説明

高密度パッケージ相互接続パワー及びグラウンドストラップならびにその方法

本発明の一態様は、デバイスのパワーまたはグラウンドとBGAパッケージとを接続する経路のインピーダンスを減らすことに関する。一つの特定の実現例では、シグナルボンドワイヤ(115)から所定の距離を置いてグラウンドストラップ(130)を配置することによって、シグナルボンドワイヤのインピーダンスを制御する。関係する実施形態では、ワイヤボンド(115)の近傍でデバイスダイ(140)とパッケージとの間に低インピーダンスのパワーまたはグラウンド接続を設ける。集積回路(140)は、複数のグラウンドパッド、シグナルパッド、パワーパッド、及び前記集積回路を実装するためのパッケージを含む。パッケージ(100)は、複数のパッドランディング(110)、集積回路(140)を取り囲むグラウンドリング(105)、及び集積回路のグラウンドパッド(120)にグラウンドリング(105)を結合するグラウンドストラップ(130)を備える。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本発明は、並行して提出された出願「高密度パッケージ相互接続ワイヤボンドストリップラインとその方法」(代理人整理番号US020512P)に関し、ここに本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、集積回路パッケージングの分野に関し、特にデバイスのパワーまたはグラウンドパッドをパッケージに接続することに関する。
【発明の背景】
【0003】
集積回路技術の進歩により基板の任意の部分に実装できるデバイスの密度や複雑さが増し、そのことにより、デバイスのパッケージングに大きな課題が生じている。例えばコンピュータアプリケーションでは、データバスの幅が16ビット、32ビット、64ビットから128ビット以上にまで拡大した。システムにおけるデータの移動中に、バスで同時切り替え出力(SSO)が発生することは珍しくない。このSSOの最中に発生する大きな過渡電流のため、チップのパワーレールとグラウンドレールとがノイズを被ることがしばしばある。このノイズが大きいと、グラウンドレールとパワーレールがそれぞれの規定電圧からずれ、チップで予測不能の挙動が発生する。
【0004】
BGA(ボールグリッドアレー)パッケージにおいて、パッケージ上のグラウンドにデバイスダイを接続するためにボンドワイヤがしばしば使われる。ピン数が多いBGAにおいては、一般的にグラウンドリングが使用される。平面内導波路構造を作成することによってシグナルボンドワイヤのインピーダンスを制御するため、これらのボンドワイヤはシグナルボンドワイヤの近傍に配置されることがある。
【0005】
米国特許5,872,403及び6,083,772は、基板上でパワー半導体ダイを実装する構造と方法とに関する。それらは概してパワーエレクトロニクス、より具体的にはパワーデバイスのための低インピーダンス大電流導体とその製造方法に関する。
【0006】
米国特許6,319,775B1は、集積回路パッケージを作成する方法に、特に集積回路ダイとリードフレームとに導電性ストラップを取り付けるプロセスに関する。この特許と上記の2つの特許は、ここに本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、デバイスのパワーまたはグラウンドとBGAパッケージとを接続する経路のインピーダンスを減らすのに有利である。加えて本発明は、シグナルボンドワイヤから所定の距離をおいてグラウンドストラップを配置することによってシグナルボンドワイヤのインピーダンスを制御できる。
【0008】
一つの実施形態では、複数のグラウンドパッド、シグナルパッド、及びパワーパッドを有する集積回路と、その集積回路を実装するためのパッケージを備える集積回路デバイスがある。このパッケージは、複数のパッドランディングと、集積回路を取り囲むグラウンドリングと、集積回路のグラウンドパッドにグラウンドリングを結合するグラウンドストラップとを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のさらなる利点や新規の特徴を以下において説明するが、当業者にとって、それらは以下の説明を考慮することによってある程度明らかとなり、あるいは本発明の実践によって理解されるであろう。
【0010】
例を示し、さらに添付の図面を参照しつつ、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】
本発明は、デバイスのパワーまたはグラウンドとBGAパッケージとを接続する経路のインピーダンスを減らすのに有利である。加えて本発明は、シグナルボンドワイヤから所定の距離をおいてグラウンドストラップを配置することによってシグナルボンドワイヤのインピーダンスを制御できる。図1に示すとおり、インピーダンスに対するグラウンドストラップ上でのボンドワイヤの高さのグラフはその関係を示したものである。このグラフでは、直径25μmのワイヤと50μmのボンディングピッチを仮定している。グラウンドストラップがないボンドワイヤの場合のインピーダンス値は、高さ500μm、138オームでの値に等しい。
【0012】
所望の電気的パラメータは設計要件によって決まるであろう。多くの場合、50、75、及び100オームのインピーダンスが使われる。例えば、50オーム程度のインピーダンスを得るには25μmの高さを使う。インピーダンスが75オームであれば、グラウンドストラップに対するボンドワイヤの高さは50μm程度となる。100オーム程度のインピーダンスを得るには、125μmの高さを使用する。
【0013】
図2及び図2Aを参照すると、本発明の実施形態においては、ワイヤボンドの近傍でデバイスダイとパッケージとの間に低インピーダンスのパワーまたはグラウンド接続を設ける。これは、ワイヤボンドのインピーダンスを減らす。パッケージ100の例のパッケージ空洞135の中のプラットフォーム(図示せず)上には、ダイ140が取り付けられる。このパッケージ例は、BGAタイプの構成でもよい。ピン数が多いBGAパッケージ(200ボールを超える)の場合、本発明は、とりわけ高速度インピーダンス感応アプリケーションにおいて、インピーダンスを制御する手段を提供する。かかる手法は、任意のデバイスダイやボール数の多いBGAパッケージに応用でき、性能の向上を図ることができる。特定の設計例においてグラウンドストラップを収容し易くするためには、シグナルパッドの中に組み込まれるようにグラウンドパッドを設計すると有利であろう。
【0014】
高速インピーダンス感応アプリケーションでグラウンドストラップを設ければ、そのユーザーはパッケージの全体を通じて一定の特性インピーダンス、例えば100オームを、維持できる。通常、ダイのデバイス出力は、約138オームのインピーダンスと約4mmの長さとを有するボンドワイヤに接続され、前記ボンドワイヤはさらに約90オームのインピーダンスと約10mmの長さとを有するパッケージトレースに接続される。本発明に従い、かつルーティングに配慮してグラウンドストラップを使用すれば、デバイスダイからパッケージボールに至る全長14mmにわたって一定のインピーダンス100オームを維持できる。
【0015】
グラウンドストラップのインダクタンス低下は、I/O切り替え電流に起因するパワーまたはグラウンド上での誘導ノイズを減らすことによって、信号の整合性を向上させる。
【0016】
グラウンドリング105は、ダイ140を取り囲む。ボンドパッド125は、ワイヤボンド115によってパッケージパッドランディング110に結合されるデバイスシグナルパッドである。ワイヤボンド115はグラウンドストラップ130に近接し、前記グラウンドストラップ130はデバイス上の専用グラウンドパッド120に取り付けられる。かかる専用グラウンドパッドは、回路の設計及びレイアウト次第で単一のパッドでも複数のパッドでもよい。グラウンドストラップ130の堅牢さによって、SSOの過渡電流を処理するデバイスの能力は向上する。グラウンドストラップのインダクタンスは、2mmボンドワイヤの場合の2nHに比べて、2mmストラップの場合は約1.3nHである。グラウンドストラップは主に、そのボンドワイヤとのサイズの関係によってインダクタンスを減少させる。
【0017】
図3を参照すると、グラウンドストラップ130は、任意の適宜な導電性材料で作成することができる。一実施形態のグラウンドストラップ130は銅を含む。グラウンドストラップ130は複合材料からなる。グラウンドストラップ130の1つの実現例においては、その上面に、所定のアプリケーションにとって十分な厚みを持つ銅層205を有する。接着を容易にするため、銅層205の各末端に取り付けられた金210が、デバイスのグラウンドボンドパッド125とグラウンドリング105へのストラップの取り付けを助長する。非導電性金属酸化物等の絶縁材料を加えて層220を形成してもよく、ワイヤ接着工程中に偶発的な短絡が形成される見込みを減らすために、かかる層220を追加してもよい。その他の誘電体としては、ポリイミド、ポリイミド/ポリアミド、ソルダーマスク、PTFE、TEFLONTMのほか、プリント基板(PCB)に適した可撓性誘電体が挙げられる。
【0018】
図4を参照すると、デバイス上のグラウンドパッドは様々な形に構成できる。所定の構成で用いる基準は、設計・レイアウトのルールと要求されるグランディングストラッピングの度合いに左右される。配置300は、専用グラウンドパッド310(破線で図示)に接着されたグラウンドストラップ305を示したものである。ボンドパッド315は、すぐ近くに位置する。その上に接着されるボンドワイヤのインピーダンスは、グラウンドストラップ305の働きによって減少する。
【0019】
図5を参照すると、本発明のさらなる実施形態においては、延在する突出部をグラウンドストラップに設けることで、パッケージのグラウンドリングに接着されたグラウンドパッドの間にシグナルパッドの位置を定めることもできる。配置400は、破線で示すグラウンドパッド410間に位置するシグナルパッド415を含む。グラウンドストラップ405は、グラウンドパッド410にストラップを接着するためのフィンガーを有する。
【0020】
図6に示すフローチャートでは、ピン数が多いため、ボール/ピン数が多いパッケージにパッケージされる所定のデバイスダイに、前記の実施形態を応用可能である。一実施形態においては、一連のステップ600を辿ることにより、デバイスダイとパッケージで本発明を実現できる。設計者は605にて、デバイス上でのシグナル及びパワー/グラウンドパッドの位置を決定する。先行する設計作業では、デバイスの性能を向上させる一方で、デバイス上でのノイズ発生を抑えることを重視するであろう。610では、デバイスとアプリケーションとに適したパッケージを選ぶ。ステップ605及び610はしばしば、実際の設計がシリコンで実装される前に発生する。ただし、本発明は、どんなデバイス及びパッケージの組み合わせにでも応用できる。デバイスダイパッドのレイアウトとパッケージが定まった後、615にて、ボンドグラウンドストラップをデバイスグラウンドパッドに、またさらにパッケージグラウンドに接続する。パッケージの種類に応じて、それらはボンドパッドであってもよく、または図2の場合のように、デバイスダイを取り囲むグラウンドリングであってもよい。また、一つのデバイス/パッケージ構成で複数のグラウンドストラップを使用することもできる。グラウンドストラップを接着した後は、620にて、グラウンドストラップの付近でデバイスシグナルパッドを対応するパッケージランディングにワイヤ接着できる。残りのシグナル、パワー、及びグラウンドパッドは、625にて接着する。接着が完了した後は、630にてパッケージを密封する。
【0021】
本発明を、いくつかの特定の実施形態を参照して説明してきたが、添付の請求項で定義する本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更を加えてもよいことは、当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】インピーダンスに対するグラウンドストラップ上のボンドワイヤの高さのグラフ。
【図2】本発明による実施形態の頂面図。
【図2A】図2に示す実施形態の側面図。
【図3】図2Aに示す、複合材料からなるパワー/グラウンドストラップの側面図。
【図4】パワー/グラウンドストラップと、それが本発明に従ってICデバイスダイのパワー/グラウンドパッドにいかに取り付けられるかの詳細を示す上面図。
【図5】パワー/グラウンドストラップのさらなる実施形態と、それが本発明に従ってICダイのボンドパッドにいかに取り付けられるかを示す図。
【図6】本発明の実施形態に従ってデバイスダイをパッケージする工程のフローチャート。
【符号の説明】
【0023】
100 パッケージ
105 グラウンドリング
110 パッドランディング
115 ボンドワイヤ
120 グラウンドパッド
125 シグナルパッド
130 グラウンドストラップ
135 パッケージ空洞
140 集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のグラウンドパッド、シグナルパッド、及びパワーパッドを有する集積回路と前記集積回路を実装するためのパッケージとを備える集積回路デバイスであって、前記パッケージが、前記集積回路を取り囲むグラウンドリングと、前記グラウンドリングを前記集積回路の前記グラウンドパッドに結合するグラウンドストラップとを備える、集積回路デバイス。
【請求項2】
前記パッケージがさらに複数のパッドランディングを備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項3】
前記集積回路の前記シグナルパッドがボンドワイヤによって前記パッドランディングに結合される、請求項2に記載の集積回路デバイス。
【請求項4】
前記ボンドワイヤが前記グラウンドストラップに近接し、かつ接触しない、請求項3に記載の集積回路デバイス。
【請求項5】
前記グラウンドストラップが銅の導体を備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項6】
前記グラウンドストラップが金の導体を備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項7】
前記グラウンドストラップが銀の導体を備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項8】
前記グラウンドストラップがアルミニウムの導体を備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項9】
前記グラウンドストラップが銅、金、銀、アルミニウム、及びそれらの合金から選ばれた高導電性材料の導体を備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項10】
前記グラウンドストラップがさらに、第1の導体を提供し、第1の長さと第1の断面とを有する第1の導電材料を備え、前記第1の導体が上面と底面とを有する、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項11】
前記グラウンドストラップがさらに、第2の断面と第2の長さとを有する誘電性材料を備え、前記第2の断面が前記第1の導体の前記第1の断面とほとんど等しく、前記第2の長さが前記第1の長さより短く、前記誘電性材料が前記第1の長さのほぼ中間点にて前記第1の導体に取り付けられ、前記第1の導体の第1の間隙と第2の間隙とが露出したまま残る、請求項10に記載の集積回路デバイス。
【請求項12】
前記グラウンドストラップがさらに、前記第1の間隙と前記第2の間隙とにおいて前記第1の導体に適用される第2の導電材料を備え、前記第2の導電材料が前記誘電性材料と実質的に面一となるよう適用され、前記第1の間隙が前記グラウンドリングに結合し、前記第2の間隙が前記集積回路の前記グラウンドパッドに結合するよう前記グラウンドストラップが形成される、請求項11に記載の集積回路デバイス。
【請求項13】
前記グラウンドストラップが、さらに第1の導体を提供し、第1の長さと第1の断面とを有する第1の導電材料を備え、前記第1の導体が上面と底面とを有する、請求項2に記載の集積回路デバイス。
【請求項14】
前記グラウンドストラップが、さらに第2の断面と第2の長さとを有する誘電性材料を備え、前記第2の断面が前記第1の導体の前記第1の断面とほとんど等しく、前記第2の長さが前記第2の長さより短く、前記誘電性材料が前記第1の長さのほぼ中間点にて前記第1の導体に取り付けられ、前記第1の導体の第1の間隙と第2の間隙とが露出したまま残る、請求項13に記載の集積回路デバイス。
【請求項15】
前記グラウンドストラップが、さらに前記第1の間隙と前記第2の間隙とにおいて前記第1の導体に適用される第2の導電材料を備え、前記第2の導電材料が前記誘電性材料と実質的に面一となるよう適用され、前記第1の間隙が前記グラウンドリングに結合し、前記第2の間隙が前記集積回路の前記グラウンドパッドに結合するよう前記グラウンドストラップが形成される、請求項14に記載の集積回路デバイス。
【請求項16】
前記誘電性材料が、ポリイミド、ポリアミド、ソルダーマスク、PTFE、及びTEFLONTMの内の少なくとも一つから選ばれる、請求項4に記載の集積回路デバイス。
【請求項17】
前記集積回路と複数の前記シグナルパッドと複数の前記グラウンドパッドとが、シグナルパッドがグラウンドパッドに隣接するよう配置される、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項18】
ボールグリッドアレーパッケージにおいて半導体デバイスダイをパッケージする際にボンドワイヤのインピーダンスを制御するための方法であって、前記方法が、デバイスダイ上でのシグナル及びパワー/グラウンドパッドの位置を決定すること、前記デバイスダイのためのグラウンドを有する適当なパッケージを選択すること、前記デバイスダイグラウンドパッドとパッケージグラウンドとにグラウンドストラップを接着すること、前記パッケージグラウンドに前記デバイスダイグラウンドパッドを結合すること、前記グラウンドストラップの付近でパッケージランディングに前記デバイスダイのシグナルパッドを接着すること、パッケージランディングに前記デバイスダイの残りのシグナル、パワー、及びグラウンドパッドを接着すること、及び前記パッケージを密封することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−510202(P2006−510202A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558943(P2004−558943)
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005616
【国際公開番号】WO2004/053986
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】