説明

高復元性伸縮バンド

【課題】伸縮動作に対して優れた弾性回復力を有し、かつ、洗濯堅牢度や耐久性にも優れた高復元性伸縮バンドを提供する。
【解決手段】繊維糸を編成して成る細幅の編物であって、長手方向への伸び率が50〜170%である細幅伸縮生地1の表面に、シリコーンゴム材料からなる弾性樹脂層2が塗着により接合一体化してバンド状に形成され、かつ、前記細幅伸縮生地1の伸長変形したとき、これに追従して弾性樹脂層2も弾性変形して伸長し、伸長された弾性樹脂層2の弾性回復力が伸長状態にある細幅伸縮生地1の復元収縮を助勢することにより、当該細幅伸縮生地1の原形回帰応答性を高めて、かつ、前記伸び率を超越して伸長した当該細幅伸縮生地1の弾性回復率を増進するという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品の改良、更に詳しくは、伸縮動作に対して優れた弾性回復力を有し、かつ、洗濯堅牢度や耐久性にも優れた高復元性伸縮バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、製薬業界や食品工業界、電子産業界などでは、クリーンルームなどの製造現場における作業者自身からの塵埃の発生を防止する対策として、クリーンルームウェアを着用する必要性が増している。
【0003】
そして、その洗浄には洗濯のみならずスチーム処理や高温加熱処理、オゾンやエチレンオキサイドによる滅菌処理などの過酷な環境条件下での処理がなされている。また、同様に、介護衣料品についても、洗浄する度に塩素系漂白剤が繰り返し使用されるという過酷な環境条件下での処理がなされている。
【0004】
従来、これらの衣料品における、帽子、袖口、足首、胴体まわりには、ポリウレタン系弾性繊維やポリエーテルエステル系弾性繊維などのストレッチ素材が使用されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、かかるストレッチ素材は、前述のごとき過酷な環境条件下での洗浄処理により、弾性機能が低下したり切断したりするおそれがあり、耐久性能に問題があった。
【0006】
そこで、このような過酷な処理条件に対応できるようにするために、これらのポリウレタン系やポリエーテルエステル系弾性繊維よりも優れた耐環境性や柔軟性を有する材料として、径が0.5〜2mmの押出しシリコーンゴムが採用されている。
【0007】
このシリコーンゴムは、耐熱性、耐薬品性、耐候性、撥水性に優れているため、電子・電気工業分野、衣料資材分野、医療用分野、食品工業分野、建築工業分野などに使用されている(例えば、特許文献2〜6参照)。
【0008】
しかしながら、小径のシリコーンゴムの押出成形品は、線径変動が大きいことなどの理由から、押出線速を上げられず、製造コストが非常に高くなってしまうとともに、小径シリコーンゴムを各種繊維に織り込んで生地を形成すると、縫製時に小径シリコーンゴムを縫い針などで破損したり切断してしまうという縫製上の不便もあった。
【0009】
また、伸縮性の高いポリエステル系繊維糸を使用して伸縮性の高い織物や編物などの生地を作製したものも開示されているが、このような伸縮性生地のみでは、ポリウレタン系やポリエーテルエステル系弾性繊維のような優れたキックバックおよび形態復旧を達成するほどの弾性回復性が得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−52157号公報
【特許文献2】登録実用新案第3032568号公報
【特許文献3】特開2008−255334号公報
【特許文献4】特表2006-512502号公報
【特許文献5】特開2003−119607号公報
【特許文献6】特開2008−163060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の伸縮性繊維生地材料に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、伸縮動作に対して優れた弾性回復力を有し、かつ、洗濯堅牢度や耐久性にも優れた高復元性伸縮バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0013】
即ち、本発明は、繊維糸を編成して成る細幅の編物であって、長手方向への伸び率が50〜170%である細幅伸縮生地1の表面に、シリコーンゴム材料からなる弾性樹脂層2が塗着により接合一体化してバンド状に形成され、かつ、前記細幅伸縮生地1の伸長変形したとき、これに追従して弾性樹脂層2も弾性変形して伸長し、伸長された弾性樹脂層2の弾性回復力が伸長状態にある細幅伸縮生地1の復元収縮を助勢することにより、当該細幅伸縮生地1の原形回帰応答性を高めて、かつ、前記伸び率を超越して伸長した当該細幅伸縮生地1の弾性回復率を増進するという技術的手段を採用したことによって、高復元性伸縮バンドを完成させた。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、伸縮性繊維糸を編成してなるという技術的手段を採用した。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、編み組織をゴム編み組織で構成するという技術的手段を採用した。
【0016】
また、本発明は、伸縮性繊維糸が経糸に挿入されて織成される細幅の織物であって、長手方向への伸び率が50〜170%である細幅伸縮生地1の表面に、シリコーンゴム材料からなる弾性樹脂層2が塗着により接合一体化してバンド状に形成され、かつ、前記細幅伸縮生地1の伸長変形したとき、これに追従して弾性樹脂層2も弾性変形して伸長し、伸長された弾性樹脂層2の弾性回復力が伸長状態にある細幅伸縮生地1の復元収縮を助勢することにより、当該細幅伸縮生地1の原形回帰応答性を高めて、かつ、前記伸び率を超越して伸長した当該細幅伸縮生地1の弾性回復率を増進という技術的手段を採用したことによって、高復元性伸縮バンドを完成させることもできる。
【0017】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、伸縮性繊維糸をポリトリメレンテレフタレート糸またはこれを含む複合糸するという技術的手段を採用した。
【0018】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、弾性樹脂層2のシリコーンゴム材料を、付加反応型液状のシリコーンゴムにするという技術的手段を採用した。
【0019】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、弾性樹脂層2のシリコーンゴム材料の層厚を、0.05mm〜2mmにするという技術的手段を採用した。
【0020】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、複数の細幅伸縮生地1・1の間に弾性樹脂層2を塗着して接合一体化するという技術的手段を採用した。
【0021】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、弾性樹脂層2のシリコーンゴム材料をスポンジ状にするという技術的手段を採用した。
【0022】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、弾性樹脂層2のシリコーンゴムスポンジを、付加反応型未硬化液状シリコーンゴムにスメクタイトクレー、ソルビタン脂肪酸エステルおよび水を配合して成るエマルション配合物から形成するという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、長手方向への伸び率が50〜170%である細幅伸縮生地の表面に、シリコーンゴム材料からなる弾性樹脂層を塗着により接合一体化してバンド状に形成したことによって、前記細幅伸縮生地の伸長変形したとき、これに追従して弾性樹脂層も弾性変形して伸長し、伸長された弾性樹脂層の弾性回復力が伸長状態にある細幅伸縮生地の復元収縮を助勢することにより、当該細幅伸縮生地の原形回帰応答性を高めて、かつ、前記伸び率を超越して伸長した当該細幅伸縮生地の弾性回復率を増進することができる。
【0024】
したがって、本発明の高復元性伸縮バンドによれば、伸縮動作に対して優れた弾性回復力を有しており、かつ、洗濯堅牢度や耐久性、耐環境性、縫製性にも優れているので、各種副資材に適用することができることから、実用的利用価値は頗る高いものがある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態の高復元性伸縮バンドの構造を表わす説明断面図である。
【図2】本発明の実施形態の変形例の高復元性伸縮バンドの構造を表わす説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態を具体的に図示した図面に基づいて、更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0027】
本発明の実施形態を図1および図2に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは細幅伸縮生地であり、符号2で指示するものは弾性樹脂層である。
【0028】
しかして、本発明における高復元性伸縮バンドについて、以下に説明する。まず、本実施形態における細幅伸縮生地1は、繊維糸を編成して細幅編物を構成する。
【0029】
本発明に使用される繊維糸の材料は、天然繊維としては、例えば、綿、麻、絹、羊毛などが挙げられる。更に、人造繊維としては、例えば、人絹糸(スフ、ビスコース)、ベンベルグ等の再生繊維、又はポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリビニール・アルコール系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル)、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維の合成繊維、或いは酢酸人造繊維などのように天然物質と合成物質とを共重合して製造した半合成繊維等が挙げられる。
【0030】
また、本実施形態では、編み組織をゴム編み組織(rib-stitch)で構成することによって、編み組織の構造による伸縮性を付与することができる。
【0031】
本実施形態の細幅伸縮生地1は、従来のようなポリウレタン系またはポリエーテルエステル系弾性繊維糸などの伸縮材料を使用しなくとも伸縮性に富んでおり、長手方向への伸び率を50〜170%にして、耐環境性に優れていれば特に組織構造は問わない。伸び率が50%以下では伸長性に乏しく、また、170%以上では繊維密度が低すぎて、後述する未硬化の液状シリコーンゴム(または後述の未硬化のシリコーンゴム用エマルション)を塗布したときに塗工面とは反対の繊維面に浸透して移行し易いからである。
【0032】
例えば、本実施形態では、伸縮性繊維糸が経糸に挿入されて織成される細幅の織物からなり、かつ、長手方向への伸び率が50〜170%である細幅伸縮生地1を採用することもできる。
【0033】
そして、細幅伸縮生地1の表面に、シリコーンゴム材料からなる弾性樹脂層2を塗着することによって接合一体化してバンド状に形成する。本実施形態では、弾性樹脂層2のシリコーンゴム材料の層厚を、0.05mm〜2mmにすることが好適である。0.05mm以下では繊維を伸長したときに追従できないし、また、2mm以上では風合いやしなやかさに欠けるからである。
【0034】
硬化前の液状シリコーンゴムは、細幅伸縮生地1の片面にグラビアロールコーティング、輪転グラビア印刷、回転スクリーンコーティング、スクリーン印刷、ナイフコーターなどでコーティングできる。
【0035】
また、ディスペンサーを使用して、長手方向に単線状または複線状に塗布することもでき、2液性シリコーンゴムはインラインで混合しながら塗布することもできる。なお、硬化前の液状シリコーンゴムには、必要に応じて、耐熱剤、接着性付与剤、抗菌剤、防徽剤、制汗剤、保湿剤、金属、金属酸化物、顔料などを配合してもよい。
【0036】
更にまた、コーティングや塗布後の未硬化液状シリコーンゴムは、細幅伸縮生地1の耐熱温度以下、例えば、110℃、短時間では150℃の加熱処理でも硬化ができる。
【0037】
以下に、本実施形態に使用するシリコーンゴム(付加反応型液状)の成分について詳細に説明する。
成分(a):1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン100重量部
成分(b):補強性徴粉末シリカ5〜50重量部
成分(c):架橋剤(c1)と触媒(c2)により架橋してゴム状になるもので、架橋剤(c1)が1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、触媒(c2)が白金系触媒であるものである。
【0038】
上記成分(a)の1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基などが例示されるが、製造の容易性の点からビニル基が好ましい。
【0039】
また、アルケニル基以外の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基などのハロゲン化アルキル基が例示されるが、製造の容易性の点からメチル基が好ましい。
【0040】
なお、本成分(a)の分子構造は直鎖状、分枝を含む直鎖状のいずれであってもよく、また、本成分(a)は、常温において液状であるものが好ましく、25℃における粘度が100mPa・s〜100,000mPa・s以下であることが好ましい。
【0041】
かかる成分(a)の具体例としては、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖のジメチルポリシロキサン、メチルアルキルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、ジメチル・シロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、メチルフェニルポリシロキサン、メチル(3,3,3−トリフロロプロピル)ポリシロキサン;両末端トリメチルシロキシ基封鎖のメチルビニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルビニルポリシロキサンコポリマー;両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖のメチルビニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー;両末端メチルビニルシロキシ基もしくはトリビニルシロキシ基封鎖のジメチルポリシロキサンが挙げられる。上記ジオルガノポリシロキサンは2種以上組み合わせてよい。
【0042】
次に、前記成分(c)中の架橋剤(c1)は、好ましくは成分1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および、成分(c)中の触媒(c2)(好ましくは白金系触媒)の作用により、そのケイ素原子結合水素原子が、成分(a)中のケイ素原子結合アルケニル基に付加して成分(a)を架橋させ、硬化させるものである。
【0043】
前記架橋剤(c1)は1分子中に少なくとも2個のときは、3個以上のケイ素原子結合水素原子を有することが必要である。また、架橋剤(c1)中のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基などのハロゲン化アルキル基が例示される。
【0044】
なお、架橋剤(c1)の分子構造は、直鎖状、分枝状、環状、網目状のいずれでもよく、また、重合度は2以上であれば特に限定されないが、25℃における粘度が3〜10,000mpa・sであることが好ましい。
【0045】
そして、成分(a)と架橋剤(c1)の配合比は、架橋剤(c1)中のケイ素原子結合水素原子と成分(a)中のケイ素原子結合アルケニル基のモル比が(0.5:1)〜(20:1)となるような量が好ましく、(0.8:1)〜(5:1)となるような量がより好ましい。これは、モル比が0.5より小さいと良好な硬化性が得られにくく、20より大きいと硬化物の硬度が高くなり過ぎるからである。
【0046】
前記白金系触媒(c2)は、架橋剤(c1)中のケイ素原子結合水素原子が、成分(a)中のケイ素原子結合アルケニル基に付加して成分(a)を架橋させ、硬化させるための触媒である。これには、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体、ジビニルテトラメチルジシロキサンの白金錯体、塩化白金酸とβ−ジケトンの錯体、β−ジケトンの白金錯体、ロジウム化合物、パラジウム化合物が例示される。
【0047】
触媒(c2)は、架橋剤(c1)中のケイ素原子結合水素原子が成分(a)中のケイ素原子結合アルケニル基に付加して成分(a)を架橋させ、硬化させるのに十分な量、いわゆる触媒量を用いる。具体的には、成分(a)中に白金系金属換算で1〜1,000重量ppm用いるとよい。
【0048】
また、成分(b)の補強性微粉末シリカは、成分(a)だけでは、硬化して得られるシリコーンゴムの機械的強度が不十分なので、硬化物の機械強度を向上させるための必須成分である。その配合量は成分(a)100重量部当たり5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部である。5重量部より少ないとシリコーンゴムの機械的強度が得られず、50重量部を超えると成分(a)に混合し難くなるからである。
【0049】
配合に使用する補強性徴粉末シリカの比表面積は100〜350mが好適であり、とりわけ、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど有機ケイ素化合物で疎水化処理したものが好ましい。
【0050】
また、成分(b)が親水性の場合は、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、低粘度の両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサン(例えば、25℃における粘度が50〜100mPa・sの両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、両末端シラノール基封鎖メチルフェニルポリシロキサン)など反応性有機ケイ素化合物を併用して補強性徴粉末シリカを疎水化することが好ましい。
【0051】
そして、成分(a)と成分(b)はあらかじめ混合し、加熱処理して液状シリコーンゴムベースの形態にすることが望ましい。この際、成分(a)と成分(b)からなる液状シリコーンゴムベースは2成分化も可能で、液状シリコーンゴムベースに架橋剤(c1)を混合したものと液状シリコーンゴムベースに触媒(c2)を混合したものをそれぞれ調製して2液化し、硬化前にそれぞれを均一に混合し、硬化すればシリコーンゴムとなる。
【0052】
本実施形態に適用されるシリコーンゴムの物性は、硬さがJIS Aで10〜60の範囲が好ましい。10以下では伸張回復性が低く、60以上では柔軟性に欠けてくるからである。また、引張強さは、0.5〜10MPaの範囲が好ましい。0.5MPa以下では耐摩耗性が低下するからである。
【0053】
なお、本実施形態における弾性樹脂層2の伸び率は、細幅伸縮生地1以上の伸び率を有していればよいが、好ましくは100〜600%の範囲がよい。100%以下では脆くて破断するおそれがあり、600%以上では弾性回復力が低いからである。
【0054】
以上のように構成した高復元性伸縮バンドは、伸長時においては、前記細幅伸縮生地1の伸長変形したとき、これに追従して弾性樹脂層2を弾性変形して伸長する。
【0055】
一方、収縮時においては、伸長された弾性樹脂層2の弾性回復力が伸長状態にある細幅伸縮生地1の復元収縮を助勢することにより、当該細幅伸縮生地1の原形回帰応答性を高めることができる。
【0056】
この際、弾性樹脂層2は外力を取り除いた時の形態再現性に優れているので、前記伸び率を超越して伸長した当該細幅伸縮生地1の弾性回復率を増進することができる。
【0057】
本実施形態では、伸縮性繊維糸を用いて編成することもできる。この伸縮性繊維糸は、高伸縮性のポリエステル繊維、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート糸やポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの複合糸からなる繊維糸などが挙げられ、ポリトリメチレンテレフタレート繊維がより好ましい。
【0058】
また、本実施形態では、図2に示すように、複数(本実施形態では2枚)の細幅伸縮生地1・1の間に弾性樹脂層2を塗着して接合一体化することもできる。
【0059】
更にまた、本実施形態では、弾性樹脂層2のシリコーンゴム材料をスポンジ状(付加反応型シリコーンゴムスポンジ)にすることができ、通気性を向上せしめて、かつ、軽量化することができる。この付加反応型未硬化液状シリコーンゴムスポンジは、スメクタイトクレー、ソルビタン脂肪酸エステルおよび水を配合して成るエマルション配合物から形成される。
【0060】
このシリコーンゴムスポンジの組成は以下のとおりである。
(a)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン100重量部
(b)補強性微粉末シリカ10〜40重量部
(c)架橋剤(c1)と触媒(c2)
(d)水100重量部当たりスメクタイトクレーが0.5〜5重量部を含有する水50〜200重量部
(e)ソルビタン脂肪酸エステル0.1〜7重量部から成るシリコーンゴム用エマルションであり、シリコーンゴムエマルションを乾熱硬化することによって硬化と脱水が進行してシリコーンゴムスポンジを形成することもできれば、温水中または湿潤中で加熱することによって硬化させ、その後に加熱脱水することによってシリコーンゴムスポンジを形成することもできる。
【0061】
なお、シリコーンゴム用エマルションは架橋剤(c1)を含有するエマルションと触媒(c2)を含有するエマルションに2成分化して、2液性シリコーンゴム用エマルションとして使用することもできる。
【0062】
本実施形態において適用されるシリコーンゴムスポンジの物性は、硬さがアスカC(AskerC)で15〜40の範囲が好ましい。15以下では伸張回復性が低く、40以上では柔軟性に欠けてくるからである。また、引張強さは1〜2MPaの範囲が好ましい。1MPa以下では耐摩耗性が低下するからである。
【0063】
また、弾性樹脂層2の伸び率は、細幅伸縮生地1以上の伸び率を有していればよいが、好ましくは100〜600%の範囲がよい。100%以下では脆くて破断するおそれがあり、600%以上では弾性回復力が低いからである。
【0064】
硬化前のスポンジ用のシリコーンゴム用エマルションは、細幅伸縮生地1の片面にグラビアロールコーティング、輪転グラビア印刷、回転スクリーンコーティング、スクリーン印刷、ナイフコーターなどでコーティングできる。
【0065】
また、ディスペンサーを使用して、長手方向に単線状または複線状に塗布することもでき、2液性シリコーンゴム用エマルションはインラインで混合しながら塗布することもできる。なお、硬化前の液状シリコーンゴムには、必要に応じて、耐熱剤、接着性付与剤、抗菌剤、防徽剤、制汗剤、保湿剤、金属、金属酸化物、顔料などを配合してもよい。
【0066】
そして、シリコーンゴム用エマルションをコーティングや塗工した後に熱などにより硬化させて本発明の高復元性伸縮バンドを形成することができる。
【0067】
また、未硬化シリコーンゴム用エマルションの硬化は80〜100℃の範囲、より好ましくは80〜90℃で硬化できる。そして、温水中または湿潤雰囲気中加熱後に脱水、乾燥または加熱することでシリコーンゴムスポンジとなる。
【0068】
なお、細幅伸縮生地1と弾性樹脂層2との固着は、塗工時の繊維への浸透によるアンカー効果によって達成できるが、必要に応じて接着剤などの使用も可能である。
【0069】
この際、未硬化のシリコーンゴム用エマルションは塗工時に細幅伸縮生地1に一部浸透するが、塗工厚さは0.05〜2mmの範囲が好ましい。0.05mm以下では繊維を伸長したときに追従できないし、また、2mm以上では風合いやしなやかさに欠けるからである。
【0070】
なお、細幅伸縮生地1と弾性樹脂層2とからなる高復元性伸縮バンドの弾性回復性は、弾性樹脂層2のシリコーンゴムまたはシリコーンゴムスポンジの機械特性と塗工厚さを適宜調整することによって達成される。
【0071】
また、本実施形態では、細幅伸縮生地1の片面にコーティングした後に、コーティング面に他の細幅伸縮生地1を張合わせ、これを熱硬化することによって、複数の細幅伸縮生地1同士の間にシリコーンゴムまたはシリコーンゴムスポンジを配した高復元性伸縮バンドを構成することができる。
【0072】
細幅伸縮生地1を張合わせる際には、予め長手方向中央部に折り目をいれ、その全面または半面にシリコーンゴムをコーティングした後に、中央部を折り合わせて熱硬化すれば中間層にシリコーンゴムまたはシリコーンゴムスポンジを配することができる。このように、中間層にシリコーンゴムまたはシリコーンゴムスポンジを配する構造体は、例えば、片面コートしたもの同士を重ね合わせたものでもよい。
【実施例】
【0073】
以下、実施例と比較例をあげて本発明を具体的に説明する。実施例中、粘度は25℃での測定値を示す。シリコーンゴム、シリコーンゴムスポンジの機械特性、厚み測定は下記の条件にて測定した。
【0074】
〔測定条件〕
・シリコーンゴムの機械特性および硬さはJIS A、強伸度はJIS K6251に準じて測定した。
・シリコーンゴムスポンジの機械特性および硬さはアスカC(測定厚み6mm)、強伸度はJIS K6251に準じ測定した。また、密度は6mmシートの縦、横をノギス、厚みを膜厚計、重量を電子天秤でそれぞれ測定し、密度=重量/(縦×横×厚み)で算出した。
・高復元性伸縮バンドの機械特性:テンシロンAUTOGRAPHS−500−D(島津製作所社製)を使用し、分速7cmで上昇させ、最大実測伸長到達点後に、分速7cmで下降させ、伸長ごとの張力を測定した。
・張力回復比:(伸長20%張力(上昇))/(伸長20%張力(下降))を算出し、弾性回復比をキックバック性(弾性回復性)の指標とした。
・対張力比:高復元性伸縮バンドの伸長20%の張力(下降)/細幅伸縮生地1の伸長20%張力(下降)を算出し、細幅伸縮生地1に対する高復元性伸縮バンドの弾性指標とした。
・細幅伸縮生地1、塗工の厚み測定:測厚計(ダンベル社製PEACOCK No.107)で測定をした。
【0075】
〔細幅伸縮生地1(織物)の作製例〕
経糸にポリトリメチレンテレフタレート繊維(旭化成社製ソロテックス)56T−24フィラメント双糸、100デニールを使用し、緯糸にポリエステル繊維(旭化成社製TEC)84T−36ZSN単糸、75デニールを使用し、繊維密度が経方向13本/1mmで緯方向(打込み)50回/1cmの生地幅17mm、生地厚み1.2mmで、伸び70%の平織り袋組織テープを作製した。
【0076】
この平織り袋組織テープの張力は、テンシロン上昇時、20%伸長で1.2N、40%伸長で3N、60%伸長で5.8N、テンシロン下降点、40%伸長で1.8N、20%伸長で0.5N、張力回復比は0.4であった。
【0077】
〔細幅伸縮生地1(編物)の作製例その1〕
伸縮性繊維糸として、ポリトリメチレンテレフタレート繊維(旭化成社製ソロテックス)167T72−Zを使用し、目面(密度)(2本持ち、10目(コース)/cm、8針(ウェール)/cm)の生地幅28mm、生地厚み1.22mmで、伸び130%のゴム編のニットバインダーテープを作製した。
【0078】
本実施例のニットバインダーテープの張力は、テンシロン上昇時、20%伸長で1.5N、40%伸長で2.8N、60%伸長で3.8N、80%伸長で7.9N、100%伸長で15.5N、テンシロン下降点、80%伸長で4.5N、60%伸長で2.1N、40%伸長で1.0N、20%伸長で0.4N、張力回復比は0.26であった。
【0079】
〔細幅伸縮生地1(編物)の作製例その2〕
次に、繊維糸として、ポリエステル繊維(帝人社製)167デシテックス(150デニール)48フィラメントを使用し、目面(密度)(15目(コース)/cm、8.7針(ウェール)/cm)、3本持ちの生地幅28mm、生地厚み1.45mmで伸び120%のゴム編のニットバインダーテープを作製した。
【0080】
本実施例のニットバインダーテープの張力は、テンシロン上昇時、20%伸長で1.9N、40%伸長で3.7N、60%伸長で6.4N、80%伸長で9.5N、100%伸長で18.5N、テンシロン下降点、80%伸長で2.5N、60%伸長で1.6N、40%伸長で1.0N、20%伸長で0.4N、張力回復比は0.2であった。
【0081】
〔液状シリコーンゴムベースの調製例〕
粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.14重量%)100重量部とヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積200m/gの疎水性フュムドシリカ20重量部を均一に混合し、180℃で2時間熱処理を行って流動性のある液状シリコーンゴムベースを調製した。
【0082】
なお、液状シリコーンゴムベース100重量部に架橋剤1重量部、触媒0.03重量部を加えて混合した未硬化液状シリコーンゴムを厚さ2mmの金型に注入し、温度80℃で10分間プレス成形したシリコーンゴムの機械特性は比重1.05g/cm、硬さ25、引張強さ4.2MPa、伸び570%であった。
【0083】
〔シリコーンゴム(スポンジ)用エマルションの調製例〕
粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.14重量%)100重量部と25℃で50mPa・sの両末端シラノール基封鎖のジメチルポリシロキサン2重量部と沈降法シリカ10重量部と疎水性フュムドシリカ10重量部を均一に混合し、180℃で2時間熱処理を行って調製された流動性のある液状シリコーンゴムベースにスメクタイトクレーを2重量%含有する水100重量部、ソルビタンモノオレート2.5重量部、架橋剤2.42重量部を加えて強撹拌、混合してシリコーンゴム用エマルションを調製した。
【0084】
なお、シリコーンゴム用エマルション100重量部に触媒0.015重量部を加えて混合した未硬化シリコーンゴム用エマルションを厚さ2mmの金型に注入し、温度80℃で10分間プレス成形し、次に温度100℃で1時間乾燥、脱水した後のシリコーンゴムスポンジの機械特性は密度0.64g/cm、硬さ29、引張強さ1.07MPa、伸び190%であった。
【0085】
〔バンド作製例その1〕
前記〔液状シリコーンゴムの調製例〕に従って調製した液状シリコーンゴムベース100重量部に触媒1.5重量部を混合し、前記〔細幅伸縮生地1(織物)の作製例〕に従って作製した織物の細幅伸縮生地1に、13mmの幅で未硬化の液状シリコーンゴムをスクリーン印刷法(スクリーンメッシュ:60メッシュ、メッシュ厚さ0.3mm)で塗工し、温度80℃の熱循環式オーブンで、2分間熱処理した結果、織物の細幅伸縮生地1上に0.18mmのシリコーンゴム層が形成した。
【0086】
その高復元性伸縮バンドをテンシロンで、上昇時、20%、40%、60%、各伸長時の張力および下降点、40%、20%、各伸長時の張力を測定した結果と張力回復比、対張力比を以下の〔表1〕に示した。その結果、それぞれの伸長において細幅伸縮生地1より高い張力を示し、張力回復比や対張力比も高く、優れた特性を示した。
【0087】
〔バンド作製例その2〕
前記〔シリコーンゴム用エマルションの調製例〕に従って調製したシリコーンゴム用エマルション100重量部に触媒1.5重量部を混合し、織物の細幅伸縮生地1に13mmの幅で未硬化シリコーンゴム用エマルションを〔バンド作製例その1〕と同様のスクリーン印刷法で塗工し、温度80℃の熱循環式オーブンで、2分間熱処理した結果、織物の細幅伸縮生地1上に0.13mmのシリコーンゴムスポンジ層を形成した。
【0088】
その高復元性伸縮バンドをテンシロンで、上昇時、20%、40%、60%、各伸長時の張力および下降点、40%、20%の各伸長時の張力を測定した結果と張力回復比、対張力比を〔表1〕に示した。その結果、それぞれの伸長において細幅伸縮生地1より高い張力を示し、張力回復比や対張力比も高く、しかも風合いに優れるものであった。
【0089】
〔バンド作製例その3〕
液状シリコーンゴムベース100重量部に触媒1.5重量部を混合し、〔細幅伸縮生地1(編物)の作製例その1〕に従って作製した編物の細幅伸縮生地1に13mmの幅で未硬化の液状シリコーンゴムを実施例1と同様のスクリーン印刷法で塗工し、温度80℃の熱循環式オーブンで、2分間熱処理した。その結果、編物の伸縮繊維基材上に0.15mmのシリコーンゴム層を形成した。
【0090】
その高復元性伸縮バンドをテンシロンで、上昇時、20%、40%、60%、80%、100%、各伸長時の張力および降下点、80%、60%、40%、20%、各伸長時の張力を測定した結果と張力回復比、対張力比を〔表1〕に示した。その結果は〔バンド作製例その1〕と同様であった。
【0091】
〔バンド作製例その4〕
シリコーンゴム用エマルション100重量部に触媒1.5重量部を混合し、〔バンド作製例その3〕と同様に作製した編物の細幅伸縮生地1に13mmの幅で未硬化シリコーンゴム用エマルションをスクリーン印刷法で塗工し、温度80℃の熱循環式オーブンで、2分間熱処理した。その結果、編物の細幅伸縮生地1上に0.15mmのシリコーンゴムスポンジ層を形成した。
【0092】
その高復元性伸縮バンドをテンシロンで、上昇時、20%、40%、60%、80%、各伸長時の張力および降下点、60%、40%、20%、各伸長時の張力を測定した結果と張力回復比、対張力比を〔表1〕に示した。その結果は〔バンド作製例その2〕と同様であった。
【0093】
〔バンド作製例その5〕
液状シリコーンゴムベース100重量部に触媒1.5重量部を混合し、編物の細幅伸縮生地1〔細幅伸縮生地1(編物)の作製例その2〕に2mm厚の型枠を置き、19mmの幅で未硬化の液状シリコーンゴムをナイフィコート塗工し、温度80℃の熱循環式オーブンで、3分間熱処理した。その結果、編物の細幅伸縮生地1上に1.4mmのシリコーンゴム層を形成した。
【0094】
その高復元性伸縮バンドをテンシロンで、上昇時、20%、40%、60%、80%、100%、各伸長時の張力および下降点、80%、60%、40%、20%、各伸長時の張力を測定した結果と張力回復比を〔表1〕に示した。その結果は、張力が非常に高く、張力回復比、対張力比ともに優れるものであった。
【0095】
〔バンド作製例その6〕
シリコーンゴム用エマルション100重量部に触媒1.5重量部を混合し、〔バンド作製例その5〕と同様の編物の細幅伸縮生地1に2mm厚の型枠を置き、19mmの幅で未硬化のシリコーンゴム用エマルションをナイフコート塗正し、温度80℃の熱循環式オーブンで、3分間熱処理した。その結果、編物の細幅伸縮生地1上に1.8mmのシリコーンゴムスポンジ層を形成した。
【0096】
その高復元性伸縮バンドをテンシロンで、上昇時、20%、40%、60%、80%、100%、各伸長時の張力および下降点、80%、60%、40%、20%、各伸張の張力を測定した結果と張力回復比、対張力比を〔表1〕に示した。その結果は、〔バンド作製例その5〕と同様で、しかも風合に優れるものであった。
【0097】
【表1】

【0098】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、細幅伸縮生地1の構造が編み組織である場合、長手方向への伸び率が50〜170%であれば、ゴム編み組織に限らず、種々の経編みまたは横編み構造を採用することができ、本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の高復元性伸縮バンドにあっては、従来のようなポリウレタン系またはポリエーテルエステル系弾性繊維を含有しなくとも優れた伸張性があり、しかもキックバック性にも優れているので、食品工業用、電子工業用、製薬工業などのクリーンルームウェアや介護用衣料の副資材として有用であるのみならず、外衣類、中衣類、下着類、スポーツ衣料、ワーキングウェア、帽子、サポーターなどの健康用資材、ベルト、リュックサックなど、キックバック性やすべり止めを必要とする一般副資材や工業用副資材にも有用である。
【符号の説明】
【0100】
1 細幅伸縮生地
2 弾性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維糸を編成して成る細幅の編物であって、長手方向への伸び率が50〜170%である細幅伸縮生地1の表面に、シリコーンゴム材料からなる弾性樹脂層2が塗着により接合一体化してバンド状に形成され、かつ、
前記細幅伸縮生地1の伸長変形したとき、これに追従して弾性樹脂層2も弾性変形して伸長し、
伸長された弾性樹脂層2の弾性回復力が伸長状態にある細幅伸縮生地1の復元収縮を助勢することにより、当該細幅伸縮生地1の原形回帰応答性を高めて、かつ、前記伸び率を超越して伸長した当該細幅伸縮生地1の弾性回復率を増進したことを特徴とする高復元性伸縮バンド。
【請求項2】
伸縮性繊維糸が編成されてなることを特徴とする請求項1記載の高復元性伸縮バンド。
【請求項3】
編み組織がゴム編み組織で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の高復元性伸縮バンド。
【請求項4】
伸縮性繊維糸が経糸に挿入されて織成される細幅の織物であって、長手方向への伸び率が50〜170%である細幅伸縮生地1の表面に、シリコーンゴム材料からなる弾性樹脂層2が塗着により接合一体化してバンド状に形成され、かつ、
前記細幅伸縮生地1の伸長変形したとき、これに追従して弾性樹脂層2も弾性変形して伸長し、
伸長された弾性樹脂層2の弾性回復力が伸長状態にある細幅伸縮生地1の復元収縮を助勢することにより、当該細幅伸縮生地1の原形回帰応答性を高めて、かつ、前記伸び率を超越して伸長した当該細幅伸縮生地1の弾性回復率を増進したことを特徴とする高復元性伸縮バンド。
【請求項5】
伸縮性繊維糸がポリトリメレンテレフタレート糸またはこれを含む複合糸からなることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の高復元性伸縮バンド。
【請求項6】
弾性樹脂層2のシリコーンゴム材料が、付加反応型液状のシリコーンゴムであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の高復元性伸縮バンド。
【請求項7】
弾性樹脂層2のシリコーンゴム材料の層厚が、0.05mm〜2mmであることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の高復元性伸縮バンド。
【請求項8】
複数の細幅伸縮生地1・1の間に弾性樹脂層2が塗着されて接合一体化されたことを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の高復元性伸縮バンド。
【請求項9】
弾性樹脂層2のシリコーンゴム材料がスポンジ状であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の高復元性伸縮バンド。
【請求項10】
弾性樹脂層2のシリコーンゴムスポンジが、付加反応型未硬化液状シリコーンゴムにスメクタイトクレー、ソルビタン脂肪酸エステルおよび水を配合して成るエマルション配合物から形成されることを特徴とする請求項9記載の高復元性伸縮バンド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−159509(P2010−159509A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1320(P2009−1320)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(591168932)株式会社SHINDO (22)
【Fターム(参考)】