルギーは、バッチ式脱離プロセスから、その後の脱離のための逐次的に処理されたバッチに伝達される。
【0008】
Rane, et al.の米国特許出願第2003/0221438号「Energy efficient sorption processes and systems」は、吸着モジュール壁と熱接触する熱伝達通路と、切替可能なヒートパイプとを含む吸着モジュールを記載している。この発明の吸着モジュールは、サイクル時間が5分と短く、回転接触ディスクを用いて液体乾燥材を再生させるための効率的な多段階再生プロセスである。しかし、'438特許は、連続プロセスも吸着プロセスも示唆していない。
【0009】
Korinの米国特許出願第2002/0078696号「Hybrid heat pump」及び米国特許第6,539,728号「Hybrid heat pump」は、ハイブリッドヒートポンプシステムを開示しており、該システムは、(i)蒸気含有ガスから蒸気を選択的に除去し、乾性ガスを生じさせることができる選択透過性膜を有する膜浸透装置と、(ii)(a)プロセス流体で熱エネルギーを転換するための内側部、(b)外部環境で熱エネルギーを転換するための外側部、及び(c)内側部と外側部の間の熱エネルギーをどちらかの方向にポンプ送出する熱力学的機構を具えている。Korinは、空気を予備調節するために、膜を冷却空気調節システムと共に使用するが、冷媒自体の内部における相分離を実行又は示唆するものではない。また、膜は様々な分離目的に使用されているが、ヒートポンプシステムへの膜の使用は制限されている。米国特許第4,152,901号及び第5,873,260号は、半透膜と浸透気化分離(pervaporation)膜をそれぞれ使用することによって、吸収式ヒートポンプを改良することを提案している。米国特許第4,467,621号は、焼結金属多孔質膜の使用によって真空冷却を改良することを開示し、米国特許第5,946,931号は、微小孔のPTFE膜を使用する冷却蒸発装置を記載している。これらの特許は、吸着システム内の相分離のために膜を使用するもので、膜吸収システム内での相分離のための膜の使用を示唆していない。
【0010】
Muntersに付与された米国特許第4,152,901号は、吸収式冷暖房システムにおいてエネルギーを移動させる方法及び装置を開示しており、吸収材と作動媒体との分離は、混合物を圧力下で、比較的高圧力のゾーンと比較的低圧力のゾーン(周囲圧力よりは高い)を画定する半透明膜を通して拡散させることによって行われる。'901特許は、「作動流体の希薄溶液は、減圧される時に蒸発器に送られるが、濃縮された吸収溶液は、周囲圧力まで低下した時に吸収ステーションに送られる」と記載しているように、超臨界操作を示唆していない。
【0011】
Linhardt, et al.に付与された米国特許第5,873,260号「Refrigeration apparatus and method」は、圧力上昇した吸収材/冷媒溶液が、浸透気化膜分離器に供給され、一方が蒸気富化冷媒の出力流と他方が濃縮液体吸収材の出力流となる。'260特許は、「吸収体に入る蒸気化冷媒の圧力は50psia未満」及び「膜セパレータに入る吸収材/冷媒溶液の圧力は約250〜400psiaの範囲内である」と記載しているので、超臨界流体を示唆しない。'260特許はまた、「浸透膜吸収冷却サイクルは、低温に達することもでき、従来のアンモニア/水熱分離システムより高いCOPを有する可能性があるが、浸透膜の孔から冷媒を押し出すのに2,000psia以上のオーダの非常に高い圧力を必要とする」と記載している。留意すべきことは、浸透気化分離膜は、冷却及びヒートポンプシステムで使用される従来の膜分離プロセスとは全く異なった方法で機能することである。そのような従来技術の膜システムは、膜から冷媒を押し出す浸透圧に依存しており、それによって、冷媒を他の成分から分離する。アンモニアと水の組合せの場合、従来では、2,000〜4,000PSI以上のオーダの圧力を必要とする。浸透膜は多孔性なので、アンモニアは膜を通過できる。浸透気化分離膜は多孔性でないが、選択された物質が膜に溶解することによって、成分が膜を通過するようにする。これによって、駆動体として作用する際、駆動力は400PSIより遙かに少なくなる。アンモニアと水の混合物の場合、浸透気化分離膜は、アンモニアと水蒸気を選択的に通過させ、液体水を通過させない。
【0012】
Korinに付与された米国特許第6,739,142号「Membrane desiccation heat pump」は、プロセスガスから蒸気を除去する膜浸透装置を含むシステムを開示しており、蒸気が枯渇したプロセスを提供するものであるが、この特許は、超臨界流体の使用を開示していない。
【0013】
Bakerに付与された米国特許第6,918,254号「Superheater capillary two-phase thermodynamic power conversion cycle system」は、二相の熱力学的電力システムを開示しており、蒸気流を間欠的又はパルス的に放出することにより、発電装置として電力を出力するもので、キャピラリー装置、蒸気アキュムレータ、過熱器、インラインタービン、凝縮器、液体ポンプ及び液体予熱器を具えている。ループ式ヒートパイプやキャピラリーポンプループ(capillary pumped loop)のようなキャピラリー装置は、蒸気アキュムレータ、過熱器、発電用の電力を出力するインラインタービン、凝縮器、液体ポンプ及び液体予熱器に連結されている。キャピラリー装置が受ける入力熱は、液体予熱器、液体ポンプ及び凝縮器から受け取った液体の相を変えるのに用いられ、過熱器での余分な熱は次にタービンを駆動するのに用いられる。過熱器は、液体ポンプ及び予熱器と共に、熱効率向上のために蒸発器と共に用いられるもので、運転される最高サイクル温度は、その他の利用可能な電力変換サイクルよりもかなり低い。'254特許は、熱力学的電力変換サイクル内で圧力を増大させる従来のコンプレッサの使用に代えて、単一種類の作動流体の圧力を増大させるために(即ち、熱エネルギーの獲得によって生じる圧力差を作るために)、ループ式ヒートパイプとポンプループを具えるキャピラリー装置を必要とする。さらに、'254特許は、タービンブレード内での液体衝突を避けるために、過熱器ステージを使用してあらゆる液滴を排除する。'254特許は、高圧力ステージと低圧力ステージの間で低い圧力差を有する低圧装置でもあり、これは、約10psiの圧力差を維持できる約1ミクロンの孔径を有するキャピラリーウィック(市販されている)を参照することによって特別に言及されている。要するに、'254特許は、超臨界、二成分組成、及び/又は非毒性流体として特徴付けられる作動流体を使用することはできない。'254特許は、圧力差を作る手段としてキャピラリー装置を使用することに依存している。
【0014】
Hagemanに付与された米国特許第5,899,067号「Hydraulic engine powered by introduction and removal of heat from a working fluid」は、作動流体の圧力を増大手段としての熱源を開示しており、ポンピング用のピストンを駆動するものであり、ピストンは、発電器に接続されて、電気を発生させる。'067特許は、流体を逐次的に加熱及び冷却する動作に依存しており、ピストンへの圧力を加熱によって増大させ、次に、冷却によって低下させるもので、完全膨張位置から完全圧縮位置に回復する。'067特許は、低圧装置で、1種類の作動流体を使用し、可動ピストンを具え、表面積は相対的に小さいが、電力変換速度が遅く、物理的サイズが大きい。
【0015】
2005年2月9日に出版のために受領されたYouqing Shen et al.による「Poly(ionic liquid)s as New Materials for CO2 Absorption", Department of Chemical and Petroleum Engineering, University of Wyoming, Laramie, Wyoming 82071, USA」は、イオン性液体を単にポリマー形態にすることにより、イオン性液体と比べて、CO2の吸収能を著しく増大することを記載している。Shen et al.は、テトラアルキルアンモニウムベースのイオン性液体の高分子は特に、CO2吸収能が室温のイオン性液体の6.0〜7.6倍であるとさらに記載している。ポリマー固体のCO2吸収と脱離は非常に速く、脱離は完全に可逆的である。Shen et al.は、次に、前記ポリマーの利用は、「CO2分離のための吸収材及び膜材料として非常に有望である」と特に言及している。
【0016】
Shen et al.が記載したポリ(イオン性液体)の例は、最高のCO2吸収能を有するイオン性液体PF6である。より具体的には、ポリ(イオン性液体)には、1-[2-(メチルアクリロイルオキシ)エチル]-3-ブチル-イミダゾリウム テトラフルオロボレート([MABI] [BF4])及びl-(p-ビニルベンジル)-3-ブチル-イミダゾリウム テトラフルオロボレート([VBBI] [BF4])と、ポリ[1-(4-ビニルベンジル)-3-ブチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート](PVBIT)と、ポリ[(1-(4-ビニルベンジル)-3-ブチルイミダゾリウム ヘキサフルオロフォスフェート] (PVBIH)と、ポリ[2-(1-ブチルイミダゾリウム-3-イル)エチル メタクリルレート テトラフルオロボレート](PBIMT)がある。粒子サイズテストの結果では、CO2吸収能は、主にポリ(イオン性液体)の化学構造に依存するが、CO2吸収速度は、粒子サイズに依存するという結論を生み出した。
【0017】
Shen et al.は、吸収材又は膜材料として固定された高分子によるものであり、熱力学的サイクル中の熱伝達流体又は作動流体としてポリ(イオン性液体)を利用することを示唆していない。
【0018】
従来技術は、高効率で、性能係数(coefficient of performance)が0.7よりも大きく、非毒性で非腐食性の作動液体を高作動圧力で使用する環境に優しい吸収サイクルを有するシステムを開示していない。
【発明の開示】
【0019】
<要旨>
安全で環境に優しい吸収冷却、加熱及びエネルギー生成プロセスを提供する。プロセスは、イオン性液体のような液体の非毒性吸収体を利用する二酸化炭素吸収サイクルを用いて、二酸化炭素ガスを吸収する。二酸化炭素冷媒だけが蒸発器と凝縮用熱交換器に循環され、構成要素は呼吸空気と直接接触するので、吸収体に関連する一連の欠点が回避される。熱力学的ハイドロポンプをさらに組み込みみ、燃焼前に圧縮に利用されるエネルギーの相当量を除去することにより、特に燃焼発電サイクルにおけるエネルギー効率が増大する。
【0020】
本発明の一態様は、一体型動力抽出能力を有する吸収式ヒートポンプを、トータル電力変換及び冷却性能係数を増大する手段として標準的な蒸気圧縮ヒートポンプと統合することである。
【0021】
本願明細書の記載を図面に示したが、これらはエネルギー変換システムの最も重要な部品の構成を例示したものである。図面の詳細な説明は、次のパラグラフに記載される。
【0022】
<発明の詳細な説明>
本発明は、高効率吸収式ヒートポンプ装置(以下では「ScHPX」とも称される)を提供するもので、超臨界吸収式ヒートポンプ装置、低蒸気圧吸収体及び一連の一体化要素を主として含む装置であって、非熱的手段を用いて脱離(desorption)を実現する装置である。
【0023】
「熱力学的サイクル」という語は、作動流体が一連の状態変更を受け、最終的にはその初期状態に戻るプロセスと定義される。
「太陽エネルギー」という語は、太陽に由来するエネルギーと定義され、多くの場合、幅広い手段を通じて放射光子を電子又は光子に直接変換することを意味する。太陽エネルギーは、地下水(地熱水としても知られている)の加熱のような追加のエネルギー形態に、間接的にも変換される。
「地熱」という語は、吸収された太陽エネルギーによって影響を受ける地球の内部熱に関連するものとして定義される。
【0024】
「イオン性液体」「ILs」という語は、様々な有機溶質及び無機溶質が溶解できる、溶媒化し易く非配位性(non-coordinating)の媒体である液体と定義される。それらは、種々の化合物に対して効果的な溶媒であり、測定可能な蒸気圧を欠くので、揮発性有機化合物(VOCs)の望ましい代替物となる。イオン性液体は、不揮発性、不燃性であり、高温安定性を有し、製造費用が相対的に安価であるので、魅力的な溶媒である。イオン性液体についての重要なポイントは、それらが液体塩であり、液体相に存在し、製造されなければならない塩から成ることを意味するもので、単に液体に溶解される塩ではない。一般的に、イオンの一方又は両方は、特に大きく、カチオンは、対称性が低い。これらの要因により、イオン性液体は、格子エネルギーが低減し、それ故に融点が低い。
【0025】
「エレクトライド(electride)」という語は、アルカライドと同様な語であるが、アルカライドとは、アニオンが、錯化されたカチオン間の結晶領域に局在する単なる電子であるとされる点が異なる。
「アルカライド(alkalide)」という語は、アニオンが、I族(アルカリ)元素Na、K、Rb、Cs(「リチド(Lithide)」は知られていない)であるイオン化合物の類と定義される。カチオンは、大きな有機錯化剤(complexant)によって錯化されるアルカリカチオンである。得られる化学形態は、A+[錯化剤]B−であって、錯化剤は、クリプタンド、クラウンエーテル又はアザクラウンである。
【0026】
「ナノ流体」という語は、直径が約1ミクロン未満、望ましくは約100ナノメートル未満のナノスケールの粉末を含有する流体と定義される。
「超臨界」という語は、流体がその臨界温度及び臨界圧力を超えて利用された領域(point)と定義される。
「ヒートポンプ」という語は、蒸気圧縮、吸収及び吸着を含む手段によって、熱源からヒートシンクに抽出される熱エネルギーの輸送と定義される。
「環式化合物」という語は、一連の炭素原子が互いに結合してループ又はリングを形成する化合物と定義される。ベンゼンは、良く知られた例である。
【0027】
「多環式化合物」という語は、2以上のリングが単一の分子に結合される場合に使用され、「大員環」という語は、12よりも多い原子を含むリングについて使用される。
「電子受容体」という語は、細胞呼吸中、電子を受け取る又は許容する化合物である。プロセスは、電子供与体から電子を移送することから始まる。このプロセス(電子伝達系)中、電子受容体は低減され、電子供与体は酸化される。受容体の例として、酸素、ニトレート、鉄(III)、マンガン(IV)、サルフェート、二酸化炭素があり、一部の例では、テトラクロロエテン(PCE)、トリクロロエテン(TCE)、ジクロロエテン(DCE)及び塩化ビニル(VC)等の塩素化溶媒が含まれる。
【0028】
「吸収(absorption)」という語は、冷却用ヒートポンプの応用において広く認識されている。化学において、吸収は、原子、分子又はイオンが、幾つかのバルク相(ガス、液体又は固体材料)に入る、物理的又は化学的な現象又はプロセスである。吸収が吸着とは異なるプロセスであるのは、分子が、表面によってではなく、容積によって取り込まれるからである。さらに一般的な「ソープション(sorption)」という語は、吸着、吸収及びイオン交換を包含する。
【0029】
「化学量論的燃焼」という語は、燃料が完全燃焼する理想的な燃焼である。完全燃焼は、全ての炭素(C)を(CO2)に、全ての(H)を(H2O)に、全てのイオン(S)を(SO2)に燃焼するプロセスである。排出ガス中に、C、H2、COのような未燃焼成分がある場合、その燃焼プロセスは、不完全燃焼である。
「過剰ガス(excess gas)」という語は、化学量論量よりも多いガスの量と定義される。
【0030】
「プロセス強化リアクター」という語は、化学反応が行われるチャンバの小型化と定義される。特に超臨界流体とのミクロ混合の利用により、高質量移動及び高速反応時間を実現している。超臨界流体には、二酸化炭素、メタン、メタノール、アンモニア、エタノール、ブタノール及び水素のようなガスがある。超臨界流体は、表面積を著しく増大させる手段として、エマルジョン、望ましくはナノエルジョンに調製されることができる。装置には、流体力学的キャビテーション装置、マイクロチャネルリアクター、スピニングディスク、管内のスピニング管、揺動流リアクター及び反応蒸留リアクターが含まれる。
【0031】
Jonesによって開発されたシャンパンヒートポンプの延長であるScHPXは、脱離を実現するために、脱離温度とトータルエネルギー必要量を低減するための新規な方法である。循環する作動流体である冷媒は、環境に優しいあらゆる流体(温室効果に優しいとしても知られている)から成り、流体は、蒸発器内でガスに膨張する。吸収式ヒートポンプ用として当該分野で知られている広範な冷媒は、ScHPXにも使用可能である。好ましい冷媒は、アンモニア及び二酸化炭素から成る群から選択される。より好ましい冷媒は、毒性が少なく、安全であると考えられている二酸化炭素である。特に好ましい冷媒は、超臨界又は遷移臨界の範囲内で使用可能であり、特定の冷媒によって規定される。
【0032】
本発明のヒートポンプはまた、修正されたスピニングディスクリアクター「SDR」を通じて、より優れた脱離を達成する。SDRは、熱及び質量移動係数が極めて高い。濃溶液は、同時にディスクの中央に注ぎ込まれ、液体が外向きに移動するとき薄膜を形成する。遠心力は強い妨害波を生じ、濃溶液とスピニングディスクとの間での熱伝達を高める。SDRを用いることにより、強力な局部混合を通じて、希薄溶液への超臨界CO2の吸収が促進される。
【0033】
ScHPXは、吸収体をさらに含んでおり、吸収体の中で、冷媒は、熱源の温度を上昇させる(比較的低温の流体を高温(即ち高品質)に変える)ため、又は冷却するための方法として吸収される。吸収システムのエネルギー要件は、従来の脱離用の熱源、及び濃溶液を送給/加圧する機械的又は電気的エネルギーに制限される。「エネルギー効率」という語は、所望の出力を生成するために必要とされるエネルギー入力で割り算して求められるエネルギー出力である。高効率吸収システムは、性能係数「COP」で特徴付けられ、主として脱離エネルギー必要量を低減するための方法を必要とする。脱離は、事実上、冷媒が吸収体から分離するプロセスである。
【0034】
本発明のScHPXは、一連の吸収体を使用しており、それには、イオン性液体、イオン固体、エレクトライド溶液及びアルカライド溶液からなる群から選択される少なくとも1種の吸収材を含んでいる。イオン性液体及びイオン固体は、当該分野において、環境に優しい溶媒として認識されている。エレクトライド溶液及びアルカライド溶液は、夫々、化学的還元法及び酸化法の分野で認識されている。ScHPXは、イオン性液体「IL」を特徴としており、蒸気圧は、無視できる程ではないが極めて低く、望ましくは、超臨界二酸化炭素「scCO2」と使用可能なイオン性液体である。本発明のscCO2とILsの複合物は、部分的に混和性の流体複合物として区分けされるので、二酸化炭素可溶性及び単純な相分離にすぐれている。部分的に混和性の流体は、圧力と温度の一次関数として、混和性(miscible)と不混和性(immiscible)の両方の性質である。不混和性の状態にある部分的混和性の流体は、相分離のために簡単にデカントされることができ、本質的に低エネルギー分離方法である。イオン性液体とCO2の相挙動と、液体中のガスの溶解度がどのようであるかは、カチオンとアニオンの選択及び構造によって影響される。
【0035】
作動流体の望ましい実施例は、イオン性液体及びポリ(イオン性液体)“エマルジョン”であり、イオン性液体モノマーの流体の流れと、イオンポリマーとも称されるポリ(イオン性液体)の吸収/脱離特性の向上という利点がある。イオン性液体“エマルジョン”の標準的なカテゴリーは、エマルジョンの一方の相を「イオン性液体モノマー(略してILM)」相として、他方の相を「イオン性液体ポリマー(略してILP)」相として特徴づけられる。ILM相とILP相は、イオン性液体スラリーとも記載され、以下「ILS」と称する。望ましいILSは、少なくとも1種のイオン性液体モノマーと、少なくとも1種のイオン性液体ポリマーを含んでいる。望ましいILSは、約0.1ナノメートル〜約500ミクロンの粒径を有するILPを含んでいる。特に望ましいILSは、約10ナノメートル〜約5ミクロンの粒径を有するILPを含んでいる。また、特に望ましいILSは、約0.1ナノメートル〜約500ナノメートルの粒径を有するILPを含んでいる。ナノスケール粉末を用いたこれまでの研究では、理論に拘束されるものではないが、100ナノメートルを、熱伝達の量子効果を有する有意なサイズのしきい値としている。ナノスケール粉末のサイズは、極めて非線形のプロセスであって、50ナノメートルの粒子は、100ナノメートルの粒子と比べて優れた結果を有している。同様に、30、20及び10ナノメートルも、夫々の大きなサイズのものより優れている。別の有意なしきい値は、この場合も理論に拘束されるものではないが、10ナノメートルであり、10ナノメートル未満の粒子サイズは、10ナノメートル以上の粒子サイズでは達成されない熱伝達性能の利点を有する。フォノンの平均自由経路は、10ナノメートル未満であるとして認められている。
【0036】
最も注目すべきことは、イオン性液体、ポリ(イオン性液体)ポリマー、エレクトライド溶液、アルカライド溶液及びナノ流体溶液からなる群からの少なくとも1種から選択される少なくとも1種の流体を有する二成分作動流体を含むことである。特に望ましい作動流体は、イオン性液体と、イオン性液体及びポリ(イオン流体)ポリマーの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の流体を有している。特に望ましい作動流体は、少なくとも1種のイオン性液体と、少なくとも1種のポリ(イオン性液体)ポリマーを含む熱伝達流体を含んでいる。導電性粉末、半導電性粉末、又はそれらの組合せを含有するナノスケール粉末をさらに含むことにより、作動流体の熱伝導率は増大する。
【0037】
ポリ(イオン性液体)ポリマーと、イオン性液体、非ポリマー固体吸着剤及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の追加の作動流体とを使用すると、作動流体は熱交換器を通じて送給及び循環されて熱伝達の向上と共に、冷媒の吸収速度及び脱離速度の向上が達成される。
【0038】
特に望ましいイオン性液体又はイオンポリマーは、それ自体が磁性であって、磁場に曝される/磁場から除去される時の高い吸収率び吸着率と、非熱的(non-thermal)手段によって冷媒から該材料をより簡単に分離する能力とを含む明確な利点を有している。
【0039】
環式化合物、多環式化合物、大環状化合物及びそれらの組合せ(酸化防止剤、ポリフェノール、リグナン及びビタミンを含む)からなる群から選択される少なくとも1種の非イオン化合物をさらに添加することにより、作動流体には、熱安定性及び動作寿命の向上と、理論に拘束されることなく、熱伝達及び電子移動の向上がもたらされる。
【0040】
電子移動メディエータは、ポリカチオン性蛋白質、チオレート架橋された錯体、チオレート錯体、金属蛋白質、鉄硫黄クラスターを有する蛋白質複合体、トレハロース複合体、鉄硫黄クラスター、ナトリウム・アンモニア、硫黄・アンモニア、キトサン錯体(乳酸キトサン、アルファリポ酸キトサン、チオール化キトサンを含む)又はそれらの組合せを含んでいる。電子移動に影響を与えるさらなる添加剤として、鉄塩、鉄塩誘導体、カリウム塩、乳酸塩、カリウム塩誘導体、乳酸塩誘導体、フィチン酸、没食子酸及びそれらの組合せが挙げられる。
【0041】
電子移動メディエータ、電子供与体、電子受容体、紫外線吸収体、赤外線吸収体、量子ドット、ナノスケール粉末及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む場合、吸収式ヒートポンプを含むエネルギー変換は、特に望ましい。ナノスケール粉末を使用すると、理論に拘束されることなく、量子手段によって、熱伝達と電気伝導率が向上する。望ましくはナノスケール範囲内での添加剤の添加は、光子からフォノン、光子から電子、電子からフォノン、フォノンから電子などの変換に影響を与える。
【0042】
熱伝達流体の特に望ましい適用例は、熱エネルギー変換装置内で使用可能なことであり、該装置として、太陽熱フラットパネル、太陽熱集熱レシーバ(solar thermal concentrator receiver)、熱イオン放出電池(thermionics emission cell)、熱ボルタ電池(thermovoltaic cell)、電気発生器、圧縮機及びヒートポンプからなる群から選択される装置が挙げられる。また、特に望ましい適用例は、溶液中の遷移臨界又は超臨界領域で使用可能な流体及び少なくと1種の吸収ガス(望ましくはCO2)であり、その後に脱離されたガスは熱力学サイクル内で利用され、該サイクルとして、ゴスワミサイクル、ウエハラサイクル、カリナサイクル、ランキンサイクル、カルノーサイクル、ジュール−ブレイトンサイクル、エリクソンサイクル及びスターリングサイクルからなる群から選択されるサイクルが挙げられる。
【0043】
冷媒と吸収体とのさらなる組合せは、当該分野において、部分的混和性を有するものと技術的に認識されている。本発明のさらなる態様は、温度、圧力及びpHからなる群から選択される少なくとも1つの機能の関数として、相分離を実現することである。望ましい溶液は、吸収体内の冷媒の溶解度を変えるために、少量のpHを使用することをさらに含んでいる。より望ましい溶液は、電気透析法等の方法を用いるpH調整と併せて、温度と圧力を変える。相分離を可能にするさらなる方法は、静電場がイオン流体の溶解度を増大するように、静電場を適用することである。
【0044】
本発明のScHPXは、エレクトライド溶液とアルカライド溶液をさらに利用する。望ましいエレクトライド溶液は、アンモニアを含んでいる。エレクトライドの主たる利点は、カソードとアノードの間での自由電子(エネルギー状態)の移動にある。さらなる利点は、ナノスケール粉末の後での投入に重要であり、エレクトライドの強還元特性である。この特性が重要となるは、ナノスケール粉末、特に金属の場合に、粉末の大表面積が一因となって、容易に酸化するからである。
【0045】
本発明のさらに他実施例は、導電性粉末、半導電性粉末、強誘電性粉末及び強磁性粉末からなる群から選択される少なくとも1種のナノスケール粉末をさらに含んでいる。ナノスケール粉末は、当該分野で知られているように、コロイド分散を維持しながら、磁性、熱物理特性(例えば熱伝導率)、電気伝導率及び吸収特性を含む様々な特性を向上又は変化させる。より望ましいナノスケール粉末は、単層とナノスケール複層(即ち100ナノメートル未満の表面コーティング)からなる群から選択される改質表面を含むナノスケール改質表面を有するナノスケール粉末をさらに含んでいる。特に望ましいナノスケール粉末は、熱物理特性、電気伝導率及び太陽光スペクトル吸収からなる群から選択される少なくとも1つのパラメータを向上させる。
【0046】
本発明のScHPXの更なる特徴は、機械的エネルギー抽出装置を統合したことである。機械的エネルギー抽出装置は、脱離ステップの後の冷媒の膨張段階で、エネルギーを抽出することによって、効率(即ちCOP)を向上させる。図1を参照すると、機械的エネルギーは、デソーバから脱離された冷媒を利用し、バルブ又は流れ調節器(20)を通り、膨張タービン(65)を含む当該分野で知られているエネルギーの広範囲の有用な形態に変換されることができる。ScHPXは、動作条件に応じて、冷媒が吸収体(30)に吸収される前に、熱交換器(25)を通してさらなる冷却能力を有する。これらの形態は、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換(例えば交流又は直流電気の発生)すること、又はポンプ、圧縮機又はモータを駆動することを含んでいる。これらには、ジェロータ、クアシタービン(Quasiturbine)、ピストン、球形エンジン(spherical engine)、膨張タービン、膨張ポンプ、スターリングサイクルエンジン、エリクソンサイクルエンジン及びラムジェットタービンからなる群から選択される、エネルギー抽出装置が含まれている。望ましい機械的抽出装置は、冷媒超臨界状態を利用しており、比較的高質量の流れ「密度」を特徴とし、超臨界範囲内で動作する。図2を参照すると、より望ましい機械的抽出装置は、圧縮機(15)及びタービン(65)からなる群から選択される一体型の超音速装置である。特に望ましい装置は、ラムジェット或いはパルスジェット原理で動作する。その結果は、比較的コンパクトで高効率の圧縮機又はタービンであって、夫々、濃溶液を加圧することによって機械的エネルギーを入力するか、又は冷媒の膨張中に減圧することによって機械的エネルギーを抽出するものである。
【0047】
図2を参照すると、ScHPXは、従来の蒸気圧縮システム(圧縮機(15)など)と流体流通可能に接続することができる。デソーバ(50)から脱離された冷媒は、蒸気圧縮機(15)でさらに圧縮され、冷却が望ましい場合の性能係数を向上させる方法として、温度と圧力を上昇させる。圧縮機エネルギーが必要とされるのは、デソーバ(50)圧力を超える圧力ゲインを増分的に増加させるためだけであり、これは電気的/機械的エネルギーの集約性が有意に少ない。冷媒は、凝縮器として効果的に作用する熱交換器(25)と流体流通可能に接続されており、その熱エネルギーは、第2ステージ吸収式ヒートポンプデソーバ、燃焼用空気の予熱、燃焼燃料の予熱、第2熱伝達流体の加熱又はそれらの組み合わせを含む、多くの目的のために移送されることができる。
【0048】
先述の如く、吸収式ヒートポンプの効率についての最も重要な特徴は、脱離エネルギーである。ScHPXは、非熱的方法と従来の熱的方法の新規な組合せによる脱離を実現する。当該分野で知られている従来の熱的方法は、空気−液体又は液体−液体の簡単な熱交換によって実現され、それによって、比較的高温の流体は、熱エネルギーを、比較的低温の濃溶液に移される。望ましい非熱的方法は、磁気冷却(magnetic refrigeration)、蒸気圧縮ヒートポンプ、太陽光線で活性化されされた直接スペクトル光吸収、静電場、電気透析、膜分離、電子脱離、浸透気化分離、ガス遠心分離、ボルテックス管CO2−液体吸収体の適用及びデカンティングからなる群から選択される。CO2除去に使用される膜は、フィルタとしては機能せず、小分子は、孔を有する媒体を通じて大分子から分離される。あるいは、小分子は、無孔膜を通じて溶液−拡散の原理で動作する。CO2は最初は膜の中に溶解し、膜を通じて拡散する。膜は、孔を有していないから、分子サイズに基づいて分離しない。むしろ、分離は、異なる化合物がどのようにうまく膜に溶解し、膜を通じて拡散するかに基づく。一連のポリ塩化ビニル・酢酸ビニル膜は、例えば、CO2の急速な浸透を許容する。非常に小さな分子及び高溶解性の分子である小分子は(例えばCO2)は、大分子より速く浸透する。
【0049】
図10を参照すると、脱離の追加の非熱的手段として、マイクロ波及び/又は無線周波数エネルギーが示されている。イオン性液体とイオンポリマーを含有する望ましい作動流体は、マイクロ波エネルギーを吸収できる能力に特徴がある。望ましい実施例は、ナノろ過装置(400)を使用しており、これは、マイクロ波エネルギーを吸収する物質、無線周波数エネルギーを吸収する物質、静電場を乱す物質、磁場を乱す物質又はそれらの任意の組合せを有していない。前記の場への濃溶液の局部曝露により、急速且つ高エネルギー効率の脱離が生じる。
【0050】
膜分離は、分子量及び粒径分離を含む手段によって成分を分離する方法として、従来の限外ろ過とナノろ過を挙げることができる。
【0051】
図3を参照すると、より望ましい非熱的方法は、強誘電性と強磁性のナノスケール複合粉末を、磁気熱量効果を利用した磁気冷却(105)と共に使用して、濃溶液(100)を脱離温度よりも高温に上昇させた後、作動流体を磁場から除去して、冷媒(120)が、熱交換器(25)からの少量の熱エネルギーを使用することにより又は熱エネルギーを使用することなく(即ち熱交換器なしで)、濃溶液を希薄溶液に変換し、生ずる希薄溶液を脱離できるようにするものである。特に望ましい態様では、濃溶液は、連続的及び逐次的に少なくとも2つの脱離ゾーンに送り込まれる。濃溶液を逐次的に脱離ゾーンに送り込むことにより、濃溶液の加圧に必要なポンプエネルギーを低減することが可能になる。
【0052】
本発明のさらに他の態様では、標準的な吸収構成では、圧縮機が必要でないことである。唯一の可動部分は、非常に小さいポンプに限定される。なお、小さいとは、全システムエネルギーと比べてエネルギー消費量が小さいことを意味する。フリーピストンポンプを使用すると、高効率、静かさ、低コスト及びオイルフリーの蒸気圧縮がもたらされる。オイル無しは、望ましい超臨界二酸化炭素の中にオイルの溶解を回避することができる利点がある。オイルの溶解は厄介であり、熱伝達面にオイル境界層が形成され、これが熱伝達の低下をもたらすからである。超COPScHPXは、COPsを達成すると共に最高蒸気圧縮ステージを超える方法として、蒸気圧縮ステージを含んでいる。望ましい圧縮機は、オイルフリーであって、摩擦を低減するために当該分野で知られている多くの技術、例えばダイヤモンドコーティング、ダイヤモンド状のコーティング、超微細なダイヤモンドコーティング、空気ベアリング、磁気による浮揚及び固体潤滑剤を組み入れることによって実現される。
【0053】
本発明の別の態様は、リークフリーのポンプ又は圧縮機に関連する複雑さをさらに回避する。図4を参照すると、ScHPXは、密閉容器(35)をさらに含んでおり、密閉容器には、ポンプシステムで漏洩した冷媒が集められ、定期的に希薄溶液に排出される。密閉容器は、密閉容器の中に漏出した低圧濃溶液を収容する。コントローラは、密閉容器内の圧力を監視して、吸収体(30)とデソーバ(50)の間でのポンプ(460)の切換えを決定する。ポンプ(460)は、通常は、濃溶液を加圧してデソーバに注入するものであるが、ここでは、密閉容器の損失分(losses)を加圧してデソーバに注入するものである。
【0054】
物理的サイズと吸収速度は、あらゆる吸収システムのさらなる重要な要素である。本発明のScHPXは、キャビテーション装置をさらに含み、該キャビテーション装置は、超微粒気泡を生成し、表面積を著しく大きくすることによって吸収速度を高める。より望ましいキャビテーション装置は、流体力学的キャビテーションを生成する装置のカテゴリーから選択される。
【0055】
ScHPXの物理的サイズは、マイクロチャネル熱交換器の使用によってさらに低減され、それによって、超臨界流体の表面張力は低減される。高表面積熱交換器に関連する流体摩擦は緩和される。
【0056】
<ScHPXのシステム構成>
本発明のScHPXは、特定の要素によるだけでなく、操作構成によっても特徴づけられる。多段階吸収式ヒートポンプシステムは、カスケーディングシステムとしても知られており、少なくとも1つの独立ステージ(distinct stage)で冷媒Aが使用され、少なくとも1つの他の独立ステージで冷媒Bが用いられる。各ステージは、一方の出力が他方の入力となるように、他方に結合されているが、実際には異なる熱力学サイクルである。望ましいScHPXは、冷媒Aの脱離温度と冷媒Bの吸収温度の差を利用する。換言すれば、図5に示される一方のステージの凝縮用熱源(即ち凝縮器(259))は、他方のステージの脱離用熱源(即ち凝縮器(258))である。
【0057】
さらに別の構成として、ScHPXは、平行なエネルギー生成システム又は燃焼器の直接注入を有しており、その排出物は、吸収体に注入される。重要な利点の1つは、排出物の流れから潜在エネルギーを獲得することである。より望ましい態様では、当該分野で知られた技術を用いて、冷媒が吸収体に選択的に進入することを可能にし、排出物を処理して、副生成物が除去され、それによって、副生成物は、NOx及び硫黄を含有する。これを実行することで、二酸化炭素の隔離が同時に達成される。ScHPXから利用可能な冷却作用は、その後、燃焼空気を予冷するために利用され、タービン容量及びエネルギー効率を向上させる。
【0058】
図6を参照すると、燃焼チャンバ(230)及び燃焼レキュペレータ(220)の熱伝導損失から直接回収された熱エネルギーを捕獲することにより、さらなる利得が得られる。レキュペレータは、廃熱を捕獲するために利用されることがあるが、レキュペレータの外壁を通る熱伝導は、特に、乗物等のように空間が制約される例に対しては、回収されるトータルエネルギーを制限する。
【0059】
本発明のScHPXの熱エネルギーは、低品質の熱源を利用できるという特徴がある。そのような熱源の一例は、非濃縮式太陽熱収集器である。より望ましい解決手段は、太陽熱収集器を有する一体型熱交換器である。図7に示すより望ましい実施例は、熱損失を低減するための手段として熱エネルギー(310)を集めることと、光電池を冷却することからなる群から選択される少なくとも1つの利点を実現する太陽熱収集器(300)である。特に望ましい例は、熱損失及び熱交換器サイズをさらに低減できる一体型マイクロチャネル熱交換器(340)である。また、特に望ましい例は、太陽熱収集器と熱交換器を分離する半透明薄膜(330)であって、それによって、太陽スペクトルからの光子によって脱離が促進され、ゆえに、脱離温度が低下する。脱離の促進は、外部の電場及び電磁場によっても実現される。量子ドットや紫外線吸収剤のようなナノスケール粉末さらに含めることは、効率を高める。吸収材中の粉末のコロイド分散は、光子から電子への直接変換を向上させ、その後の陰極と電極との間の電子の透過を向上させる。最適な解決手段は、少なくとも1つの太陽熱収集器の熱収集ステージの後、少なくとも1つの太陽熱集光器の熱集光ステージであり、各ステージは、独立した圧力ゾーン(即ち過熱蒸気状態)を生成する。
【0060】
本発明のScHPXを使用した場合、先述の如く、作動流体が高蒸気状態までさらに昇温すると、高い発電効率がもたらされる。廃熱又は非濃縮太陽エネルギーのような比較的低温の熱源を使用して、第1の蒸気状態まで作動流体を昇温させると、その後に、従来の蒸気圧縮機、濃縮太陽エネルギー、燃焼源、比較的高温の熱源又はそれらの組合せを含む手段を用いることにより、さらに高い蒸気状態まで上昇させることができる。この低蒸気状態から次の高蒸気状態への上昇は、繰り返されることができる。最適なエネルギー効率は、従来の蒸気圧縮機の使用に代わるものであり、熱流体圧圧縮機/ポンプによる一連の熱力学的ステージを通して、蒸気状態を上昇させる手段として、蒸気状態に驚くほどの上昇がもたらされる。熱流体圧力増加ゾーンの一体要素として、大表面積熱交換器を使用することにより、圧力の急速な増大が可能となる。各ゾーン内の圧力を急速に増大する能力により、膨張装置は、一定圧力で作動流体を受けることが可能となる。
【0061】
一方のゾーンを他方のゾーンと隔離する方法及び装置は、数多くある。そのような手段の1つは、弁無しハイドロポンプであって、外側部分にマイクロチャネルを有する回転シリンダを含んでいる。回転シリンダの内側部分は、熱源に曝される。回転シリンダは、各マイクロチャネルを密閉するさらなる外側のシリンダの内部にあり、それゆえ、マイクロチャネル内部の各ゾーンを他のゾーンと分離する。回転中、マイクロチャネル内の作動流体は、温度と圧力の両方が増大する。流体は、マイクロチャネルの全長に対して直交する入口ダクトから、優先的に個々のマイクロチャネルに入る。同様に、出口ダクトは、マイクロチャネルと同じ方向であるが、シリンダに沿ってオフセット回転する。
【0062】
あるいはまた、熱流体圧圧縮機/ポンプは、特定温度まで加熱された大表面積「固体」/スラリーを含み、これは後に「密閉容器」に入れられる。次に、作動流体は、密閉容器内に注入され、圧力は急速に増大する。対抗力(counter-force)を生成するスプリングピストンをさらに組み込むと、優先的に、スプリングは、膨張装置の所望の入力圧力(entry pressure)と少なくとも同等である一定の力を生成する。スプリングにより、全ての過熱蒸気は圧力ゾーンから排出されることができ、一定の圧力を維持することができる。さらに可撓性ブラダー(bladder)又はスプリングを利用すると、1つの圧力ゾーンから次の圧力ゾーン又は膨張装置への一定圧力の出力が向上する。さらなる利点は、前の圧力ゾーンによって満杯とするために、本質的に空にされていることである。
【0063】
図9Bを参照すると、独立した圧力ゾーンは、入力ダイオード(200)(入力流れ制御装置とも呼ばれる)を利用して作られることもできる。そのような装置の1つは出力を調整するために利用される出力ダイオード(240)であり、これは圧力リリーフ弁とも呼ばれる。一連の圧力リリーフ弁を利用すると、最初の圧力リリーフ弁から最後の圧力リリーフ弁まで、クラッキング圧が各弁毎に増加するように設定されるので、逆流を防止し、作動流体の蒸気状態を増大させるための制御可能な手段として効果的な方法である。熱交換器、加熱器(250)又は容積移送ポンプヒーター内に一連の圧力リリーフ弁を集めたものを、以下では、「圧力トレイン(pressure train)」熱交換器と称するものとする。このように、圧力リリーフ弁は、圧力トレイン内に有効な独立ゾーンを作る。精密及び/又は相対的な圧力制御を実現するために、数多くの方法が当該分野で知られている。
【0064】
最適なシナリオは、電子圧力制御による圧力の制御が、圧力センサ又は機械的圧力リリーフ弁と共に行われても、最後の独立したゾーンでは、流れを正確な圧力で出力できることは予想される。
【0065】
複数の平行な圧力トレイン式熱交換器は、電力抽出装置へ一定圧力で出力させることができるので、圧力トレイン内の圧力リリーフ弁の数及び/又は複数の平衡な圧力トレインの数の一方又は両方を増加させると、大部分が一定の圧力が出力される。
【0066】
図9Bを参照すると、独立した圧力ゾーンを作る追加の装置が示されており、該装置は、クアシタービンと、容積移送式ポンプとして使用されるクアシタービンと、吸入ダクト(210)、内部加熱器(220)及び排出ダクト(230)を具える容積移送式ポンプと、ハイドロポンプとを含んでいる。
【0067】
図8を参照すると、ScHPXの最終例の特徴は、ゴスワミサイクル、カリナサイクル、ベーカーサイクル、ウエハラサイクルで操作することにより、高効率を達成することである。ゴスワミサイクルでは、ScHPXは、最適な全エネルギー効率に加えて、最大レベルの加熱、冷却又はエネルギーが提供されるように最適化されることができる。
【0068】
図示の吸収式ヒートポンプシステムは、少なくとも2つの圧力ステージを有すしており、連続する各ステージは、圧力が増大し、第1ステージP1は第2ステージP2よりも少ない。吸収を含む少なくとも1つの「圧縮」ステージでは、従来の蒸気圧縮用圧縮機と比べて、機械的/電気的エネルギーが有意に少ない。吸収式ヒートポンプシステムの特徴、熱エネルギー(支持プロセスから容易に利用可能な廃熱の場合もある)を、加圧性蒸気とは異なる「非圧縮性」液体を圧縮する低エネルギー要件による圧力に変換することである。多くの態様で利点が実現される。例えば、図11Aを参照すると、ILsのような作動流体/吸収材(450)は、吸収体(430)(固体吸着材(A1)等)からの濃溶液と混合され、第2ステージの吸収体(43)に送られる。混合された濃溶液(A2)は、次にポンプ(460)により、低圧(P1)から高圧(P2)となり、流体接続されたデソーバ(50)に送られる。脱離された冷媒は、従来の蒸気圧縮機(15)を通じて圧縮される。これは、凝縮器温度の昇温や次の抽出プロセスのための圧力上昇等を含む多くの目的がある。図11Bを参照すると、冷媒は、第1ステージの吸収式ヒートポンプのデソーバ(50)から脱離され、次に、フローバルブ(20)で調整され、第2ステージの吸収式ヒートポンプの吸収体(30)へ送られ、ポンプ(460)によって圧力が上昇し、非圧縮性の濃溶液となる。図11Cを参照すると、冷媒は、第1ステージの吸収式ヒートポンプのデソーバ(50)から脱離され、次に、フローバルブ(20)で調整され、第2ステージの蒸気圧縮用圧縮機(15)で圧力が上昇される。図11Dは、第1ステージの他の蒸気圧縮用圧縮機(15)を示しており、例えば、初期圧力P0が、第2ステージ吸収式ヒートポンプシステムの吸収体(30)の希薄溶液に吸収されるのに十分でないとき、高圧ポンプ(460)により、さらに高い圧力まで上昇させて、機械的/電気的エネルギー効率を向上させる。前述したこれら全ての構成は、単一又はさらには複数ステージの蒸気圧縮用圧縮機と比べて、使用される機械的/電気的エネルギーは少ない。
【実施例1】
【0069】
吸収式ヒートポンプシステムにおいて、初期圧力P0から第2ステージの圧力P2に圧力を増加させる作業モードは、(1)圧力P11を有し、固体又は液体吸着材を含む第1の吸着又は吸収ステージと、圧力P21を有する第2の吸着又は吸収ステージとを有するモードであって、第1ステージの吸収体A11は、第2ステージの非圧縮性液体吸着材A21と混合され、P11はP21よりも小さいモード、及び、(2)圧縮機又はターボチャージャを含み、初期圧力P02から作動圧力P12に増大する第1ステージの非吸収性圧縮ステージと、固体又は液体吸着材を含み、P11はP21よりも小さい第2ステージの吸収ステージとを有するモードからなる群から選択される。
【実施例2】
【0070】
実施例2は、圧力を増大させるための第3ステージをさらに含んでおり、圧力を増大させる手段は、非吸収式圧力ステージ(即ち、従来の圧縮機、ターボチャージャなど)又は吸収ポンプステージを含んでいる。
【0071】
図12を参照すると、デソーバ(50)で脱離された冷媒は、次に、反応化学(酵素化学、発酵化学を含む)、成分抽出、超臨界燃焼及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のポスト脱離プロセスステージで処理され、作動流体圧力を動作圧力(P1)まで増大させるのに必要な機械的及び電気的エネルギー(E1)は、作動流体の圧縮可能な部分を圧縮することによって作動流体圧力を動作圧力(P1)まで増大させるのに必要な機械的及び電気的エネルギー(E2)より少なくとも10%少ない。この構成は、超臨界抽出、超臨界燃焼及びプロセス強化リアクター「PIR」の分野で認識されている利点を増加させすることができる提案である。当該分野で幅広く知られている特定の装置は、流体力学的キャビテーション、マイクロチャネル、スピニングディスク、管内のスピニング管、揺動流及び反応蒸留リアクターを含むPIRとして認識されている。PIRの中にナノスケール触媒を含めること、より具体的には、超臨界作動流体を利用することは、高質量移動速度及び低粘度であることから、反応速度が増大する。ポスト脱離プロセスステージは、とりわけバイオマスから生物燃料への転換においては、固定化酵素をさらに含む酵素反応である。
【0072】
バイオマスから生物燃料への転換、とりわけセルロースからエタノールへの転換は、酵素を利用する技術において広く知られている。しかしながら、セルロース可溶性にすることができないため、許容される酵素転換速度を得るのに、固定化酵素ではなく「遊離型」酵素が必要である。本発明では、イオン性液体、好ましくはポリ(イオン性液体)ポリマーを利用するものであり、これは、当該分野で広く知られており、セルロースを可溶性にする能力を有し、固定化酵素と共に使用できる特徴がある。冷媒、特に超臨界流体(二酸化炭素を含む)をさらに用いることにより、ILs内で溶解したセルロースの粘度が有意に低下する。特に、酵素作用によって転換されたバイオマスをILs及びPILPから分離する手段として膜ろ過を利用する場合、酵素をポリマーに固定化させる公知の手段によってPILPに含められた固定化酵素を回収することは比較的容易であるため、ポリ(イオン性液体)ポリマー“PILP”は、ILsよりも優れている。ILsとPILPを両方用いることは、両方の固定化酵素の利点をもたらし、ILsの循環がPILPsに比べて比較的容易であるため、固定化酵素に効果的なバイオマス輸送が達成される。本発明の望ましい実施例は、固定化酵素を再利用することができる特徴があり、非常に経済的な転換速度が得られると共に、IL及びPILPスラリーから使用済み酵素を除去し、次に活性酵素を補給して、再びPILP内でさらなる固定化を行なうことができる利点を含んでいる。
【0073】
化学反応を触媒する特別な蛋白質である固定化酵素は、固定化酵素を副生成物(アミノ酸、蛋白質加水分解物又はそれらの組合せを含む)に効果的に変換する異なる酵素をさらに添加することにより、ILsから除去される。短鎖アミノ酸と蛋白質加水分解物は、水溶性を向上させるので、IL及びPILPスラリーから容易に洗浄されることができる。このように、固定化酵素を除去すると、副生成物は、IL又はPILP相に不溶性又は部分的に不混和性となる利点がもたらされる。IPとPILPの一方/両方と固定化酵素が、除去/再生/置換の要求に応じて、いつ“消費”されるかを決定することは、検出器を配置し、イオン性液体吸収速度、イオン性液体脱離速度、触媒変換速度、酵素変換速度及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの条件を監視することによってよって行われる。
【0074】
図12を参照すると、一連のセンサ(70)が配置されており、該センサーは、バイオマスから生物燃料への転換速度を加速する手段(触媒及び酵素を含む)を利用するプロセス(470)の前後において、吸収式ヒートポンプ内の濃溶液、希薄溶液及び冷媒を監視する。吸収式ヒートポンプに続く他のプロセスは、超臨界燃焼である。廃熱(超臨界燃焼プロセスからの廃熱を含む)を利用することによって、超臨界圧力を実現できるため、燃焼プロセスで生成したエネルギーの寄生的(parasitic)プロセスの損失が低減し、追加の機械的/電気的エネルギーが生成されると共に、吸気を圧縮させるための低品質熱エネルギーが回収される。
【0075】
図13を参照すると、本発明の吸収式ヒートポンプの実施例のさらなる利点は、特に超臨界流体の低エネルギー利用性であり、燃焼廃棄副生成物の少なくとも1成分を作動流体(例えばCO2)内から除去されることである。デソーバ(50)から脱離した希薄溶液(ILs及び/又はPILPを含む)、及び又は脱離した冷媒は燃焼プロセス(480)に送られる。超臨界二酸化炭素とイオン性液体は、単独で又は両方で、優れた溶媒であり、超臨界燃焼プロセスを不連続的に作動させると、不連続作業の不燃焼部分は、燃焼副副生成物を一掃させることができる。化学量論的燃焼に必要とされるガスよりも多い過剰ガスを含有する燃料をさらに利用すると、特に過剰ガスが超臨界CO2の場合には、副生成物を連続的に除去させることができる。燃焼プロセス(480)の燃焼チャンバーを洗浄するために、希薄溶液及び/又は冷媒が用いるかどうかに拘わらず、洗浄用流体が吸収式ヒートポンプサイクル内で再利用される前に、当該分野で知られている分離手段(ナノろ過を含む)から燃焼廃棄物を除去しなければならないことは、広く認識されている。
【0076】
図14は望ましい他の実施例を示しており、バイオマスから生物燃料への転換プロセスでの副生成物(二酸化炭素、メタン、メタノール又はそれらの組合せを含む)の吸収/吸着/イオン交換で、追加の生物燃料が製造される。トウモロコシを原料とするスターチからエタノールへの転換において、相当量のCO2を製造することができ、低品質の廃熱を利用した相当量の熱エネルギーを生成できることは従来から広く認識されている。バイオマスプロセス(490)で、廃熱は、熱交換器(25)を通じて回収される。熱交換器(25)は、デソーバ(50)と流体流通可能に接続されている。超臨界燃焼の利用による他の利点は、少なくとも1種の燃料添加剤(510)(キトサン、グリセリン、セルロース及びリグナンを含む)を添加できることである。望ましい実施例では、キトサン、セルロース及びリグナンは、IL及びPILPスラリースラリーから注水(water injection)によって得られ、特に、微小粒径(約10ミクロン未満、より望ましくは、約1ミクロン未満、特に望ましくは、約100ナノメートル未満)を作る手段としてのマイクロチャネル内で行われることが好ましい。表面積が大きいため、燃焼(520)はより完全に行われ、炭、灰及びタールの生成が低減される。バイオマス堆積物に適した担体(carrier)として、バイオディーゼル、天然ガス、ブタノール、エタノール、ガソリン、二酸化炭素、アンモニア、水素及び水からなる群から選択される少なくとも1種の燃料添加剤が挙げられる。さらなる添加剤として、水、ウエットバイオマス、グリセリン、グリセロール、グリコール(グリコール、ジメチルグリコール、トリメチレングリコールを含む)又はそれらの組合せが挙げられる。バイオマス堆積物のコロイド懸濁液を含む燃料は、多孔性の燃焼チャンバー内での超臨界燃焼に特に適しており、当該分野で認識されているように、生成される排出物はほぼゼロとなる。あるいはまた、超臨界圧力で脱離された冷媒は、プロセス強化反応(530)をより効果的なものにすることができる。反応は、触媒反応、燃焼反応、酵素反応及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるプロセスを含んでいる。特に望ましい実施例は、バイオマス副生成物をさらなる生物燃料へ転換することであって、電気化学的に液体又は気体生物燃料に転換される(500)。特に望ましくは、少なくとも部分的には、電気化学的転換プロセスにより、廃熱を電気に転換することである。この例では、生成されるエネルギーの単位あたりの収益が電力使用料よりもはるかに大きいので、バイオマスの生物燃料転換プラントの収益は著しく増大する。オフグリッド(off-grid)を維持し、メタノール(例えば、逆燃料電池におけるCO2+H2Oによる)又は他の電気化学的反応生成物を生成できるので、より多くの二酸化炭素が中性になること、収益が増加すること、部分的には超臨界圧力により反応速度が速くなること、部分的にはIL、PILP、電子移動メディエータ等により導電性が高くなること、プロセス強化反応(530)が有効になることなど、多くの利点を有している。
【0077】
図15は他の実施例を示しており、吸収式ヒートポンプシステムは、液体乾燥システムと流体流通可能に接続されている。望ましい実施例では、燃焼プロセスの転換は、廃熱が回収される超臨界燃焼(520)を含んでいる。液体乾燥剤システム(540)の廃熱は熱交換器(25)を介して回収され、デソーバ(50)では濃溶液が回収され、次の燃焼サイクル(550)を予熱することができる。燃焼サイクル(550)は、燃焼サイクル吸気、燃焼サイクル燃料及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいる。廃熱回収プロセスを続けると、作動流体の脱離、使用済み/ウエット液体乾燥剤システムの再生又はそれらの組合せを含む手段により、燃焼排出物を回収して、冷却、電力発生又はその両方を行なうことができる。他の態様のエネルギー変換システムでは、液体乾燥剤システム(540)で消費された液体乾燥剤が、乾燥剤(ドライ)又は乾燥剤(ウエット)として、吸収システムデソーバ(50)で脱離された冷媒がある状態又は無い状態で、燃焼サイクル(550)用の燃料又は燃料の1成分としてさらに利用される。望ましい液体乾燥剤は、グリセリン、グリセロール又はグリコール(グリコール、ジメチルグリコール、トリメチレングリコール又はそれらの組合せを含む)を含んでいる。この特徴を利用して、様々な生物燃料の生成を、1つのプラント(特に、熱エネルギー及び副生成物のグリセリンが多く、両方ともエタノール生産の有用な投入物であるバイオディーゼルプラント)に統合することは大きな利点をもたらす。さらに他の実施例では、燃焼サイクル(550)より、液体吸収材を使用した後の排出物を潜在エネルギーとして回収し、該排出物は、燃焼サイクル用の燃料又は1成分として利用される。使用済み液体乾燥剤は、バイオディーゼル、天然ガス、ブタノール、エタノール、ガソリン、二酸化炭素、アンモニア及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の燃料をさらに含むことができる。
【0078】
図16は、超臨界圧力下で、ミクロろ過及びナノろ過を含む膜ろ過の利用例を示している。一連の検出器/制御器は、脱離チャンバー膜のナノろ過(400)の圧力を維持するために必要であり、膜を横切る方向の圧力差は、膜の最大作動圧力よりも小さい。膜の片面に作用する圧力をモニターするために、少なくとも2つの検出器/センサ(70)が必要である。また、フローバルブ(20)により、膜の入力側に入る濃溶液の流れを変えることができ、冷媒の流れを利用及び制御して精密な圧力制御をすることができる。これは、フローバルブ(20)により、膜の外側への冷媒の流れを同時に制御し、圧力差を、膜の仕様に基づく許容可能な使用レベルに維持することによって行われる。分離された冷媒は、所望により、高圧貯蔵タンク(560)に保存されることができ、従来の蒸気圧縮用圧縮機(15)を使用してさらに加圧することにより、特に開始条件時の適正圧力を維持することができる。作動流体の各フローバルブ(20)は、チャンバー膜の両面に対しても個々に制御される。
【0079】
図17は、吸収式ヒートポンプシステムの望ましい実施例を実施することによって実現される他の特徴を示しており、これは、個別に制御される圧縮機及びエネルギー抽出装置と、燃料燃焼チャンバーを具えるエネルギー変換システムであって、最大の電力発生が得られるように、圧力エネルギーは動的に制御されるか又は切り替えられる。圧縮エネルギーは、(a)蓄熱システム(590)、(b)空気、作動流体又はハイドロオイルが入れられた高圧貯蔵タンク(560)、(c)燃料燃焼チャンバー、太陽源及び地熱からの熱エネルギーを含む外部予熱器(580)、(d)少なくとも1つの熱源(燃料燃焼チャンバー、バイオマスの生物燃料転換プロセス、太陽源及び地熱からなる群から選択される)からのデソーバ(50)用廃熱を利用した吸収ヒートポンプ、からなる群から選択される少なくとも1つの源から供給されて、タービン(65)から抽出された膨張エネルギーによって圧縮機(15)が駆動し、圧縮機(15)に吸気(570)が取り入れられる。
【0080】
図18は、デソーバ(50)から脱離された冷媒がCO2を含むさらに他の特徴を示している。CO2は超臨界であり、バイオマス(600)の前処理における利点として、作動流体を、二酸化炭素を作動流体中の他の成分(水、鉱物、鉱塩、不燃物、燃焼副生成物又はそれらの組合せを含む)から分離する手段としてのナノろ過(400)を含む分離プロセスを通過させることができる。バイオマスから生物燃料への転換プロセス(610)を行なう前に、ポリフェノールや芳香環含有化合物を含む環式化合物、多環式化合物及び大環状化合物を、バイオマスから追加分離することは、生物燃料への転換速度の向上及び高価値付加成分の抽出を含む利点をもたらし、収益が向上する。CO2の分離は、CO2を隔離する有効な手段である。特に、CO2が既に超臨界圧力にあるときは、従来のCO2隔離での著しいエネルギー損失を回避することができる。さらに他の望ましい実施例では、キャビテーション装置をさらに含んでおり、吸収(710)及び/又は脱離(720)の速度を向上させることができる。比較的高粘度のILs及びPILPs(特に固体バイオマスが高い)は、キャビテーション装置の使用で得られる利得は特に大きく、吸収モードの稼働中に一様な混合が得られ、脱離モードの稼働中ではストリッピングがもたらされる。
【0081】
図19は、燃焼プロセスと流体流通可能に接続された吸収式ヒートポンプシステムの他の実施例である。望ましい実施例は、レキュペレータ(863)を通じて燃焼プロセス(480)から排気物(581)の廃熱を回収することを含んでおり、底部サイクルの低品質エネルギーは、吸収式ヒートポンプシステムによって有用なエネルギーに変換され、デソーバ(50)から脱離した高圧の冷媒は、圧力交換器(861)(ジェロータ又は、共通シャフトを有する圧縮機と膨張器(例えばタービン)の組合せなど)を通して、吸気(570)が高圧力(望ましくは超臨界圧力)に圧縮される。他の望ましい実施例は、吸気(570)を、凝縮器(860)を通じて予熱するものである。凝縮器(860)は、吸収体(30)(空調/冷却サイクル中に蒸発器を介して熱エネルギーが得られる)から吸収熱を回収する。他のより望ましい実施例は、排気(581)を、レキュペレータ(863)の下流と流体流通可能に接続することであり、少なくとも部分的には、冷媒を脱離するための熱エネルギーを供給し、次に、熱交換器(25)を通じて熱エネルギーを供給して、家庭用水の加熱及びプロセス水の予熱を含む広範囲な目的に利用される。前述の燃焼プロセス(480)で生じた熱エネルギーは、蒸気サイクル、プロセス加熱、ボイラー及び超臨界ボイラーを含む広範囲の熱エネルギー変換プロセスに利用されることができる。
【0082】
図20に示す他の実施例は、一連の熱源を切り替える動的サーマルバスであり、熱源は、一般的な熱交換器(25)及びヒートポンプ(850)を示している(ここでは、熱ダイオード(93)を逆にすると、凝縮器と流体流通可能に接続される)。望ましい実施例は、少なくとも1つの受信スイッチ回路と発信スイッチ(92)を含むスイッチアレイ(94)を有しており(図示では、通常開であり、好ましくは1つが通常閉)、当該分野で知られているように、一連の熱源からのあらゆる熱源を、一連のサーマルバス回路の任意のサーマルバス回路に切り替えることができる。様々なサーマルバス回路の代表例は、目標温度がサーマルバス温度手段(834)から逸脱する一連の回路である。この例では、目標温度が平均より10℃ずつ低い3つの回路(833)(832)(831)と、目標温度が平均より10℃ずつ高い3つの回路(835)(836)(837)を用いる。各サーマルバス回路は、実際の回路温度を検出する温度センサを含む少なくとも1つのセンサ(70)を有している。追加の検出器の測定には、質量の流れ速度、熱エネルギーの流れ速度及び圧力が含まれる。圧力の測定は、特に、圧力が超臨界範囲にあるとき、圧力を破裂圧力よりも低く維持し、圧力損失を最小にするために重要である。動的サーマルバスの望ましい実施例は、一連のセンサを統合し、臨界パラメータを検出し監視することである。パラメータ(以下では“非線形(non-linear)パラメータ”と称する)は、熱源エネルギー効率、熱シンクエネルギー効率、熱源最終生成物性能係数及び熱シンク最終生成物性能係数(例えば、冷却、電気エネルギーを全入力エネルギーで割り算したもの)について、サーマルバス熱交換器入力温度、サーマルバス熱交換器出力温度、サーマルバス質量流量、熱源入力温度、熱源出力温度及び熱源質量流量からなる群から選択される少なくとも1つのパラメータの関数として特定するものである。流体の流れを制御する手段として、当該分野で多くの方法が知られており、例えば、バルブ、特性が例えば温度で変化するスマート材料、可変速ポンプ、フローススイッチ及び熱ダイオードを例示することができる。
【0083】
図21は、一連の熱源を示す他の実施例であり、熱源は、熱源からサーマルバスへ輸送される熱エネルギーが不十分であり、スイッチング回路により、熱源の熱エネルギーを、熱接触又は熱伝達により直接、熱シンク(ヒートポンプ(850)を含む)へ供給して温度を上昇させる。さらに他の実施例では、低温回路(例えば、リフリジェレータの蒸発器(920)用)が、サブ冷却(subcooling)用ヒートポンプ(851)を含む熱源と流体流通可能に接続されている。複数の回路サーマルバスは、例えば、3つの回路(810)(820)(830)によって表されており、それらの回路は、例えばスイッチ回路(840)によって流体の流通路が切り換えられ、流れ及び/又は熱輸送が切り替えられる。さらに他の実施例は、どの回路内の熱源も、各熱源の熱伝達を最大にする方法として熱源入力温度を順次増大することにより、熱源を一連にすることである。或いはまた、どの回路内の熱シンクも、各熱シンクの熱伝達を最大にする方法として熱シンク入力温度を順次低下することにより、熱シンクを一連にすることもできる。
【0084】
住宅/商業/産業環境で考えられる広範囲の熱シンク又は熱源として、例えば、リフリジェレータ凝縮器(910)、リフリジェレータ蒸発器(920)、食器洗い機廃熱回収(930)(所望により水の回収もできる)、オーブンクーラー(940)、水栓シンク(950)、シャワー(960)、電子機器クーラー(970)、照明器クーラー(980)(LEDs、特に一連のLEDsを含む)、ヒートポンプ凝縮器(990)、ヒートポンプ蒸発器(991)、1又は複数の外部熱交換器(992)、及び/又は、窓用熱交換器(993)が挙げられる。前記の窓用熱交換器は、非可視光(紫外線及び/又は赤外線スペクトル)を、サーマルバス回路と熱接触している熱エネルギーに変換する。窓用熱交換器の好ましい例は、可視光線の透明複合体(好ましくは高熱伝導性ナノ複合体を含む)であり、熱エネルギーをサーマルバスに輸送する。より望ましい実施例は、熱伝導率が高い可視光線透明ナノ複合材料薄膜であり、多数枠内空間(multi-pane cavity)に収容され、窓用熱交換器と熱接触している。窓用熱交換器は、好ましくは、超臨界流体熱交換器、特に好ましくは、可視光線吸収が低く、赤外線吸収及び/又は紫外線光吸収が高いナノスケール添加剤を含む流体である。窓用熱交換器の特に望ましい実施例は、赤外線及び/又は紫外線スペクトル波を内部に反射する外部薄膜を有するナノ複合材料薄膜をさらに含んでいる。熱交換器は、内側枠にナノ複合材料薄膜をさらに含んでおり、赤外線及び/又は紫外線スペクトル波を、熱伝導性薄膜に背を向いている外部から反射させ、赤外線及び/又は紫外線スペクトル波を、建物の内部(窓用熱交換器が組み込まれている)から建物内空間に再び反射させて、熱損失を最小にする。窓用熱交換器及び/又は熱伝導性膜は、熱損失を最小にする一手段として、エーロゲルをさらに含むことが望ましい。熱伝導性薄膜及び窓用熱交換器は、当該分野で知られている窓構造から、熱的にさらに分離される。
【0085】
図22に示す望ましい実施例では、サーマルバスの流体の流れは、一連のセンサ(70)を利用して、ポンプ(460)の可変速度制御によって制御されており、センサ(70)は、エネルギー効率を決定する広範なパラメータを検知し監視するもので、パラメータには、入力温度及び出力温度、流体の流れ速度、エネルギー消費量(キロワット時“kwh”)、電力発生量(kwh)、BTU(熱エネルギー)メートルがある。熱力学は非線形性であるため、最良の全システムエネルギー効率の実現は、熱源からの廃熱回収を最大にすることに単に依存するのではなく、むしろ、熱源を通る温度変化(即ちデルタT)に影響を及ぼすために望ましい方法としての精密な流れ制御に依存するものである。サーマルバスは、熱エネルギーシンクの最大熱エネルギー要求の制約内で、最も高いサーマルバス回路の温度利得が最大となるように制御される。前記最大熱エネルギーには、最大の流れ速度及び最高温度が含まれており、システムは、流れ速度の増加が、エネルギーシンクの凝集による最大有用レベルを超えないし、又はあらゆるエネルギーシンクの最大有用温度を超えて、他のエネルギーシンクのエネルギー効率を同時に犠牲にすることはない。サーマルバス回路の温度を最大化するように決定することは、個々の成分エネルギー効率の点では、次のような多くの不都合がある:(a)回収される廃熱の全体量が減少する;(b)蒸気圧縮機システム内のポストコンデンサのサブ冷却/プレ冷却が低減し、空調/冷却を達成する上でエネルギー効率の低下を招く;(c)バイオマス前処理(600)及び/又はバイオマス発酵プロセスの最大プロセス温度では、酵素反応が悪化し、酵素が不活性化されることさえある;(d)吸収体(30)内の吸収エネルギーの除去温度が上昇し、吸収冷却の低下を招くこと;(e)臨界脱離温度を超える温度の上昇により、吸収冷却サイクルのサブ冷却部分で除去に必要なエネルギー量が増加すること;(f)タービン(65)のブレードのような要素の設計限界を超える温度に上昇すると、エネルギー効率は向上しても、システムの寿命を犠牲にするため、発電費用の収益増加よりも、メンテナンス費の増加の方が多くなる可能性があること;(g)実際には不連続的に再成される液体乾燥剤冷却システム(540)を含む多くの熱シンクが、定常状態又は平衡状態にあるときは稼働しないこと、などである。望ましい実施例の他の特徴は、特別に選択されたサーマルバス回路(例えば、最高温度回路(837))からの出力を決定するために前記スイッチ回路(840)を利用することであり、サーマルバス回路は、特に選択された熱シンク(冷却凝縮器(910)のような装置、又は次の燃焼プロセスへ送られる吸気(570)を含む)に流体流通可能に接続されている。
【0086】
サーマルバス流体の流れ方向/経路は、熱源とサーマルバスに流体流通可能(即ち接続)された熱シンクを表す非線形パラメータに基づく一連のアルゴリズムによって制御される。熱源と熱シンクは、熱インターフェースによって少なくとも1つのサーマルバス回路に接続されており、熱インターフェースは熱ダイオード及び/又は熱スイッチを含み、当該分野で知られている熱ダイオード及び/又は熱スイッチとして、液体金属スイッチ、相変化材料、スマート材料、カーボンナノチューブアレイ複合材料のような高熱伝導性ナノ複合材料を含む可動性熱接点を具えるスイッチがある。特に好ましい熱源/シンクは、少なくとも2つのサーマルバス回路との熱接続を変化させる手段を有するスイッチ回路アレイを介して接続される。特に望ましい動的サーマルバススイッチ回路は、少なくとも一連の非線形パラメータ及び少なくとも1つの熱ダイオード/スイッチを含むサーマルバス制御システムに従って制御される。動的サーマルバスは、蓄熱装置をさらに含んでおり、該蓄熱装置は、好ましくは、記憶容量レベル及び温度をリアルタイムフィードバックするためのセンサを含んでいる。動作の制御システムモードには、(a)全熱エネルギーの機械的/電気的エネルギーへの変換を最大にするための方法、(b)達成可能な最高温度で質量の流れ速度を最大にするための方法、(c)達成可能な最低温度で質量の流れ速度を最大にするための方法、(d)温室効果ガスを排出する燃料源のエネルギー消費を最少にするための方法、(e)全ての供給源からのエネルギー消費費用(温室効果ガス排出に関連するの罰金を含む)を最少するための方法、(f)各熱源及び熱シンク(以下では“機器”と称する)が最低稼働条件に確実に適合させることができるパラメータの動作条件の制約をさらに有している前記方法“e”、及び(g)最低稼働条件に適合しないために必要となる定量的費用をさらに含む前記方法“f”、がある。制御システムは、さらに、データ(カレンダー、設備の稼働スケジュール、予測設備の稼働スケジュール、予測天気及び建物使用スケジュールを含む)と、非線形アルゴリズム(設備のエネルギー消費アルゴリズム及び設備のエネルギー生成アルゴリズムを含む)をさらに含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】吸収式ヒートポンプのフローチャート図であって、機械的エネルギー抽出装置として膨張タービンを示す図である。
【図2】吸収式ヒートポンプのフローチャート図であって、蒸気圧縮ポンプ(即ち圧縮機)を駆動する機械的エネルギー抽出装置として膨張タービンを有する吸収式ヒートポンプを示す図である。
【図3】吸収式ヒートポンプのフローチャート図であって、濃溶液温度を増加させる非熱的手段として、磁気冷却ヒートポンプを示す図である。
【図4】吸収式ヒートポンプのフローチャート図であって、膨張タービンの密閉収容部を有する吸収式ヒートポンプを示す図である。
【図5】吸収式ヒートポンプのフローチャート図であって、多段階ヒートポンプシステム凝縮器の予熱濃溶液を示す図である。
【図6】吸収式ヒートポンプの三次元図であって、燃焼器及びレキュペレータの収容部における予熱濃溶液を示す図である。
【図7】吸収式ヒートポンプの断面図であって、太陽熱収集器内の一体型マイクロチャネル熱交換器によって得られた濃溶液脱離熱エネルギーを示す図である。
【図8】吸収式ヒートポンプのフローチャート図であって、ゴスワミサイクルを示す図である。
【図9A】熱力学的ハイドロポンプのフローチャート図である。
【図9B】熱力学的ハイドロポンプのフローチャート図である。
【図10】濃溶液から冷媒を脱離するための非熱的ナノろ過膜のフローチャート図である。
【図11A】二段吸収式ヒートポンプシステムの一例のフローチャート図である。
【図11B】二段吸収式ヒートポンプシステムの一例のフローチャート図である。
【図11C】二段吸収式ヒートポンプシステムの一例のフローチャート図である。
【図11D】二段吸収式ヒートポンプシステムの一例のフローチャート図である。
【図12】吸収式ヒートポンプシステムから脱離された冷媒の複数使用例のフローチャート図である。
【図13】燃焼副生成物を清浄する希薄溶液及び/又は冷媒の複数使用例のフローチャート図である。
【図14】吸収式ヒートポンプのフローチャート図であって、バイオマスの生物燃料転換プロセスの一体要素として示す図である。
【図15】一体化された液体乾燥剤及び燃焼システムのフローチャート図である。
【図16】膜のろ過システムのフローチャート図であって、膜を横切る圧力の平衡状態を示す図である。
【図17】圧縮機とエネルギー抽出装置を独立制御する一体型燃焼システムのフローチャート図である。
【図18】キャビテーションが高められた吸収式ヒートポンプとバイオマス−生物燃料転換プロセスのフローチャート図である。
【図19】底部サイクル廃熱を利用して圧縮機に動力を供給する吸収式ヒートポンプのフローチャート図である。
【図20】サーマルバススイッチング回路のフローチャート図である。
【図21】サーマルバスと様々な熱源のフローチャート図である。
【図22】サーマルバスと様々な熱シンクのフローチャート図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収式ヒートポンプシステムと、少なくとも1種の作動流体とを含み、該作動流体は、イオン性液体、イオン性固体、エレクトライド溶液及びアルカライド溶液からなる群から選択される、エネルギー変換システム。
【請求項2】
吸収式ヒートポンプシステムと、少なくとも1種の超臨界作動流体と、(a)スピニングディスク反応器、(b)圧力トレイン式熱交換器を含む熱−ハイドロ圧縮機、(c)間欠的又はパルス的な流れを有する一連の独立した圧力ステージ、(d)一体型熱シンク又はジェロータを有するハイドロポンプ、及び(e)ジェロータ、膨張タービン、膨張ポンプ、スターリングサイクルエンジン、エリクソンサイクルエンジン又はラムジエットタービンを含む機械的エネルギー抽出装置からなる群から選択される少なくとも1つの装置とを含んでいる、エネルギー変換システム。
【請求項3】
吸収式ヒートポンプシステムと、少なくとも1つの熱的方法及び少なくとも1つの非熱的方法によって脱離された作動流体とを含み、非熱的方法は、磁気冷却、太陽に活性化された直接スペクトル光吸収、電気透析、静電場の印加、膜分離、電気脱離、浸透気化分離、ガス遠心分離の適用、ボルテックス管CO2−液体吸収体の適用及びデカンティングからなる群から選択される、エネルギー変換システム。
【請求項4】
少なくとも1種の超臨界流体は、逐次的に連続して、少なくとも2つの脱離ゾーン又は過熱蒸気ゾーンの中へ、間欠的又はパルス的に送られる請求項2のエネルギー変換システム。
【請求項5】
吸収式ヒートポンプによって漏れた冷媒を捕獲することができる密閉容器をさらに含んでおり、該密閉容器は、周期的に希薄溶液中に排出される請求項4のエネルギー変換システム。
【請求項6】
吸収速度を高めることができ、流体力学キャビテーションを生成することができるキャビテーション装置をさらに含んでいる請求項4のエネルギー変換システム。
【請求項7】
少なくとも1種の超臨界流体は、ピストン無しの手段、キャピラリー装置又はヒートパイプによって、逐次的に、間欠的又はパルス的に送られる請求項4のエネルギー変換システム。
【請求項8】
第1ステージと第2ステージで運転することができるマルチステージの吸収式ヒートポンプを含み、第1ステージで使用される少なくとも1種の第1冷媒と、第2ステージで使用される少なくとも1種の第2の冷媒とを有する、エネルギー変換システム。
【請求項9】
燃焼プロセスをさらに含み、該燃焼プロセスは、排出物を生成することができ、排出物は、二酸化炭素固定手段として吸収式ヒートポンプに注入される請求項2のエネルギー変換システム。
【請求項10】
燃焼プロセスの排出物は、NOx及び硫黄を含む排気副生成物を低減するための処理がさらに施される請求項9のエネルギー変換システム。
【請求項11】
燃焼プロセスと、熱伝導損失を含む廃熱を回収できる燃焼レキュペレータとをさらに含んでおり、回収された廃熱は、吸収式ヒートポンプシステムから超臨界作動流体を脱離するために使用される請求項2のエネルギー変換システム。
【請求項12】
少なくとも1つの一体型太陽熱集熱器と、少なくとも1つの一体型太陽光集光器とをさらに含んでおり、前記太陽熱集熱器と前記太陽光集光器は直列に接続され、少なくとも2つの独立した圧力ゾーンを生成する請求項2のエネルギー変換システム。
【請求項13】
少なくとも1種の吸収体をさらに含んでおり、該吸収体は、イオン性液体、イオン性固体、エレクトライド溶液及びアルカライド溶液からなる群から選択される請求項12のエネルギー変換システム。
【請求項14】
少なくとも1つの一体型超音波装置を有する吸収式ヒートポンプシステムを具えており、前記超音波装置は、圧縮機及びタービンからなる群から選択され、前記圧縮機及びタービンは、ラムジェット又はパルスジェットの原理に基づいて動作可能である、エネルギー変換システム。
【請求項15】
エネルギー変換システムは、熱力学サイクルで動作可能であり、前記サイクルは、ゴスワミサイクル、カリナサイクル、ベーカーサイクル、ウエハラサイクル及びそれらの誘導サイクルからなる群から選択される請求項2のエネルギー変換システム。
【請求項16】
少なくとも1種のナノスケール粉末をさらに含んでおり、該ナノスケール粉末は、導電性粉末、半導電性粉末、強誘電性粉末及び強磁性粉末からなる群から選択される請求項1のエネルギー変換システム。
【請求項17】
少なくとも1種のナノスケール粉末をさらに含んでおり、該ナノスケール粉末は、導電性粉末、半導電性粉末、強誘電性粉末及び強磁性粉末からなる群から選択され、粉末は、ナノスケール表面改質され、表面改質された粉末は、単層又は複層のナノスケールコーティングを含んでいる請求項3のエネルギー変換システム。
【請求項18】
少なくとも1種の作動流体は、部分的に混和性であり、相分離は、少なくとも1種の作動流体パラメータを変える手段によって行われ、前記作動流体パラメータは、温度、圧力及びpHからなる群から選択される請求項1のエネルギー変換システム。
【請求項19】
少なくとも1種の作動流体は、部分的に混和性であり、相分離は、少なくとも1種の作動流体パラメータを変える手段によって行われ、前記作動流体パラメータは、温度、圧力及びpHからなる群から選択される請求項2のエネルギー変換システム。
【請求項20】
作動流体は、エレクトライド溶液又はアルカライド溶液であり、前記溶液は、熱エネルギーの電力発生を最大化する手段としての追加の熱力学的サイクルとさらに動作可能である請求項1のエネルギー変換システム。
【請求項21】
少なくとも1種の作動流体は、部分的に混和性であり、相分離は、少なくとも1種の作動流体パラメータを変える手段によって行われ、前記作動流体パラメータは、温度、圧力及びpHからなる群から選択される請求項3のエネルギー変換システム。
【請求項22】
熱的ハイドロポンプとして動作可能な吸収式ヒートポンプを具えるエネルギー変換システムであって、熱的ハイドロポンプは、超臨界作動流体をさらに含み、超臨界作動流体は、逐次的に、一体型熱交換器を通じて間欠的又はパルス的に送られ、超臨界作動流体は、吸収式ヒートポンプによって脱離される、エネルギー変換システム。
【請求項23】
超臨界作動流体は、少なくとも1種の吸収体をさらに含んでおり、該吸収体は、イオン性液体、イオン性固体、エレクトライド溶液及びアルカライド溶液からなる群から選択される請求項22のエネルギー変換システム。
【請求項24】
作動流体は、少なくとも1種のイオン性液体モノマーと、少なくとも1種のイオン性液体ポリマーとをさらに含んでいる請求項1のエネルギー変換システム。
【請求項25】
イオン性液体ポリマーの粒子サイズは、約0.1ナノメートル〜約500ミクロンである請求項24のエネルギー変換システム。
【請求項26】
イオン性液体ポリマーの粒子サイズは、約10ナノメートル〜約5ミクロンである請求項24のエネルギー変換システム。
【請求項27】
イオン性液体ポリマーの粒子サイズは、約0.1ナノメートル〜約500ナノメートルである、請求項24のエネルギー変換システム。
【請求項28】
吸収式ヒートポンプと作動流体とを含むエネルギー変換システム作動流体であって、作動流体は、ポリ(イオン性液体)ポリマーと少なくとも1種の添加剤とを含んでおり、前記添加剤は、イオン性液体、非ポリマー固体吸着材及びそれらの組合せからなる群から選択される、エネルギー変換システム作動流体。
【請求項29】
作動流体は、少なくとも1種の非イオン性化合物をさらに含んでおり、前記非イオン性化合物は、環式化合物、多環式化合物及び大環状化合物からなる群から選択され、酸化防止剤、ポリフェノール、リグナン及びビタミンを含んでおり、前記作動流体は、向上した熱安定性と向上した使用寿命を有している請求項28のエネルギー変換システム。
【請求項30】
作動流体は、少なくとも1種の添加剤をさらに含んでおり、前記添加剤は、電子移動メディエータ、電子供与体、電子受容体、紫外線吸収材、赤外線吸収材、量子ドット及びナノスケール粉末からなる群から選択される請求項28のエネルギー変換システム。
【請求項31】
吸収式ヒートポンプは、脱離エネルギーに対するマイクロ波を使用する請求項28のエネルギー変換システム。
【請求項32】
吸収式ヒートポンプは、少なくとも1つのエネルギー源又はエネルギー場からエネルギーを吸収する物質を有しないナノろ過装置をさらに含んでおり、エネルギー源又はエネルギー場は、マイクロ波エネルギー、無線周波エネルギー、静電場及び磁場からなる群から選択される請求項28のエネルギー変換システム。
【請求項33】
作動流体は、磁気イオン性液体、ポリ(イオン性液体)ポリマー及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項28のエネルギー変換システム。
【請求項34】
電子移動メディエータは、ポリカチオン性蛋白質、チオレート架橋された錯体、チオレート錯体、金属蛋白質、鉄硫黄クラスターを有する蛋白質複合体、トレハロース複合体、鉄硫黄クラスター、ナトリウム・アンモニア、硫黄・アンモニア、キトサン錯体及びそれらの組合せを含んでおり、前記キトサン錯体は、乳酸キトサン、アルファリポ酸キトサン及びチオール化キトサンを含んでいる請求項30のエネルギー変換システム。
【請求項35】
作動流体は、電子移動を促進することができる添加剤をさらに含んでおり、該添加剤は、鉄塩、鉄塩誘導体、カリウム塩、乳酸塩、カリウム塩誘導体、乳酸塩誘導体、フィチン酸、没食子酸及びそれらの組合せを含んでいる請求項28のエネルギー変換システム。
【請求項36】
複数の圧力ステージを有する吸収式ヒートポンプを具えるエネルギー変換システムであって、第1圧力ステージは第1圧力P1を有し、第2圧力ステージは第2圧力P2を有しており、第1圧力P1は第2圧力P2より小さい、エネルギー変換システム。
【請求項37】
複数の圧力ステージは、少なくとも1つの吸収圧力ステージと、少なくとも1つの蒸気圧縮圧力ステージとを有している請求項36のエネルギー変換システム。
【請求項38】
複数の圧力ステージは、第1圧力ステージ及び第2圧力ステージで作動することができるようになし、第1圧力ステージで使用される少なくとも1種の吸収材A1と、第2圧力ステージで使用される少なくとも1種の吸収材A2とを有しており、吸収材は、固体吸着剤、イオン性液体、ポリ(イオン性液体)ポリマー及びそれらの組合せを含んでいる請求項36のエネルギー変換システム。
【請求項39】
吸収材A1は、吸収材A2に混合され、圧力P2まで上昇させるのに必要なエネルギーは、吸収材A1に対して圧力をP1からP2に上昇させるのに必要なエネルギーより低い請求項38のエネルギー変換システム。
【請求項40】
吸収材A1は、固体吸着剤、ポリ(イオン性液体)ポリマー及びそれらの組合せからなる群から選択され、吸収材A2は、イオン性液体、グリセリン、水及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項39のエネルギー変換システム。
【請求項41】
吸収式ヒートポンプと、作動流体と、脱離ステージとを具えるエネルギー変換システムであって、作動流体は次に、希薄溶液作動流体及び冷媒の中に脱離され、冷媒は、(a)酵素化学及び発酵化学を含む反応化学プロセス、(b)成分抽出プロセス、(c)超臨界燃焼プロセス、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのプロセスステージで処理され、作動流体圧力を運転圧力P1まで上昇させるのに必要な機械的及び電気的複合エネルギーE1は、作動流体の圧縮可能な部分を圧縮することにより、作動流体圧力を運転圧力P1まで上昇させるのに必要な機械的及び電気的複合エネルギーE2よりも10%以上少ない、エネルギー変換システム。
【請求項42】
少なくとも1つのプロセスステージは、プロセス強化リアクターを使用しており、該プロセス強化リアクターは、流体力学的キャビテーション、マイクロチャネルリアクター、スピニングディスク、管内のスピニング管、揺動流リアクター及び反応蒸留リアクターからなる群から選択される請求項41のエネルギー変換システム。
【請求項43】
少なくとも1つのプロセスステージは、ナノスケール触媒をさらに含んでいる請求項42のエネルギー変換システム。
【請求項44】
少なくとも1つのプロセスステージは、固定化酵素をさらに含んでいる請求項42のエネルギー変換システム。
【請求項45】
固定化酵素は、少なくとも1種のイオン性液体の中に固定化され、該イオン性液体は、ポリ(イオン性液体)ポリマー及びイオン性液体からなる群から選択される請求項44のエネルギー変換システム。
【請求項46】
固定化酵素は、(a)イオン性液体から固定化酵素を除去すること、(b)イオン性液体内で活性酵素を補充し、次に固定化すること、を含むプロセスステージによってさらに処理される請求項45のエネルギー変換システム。
【請求項47】
固定化酵素は、(a)酵素のさらなる追加によって、イオン性液体から固定化酵素を除去し、固定化酵素を、アミノ酸、蛋白質加水分解物及びそれらの組合せを含む副生成物に変換することを含む逐次的プロセスステージによってさらに処理される請求項46のエネルギー変換システム。
【請求項48】
作動流体は、少なくとも第1相と第2相を含んでおり、第1相はイオン性液体を含有し、第2相はイオン性液体に不溶性又は部分的に不混和性である請求項47のエネルギー変換システム。
【請求項49】
吸収式ヒートポンプシステムは、イオン性液体の吸収速度、イオン性液体の脱離速度、触媒変換速度及び酵素変換速度からなる群から選択される少なくとも1つのパラメータをモニターするための検出器をさらに含んでいる請求項41のエネルギー変換システム。
【請求項50】
超臨界燃焼プロセスステージは、キトサン、グリセリン、セルロース及びリグナンを含む少なくとも1種の燃料添加剤をさらに含んでいる請求項41のエネルギー変換システム。
【請求項51】
超臨界燃焼プロセスステージは、燃料をさらに含んでおり、燃料は、バイオディーゼル、天然ガス、ブタノール、エタノール、ガソリン、二酸化炭素、アンモニア、水素及び水からなる群から選択される少なくとも1種の燃料添加剤をさらに含んでいる請求項50のエネルギー変換システム。
【請求項52】
超臨界燃焼プロセスステージは、多孔質燃焼チャンバー内での燃焼プロセスを含んでいる請求項41のエネルギー変換システム。
【請求項53】
超臨界燃焼プロセスステージは、廃棄副生成物を生成することができ、廃棄副生成物は、作動流体内の少なくとも1種の成分によって除去される請求項41のエネルギー変換システム。
【請求項54】
燃焼プロセスステージは、燃焼サイクルと不燃焼サイクルを不連続で稼働することができ、廃棄副生成物は不燃焼サイクルで除去される請求項53のエネルギー変換システム。
【請求項55】
燃焼プロセスステージは、化学量論的燃焼に必要とされるガス量よりも多い過剰量のガスを含有する燃料をさらに含んでいる請求項41のエネルギー変換システム。
【請求項56】
吸収式ヒートポンプシステムと作動流体とを含むエネルギー変換システムであって、作動流体は、バイオマスから生物燃料への転換プロセスで生じる少なくとも1種の副生成物を吸収し、該副生成物は、二酸化炭素、メタン及びメタノールからなる群から選択され、作動流体は、動作圧力P0で少なくとも1種の副生成物を吸収する、エネルギー変換システム。
【請求項57】
バイオマスから生物燃料への転換プロセスは、廃熱を生成することができ、廃熱は、動作圧力P1で少なくとも1種の副生成物を脱離するのに使用され、P1はP0より大きい請求項56のエネルギー変換システム。
【請求項58】
バイオマスから生物燃料への転換プロセスは、触媒反応、燃焼反応及び酵素反応からなる群から選択される少なくとも1つの転換プロセスステージを有している請求項56のエネルギー変換システム。
【請求項59】
バイオマスから生物燃料への転換プロセスは、少なくとも1種の副生成物を電気化学的に液体又はガス体燃料に転換することができるプロセスステージをさらに含んでいる請求項56のエネルギー変換システム。
【請求項60】
少なくとも1種の副生成物を電気化学的に変換することができるプロセスステージは、少なくとも部分的には、吸収式ヒートポンプシステムから生成された電気によって動力が供給される請求項56のエネルギー変換システム。
【請求項61】
吸収式ヒートポンプは、ジェロータ、ピストン及びタービンからなる群から選択される圧力交換器をさらに具えている請求項41のエネルギー変換システム。
【請求項62】
作動流体は、冷媒を含んでおり、冷媒は、少なくとも1種の添加剤をさらに含む混合物の中に混合され、前記添加剤は、水、ウエットバイオマス、グリセリン、グリセロール、グリコール、バイオディーゼル、天然ガス、ブタノール、エタノール、ガソリン、二酸化炭素、アンモニア及び水素からなる群から選択され、前記グリコールは、グリコール、ジメチルグリコール、トリメチレングリコールを含んでいる請求項41のエネルギー変換システム。
【請求項63】
混合物は、超臨界燃焼プロセスで使用されることができる請求項62のエネルギー変換システム。
【請求項64】
混合物は、プロセス強化プロセスで使用されることができる請求項63のエネルギー変換システム。
【請求項65】
液体乾燥剤システムと流体流通可能に接続されている吸収式ヒートポンプを具える、エネルギー変換システム。
【請求項66】
廃熱を生成できる燃焼サイクルをさらに含んでおり、廃熱は、さらなる冷却、電力発生又はそれらの組合せを生成するために使用される請求項65のエネルギー変換システム。
【請求項67】
廃熱は、作動流体を脱離するため、又は液体乾燥剤システムを再生させるため、又はその両方を行なうために使用される請求項66のエネルギー変換システム。
【請求項68】
廃熱は、作動流体を脱離するため、又は液体乾燥剤システムを再生させるため、又はその両方を行なうために使用される請求項65のエネルギー変換システム。
【請求項69】
吸収式ヒートポンプと燃焼システムを含むエネルギー変換システムであって、燃焼システムは、燃焼副生成物を生成することができ、吸収式ヒートポンプの作動流体は、燃焼副生成物の燃焼システムを清浄にするために使用される、エネルギー変換システム。
【請求項70】
吸収式ヒートポンプは、冷媒吸収ステージを有しており、燃焼副生成物は、不純物を含み、作動流体は、冷媒吸収ステージ前に作動流体から不純物を分離する処理がさらに施される請求項69のエネルギー変換システム。
【請求項71】
液体乾燥剤システムと燃焼サイクルを具えるエネルギー変換システムであって、液体乾燥剤システムは、使用済みの液体乾燥剤を再生するプロセスから廃熱を生成することができ、廃熱は、後の燃焼サイクルプロセスにおける燃焼インプットを予熱するために用いられ、前記燃焼インプットは、燃焼サイクル吸気、燃焼サイクル燃料及びそれらの組合せからなる群から選択される、エネルギー変換システム。
【請求項72】
燃焼サイクルプロセスは、さらなる廃熱を生成することができ、該廃熱は、使用済みの液体乾燥剤を再生するためにさらに使用される請求項71のエネルギー変換システム。
【請求項73】
燃焼サイクルは、燃料を燃焼させることができ、燃料は、使用済みの液体乾燥剤をさらに含んでいる請求項71のエネルギー変換システム。
【請求項74】
使用済みの液体乾燥剤は、超臨界ガスをさらに含んでいる請求項71のエネルギー変換システム。
【請求項75】
液体乾燥剤は、少なくとも1種の液体乾燥剤を含んでおり、該液体乾燥剤は、(a)グリセリン、(b)グリセロール、及び(c)ジメチルグリセロール及びトリメチレングリコールからなる群から選択されるグリコールを含むグリコール、からなる群から選択される請求項71のエネルギー変換システム。
【請求項76】
使用済みの液体乾燥剤は、少なくとも1種の燃料をさらに含んでおり、該燃料は、バイオディーゼル、天然ガス、ブタノール、エタノール、ガソリン、二酸化炭素、アンモニア及び水素からなる群から選択される請求項71のエネルギー変換システム。
【請求項77】
燃料の圧力は、超臨界圧力よりも大きい請求項76のエネルギー変換システム。
【請求項78】
燃焼プロセスと液体吸収材を含むエネルギー変換システムであって、燃焼プロセスは、排出物を生成することができ、前記液体吸収材は、使用済み液体吸収材になる排出物から潜在エネルギーを回収することができ、使用済み液体吸収材は燃料の少なくとも一部として利用されることができる、エネルギー変換システム。
【請求項79】
脱離チャンバー膜を横切る圧力を維持するための検出器/コントローラを備えるエネルギー変換システムであって、脱離チャンバー膜を横切る圧力は、圧力差があり、圧力差は、最大脱離チャンバー膜の作動圧力よりも小さい、エネルギー変換システム。
【請求項80】
脱離チャンバー膜は、入口側と出口側を有しており、エネルギー変換システムは、作動流体をさらに含んでおり、検出器/コントローラは、脱離チャンバー膜の入口側と出口側の両方に流れる作動流体の流れを個々に変えることができる請求項79のエネルギー変換システム。
【請求項81】
燃料燃焼チャンバーと、個々に且つ動的に制御されることができる圧縮機と、発電を最大にするために個々に制御されることができるエネルギー抽出装置とを具えている、エネルギー変換システム。
【請求項82】
圧縮機は、圧縮エネルギー消費し、圧縮エネルギーは、少なくとも1つの供給源から提供され、該供給源は、(a)蓄熱システムと、(b)空気、作動流体又はハイドロ油が入れられた高圧貯蔵タンクと、(c)燃料燃焼チャンバー、太陽熱及び地熱からの熱源を含む外部予熱器と、(d)燃料燃焼チャンバー、バイオマス−生物燃料転換プロセス、太陽熱及び地熱からなる群から選択される少なくとも1種の供給源からの廃熱を使用する吸収式ヒートポンプと、からなる群から選択される請求項81のエネルギー変換システム。
【請求項83】
第1圧力ステージの前の圧力は、初期圧力P0であり、エネルギー変換システムは、圧力をP0からP2に上昇させる作業モードをさらに有しており、該作業モードは、(a)第1の吸着又は吸収ステージを有し、該ステージは、圧力がP11であり、固体又は液体吸収材を含む吸収材A11を有し、第2の吸着又は吸収ステージを有し、該ステージは、圧力がP21であり、吸収材A21を含み、A11はA21と混合され、A21は非圧縮性液体吸着材であり、P11はP21よりも小さい圧力であるモード、及び、(2)第1の非吸着圧縮ステージを有し、該ステージは、圧縮機又はターボチャージャを含んでおり、圧力はP12であり、初期圧力P02から作動圧力P12に上昇し、第2の吸着又は吸収ステージを有し、該ステージは、圧力がP22であり、固体又は液体吸着材を含む吸収材A22を有し、P12はP22よりも小さい圧力であるモード、からなる群から選択される請求項36のエネルギー変換システム。
【請求項84】
圧力を、第2の吸着又は吸収ステージの圧力よりも上昇させることができる第3の吸着又は吸収ステージをさらに有しており、圧力の上昇は、非吸収式圧力プロセス又は吸収式ポンピングプロセスを含む手段によって行われる請求項83のエネルギー変換システム。
【請求項85】
エネルギー変換システムは、二酸化炭素と少なくとも1種の追加の流体成分を含有する作動流体をさらに含んでおり、作動流体は、作動流体内の少なくとも1種の追加流体成分から二酸化炭素を分離する手段として、少なくとも1つの分離プロセスステップを通過する請求項83のエネルギー変換システム。
【請求項86】
エネルギー変換システムは、二酸化炭素を隔離することができる請求項83のエネルギー変換システム。
【請求項87】
吸収式ヒートポンプは、吸収速度及び吸着速度からなる群から選択される少なくとも1つの速度を向上させることができるキャビテーション装置をさらに具えている請求項83のエネルギー変換システム。
【請求項88】
エネルギー変換システムは、少なくとも1種のナノスケール粉末を含有する作動流体をさらに含んでおり、ナノスケール粉末は、導電性粉末、半導電性粉末、強誘電性粉末、強磁性粉末及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項83のエネルギー変換システム。
【請求項89】
少なくとも1種の作動流体をさらに含んでおり、作動流体は部分的に混和性であり、温度、圧力及びpHからなる群から選択される少なくとも1種のパラメータを変える手段によって相分離を行なうことができる請求項83のエネルギー変換システム。
【請求項90】
バイオマスから生物燃料への転換プロセスの前に、バイオマスの中には、ポリフェノール及び芳香環含有化合物を含む、環式化合物、多環式化合物及び大環状化合物を含有する作動流体がさらに含まれており、エネルギー変換システムは、作動流体から、環式化合物、多環式化合物及び大環状化合物を分離する分離方法をさらに含んでいる請求項36のエネルギー変換システム。
【請求項91】
複数のサーマルバス回路を有する動的且つ切替可能なサーマルバスと、熱源装置及び熱シンク装置からなる群から選択される複数の装置と、サーマルバス回路と装置の間で動的な熱輸送を行なうことができるスイッチング回路とを具えている、エネルギー変換システム。
【請求項92】
熱源エネルギー効率、熱シンクエネルギー効率、熱源及び生成物の性能係数並びに熱シンク及び生成物の性能係数からなる群から選択される少なくとも1つのパラメータを決定できる非線形アルゴリズムを有する制御システムをさらに具えている請求項91のエネルギー変換システム。
【請求項93】
制御システムは、サーマルバス熱交換器入口温度、サーマルバス熱交換器出口温度、サーマルバス質量の流れ速度、熱源入口温度、熱源出口温度及び熱源質量の流れ速度からなる群から選択される少なくとも1つのパラメータの関数として機能することができる請求項92のエネルギー変換システム。
【請求項94】
制御システムは、熱源、熱シンク及びサーマルバス回路との間で流体の流れを動的に制御することができ、熱源は、熱源入口温度の高い順に並べられることができ、熱シンクは、減少する熱シンク入口温度の低い順に並べられることができる請求項92のエネルギー変換システム。
【請求項95】
サーマルバス回路と熱的接触する窓用熱交換器をさらに含んでおり、窓用熱交換器は光に曝露され、紫外線スペクトル及び/又は赤外線スペクトルを熱エネルギーに変えることができる請求項91のエネルギー変換システム。
【請求項96】
制御システムは、熱源、熱シンク及びサーマルバス回路との間で流体の流れを動的に制御することができ、サーマルバスは、最大エネルギー需要、流れの最高速度及び最高温度を含む熱シンクの作動パラメータの制約内で、サーマルバス回路の温度利得が最大となるように制御される請求項92のエネルギー変換システム。
【請求項97】
制御システムは、(a)トータル熱エネルギーから機械的/電気的エネルギーへの変換を最大にするモード、(b)達成可能な最も高い温度で質量の流れを最大にするモード、(c)達成可能な最も低い温度で質量の流れを最大にするモード、(d)温室効果ガスを放出する燃料源からのエネルギー消費を最少にするモード、(e)全ての供給源からのエネルギー消費及び温室効果ガス排出に関連するの罰金に要する費用を最少するモード、(f)前記モード“e”において、各熱源及び熱シンクが最低稼働条件に確実に適合させることができるパラメータの動作条件の制約をさらに有しているモード、及び(g)前記モード“f”において、最低稼働条件に適合しないために必要となる定量的費用をさらに含むモード、からなる群から選択されるモードで稼働される請求項92のエネルギー変換システム。
【請求項98】
制御システムは、カレンダー、設備の稼働スケジュール、予測設備の稼働スケジュール、予測天気及び建物使用スケジュールを含むデータをさらに有すると共に、熱シンクのエネルギー消費アルゴリズム及び熱シンクのエネルギー生成アルゴリズムを含む非線形アルゴリズムをさらに有している請求項92のエネルギー変換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−523992(P2009−523992A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550462(P2008−550462)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/001120
【国際公開番号】WO2007/082103
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508194191)レクソース サーミオニクス,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】reXorce Thermionics,Inc.
【Fターム(参考)】