説明

高周波信号供給装置

【課題】高周波信号をバランス良く単相回路と多相回路のすべての電力線に供給でき、かつ、供給された高周波信号が電力供給側に流れるのを防止することのできる高周波信号供給装置を提供する。
【解決手段】電力供給側から電力需要側へ、少なくとも一対の電力線を用いて低周波交流電力を供給する電力供給線に、高周波信号出力装置から出力される高周波信号を供給する高周波信号供給装置であって、対となる電力線のそれぞれに二次誘導コイルを接続し、二次誘導コイルと電磁的に結合された一次誘導コイルに、高周波信号出力装置から出力される高周波信号を供給し、二次誘導コイルより電力供給側の一方の電力線と他方の電力線とを、低周波交流電力に対して所定の下限値以上の高インピーダンスが得られ、かつ、高周波信号に対しては所定の上限値以下の低インピーダンスが得られるコンデンサーで接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相回路や多相回路にバランス良く高周波信号を供給することのでき、かつ、供給された高周波信号の漏洩を防止することができる高周波信号供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高周波を用いて通信を行う技術等の進展によって単相回路や多相回路に流れる交流電流に高周波信号を供給する技術の必要性が高まりつつある。
例えば、高周波を用いて通信を行う技術の一つとして既に各家庭に張り巡らされている商用電源ラインである単相三線式交流電力線を通信回線として利用するPLC通信(Power Line Communication)が挙げられる。
【0003】
このPLC通信とは、既存のインフラである商用電源ラインを通信回線として利用し、AC100V(50/60Hz)の電力線に流れる交流電流に高周波信号を重畳供給して通信を行うものであり、既に各家庭において張り巡らされている電源ラインを使用するため新規配線工事が不要で経済的であるという利点がある。
【0004】
そこで、単相回路や多相回路に高周波信号を供給する技術として、一つの信号用変成器を用いて複数の電力線に高周波信号を重畳供給する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−37533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、供給された高周波信号が電力供給側、例えば柱上トランスまで流れる場合がある。その結果、柱上トランスまで流れる高周波信号に対して既存の電力線の電気的平衡度が低いため、電力線自体がアンテナとして作用し、供給された高周波信号が電磁波として漏えいする恐れがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高周波信号をバランス良く単相回路や多相回路のすべての電力線に供給でき、かつ、供給された高周波信号が電力供給側に流れるのを防止することのできる高周波信号供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る高周波信号供給装置は、電力供給側から電力需要側へ、少なくとも一対の電力線を用いて低周波交流電力を供給する電力供給線に、高周波信号出力装置から出力される高周波信号を供給する高周波信号供給装置であって、対となる電力線のそれぞれに二次誘導コイルを接続し、二次誘導コイルと電磁的に結合された一次誘導コイルに、高周波信号出力装置から出力される高周波信号を供給し、二次誘導コイルより電力供給側の一方の電力線と他方の電力線とを、低周波交流電力に対して所定の下限値以上の高インピーダンスが得られ、かつ、高周波信号に対しては所定の上限値以下の低インピーダンスが得られるコンデンサーで接続したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項2に係る高周波信号供給装置は、電力供給側と電力需要側との間に、二次誘導コイルを直列に接続したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項3に係る高周波信号供給装置は、一方の電力線と、電力線と対となっている他方の電力線との間に、二次誘導コイルとコンデンサーとの直列回路を接続したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項4に係る高周波信号供給装置は、二対以上の電力線のうち、一部の電力線を供用することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項5に係る高周波信号供給装置は、二対の電力線のうち、一方の一対の電力線のうちの一方の電力線と、他方の一対の電力線のうちの一方の電力線とを供用した三線を用いたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項6に係る高周波信号供給装置は、異なる相の電力線の二次誘導コイルが一の強磁性体を共通の磁芯としていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項7に係る高周波信号供給装置は、高周波信号供給装置の一の端子を一の電力線に、高周波信号供給装置の他の一端を前記電力線と対を成す電力線に接続したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、対となる電力線のそれぞれに二次誘導コイルを接続し、二次誘導コイルと電磁的に結合された一次誘導コイルに、高周波信号出力装置から出力される高周波信号を供給し、二次誘導コイルより電力供給側の一方の電力線と他方の電力線とを、低周波交流電力に対して所定の下限値以上の高インピーダンスが得られ、かつ、高周波信号に対しては所定の上限値以下の低インピーダンスが得られるコンデンサーで接続するように構成されているので、対となるすべての電力線にバランス良く高周波信号を供給することができる。また、供給された高周波信号が電力供給側、例えば柱上トランスまで流れ、電磁波として漏えいすることを防止することができる。さらに、電力供給側からの高周波ノイズが電力需要側に流れ込むことも防止することができるので、通信機器等の通信品質低下を防ぐことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、電力供給側と電力需要側との間に、二次誘導コイルを直列に接続するように構成されているので、すべての電力線にバランス良く高周波信号を供給することができ、かつ、供給された高周波信号が電力供給側に流れることを防止することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、一方の電力線と、電力線と対となっている他方の電力線との間に、二次誘導コイルとコンデンサーとの直列回路を接続するように構成されているので、例えば既に電力線が配設されているような場合であっても、高周波信号供給装置を簡便に設置することができる。また、請求項1、2と同様に、すべての電力線にバランス良く高周波電流を供給することができ、かつ、供給された高周波信号が電力供給側に流れることを防止することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、二対以上の電力線のうち、一部の電力線を供用するように構成されているので、電力線の本数を減らすことができ、よって高周波信号供給装置を小型化することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、二対の電力線のうち、一方の一対の電力線のうちの一方の電力線と、他方の一対の電力線のうちの一方の電力線とを供用した三線を用いるように構成されているので、単相三線式交流電力線にも用いることができる。これにより、例えば電力線を通信回線として使用する電力線通信に適用することができ、高周波信号供給装置からの高周波信号をバランス良く、三線に供給することができる。そして、電力線に供給された高周波信号が、例えば柱上トランスまで流れ、該高周波信号が電磁波として漏えいすることを防止することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、異なる相の電力線の二次誘導コイルが一の強磁性体を共通の磁芯とするように構成されているので、各相電力線の作る磁束が互いに打ち消し合い、合成された磁束は小さくなる。従って、例えば、フェライト等の強磁性体から構成されるカプラを使用するような場合、フェライトカプラの断面積を大きくすることなく高周波信号の波形の歪みを防ぐことができ、かつ、装置全体で使用するカプラの個数を減らすことができるので、高周波信号供給装置を小型化することができる。また、高周波出力装置からの高周波信号の電力線への供給効率を高めることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、高周波信号供給装置の一の端子を一の電力線に、高周波信号供給装置の他の一端を電力線と対を成す電力線に接続するように構成されているので、高周波信号供給装置の駆動電力を電力線から取得することができ、駆動電力を取得するための別の電路を必要とせずに高周波信号出力装置を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本願請求項に係る発明(以下では、単に「本発明」という)を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
(実施例1)
本発明の実施例1における高周波信号供給装置を説明する。
図1は、本発明の請求項1に記載の高周波信号供給装置を、3つの相からなる周波数50/60Hzの交流電流を通電させるための電力線に挿入した場合の高周波信号供給システムの構成を示した図である。
【0022】
高周波信号供給システム2は、高周波信号供給装置1、L1相電力線3a、L2相電力線3b、L3相電力線3c、N1相電力線3d、N2相電力線3e、N3相電力線3f、及び高周波信号出力装置5等を備え、電力供給線に高周波信号供給装置1が接続されている。
1相電力線3aとN1相電力線3dには負荷4aが、L2相電力線3bとN2相電力線3eには負荷4bが、L3相電力線3cとN3相電力線3fには負荷4cが、それぞれ接続されている。
【0023】
高周波信号供給装置1は、接続点J11とJ12でL1相電力線3aと、接続点J21とJ22でL2相電力線3bと、接続点J31とJ32でL3相電力線3cと、接続点J41とJ42でN1相電力線3dと、接続点J51とJ52でN2相電力線3eと、接続点J61とJ62でN3相電力線3fとに、それぞれ接続されている。
【0024】
高周波信号供給装置1は、カプラ6、7、8及び9と、コンデンサーC1、C2及びC3等を備えている。
【0025】
カプラ6、7、8及び9は内部が中空である円柱状のフェライト等の強磁性体を磁芯として構成され、各電力線に電磁誘導によって高周波信号出力装置5からの高周波信号を供給するものであり、カプラ6にはL1相電力線3aが、カプラ7にはL2相電力線3bが、カプラ8にはL3相電力線3cが、カプラ9にはN1相電力線3d、N2相電力線3e、及びN3相電力線3fが、それぞれ挿入されている。
【0026】
ここで、本発明において使用されるカプラの仕様は、使用する電力線のサイズ、電流容量及び高周波特性によって規定される。例えば、通常のビルや工場等で本発明に係る高周波信号供給装置を使用する場合、使用されている電力線のサイズは、2mm〜30mm程度
のもので、その電流容量は15Aから400A程度である。
【0027】
従って、使用するカプラは、適用する電力線によって内径5mm〜40mm程度のもので、飽和電流容量が15Aから400A程度のものを使用することが望ましい。また、高周波特性は、高周波信号出力装置の信号帯域である2MHz〜30MHzの帯域で十分低いインピーダンスのものを選定する必要があるため、電力線の高周波インピーダンスが数十Ωから数百Ωであることを考慮すると、カプラの高周波インピーダンスも、数十Ω以下のものであることが望ましい。
【0028】
コンデンサーC1は、接続点J13でL1相電力線3aに、接続点J43でN1相電力線3dにそれぞれ接続されている。また、コンデンサーC2は、接続点J23でL2相電力線3bに、接続点J53でN2相電力線3eにそれぞれ接続され、さらにコンデンサーC3は、接続点J33でL3相電力線3cに、接続点J63でN3相電力線3fにそれぞれ接続されている。
【0029】
ここで、本発明で使用されるコンデンサーの容量は、以下のように決定される。
まず、供給された高周波信号が電力供給側に流れないようにするために、コンデンサーのインピーダンスが高周波信号に対して電力供給側の内部インピーダンスよりも十分低い値、例えば10分の1以下であることが望ましい。
即ち、高周波信号出力装置が通信時に使用する周波数帯域が2MHz〜30MHzであるので、周波数2MHz以上の周波数帯域で電力供給側のインピーダンスよりも10分の1以下のインピーダンスが得られるコンデンサーを用いる必要がある。例えば、電力供給側の内部インピーダンスが100(Ω)の場合、10分の1以下すなわち10Ω以下のインピーダンスが得られるコンデンサーを用いる必要があることから下記の式より、使用するコンデンサーの容量は8(pF)以上となる。
【0030】
|Z|=1/(2πfC)
(但し、|Z|:インピーダンス(Ω) f:周波数(Hz) C:静電容量(F))
次に、供給された電力のロスを少なくするために、交流の周波数が50/60Hzであるので、交流電流に対して100(kΩ)以上のインピーダンスを得る必要がある。例えば、電力需要側の内部インピーダンスが100(kΩ)の場合、コンデンサーの容量は上の式から、おおよそ10pFから30pF程度の容量であることが望ましい。
【0031】
図2は、0.001μFから1μFまでのコンデンサーの挿入損失を示した図であり、横軸に周波数を、縦軸に挿入損失をとったものである。
図2からわかるように、周波数が高くなる程挿入損失が大きくなり、また同じ周波数でも静電容量が大きいほど挿入損失は大きくなる。
なお、挿入損失が大きいほど、電力供給側への高周波信号の漏洩は少なくなる一方、静電容量が大きすぎると電力のロスが大きくなる。
【0032】
第1信号線S1はカプラ6、7及び8に挿入され、一端は第1端子h1で高周波信号出力装置5と、もう一端は接続点J13でL1相電力線3aとそれぞれ接続され、高周波信号出力装置5からの高周波信号を、カプラ6、7及び8を介してL1相電力線3a、L2相電力線3b、及びL3相電力線3cにそれぞれ供給する。
【0033】
第2信号線S2は、カプラ9に挿入され、一端は第2端子h2で高周波信号出力装置5と、もう一端は接続点J43でN1相電力線3dに接続され、高周波信号出力装置5からの高周波信号を、カプラ9を介してN1相電力線3d、N2相電力線3e、及びN3相電力線3fにそれぞれ供給する。
【0034】
次に、高周波信号供給装置1の回路構成を説明する。
図3は、図1の高周波信号供給装置の回路構成を示した図である。
高周波信号供給装置1は、コンデンサーC1、C2及びC3と、L1相電力線3aに直列に接続された二次誘導コイル6b、L2相電力線3bに直列に接続された二次誘導コイル7b、L3相電力線3cに直列に接続された二次誘導コイル8b、N1相電力線3dに直列に接続された二次誘導コイル9b、N2相電力線3eに直列に接続された二次誘導コイル9c、N3相電力線3fに直列に接続された二次誘導コイル9d等を備えている。
【0035】
第1信号線S1には、二次誘導コイル6bと電磁的に結合した一次誘導コイル6aが、また二次誘導コイル7bと電磁的に結合した一次誘導コイル7aが、さらに二次誘導コイル8bと電磁的に結合した一次誘導コイル8aがそれぞれ接続されている。また、第2信号線S2には、二次誘導コイル9b、9c及び9dと電磁的に結合した一次誘導コイル9aが接続されている。
【0036】
次に、高周波信号出力装置5からL1相電力線3a、L2相電力線3b、L3相電力線3c、N1相電力線3d、N2相電力線3e、及びN3相電力線3fへの高周波信号の供給方法を説明する。
【0037】
高周波信号出力装置5の第1端子h1から第1信号線S1に出力された高周波信号は、一次誘導コイル8aにおいて電磁誘導を起こすことによって二次誘導コイル8bに、一次誘導コイル7aにおいて電磁誘導を起こすことによって二次誘導コイル7bに、さらに一次誘導コイル6aにおいて電磁誘導を起こすことによって二次誘導コイル6bに、それぞれ伝達され、L3相電力線3c、L2相電力線3b及びL1相電力線3aに供給される。
【0038】
次に、L1相電力線3a、L2相電力線3b及びL3相電力線3cに供給された高周波信号は、それぞれ電力需要側の負荷4a、4b及び4cを通過した後、それぞれN1相電力線3d、N2相電力線3e及びN3相電力線3fを通り、コンデンサーC1、コンデンサーC2及びコンデンサーC3を帰路とすることで、それぞれL1相電力線3a、L2相電力線3b及びL3相電力線3cに還流する。
【0039】
一方、一次誘導コイル6aを通過した後の高周波信号は、接続点J13からコンデンサーC1を介して接続点J43を通じて第2信号線S2に流れる。そして、一次誘導コイル9aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル9b、9c及び9dにそれぞれ伝達され、N1相電力線3d、N2相電力線3e、及びN3相電力線3fに供給された後、第2端子h2に流れる。
【0040】
ここで、N1相電力線3d、N2相電力線3e、及びN3相電力線3fに供給された高周波信号は、接続点J43、J53及びJ63を通じて、コンデンサーC1、コンデンサーC2及びコンデンサーC3に流れ、それぞれL1相電力線3a、L2相電力線3b及びL3相電力線3cを帰路とすることで、それぞれN1相電力線3d、N2相電力線3e、及びN3相電力線3fに還流する。
【0041】
従って、本発明に係る高周波信号供給装置は、第一に、各電力線にバランス良く高周波信号を供給することができる。
【0042】
第二に、コンデンサーC1、C2及びC3を接続することにより、高周波信号をループさせる閉回路ができるので、各電力線に供給された高周波信号が電力供給側、例えば柱上トランスまで流れ、供給された高周波信号が電磁波となって外部に漏えいすることを効率良く防止することができる。
【0043】
第三に、コンデンサーC1、C2及びC3を接続することにより電力供給側からの高周波ノイズが電力需要側に流れ込むことを防止できるので、例えば通信機器等の通信品質低下を防ぐことができる。
【0044】
第四に、高周波信号出力装置5からの第1信号線S1がL1相電力線3aに、第2信号線S2が対をなすN1相電力線3dにそれぞれ接続されているので、高周波信号出力装置5の駆動電力を信号線を介して取得でき、駆動電力を取得するために別の電路を必要とせずに高周波信号出力装置を設置することができる。
【0045】
(実施例2)
本発明の実施例2における高周波信号供給装置を説明する。
図4は、本発明の高周波信号供給装置を単相三線交流電力線に適用した高周波信号供給システム(以下、PLC信号供給システムという)の構成の一例を示した図である。
【0046】
PLC信号供給システム2aは、PLC信号供給装置1a、コンセント13、14、及び15及び宅内PLCモデム5a、5b及び5c、R相電力線3h、N相電力線(中性線)3g、及びT相電力線3i等を備え、電力供給線にPLC信号供給装置1aが接続されている。
【0047】
R相電力線3hとN相電力線3gには負荷4aが、T相電力線3iとN相電力線3gには負荷4bが、それぞれ接続されている。
【0048】
PLC信号供給装置1aは、接続点J11とJ12でR相電力線3hと、接続点J71とJ72でN相電力線3gと、接続点J31とJ32でT相電力線3iとにそれぞれ接続されている。
【0049】
PLC信号供給装置1aは、カプラ10、11及び12、コンデンサーC4、C5等を備えている。
【0050】
カプラ10にはR相電力線3hが、カプラ11にはN相電力線3gが、カプラ12にはT相電力線3iが、それぞれ挿入されている。
【0051】
コンデンサーC4は、接続点J15でR相電力線3hに、接続点J75でN相電力線3gにそれぞれ接続されている。また、コンデンサーC5は、接続点J75でN相電力線3gに、接続点J35でT相電力線3iにそれぞれ接続されている。
【0052】
コンセント13は、電気器具等のプラグの差し込み口であり、この実施形態では宅内PLCモデム5aのプラグが差し込まれている。
【0053】
宅内PLCモデム5aは、インターネットのルータ等(図示せず)に接続されており、ルータからのからのLAN信号をPLC信号に変換し、周波数2MHz〜30MHzの高周波信号を出力する。
【0054】
第1信号線S3の一端は宅内PLCモデム5aの第1端子h1に、他の一端はR相電力線3hの接続点J15に、コンセント13を介してそれぞれ接続されている。また、第2信号線S4の一端は宅内PLCモデム5aの第2端子h2に、他の一端はN相電力線3gの接続点J75に、コンセント13を介してそれぞれ接続されている。
【0055】
宅内PLCモデム5b、5cは、電力線を通信回線として送られてきたPLC信号を交流電流から取り出し、接続されたパソコン等の端末装置(図示せず)に送出する。
宅内PLCモデム5bの第1端子h3と第2端子h4は、コンセント14を介して接続点J76と接続点J16にそれぞれ接続されており、宅内PLCモデム5cの第1端子h5と第2端子h6は、コンセント15を介して接続点J77及びと接続点J36それぞれに接続されている。
【0056】
次に、PLC信号供給装置1aの回路構成を説明する。
図5は、図4のPLC信号供給装置の回路構成を示した図である。
PLC信号供給装置1aは、コンデンサーC4、C5、R相電力線3hに直列に接続された二次誘導コイル10b、N相電力線3gに直列に接続された二次誘導コイル11b、T相電力線3iに直列に接続された二次誘導コイル12b等を備えている。
【0057】
第1信号線S3には、二次誘導コイル10bと電磁的に結合した一次誘導コイル10aが直列に接続されている。また、第2信号線S4には、二次誘導コイル11bと電磁的に結合した一次誘導コイル11aが、さらに二次誘導コイル12bと電磁的に結合した一次誘導コイル12aが、それぞれ直列に接続されている。
【0058】
次に、宅内PLCモデム5aから、R相電力線3h、N相電力線3g及びT相電力線3iへのPLC信号の供給方法を説明する。
【0059】
宅内PLCモデム5aの第1端子h1から第1信号線S3に出力されたPLC信号は、一次誘導コイル10aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル10bに伝達されR相電力線3hに供給される。
また、後述するように、接続点J15からコンデンサーC4を介して接続点J75を通じて第2信号線S4に流れたPLC信号は、一次誘導コイル12aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル12bにも伝達されT相電力線3iに供給される。
【0060】
次に、R相電力線3hとT相電力線3iに供給されたPLC信号は、それぞれ負荷4a、4bを通過した後、N相電力線3gを通り、コンデンサーC4とコンデンサーC5を帰路とすることで、R相電力線3hとT相電力線3iに還流する。
【0061】
一方、一次誘導コイル10aを通過した後のPLC信号は、接続点J15からコンデンサーC4を介して接続点J75を通じて第2信号線S4に流れる。そして、PLC信号は、一次誘導コイル11aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル11bに伝達され、N相電力線3gに供給される。
さらに、一次誘導コイル11aを通過した後のPLC信号は一次誘導コイル12aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル12bに伝達されT相電力線3iに供給された後、第2端子h2に流れる。
【0062】
そして、N相電力線3gに供給された高周波信号は、接続点J75を通じて、コンデンサーC4、C5に流れることで、それぞれR相電力線3hとT相電力線3iに還流する。
【0063】
ここで、R相電力線3hとN相電力線3gとに流れる誘導電流の位相は逆であることから、宅内PLCモデム5bは、R相電力線3hとN相電力線3gに供給されたPLC信号を取り出すことができる。また、N相電力線3gとT相電力線3iとに流れる誘導電流の位相も逆であることから、宅内PLCモデム5cは、N相電力線3gとT相電力線3iに供給されたPLC信号を取り出すことができる。
【0064】
図6は、PLC信号供給装置から電力線に供給されたPLC信号の電力供給側への流出特性を示した図であり、横軸に周波数と縦軸に流出信号の減衰量をとったものである。
直線16aはコンデンサーを挿入していない場合の流出信号の減衰量を示したものであり、曲線16bはコンデンサーC4とC5を挿入した場合の流出信号の減衰量を示したものである。
【0065】
図6からわかるように、コンデンサーを挿入していない場合には流出信号が全く減衰されていないのに対し、コンデンサーを挿入した場合には流出信号は30dB以上減衰されている。従って、コンデンサーC4とC5を挿入することによって、電力供給側に流出するPLC信号を著しく減衰できることがわかる。
【0066】
図7は、PLC信号供給装置から電力線に供給されたPLC信号の電力線における挿入損失を示した図であり、横軸に周波数と縦軸に挿入損失をとったものである。
直線17aは電力線における挿入損失がない場合を、曲線17bはR相電力線3h―N相電力線3g回路の電力線における挿入損失を、曲線17cはT相電力線3i―N相電力線3g回路の電力線における挿入損失を示したものである。
【0067】
図7からわかるように、電力線における挿入損失はR相電力線3h―N相電力線3g回路、T相電力線3i―N相電力線3g回路とも平均-7dBである。ここで、本実施例において、R相電力線3h―N相電力線3g回路とT相電力線3i―N相電力線3g回路とにPLC信号を分配するための分配損失は-3dB程度であると見込まれる。
従って、本実施例に示すようなR相電力線3h―N相電力線3g回路とT相電力線3i―N相電力線3g回路を結合した場合でも、電力線自体における挿入損失については4dB程度と非常に小さいものにできることがわかる。
【0068】
以上のことから、本発明の高周波信号供給装置を単相三線交流電力線に適用した場合においても、R相電力線3h、N相電力線3g及びT相電力線3iのそれぞれにバランス良くPLC信号を電磁誘導によって供給することができる。
そして、コンデンサーC4、C5を接続することによって、PLC信号が外部に漏洩するのを防止することができ、また電力供給側からの高周波ノイズによって宅内PLCモデム5a、5b及び5cの通信品質が低下することを防止することができる。また、宅内PLCモデム5aの駆動電力を対となっているR相電力線3hとN相電力線3gとから取得できるので、駆動電力を取得するための別の電路を必要とせずに宅内PLCモデムを設置することができる。
【0069】
(実施例3)
本発明の実施例3における高周波信号供給装置を説明する。
図8は、本発明の高周波信号供給装置を既に単相三線式交流電力線が設置されている建物等に使用する場合のPLC信号システムの構成の一例を示した図である。
【0070】
PLC信号供給システム2bは、分電盤(図示せず)外に設置されたPLC信号供給装置1b、コンセント13、14、及び15、宅内PLCモデム5a、5b及び5c、R相電力線3h、N相電力線3g、及びT相電力線3i等を備え、電力供給線にPLC信号供給装置1bが接続されている。
【0071】
R相電力線3hとN相電力線3gとには負荷4aが、T相電力線3iとN相電力線3gとには負荷4bが、それぞれ接続されている。
【0072】
PLC信号供給装置1bは、接続点J15でR相電力線3hと、接続点J75でN相電力線3gと、また接続点J35でT相電力線3iとにそれぞれ接続されている。
【0073】
PLC信号供給装置1bは、カプラ20、21及び22、コンデンサーC6、C7等を備えている。
【0074】
カプラ20には電路44aが、カプラ21には電路44bが、カプラ22には電路44cが、それぞれ挿入されている。
【0075】
コンデンサーC6は、接続点k1で電路44aに、接続点k2で電路44bにそれぞれ接続されている。また、コンデンサーC7は、接続点k2で電路44bに、接続点k3で電路44cにそれぞれ接続されている。なお、本実施例に使用するコンデンサーにおいても、実施例1と同様に、低周波交流電力に対して所定の下限値以上の高インピーダンスが得られ、かつ、高周波信号に対しては所定の上限値以下の低インピーダンスが得られる仕様となっている。
【0076】
コンセント13、14、及び15は、電気器具等のプラグの差し込み口であり、それぞれ宅内PLCモデム5a、5b、及び5cのプラグが差し込まれている
【0077】
宅内PLCモデム5aは、インターネットのルータ等(図示せず)に接続されており、ルータからのからのLAN信号をPLC信号に変換し、周波数2MHz〜30MHzの高周波信号を出力する。
【0078】
第1信号線S3の一端は宅内PLCモデム5aの第1端子h1に、他の一端は接続点k1でコンデンサーC6に、コンセント13を介してそれぞれ接続されている。また、第2信号線S4の一端は宅内PLCモデム5aの第2端子h2に、他の一端は接続点k2でコンデンサーC6とコンデンサーC7とに、コンセント13を介してそれぞれ接続されている。
【0079】
宅内PLCモデム5b、5cは、電力線を通信回線として送られてきたPLC信号を交流電流から取り出し、接続されたパソコン等の端末装置(図示せず)に送出する。
宅内PLCモデム5bの第1端子h3と第2端子h4は、コンセント14を介して接続点J76と接続点J16にそれぞれ接続されており、宅内PLCモデム5cの第1端子h5と第2端子h6は、コンセント15を介して接続点J77と接続点J36にそれぞれ接続されている。
【0080】
次に、PLC信号供給装置1bの回路構成を説明する。
図9は、図8のPLC信号供給装置1bの回路構成を示した図である。
PLC信号供給装置1bは、コンデンサーC6、C7、電路44aに直列に接続された二次誘導コイル20b、電路44bに直列に接続された二次誘導コイル21b、電路44cに直列に接続された二次誘導コイル22b等を備えている。
【0081】
第1信号線S3には、二次誘導コイル20bと電磁的に結合した一次誘導コイル20aが接続されている。また、第2信号線S4には、二次誘導コイル21bと電磁的に結合した一次誘導コイル21aが、さらに二次誘導コイル22bと電磁的に結合した一次誘導コイル22aが、それぞれ接続されている。
【0082】
次に、宅内PLCモデム5aから、R相電力線3h、N相電力線3g及びT相電力線3iへのPLC信号の供給方法を説明する。
【0083】
宅内PLCモデム5aの第1端子h1から第1信号線S3に出力されたPLC信号は、一次誘導コイル20aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル20bに伝達されR相電力線3hに供給される。
また、後述するように、接続点k1からコンデンサーC6を介して接続点k2を通じて第2信号線S4に流れたPLC信号は、一次誘導コイル22aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル22bにも伝達されT相電力線3iに供給される。
【0084】
次に、R相電力線3hとT相電力線3iに供給されたPLC信号は、それぞれ負荷4aと4bを通過した後、N相電力線3gを通り、接続点J75から電路44bを通り、接続点k2 からコンデンサーC6とコンデンサーC7に戻ることを帰路とすることで、R相電力線3h、T相電力線3iに還流する。
【0085】
一方、一次誘導コイル20aを通過した後のPLC信号は、接続点k1からコンデンサーC6を介して接続点k2を通じて第2信号線S4に流れる。そして、一次誘導コイル21aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル21bに伝達され、N相電力線3gに供給される。
さらに、一次誘導コイル21aを通過した後のPLC信号は一次誘導コイル22aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル22bに伝達されT相電力線3iに供給された後、第2端子h2に流れる。
【0086】
ここで、実施例2と同様に、R相電力線3hとN相電力線3gとに流れる誘導電流、またN相電力線3gとT相電力線3iとに流れる誘導電流の位相は逆である。
よって、宅内PLCモデム5bは、R相電力線3hとN相電力線3gに供給されたPLC信号を取り出すことができ、また宅内PLCモデム5cは、N相電力線3gとT相電力線3iに供給されたPLC信号を取り出すことができる。
【0087】
従って、既に単相三線式交流配電線が設置されている場合であっても、電力線に接続点J15、J35及びJ75で接続するだけで良いので、大規模な工事等の必要がなく容易にPLC信号供給装置を取り付けることができる。
また、実施例1、2と同様に、R相電力線3h、N相電力線3g及びT相電力線3iのそれぞれにバランス良くPLC信号を電磁誘導によって供給することができるとともに、宅内PLCモデムの駆動電力を対となっているT相電力線3iとN相電力線3gから取得できるので、駆動電力を取得するために別の電路を必要とせずに宅内PLCモデムを設置することができる。
【0088】
(実施例4)
本発明の実施例4における高周波信号供給装置を説明する。
【0089】
実施例1における高周波信号供給装置では、各相の電力線がそれぞれを異なる強磁性体コアに挿入されている。
ところが、強磁性体コアには、飽和特性があり、コア内に一定以上の磁束が生じると、それ以上の磁束が誘起されないという磁気飽和が起こる。商用電流は高周波信号に比べ電流が大きいため商用電流によってコア内に磁気飽和が生じると、さらにこれに加えて高周波信号による磁束をコア内に誘起させることができず、結果として高周波信号を供給できなかったり、供給した高周波信号の波形が歪んだりする問題がある。
【0090】
ここで、磁気飽和を防止するためには、コア内の飽和磁束密度を大きくする必要があるが、コア内の飽和磁束密度を大きくするには、カプラの断面積を大きくしなければならないことから、高周波信号供給装置が大きくなるという問題がある。
そこで、本実施例においては互いに異なる相からなる交流電流が通電する電力線を、1つのフェライト等の強磁性体コアに挿入することによって、強磁性体の磁気飽和を防ぐことのできる高周波信号供給装置を提供する。
【0091】
図10は、本発明の高周波信号供給装置において、全ての相の電力線の二次誘導コイルが一の強磁性体を共通の磁芯としている場合の高周波信号供給システムの構成の一例を示した図である。
【0092】
高周波信号供給システム2cは、高周波信号供給装置1c、高周波信号出力装置5、L1相電力線3a、L2相電力線3b、N1相電力線3d、及びN2相電力線3e等を備え、電力供給線に高周波信号供給装置1cが接続されている。
【0093】
1相電力線3aとN1相電力線3dには負荷4aが、L2相電力線3bとN2相電力線3eには負荷4bが、それぞれ接続されている。
【0094】
高周波信号供給装置1cは、接続点J11とJ12でL1相電力線3aと、接続点J21とJ22でL2相電力線3bと、接続点J41とJ42でN1相電力線3dと、接続点J51とJ52でN2相電力線3eとに、それぞれ接続されている。
【0095】
高周波信号供給装置1cは、カプラ30、コンデンサーC8とC9等を備えている。
【0096】
カプラ30は、内部が中空である円柱状のフェライト等の強磁性体を磁芯として構成され、各電力線に電磁誘導によって高周波信号出力装置5からの高周波信号を供給するものであり、L1相電力線3a、L2相電力線3b、N1相電力線3d及びN2相電力線3eの各電力線が挿入されている。
【0097】
コンデンサーC8は、接続点J13でL1相電力線3aに、接続点J43でN1相電力線3dにそれぞれ接続されている。またコンデンサーC9は、接続点J23でL2相電力線3bに、接続点J53でN2相電力線3eにそれぞれ接続されている。
【0098】
第1信号線S5は、高周波信号出力装置5の第1端子h1とL1相電力線3aの接続点J13とにそれぞれ接続され、第2信号線S6は、高周波信号出力装置5の第2端子h2とN1相電力線3dの接続点J43とそれぞれ接続されている
【0099】
次に、高周波信号供給装置1cの回路構成を説明する。
図11は、図10の高周波信号供給装置の回路構成を示した図である。
高周波信号供給装置1cは、コンデンサーC8、C9と、L1相電力線3aに直列に接続された二次誘導コイル30b、L2相電力線3bに直列に接続された二次誘導コイル30c、N1相電力線3dに直列に接続された二次誘導コイル30d、N2相電力線3eに直列に接続された二次誘導コイル30e等を備えている。
【0100】
第1信号線S5には、二次誘導コイル30bと二次誘導コイル30cに電磁的に結合した一次誘導コイル30aが直列に接続されている。また、第2信号線S6には、二次誘導コイル30dと二次誘導コイル30eに電磁的に結合した一次誘導コイル30fが、直列に接続されている。ここで、一次誘導コイル30a、30f、二次誘導コイル30b、30c、30d及び30eは1つの共通の磁芯を用いることによって1つのトランスを構成している。
【0101】
次に、高周波信号出力装置5からの高周波信号のL1相電力線3a、L2相電力線3b、N1相電力線3d及びN2相電力線3eへの高周波信号の供給方法を説明する。
【0102】
高周波信号出力装置5の第1端子h1から第1信号線S5に出力された高周波信号は、一次誘導コイル30aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル30bと二次誘導コイル30cとに伝達され、L1相電力線3aとL2相電力線3bに供給される。
【0103】
次に、L1相電力線3aとL2相電力線3bに供給された高周波信号は、それぞれ電力需要側の負荷4a、4bを通過した後、それぞれN1相電力線3d及びN2相電力線3eを通り、コンデンサーC8及びコンデンサーC9を帰路とすることで、それぞれL1相電力線3aとL2相電力線3bに還流する。
【0104】
一方、一次誘導コイル30aを通過した後の高周波信号は、接続点J13からコンデンサーC8を介して接続点J43を通じて第2信号線S6に流れ込み、一次誘導コイル30fにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル30d、30eにそれぞれ伝達され、N1相電力線3dとN2相電力線3eとに供給された後、第2端子h2に流れる。
【0105】
ここで、N1相電力線3dとN2相電力線3eとに供給された高周波信号は、接続点J43、J53を通じて、コンデンサーC8とコンデンサーC9に流れることで、それぞれL1相電力線3a、L2相電力線3bに還流する。
【0106】
図12は、カプラ1つのみを使用しL1相電力線3a、L2相電力線3b、N1相電力線3d及びN2相電力線3eの全ての電力線を1つのカプラに挿入した場合と、カプラを2つ使用しL1相電力線3aとL2相電力線3bとを1つのカプラに、N1相電力線3dとN2相電力線3eとをもう1つのカプラにそれぞれ挿入した場合とにおける高周波信号出力装置5から電力線に供給された高周波信号の電力線における挿入損失を比較した図であり、横軸に周波数を、縦軸に挿入損失を、それぞれとったものである。
【0107】
直線35aは電力線における挿入損失がない場合を、曲線35bはカプラ1つのみを使用しL1相電力線3a、L2相電力線3b、N1相電力線3d及びN2相電力線3eの全ての電力線を1つのカプラに挿入した場合におけるL1相電力線3a―N1相電力線3d回路とL2相電力線3b―N2相電力線3e回路とを結合した結合回路の挿入損失を、それぞれ示している。
【0108】
また、曲線35cはカプラを2つ使用しL1相電力線3aとL2相電力線3bとを1つのカプラに、N1相電力線3dとN2相電力線3eとをもう1つのカプラに、それぞれ挿入した場合におけるL1相電力線3a―N1相電力線3d回路とL2相電力線3b―N2相電力線3e回路を結合した結合回路の挿入損失を示している。
【0109】
さらに、曲線35dは、カプラ1つのみを使用しL1相電力線3a、L2相電力線3b、N1相電力線3d及びN2相電力線3eの全ての電力線を1つのカプラに挿入した場合における高周波出力装置5―L2相電力線3b―N2相電力線3d回路の挿入損失を、曲線35eはカプラを2つ使用しL1相電力線3aとL2相電力線3bとを1つのカプラに、またN1相電力線3dとN2相電力線3eとをもう1つのカプラに挿入した場合における高周波出力装置5―L2相電力線3b―N2相電力線3d回路の挿入損失を、それぞれ示している。
【0110】
曲線35bと曲線35cとの差36aは、カプラを1つのみ使用した場合とカプラを2つ使用した場合におけるそれぞれの回路における挿入損失の差を示すものである。
差36aから、全ての電力線を1つのカプラに挿入することによって、カプラを2つ使用した場合に比べ、構成された回路の挿入損失をより小さくできることがわかる。
従って、全ての電力線を1つのカプラに挿入することによって高周波信号の供給効率を高くすることができる。
【0111】
なお、曲線35bと曲線35dとの差36bは、カプラ1つのみを使用しL1相電力線3a、L2相電力線3b、N1相電力線3d及びN2相電力線3eの全ての電力線を1つのカプラに挿入した場合におけるL1相電力線3a―N1相電力線3d回路とL2相電力線3b―N2相電力線3e回路とに高周波信号を分配するための分配損失を示すものである。
また、曲線35cと曲線35eとの差36cは、カプラを2つ使用しL1相電力線3aとL2相電力線3bとを1つのカプラに、またN1相電力線3dとN2相電力線3eとをもう1つのカプラに挿入した場合におけるL1相電力線3a―N1相電力線3d回路とL2相電力線3b―N2相電力線3e回路とに高周波信号を分配するための分配損失を示すものである。
【0112】
以上より、すべての電力線を同じカプラに挿入することによって、L1相電力線3aとL2相電力線3bとが異なる相の場合、それぞれの電流が作る磁界は互いに打ち消しあい合成磁界は小さくなるので、カプラの断面積を大きくする必要はなく、かつ、カプラの数を1つにすることができる。よって、高周波信号供給装置をより小さくすることができ、高周波信号の電力線への供給効率を高めることができる。
そして、実施例1と同様に、多相回路であってもすべての電力線にバランス良く高周波信号を電磁誘導によって供給することができるとともに、高周波信号が電力供給側に漏洩するのを防止することができ、かつ、電力供給側からの高周波ノイズが電力需要側に流れ込むことによる高周波信号出力装置の通信品質が低下することを防止することができる。
さらに、高周波信号出力装置の駆動電力を対となっているL1相電力線3aとN1相電力線3dから取得できるので、駆動電力を取得するために別の電路を必要とせずに高周波信号出力装置を設置することができる。
【0113】
(実施例5)
次に、実施例5における高周波信号供給装置を説明する。
【0114】
図13は、実施例4の高周波信号供給装置を単相三線交流電力線に適用したPLC信号供給システムの構成の一例を示した図である。具体的には、単相三線交流電力線の全ての相の電力線の二次誘導コイルが一の強磁性体を共通の磁芯としている場合のPLC信号供給システムの構成の一例を示した図である。
【0115】
PLC信号供給システム2dは、PLC信号供給装置1d、コンセント13、14、及び15、宅内PLCモデム5a、5b及び5c、R相電力線3h、N相電力線3g、及びT相電力線3i等を備え、電力供給線にPLC信号供給装置1dが接続されている。
【0116】
R相電力線3hとN相電力線3gには負荷4aが、T相電力線3iとN相電力線3gには負荷4bが、それぞれ接続されている。
【0117】
PLC信号供給装置1dは、接続点J11とJ12でR相電力線3hと、接続点J21とJ22でT相電力線3iと、また接続点J71とJ72でN相電力線3gとにそれぞれ接続されている。
【0118】
PLC信号供給装置1dは、カプラ40、コンデンサーC8、C9等を備えている。
【0119】
カプラ40にはR相電力線3h、T相電力線3i及びN相電力線3gが挿入されている。
【0120】
コンデンサーC8は、接続点J15でR相電力線3hに、接続点J75でN相電力線3gにそれぞれ接続している。また、コンデンサーC9は、接続点J35でT相電力線3iに、接続点J76でN相電力線3gにそれぞれ接続している。
【0121】
コンセント13、14、及び15は、電気器具等のプラグの差し込み口であり、それぞれ宅内PLCモデム5a、5b、及び5cのプラグが差し込まれている。
【0122】
宅内PLCモデム5aは、インターネットのルータ等(図示せず)に接続されており、ルータからのからのLAN信号をPLC信号に変換し、周波数2MHz〜30MHzの高周波信号を出力する。
【0123】
第1信号線S5の一端は宅内PLCモデム5aの第1端子h1に、他の一端はR相電力線3hの接続点J15に、コンセント13を介してそれぞれ接続されている。また、第2信号線S6の一端は宅内PLCモデム5aの第2端子h2に、他の一端はN相電力線3gの接続点J75に、コンセント13を介してそれぞれ接続されている。
【0124】
宅内PLCモデム5b、5cは、電力線を介して送られてきたPLC信号を供給された交流電流から取り出し、接続されたパソコン等の端末装置(図示せず)に送出する。
宅内PLCモデム5bの第1端子h3と第2端子h4は、コンセント14を介して接続点J76と接続点J16にそれぞれ接続されており、宅内PLCモデム5cの第1端子h5と第2端子h6は、コンセント15を介して接続点J77と接続点J36それぞれ接続されている。
【0125】
次に、PLC信号供給装置1dの回路構成を説明する。
図14は、図13のPLC信号供給装置の回路構成を示した図である。
PLC信号供給装置1dは、コンデンサーC8、C9、R相電力線3hに直列に接続された二次誘導コイル40b、N相電力線3gに直列に接続された二次誘導コイル41b、T相電力線3iに直列に接続された二次誘導コイル40c等を備えている。
【0126】
第1信号線S5には、二次誘導コイル40bと二次誘導コイル40cとに磁気的に結合した一次誘導コイル40aが直列に接続されている。また、第2信号線S6には、二次誘導コイル41bと磁気的に結合した一次誘導コイル41aが直列に接続されている。ここで、一次誘導コイル40a、41a、二次誘導コイル40b、40c及び41bは1つの共通の磁芯を用いることによって1つのトランスを構成している。
【0127】
次に、宅内PLCモデム5aから、R相電力線3h、N相電力線3g及びT相電力線3iへのPLC信号の供給方法を説明する。
【0128】
宅内PLCモデム5aの第1端子h1から第1信号線S5に出力されたPLC信号は、一次誘導コイル40aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル40bと二次誘導コイル40cに伝達され、R相電力線3hとT相電力線3iとに供給される。
【0129】
次に、R相電力線3h及びT相電力線3iに供給されたPLC信号は、それぞれ負荷4aと4bを通過した後、N相電力線3gを通り、コンデンサーC8とコンデンサーC9を帰路とすることで、R相電力線3hとT相電力線3iに還流する。
【0130】
一方、一次誘導コイル40aを通過した後のPLC信号は、接続点J15からコンデンサーC8を介して接続点J75を通じて第2信号線S6に流れる。そして、一次誘導コイル41aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル41bに伝達され、N相電力線3gに供給される。
【0131】
ここで、N相電力線3gに供給されたPLC信号は、接続点J75と接続点J76を通じて、コンデンサーC8とコンデンサーC9に流れ、それぞれR相電力線3hとT相電力線3iを帰路とすることで、N相電力線3gに還流する。
【0132】
ここで、実施例2と同様に、R相電力線3hとN相電力線3gとに流れる誘導電流、またN相電力線3gとT相電力線3iとに流れる誘導電流の位相は逆である。
よって、宅内PLCモデム5bは、R相電力線3hとN相電力線3gに供給されたPLC信号を取り出すことができ、また宅内PLCモデム5cは、N相電力線3gとT相電力線3iに供給されたPLC信号を取り出すことができる。
【0133】
従って、実施例4の高周波信号供給装置を単相三線交流電力線に適用した場合においても、全ての相の電力線を同じカプラに挿入することによって、それぞれの電流が作る磁界は互いに打ち消しあい合成磁界は小さくなるので、カプラの断面積を大きくする必要はなく、かつ、カプラの数を減らすことができる。よって、PLC信号供給装置を小さくすることができ、PLC信号の電力線への供給効率を高めることができる。
【0134】
そして、実施例1と同様に、R相電力線3h、N相電力線3g及びT相電力線3iのそれぞれにバランス良くPLC信号を電磁誘導によって供給することができるとともに、PLC信号が外部に漏えいするのを防止することができ、電力供給側からの高周波ノイズが電力需要側に流れ、通信品質が低下することを防止することができる。
さらに、宅内PLCモデムの駆動電力を対となっているR相電力線3hとN相電力線3gとから取得できるので、駆動電力を取得するために別の電路を必要とせずに宅内PLCモデムを設置することができる。
【0135】
(実施例6)
最後に、本発明の高周波信号供給装置を単相二線式交流電力線に適用した実施例を説明する。
図15は、本発明の高周波信号供給装置を単相二線式交流電力線に適用した高周波信号供給システムの構成の一例を示した図である。
【0136】
高周波信号供給システム2eは、高周波信号供給装置1e、1f、コンセント13、16、17及び18、高周波信号出力装置5a、高周波信号受信装置5d、低インピーダンス機器100等を備えている。
【0137】
高周波信号供給装置1eは、接続点J11とJ12でL相電力線3jと、接続点J71とJ72でN相電力線3kとにそれぞれ接続されている。高周波信号供給装置1fは、接続点J81とJ82で電路3lと、接続点J91とJ92で電路3mとにそれぞれ接続されている。
また、高周波信号供給装置1fは、コンセント16を介してL相電力線3jとN相電力線3kとに接続しており、低インピーダンス機器100はコンセント18を介して、電路3lと電路3mに接続されている。
【0138】
高周波信号供給装置1eは、カプラ50、51、コンデンサーC10を備えている。カプラ50にはL相電力線3jが、カプラ51にはN相電力線3kがそれぞれ挿入されている。
【0139】
高周波信号供給装置1fは、カプラ60、61、コンデンサーC11を備えている。カプラ60には電路3lが、カプラ61には電路3mが、それぞれ挿入されている。
【0140】
コンデンサーC10は、接続点J13でL相電力線3jに、接続点J73でN相電力線3kにそれぞれ接続されている。また、コンデンサーC11は、接続点J83で電路3lに、接続点J93で電路3mにそれぞれ接続されている。
【0141】
コンセント13は、電気器具等のプラグの差し込み口であり、高周波信号出力装置5aのプラグが差し込まれている。
【0142】
高周波信号出力装置5aは、インターネットのルータ等(図示せず)に接続されており、ルータからのからのLAN信号を高周波信号に変換し、周波数2MHz〜30MHzの高周波信号を出力する。
【0143】
第1信号線S7の一端は高周波信号出力装置5aの第1端子h1に、他の一端はL相電力線3jの接続点J13に、コンセント13を介してそれぞれ接続されている。また、第2信号線S8の一端は高周波信号出力装置5aの第2端子h2に、他の一端はN相電力線3kの接続点J73に、コンセント13を介してそれぞれ接続されている。
【0144】
高周波信号受信装置5dは、電力線を通信回線して送られてきた高周波信号を交流電流から取り出し、接続されたパソコン等の端末装置(図示せず)に送出する。
【0145】
第1信号線S9の一端は高周波信号受信装置5dの第1端子h3に、他の一端は電路3lの接続点J83に、コンセント17を介してそれぞれ接続されている。また、第2信号線S10の一端は高周波信号受信装置5dの第2端子h4に、他の一端は電路3mの接続点J93に、コンセント17を介してそれぞれ接続されている。
【0146】
次に、高周波信号供給装置1e、1fの回路構成を説明する。
図16は、図15の高周波信号供給装置の回路構成を示した図である。
高周波信号供給装置1eは、コンデンサーC10、L相電力線3jに直列に接続された二次誘導コイル50b、N相電力線3kに直列に接続された二次誘導コイル51b等を備えている。
【0147】
第1信号線S7には、二次誘導コイル50bと電磁的に結合した一次誘導コイル50aが直列に接続されている。また、第2信号線S8には、二次誘導コイル51bと電磁的に結合した一次誘導コイル51aが直列に接続されている。
【0148】
高周波信号供給装置1fは、コンデンサーC11、電路3lに直列に接続された一次誘導コイル60a、電路3mに直列に接続された一次誘導コイル61a等を備えている。
【0149】
第3信号線S9には、一次誘導コイル60aと電磁的に結合した二次誘導コイル60bが直列に接続されている。また、第4信号線S10には、一次誘導コイル61aと電磁的に結合した二次誘導コイル61bが直列に接続されている。
【0150】
また、電路3lと電路3mは、それぞれ第1端子h5と第2端子h6で低インピーダンス機器100に接続している。
【0151】
次に、高周波信号出力装置5aからL相電力線3j、N相電力線3kへの高周波信号の供給方法を説明する。
【0152】
高周波信号出力装置5aの第1端子h1から第1信号線S7に出力された高周波信号は、一次誘導コイル50aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル50bに伝達されL相電力線3jに供給される。
【0153】
次に、L相電力線3jに供給された高周波信号は、電路3lに流れ、一次誘導コイル60aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル60bに伝達され、第3信号線S9に供給される。さらに、高周波信号は、コンデンサーC11を介して電路3mに流れ、一次誘導コイル61aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル61bに伝達され、第4信号線S10に供給される。
【0154】
ここで、第3信号線S9と第4信号線S10とに流れる誘導電流の位相は逆である。
そのため、高周波受信装置5dは、第3信号線S9と第4信号線S10とに供給された高周波信号を取り出すことができる。
【0155】
一方、一次誘導コイル50aを通過した後の高周波信号は、接続点J13からコンデンサーC10を介して接続点J73を通じて第2信号線S8に流れる。そして、高周波信号は、一次誘導コイル51aにおいて電磁誘導を起こすことによって、二次誘導コイル51bに伝達され、N相電力線3kに供給される。
【0156】
ここで、N相電力線3kに供給された高周波信号は、接続点J73を通じて、コンデンサーC10に流れることで、それぞれL相電力線3jに還流する。
【0157】
従って、本発明の高周波信号供給装置を単相二線式交流電力線に適用した場合においても、L相電力線3jとN相電力線3kのそれぞれにバランス良く高周波信号を電磁誘導によって供給することができるとともに、高周波信号が電力供給側に漏洩するのを防止することができ、かつ、電力供給側からの高周波ノイズが電力需要側に流れ込むことによる高周波信号出力装置の通信品質が低下することを防止することができる。
さらに、高周波信号出力装置の駆動電力を対となっているL相電力線3jとN相電力線3kとから取得でき、高周波信号受信装置の駆動電力を対となっている電路3lと電路3mとから取得できるので、駆動電力を取得するために別の電路を必要とせずに高周波信号受信装置を設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、例えば電力線を通信回線として利用して通信を行うPLC通信等の電力線に高周波信号を供給する分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の請求項1に記載の高周波信号供給装置を、3つの相からなる電力線に挿入した場合の高周波信号供給システムの構成を示した図である。
【図2】0.001μFから1μFまでのコンデンサーの挿入損失を示した図である。
【図3】図1の高周波信号供給装置の回路構成を示した図である。
【図4】本発明の高周波信号供給装置を単相三線交流電力線に適用したPLC信号供給システムの構成の一例を示した図である。
【図5】図4のPLC信号供給装置の回路構成を示した図である。
【図6】PLC信号供給装置から電力線に供給されたPLC信号の電力供給側への流出特性を示した図である。
【図7】PLC信号供給装置から電力線に供給されたPLC信号の電力線における挿入損失を示した図である。
【図8】本発明の高周波信号供給装置を既に単相三線式交流電力線が設置されている建物等に使用する場合のPLC信号システムの構成の一例を示した図である。
【図9】図8のPLC信号供給装置の回路構成を示した図である。
【図10】本発明の高周波信号供給装置において、全ての相の電力線の二次誘導コイルが一の強磁性体を共通の磁芯としている場合の高周波信号供給システムの構成の一例を示した図である。
【図11】図10の高周波信号供給装置の回路構成を示した図である。
【図12】カプラ1つのみを使用しL1相電力線、L2相電力線、N1相電力線及びN2相電力線の全ての電力線を1つのカプラに挿入した場合と、カプラを2つ使用しL1相電力線とL2相電力線とを1つのカプラに、N1相電力線とN2相電力線とをもう1つのカプラにそれぞれ挿入した場合とにおける高周波信号出力装置から電力線に供給された高周波信号の電力線における挿入損失を比較した図である。
【図13】実施例4の高周波信号供給装置を単相三線交流電力線に適用したPLC信号供給システムの構成の一例を示した図である。
【図14】図13のPLC信号供給装置の回路構成を示した図である。
【図15】本発明の高周波信号供給装置を単相二線式交流電力線に適用した高周波信号供給システムの構成の一例を示した図である。
【図16】図15の高周波信号供給装置の回路構成を示した図である。
【符号の説明】
【0160】
1・・・高周波信号供給装置
2・・・高周波信号供給システム
3a・・・L1相電力線
3b・・・L2相電力線
3c・・・L3相電力線
3d・・・N1相電力線
3e・・・N2相電力線
3f・・・N3相電力線
4a、4b、4c・・・負荷
5・・・高周波信号出力装置
6、7、8、9・・・カプラ
1、C2、C3・・・コンデンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給側から電力需要側へ、少なくとも一対の電力線を用いて低周波交流電力を供給する電力供給線に、高周波信号出力装置から出力される高周波信号を供給する高周波信号供給装置であって、
対となる電力線のそれぞれに二次誘導コイルを接続し、
前記二次誘導コイルと電磁的に結合された一次誘導コイルに、前記高周波信号出力装置から出力される高周波信号を供給し、
前記二次誘導コイルより電力供給側の前記一方の電力線と他方の電力線とを、前記低周波交流電力に対して所定の下限値以上の高インピーダンスが得られ、かつ、前記高周波信号に対しては所定の上限値以下の低インピーダンスが得られるコンデンサーで接続したことを特徴とする高周波信号供給装置。
【請求項2】
電力供給側と電力需要側との間に、二次誘導コイルを直列に接続した請求項1に記載の高周波信号供給装置。
【請求項3】
一方の電力線と、前記電力線と対となっている他方の電力線との間に、二次誘導コイルとコンデンサーとの直列回路を接続した請求項1に記載の高周波信号供給装置。
【請求項4】
二対以上の電力線のうち、一部の電力線を供用する請求項1から3のいずれかに記載の高周波信号供給装置。
【請求項5】
二対の電力線のうち、一方の一対の電力線のうちの一方の電力線と、他方の一対の電力線のうちの一方の電力線とを供用した三線を用いた請求項4に記載の高周波信号供給装置。
【請求項6】
異なる相の電力線の二次誘導コイルが一の強磁性体を共通の磁芯としている請求項1から5のいずれかに記載の高周波信号供給装置。
【請求項7】
高周波信号供給装置の一の端子を一の電力線に、前記高周波信号供給装置の他の一端を前記電力線と対を成す電力線に接続した請求項1から6のいずれかの記載の高周波信号供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−74632(P2010−74632A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241055(P2008−241055)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(502104295)株式会社プレミネット (4)
【Fターム(参考)】