説明

高圧洗浄車

【課題】複数の噴射装置を備える高圧洗浄車において、作業効率の向上を図る。
【解決手段】高圧洗浄車1は、洗浄水を貯留するタンク11と、タンク11の洗浄水を圧送するポンプ12と、ポンプによって圧送された洗浄水を噴射する洗浄ノズル33と洗浄ガン35とを備えている。ポンプ12と洗浄ノズル33とは、配管63、圧力制御弁64、配管65、マニホールド70、配管72およびホース13を介して接続されている。ポンプ12と洗浄ガン35とは、配管63、圧力制御弁64、配管65、マニホールド70、配管75およびサブホース14を介して接続されている。配管72には洗浄ノズル33に対する洗浄水の供給の有無を切り換える開閉弁73が設けられ、配管75には洗浄ガン35に対する洗浄水の供給の有無を切り換える開閉弁76が設けられている。開閉弁73と開閉弁76とは、それぞれ遠隔操作自在に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧洗浄車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下水管等の洗浄に、高圧洗浄車が使用されている。通常、高圧洗浄車は、洗浄水を貯留するタンクと、洗浄水を圧送するポンプと、圧送された洗浄水を噴射装置に導くホースと、ホースが巻き付けられたホースリールと、ホースの先端に取り付けられた噴射ノズルとを備えている。作業時には、ホースリールからホースを繰り出し、噴射装置から高圧の洗浄水を下水管等の被洗浄物に噴射することによって、被洗浄物の洗浄を行う。
【0003】
この種の高圧洗浄車の中には、種類の異なる複数の噴射装置を備え、被洗浄物の汚れの程度や目的等に応じて上記噴射装置のいずれか1つを選択的に使用可能に構成されたものがある(特許文献1参照)。例えば、特許文献1に記載の高圧洗浄車では、2つの噴射装置を備えている。
【特許文献1】実用新案登録第2510670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の高圧洗浄車では、複数の噴射装置の切換に際して、作業者が各々の噴射装置用の開閉バルブを操作しなければならなかった。そのため、作業効率が悪かった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の噴射装置を備える高圧洗浄車において、作業効率の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る高圧洗浄車は、洗浄水を貯留するタンクと、前記タンク内の洗浄水を圧送するポンプと、一端が前記ポンプの吐出側に接続された少なくとも第1水流路および第2水流路と、前記第1水流路の他端に接続された第1噴射装置と、前記第2水流路の他端に接続された第2噴射装置と、前記第1水流路に設けられ、前記第1噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第1開閉弁と、前記第2水流路に設けられ、前記第2噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第2開閉弁と、を備え、前記第1開閉弁と前記第2開閉弁とは、それぞれ遠隔操作自在に構成されているものである。
【0007】
上記高圧洗浄車では、第1噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第1開閉弁と、第2噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第2開閉弁とが、遠隔操作自在に構成されている。そのため、第1開閉弁の操作入力手段と第2開閉弁の操作入力手段とをそれぞれ操作に好適な場所に設置することができる。これにより、操作の容易化を図ることができ、作業効率を向上させることができる。また、上記高圧洗浄車によれば、第1開閉弁と第2開閉弁との操作入力手段を同じ場所、例えば、同じ操作盤上に設けることが可能となる。これにより、一所において第1開閉弁および第2開閉弁の開閉操作を行うことが可能となる。したがって、このことによっても操作の容易化を図ることができ、作業効率を向上させることができる。
【0008】
ところで、通常、このような高圧洗浄車の噴射装置から噴射される洗浄水は高圧であるため、開閉弁を開閉するためには大きな力が必要となる。そのため、手動による開閉作業は作業者に負担が大きく、また、時間がかかっていた。
【0009】
そこで、前記高圧洗浄車は、所定の第1軸回りに揺動自在であり、揺動することにより前記第1開閉弁を開状態または閉状態に切り換える第1レバーと、所定の第2軸回りに揺動自在であり、揺動することにより前記第2開閉弁を開状態または閉状態に切り換える第2レバーと、第1シリンダと、前記第1シリンダ内を前側空間と後側空間とに仕切る第1ピストンと、前記第1レバーに接続された第1ピストンロッドとを有し、伸縮自在な第1エアシリンダと、第2シリンダと、前記第2シリンダ内を前側空間と後側空間とに仕切る第2ピストンと、前記第2レバーに接続された第2ピストンロッドとを有し、伸縮自在な第2エアシリンダと、をさらに備え、前記第1レバーは、前記第1エアシリンダの伸縮に伴って揺動し、前記第2レバーは、前記第2エアシリンダの伸縮に伴って揺動することが好ましい。
【0010】
上記高圧洗浄車では、第1シリンダの前側空間または後側空間にエアが供給されることにより、第1エアシリンダが伸長または収縮する。また、第2シリンダの前側空間または後側空間にエアが供給されることにより、第2エアシリンダが伸長または収縮する。これにより、第1ピストンロッドおよび第2ピストンロッドがそれぞれ摺動運動し、第1ピストンロッドにピン接合された第1レバーは第1軸回りに揺動し、第2ピストンロッドにピン接合された第2レバーは第2軸回りに揺動する。そして、第1レバーおよび第2レバーの揺動により、第1開閉弁および第2開閉弁は、それぞれ開状態または閉状態に切り換えられる。
【0011】
上記高圧洗浄車では、第1エアシリンダおよび第2エアシリンダを備えている。そのため、エアの力を利用して容易に第1開閉弁および第2開閉弁を開閉させることができる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、作業者の負担を軽減することができ、また、開閉作業にかかる時間を短縮することができる。
【0012】
前記高圧洗浄車は、エア供給源と、前記エア供給源と前記第1エアシリンダとの間に設けられ、エアの供給先を前記第1シリンダの前側空間および前記第1シリンダの後側空間のいずれか一方に切り換える第1電磁バルブと、前記エア供給源と前記第2エアシリンダとの間に設けられ、エアの供給先を前記第2シリンダの前側空間および前記第2シリンダの後側空間のいずれか一方に切り換える第2電磁バルブと、前記第1電磁バルブおよび前記第2電磁バルブが接続された切換スイッチと、をさらに備え、前記切換スイッチは、前記第1開閉弁を開状態とするときには、前記第2開閉弁を閉状態とし、前記第2開閉弁を開状態とするときには、前記第1開閉弁を閉状態とする様に、前記第1電磁バルブおよび前記第2電磁バルブを切り換えることが好ましい。
【0013】
上記高圧洗浄車によれば、一つの切換スイッチを切り換えることにより、第1電磁バルブと第2電磁バルブを切り換えることができる。また、これにより、第1開閉弁および第2開閉弁を開閉させることができる。そのため、一つのスイッチ操作によって第1開閉弁および第2開閉弁の開閉操作を行うことが可能となる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、作業効率の向上を図ることができる。また、操作の容易化を図ることができる。
【0014】
ところで、複数の噴射装置および複数の開閉弁を備えた高圧洗浄車では、洗浄水を噴射させる際、複数の開閉弁のうち、一つの開閉弁だけを開き、他の開閉弁は全て閉じなければならない。しかし、これらの開閉弁の開閉操作を全て手動操作で行う場合、作業が煩雑となり、誤操作が発生し易かった。
【0015】
しかし、上記高圧洗浄車によれば、第1開閉弁が開状態にあるときに誤って第2開閉弁が開かれること、および、第2開閉弁が開状態にあるときに誤って第1開閉弁が開かれることを防止することができる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、誤操作を防止することができる。
【0016】
前記第1開閉弁および前記第2開閉弁は、手動により開閉操作自在に構成されていることが好ましい。
【0017】
このことにより、例えば、第1開閉弁および第2開閉弁を遠隔操作する機構に故障が生じた場合であっても、第1開閉弁および第2開閉弁を手動操作することにより、開閉させることができる。そのため、上記高圧洗浄車によれば、上述のような故障時であっても、第1噴射装置または第2噴射装置から洗浄水を噴射して洗浄作業を行うことが可能となる。
【0018】
前記高圧洗浄車は、エアが供給されるとエアの圧力に応じて前記第1噴射装置または前記第2噴射装置に供給される洗浄水の圧力を制御する圧力制御弁と、前記圧力制御弁にエアを導くエア回路と、を備え、前記エア供給源は前記エア回路であることが好ましい。
【0019】
上記高圧洗浄車では、圧力制御弁にエアを導くエア回路を、第1開閉弁および第2開閉弁を開閉させるためのエア供給源として利用することができる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、大型化を抑制しつつ作業効率の向上を図ることができる。
【0020】
前記高圧洗浄車は、前記第1開閉弁が開状態となると通電状態となる第1センサと、前記第2開閉弁が開状態となると通電状態となる第2センサと、手動により操作される第1補助スイッチおよび第2補助スイッチと、をさらに備え、前記エア回路は、第1エア流路および第2エア流路と、前記第1センサまたは前記第1補助スイッチが通電状態となると、前記第1エア流路にエアを流通させ、前記第2センサまたは前記第2補助スイッチが通電状態となると、前記第2エア流路にエアを流通させるエア流路切換機構と、を有していることが好ましい。
【0021】
上記高圧洗浄車は、手動により操作可能な第1補助スイッチおよび第2補助スイッチを備えている。そのため、第1センサまたは第2センサが故障して圧力制御弁にエアを供給することができなくなった場合であっても、第1補助スイッチまたは第2補助スイッチを手動操作することにより、第1エア流路または第2エア流路にエアを流通させることができる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、第1センサまたは第2センサが故障した場合であっても、洗浄作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、複数の噴射装置を備える高圧洗浄車において、作業効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1および図2は、本実施形態に係る高圧洗浄車1を表している。高圧洗浄車1は、後述する洗浄ノズル33(図3参照)または洗浄ガン35(図3参照)から高圧の洗浄水を噴射することで、下水管の洗浄やマンホール周辺の清掃を行うものである。
【0025】
図1に示すように、高圧洗浄車1は、キャブ2と、シャーシ3とを備えている。シャーシ3には、走行用エンジン46(図3参照)や、図示しない動力伝達装置などが組み立てられている。また、シャーシ3には、車輪5が取り付けられている。
【0026】
シャーシ3上には、洗浄水を貯留するタンク11と、ポンプ収容室21とが設置されている。タンク11は、シャーシ3上の前後方向の中央部に設置されている。ポンプ収容室21は、タンク11の前方側に設置されている。ポンプ収容室21内には、タンク11内の洗浄水を圧送するためのポンプ12が収容されている。
【0027】
シャーシ3上のタンク11の後方側には、支持台4が設置されている。図1および図2に示すように、支持台4上には、ターンテーブル6が鉛直軸周りに旋回自在に設けられている。ターンテーブル6上には、ホースリール15、サブホースリール16および操作盤50が設置されている。
【0028】
ホースリール15は、ターンテーブル6にフレーム31を介して取り付けられている。ホースリール15は、フレーム31により、水平軸X1回りに正逆回転自在に支持されている。図3に示すように、ホースリール15には、洗浄水を導くホース13が巻き付けられている。ホース13の先端には、洗浄ノズル33が着脱自在に取り付けられている。
【0029】
図1および図2に示すように、サブホースリール16は、ターンテーブル6にフレーム32を介して取り付けられている。サブホースリール16は、フレーム32により、水平軸X2回りに正逆回転自在に支持されている。図3に示すように、サブホースリール16には、洗浄水を導くサブホース14が巻き付けられている。サブホース14の先端には、洗浄ガン35が着脱自在に取り付けられている。
【0030】
また、ホースリール15およびサブホースリール16は、それぞれ図示しない油圧モータにより正逆回転駆動される。これにより、ホース13およびサブホース14は、ホースリール15から繰り出されまたは巻き取られる。
【0031】
図1に示すように、操作盤50は、操作レバー17と、切換スイッチ18とを備えている。操作レバー17は、ホースリール15またはサブホースリール16を正逆回転させてホース13またはサブホース14(図3参照)の繰り出しまたは巻き取り作業を操作するものである。切換スイッチ18は、洗浄水を噴射させる噴射装置(洗浄ノズル33または洗浄ガン35)を切り換えるためのスイッチである。切換スイッチ18は、後述する第3バルブ36および第4バルブ37(図5参照)に接続されている。
【0032】
以上が本実施形態に係る高圧洗浄車1の構成である。次に、本実施形態に係る高圧洗浄車1の水回路について図3を用いて説明する。なお、水回路は、タンク11から洗浄ノズル33または洗浄ガン35に洗浄水を供給する回路である。
【0033】
《高圧洗浄車1の水回路》
図3に示すように、高圧洗浄車1のタンク11の底部には配管61の一端部が接続されている。配管61の他端部は、ポンプ12に接続されている。また、配管61には、上流側から下流側に向かって順に、開閉弁80とストレーナ62とが設けられている。
【0034】
配管61の開閉弁80よりも下流側かつストレーナ62よりも上流側の中途部には、配管74が接続されている。配管74の端部には、開閉弁79が設けられている。配管74は、洗浄終了後に、タンク11に残った洗浄水を外部に放流するためのものである。
【0035】
ポンプ12の吐出側には、配管63の一端が接続されている。ポンプ12は、配管61を介してタンク11内に貯留された洗浄水を吸入し、高圧の洗浄水として配管63に吐出する。
【0036】
なお、ポンプ12は、プーリ42、Vベルト43、ドライブシャフト44、およびPTO(動力取出装置)45を介して、前述した走行用エンジン46に連結されている。これにより、ポンプ12は走行用エンジン46によって駆動される。また、ドライブシャフト44は、動力伝達機構47を介して、油圧ポンプ41に連結されている。油圧ポンプ41は、図示は省略するが、ホースリール15またはサブホースリール16を回転駆動する油圧回路に設けられている。
【0037】
配管63の他端は、圧力制御弁64に接続されている。圧力制御弁64は、配管65を介してマニホールド70と接続されている。また、圧力制御弁64は、配管71を介してタンク11とも接続されている。
【0038】
圧力制御弁64は、主として配管63内の洗浄水を、配管65へ導くが、流入した洗浄水の圧力が所定の設定圧力(目標圧力)よりも高い場合、その一部を配管71へ導く。このようにして、配管65へ導く洗浄水の圧力は、圧力制御弁64により所定の設定圧力以下となるように制御される。また、圧力制御弁64には、後述するエア回路24(図6参照)を介してエアタンク20(図6参照)からエアが供給される。圧力制御弁64は、当該エアの供給の有無によってオン/オフされる。また、圧力制御弁64は、供給されるエアの圧力により、設定圧力が変更される様に構成されている。
【0039】
配管65には、配管66の一端が接続されている。配管66の端部には、開閉弁67が設けられている。
【0040】
マニホールド70には、配管72および配管75の一端が接続されている。また、マニホールド70には、圧力計77が設けられている。
【0041】
配管72の他端にはホースリール15が接続されている。前述したように、ホースリール15にはホース13が巻き付けられている。ホース13の先端部には、洗浄ノズル33が着脱自在に取り付けられている。配管72の一端側には開閉弁73が設けられている。
【0042】
このような構成により、マニホールド70に流入した洗浄水は、配管72に導かれる。そして、開閉弁73を開くことにより、上記洗浄水は、ホースリール15およびホース13を介して洗浄ノズル33から噴射されることとなる。このようにして、開閉弁73は、洗浄ノズル33に対する洗浄水の供給の有無を切り換える。なお、詳細については後述するが、開閉弁73は、遠隔操作自在に構成されている。また、本実施形態では、配管63,圧力制御弁64,配管65,マニホールド70,配管72およびホース13が、本発明に係る第1水流路となる。
【0043】
図4に示すように、開閉弁73には、軸81a周りに揺動自在であり、開閉弁73を開状態または閉状態に切り換えるためのレバー81が設けられている。また、レバー81には、後述するエアシリンダ83のピストンロッド87bがピン接合されている。なお、図に示すように、本実施形態では、ピストンロッド87bがレバー81を押し出すと、開閉弁73は開状態となり、逆に、ピストンロッド87bがレバー81をエアシリンダ83側に引き戻すと、開閉弁73は閉状態となる様に構成されている。なお、エアシリンダ83,84およびレバー81,82はカバー19(図2参照)内に収納されている。
【0044】
一方、図3に示すように、配管75の他端にはサブホースリール16が接続されている。また、配管75の中途部には開閉弁76が設けられている。前述したように、サブホースリール16にはサブホース14が巻き付けられている。また、サブホース14の先端部には、洗浄ガン35が着脱自在に取り付けられている。
【0045】
このような構成により、マニホールド70に流入した洗浄水は、配管75に導かれる。そして、開閉弁76を開くことにより、上記洗浄水は、サブホースリール16およびサブホース14を介して洗浄ガン35から噴射されることとなる。このようにして、開閉弁76は、洗浄ガン35に対する洗浄水の供給の有無を切り換える。なお、なお、詳細については後述するが、開閉弁76は、遠隔操作自在に構成されている。また、本実施形態では、配管63,圧力制御弁64,配管65,マニホールド70,配管75およびサブホース14が、本発明に係る第2水流路となる。
【0046】
なお、図4に示すように、開閉弁76には、軸82a周りに揺動自在であり、開閉弁76を開状態または閉状態に切り換えるためのレバー82が設けられている。また、レバー82には、後述するエアシリンダ84のピストンロッド88bがピン接合されている。なお、図に示すように、本実施形態では、ピストンロッド88bがレバー82を押し出すと、開閉弁76は開状態となり、逆に、ピストンロッド88bがレバー82をエアシリンダ84側に引き戻すと、開閉弁76は閉状態となる様に構成されている。
【0047】
以上が水回路の説明である。次に、図5を参照しながら、高圧洗浄車1のエア回路24、および、開閉弁73,79を開状態または閉状態に遠隔操作する開閉機構90について説明する。
【0048】
〈エア回路24の構成〉
高圧洗浄車1のエア回路24は、エアタンク20と、第1バルブ25と、第2バルブ26と、第1レギュレータ27と、第2レギュレータ28と、三方弁29とを備えている。このエア回路24は、前述した圧力制御弁64に適宜エアを供給する。
【0049】
本実施形態では、第1バルブ25および第2バルブ26として電磁式のバルブを用いた場合について説明する。第1バルブ25は、第1ポートaと第2ポートbと第3ポートcとを備えており、オン状態(通電状態)になると第2ポートbと第3ポートcとを連通させ(図6参照)、オフ状態(非通電状態)になると第1ポートaと第3ポートcとを連通させる(図5参照)。また、第2バルブ26も、第1ポートaと第2ポートbと第3ポートcとを備えており、オン状態になると第2ポートbと第3ポートcとを連通させ(図6参照)、オフ状態になると第1ポートaと第3ポートcとを連通させる(図5参照)。
【0050】
三方弁29は、手動式であり、第1ポートaと第2ポートbと第3ポートcとを備えている。三方弁29は、第1ポートaと第2ポートbとを連通させる第1の状態と、第2ポートbと第3ポートcとを連通させる第2の状態(図8参照)とに切換可能に構成されている。
【0051】
エアタンク20には、エア配管91の一端が接続されている。エア配管91の他端にはエア配管92およびエア配管93の一端が接続されている。エア配管92の他端は、第1バルブ25の第2ポートbに接続されている。エア配管93の他端は、第1バルブ25の第1ポートaに接続されている。エア配管93の中途部には、第2レギュレータ28が設けられている。
【0052】
第1バルブ25の第3ポートcには、エア配管94の一端が接続されている。エア配管94の他端は、第2バルブ26の第2ポートbに接続されている。第2バルブ26の第3ポートcには、エア配管95の一端が接続されている。エア配管95の他端は、三方弁29の第1ポートaに接続されている。三方弁29の第2ポートbには、エア配管96の一端が接続されている。エア配管96の他端は、圧力制御弁64に接続されている。エア配管96の中途部には、第1レギュレータ27が設けられている。また、三方弁29の第3ポートcには、エア配管97の一端が接続されている。エア配管97の他端はエア配管91の中途部に接続されている。
【0053】
なお、第1レギュレータ27は、エア配管96を通過するエア圧力が所定の第1エア圧力よりも高い場合、エアの一部を排出して、エア圧力を所定の第1エア圧力に調整するものである。一方、第2レギュレータ28は、エア配管93を通過するエア圧力が所定の第2エア圧力よりも高い場合、エアの一部を排出して、エア圧力を所定の第2エア圧力に調整するものである。第2エア圧力は、第1エア圧力よりも低く設定されている。
【0054】
このような構成により、本実施形態では、エア配管91,92,第1バルブ25,エア配管94,第2バルブ26,エア配管95,三方弁29,エア配管96により、本発明に係る第1エア流路が形成される。また、エア配管91,93,第1バルブ25,エア配管94,第2バルブ26,エア配管95,三方弁29,エア配管96により、本発明に係る第2エア流路が形成される。本実施形態では、第1バルブ25,第2バルブ26が本発明に係るエア流路切換機構となる、エア流路切換機構は、エアタンク20から圧力制御弁64までエアを導くエア流路を、上記第1エア流路または上記第2エア流路に切り換えるものである。
【0055】
〈開閉機構90の構成〉
開閉機構90は、エアシリンダ83およびエアシリンダ84と、第3バルブ36および第4バルブ37と、サイレンサ58とを備えている。
【0056】
図4に示すように、エアシリンダ83は、シリンダ85と、シリンダ85内を前側空間85aと後側空間85bとに仕切るピストン87aと、前述のピストンロッド87bとを備えている。前述したように、ピストンロッド87bは、レバー81にピン接合されている。また、エアシリンダ84は、シリンダ86と、シリンダ86内を前側空間86aと後側空間86bとに仕切るピストン88aと、前述のピストンロッド88bとを備えている。前述したように、ピストンロッド88bは、レバー82にピン接合されている。
【0057】
第3バルブ36および第4バルブ37は、第1ポートaと第2ポートbと第3ポートcと第4ポートdと、第5ポートeとを備えている。第3バルブ36および第4バルブ37は、オン状態(通電状態)になると、第1ポートaと第4ポートdとを連通させると共に、第2ポートbと第5ポートeとを連通させる。一方、オフ状態(非通電状態)になると、第2ポートbと第4ポートdとを連通させると共に、第3ポートcと第5ポートeとを連通させる。
【0058】
また、第3バルブ36および第4バルブ37は、操作盤50(図1参照)に設けられた切換スイッチ18に接続されている。第3バルブ36および第4バルブ37は、切換スイッチ18により、開閉弁73を開状態とするときには開閉弁76を閉状態とし、開閉弁76を開状態とするときには開閉弁73を開状態とする様に、それぞれオン状態とオフ状態とが切り換えられる。具体的には、切換スイッチ18のレバー18aを左側に揺動させると、第3バルブ36がオン状態となり、第4バルブ37がオフ状態となる(図6,8参照)。一方、切換スイッチ18のレバー18aを右側に揺動させると、第4バルブ37がオン状態となり、第3バルブ36がオフ状態となる(図7参照)。さらに、切換スイッチ18のレバー18aを中立位置に揺動させると、第3バルブ36および第4バルブ37が共にオフ状態となる(図5参照)。
【0059】
開閉機構90は、エア回路24の中途部に接続されている。具体的には、第3バルブ36がエアを流通させるエア導入管53,54を介してエア回路24と接続され、第4バルブ37がエアを流通させるエア導入管53,55を介してエア回路24と接続されている。エア導入管53の一端は、エア回路24のエア配管93の中途部に接続されており、エア導入管53の他端には、エア導入管54およびエア導入管55の一端が接続されている。エア導入管54の他端は第3バルブ36の第2ポートbに接続され、エア導入管55の他端は第4バルブ37の第2ポートbに接続されている。
【0060】
第3バルブ36の第4ポートdには、エア流通管56aの一端が接続されている。第3バルブ36の第5ポートeには、エア流通管56bの一端が接続されている。エア流通管56aの他端は、シリンダ85の前側空間85aに接続されている。エア流通管56bの他端は、シリンダ85の後側空間85bに接続されている。
【0061】
一方、第4バルブ37の第4ポートdには、エア流通管57aの一端が接続されている。第4バルブ37の第5ポートeには、エア流通管57bの一端が接続されている。エア流通管57aの他端は、シリンダ86の前側空間86aに接続されている。エア流通管57bの他端は、シリンダ86の後側空間86bに接続されている。
【0062】
サイレンサ58は、排気管59,59aを介して第3バルブ36と接続され、排気管59,59bを介して第4バルブ37と接続されている。具体的には、排気管59の一端がサイレンサ58に接続され、排気管59の他端には、排気管59a,59bの一端が接続されている。また、排気管59aの他端は第3バルブ36の第3ポートcに接続され、排気管59bの他端は第4バルブ37の第3ポートcに接続されている。さらに、排気管59aの中途部には排気管59cの一端が接続され、排気管59cの他端は第3バルブの第1ポートaに接続されている。一方、排気管59bの中途部には排気管59dの一端が接続され、排気管59dの他端は第4バルブの第1ポートaに接続されている。なお、第3バルブ36および第4バルブ37は、2位置の電磁バルブとして説明しているが、3位置の電磁バルブ等の切換弁であってもよい。
【0063】
このような構成により、エア回路24は、開閉機構90のエアシリンダ83,84にエアを供給するエア供給源となる。
【0064】
また、高圧洗浄車1には、開閉弁73が開状態となるとオンされる(通電状態となる)センサ51と、開閉弁76が開状態となるとオンされる(通電状態となる)センサ52とを備えている。具体的には、本実施形態では、センサ51は、エアシリンダ83のシリンダ85の前側部分に取り付けられており、センサ52は、エアシリンダ84のシリンダ86の前側部分に取り付けられている。ピストン87aが所定の位置、具体的には、シリンダ85の前端位置までくると、センサ51はオンされる。一方、ピストン88aが所定の位置、具体的には、シリンダ86の前端位置までくると、センサ52はオンされる。
【0065】
以上がエア回路24および開閉機構90の構成である。次に、高圧洗浄車1の動作を説明する。本高圧洗浄車1は、洗浄ノズル33から高圧の洗浄水を噴射する高圧噴射運転と、洗浄ガン35から低圧の洗浄水を噴射する低圧噴射運転とを選択的に実行可能である。高圧噴射運転は、例えばマンホール内の汚れを高圧洗浄するとき等に好適である。低圧噴射運転は、例えばマンホール周辺の汚れを洗い流すとき等に好適である。
【0066】
《高圧噴射運転》
まず、図3および図6を参照しながら、洗浄ノズル33から高圧の洗浄水を噴射する高圧噴射運転について説明する。
【0067】
まず、図6に示すように、操作盤50(図1参照)に設けられた切換スイッチ18のレバー18aを左側に揺動させる。
【0068】
切換スイッチ18のレバー18aを左側に揺動させると、開閉機構90の第3バルブ36がオン状態、第4バルブ37がオフ状態に切り換えられる。
【0069】
第3バルブ36がオン状態となると、エア導入管54とエア流通管56bとが連通し、排気管59cとエア流通管56aとが連通する。エア導入管53を介してエア導入管54に導入された高圧のエアは、エア流通管56bを通り、シリンダ85の後側空間85bに供給される。一方、シリンダ85の前側空間85a内のエアはエア流通管56a、排気管59c,59a,59を通り、サイレンサ58から外部へ排気される。このとき、エアシリンダ83のピストン87aは、エアにより、後側空間85bから前側空間85aに向かって押されて移動する。これにより、ピストンロッド87bがレバー81を押し出し、開閉弁73は開状態となる。
【0070】
第4バルブ37がオフ状態となると、エア導入管55とエア流通管57aとが連通し、排気管59bとエア流通管57bとが連通する。これにより、エア導入管53を介してエア導入管55に導入された高圧のエアは、エア流通管57aを通り、シリンダ86の前側空間86aに供給される。また、シリンダ86の後側空間86b内のエアはエア流通管57b、排気管59b,59を通り、サイレンサ58から外部へ排気される。このとき、エアシリンダ84のピストン88aは、エアにより、前側空間86aから後側空間86bに向かって押されて移動する。これにより、ピストンロッド88bがレバー82をエアシリンダ84側に引き戻し、開閉弁76は閉状態となる。
【0071】
また、第3バルブ36がオン状態となり、ピストン87aが所定の位置、具体的には、シリンダ85の前端位置までくると、センサ51はオンされる。センサ51がオンされると、エア回路24の第1バルブ25および第2バルブ26がオン状態に切り換えられる。その際、手動により、三方弁29は第1の状態に設定されている。
【0072】
これにより、エアタンク20からエア配管91,92,第1バルブ25,エア配管94,第2バルブ26,エア配管95,三方弁29,エア配管96を通過して圧力制御弁64にエアが供給される。その際、エア配管96の中途部に設けられた第1レギュレータ27を通過する。そのため、圧力制御弁64には第1レギュレータ27によって調整された第1エア圧力のエアが供給されることとなる。これにより、圧力制御弁64の設定圧力は、第1圧力(所定の高圧値。例えば、20MPa)に設定される。
【0073】
また、図3に示す水回路では、タンク11内の洗浄水は、配管61を通じてポンプ12に吸い込まれる。そして、ポンプ12から吐出された洗浄水は、圧力制御弁64を通過して配管65を流れる。なお、圧力制御弁64の設定圧力は、第1圧力に設定されているので、配管65を流れる洗浄水の圧力は高圧の第1圧力となる。そして、配管65を流れた高圧の洗浄水は、マニホールド70を通過して配管72,75に流れ込む。
【0074】
上述のように、切換スイッチ18を切り換えることにより、第3バルブ36はオン状態、第4バルブ37はオフ状態に切り換えられる。そのため、配管72に設けられた開閉弁73は開状態、配管75に設けられた開閉弁76は閉状態となる。これにより、洗浄ノズル33には洗浄水が供給され、洗浄ノズル33から高圧の洗浄水が噴射されることとなる。なお、このとき、洗浄ガン35には洗浄水は供給されない。
【0075】
《低圧噴射運転》
次に、図3および図7を参照しながら、洗浄ガン35から低圧の洗浄水を噴射する低圧噴射運転について説明する。
【0076】
まず、図7に示すように、操作盤50(図1参照)に設けられた切換スイッチ18のレバー18aを右側に揺動させる。
【0077】
切換スイッチ18のレバー18aを左側に揺動させると、開閉機構90の第3バルブ36がオフ状態、第4バルブ37がオン状態に切り換えられる。
【0078】
第3バルブ36がオフ状態となると、エア導入管54とエア流通管56aとが連通し、排気管59aとエア流通管56bとが連通する。これにより、エア導入管53を介してエア導入管54に導入された高圧のエアは、エア流通管56aを通り、シリンダ85の前側空間85aに供給される。また、シリンダ85の後側空間85b内のエアはエア流通管56b、排気管59a,59を通り、サイレンサ58から外部へ排気される。このとき、エアシリンダ83のピストン87aは、エアにより、前側空間85aから後側空間85bに向かって押されて移動する。これにより、ピストンロッド87bがレバー81をエアシリンダ83側に引き戻し、開閉弁73は閉状態となる。
【0079】
第4バルブ37がオン状態となると、エア導入管55とエア流通管57bとが連通し、排気管59dとエア流通管57aとが連通する。これにより、エア導入管53を介してエア導入管55に導入された高圧のエアは、エア流通管57bを通り、シリンダ86の後側空間86bに供給される。また、シリンダ86の前側空間86a内のエアはエア流通管57a、排気管59d,59b,59を通り、サイレンサ58から外部へ排気される。このとき、エアシリンダ84のピストン88aは、エアにより、後側空間86bから前側空間86aに向かって押されて移動する。これにより、ピストンロッド88bがレバー82を押し出し、開閉弁76は開状態となる。
【0080】
また、第3バルブ36がオフ状態となり、ピストン87aがシリンダ85の前端位置から後退すると、センサ51がオフ状態となる。センサ51がオフ状態となると、第1バルブ25はオフ状態に切り換えられる。一方、第4バルブ37がオン状態となり、ピストン88aが所定の位置、具体的には、シリンダ86の前端位置までくると、センサ52はオンされる。センサ52がオンされると、エア回路24の第2バルブ26がオン状態に切り換えられる。その際、手動により、三方弁29は第1の状態に設定されている。
【0081】
これにより、エアタンク20からエア配管91,93,第1バルブ25,エア配管94,第2バルブ26,エア配管95,三方弁29,エア配管96を通過して圧力制御弁64にエアが供給される。その際、エア配管93の中途部に設けられた第2レギュレータ28と、エア配管96の中途部に設けられた第1レギュレータ27とを通過する。なお、先に通過する第2レギュレータ28の調整圧力は、第1レギュレータ27の調整圧力よりも低く設定されている。そのため、圧力制御弁64には第2レギュレータ28によって調整された第2エア圧力のエアが供給されることとなる。これにより、圧力制御弁64の設定圧力は、第2圧力(例えば、第1圧力が20MPaの場合、それ以下の任意の圧力)に設定される。
【0082】
なお、本実施形態では、第2レギュレータ28は、その調整圧力を、第1レギュレータ27の調整圧力を超えない範囲で変更する。そのため、第2レギュレータ28は、運転状況に応じて調整圧力を変更することができ、また、これにより、第2圧力は変動することとなる。
【0083】
また、図3に示す水回路では、タンク11内の洗浄水は、配管61を通じてポンプ12に吸い込まれる。そして、ポンプ12から吐出された洗浄水は、圧力制御弁64を通過して配管65を流れる。なお、圧力制御弁64の設定圧力は、第2圧力に設定されているので、配管65を流れる洗浄水の圧力は低圧の第2圧力となる。そして、配管65を流れた高圧の洗浄水は、マニホールド70を通過して配管72,75に流れ込む。
【0084】
上述のように、切換スイッチ18を切り換えることにより、第3バルブ36はオフ状態、第4バルブ37はオン状態に切り換えられる。そのため、配管72に設けられた開閉弁73は閉状態、配管75に設けられた開閉弁76は開状態となる。これにより、洗浄ガン35には洗浄水が供給され、洗浄ガン35から低圧の洗浄水が噴射されることとなる。なお、このとき、洗浄ノズル33には洗浄水は供給されない。
【0085】
<異常時応急運転>
次に、異常時応急運転について説明する。
【0086】
−エア回路24の故障時−
まず、図8を参照しながら、エア回路24の故障により、圧力制御弁64にエアを供給できなくなった場合について説明する。例えば、第1バルブ25および第2バルブ26が故障またはこれらに接続されたハーネスの断線等により、これらの第1バルブ25,第2バルブ26をオン状態とすることができなくなった場合、圧力制御弁64にエアを供給できなくなる。このような場合、以下のような運転を行う。なお、当該異常時応急運転は、水回路内の洗浄水の動きに関しては、洗浄ノズル33から高圧の洗浄水を噴射する高圧噴射運転と同様である。そのため、操作盤50(図1参照)に設けられた切換スイッチ18のレバー18aを左側に揺動させ、開閉弁73を開状態、開閉弁76を閉状態に切り換えておく。以下、高圧噴射運転と異なるエア回路24内を流れるエアの動きについて説明する。
【0087】
図8に示すように、エア回路24では、第1バルブ25および第2バルブ26は故障によりオフ状態となっている。このとき、手動により、三方弁29を第1の状態から第2の状態に切り換える。これにより、エア配管95とエア配管96との接続状態が解除され、エア配管96はエア配管97と連通可能に接続される。そのため、エアタンク20に貯留されたエアは、エア配管91,97,三方弁29,エア配管96を通過して圧力制御弁64にエアが供給される。また、その際、第1レギュレータ27を通過するため、圧力制御弁64には第1レギュレータ27によって調整された第1エア圧力のエアが供給されることとなる。これにより、圧力制御弁64の設定圧力は、第1圧力(所定の高圧値。例えば、20MPa)に設定され、洗浄ノズル33から高圧の洗浄水が噴射されることとなる。
【0088】
−開閉機構90の故障時−
また、例えば、開閉機構90の一部が故障することにより、開閉弁73または開閉弁76を開閉できなくなる場合がある。しかし、本高圧洗浄車1では、開閉機構90と開閉弁73,76を開閉させるレバー81,82とを別個に構成している。そのため、このような場合、レバー81,82を手動により揺動させて開閉弁73,76を開閉させる。これにより、洗浄ノズル33または洗浄ガン35から洗浄水を噴射させることができる。
【0089】
なお、図4に示すように、本実施形態に係るレバー81,82には、パイプを保持する保持部81b,82bがそれぞれ形成されている。そのため、保持部81b,82bに、パイプを差し込み、当該パイプを揺動させることによりレバー81,82を揺動させることができる。
【0090】
−センサ51,52の故障時−
なお、図9に示すように、本高圧洗浄車1の操作盤50の裏面には、補助スイッチ51aおよび補助スイッチ52aが設けられている。補助スイッチ51aを手動によりオンすると、第1バルブ25および第2バルブ26がオン状態に切り換えられる。一方、補助スイッチ52aを手動によりオンすると、第2バルブ26がオン状態に切り換えられる。
【0091】
このような構成により、例えば、センサ51の故障により、ピストン87aが所定の位置、開閉弁73を開状態とする位置まで移動しても、センサ51が作動しなくなった場合、補助スイッチ51aを手動によりオンする。すると、第1バルブ25および第2バルブ26がオン状態に切り換えられる。これにより、エアタンク20からエア配管91,92,第1バルブ25,エア配管94,第2バルブ26,エア配管95,三方弁29,エア配管96を通過して圧力制御弁64にエアが供給される。したがって、圧力制御弁64の設定圧力は、第1圧力(所定の高圧値。例えば、20MPa)に設定され、洗浄ノズル33から高圧の洗浄水が噴射されることとなる。
【0092】
また、例えば、センサ52の故障により、ピストン88aが所定の位置、開閉弁76を開状態とする位置まで移動しても、センサ52が作動しなくなった場合、補助スイッチ52aを手動によりオンする。すると、第2バルブ26がオン状態に切り換えられる。これにより、エアタンク20からエア配管91,93,第1バルブ25,エア配管94,第2バルブ26,エア配管95,三方弁29,エア配管96を通過して圧力制御弁64にエアが供給される。したがって、圧力制御弁64の設定圧力は、第2圧力(例えば、第1圧力が20MPaの場合、それ以下の任意の圧力)に設定され、洗浄ガン35から低圧の洗浄水が噴射されることとなる。
【0093】
以上のように、本高圧洗浄車1では、洗浄ノズル33に対する洗浄水の供給の有無を切り換える開閉弁73と、洗浄ガン35に対する洗浄水の供給の有無を切り換える開閉弁76とは、遠隔操作自在に構成されている。そのため、開閉弁73と開閉弁76との操作入力手段(本実施形態では、切換スイッチ18)を同一の操作盤50上に設けることが可能となる。これにより、一所において開閉弁73および開閉弁76の開閉操作を行うことが可能となる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、作業効率の向上を図ることができる。
【0094】
ところで、通常、このような高圧洗浄車の噴射装置から噴射される洗浄水は高圧であるため、開閉弁を開閉するためには大きな力が必要となる。そのため、手動による開閉作業は作業者に負担が大きく、また、時間がかかっていた。
【0095】
しかしながら、本高圧洗浄車1では、エアシリンダ83およびエアシリンダ84を用いて開閉弁73および開閉弁76を開閉させる。そのため、エアの力を利用して容易に開閉弁73および開閉弁76を開閉させることができる。
【0096】
本高圧洗浄車1の第3バルブ36および第4バルブ37は、それぞれ電磁バルブにより構成されており、第3バルブ36および第4バルブ37は、それぞれ切換スイッチ18に接続されている。そのため、本高圧洗浄車1によれば、一つの切換スイッチ18を切り換えることにより、第3バルブ36と第4バルブ37とのオン/オフを切り換えて、開閉弁73および開閉弁76を開閉させることができる。そのため、一つの入力操作によって開閉弁73および開閉弁76の開閉操作を行うことが可能となる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、作業効率の向上を図ることができる。また、操作の容易化を図ることができる。
【0097】
ところで、本実施形態に係る高圧洗浄車1のように、複数の噴射装置および複数の開閉弁を備えた高圧洗浄車では、洗浄水を噴射させる際、複数の開閉弁のうち、一つの開閉弁だけを開き、他の開閉弁は全て閉じなければならない。しかし、これらの開閉弁の開閉操作を全て手動操作で行う場合、誤操作が発生し易かった。
【0098】
しかし、本高圧洗浄車1では、切換スイッチ18を左側に揺動させると、開閉弁73は開状態、開閉弁76は閉状態に切り換えられる。一方、切換スイッチ18を右側に揺動させると、開閉弁73は閉状態、開閉弁76は開状態に切り換えられる。このように構成されることにより、本高圧洗浄車1によれば、開閉弁73が開状態にあるときに誤って開閉弁76が開かれること、および、開閉弁76が開状態にあるときに誤って開閉弁73が開かれることを防止することができる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、誤操作を防止することができる。
【0099】
さらに、本高圧洗浄車1によれば、開閉弁73には開閉弁73を開閉操作するためのレバー81が設けられており、開閉弁76には開閉弁76を開閉操作するためのレバー82が設けられている。このように、本高圧洗浄車1では、開閉弁73および開閉弁76は手動操作可能に構成されている。このような構成により、例えば、開閉弁73および開閉弁76を遠隔操作する開閉機構90に故障が生じた場合であっても、開閉弁73および開閉弁76を手動操作することにより、開閉させることができる。そのため、本高圧洗浄車1によれば、上述のような故障時であっても、洗浄ノズル33または洗浄ガン35から洗浄水を噴射して洗浄作業を行うことが可能となる。
【0100】
また、本高圧洗浄車1は、エアが供給されるとエアの圧力に応じて洗浄ノズル33または洗浄ガン35に供給される洗浄水の圧力を制御する圧力制御弁64と、圧力制御弁64にエアを導くエア回路24と、を備えている。そして、エアシリンダ83,84を備える開閉機構90は、エア回路24に接続されており、エア回路24は、エアシリンダ83,84にエアを供給するエア供給源となっている。このように、本高圧洗浄車1では、圧力制御弁64にエアを導くエア回路24を、開閉弁73および開閉弁76を開閉させるためのエア供給源として利用することができる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、大型化を抑制しつつ作業効率の向上を図ることができる。
【0101】
本高圧洗浄車1は、手動により操作可能な補助スイッチ51aおよび補助スイッチ52aを備えている。そのため、センサ51またはセンサ52が故障して圧力制御弁64にエアを供給することができなくなった場合であっても、補助スイッチ51aまたは補助スイッチ52aを手動操作することにより、第1エア流路(エア配管91,92,第1バルブ25,エア配管94,第2バルブ26,エア配管95,三方弁29,エア配管96)または第2エア流路(エア配管91,93,第1バルブ25,エア配管94,第2バルブ26,エア配管95,三方弁29,エア配管96)を介して圧力制御弁64にエアを流通させることができる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、センサ51またはセンサ52が故障した場合であっても、洗浄作業を行うことができる。
【0102】
なお、本実施形態では、洗浄水の噴射装置として、洗浄ノズル33および洗浄ガン35を用いていた。しかし、噴射装置はこれらに限らず、他の噴射装置であってもよいことは勿論である。また、噴射装置は2つに限られず、3つ以上備えていてもよい。この場合、開閉弁、エアシリンダ、電磁バルブをそれぞれ噴射装置の個数分設ける。そして、いずれか一つの開閉弁が開状態にあるときには、他の全ての開閉弁が閉状態となる様に電磁バルブを遠隔制御可能に構成する。このことにより、上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0103】
また、本実施形態では、開閉弁73,76はそれぞれ、エアシリンダ83,84のピストンロッド87b,88bがレバー81,82を押し出すと開状態となり、逆に、引き戻すと閉状態となる様に構成されていた。しかし、開閉弁73,76は、ピストンロッド87b,88bがレバー81,82を押し出すと閉状態となり、逆に、引き戻すと開状態となる様に構成されていてもよいことは勿論である。また、レバー81,82の形態も本実施形態のものに限定されず、例えば、円盤状に構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上説明したように、本発明は、高圧洗浄車について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】高圧洗浄車の側面図である。
【図2】高圧洗浄車の背面図である。
【図3】水回路を示す図である。
【図4】レバーとエアシリンダとを詳細に示す図である。
【図5】エア回路および開閉機構を示す図である。
【図6】高圧噴射運転時におけるエア回路および開閉機構を示す図である。
【図7】低圧噴射運転におけるエア回路および開閉機構を示す図である。
【図8】異常時応急運転におけるエア回路および開閉機構を示す図である。
【図9】操作盤の裏面に設けられた補助スイッチを示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1 高圧洗浄車
11 タンク
12 ポンプ
13 ホース(第1水流路)
14 サブホース(第2水流路)
18 切換スイッチ(スイッチ)
24 エア回路(エア供給源、エア回路)
33 洗浄ノズル(第1噴射装置)
35 洗浄ガン(第2噴射装置)
36 第3バルブ(第1電磁バルブ)
37 第4バルブ(第2電磁バルブ)
50 操作盤
63 配管(第1,第2水流路)
64 圧力制御弁(圧力制御弁、第1,第2水流路)
65 配管(第1,第2水流路)
70 マニホールド(第1,第2水流路)
72 配管(第1水流路)
73 開閉弁(第1開閉弁)
75 配管(第2水流路)
76 開閉弁(第2開閉弁)
81 レバー(第1レバー)
81a 軸(第1軸)
82 レバー(第2レバー)
82a 軸(第2軸)
83 エアシリンダ(第1エアシリンダ)
84 エアシリンダ(第2エアシリンダ)
85 シリンダ(第1シリンダ)
85a 前側空間
85b 後側空間
86 シリンダ(第2シリンダ)
86a 前側空間
86b 後側空間
87a ピストン(第1ピストン)
87b ピストンロッド(第1ピストンロッド)
88a ピストン(第2ピストン)
88b ピストンロッド(第2ピストンロッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯留するタンクと、
前記タンク内の洗浄水を圧送するポンプと、
一端が前記ポンプの吐出側に接続された少なくとも第1水流路および第2水流路と、
前記第1水流路の他端に接続された第1噴射装置と、
前記第2水流路の他端に接続された第2噴射装置と、
前記第1水流路に設けられ、前記第1噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第1開閉弁と、
前記第2水流路に設けられ、前記第2噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第2開閉弁と、を備え、
前記第1開閉弁と前記第2開閉弁とは、それぞれ遠隔操作自在に構成されている、高圧洗浄車。
【請求項2】
請求項1に記載の高圧洗浄車であって、
所定の第1軸回りに揺動自在であり、揺動することにより前記第1開閉弁を開状態または閉状態に切り換える第1レバーと、
所定の第2軸回りに揺動自在であり、揺動することにより前記第2開閉弁を開状態または閉状態に切り換える第2レバーと、
第1シリンダと、前記第1シリンダ内を前側空間と後側空間とに仕切る第1ピストンと、前記第1レバーに接続された第1ピストンロッドとを有し、伸縮自在な第1エアシリンダと、
第2シリンダと、前記第2シリンダ内を前側空間と後側空間とに仕切る第2ピストンと、前記第2レバーに接続された第2ピストンロッドとを有し、伸縮自在な第2エアシリンダと、をさらに備え、
前記第1レバーは、前記第1エアシリンダの伸縮に伴って揺動し、
前記第2レバーは、前記第2エアシリンダの伸縮に伴って揺動する、高圧洗浄車。
【請求項3】
請求項2に記載の高圧洗浄車であって、
エア供給源と、
前記エア供給源と前記第1エアシリンダとの間に設けられ、エアの供給先を前記第1シリンダの前側空間および前記第1シリンダの後側空間のいずれか一方に切り換える第1電磁バルブと、
前記エア供給源と前記第2エアシリンダとの間に設けられ、エアの供給先を前記第2シリンダの前側空間および前記第2シリンダの後側空間のいずれか一方に切り換える第2電磁バルブと、
前記第1電磁バルブおよび前記第2電磁バルブが接続された切換スイッチと、をさらに備え、
前記切換スイッチは、前記第1開閉弁を開状態とするときには、前記第2開閉弁を閉状態とし、前記第2開閉弁を開状態とするときには、前記第1開閉弁を閉状態とする様に、前記第1電磁バルブおよび前記第2電磁バルブを切り換える、高圧洗浄車。
【請求項4】
請求項2または3に記載の高圧洗浄車であって、
前記第1開閉弁および前記第2開閉弁は、手動により開閉操作自在に構成されている、高圧洗浄車。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の高圧洗浄車であって、
エアが供給されるとエアの圧力に応じて前記第1噴射装置または前記第2噴射装置に供給される洗浄水の圧力を制御する圧力制御弁と、
前記圧力制御弁にエアを導くエア回路と、を備え、
前記エア供給源は前記エア回路である、高圧洗浄車。
【請求項6】
請求項5に記載の高圧洗浄車であって、
前記第1開閉弁が開状態となると通電状態となる第1センサと、
前記第2開閉弁が開状態となると通電状態となる第2センサと、
手動により操作される第1補助スイッチおよび第2補助スイッチと、をさらに備え、
前記エア回路は、
第1エア流路および第2エア流路と、
前記第1センサまたは前記第1補助スイッチが通電状態となると、前記第1エア流路にエアを流通させ、前記第2センサまたは前記第2補助スイッチが通電状態となると、前記第2エア流路にエアを流通させるエア流路切換機構と、を有している高圧洗浄車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−246412(P2008−246412A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92694(P2007−92694)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】