説明

高強度及び耐垂れ性フィン材

【課題】熱交換器に使用されるフィン材で、用途に応じて、ろう付け被覆をするか、又は被覆しないで、部材作製用のAlMnストリップ又はシートを製造する方法、及び得られた製品を提供する。
【解決手段】Si0.3〜1.5%、Fe≦0.5%、Cu≦0.3%、Mn1.0〜2.0%、Mg≦0.5%、Zn≦4.0%、IVb、Vb、又はVIb元素族由来の元素をそれぞれ≦0.3%、不可避の不純物元素、ならびに残部としてアルミニウムを含む溶融物から製造されるインゴットを、熱間圧延の前に、所定温度で予備加熱して、分散質粒子の数及び大きさを制御し、さらに熱間圧延してホットストリップにする。次いで、全圧下率が90%以上で冷間圧延および該ストリップを熱処理して、冷間圧延時に対し50〜90%である、100〜200MPaの範囲の0.2%耐力値を得る。ストリップは、別法として、双ロール式ストリップ鋳造により製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
本発明は、ろう付けすることにより、部材作製用のAlMnストリップ又はシートを製造する方法、及び該方法により得られる製品に関する。特に、この方法は、熱交換器に使用されるフィン材に関する。フィンは、用途に応じて、ろう付け被覆して、又はろう付け被覆しないで送出することができる。
【0002】
今日の課題は、自動車市場用の軽量部材を製造することである。したがって、多くの研究が、他の製品特性及び製造特性を損なうことなく、その代わりにしばしば改良して、より薄いストリップを使用することにより、熱交換器の重量を軽減することに向けられている。これを行うことを可能にするため、現在使用されている合金と比較して、ろう付け後の強度が高いがそれでもなお適当な腐食特性を有する、新規の材料を作製することが必要である。フィンに関して、これは、フィンが熱交換器の他の部品と比較して腐食電位が低いことにより、通常犠牲となりがちであることを意味する。増加したフィンの強度は、真空ろう付け用のストリップにこれまで使用されていたMgのような特定の合金化元素の使用を制限する、最新のCAB焼却炉内で実現されなければならない。フィンは、製造業者にとって取り扱い易くなければならず、ろう付けの前に、常に僅かに変形しているので、送出状態における成形性になんらかの要件を課す。フィンストリップは、50〜200μmの薄さで常に送出され、細いストリップに切断されるので、完全に軟らかくアニールした場合は、取り扱いが非常に困難となる。したがって、ストリップは、成形性制限された半硬状態で、通常送出される。
【0003】
ろう付け後の強度が高いレベルに達することは、ろう付け中の耐垂れ性及び液体コアの浸透(liquid core penetration)耐性、又はストリップからフィンを形成する際に必要な成形性として表されるろう付け性能を危険にさらすことなくしては、非常に困難である。新規材料によりこれらの必要性が確実に満たされた場合にのみ、ろう付け後の強度が高くて、薄くなったフィンを使用することが可能になり、それによって、今日使用されている製品と比較して、重量が低減されるであろう。
[従来技術]
【0004】
SE−C2−510272から知られるこれまでの方法では、Fe≦0.7%、Mn1.4〜2.0%、Si0.5〜1.5%、Mg≦0.5%、Cu≦0.1%、Zn≦2.5%、Zr0.05〜0.3%、不可避の不純物元素を除き、残部アルミニウムを含む合金が使用されている。鋳造インゴットを550℃以下で12時間未満、予備加熱した後、熱間圧延、続いて冷間圧延、中間アニール、及び送出調質H14まで最終冷間圧延する。ろう付け後、材料は強度が50MPaでしかない。厚さ0.1mmストリップのろう付け中の耐垂れ性は14mmであったが、これは使用された方法が非常に良いと考えられる。しかし、送出時のストリップは、伸び率A50mmが1.5%でしかなく、ろう付け中の浸透は認められなかった。
【0005】
熱交換器用ストリップ又はシートの製造方法は、Fe≦0.5%、Mn1.0〜1.8%、Si0.3〜1.2%、Mg≦0.3%、Cu≦0.1%、Zn≦0.1%、Ti≦0.1%、Cr+Zr0.05〜0.4%、Sn≦0.15%、残部アルミニウム、及び不可避の不純物を含み、%Sn/%Si率が≧0.03である合金が記載されている、米国特許出願第6743396号で知られている。インゴットを鋳造し、続いて初期圧延温度520℃未満まで最大12時間予備加熱し、最終熱間圧延温度250℃以上で、厚さ2〜10mmまで熱間圧延する。中間アニールをしないで、続く冷間圧延を、最終厚さ50μm〜500μmまで行う。最終アニールは少なくとも300℃の温度で行うが、これは材料を完全に、又は実質的に再結晶化させるという意味である。ろう付け後、0.2%耐力値が60MPa以上に達する。この文書には、ろう付け中の垂れ又は液体コアの浸透に関して何も述べられてなく、送出規格における成形性が記載されてない。該特許には、フィンのろう付け後の強度及び耐食性にしか焦点が当てられていない。前記発明者による特許の記述によれば、最終アニール温度が高いとすると、通常、完全又は部分的な再結晶構造になるであろう。
【0006】
「高」強度のAl−Mn合金は、米国特許出願第4235628号で知られているが、ろう付け後の0.2%耐力値は50MPaでしかない。合金組成は、Mn0.8〜2%、Si1.4〜3%、Fe0.2〜1%、Cu0〜0.2%、Mg0〜0.2%、及び残部は、不純物が最大0.2%までのAlである。材料は、最後に450℃超の温度でアニールする。ろう付け中の耐垂れ性又は液体コアの浸透に関して、何も述べられていない。シリコン含有量が高ければ、ろう付け中、合金が液体コアの浸透に対して必ず脆弱になるであろう。
【0007】
日本特許第08246117号では、Mn0.6〜1.6%、Si0.05〜0.8%、Cu0.1〜1.0%、Mg0.05〜0.5%、及びCr、Ti、又はZrが最大0.3%までを含む合金が開示されている。インゴットの鋳造、500℃未満の予備加熱後の熱間圧延、次いで冷間圧延、アニール、及び20〜80%比での最終冷間圧延により加工する材料に関し、大きさ0.02〜0.2μm小粒子の数密度間隔が記載されている。該材料は、犠牲表面層を有するチューブとしており、したがって、フィンの必要条件及び適用には不適当である。
【0008】
日本特許第03287738号では、特定のアルミニウム組成物、及び調質H14又はH24に至る方法を使用し、処理中に中間アニールを用いることにより、耐垂れ性材料が得られる。該材料は、真空ろう付けに使用され、CAB焼却炉でのろう付けに許容できない、多量のMg0.3〜1.5%を含む。Mg含有量が高くない場合は、この材料は、ろう付け後の高強度に必要な所望の微細構造を付与しないことになる。Mg含有量がこのように高い材料では、今日の熱交換器の製造業者が必要とする液体コアの浸透性が低くなることはない。ろう付け中の液体コアの浸透に対する脆弱性、又は送出規格における成形性について、何も記載されていない。Mn含有量が低すぎても、より薄い材料へと規格を下げる場合に必要である、より高い強度を達成することができない。
【0009】
ろう付けされた交換器では、フィンを犠牲にすることにより、チューブ及びプレートの穿孔が腐食されるのを避けるため、通常、フィン、チューブ、プレート、及びヘッダーの異なる部品に、異なる合金を選択することが必要である。これは、フィンをZnの合金とすることによって、他の部品と比較して、腐食電位を適当なレベルにまで低下させるために、よく行われることである。これに続き、チューブ及びプレートに使用される材料には、腐食電位を上昇させるために、Mn及びCuの添加が通常行われる。これは、フィンの最適な組成及び加工が、チューブ又はプレートの加工とは全く異なる理由の1つである。
【0010】
製造業者が規格を下げる必要がある場合、アルミニウムストリップの特性が特定の用途では不適当であることが、これまでの公知の方法に従って製造された材料の実地試験で示されてきた。このことは、ストリップからフィンを製造するのに必要な成形性と共に、優れた耐垂れ性、及び材料の液体コアの低い浸透性が組み合わされたろう付け後の強度に特にあてはまる。
【0011】
ろう付け中に材料を再結晶させるための正味駆動力を非常に正確に制御することにより、ろう付け中の優れた耐垂れ性、及び液体コアの低い浸透性と共に、ろう付け後の顕著な強度の組合せを得られることが判明した。再結晶化のための正味駆動力は、粒子の数密度により付与された制動圧(retarding pressure)を引いた、蓄積された圧延変形により作り出される駆動力である。
【0012】
得られた材料は、ろう付け中の高い耐垂れ性及び液体コアの低い浸透性のような優れたろう付け性能と、送出調質における優れた成形性の特有の組合せでろう付けした後に高強度を得た。該フィン材は、犠牲フィン材によりチューブを保護することができるように、チューブのような熱交換器の他の部品に応じて調整することが可能な、腐食電位を有する。該材料を使用して、任意のろう付け法、特に、雰囲気制御ろう付け法(CAB)により、製品を作製できる。
[発明の詳細な説明]
【0013】
本発明は、ろう付け中の高い耐垂れ性及び液体コアの非常に低い浸透性として表される非常に優れたろう付け性能と、ならびに送出されたストリップ状態における適度に優れた成形特性と組み合わされた比較的高い強度をろう付け後に有するアルミニウムストリップの製造方法を目的とする。シートは、CABろう付けにより製造された、熱交換器内のフィンに適用するものであるが、真空ろう付けによっても製造できる。
【0014】
これは、圧延スラブが、(重量%で)Siを0.3〜1.5%、Feを≦0.5%、Cuを≦0.3%、Mnを1.0〜2.0%、Mgを≦0.5%、Znを≦4.0%、IVb、Vb、又はVIb元素族由来の元素をそれぞれ≦0.3%、合計で≦0.5%、及び不可避の不純物元素を合計で0.15%以下、単独で0.05%以下、ならびにその残部としてアルミニウムを含む溶融物から製造され、熱間圧延前の圧延スラブが、予備加熱温度550℃未満、好ましくは400〜520℃、より好ましくは450〜520℃、特に470超、最高520℃で予備加熱され、分散質粒子(過飽和固溶体から沈殿した粒子)の数と大きさを制御し、その後予備加熱した圧延スラブを熱間圧延してホットストリップにする本発明に従った方法により、AlMnシートの製造を実現する。以下、合金化元素の全ての量は、重量%で示される。通常、ストリップ厚の熱間圧延の全圧下率(total hot rolling height reduction of the strip thickness)は、>95%である。ホットストリップの出口規格は、2〜10mmの範囲である。ストリップは、熱間圧延後、又は冷間圧延した厚さ0.5mm超の時点で、アニールをしてよい。その後ストリップを冷間圧延して、全圧下率が90%以上、好ましくは95%超、最も好ましくは97.5%超のストリップとし、その冷間圧延したストリップを熱処理して、100〜200MPaの範囲、より好ましくは120〜180MPaの範囲、最も好ましくは140〜180MPaの範囲において、0.2%耐力に対し、冷間圧延された状態の耐力値の50〜90%である耐力値(完全に軟らかくアニールされていない)を得る。ストリップ材料は、粒子の数密度が1〜20×10の範囲、好ましくは1.3〜10×10の範囲、最も好ましくは1.4〜7×10粒子/mmを備える微細構造を有する材料であり、該粒子は、相当直径が50〜400nmの範囲である。これら微粒子の多数は、熱間圧延前の予備加熱中に発生する。粒子密度を測定した方法の説明を、実施例1に記述する。
【0015】
別法として、同じ合金組成物を、例えば、欧州特許第1250468号に記載されているような双ロール式ストリップ鋳造によって、連続鋳造によりストリップに鋳造することができる。鋳造ままのストリップをさらに圧延して中間規格体を形成し、次いでアニールし、再度、60%以上、好ましくは75%以上の圧下率で冷間圧延して、第1の耐力値を有する最終規格のフィンストック材料を得る。フィンストック材料を、第2次冷間圧延直後に得た耐力値より10〜50%低い、好ましくは15〜40%低い第2の耐力値を有するストリップを得、したがって、得られる0.2%耐力が、100〜200MPa、好ましくは120〜180MPa、より好ましくは120〜160MPaになるような方法で、ストリップ合金を再結晶させることなく焼戻しすることにより材料を軟らかくするために、送出調質まで熱処理する。このとき、ストリップ材料は、直径が50〜400nmの範囲であり、粒子の数密度が1×10〜20×10、1.3×10〜10×10、好ましくは1.4×10〜7×10粒子/mmの範囲である粒子を含む微細構造を有する。粒子の大多数は、中間アニール中に発生している。
【0016】
冷間圧延を終えたストリップの通常厚さは、0.2mm未満、好ましくは0.15mm未満、最も好ましくは0.10mm未満である。該材料だけが、焼戻し状態、例えば、H22、H24の状態、又はH26の状態(ひずみ硬化し、再アニールをして、それぞれ硬さが1/4、1/2、及び3/4)の所望の性質を有している。アニール処理は、コイルで、又は適宜調節した温度を使用する連続アニール炉で、再アニールとして行う。
【0017】
本発明は、ストリップの適当な送出特性と組み合わせて、ろう付け後の所望の特性、及びろう付け中の性能をもたらすために、全処理中の微細構造の発生を調整するのに使用される溶融物の組成に基づく。特に、ろう付け中の優れた耐垂れ性、及び液体コアの低い浸透性、ならびにフィン形成前の送出状態における比較的優れた成形性と組み合わせたろう付け後の高強度が、本発明の焦点である。ろう付け後の0.2%耐力値は、60MPa以上であり、通常約70MPaである。厚さ0.1mm未満のストリップに対し実施例1で明記したように測定した場合、該材料の耐垂れ性は≦35mm、より好ましくは≦30mm、最も好ましくは≦25mmである。ろう付け中、過度の液体コアの浸透は起こらない。破断伸度として測定される成形性A50mmは、通常3%超である。常にコイルは、送出前にかなり細いストリップに切断されるので、全ての機械的性質は、圧延方向で測定され決定される。
【0018】
高度の変形は、多数の小粒子が再結晶の駆動圧を抑制する一方、駆動力を増加する。駆動力は、増加した圧下率、特に冷圧率と共に増加するが、最終の調質アニール中の回復により減少することになる。このタイプの合金及び処理に関する送出状態における強度は、駆動力に比例する。小粒子の数は、主に化学組成との組合せで、熱間圧延前に、550℃未満、好ましくは400〜520℃、より好ましくは450〜520℃、特に470〜520℃まで予備加熱することにより制御されるべきである。粒子の数密度は、再結晶を妨げる制動圧に比例する。駆動力及び制動圧を定量的に制御して、上記の各種段階で優れた材料特性をもたらすことが、極度に重要である。本発明で請求した範囲内で工程を制御することにより、材料特性の高い再現性がもたらされる。
【0019】
分散質粒子及び固溶体中のMnは、ろう付け後の強度を増加する。さらに、制御された数の粒子中のMnは、これら粒子が大きな再結晶粒の形成につながるろう付け加熱中の再結晶プロセスを制御するので、耐垂れ性及び液体コアの浸透性を制御するのに有益である。1.0以上〜2.0%以下の、本発明に従ってもたらされる溶融物の含有量により、本発明によるストリップの強度が維持される。最適化特性は、Mn含有量が、1.3%以上で1.8%以下、さらにより好ましくはMn含有量が、1.4〜1.7%であるならば、確実に実現できる。
【0020】
Feは、主に凝固中に形成される大きな金属間構成粒子の形成の危険性を増加させるため、悪影響を及ぼす。その際、Feは材料中のMnの量及び使用を制限する。したがって、Feを0.5%、好ましくは0.3%までに制限する。
【0021】
Siは、Mnの溶解度を減少させ、Mnと結合した高密度の分散質粒子を発生させる。これにより、高強度及び優れた耐垂れ性が促進される。一部のSiは固溶体にも存在する。固溶体中及び分散質粒子中で共に、Siは強度を増加させる。Siの量が多すぎる場合は、ろう付け中の液体コアの浸透の危険性が増加する。コアのSi含有量は、0.3〜1.5%、好ましくは0.5〜1.1%、最も好ましくは0.65〜0.95%であるべきである。ろう付け被覆される材料に関して、Si含有量は、0.3〜1.5%、好ましくは0.4〜1.1%、最も好ましくは0.45〜0.9%であるべきで、他の全成分の含有量は、非被覆材と同じである。
【0022】
IVb、Vb、又はVIb元素族、あるいはこれら元素の組合せを、本発明に従った合金に添加することにより、これら元素の一部が微細分散質粒子の数密度を増加させることになるので、強度及び耐垂れ性をさらに改善することができる。凝固中に形成される粗い構成粒子の形成を避けるために、これら分散体形成元素の個々の含有量は0.3%未満であり、これらの元素の合計は≦0.5%であるべきである。こうした粒子は、本発明に従って製造したストリップの成形性及び強度に、負の影響を及ぼす。IVb、Vb、又はVIb元素族の含有量は、好ましくは0.05〜0.2%の範囲であるべきである。これらの族由来の分散体形成元素として、Zrを≦0.3%、好ましくは0.05〜0.2%、より好ましくは0.1〜0.2%の範囲で使用するのが好ましい。さらに、Mn及びFeとの組合せで、Crは非常に粗い構成粒子の原因となり得る。したがって、本発明に従って使用する合金においては、Crを添加する場合は、Mn含有量を減らさなければならない。
【0023】
本発明に従って使用する合金においては、Cuの含有量は0.3%以下、好ましくは0.1%未満に制限される。Cuにより強度が増加されるが、フィン材には望ましくない陽の腐食電位の原因ともなる。陽の腐食電位により、ろう付け熱交換器内で、他材料との組合せの可能性が制限される。さらに、腐食挙動は、特に粒間腐食に関しては、Cu含有量の増加と共に悪化する。
【0024】
少量のMgを、強度を増加させる元素として、本発明に従って使用する合金に添加してもよい。しかし、Mgは、CABでのろう付け性に非常に強い負の影響を及ぼすので、マグネシウムの含有量は0.5%以下、好ましくは0.3%未満、最も好ましくは0.1%未満にまで制限する。Mgにより、ろう付け温度で材料が初期溶融する危険性がさらに増大する。
【0025】
Znを添加してフィン材の腐食電位を低下させ、したがって、フィンを犠牲にすることによりチューブにカソード防食をもたらすことができる。フィンに調節可能なZn含有量を使用することにより、チューブ及びフィン間の腐食電位における差異を選択して、各用途に適切なレベルにすることができる。使用されるZn含有量は、通常4.0%まで制限され、より好ましくは0.5〜2.8%である。
【0026】
Snの量は、圧延時の問題を避けるために、好ましくは0.009%未満を保持すべきである。
【0027】
本発明に従って製造されたストリップのろう付けでは、ストリップの片側又は両側に被覆する場合、厚さが各側のストリップの全厚みの3%〜20%である被覆層を使用するのが、機械的強度に有利であろう。かかる合金は、例えば、AA4343、AA4045、又はAA4047などのAl−Si(Si7〜13%)ベースの通常のろう付け合金、ならびに工業的に純粋なAl合金(AA1XXX、Si0〜0.5%)、及びこれら合金(Si0.5〜7%、又はSi0.6〜6.5%)の改良合金、Si含有量1、2、3、4、5、又は6%のSiを有するAl合金などの改良合金ベースの通常の保護用被覆材でよい。この場合、圧延被覆により、被覆を施すのが好ましい。
[実施例]
[実施例1]
【0028】
Si0.8〜0.9%、Fe0.2%、Mn1.6%、Zr0.11〜0.12%、Zn1.5〜1.6%、及び他の元素がそれぞれ0.05%未満の組成を有する、材料A1及びA2の2種インゴットを、550℃未満でDC鋳造の予備加熱をし、冷間圧延前に、合計熱間圧下率99%で熱間圧延した。材料A1を最終規格まで直接冷間圧延し、異なる温度でアニールした。一部の材料を調質Oにまで完全に軟らかくアニールし、一部は調質H24まで回復アニールし、一部はアニールを全くせず調質H18にした。材料A2を再結晶アニールした後、調質H14まで最終冷間圧延した。全試料を熱処理にさらし、600℃でろう付けの模擬実験をした。
特性を表1に示す。
【0029】
耐垂れ性を、下記方法に従って測定した:材料を、図1に示すように、特別な器具に載せる。幅15mmの試料を、圧延方向と交差して切り、圧延方向に沿って少なくとも90mm切り取った。4試料を器具に載せる。片持ばりの長さは60mm、片持ばりの自由端は、測定台の表面を越えて54mmであった。
器具を炉に入れ、下記サイクルに従って温度を上げた:
20℃−>400℃/25分+400℃/5分+400℃−>600℃/13分+600℃/10分
最後に600℃で浸漬した後、直ちに試料を取り外した。
【表1】


表1:材料A1及びA2の特性。耐垂れ性は、長さ60mmの片持ばりを使用して測定した。
【0030】
その結果は、送出調質H14と比較して、中間アニールをしない調質O、H24、及びH18の方がはるかに高いろう付け後強度を得ることを示している。
[実施例2]
【0031】
Si0.8%、Fe0.2%、Mn1.6%、Zr0.12%、Zn1.6%、及び他の元素がそれぞれ0.05%未満の組成を有する、全く同じ荷電の3種インゴットは、ろう付け中の送出成形性及び耐垂れ性を改善するため、熱間圧延前に、異なる温度で予備加熱した。異なるインゴットの最終温度及び総加熱時間は、B1が457℃/11時間、B2が490℃/15時間、B3が540℃/21時間であった。各材料は、熱間圧延、冷間圧延、及び調質H24にまで回復アニールをした。最終ストリップ0.1mmの特性を、表2に示す。
【表2】


表2:材料Bに関して測定した特性。耐垂れ性は、長さ60mmの片持ばりを使用して測定した。
【0032】
結果は、送出時の調質における成形性、及びろう付け中の耐垂れ性の最も良い組合せを実現するために、熱間圧延前の予備加熱に最適な温度及び時間があることを示している。送出0.2%耐力が197MPaから175MPaに低減することより、ろう付け中の耐垂れ性が有意に改善される。
[実施例3]
【0033】
下記組成を有する材料Cのろう付け被覆ストリップに対して、送出調質の効果を調べた。
【0034】
コアMn=1.6%、Si=0.8%、Fe=0.2%、Zn=1.5%、Zr=0.11%、他の元素はそれぞれ0.05%未満。ろう付け被覆Si=7.7%、Fe=0.1%、他の元素はそれぞれ0.05%未満。材料は、各側に10%被覆する。被覆は、熱間圧延中に行った。
【0035】
材料をDC鋳造後、550℃未満で予備加熱、4mmまで熱間圧延、最終厚さ0.10mmまで冷間圧延した。H14状態の材料を、中間規格0.17mmに、完全に軟らかくアニールした。この実施例の全ての試料を、同一母材コイルから取り出す。各試料は、異なる部分でコイルを切り取ることにより、取り出すことも可能である。
【0036】
材料の粒子密度を測定するため、ストリップの縦断、ND−RD面に、各断片を切り取った。最後の調製段階で、コロイド状シリカ0.04μmを含むStruers OP−S懸濁液を使用し、各断片を機械的に研磨した。粒子の横断面積を、画像解析システム、Oxford InstrumentsのIMQuant/Xを使用して、FEG−SEM、Philips XL30Sで測定した。
【0037】
測定の画像は、顕微鏡の「インレンズ」検出器を使用し、後方散乱方式で記録した。(SEM表示に対して)×40000倍の倍率で測定した。情報深さ(information depth)を最小にし、後方散乱画像に優れた空間分解能を得るために、低加速電圧3kVを使用した。通常の灰色諧調度の閾値を使用して粒子を検出した。試料中粒子の数及び分布を表す結果を得るため、測定画像フレームを、横断面一面に広げた。ストリップ試料の厚さ(ND)方向上に、均一に分布している少なくとも7つの位置で測定した。縦方向の各画像フレーム間の距離は、少なくとも15μmであった。1000超の粒子が測定された。各粒子の面積Aを測定し、相当粒子直径を√(4A/π)として算出する。
【0038】
試料は、ろう付け前、大きさが50〜400nmの範囲内の粒子の、数密度がmm当り2.3×10粒子であった。異なる状態の、ろう付け前の耐力値及び伸び値、耐垂れ性及び液体コアの浸透の危険性、ならびにろう付け後の強度を表3に示す。ろう付け後の強度は、H14(中間アニール及び最終冷間圧延した)送出状態としては、他のものより著しく低い。H24及びO条件のアニールにより、冷間圧延しただけのH18状態と比較して、ろう付け後の強度が改善される。アニールにより、耐垂れ性が有意に改善され、さらに送出成形性A50mmも改善され、液体コアの浸透の危険性も減少する。
【0039】
H24送出状態により、H14送出調質と比較して有意に改善された成形性、及びより優れた耐垂れ性が付与された。H24状態により、H18状態と比較して、ずっと優れた耐垂れ性、液体コアの浸透に対するより優れた耐性、明確に改善された送出成形性、及びろう付け後の強度が付与された。O調質状態により、H24状態よりも優れた送出成形性及び耐垂れ性が付与されたが、実施例4に記載したように、ろう付け前の非常に軟らかく薄い材料、及び形成後の液体コアの浸透の危険性の問題を対処するため、魅力的ではない。
【表3】


表3:材料Cに関して測定した特性。耐垂れ性は、長さ50mmの片持ばりを使用して測定した。
[実施例4]
【0040】
このように軟らかく薄いストリップは、深刻な取り扱い上の問題の原因となるので、O調質状態は、ストリップ製造者、及びろう付け熱交換器の製作者の両者にとって、適する送出調質ではない。問題の1つは、ストリップが常にろう付け前に僅かに伸びることである。調質H24の代わりに調質Oで送出される場合は、その際コアが液体コアの浸透に極めて敏感になるため、これが貧弱なろう付け性能の原因となり得る。以下の組成を有する材料Dを使用してこれを示した:
【0041】
コアMn=1.6%、Si=0.8%、Fe=0.2%、Zn=1.5%、Zr=0.12%、他の元素はそれぞれ0.05%未満。
【0042】
ろう付け被覆Si=7.5%、Fe=0.2%、他の元素はそれぞれ0.05%未満。
【0043】
材料は、各側10%ろう付け被覆で、両側に被覆した。被覆は、熱間圧延中に行った。
【0044】
材料は、記載の本発明に従って、最終厚み0.07mmに、工業用に製造した。材料は、一部をH24状態、Rp0.2=164MPaにまで、一部を、完全に軟らかいO状態、RP0.2=60MPaにまで、調質アニールした。次いで、ろう付けの前に、0%、1%、3%、及び5%の異なる率で各試料に適用した。
【0045】
図2の写真は、各試料を3%まで予備伸長した場合、液体コアの深刻な浸透が調質Oのろう付け中に起こり、調質H24には起こらなかったことを示している。5%予備伸長した場合にも、同様の結果が得られた。予備伸長が1%以下である場合は、いずれの送出調質も液体コアの浸透に敏感ではない。1%超までの予備伸長がろう付け前に起こりやすいので、調質O状態は適切ではない。
[実施例5]
【0046】
Mn1%、Si1%、Fe0.5%、Cu0.09%、Zn1%からなる合金を、双ロール鋳造して厚さ5mmのストリップとし、1mmまで冷間圧延し、アニールして軟らかい状態にし、厚さ0.10mmまで圧延し、最後に260℃で2時間アニールした。0.2%耐力値RP0.2は130MPa、伸び率A50mmは4.4%であった。ろう付け後の強度RP0.2は70MPa、極限強度Rは165MPaであった。垂れは、実施例1に記載されたように測定し、9mmだけであった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(a)は、長さ50mmの片持ばりを使用して、被覆ストリップの垂れ試験に使用した、試料を載せた器具の図である。(b)は、長さ60mmの片持ばりを使用して、非被覆ストリップの垂れ試験に使用した、試料を載せた器具の図である。
【図2】(a)は、ろう付け前の1%予備拡張後、調質H24(左)及び調質O(右)からろう付けした後の材料Cの微細構造図である。(b)は、ろう付け前の3%予備拡張後、調質H24(左)及び調質O(右)からろう付けした後の材料Cの微細構造図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)Siを0.3〜1.5%、
Feを≦0.5%、
Cuを≦0.3%、
Mnを1.0〜2.0%、
Mgを≦0.5%、より好ましくは≦0.3%、
Znを≦4.0%、
Niを≦0.5%、
IVb、Vb、又はVIb族由来の分散体形成元素をそれぞれ≦0.3%、及び
不可避の不純物元素をそれぞれ0.05%以下、全体量で0.15%以下、
残部アルミニウムを
含む溶融物を鋳造し、インゴットを得るステップと、
b)550℃未満、好ましくは400〜520℃、より好ましくは450〜520℃、特に470以上、最高520℃の温度でインゴットを予備加熱して、分散質粒子を形成するステップと、
c)熱間圧延してストリップを得るステップと、
d)ステップ(c)で得られたストリップを全圧下率90%以上、好ましくは>95%で冷間圧延して、第1の耐力値を有するストリップを得るステップと、
e)次いで、第2の耐力値が、ステップ(d)の冷間圧延直後に得られた第1の耐力値より10〜50%低く、好ましくは15〜40%低く、0.2%耐力範囲が100〜200MPa、より好ましくは120〜180MPa、最も好ましくは140〜180MPaにあるストリップが得られるような方法で、ストリップ合金が再結晶することなく、焼戻しすることにより材料を軟らかくするために、送出調質まで熱処理するステップと
により製造される、耐垂れ性ストリップ。
【請求項2】
97.5%以上の冷間圧延圧下率で製造される、請求項1に記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項3】
材料の厚さを、ステップ(d)の冷間圧延中に90%以上圧下した際、材料を再結晶させる中間アニールを行うことなく製造される、請求項1又は2のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項4】
a)Siが0.3〜1.5%、
Feが≦0.5%、
Cuが≦0.3%、
Mnが1.0〜2.0%、
Mgが≦0.5%、より好ましくは≦0.3%、
Znが≦4.0%、
IVb、Vb、又はVIb族由来の分散体形成元素をそれぞれ≦0.3%、及び
不可避の不純物元素をそれぞれ0.05%以下、全体量で0.15%以下、
残部アルミニウムを
含む溶融物を双ロール式ストリップ鋳造するステップと、
b)鋳造ままのストリップを冷間圧延して、中間規格材料とするステップと、
c)中間規格材料をアニールして、分散質粒子を形成するステップと、
d)中間規格材料を60%以上、好ましくは75%超の圧延圧下率で冷間圧延して、最終規格のフィンストック材料とし、第1の耐力値を有するフィンストック材料を得るステップと、
e)第2の耐力値が、ステップ(d)の冷間圧延直後に得られた第1の耐力値よりも10〜50%低く、好ましくは15〜40%低く、0.2%耐力範囲が100〜200MPa、好ましくは120〜180MPa、より好ましくは120〜160MPaにあるストリップが得られるような方法で、ストリップ合金が再結晶することなく、焼戻しにより材料を軟らかくするために、フィンストック材料を熱処理して送出調質とするステップと
により製造される、耐垂れ性ストリップ。
【請求項5】
Siを0.5〜1.1%、好ましくは0.65〜0.95%、
Feを≦0.3%、
Cuを<0.1%、
Mnを1.3〜1.8%、好ましくは1.4〜1.7%、
Mgを<0.1%、
Zrを好ましくは0.05〜0.2%、最も好ましくは0.1〜0.2%
含む溶融物から製造される、請求項1〜4のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項6】
Znを0.5〜2.8%含む溶融物から製造される、請求項1〜5のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項7】
Snを<0.009%含む溶融物から製造される、請求項1〜6のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項8】
送出調質において、直径が50〜400nmの範囲である粒子の分散質粒子密度が1〜20×10、好ましくは1.3〜10×10、最も好ましくは1.4〜7×10粒子/mmである、請求項1〜7のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項9】
ストリップの最終厚さが0.2mm未満、好ましくは0.15mm未満、最も好ましくは0.10mm未満である、請求項1〜8のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項10】
少なくとも1つの追加層で被覆された、請求項1〜9のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項11】
少なくとも1つの追加層がろう付け合金からなる、請求項10に記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項12】
少なくとも1つの追加層が工業的に純粋なアルミニウム合金からなる、請求項10に記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項13】
少なくとも1つの追加層がSiを0.6〜6.5%含むアルミニウム合金からなる、請求項10に記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項14】
ろう付け後の0.2%耐力値が60MPa以上、好ましくは70MPa以上である、請求項1〜13のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項15】
厚さ0.10mmのストリップで測定した際、耐垂れ性が≦35mm、より好ましくは≦30mm、最も好ましくは≦25mmである、請求項1〜14のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項16】
厚さ0.10mmのストリップで測定した際、耐垂れ性が≦20mm、より好ましくは≦15mmである、請求項4〜14のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項17】
a)Siを0.3〜1.5%、
Feを≦0.5%、
Cuを≦0.3%、
Mnを1.0〜2.0%、
Mgを≦0.5%、より好ましくは≦0.3%、
Znを≦4.0%、
IVb、Vb、又はVIb族由来の分散体形成元素をそれぞれ≦0.3%、及び
不可避の不純物元素をそれぞれ0.05%以下、全体量で0.15%以下、
残部アルミニウムを
含む溶融物を鋳造し、インゴットを得るステップと、
b)得られたインゴットを、550℃未満、好ましくは400〜520℃、より好ましくは450〜520℃、特に470超、最高520℃の温度で予備加熱して、分散質粒子を形成するステップと、
c)熱間圧延してストリップを得るステップと、
d)ステップ(c)で得られたストリップを全圧下率90%以上、好ましくは>95%で冷間圧延して、第1の耐力値を有するストリップを得るステップと、
e)次いで、第2の耐力値が、ステップ(d)の冷間圧延直後に得られた第1の耐力値より10〜50%低く、好ましくは15〜40%低く、絶対耐力範囲が100〜200MPa、より好ましくは120〜180MPa、最も好ましくは140〜180MPaにあるストリップを得られるような方法で、ストリップ合金が再結晶することなく、焼戻しにより材料を軟らかくするために、熱処理して送出調質にするステップと
を含む、耐垂れ性ストリップの製造方法。
【請求項18】
圧下率97.5%以上まで冷間圧延することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(d)の冷間圧延中に材料の厚さを90%以上圧下した際、材料を再結晶させる中間アニールを行うことなく製造する、請求項17又は18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
a)Siを0.3〜1.5%、
Feを≦0.5%、
Cuを≦0.3%、
Mnを1.0〜2.0%、
Mgを≦0.5%、より好ましくは≦0.3%、
Znを≦4.0%、
IVb、Vb、又はVIb族由来の分散体形成元素をそれぞれ≦0.3%、及び
不可避の不純物元素をそれぞれ0.05%以下、全体量で0.15%以下、
残部アルミニウムを
含む溶融物を双ロール式ストリップ鋳造するステップと、
b)鋳造ままのストリップを冷間圧延して、中間規格材料を形成するステップと、
c)中間規格シート材料をアニールして、分散質粒子を形成するステップと、
d)中間規格体を60%以上、好ましくは75%の圧延圧下率で冷間圧延して、最終規格のフィンストック材料とし、第1の耐力値を有するフィンストック材料を得るステップと、
e)第2の耐力値が、ステップ(d)の冷間圧延直後に得られた耐力値より10〜50%低く、好ましくは15〜40%低く、耐力範囲が100〜200MPa、好ましくは120〜180MPa、より好ましくは120〜160MPaにあるストリップが得られるような方法で、ストリップ合金が再結晶することなく、焼戻しすることにより、材料を軟らかくするために、フィンストック材料を熱処理して送出調質とするステップと
を含む、耐垂れ性ストリップの製造方法。
【請求項21】
溶融物が、
Siを0.5〜1.1%、
Feを≦0.3%、
Cuを<0.1%、
Mnを1.3〜1.8%、好ましくは1.4〜1.7%、
Mgを<0.1%、Zrを0.05〜0.2%、好ましくは0.1〜0.2%
含む、請求項17〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
溶融物がZnを0.5〜2.8%含む、請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
溶融物がSnを<0.009%含む、請求項17〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
予備加熱ステップを制御して、送出調質において、直径が50〜400nmの範囲である粒子の分散質粒子密度が1×10〜20×10、1.3×10〜10×10、好ましくは1.4×10〜7×10粒子/mmの範囲であるストリップを製造するステップを含む、請求項17〜19及び21〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
中間アニールのステップを制御して、送出調質において、直径が50〜400nmの範囲である粒子の分散質粒子密度が1×10〜20×10、1.3×10〜10×10、好ましくは1.4×10〜7×10粒子/mmの範囲であるストリップを製造するステップを含む、請求項20〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
ストリップの最終厚さが0.2mm未満、好ましくは0.15mm未満、最も好ましくは0.10mm未満である、請求項17〜25のいずれかに記載の耐垂れ性ストリップ。
【請求項27】
ステップ(b)の前に、インゴット又はフィンストック材料を少なくとも1つの追加層で被覆するステップを含む、請求項20〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つの追加層がろう付け合金からなる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの追加層が工業的に純粋なアルミニウム合金からなる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの追加層が、Siを0.6〜6.5%含むアルミニウム合金からなる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
プロセスパラメーターを制御して、ろう付け後の0.2%耐力値が60MPa以上、好ましくは70MPa以上であるストリップを製造することを含む、請求項17〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
厚さ0.10mmのストリップで測定した際、耐垂れ性が≦35mm、より好ましくは≦30mm、最も好ましくは≦25mmである、請求項17〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
厚さ0.10mmのストリップで測定した際、耐垂れ性が≦20mm、より好ましくは≦15mmである、請求項17〜31のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−190027(P2008−190027A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−265815(P2007−265815)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(506399044)サパ ヒート トランスファー エービー (3)