説明

高圧放電ランプおよび照明装置

【課題】演色性などの発光特性、特に赤色演色評価数R9に優れた高圧放電ランプおよび照明装置を提供する。
【解決手段】気密容器21内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度3600〜4200K、色偏差duv−0.002〜+0.004、平均演色評価数Ra85以上で発光する発光管4と、この発光管4を包囲する外囲器1と、この外囲器1の表面に色温度3200〜3700K、色偏差duv−0.003〜−0.010、平均演色評価数Ra88以上で発光するよう形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜6とを備えている高圧放電ランプL1および照明装置9である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光特性を改善した多重管形のメタルハライドランプなどの高圧放電ランプおよび照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧放電ランプは、高効率、高演色性、長寿命の光源として、店舗、工場、ホールやスポーツ施設などの照明用として広く用いられている。
【0003】
そして、上記店舗において展示商品などの照明用として用いられる高圧放電ランプは、色温度3700〜4200K、平均演色評価数Raは比較的高いものの赤色演色評価数R9が60〜70前後のものが殆どで、食品や衣料などにおいて赤色の見え方が悪くこれら商品の照明には不向きであった。
【0004】
そこで、発光管や発光管を包囲する外囲管の表面に光干渉膜などからなるフィルター膜を形成して、可視光領域における短波長側の光出力を低減させ色温度は下げるが、平均演色評価数Raを維持ないしは高めながら赤色演色評価数R9も高めるよう赤の見え方を改善した高圧放電ランプが開発されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この高圧放電ランプは多重管構造内の石英ガラスが用いられた発光管の表面にフィルター膜が形成されたものであって、点灯時に相当高温になる発光管においては光学特性や膜強度が早期に劣化して発光特性の低下がはやく生じるとともに被膜の形成作業を高温下で行わなければならないなどの問題があった。
【0006】
この高圧放電ランプにおいては、近時、耐熱性や耐薬品性などに優れたアルミナなどのセラミックスからなる容器が用いられるようになりさらに諸発光特性の向上と発光管の小形化がはかれるようになってきた。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、近時、耐熱性や耐薬品性などに優れたアルミナなどのセラミックスからなる容器が用いられるようになりさらに諸発光特性の向上と小形化がはかれるようになってきた発光管を用いた放電ランプに好適する、演色性などの発光特性、特に赤色演色評価数R9に優れた、品質および作業性など生産性の向上がはかれた高圧放電ランプおよび照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の高圧放電ランプは、気密容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度3600〜4200K、色偏差duv−0.002〜+0.004、平均演色評価数Ra85以上で発光する発光管と;この発光管を包囲する外囲器と;この外囲器の表面に形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜とを具備しており、色温度3100〜3700K、色偏差duv−0.003〜−0.010、平均演色評価数Ra88以上で点灯することを特徴とする。
【0009】
上記構成の本発明の高圧放電ランプは、発光管を包囲する内管や外管などに580nm付近に吸収ピークを有し550〜600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜を形成することによって、黄色光を低減し照射光の黄色味を減らし、かつ、615nm付近に発光ピークを有し吸収した光で元々不足している600nm以上の赤色の発光を補正できる、上記所定の発光特性を呈する高圧放電ランプを得ることができる。
【0010】
また、本発明では用途などを考慮すると定格電力が200W以下のランプに適用するのが好ましい。
【0011】
なお、本発明および以下の各発明は下記の態様であることを許容する。
【0012】
〔発光管について〕 本発明において、発光管はセラミックスまたは石英ガラスなどの硬質ガラスからなる透光性かつ耐熱性の材料から形成された気密容器に、少なくとも一対の電極およびこの電極の支持と給電をなす電流導入導体ならびに放電媒体を備えている。特にセラミックス製の容器を用いる場合には、小形で高効率化をはかることができる。
【0013】
透光性の気密容器の形状は、円筒状(T形)、球状(G形など)、楕円球状(T形やG形などの複合形)など多様であることを許容し、その内容積すなわち放電空間の体積は、高圧放電ランプの定格ランプ電力の大きさに応じて多様な値に設定することができる。
【0014】
〔電極について〕 電極は、透光性気密容器内に少なくても一対が封装されて先端が互いに離間して放電空間に臨んでいる。また、電極は、タングステン(W)、ドープドタングステン、レニウム(Re)、レニウム−タングステン合金(Re−W)またはモリブデン(Mo)などの耐火性金属を用いて形成することができる。
【0015】
また、電極は、電極軸の先端に配設されて主として陰極およびまたは陽極として作用する部分であり、電極軸が電極を兼ねてもよいがその表面積を大きくして放熱を良好にするために、必要に応じて例えばタングステン線のコイルを巻装したりすることができる。
【0016】
〔放電媒体について〕 放電媒体は、水銀や金属ハロゲン化物などおよび始動用の希ガスにより構成される。また、好適にはランプ電圧形成物質を含むことができる。
【0017】
金属ハロゲン化物の場合は、少なくとも発光金属のハロゲン化物を含むものとする。発光金属のハロゲン化物としては、既知の各種発光金属およびそれらの組み合わせの金属ハロゲン化物を用いることができる。
【0018】
希ガスは、少なくとも高圧放電ランプを始動させるときに放電を開始させるのに寄与する。しかし、具体的なガスの種類は限定されない。一般照明用の高圧放電ランプの場合、好適にはアルゴン(Ar)ガスが用いられるが、アルゴン(Ar)とネオン(Ne)の混合ガスであってもよい。
【0019】
ランプ電圧形成物質は、主として緩衝体として点灯中に一対の電極間に現れる電圧を形成するのに主体的に寄与する放電媒体であり、水銀および/または金属ハロゲン化物を用いることができる。ランプ電圧形成物質としての金属ハロゲン化物には、蒸気圧の比較的高い金属のハロゲン化物などを用いることができる。
【0020】
〔外囲器について〕 外囲器とは二重管構造の場合は発光管を封装する内管を、また、三重管構造の場合はこの内管およびこの内管を収容する外管あるいは発光管を囲うよう設けられた発光管の破損時、破片の飛散を防止する中管(シュラウド)および中管を収容する外管を指す。また、このPAR形などの反射形の容器の場合は、光放射をする前面レンズおよびこのレンズに連接する反射体部を外管(外囲器)と称する。
【0021】
発光管や内管などを内蔵する態様は、外部に対して気密および連通のいずれであってもよい。また、内管は、発光管を所要に始動するために必要に応じて始動用の部品要素、例えば紫外線発生源、高電圧パルス発生器または近接導体などを内部の所定位置に収納することができる。
【0022】
内管の材質は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラスあるいはソーダライムガラスなど特段限定されない。しかし、内管を石英ガラスで形成することにより耐熱性が向上するので、小形化を図ることができる。また、内管は、外管で覆われるので、指で直接内管を触れることがなくなり、内管が汚損することもない。一般照明用の高圧放電ランプとしては、外管内部を真空または不活性ガス(例えば、窒素(N)やアルゴン(Ar)など)雰囲気にするのが一般的である。
【0023】
外管は、その内部に内管や中管(シュラウド)を収容して、これら部材の機械的および触指による汚損などに対して保護する。外管の材質は、特段限定されない。例えば硬質ガラスや半硬質ガラスにより形成することができる。また、外管は、T形、BT形、R形など各種形状の管を所望に応じて適宜選択して採用することがきるが、開口部側が中央部に比べ内径が小径に形成された段部や徐々に縮径された有底筒状が形成されていてもよい。
【0024】
接着剤は、高圧放電ランプの点灯中の動作温度に耐えるものであれば特段限定されない。一般的には耐熱性のセラミックス系の無機質接着剤が好適である。なお、接着剤を用いないで、所定の固着手段によって固定される態様でもよい。
【0025】
〔可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜について〕 被膜は、580nm付近に吸収ピークを有し550〜600nmの黄色光を低減し照射光の黄色味を減らし、かつ、615nm付近に発光ピークを有し吸収した光で元々不足している600nm以上の赤色の発光を補正する。この被膜の形成材料としては、ルモゲンFレッド305(BASFジャパン(株)製)などを用いることができる。
【0026】
この被膜の耐熱温度は約350℃程度で、高温となる発光管の容器では劣化して所定の作用効果を奏さないので、発光管を包囲する内管や中管あるいはこれらを収容する外管の内外面のいずれか一方の表面に形成する。
【0027】
〔口金について〕 口金は、高圧放電ランプの本体をソケットに保持し、電源と電気的に接続する機能を果たすランプ構成要素であると一般的に定義されているが、本発明においてはねじ込み形(E形など)、差込み形(G形やS形など)、ピンなし差込み形やバイポスト形の口金など既知の多様な構造を採用することができる。
【0028】
本発明の請求項2に記載の高圧放電ランプは、気密容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度2700〜3200K、色偏差duv−0.004〜+0.004、平均演色評価数Ra80以上で発光する発光管と;この発光管を包囲する外囲器と;この外囲器の表面に形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜とを具備しており、色温度2200〜2800K、色偏差duv−0.005〜−0.015、平均演色評価数Ra85以上で点灯することを特徴とする。
【0029】
上記請求項1に記載と同様な作用を奏する高圧放電ランプを得ることができる。
【0030】
本発明の請求項3に記載の高圧放電ランプは、上記被膜が、可視光吸収・選択発光性有機化合物をケイ素化合物を主体とするバインダーに分散させた溶液を外囲器の表面に塗布・焼成することにより膜厚1〜10μmで形成されたものであることを特徴とする。
【0031】
被膜の膜厚を規制することにより、光学特性や被膜強度に影響を及ぼしたり、材料使用量の増加の抑制がはかれる高圧放電ランプを得ることができる。
【0032】
本発明の請求項4に記載の高圧放電ランプは、上記被膜が、可視光吸収・選択発光性有機化合物と酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムの少なくとも一種とを、ケイ素化合物を主体としたバインダーに分散させた溶液を外囲器の表面に塗布・焼成することにより膜厚1〜10μmで形成されたものであることを特徴とする。
【0033】
上記材料を添加することにより膜厚、透過率の調整がはかれるとともに被膜強度が向上した高圧放電ランプを得ることができる。
【0034】
本発明の請求項5に記載の照明装置は、器具本体と;この器具本体内に配設された反射体およびソケットと;このソケットに装着された上記請求項1ないし4のいずれか一に記載された高圧放電ランプとを具備していることを特徴とする。
【0035】
上記請求項1ないし4のいずれか一に記載された高圧放電ランプが装着された照明装置(器具)であって、放電ランプが請求項1ないし4に記載された作用を奏するので、所定の発光特性を呈する照明を行うことができる。
【0036】
この照明装置(器具)は、器具本体内に点灯回路装置を備えていても、本体外に点灯回路装置を設け放電ランプと接続されるものであってもよい。また、本体内に反射体や光放射側にレンズや透光性の前面カバー部材が設けられていてもよい。
【0037】
本発明の請求項6に記載の照明装置は、器具本体と;この器具本体に配設された反射体およびソケットと;このソケットに装着された、容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度3600〜4200K、色偏差duv−0.002〜+0.004、平均演色評価数Ra85以上で発光する発光管を包囲する外囲器を備えた高圧放電ランプと;この器具本体の開口部を閉塞するよう設けられた透光性前面カバー部材と;この透光性前面カバー部材の表面に形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜とを具備しており、色温度3100〜3700K、色偏差duv−0.003〜−0.010、平均演色評価数Ra88以上で光照射することを特徴とする。
【0038】
上記構成の本発明の照明装置は、器具本体の開口部を閉塞するよう設けられた透光性前面カバー部材の表面に580nm付近に吸収ピークを有し550〜600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜を形成することによって、放電ランプの発光時、黄色光を低減し照射光の黄色味を減らし、かつ、615nm付近に発光ピークを有し吸収した光で元々不足している600nm以上の赤色の発光を補正できる、上記所定の発光特性を呈する照明装置を得ることができる。
【0039】
本発明の請求項7に記載の照明装置は、器具本体と;この器具本体に配設された反射体およびソケットと;このソケットに装着された、容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度2700〜3200K、色偏差duv−0.004〜+0.004、平均演色評価数Ra80以上で発光する発光管を包囲する外囲器を備えた高圧放電ランプと;この器具本体の開口部を閉塞するよう設けられた透光性前面カバー部材と;この透光性前面カバー部材の表面に形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜とを具備しており、色温度2200〜2800K、色偏差duv−0.005〜−0.015、平均演色評価数Ra85以上で光照射することを特徴とする。
【0040】
上記請求項6に記載と同様な作用を奏する照明装置を得ることができる。
【0041】
本発明の請求項8に記載の照明装置は、上記被膜が、可視光吸収・選択発光性有機化合物をケイ素化合物を主体とするバインダーに分散させた溶液を透光性前面カバー部材の表面に塗布・焼成することにより膜厚1〜10μmで形成されたものであることを特徴とする。
【0042】
被膜の膜厚を規制することにより、光学特性や被膜強度に影響を及ぼしたり、材料使用量の増加の抑制がはかれる照明装置を得ることができる。
【0043】
本発明の請求項9に記載の照明装置は、上記被膜が、可視光吸収・選択発光性有機化合物と酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムの少なくとも一種とを、ケイ素化合物を主体としたバインダーに分散させた溶液を透光性前面カバー部材の表面に塗布・焼成することにより膜厚1〜10μmで形成されたものであることを特徴とする。
【0044】
上記材料を添加することにより膜厚、透過率の調整がはかれるとともに被膜強度の向上した照明装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0045】
請求項1および2の発明によれば、赤色の発光を補正し高い演色性を示すとともに、かつ、色偏差duvを−側に制御可能で変化が少ない、食品、衣料など暖色系の赤色を中心とする商品を照明するのに適する高圧放電ランプを提供することができる。
【0046】
請求項3の発明によれば、発光特性、被膜強度や生産性に優れた高圧放電ランプを提供することができる。
【0047】
請求項4の発明によれば、膜厚や透過率の調整が容易にはかれるとともに被膜強度が向上した高圧放電ランプを提供することができる。
【0048】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4の少なくとも一に記載の効果を奏する高圧放電ランプを備えているので、諸発光特性に優れた照明装置(器具)を提供することができる。
【0049】
請求項6および7の発明によれば、赤色の発光を補正し高い演色性を示すとともに、かつ、色偏差duvを−側に制御可能で変化が少ない、食品、衣料など赤色を中心とする商品を照明するのに適する照明装置(器具)を提供することができる。
【0050】
請求項8の発明によれば、発光特性、被膜強度や生産性に優れた照明装置(器具)を提供することができる。
【0051】
請求項9の発明によれば、膜厚や透過率の調整が容易にはかれるとともに被膜強度が向上した照明装置(器具)を提供することができる。
【0052】
なお、上記請求項5ないし9に記載の照明装置(器具)は、鮮魚、精肉、果物、野菜、生花などの色彩商品の照明、洋品店などの衣料などの照明あるいは家庭の食卓などの照明に用い効果が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0054】
図1は、本発明の高圧放電ランプを実施するための第1の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【0055】
本形態の高圧放電ランプL1は、例えば定格ランプ電力70Wで、二重の外囲器を形成する外管1および内管2、発光管4、口金5および内管2の表面に形成された可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6などを主要部材とした三重管で構成されている。
【0056】
外側の外囲器を形成する外管1は、硬質ガラス製の先端側が閉塞された有底円筒状をなすT形のバルブからなり、基端部11の端面は開放された開口部となっている。この外管1は、肉厚が約2mm、外径が約20mm、長さ(頭頂の閉塞部を含む)が約75mmのガラス管からなる。
【0057】
内側の外囲器を形成する内管2は、肉厚が約1.5mm、外径が約15mm、長さ(ピンチシール部を含む)が約60mmの石英ガラス製の気密容器21からなり、閉鎖された先端部の中央には排気チップオフ部22が形成されている。また、基端部にはピンチシール部23が形成されている。ピンチシール部23には、モリブデンMoなどからなる一対の封着用金属箔24,24が並行して気密に埋設され、各封着金属箔24の両端部には内部導入線25および外部導入線26が接続してある。なお、ピンチシール部23の両扁平面には平坦面を横切って1ないし複数条の突条部が形成してあってもよい。
【0058】
また、本形態において、内管2の内部には、発光管4に加えて発光管4などを支持するサポート部材31(上記内部導入線25が延在して形成したものであってもよい。)、UVエンハンサなどの紫外線発生源32およびゲッタ33などの付帯的構成部材が配設されている。
【0059】
発光管4は、透光性多結晶アルミナセラミックスからなる略球形状などをした気密容器41の対向する部位にこの気密容器41と連通して一対の封止体42,42としての小径筒部が設けられ、この小径筒部内には電流導入導体43,43が封止され、その先端は放電空間を形成する気密容器41内に突出して放電電極(図示しない)を備えた構成としてある。
【0060】
また、気密容器41内には、発光金属のハロゲン化物、始動ガスおよび水銀からなる放電媒体が封入されている。なお、発光金属としては、例えばナトリウム(Na)、タリウム(Tl)およびツリウム(Tm)などの希土類金属のグループから選択された金属のハロゲン化物により構成することができる。
【0061】
サポート部材31は、図1中に示すように、内部導入線25が一体に延長して形成されていてもよく、一方の内部導入線25は発光管4下部の封止体42から導出した電流導入導体43に溶接され、また、他方の内部導入線25は内管2の気密容器21内壁に接近した位置を管軸方向に沿って延在し、気密容器21の先端付近で屈曲され、発光管4上部の封止体42から導出してその先端部が内管2の排気チップオフ部22内に挿入した電流導入導体43に溶接されることによって発光管4を固定支持している。
【0062】
口金5は、内管固定部52、外管固定部53および受電部絶縁体54を一体的に形成したステアタイトの成形体からなる口金基体51を有し、受電部絶縁体54には受電部が設けられている。この受電部はいずれも導電性金属からなる外周にねじ溝を形成したシェル55aおよび受電部絶縁体54の中央先端に配設されているセンターコンタクト55bとからなる。
【0063】
また、内管固定部52は、口金基体51の中心に内管2のピンチシール部23が挿入される長四角形状の凹部からなり、また、外管固定部53は、上記口金基体51の環状周壁の内側に同心的に形成した外管1の基端部13が挿入される環状溝からなる。
【0064】
そして、上記内管固定部52内に挿入された内管2のピンチシール部23および上記外管固定部53内に挿入された外管1は固定部52,53内に注入された接着剤56を固化することにより接合固定される。接着剤56は、高圧放電ランプの点灯中の動作温度に耐えるものであれば特段限定されないが、一般的には耐熱性のアルミナなどのセラミックス系などの無機質の耐熱接着剤が好ましく、接着剤56を用いないで、機械的などの手段によって固定される態様でもよい。
【0065】
また、口金基体51の受電部絶縁体54の中心孔(図示しない。)に挿通された外部導入線26,26の一方に接続したリード線27がシェル55aに、また、他方に接続したリード線(図示しない)がセンターコンタクト55bにろう付けや溶接などの手段で接続されている。
【0066】
外管1の外側表面に形成された可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6は、550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある例えばルモゲンFレッド305(BASFジャパン(株)製)のコーティング被膜である。
【0067】
この被膜6の形成は、まず、例えば1−メトキシ−2−プロパノールに対し、耐熱温度約325℃のシリコーン系樹脂を約30wt%を添加して調合した溶液に、シリコーン系樹脂に対し約0.2wt%のルモゲンFレッド305からなる有機化合物を溶解させたコーティング液を用意する。
【0068】
つぎに、このコーティング液中に外管1を浸漬して一定速度で引き上げた後、外管1外表面に付着した塗膜を自然乾燥させ、塗膜が乾燥したら大気雰囲気中において約250℃、約1時間の熱処理を行うことにより膜厚約6μmの被膜6を得ることができる。
【0069】
上記構成の本実施の形態に示す高圧放電ランプL1は、発光管4を封装した内管2をさらにT形の外管1内に収容した三重管構造のメタルハライドランプL1として、例えば口金体5側が上方にくる鉛直あるいは傾斜した状態のベースアップで点灯される。
【0070】
因みに、上記高圧放電ランプの発光特性は、外管1に可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6の形成前の被膜を形成していない構成の放電ランプが、色温度約3610K、色偏差duvRa約+0.0020、平均演色評価数Ra約95、赤色演色評価数R9約72で発光するのに対して、上記構成のランプの外管1の外側表面にルモゲンFレッド305を主体とした可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を形成した後の放電ランプL1は、色温度が約3130K、色偏差duv約−0.0080、平均演色評価数Ra約94、赤色演色評価数R9約88で発光する。
【0071】
図2は上記ルモゲンFレッド305(BASFジャパン(株)製)を主体した材料を用い外管1の外側表面に被膜6を形成した本発明の高圧放電ランプL1(実線)と、被膜6を形成する前の被膜6なしの高圧放電ランプ(点線)との発光スペクトル分布を示すグラフで、図中、横軸は波長(nm)、縦軸は相対エネルギー分布(放射エネルギー強度)(%)を対比させてある。また、表1は上記両者の色度座標(x、y)、色温度(CCT(K))、色偏差(duv)、演色評価数(Ra、R9)などの諸発光特性の比較表である。
【表1】

【0072】
すなわち、上記ルモゲンFレッド305(BASFジャパン(株)製)を主体とした被膜6は、580nm付近に吸収ピークを有し550〜600nmの黄色光を低減し照射光の黄色味を減らし、かつ、615nm付近に発光ピークを有し吸収した光で元々不足している600nm以上の赤色の発光を補正し高い演色性を示すとともに、かつ、色偏差duvを−側に制御可能で変化が少ない、食品、衣料など暖色系の赤色を中心とする商品を照明するのに適する放電ランプを得ることができる。
【0073】
なお、本発明の第1の実施の形態に示す放電ランプは、上記被膜6形成前、例えば色温度3600〜4200K、色偏差duv−0.002〜+0.004、平均演色評価数Ra85以上の範囲に諸発光特性を有するものを用い、被膜6形成後には色温度3100〜3700K、色偏差duv−0.003〜−0.010、平均演色評価数Ra88以上の範囲に諸発光特性を有するもので上記作用効果を奏する。
【0074】
また、本発明の高圧放電ランプL1は、被膜6の形成作業も焼成温度が従来より低いなど生産性も向上することができる。
【0075】
つぎに、本発明の高圧放電ランプの第2の実施の形態を説明する。本形態の高圧放電ランプの外観形状は、上記第1の実施の形態のランプと同形、同定格であるのでその説明は省略する。
【0076】
この第2の実施の形態の高圧放電ランプL2の発光特性は、外管1に可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6の形成前の被膜を形成していない構成の放電ランプが、色温度約3100K、色偏差duv約−0.0030、平均演色評価数Ra約93、赤色演色評価数R9約43で発光するのに対して、上記構成のランプの外管1の外側表面にルモゲンFレッド305を主体とした可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を形成した後の放電ランプL2は、色温度が約2840K、色偏差duv約−0.0111、平均演色評価数Ra約90、赤色演色評価数R9約78で発光する。
【0077】
図3は上記ルモゲンFレッド305を主体した材料を用い外管1の外表面に被膜6を形成した本発明の高圧放電ランプL2(実線)と、被膜6を形成する前の被膜6なしの高圧放電ランプ(点線)との発光スペクトル分布を示すグラフで、図中、横軸は波長(nm)、縦軸は相対エネルギー分布(放射エネルギー強度)(%)を対比させてある。また、表2は上記両者の諸発光特性の比較表である。
【表2】

【0078】
この第2の実施の形態の高圧放電ランプL2は、バルブ(外球)の形成材料にネオジム(Nd)を添加した公知のネオジムガラスを用いた白熱電球に代替されるランプであって、上記第1の実施の形態の高圧放電ランプと同様な作用効果を奏する他、セラミックス製の小形発光管が用いられるようになった結果、電球に比べ高効率、長寿命の食品、衣料など赤色を中心とする商品を照明するのに適する放電ランプを得ることができる。
【0079】
なお、本発明の第2の実施の形態に示す放電ランプL2は、上記被膜6形成前、例えば色温度2700〜3200K、色偏差duv−0.004〜+0.004、平均演色評価数Ra80以上の範囲に諸発光特性を有するものを用い、被膜6形成後には色温度2200〜2800K、色偏差duv−0.005〜−0.015、平均演色評価数Ra85以上の範囲に諸発光特性を有するもので上記作用効果を奏する。
【0080】
つぎに、本発明の第3の実施の形態を説明する。図4は反射形の高圧放電ランプL3の正面図であって、上記実施の形態のランプL1と同一部分には同一の符合を付してその説明は省略する。
【0081】
この第3の実施の形態の高圧放電ランプL3は、外囲器を形成するバルブ(外管)1が硬質ガラスからなる表面などに反射膜(図示しない)が形成された椀状の反射基体71と前面レンズ72とが接着剤を介してや機械的な接合あるいは融合して形成したPAR形をなし、内部に上述の第1または第2の実施の形態で示したと同じ発光特性を有し基本的には略同構成の発光管4を封装した内管2が収容されていて、反射基体71の基端部には口金5が接合された構成である。
【0082】
そして、上記前面レンズ72の内外面の一方の表面に上記第1または第2の実施の形態で示した内管2に対応した発光特性を有する可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6が形成してある。
【0083】
例えば上記バルブ(外管)1内に、上述の第2の実施の形態で示したと同じ発光特性を有する発光管4が封装された内管2を収容し、前面レンズ72の表面には第2の実施の形態で示したと同じ可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を形成して図3に示す放電ランプL3を得た。
【0084】
図5は上記ルモゲンFレッド305を主体した材料を用い前面レンズ72の外側表面に被膜6を形成した本発明の反射形高圧放電ランプL3(実線)と、被膜6を形成する前の被膜6なしの反射形高圧放電ランプ(点線)との発光スペクトル分布を示したグラフで、図中、横軸は波長(nm)、を対比させてある。また、表3は上記両者の諸発光特性の比較表である。
【表3】

【0085】
上記のように前面レンズ72の外側表面に被膜6を形成した反射形高圧放電ランプL3においても、上記第1、第2の実施の形態の高圧放電ランプと同様な作用効果を奏し、食品、衣料など赤色を中心とする商品を照明するのに適する高圧放電ランプを得ることができる。
【0086】
図6は本発明の上記第1または第2の実施の形態の高圧放電ランプL1またはL2を用いた屋内照明用のスポットライトからなる照明装置(器具)を示す要部断面正面図である。
【0087】
この照明装置(器具)9は、天井面などに取り付けられた取付台91、支柱92、少なくとも一面に光放射する開口部93を有する箱状の器具本体94、器具本体94内に設けられたソケット95および反射鏡96、上記開口部93を覆い設けられたガラスや合成樹脂などからなる透光性前面カバー97を主な構成要素として構成されている。
【0088】
なお、器具本体94は、取付台91に対し支柱92を介し水平面内および鉛直面内の回動が可能になっている。また、点灯回路装置(図示しない)は、器具本体94内や取付台91内に配設されていても、天井裏などに別置配設されていてもよい。
【0089】
この照明装置(器具)9において、ソケット95に装着した例えば高圧放電ランプL1が点灯回路装置(図示しない)を介し点灯すると、直射光および反射鏡96からの反射光が光放射する開口部93に設けられた透光性前面カバー97を介し衣類などの商品に向け光照射される。このとき、照射光は例えば表1に示した発光特性を呈して、商品の赤色などの再現性を高めた見え方が良好な照明を行うことができる。
【0090】
また、この種照明装置(器具)9において、上記透光性前面カバー97の内外面いずれか一方の表面に可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を上述したと同様に形成しておき、ソケット95に表1や表2に記載した可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を形成していない高圧放電ランプを装着してランプを点灯させても、光放射する開口部93からは被膜6を介し衣料などの商品に向け光照射し商品の赤色などの再現性を高めた見え方が良好な照明を行うことができる。
【0091】
例えば第1の実施の形態に示した外管1の表面に可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を形成していない高圧放電ランプを用いるとともに、ガラス製の透光性前面カバー97の内外いずれかの表面、ここでは外面に上記ルモゲンFレッド305を主体した材料からなる可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を形成した組合せの照明装置(器具)9においては、図7のグラフに示す発光スペクトル分布を呈した。
【0092】
なお、図中、横軸は波長(nm)、縦軸は相対エネルギー分布(放射エネルギー強度)(%)を対比させてあり、実線は透光性前面カバー97に約6μmの膜厚の可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を形成したもの、一点鎖線は10μmを超えた膜厚の可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜6を形成したもの、点線は可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜が形成されていないもので、表4は上記三者の諸発光特性の比較表である。
【表4】

【0093】
上記のように照明装置(器具)9側の透光性前面カバー96の表面に被膜6を形成した場合においても、上記第1〜第3の実施の形態の高圧放電ランプと同様な作用効果を奏し、食品、衣料など赤色を中心とする商品を照明するのに適する照明装置(器具)9を得ることができる。
【0094】
なお、本発明は上記実施の形態に限るものではない。たとえば、上記実施の形態では高圧放電ランプとしてメタルハライドランプで説明したが、メタルハライドランプに限らず、高圧ナトリウムランプや水銀ランプなどのランプでもよく、要するに可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜が形成していない状態で所定の発光特性を有するランプに適用して上記作用効果を奏する。
【0095】
発光管を構成する気密容器は、透光性により形成される場合、例えばサファイヤなどの単結晶の金属酸化物、多結晶の金属酸化物、例えば半透明の気密性アルミニウム酸化物、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)、多結晶非酸化物、例えばアルミニウム窒化物(AlN)などを用いることができ、セラミックス材料の他、石英ガラスやホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラスなどを用いることもでき、その形状はG形、T形などあるいはこれらの複合形状で形成されているものを用いることができる。
【0096】
外囲器を形成する外管や内管は、石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスやアルミノシリケートガラスなどの硬質ガラスあるいはソーダライムガラスなどの軟質ガラスからなり、その形状は、A形、G形、R形、T形、PS形やBT形などあるいはこれらの複合形状で形成されているものを用いることができる。また、外囲器は二重管や三重管など多重管に適用でき、これら外囲器は気密性であっても非気密性であってもよく発光管容器の飛散を防止する中管(シュラウド)が設けられたものであってもよい。
【0097】
また、高圧放電ランプは、発光管に少なくとも一対の放電電極が封装され、また、外囲器内に配設される始動回路部は、UVエンハンサなどの紫外線発生源に限らず点灯管などが用いられるものであってもよい。
【0098】
また、ランプの外囲器または照明装置の透光性前面カバーの表面に形成する可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜の材料は、ルモゲンFレッド305(BASFジャパン(株)製)に限らない。また、このルモゲンFレッド305に酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)酸化イットリウム(Y2 3)のうちから選ばれた少なくとも一種の酸化微粒子を溶液に対し10〜50wt%程度添加混合して被膜を形成してもよく、この添加によって膜厚、透過率の調整がはかれるとともに被膜強度の向上ができる。
【0099】
また、外管、内管や前面レンズなどの外囲器あるいは照明装置(器具)の前面カバーなどにおける被膜の形成部は、これら部材の内外面の一方でよく被膜の耐熱温度、形成作業性などを考慮して決めればよい。
【0100】
また、被膜の膜厚は1〜10μmの範囲であれば、上記発光特性の範囲を満足でき、1μm未満の場合は、吸収がある有機化合物の濃度を高くする必要があり透過率低下など光学特性に影響を及ぼす易く、また、10μmを超えると材料使用量の増加や被膜強度の低下が起り易く、かつ、透過率の変動も大きくなる。
【0101】
なお、所定範囲の諸発光特性を得るには被膜の膜厚などを調整することにより行うことができ、この調整はコーティング液からの外管などの引き上げ速度やコーティング液への浸漬回数を変えることにより所望の膜厚が得られる。また、被膜の形成はコーティング液への浸漬に限らず、吹き付けや蒸着などの手段であってもよい。
【0102】
口金は上記実施の形態に示す構造の内管固定部や外管固定部を備えたものに限らず、種々の固定手段を採ることができる。また、口金はねじ込み形(E形など)に限らず、差込み形(S形など)やピン差込み形(G形など)などであってもよい。
【0103】
さらに、照明装置(器具)は上記実施の形態に示すものに限らず、器具本体内に点灯回路装置を備えていても、本体外に点灯回路装置を設け高圧放電ランプと接続されるものであってもよく、さらにまた、放電ランプによっては器具本体内に反射板や光放射側にレンズや透光性の前面カバー部材が設けられていなくてもよい。
【0104】
この照明装置は、食品や衣類などを扱う店舗あるいは飲食店などにおける照明用として好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の高圧放電ランプの第1の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【図2】高圧放電ランプの発光スペクトル分布を示すグラフである。
【図3】高圧放電ランプの発光スペクトル分布を示すグラフである。
【図4】本発明の高圧放電ランプ(反射形)の第3の実施の形態を示す正面図である。
【図5】高圧放電ランプの発光スペクトル分布を示すグラフである。
【図6】本発明の照明装置(器具)の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【図7】高圧放電ランプの発光スペクトル分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0106】
L1〜L3:高圧放電ランプ(メタルハライドランプ)
1:外管(外囲器)
2:内管
21:気密容器(外囲器)
4:発光管
6: 可視選択吸収・選択発光性有機化合物被膜
9:照明装置(器具)
94:器具本体
96:透光性前面カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度3600〜4200K、色偏差duv−0.002〜+0.004、平均演色評価数Ra85以上で発光する発光管と;
この発光管を包囲する外囲器と;
この外囲器の表面に形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜と;
を具備しており、色温度3100〜3700K、色偏差duv−0.003〜−0.010、平均演色評価数Ra88以上で点灯することを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
気密容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度2700〜3200K、色偏差duv−0.004〜+0.004、平均演色評価数Ra80以上で発光する発光管と;
この発光管を包囲する外囲器と;
この外囲器の表面に形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜と;
を具備しており、色温度2200〜2800K、色偏差duv−0.005〜−0.015、平均演色評価数Ra85以上で点灯することを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項3】
上記被膜は、可視光吸収・選択発光性有機化合物をケイ素化合物を主体とするバインダーに分散させた溶液を外囲器の表面に塗布・焼成することにより膜厚1〜10μmで形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
上記被膜は、可視光吸収・選択発光性有機化合物と酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムの少なくとも一種とを、ケイ素化合物を主体としたバインダーに分散させた溶液を外囲器の表面に塗布・焼成することにより膜厚1〜10μmで形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
器具本体と;
この器具本体内に配設された反射体およびソケットと;
このソケットに装着された上記請求項1ないし4のいずれか一に記載された高圧放電ランプと;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
器具本体と;
この器具本体に配設された反射体およびソケットと;
このソケットに装着された、容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度3600〜4200K、色偏差duv−0.002〜+0.004、平均演色評価数Ra85以上で発光する発光管を包囲する外囲器を備えた高圧放電ランプと;
この器具本体の開口部を閉塞するよう設けられた透光性前面カバー部材と;
この透光性前面カバー部材の表面に形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜と;
を具備しており、色温度3100〜3700K、色偏差duv−0.003〜−0.010、平均演色評価数Ra88以上で光照射することを特徴とする照明装置。
【請求項7】
器具本体と;
この器具本体に配設された反射体およびソケットと;
このソケットに装着された、容器内に発光物質および希ガスからなる放電媒体を封入し色温度2700〜3200K、色偏差duv−0.004〜+0.004、平均演色評価数Ra80以上で発光する発光管を包囲する外囲器を備えた高圧放電ランプと;
この器具本体の開口部を閉塞するよう設けられた透光性前面カバー部材と;
この透光性前面カバー部材の表面に形成された550〜600nmに吸収ピークを有し600nm以上に発光がある可視光吸収・選択発光性有機化合物被膜と;
を具備しており、色温度2200〜2800K、色偏差duv−0.005〜−0.015、平均演色評価数Ra85以上で光照射することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
上記被膜は、可視光吸収・選択発光性有機化合物をケイ素化合物を主体とするバインダーに分散させた溶液を透光性前面カバー部材の表面に塗布・焼成することにより膜厚1〜10μmで形成されたものであることを特徴とする請求項6または7に記載の照明装置。
【請求項9】
上記被膜は、可視光吸収・選択発光性有機化合物と酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムの少なくとも一種とを、ケイ素化合物を主体としたバインダーに分散させた溶液を透光性前面カバー部材の表面に塗布・焼成することにより膜厚1〜10μmで形成されたものであることを特徴とする請求項6または7に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−123496(P2010−123496A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298116(P2008−298116)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】