説明

高容量リチウムイオン電気化学セル

反復される充放電サイクル後に、高い総エネルギー、高いエネルギー密度、及び良好な性能を有する、リチウムイオン電気化学セルが準備される。該セルは、金属酸化物電極材料を含む複合正極電極と、10パーセント以上の第1のサイクル不可逆容量を有する合金アノード活性材料を含む複合負極電極と、電解質と、を含む。複合正極電極の第1のサイクル不可逆容量は、複合負極電極の第1のサイクル不可逆容量の40パーセント以内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リチウムイオン電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電気化学セルは、活性負極電極材料(典型的に、炭素又はグラファイト)、及び活性正極電極材料(典型的に、層化又はスピネル構造の遷移金属酸化物)の両方への可逆的リチウムインターカレーション及び抽出によって動作する。リチウムイオン電気化学セルのエネルギー密度は、負極及び正極電極を高密度化すること、及び低い不可逆容量を有する活性電極材料を利用することによって、増加されてきた。例えば、現在の高エネルギーセルにおいて、正極電極材料は、典型的に、約20%未満の多孔性を有し、負極電極材料は、典型的に、約15%未満の多孔性を有し、それぞれは、約4〜8%未満の不可逆容量を有する。
【0003】
サイクル後に高い総エネルギー、エネルギー密度、及び比放電容量を有するリチウムイオンセルは、例えば、米国特許公開第2009/0263707号(Buckleyら)に記載されている。これらのセルは、高エネルギー正極活性材料、グラファイト又は炭素負極活性材料、及び非常に厚い活性材料コーティングを使用する。しかしながら、活性材料コーティングが厚いため、集電器のコーティングの剥離、又はコーティングの破砕を伴わずに、巻型セルを作製することが困難である。
【0004】
最近、高エネルギーリチウムイオンセルが、負極電極として合金活性材料を使用して構築されている。かかる材料は、グラファイト単独よりも高い重力及び体積エネルギー密度を有する。しかしながら、合金活性負極材料は、リチウム化及び脱リチウム化に伴う大きな体積変化を受ける。かかる大きな体積変化を最小化するために、電気化学的活性相(リチウムと反応する相)及び電気化学的不活性相(リチウムと反応しない希薄相)の両方を含む合金活性材料を作製することができる。また、合金活性材料に基づく負極電極は、コーティングされた際に高い多孔性を有する傾向があり、カレンダー加工によってわずかに高密度化することができるのみである。したがって、合金活性材料を、グラファイト並びに導電性希釈剤及び結合剤と混合して、適切に高密度化することができる複合電極を形成することが有益であり得る。合金と混合されるグラファイトの量は、約35重量パーセント(重量%)〜約65重量%であることが可能である。導電性希釈剤(カーボンブラック、金属繊維等)の量は、典型的に、約2重量%〜約5重量%の範囲であり得、典型的に使用される結合剤の量は、約2重量%〜約8重量%の範囲であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高容量、高エネルギーのリチウムイオン電気化学セルに対する必要性が存在する。容量の著しい損失を伴うことなく何度も充電及び放電することができるリチウムイオン電気化学セルに対する必要性もまた存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、金属酸化物複合活性材料を含む第1のサイクル不可逆容量を有する複合正極電極と、合金活性材料を含む10パーセント以上の第1のサイクル不可逆容量を有する負極複合電極と、電解質と、を含み、正極電極の第1のサイクル不可逆容量が、負極電極の第1のサイクル不可逆容量の40パーセント以内である、リチウムイオン電気化学セルが準備される。正極電極は、コバルト、ニッケル、マンガン、リチウム、又はこれらの組み合わせを含むことができる金属酸化物材料を含むことができる。負極電極は、シリコン、スズ、又はこれらの組み合わせ、任意にアルミニウム、少なくとも1つの遷移金属、任意にイットリウム、ランタニド元素、アクチニド元素、又はこれらの組み合わせ、及び任意に炭素を含むことができる合金活性材料を含むことができる。
【0007】
別の態様では、10パーセント以上の第1のサイクル不可逆容量を有し、合金活性材料を含む、負極電極を準備する工程と、負極電極の第1のサイクル不可逆容量の40パーセント以内の第1のサイクル不可逆容量を有する正極電極を選択する工程と、負極電極、正極電極、及び電解質を組み合わせて、電気化学セルを形成する工程と、を含む、高容量を有する電気化学セルを作製する方法が準備される。
【0008】
本開示において、
「活性」又は「電気化学的活性」は、リチウムとの反応によって、リチウム化及び脱リチウム化を受け得る材料を指し、
「合金活性材料」は、そのうちの少なくとも1つが金属である2つ以上の要素の組成物を指し、得られた材料は、電気化学的活性であり、
「複合(正極又は負極)電極」は、集電器に適用されて電極を形成しかつ例えば導電性希釈剤、接着促進剤、及び結合剤を含むコーティングを構成する活性及び不活性材料を指し、
「第1のサイクル不可逆容量」は、mAh、又は総電極、若しくは活性構成要素容量のパーセンテージで表される、第1の充電/放電サイクル中に損失される、電極のリチウム容量の総量であり、
「多孔性」は、空気である材料の体積のパーセントを指し、
「比容量」は、リチウムを保持するための電極材料の容量であり、mAh/gで表される。
【0009】
準備されるリチウムイオン電気化学セルは、高い体積及び比エネルギーを提供することができる。18650円筒形フォーマットのような小さなセルにおいて、2.8Ah、3.0Ah、3.5Ah、又は更により高いセル容量が可能であり得る。準備されるリチウムイオン電気化学セルは、繰り返される充放電サイクルの後、この高容量を保持することができる。
【0010】
上記の概要は、本発明の全ての実施の開示された各実施形態を記述することを意図したものではない。図面の簡単な説明及び後に続く発明を実施するための形態は、説明に役立つ実施形態をより詳しく例示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】仮定的な準備されるリチウムイオン電気化学セルのセル電圧対比容量(mAh/g)のグラフ。
【図2】準備されるリチウムイオン電気化学セルの幾つかの実施形態に関する、正規化されたセル放電容量対サイクル数の合成グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明において、本明細書の説明の一部を構成しいくつかの特定の実施形態が例として示される添付の一連の図面を参照する。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0013】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴の大きさ、量、物理特性を表す数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。終点による数の範囲の使用は、その範囲内の全ての数(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0014】
準備されるリチウムイオン電気化学セルは、金属酸化物活性材料を含む第1のサイクル不可逆容量を有する正極電極と、アノード活性合金材料を含む10パーセント以上の第1のサイクル不可逆容量を有する負極電極と、電解質と、を含む。典型的に、電極材料は、添加剤と混合され、次いで、本開示において後に説明されるものといった集電器上にコーティングされて、複合電極を形成する。電気化学セルを作製するために、少なくとも1つの正極電極、及び少なくとも1つの負極電極が、近接して配置され、薄い多孔質膜又はセパレータによって分離される。リチウムイオンセルに関する一般的なフォーマットは、18650円筒形セル(直径が18mm、及び長さが65mm)、又は26700円筒形セル(直径が26mm、及び長さが70mm)であり、正極電極/セパレータ/負極電極の「サンドイッチ」が、円筒に丸められ、電解質とともに円筒形キャニスタに配置される。別の一般的なフォーマットは、平坦なセルであり、正極電極/セパレータ/負極電極の「サンドイッチ」が、平坦な長方形の形状に層化され、電解質も収容する同じ形状の容器に配置される。
【0015】
典型的に、市販の18650リチウムイオン電気化学セルは、約2.6アンペア時(Ah)の容量を有する。この量の容量を有するリチウムイオン電気化学セルは、巻いてセルを作製する前に、LiCoOといった活性カソード材料を含む複合正極電極を圧縮(カレンダー加工)すること、及びグラファイトといった活性アノード材料を含む複合負極電極を圧縮することによって、達成されている。圧縮後、正極電極は、一般的に、約20%の空隙体積以下の多孔性を有し、グラファイト負極電極は、一般的に、約15%の空隙体積以下の多孔性を有する。これらの材料は、それぞれ、約4〜6%の非常に低い不可逆容量を有する。しかしながら、負極電極材料としてグラファイトを使用するリチウムイオン電気化学セルは、18650セルフォーマットの容量を、約2.6Ahに制限する。
【0016】
より多くの(より厚い及び/又はより高密度の)活性正極電極材料を正極複合電極上にコーティングすることによって、容量を更に増加させるための試行が行われてきた。この手法の開示は、例えば、米国特許公開第2009/0263707号(Buckleyら)に見出すことができる。リチウムイオン電気化学セルの容量を増加させる別の手法は、合金負極電極材料を使用することであるが、これは、合金負極電極材料がグラファイトよりもずっと多くのリチウムを組み込むことができるためである。残念ながら、合金負極電極材料は、コーティングされたときに高い多孔性を有し得、それらは、グラファイトよりも著しく高い第1のサイクル不可逆容量を有する傾向があり、典型的に、第1のサイクルの間、約10%〜25%を更に上回る容量損失である。しかしながら、エネルギーのリチウムイオンセルへの最も効果的なパッキングは、アノードの第1のサイクル不可逆容量及びカソードの第1のサイクル不可逆容量が近く整合するときに発生することが見出された。非常に困難な課題である、LiCoO正極電極により良好に整合させるように、合金アノードの第1のサイクル不可逆容量を低下させるための努力がなされてきた。しかしながら、幾つかの他の高容量正極電極材料は、LiCoOよりも著しく高い不可逆容量を有し、不可逆容量に関する限り、グラファイトとの整合が不良であるとみなされてきた。しかしながら、これらのその他の材料は、合金アノードタイプの電極とより良好に整合する。
【0017】
更に、合金負極電極材料は、LiCoOといった高密度の複合正極電極を伴うセルにおいて使用されるとき、サイクルが不良である傾向がある。
【0018】
更に、驚くべきことに、複合正極電極の多孔性は、合金複合負極電極を伴うリチウムイオン電気化学セルの長期のサイクル寿命に影響する。例えば、合金負極電極材料は、LiCoOを含む高密度の複合正極電極を伴うセルにおいて使用されるとき、サイクルが不良である傾向がある。
【0019】
したがって、カソード活性材料は、高い比及び体積容量を提供するように、活性アノード材料と整合する不可逆容量を提供するように、かつ20%を上回る多孔性を有する複合正極電極を提供するように、選択されなければならない。この戦略を使用して、最大約3.0Ah、最大約3.5Ah、又は更により高い総セル容量、及び長いサイクル寿命を有することができる、例えば18650フォーマットのリチウムイオン電気化学セルを実現することが可能である。準備されるリチウムイオン電気化学セルは、活性合金複合負極電極とほぼ同じ第1のサイクル不可逆容量を有する活性金属酸化物材料を含む複合正極電極を有する。
【0020】
この原理を、仮定的な準備されるリチウムイオン電気化学セルのセル電圧対電極容量のグラフである図1に例示する。グラフは、リチウムイオン電気化学セルにおける、典型的な正極電極110の第1のサイクル容量、及び典型的な負極電極120の第1のサイクル容量を表示する。第1の充放電サイクル後、正極電極は、矢印「A」によって示される第1のサイクル不可逆容量損失を有し、負極電極は、矢印「B」によって示される第1のサイクル不可逆的損失を有する。セルの総不可逆容量損失は、「A」と「B」との差であり、「C」で表される。「C」は、セルにおける浪費された容量であり、セルの総容量を制限する。「A」及び「B」が、第1のサイクル不可逆容量損失に関して、より近く整合する場合、「C」はより小さくなる。最適な状況は、「A」及び「B」が、ほぼ同じ値を有することである。この場合、「C」は、最小であり、セルは、後の充放電サイクルにおいて、その容量の全てを使用することができる。したがって、リチウムイオン電気化学セルを設計するとき、複合正極電極及び複合負極電極の第1のサイクル不可逆容量が近く整合することを確実にする電極構成要素を選択することが有利である。表1は、種々の活性カソード及び活性合金アノード材料、並びにそれらの固有の可逆的容量(mAh/gとして表される)、並びにそれらの不可逆容量(総容量のパーセンテージとして表される)を含む。
【0021】
【表1】

【0022】
化合物A−Si60Al14FeTiSnMm10
化合物B−Si71Fe25Sn
化合物C−Si57Al28Fe15
化合物D−Sn30Co3040
化合物E−LiCoO
化合物F−Li[Ni0.33Mn0.33Co0.33]O
化合物G−Li[Ni0.5Mn0.3Co0.2]O
化合物H−Li[Ni0.66Mn0.34]O
化合物I−Li[Li0.05Ni0.42Mn0.53]O
化合物J−Li[Li0.20Ni0.13Co0.13Mn0.54]O
【0023】
表1を参照すると、活性正極電極材料の不可逆容量(パーセンテージとして表される)が活性負極電極材料の不可逆容量(同様にパーセンテージとして表される)に近い、高容量(エネルギー)リチウムイオン電気化学セルを作製することが有利である。活性混合添加剤、導電性希釈剤、及び更には特定の結合剤のような、活性電極材料の固有の不可逆容量以外のその他の要因もまた、複合電極の不可逆容量に寄与し得、更に、整合した複合電極を「微調整する」ために使用されてよい。
【0024】
準備されるリチウムイオン電気化学セルは、金属酸化物カソード活性材料を含む第1のサイクル不可逆容量を有する正極電極を含む。金属としては、例えば、コバルト、ニッケル、マンガン、リチウム、バナジウム、鉄、銅、亜鉛、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。準備される電気化学セルにおいて有用な正極電極の金属酸化物カソード活性材料としては、例えば、LiCo0.2Ni0.8、LiNiO、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiMn、及びLiCoO、米国特許第6,964,828号及び第7,078,128号(Luら)に説明されるものなどの、コバルト、マンガン、及びニッケルの混合金属酸化物を含む正極電極組成物、並びに米国特許第6,680,145号(Obrovacら)に説明されるものなどのナノ複合正極電極組成物を挙げることができる。その他の例示的なカソード活性材料としては、LiNi0.5Mn1.5及びLiVPOFを挙げることができる。有用な更なる金属酸化物活性材料は、例えば、日本国特許公開第11−307094号(Takahiroら)、米国特許第5,160,172号及び第6,680,143号(両方ともThackerayら)、第7,358,009号及び第7,635,536号(両方ともJohnsonら)、米国特許公開第2008/0280205号及び第2009/0087747号(Jiangら)、第2009/0239148(Jiang)、第2009/0081529号(Thackeray)、並びに2009年4月8日出願のU.S.S.N.第12/176,694号(Jiang)に見出すことができる。
【0025】
例示的な金属酸化物カソード活性材料としては、式Li[Li(1−2y)/3Mn(2−y)/3]Oを有する材料が挙げられ、式中、0.083<y<0.5であり、Mは、Ni、Co、又はこれらの組み合わせを表し、金属酸化物複合活性材料は、O3結晶構造を有する単相の形態である。これらの金属酸化物複合活性材料は、金属酸化物複合活性材料が、リチウムといったアノード材料を伴うリチウムイオン電気化学セルに組み込まれ、かつ30℃で100回の充放電サイクルの間、4.4V〜4.8Vの範囲のより上の電圧から、2.0V〜3.0Vの範囲のより低い電圧へサイクルされるとき、スピネル結晶構造への相変態を受けない場合に、特に有用である。
【0026】
例示的な金属酸化物複合活性材料はまた、式Li[M1−2yMn]O(式中、0.167<y<0.5であり、Mは、Ni又はNi及びLiを表し、Mは、Coを表し、前記正極電極組成物は、O3結晶構造を有する単相の形態である)、及びLi[M1−2yMn]O(式中、0.167<y<0.5であり、Mは、Niを表し、Mは、Co又はCo及びLiを表し、前記正極電極組成物は、O3結晶構造を有する単相の形態である)を有する材料を含む。これらの材料も、金属酸化物活性材料が、リチウムといったアノード材料を伴うリチウムイオン電気化学セルに組み込まれ、かつ30℃で100回の充放電サイクルの間、4.4V〜4.8Vの範囲のより上の電圧から、2.0V〜3.0Vの範囲のより低い電圧へサイクルされるとき、スピネル結晶構造への相変態を受けない場合に、特に有用である。
【0027】
他の実施形態では、準備されるリチウムイオン電気化学セルは、例えば、Li[Ni0.67Mn0.33]O、Li[Ni0.50Mn0.30Co0.20]O、Li[Ni0.33Mn0.33Co0.33]O、又はLi[Ni0.42Mn0.42Co0.16]Oを含む金属酸化物カソード活性材料を有する正極電極を含むことができる。一部の実施形態において、正極電極は、2モル%以上、5モル%以上、10モル%以上、又は更には20モル%以上の過剰なリチウムを有することができる。有用な金属酸化物複合活性材料は、O3層化構造であることができる。O3構造において、これらの複合物は、リチウム/金属/酸素/金属/リチウムの交互層を有する。層化構造は、リチウムの構造内外への可逆的移動を円滑化する。
【0028】
準備されるリチウムイオン電気化学セルはまた、10パーセント以上の第1のサイクル不可逆容量を有する負極電極を含み、かつ合金活性材料を含む。有用な合金活性材料には、シリコン、スズ、又はこれらの組み合わせが含まれる。更に、合金には、少なくとも1つの遷移金属が含まれる。好適な遷移金属としては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、タングステン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらの組成物の一部の実施形態はまた、インジウム、ニオビウム、シリコン、亜鉛、銀、鉛、鉄、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウム、及びビスマス、並びにこれらの組み合わせを含有することができる。合金活性材料はまた、任意に、アルミニウム、インジウム、炭素、若しくはイットリウム、ランタニド元素、アクチニド元素のうちの1つ以上、又はこれらの組み合わせを含むことができる。好適なランタニド元素としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムが挙げられる。好適なアクチニド元素としては、トリウム、アクチニウム、及びプロトアクチニウムが挙げられる。幾つかの合金組成物は、例えばセリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、又はこれらの組み合わせから選択されるランタニド元素を含有する。
【0029】
典型的な合金活性材料は、55モルパーセントを上回るシリコンを含むことができる。それらはまた、チタン、コバルト、鉄、及びこれらの組み合わせから選択される遷移金属を含むことができる。有用な合金活性材料は、以下の構成要素、SiAlFeTiSnMm、SiFeSn、SiAlFe、SnCoC、及びこれらの組み合わせを有する材料より選択することができ、「Mm」は、ランタニド元素を含むミッシュメタルを指す。一部のミッシュメタルは、例えば、45〜60重量パーセントのセリウム、20〜45重量パーセントのランタン、1〜10重量パーセントのプラセオジム、及び1〜25重量パーセントのネオジムを含有する。他のミッシュメタルは、30〜40重量パーセントのランタン、60〜70重量パーセントのセリウム、1重量パーセント未満のプラセオジム、及び1重量パーセント未満のネオジムを含有する。更に他のミッシュメタルは、40〜60重量パーセントのセリウム、及び40〜60重量パーセントのランタンを含有する。ミッシュメタルは、例えば、鉄、マグネシウム、シリコン、モリブデン、亜鉛、カルシウム、銅、クロム、鉛、チタン、マンガン、炭素、硫黄、及びリンといった、小さな不純物(例えば、1重量パーセント未満、0.5重量パーセント未満、又は0.1重量パーセント未満)を含むことが多い。ミッシュメタルは、少なくとも97重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、又は少なくとも99重量パーセントのランタニド含有量を有することが多い。99.9重量パーセントの純度を有する、Alfa Aesar,Ward Hill,MAより市販されている1つの例示的なミッシュメタルは、約50重量パーセントのセリウム、18重量パーセントのネオジム、6重量パーセントのプラセオジム、22重量パーセントのランタン、及び3重量パーセントのその他の希土類を含有する。
【0030】
例示的な活性合金材料としては、Si60Al14FeTiSnMm10、Si71Fe25Sn、Si57Al28Fe15、Sn30Co3040、又はこれらの組み合わせが挙げられる。活性合金材料は、シリコンを含む非晶相、及びスズを含む金属間化合物を含むナノ結晶相の混合物であることができる。準備されるリチウムイオン電気化学セルにおいて有用な例示的な合金活性材料は、例えば、米国特許第6,680,145号(Obrovacら)、第6,699,336号(Turnerら)、及び第7,498,100号(Christensenら)、並びに米国特許公開第2007/0148544号(Le)、第2007/0128517号(Christensenら)、第2007/0020522号、及び第2007/0020528号(両方ともObrovacら)において見出すことができる。
【0031】
準備される電気化学セルには電解質が必要である。種々の電解質が使用可能である。代表的な電解質は、1つ以上のリチウム塩、及び固体、液体又はゲルの形態の電荷担持媒体を含有し得る。代表的なリチウム塩は、電気化学的帯域、及びセル電極が動作できる範囲内である温度範囲(例えば約−30℃〜約70℃)内で安定しており、選択された電荷保持媒質内で可溶性であり、選択されたリチウムイオンセル内で良好に動作する。代表的なリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、リチウムビス(オキサラト)ボレート、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiAsF、LiC(CFSO、及びこれらの組み合わせが挙げられる。例示的な電解質は、セル電極が動作することができる、電気化学窓及び温度範囲内において、凍結又は沸騰させることなく安定であり、好適な量の電荷を正極電極から負極電極へ運搬することができるように、十分な量のリチウム塩を可溶化することができる。代表的な固体電解質としては、ポリエチレンオキシド、フッ素含有コポリマー、ポリアクリロニトリル、これらの組み合わせ、及び当業者によく知られるその他の固体媒体のような高分子媒体を挙げることができる。例示的な液体電解質としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルーメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、ジメトキシエタン、ジグリム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、これらの組み合わせ、及び当業者に周知であるその他の媒質が挙げられる。代表的な電解質ゲルとしては、米国特許第6,387,570号(Nakamuraら)及び同第6,780,544号(Noh)に記載されるものが挙げられる。電解質は、当業者に周知のその他の添加剤を含んでもよい。例えば、電解質は、米国特許第5,709,968号(Shimizu)、第5,763,119号(Adachi)、第5,536,599号(Alamgirら)、第5,858,573号(Abrahamら)、第5,882,812号(Viscoら)、第6,004,698号(Richardsonら)、第6,045,952号(Kerrら)、及び第6,387,571 B1号(Lainら)、並びに米国特許出願公開第2005/0221168(A1)号、同第2005/0221196(A1)号、同第2006/0263696(A1)号及び同第2006/0263697号(A1)号(全てDahnら)に記載されているものなどのレドックス化学シャトルを含有することができる。
【0032】
複合電極は、当業者に周知となるものなどの添加剤を含有することができる。電極組成物は、複合電極粒子間、及び複合物から集電器への電子移動を円滑化するための導電性希釈剤を含むことができる。導電性希釈剤としては、カーボンブラック、金属、金属窒化物、金属炭化物、金属ケイ化物、及び金属ホウ化物が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な導電性炭素希釈在としては、SUPER P及びSUPER S(両方ともMMM Carbon,Belgiumより)といったカーボンブラック、SHAWANIGAN BLACK(Chevron Chemical Co.,Houston,TX)、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、グラファイト、カーボンファイバー及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
電極組成物は、組成物及び/又は導電性希釈剤の結合剤への接着性を促進する接着促進剤を含むことができる。接着促進剤と結合剤とを組み合わせることで、リチウム化/脱リチウム化のサイクルの繰返し中に、組成物内に発生することがある体積変化に、電極組成物が適応しやすくなることができる。あるいは、結合剤自体が、金属及び合金に十分に良好な接着性をもたらし、したがって接着促進剤の添加を必要としないこともあり得る。使用される場合、接着促進剤は、結合剤自体の一部としてもよく(例えば、追加された官能基の形態で)、複合粒子上のコーティングとしてもよく、導電性希釈剤に添加してもよく、又はかかる手段の組み合わせとしてもよい。接着促進剤の例としては、米国特許出願公開第2004/0058240(A1)(Christensen)に記載されているようなシラン、チタン酸塩、及びホスホネートが挙げられる。
【0034】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0035】
比較例1
2kgの合金負極電極材料、Si66.6Fe11.2Ti11.211.2は、米国特許公開第2007/0148544号(Le)の実施例の項に説明されるものと同じ手順を使用して、高エネルギーボールミルによって製造した。合金(63.4重量%)を、33.6重量%のMCMB 6〜28、及び4重量%のLi−PAA(LiOH・H0(Aldrich)で中和された250,000MWのポリアクリル酸(Aldrich))と混合して、水性懸濁液を形成した。この懸濁液を、銅箔上にナイフコータ(Hirano)を使用してコーティングした。コーティングを切り離して電極状にし、カレンダー加工した。3.75g/ccの密度及び20%の多孔性を有する、整合するリチウムコバルト酸化物正極電極は、E−one Moli,Vancouver,Canadaより取得した。正極及び負極電極は、セルガード2400(25μm厚のセパレータ)を使用して、18650セルフォーマットに巻き、4.2V〜2.8Vで200回サイクルした。サイクル結果を図2に表示する。このセルの正規化されたセル放電容量(mAh)対サイクル数を、図2のグラフAとして表示する。
【0036】
比較例2
2kgの合金材料、Si60Al14FeTiSnMm10は、溶融紡糸によって製造した。46.5重量%の合金(米国特許公開第2007/0020521号(Obrovacら)の実施例1に開示される手順に従って製造)を、46.5重量%のMCMB 6〜28、2%ケッチェンブラック、及び5%のLi−PAAと混合して(上記のとおり)、水性分散液を形成し、これを、銅箔上にコーティングし、切り離して電極状にした。3g/ccの密度及び28%の多孔性を有する、整合するリチウムコバルト酸化物正極電極は、GP(Taiwan)より取得した。正極及び負極電極は、セルガード2400セパレータを使用して、18650セルフォーマットに巻いた。セルを4.2〜2.8でサイクルした。このセルの正規化されたセル放電容量(mAh)対サイクル数を、図2のグラフBとして表示する。
【0037】
(実施例1)
2kgの負極活性合金、Si60Al14FeTiSnMm10は、比較実施例2のように製造した。46.5重量%の合金を、46.5重量%のMAG Eグラファイト(Hitachi Chemical,Tokyo,JAPANより入手可能)、2重量%のケッチェンブラック(Akzo Nobel Polymer Chemical LLC,Chicago,IL)、及び5重量%のリチウムポリアクリレート(米国特許公開第2008/0187838号(Le)の予備実施例2に開示される手順に従って作製)と混合した。水性懸濁液を、銅箔上にコーティングし、切り離して電極状にした。電極を20%の多孔性までカレンダー加工した。式Li[Ni2/3Mn1/3]Oの層化された正極電極材料は、以下のように製造した。攪拌槽型反応器に、アルゴン雰囲気下で、脱イオン(DI)水中の4Lの1M NHOH溶液を加えた。溶液を60℃に加熱し、1分間に1000回の回転で攪拌した。2M NiSO及びMnSO(2〜1モル比)の4Lの水溶液を、5.1mL/分の速度で加えた。次いで、NHOH(28%NH)の濃縮溶液を、0.44mL/分の速度で加え、10.1のpHを維持するような速度で50%のNaOH溶液を加えた。この付加を12時間継続した。次いで、この溶液を更に12時間攪拌した。分散液を攪拌して静置した後、沈殿した金属水酸化物を、圧力フィルタにおいて30Lの蒸留水で洗浄した。金属水酸化物を110℃で24時間乾燥させた。乾燥後、金属水酸化物を、1.01モル当量のLiOH.H0と混合し、500℃で4時間、続いて、900℃で12時間燃焼させて、Li[Ni2/3Mn1/3]Oを製造した。3kgのこの材料(92.5重量%)を、SUPER P(2.5重量%)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)(5重量%、Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)と混合して、懸濁液を形成した。懸濁液を、ナイフコータ(Hirano)を使用して、アルミニウム箔上にコーティングして、コーティングされたフィルムを製造した。コーティングされたフィルムを、2.8g/ccの密度及び36%の多孔性を有する電極に切り離しカレンダー加工した。正極電極を、比較実施例2からの複合合金負極電極とともに18650フォーマットセルに巻き、セルを4.35〜2.8Vでサイクルした。このセルの正規化されたセル放電容量(mAh)対サイクル数を、図2のグラフCとして表示する。
【0038】
(実施例2)
Si60Al14FeTiSnMm10に基づく合金負極電極を、上の実施例1のとおりにコーティングした。式Li[Ni0.5Mn0.3Co0.2]Oの層化された正極電極材料を、上の実施例1に説明されるプロセスに従って製造し、コーティングし、36%の多孔性を有する電極に切り離しカレンダー加工した。正極電極を複合合金負極電極とともに18650フォーマットセルに巻き、セルを4.35〜2.8Vでサイクルした。このセルの正規化されたセル放電容量(mAh)対サイクル数を、図2のグラフDとして表示する。
【0039】
(実施例3)
Si60Al14FeTiSnMm10に基づく合金負極電極を、上の実施例1のとおりにコーティングした。商標名BC618Cの下で、3M,St.Paul,MNより市販されている、式Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]Oの層化された正極電極材料を、コーティングし、28%の多孔性を有する電極に切り離しカレンダー加工した。正極電極を複合合金負極電極とともに18650フォーマットセルに巻き、セルを4.30〜2.8Vでサイクルした。このセルの正規化されたセル放電容量(mAh)対サイクル数を、図2のグラフEとして表示する。
【0040】
図2は、比較実施例1及び2、並びに実施例1〜3の例示的なセルに関する、正規化されたセル放電容量対サイクル数の合成グラフである。比較実施例1は、合金活性負極電極、及び正極電極としてのリチウムコバルト酸化物(20%の多孔性を有する)を含む、セルのサイクル性能のグラフである。図2のグラフAに見られるように、セルの容量低下は深刻である。比較実施例2は、比較実施例1のセルと同じ負極電極を有するが、サイクル中のリチウムのインターカレーションの際のより多くのセル膨張を可能にする、多孔性が25%のリチウムコバルト酸化物正極電極を有する、リチウムイオン電気化学セルの性能グラフである。グラフBに見られるように、容量低下は、比較実施例1のものよりも遅いが、300回のサイクルを超えると著しい。
【0041】
実施例1(グラフCによって表示される性能)は、合金負極電極材料、及び多孔性が36%の混合された金属酸化物正極材料を有する。これらの電極で作製されるセルは、はるかに良好にサイクルし、かつ300回のサイクル後、その初期容量の約78%を保持した。実施例2及び3(グラフDによって表示される性能)は、実施例1と同じ負極電極を有するが、多孔性がそれぞれ36%及び28%の異なるリチウム混合金属酸化物正極電極を有する。これらの実施例もまた、300回のサイクル後、初期容量の約78%の保持を伴って、サイクルする。
【0042】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。本開示に引用された全ての参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電気化学セルであって、
金属酸化物活性材料を含む第1のサイクル不可逆容量を有する複合正極電極と、
合金活性材料を含む10パーセント以上の第1のサイクル不可逆容量を有する複合負極電極と、
電解質と、
を備え、
前記複合正極電極の前記第1のサイクル不可逆容量が、前記複合負極電極の前記第1のサイクル不可逆容量の40パーセント以内である、リチウムイオン電気化学セル。
【請求項2】
前記複合負極電極が、15パーセント以上の第1のサイクル不可逆容量を有する、請求項1に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項3】
前記金属酸化物活性材料が、コバルト、ニッケル、マンガン、リチウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項4】
前記金属酸化物活性材料が、式、Li[Li(1−2y)/3Mn(2−y)/3]Oを有し、式中、0.083<y<0.5であり、Mが、Ni、Co、又はこれらの組み合わせを表し、前記金属酸化物活性材料が、O3結晶構造を有する単相の形態である、請求項3に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項5】
前記金属酸化物活性材料が、リチウムイオン電気化学セルに組み込まれ、かつ30℃で100回の充放電サイクルの間、2.0V〜3.0Vのより低い電圧から4.4V〜4.8Vのより高い電圧へサイクルされるとき、スピネル結晶構造への相変態を受けない、請求項4に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項6】
前記金属酸化物活性材料が、式、Li[M1−2yMn]Oを有し、式中、0.167<y<0.5であり、Mが、Ni又はNi及びLiを表し、Mが、Coを表し、前記金属酸化物活性材料が、O3結晶構造を有する単相の形態である、請求項3に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項7】
前記金属酸化物活性材料が、リチウムイオン電気化学セルに組み込まれ、かつ30℃で100回の充放電サイクルの間、2.0V〜3.0Vのより低い電圧から4.4V〜4.8Vのより高い電圧へサイクルされるとき、スピネル結晶構造への相変態を受けない、請求項6に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項8】
前記金属酸化物活性材料が、式、Li[M1−2yMn]Oを有し、式中、0.167<y<0.5であり、Mが、Niを表し、Mが、Co又はCo及びLiを表し、前記金属酸化物活性材料が、O3結晶構造を有する単相の形態である、請求項3に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項9】
前記金属酸化物活性材料が、リチウムイオン電気化学セルに組み込まれ、かつ30℃で100回の充放電サイクルの間、2.0V〜3.0Vのより低い電圧から4.4V〜4.8Vのより高い電圧へサイクルされるとき、スピネル結晶構造への相変態を受けない、請求項8に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項10】
前記合金活性材料が、
シリコン、スズ、又はこれらの組み合わせと、
任意に、アルミニウムと、
少なくとも1つの遷移金属と、
任意に、イットリウム、ランタニド元素、アクチニド元素、又はこれらの組み合わせと、
任意に、炭素と、
を含む、請求項1に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項11】
前記シリコンが、存在する場合、55モルパーセントを上回って存在する、請求項10に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項12】
前記遷移金属が、チタン、コバルト、鉄、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項10に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項13】
前記合金活性材料が、以下の構成要素元素、SiAlFeTiSnMm、SiFeSn、SiAlFe、SnCoC、及びこれらの組み合わせを有する材料より選択され、Mmが、ランタニド元素を含むミッシュメタルである、請求項10に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項14】
前記負極電極が、Si60Al14FeTiSnMm10、Si71Fe25Sn、Si57Al28Fe15、Sn30Co3040、又はこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項15】
前記活性合金材料が、シリコンを含む非晶相、及びスズを含む金属間化合物を含むナノ結晶相の混合物である、請求項10に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項16】
前記複合正極電極、前記複合負極電極が、グラファイト、導電性希釈剤、又は結合剤のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項17】
前記複合正極電極、前記複合負極電極、又は両方が、約20%を上回る多孔性を有する、請求項1に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項18】
約3.0Ahを上回る容量を有する、請求項1に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項19】
約3.5Ahを上回る容量を有する、請求項13に記載のリチウムイオン電気化学セル。
【請求項20】
請求項1に記載の電気化学セルを備える、電子デバイス。
【請求項21】
高容量を有する電気化学セルを作製する方法であって、
合金活性材料を含む複合負極電極を準備する工程であって、前記負極電極が、10パーセント以上の第1のサイクル不可逆容量を有する、工程と、
金属酸化物活性材料を含む複合正極電極を選択する工程であって、前記正極電極が、前記負極電極の前記第1のサイクル不可逆容量の40パーセント以内の第1のサイクル不可逆容量を有する、工程と、
前記複合負極電極、前記複合正極電極、及び電解質を組み合わせて、電気化学セルを形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項22】
前記複合正極電極が、前記複合負極電極の前記第1のサイクル不可逆容量の20パーセント以内の第1のサイクル不可逆容量を有する、請求項21に記載の電気化学セルを作製する方法。
【請求項23】
前記金属酸化物活性材料が、コバルト、ニッケル、マンガン、リチウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の電気化学セルを作製する方法。
【請求項24】
前記合金活性材料が、
シリコン、スズ、又はこれらの組み合わせと、
任意に、アルミニウムと、
少なくとも1つの遷移金属と、
任意に、イットリウム、ランタニド元素、アクチニド元素、又はこれらの組み合わせと、
任意に、活性炭と、
を含む、請求項21に記載の電気化学セルを作製する方法。
【請求項25】
前記遷移金属が、チタン、コバルト、鉄、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項24に記載の電気化学セルを作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−518390(P2013−518390A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551202(P2012−551202)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022026
【国際公開番号】WO2011/094126
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】