説明

高弾性連続フィラメントから製造した高強度紡績糸、及びその製造方法

高強度紡績糸を製造するための方法であって、先ず、約20×106psiを超える引張弾性率を有する高弾性材料の実質的に捲縮のない連続フィラメントの1つ以上のトウを高速度牽切装置に通過させ、この牽切装置は前記フィラメントを牽切して約5〜6inの範囲にある平均繊維長を有する高弾性ステープルファイバとすべく、低い総ドラフト比(好ましくは約2.0)で運転される。トウは重いことが有利であり、例えば、繊度が約25,000〜約500,000デニールである。ステープルファイバは、牽切ステップの後でスライバケンス内に集められ、さらに、スライバケンスから紡績機に導入され、紡績されて糸になる。本発明の重要な一面は、牽切プロセスと実際の紡績プロセスとの間に、中間プロセスが存在しないことであり、これによりステープルファイバの配列の乱れや損傷が最小になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(記載なし)
【背景技術】
【0002】
かつて天然材料や鋼で補強された材料から製造されていた多くの製品が、現在では、繊維強化プラスチックから製造されている。例えば、ゴルフクラブのシャフト、釣竿、スキー板、スノーボードなど、かつて天然木や金属チューブなどから作られていた多くの製品が、現在では、カーボン、アラミド等のような高弾性繊維で強化されたマトリックス樹脂から生産されている。これらに使用される高弾性繊維は、マトリックス樹脂、マトリックス樹脂を含浸させたフィラメントの連続ストランド、或いはマンドレルに巻かれるか、ステッチボンドされるか、編まれるか、または織られて希望の構造形態にされた組織中に分散した短繊維である。これらの繊維強化プラスチック構造は、従来の製品の代替品及び革新的な新製品形態の双方として、市場において右肩上がりの使用量及び支持を見出している。
【0003】
連続微細フィラメントの高弾性ストランドは特に微細フィラメント糸の形態では比較的に製造に経費がかかる点で、それらの製造に関連した経済的な問題がある。連続フィラメントのストランドを生産するよう設計されたプラントは、太番手のストランドまたは細番手のストランドのいずれかを生産することができる。太番手のストランドの設定は細番手のストランドの設定よりも多くの1日当たりのフィラメント重量を生産するであろう。特定の用途に要求される非常に細い高弾性フィラメントストランドの場合、その生産コストが法外に高くなることが見込まれ、結局、生産コストが高くない代わりに低弾性の材料がかかる用途に使用されることになる。
【0004】
細い高弾性ストランドの生産に関連した経済的問題に対する部分的解決法は、比較的高デニールの連続フィラメントトウ(tow)ストランドを、細い織編用紡績糸に紡績可能なステープルスライバに変えることである。例えばカーボンフィラメントの場合、ゲバル(Gueval)等に対する米国特許第4,825,635号の明細書には、“延伸及び制御された切断によるクラッキング(cracking by drawing and controlled breaking)”を含む緩速多段階プロセスを用いて繊度1500〜20000デニールのマルチフィラメントカーボン糸をステープルファイバに変え、平均繊維長が100〜120mm(3.9〜4.7in)の繊維を生産するプロセスが記載されている。このような繊維は、その後一連の粗打ち延伸、仕上げ延伸、粗紡及び精紡を含む一般的な紡績装置を用いて紡績されて糸になる。この糸は、上記文献に指摘されているように、フィラメントカーボン糸の元の長さの30%が紡績糸の形成中に失われる点で物理的特性に欠陥がある。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、高強度の紡績糸を製造するための方法、及びそのような方法により製造された糸を提供することにより、上述した必要性の解決に努めると共に、その他の利点を得ており、同等の連続フィラメント糸と比較した場合、引張り及び曲げ強度の損失が実質的に30%未満であり、失われる繊維も15%未満である。更に、驚くことに、紡績糸の剪断強度は同等の連続フィラメント糸のそれを実質的に超えることができる。
【0006】
本発明の一実施形態において、高強度紡績糸を製造するための方法は、約20×106psi(138GPa、psi:pounds per square inch=lbf/in2;1lbf/in2=6.90×103Pa、1GPa=109Pa)を超え、そして恐らく33×106psi(227.7GPa)と同程度かまたはそれ以上の引張弾性率を有する高弾性材料の、捲縮のない連続フィラメントの1つ以上のトウを送給して高速度牽切装置に通すことから始まっており、前記フィラメントを牽切して約5〜6in(12.7〜15.24cm)の平均繊維長を有する高弾性ステープルファイバとする。トウは重いことが有利であり、例えば、約25,000〜約500,000デニールの繊度を有している。トウは、カーボンまたはパラアラミド(例えば、登録商標:ケブラー)のような、種々の高弾性材料とすることができる。カーボンの場合、トウのカーボン含量は約65〜99.9%とすることができ、有利なのはほぼ95%である。
【0007】
牽切プロセスは本発明の重要な一面である。本発明によると、総ドラフト比(即ち最初のニップローラに入るファイバの表面速度に対する最終のニップローラを出るファイバの表面速度の比)が比較的低く、例えば、約1.5〜3、より好ましくは約1.5〜2.5、最も好ましくは約2.0である。重いカーボントウは、失われる繊維を比較的少なくしながらも(例えば、約15%未満)比較的に高速(例えば、毎分約100〜500フィート)で牽切できることが分かった。対照的に、フィラメントを機械的に細断または切断してステープルファイバにすることに依存する代替装置、例えば、既知の形式の“ターボ”機械(例えば米国特許第4,698,956号の図2に例示されている)、或いは既知の形式の“パシフィック(Pacific)”コンバータ(例えば米国特許第4,698,956号の図4に例示されている)は、損失量が多く、生産されたステープルファイバの品質及び均一性を悪くする結果となろう。本発明のプロセスにより生産されたステープルファイバの均一性と比較的長い繊維長とは、紡績糸の引張り及び曲げ強度特性を維持する場合に有効であることは勿論、連続フィラメント糸よりもはるかに優れた剪断強度を達成する場合における重要な要因であると確信される。
【0008】
牽切ステップに続き、ステープルファイバはスライバケンス内に集められる。プロセスの次のステップでは、ステープルファイバをスライバケンスから直接紡績機内に進入させることであり、ファイバはそこで紡績されて糸になる。代替的に、ファイバを牽切装置から直接に紡績機中に進入させることが可能であるが、これは必ずしも有利とは限らない。その理由は、牽切プロセスが紡績プロセスよりも速い場合があり、総処理量を向上させるために牽切プロセスを可能な限り速く行うのが望ましいからである。いずれにしても、本発明の重要な一面は、中間プロセスが牽切プロセス及び実際の紡績プロセスの間で行われないことであり、それによりステープルファイバに対する損傷が最小になる。
【0009】
種々の形式の従来の紡績設備が本発明に基づいて使用されることができる。例えば、リング精紡機を使用することにより良好な結果が得られた。しかしながら、エアジェット式紡績機、渦式紡績機、摩擦式紡績機等のような他の形式の紡績機を本発明の実施の際に使用することも可能である。
【0010】
本発明のプロセスに基づいて生産された高強度紡績糸は、約1〜約50の番手(番手はポンド当たり840ヤードストランドの本数と定義されている)を有することが有利である。ヤーンの2つ以上のストランドを、好ましくは個々のストランドの撚りとは反対の方向に撚り合わせることにより合撚糸を製造することもできる。
【0011】
一般的な用語で本発明について説明してきたが、次に、必ずしも縮尺通りではない添付図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、全てではないが幾つかを示す添付図面を参照しながらより詳細に説明する。実際に、本発明は、種々の異なる形態で実施可能であり、例示した実施形態に限定されるものと考えられるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が関係法律要件を満たすように提示されている。また、同様の符号は全体にわたり同様の要素を指している。
【0013】
本発明の目的は、簡単な2段階の牽切(stretch-breaking)及び紡績の高速プロセスを使用して、高デニールのフィラメントトウ(tow)前駆体から、同等のフィラメント糸の物理的性能特性に近いかまたはある場合には該物理的性能特性を超える物理的性能特性を有する、カーボンまたはパラアラミド繊維のような高弾性フィラメントから紡績糸を生産することにある。ザイデル・マシーネンファブリック(Seydel Maschinenfabric)有限責任会社により製造された870型牽切コンバータのような汎用の牽切装置の一部を使用すると、高い均一性を有すると共に、紡績装置で高品質のカーボン糸を紡績するのに直接使用可能な長いランダムな長さ(5.0〜6.0in)のステープルカーボンスライバの生産が可能であることが分かった。紡績されたカーボン糸の引張り強さは、典型的には、同等のカーボンフィラメント糸の80〜85%であるが、曲げ強さは典型的には同等のフィラメント糸の85〜88%である。しかしながら、本発明により達成される剪断強さは、同等のフィラメントカーボン糸で達成される剪断強さよりも26〜39%大きくすることができる。また、本発明の紡績カーボン糸の品質及び物理的外見は素晴らしく、これは、必要とする処理が最小であり、高デニールのカーボントウを細いカーボン紡績糸に変換する間の繊維損傷が最小である簡素な高速2段階プロセスに起因している。
【0014】
このような素晴らしい(そして少々予想外の)性能上の特性が本発明の糸で達成される理由は、カーボンフィラメントトウを牽切する際に得られるステープルファイバの長いランダムなステープル長さと高い均一性とにより説明されるだろう。本発明の牽切プロセスは、4つのゴデットローラを使用し、単一または複数のフィラメントトウストランドを3組の頑丈なニップローラと協力して扁平なファイバ配列に広げており、さらにこれらのニップローラがフィラメントを牽切して、非常に低い(1.5〜3.0、より好ましくは1.5〜2.5、最も好ましくは約2.0)総ドラフト比で長くかつランダムな繊維長にする。これは、低ドラフト比が牽切プロセス中の繊維の秀逸な制御を可能にする点で、牽切プロセスの非常に重要な一面である。ニップローラから出る単一または複数の篠もしくはスライバは、精紡機に直接送り込むためにスライバケンスに集められる。その結果得られた紡績糸は単糸として使用されてもよく、或いはそれらは特定の用途のために必要に応じて撚られケーブルヤーンとしてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に基づいて高強度の紡績糸を製造するプロセスは、図1及び図2に概略的に例示されている。図1は、プロセスの第1パートを示しており、該第1パートにおいて、カーボンまたはパラアラミド(例えば、登録商標:ケブラー)のような、実質的に連続なフィラメントの高弾性材料の1つ以上の高デニールトウが牽切プロセスによりステープルファイバの1つ以上のスライバに変換される。図2は、プロセスの第2パートを示しており、該第2パートにおいて、ステープルファイバのスライバが通常の紡績機に送り込まれて紡績され糸になる。
【0016】
図1を参照すると、牽切装置10は複数のゴデットローラ12を含んでおり、各ゴデットローラ12は、実質的に連続したフィラメントの高弾性材料からなる1つ以上のトウ14を折り返して蛇行状に案内するように配列されている。これらのゴデットローラは、1つのローラから次のローラまで全て同じ周速で回転駆動され、トウを装置の牽切ゾーンに進入する前にストランドを広げて扁平なファイバ配列にする。
【0017】
牽切装置10は、2つのゾーンZ1及びZ2を形成する3組のニップローラ16,18,20を更に含んでおり、同ゾーンにおいて、1つ以上のトウ14は2段階プロセスで張力を付加され牽伸される。第1組のニップローラ16は、ゴデットローラの速度よりも若干速い速度で回転自在に駆動される。一例として、第1組のニップローラ16と最後のゴデットローラ12との間のドラフト比は1.10〜1.30、より好ましくは、1.15〜1.25とすることができる。かくして第1組のニップローラはトウの緩みを除去すると共にトウをプレテンションする。第1の張力付加ゾーンZ1は、第1組のニップローラ16と第2組のニップローラ18との間に形成されている。第2組のニップローラ18は、第1組のニップローラ16よりも若干速い速度で駆動される。例えば、第2組のニップローラ18と第1組のニップローラ16との間のドラフト比は、約1.15〜1.40とし、より好ましくは、約1.20〜1.30とすることができる。第1のゾーンZ1において、1つ以上のトウ14は更に張力を付加されるが、フィラメントの牽切はこのゾーンでは実質的に起きない。フィラメントは、第1のゾーンにおいてそれらの破断強度に近い状態まで張力を付与される。
【0018】
第3組のニップローラ20は第2組のニップローラ18よりも若干速い速度で駆動されていて、フィラメントが切断するまでそれらに更に張力を付加する。第2組及び第3組のニップローラ間のドラフト比は、約1.15〜1.45とし、より好ましくは約1.25〜1.35とすることができる。装置はまた第4組のニップローラ22を含んでおり、該第4組のニップローラは、第3組のニップローラ20よりも若干速い速度で駆動されていて、第3組及び第4組のニップローラ間に画成されたゾーンZ3にある牽切スライバに確実に張力を作用させている。ゾーンZ3におけるドラフト比は、該ゾーンZ3における対象物が牽切スライバにおける繊維の最小のドラフトで確実な張力を維持すべきであるように、約1.01〜1.10とし、より好ましくは約1.03〜1.08とすることができる。
【0019】
牽切プロセスにおいて採用された低ドラフト比は、フィラメントの秀逸な制御、ステープルファイバ長さの比較的に一様な分布、及びフィラメントの切断中における繊維屑の発生を少量に抑えうるという利点がある。最後のニップローラ22及び最後のゴデットローラ12間の総ドラフト比は、好ましくは約1.5〜3.0であり、より好ましくは約1.5〜2.5、最も好ましくは約2.0である。
【0020】
牽切プロセスの結果として、1つ以上のトウが切断されてステープルファイバとなり、その大部分は好ましくは約5〜6inの繊維長を有している。ステープルファイバに対する制御は、第3組のニップローラ20及び第2組のニップローラ18の間の離間距離を調節することにより行われる。ステープルファイバの1つ以上のスライバ23は第4組のニップローラ22から搬送ベルト24上に出るが、この搬送ベルトは、第4組のニップローラ22に対して約1.01〜1.05のドラフト比で、ベルト上のスライバの縮みを防止するのに十分な速さで走行している。1つ以上のスライバ22はスライバケンス26内に送り込まれる。有利なことは、ステープルファイバの配列の更なるゆがみまたはステープルファイバに対する損傷になりうるような処理が、牽切プロセスの後、且つスライバが紡績されて糸になる時まで、スライバに対して一切行われないことである。従って、図1及び図2の実施形態においては、スライバは、牽切装置10からスライバケンス26内に直接に送り込まれる。
【0021】
図2に例示したように、プロセスの次の段階において、スライバ22は、スライバケンス26から紡績機30に供給され、該紡績機が、公知の方法で紡績機の適切な設定により所望の番手及び撚り特性の糸を紡績する。紡績糸は、以後の使用のために適当な糸キャリア32に巻き付けられる。種々の形式の紡績機が本発明の実施の際に使用可能であり、該紡績機には、リング精紡機、エアジェット紡績機、渦式紡績機、摩擦式紡績機等があるが、これらに限定されない。
【0022】
図3は本発明に基づくプロセスの代替実施形態を示している。 図3のプロセスは、スライバケンス中にスライバ23を集積する代わりに、スライバ23を紡績機30へ直接送り込むことを除いて、図1及び図2のプロセスに実質的に類似している。前述したプロセスでのように、中間プロセスは、牽切プロセス及び紡績プロセスの間のスライバに対して行われない。
【0023】
上述したプロセスは、高弾性材料の単一高デニールトウ14に適用することができ、或いは、複数のトウは、それらを並列して送り牽切装置10に通すと共に、複数のスライバの流れを生ずるように複数のトウを、プロセス中において分離しておくことにより、同時に並行して処理することができ、この複数のスライバの流れは、その後、個別のスライバケンス内に集積させるか、或いは紡績機に直接送り込むようにすることができる。本発明のプロセスは、経済的な高デニールのトウ材料と共に使用するのに適している。各トウは、約25,000から最大で約500,000までのデニールを有することが有利である。
【0024】
本発明により得られる単糸は、約1〜50番手であることが有利である。合撚糸も、糸の2つ以上のストランドを、バランスのとれた撚りの合撚糸とするために、個々のストランドの撚りは反対方向の撚りで撚り合わせて製造することが好適である。例えば、個々のストランドがS撚りの場合には、それぞれのストランドがZ撚りで撚り合わされ、それとは逆に、個々のストランドがZ撚りの場合は、それらがS撚りで撚り合わされることが有利である。
【実施例1】
【0025】
フォータフィル(Fortafil)X0219カーボンフィラメント(80k、40,000デニール)をローラ式クリール装置からザイデルの牽切コンバータ機械のゴデットローラに送給した。2つの牽切ゾーンにおいて、トウストランドは、ゴデットローラと第1組のニップローラとの間で1.18のドラフト比で牽伸され、その後1.24及び1.30のドラフトを受けて、1.07のドラフトで搬送ベルト上に出たステープルファイバをスライバケンス内に送給した。この間の総ドラフト比は2.0であった。1インチ(2.54cm)当たり6.0巻きのZ撚りの7/1番手紡績糸を送り出すように設定したドラフトローラを有するリング精紡機のバックローラにスライバを供給し、ヤーンの二つの端部を1インチ当たり4.6巻きのS撚りで撚り合わせた。その結果として得られた7/2番手の紡績糸は、残留トルクがなく、表1に示されるように、フィラメントカーボン糸に殆ど匹敵する引張り及び曲げ特性を有すると共に、同等のフィラメントカーボン糸よりもはるかに優れた剪断特性を有していた。
【0026】
【表1】

【0027】
ここに記載した本発明の多くの改変例及びその他の実施形態は、上述の記載及び添付図面に提示した教示内容の利点を有するものであることが、本発明の関係する技術に習熟した者が思い浮かぶであろう。例えば、例示した実施形態において、牽切プロセスからのスライバは紡績の前にスライバケンスに集められているが、代案として、1つのスライバまたは複数のスライバを牽切装置から紡績機に直接進めることが可能であろう。従って、本発明は、開示した特定の実施形態に限定されるべきではなく、改変例及びその他の実施形態は特許請求の範囲内に含まれるものと考えられる。ここでは特定の用語が用いられているが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ用いられており、限定の目的で用いられているのではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に基づくプロセスの牽切パートを示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に基づくプロセスの紡績パートを示す概略図である。
【図3】本発明の別の実施形態に基づくプロセスを示す概略図であり、ステープルファイバが中間でスライバ受容器内に集められることなく牽切プロセスから紡績プロセスに直接進入される場合を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約20×106psi(138GPa)を超える引張弾性率を有する高弾性材料からなる実質的に捲縮のない連続的なフィラメントの1つ以上のトウを高速牽切装置に通過させて送給し、前記フィラメントを牽切して、大部分が5〜6in(12.7〜15.24cm)の繊維長を有する高弾性ステープルファイバとするステップと、
前記高弾性ステープルファイバを該ステープルファイバの中間処理なしに前記牽切装置から紡績機内に進入させ、前記高弾性ステープルファイバから高強度の紡績糸を形成するステップと、
を含む、高強度紡績糸の製造方法。
【請求項2】
前記捲縮のない連続的なフィラメントの前記引張弾性率が約33×106psi(227.7GPa)である、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項3】
前記高弾性ステープルファイバを前記牽切装置から受容器内に搬送するステップと、
前記高弾性ステープルファイバを前記受容器から前記紡績機内に直接進入させるステップと、を更に含む、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項4】
前記牽切装置が約1.5〜3の総ドラフト比で運転される、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項5】
前記牽切装置が約1.5〜2.5の総ドラフト比で運転される、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項6】
前記1つ以上のトウの各々の繊度が25,000〜500,000デニールである、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項7】
前記1つ以上のトウのカーボン含量が少なくとも65%である、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項8】
前記1つ以上のトウのカーボン含量が少なくとも80%である、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項9】
前記1つ以上のトウのカーボン含量が少なくとも95%である、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項10】
前記トウが、パラアラミドのフィラメントから構成されている、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項11】
前記牽切装置は、毎分約100〜500フィート(30.5〜152.5m)の前記1つ以上のトウの前進線速度で運転する、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項12】
前記高強度紡績糸の2つ以上のストランドを撚り合わせて合撚糸を形成するステップを更に含む、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項13】
前記高強度紡績糸の前記2つ以上のストランドの各々が同方向への撚りを有しており、その撚りと反対方向の撚りで前記2つ以上のストランドを撚り合わせる、請求項12に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項14】
前記高強度紡績糸の糸番手が1〜50番手である、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項15】
前記送給ステップが、複数のトウを送給するとともに、牽切中に前記複数のトウを分離させておくことを含む、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項16】
前記高弾性ステープルファイバを、前記牽切装置から前記紡績機内に直接に進入させる、請求項1に記載の高強度紡績糸の製造方法。
【請求項17】
高弾性ステープルファイバを紡績してなる高強度紡績糸であって、前記高弾性ステープルファイバが、約20×106psi(138GPa)を超える引張弾性率を有する材料から形成されていて、前記高弾性ステープルファイバは、該高弾性ステープルファイバが約5〜6in(12.7〜15.24cm)の範囲にある平均長さを有するような仕方で前記材料の連続フィラメントの1つ以上のトウを牽切することにより形成されている、高強度紡績糸。
【請求項18】
前記高弾性ステープルファイバのカーボン含量が少なくとも65%である、請求項17に記載の高強度紡績糸。
【請求項19】
前記高弾性ステープルファイバのカーボン含量が少なくとも80%である、請求項17に記載の高強度紡績糸。
【請求項20】
前記高弾性ステープルファイバのカーボン含量が少なくとも95%である、請求項17に記載の高強度紡績糸。
【請求項21】
糸番手が1〜30番手である、請求項17に記載の高強度紡績糸。
【請求項22】
S撚りまたはZ撚りの一方の撚りで撚り合わされた複数のストランドで構成され、前記各ストランドが、いずれも前記S撚りまたはZ撚りの他方の撚りで紡績された高弾性ステープルファイバから基本的に構成されている高強度合撚紡績糸であって、前記高弾性ステープルファイバが、約20×106psi(138GPa)を超える引張弾性率を有する材料から形成されており、該高弾性ステープルファイバは、該高弾性ステープルファイバが約5〜6in(12.7〜15.24cm)の範囲にある平均長さを有するような仕方で前記材料の連続フィラメントの1つ以上のトウを牽切することにより形成されている、高強度合撚紡績糸。
【請求項23】
前記高弾性ステープルファイバのカーボン含量が少なくとも65%である、請求項22に記載の高強度合撚紡績糸。
【請求項24】
前記高弾性ステープルファイバのカーボン含量が少なくとも80%である、請求項22に記載の高強度合撚紡績糸。
【請求項25】
前記高弾性ステープルファイバのカーボン含量が少なくとも95%である、請求項22に記載の高強度合撚紡績糸。
【請求項26】
前記ストランドの本数をnとした場合、糸番手が約1/n〜50/n番手である、請求項22に記載の高強度合撚紡績糸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−509292(P2008−509292A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524849(P2007−524849)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/026706
【国際公開番号】WO2006/020404
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507040161)ストウ‐ファー・ミルズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】