説明

高所作業車

【課題】コストを抑え簡易な構成を維持しつつ、建物等との干渉を防止することが可能な作業台を備えた高所作業車を提供する。
【解決手段】作業台20の床面の周囲から上方に延びて床面を囲むように設けられる手摺部22を備え、揺動開閉自在に設けられる扉部材30と、棒状に形成され、その一端が揺動軸を介して手摺部に取り付けられ揺動軸を中心に扉部材の開閉方向に揺動自在に設けられる触針マーカー70とを備え、触針マーカー70の揺動側先端部には軟性を有した先端部材71が設けられ、触針マーカー70は、触針マーカー70を作業台20から離れる方向に揺動させたときの先端部材71の前後位置及び上下位置が、扉部材30の開放位置における作業台20から最も離れた部分の前後位置及び上下位置と略一致するように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の屋根の上においてソーラーパネルの施工等の作業をする際に用いられる作業台を備えた高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から住宅やビル等の建設現場において、屋根の上や建物の内部で作業をするために作業台から屋根に乗り移ることがあった。この際には、作業台を移動させて建物に近付けた後、作業台の扉を開いてその扉から建物に乗り移っていた。ところで、このような高所作業において、作業台を建物に近づけすぎると作業台が建物に干渉して建物が破損する虞が生じる。そこで、この干渉を防止するため作業台を建物に近づける際に作業台と建物との距離をある程度確保する必要があるが、逆に作業台と建物との間の距離が長すぎると、作業者はこの間の空間を飛びこえて建物に乗り移らなければならないため、安全性の観点から好ましくないという問題があった。
【0003】
この問題に対応するため、作業台の側面に、この側面の一部を構成する扉と、この扉に対応する作業台の側面外側に上下回動可能に設けられる踏板とを備える作業台の踏板装置が公知となっている(例えば、特許文献1を参照)。この踏板装置では、作業台から建物に乗り移る場合、作業台と建物との間にある程度の距離があっても踏板を回動させて踏板の先端を建物に接近又は支持させることができる。よって、作業者がこの踏板をステップとして利用でき空間を飛び越える必要がなくなるため高所作業における安全性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2886098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような踏板装置を備えた作業台では、作業者の安全を確保することはできるものの、踏板を建物に接近又は支持させるため踏板を倒したときに建物を傷つける虞があるという問題があった。また、近接スイッチ又は触針センサー等を用いて作業台と建物等との干渉を防止する技術も公知となっているが、このようなスイッチ、センサー等は高価であり、また、電源を必要とするため構成が複雑化するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題及び課題に鑑みてなされたものであり、コストを抑え簡易な構成を維持しつつ、建物等との干渉を防止することが可能な作業台を備えた高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願発明に係る高所作業車は、走行移動自在な車両の車体上に、昇降装置(例えば、シザースリンク昇降装置6)により昇降自在となって作業台が設けられた高所作業車において、作業台の床面の周囲から上方に延びて床面を囲むように設けられる手摺部を備え、手摺部における作業台の一側部に人や物が乗降するための開口部が設けられ、開口部にその下端部分を中心として作業台に上下揺動自在に取り付けられ、上方に揺動して開口部を閉鎖する閉鎖位置、及び下方に揺動して開口部を開放する開放位置との間で揺動開閉するように設けられる扉部材と、扉部材と同様にその下端部分を中心として上下揺動自在に取り付けられ、扉部材の高さと略同一の長さを有する長尺状の揺動
位置検出部材(例えば、実施形態における触針マーカー70)とを備える。なお、ここでいう手摺部を備えた作業台としては、側面視枠状に形成される手摺部を備えた作業台のほか、側面視板状に形成される作業台等が含まれる。
【0008】
また、上記扉部材は、開放位置においてその下端部分から略水平に延びる位置にまで下方に揺動するように構成され、揺動位置検出部材は、その下端部分から略水平に延びる位置にまで下方に揺動するように構成されることが好ましい。
【0009】
また、上記扉部材は略矩形状に形成され、その先端部分に沿うように幕部材(例えば、実施形態における落下防止フラップ75)が吊り下げられていることが好ましく、更には、上記扉部材と同様にその下端部分を中心として上下揺動自在に取り付けられる長尺状の幕部材位置検出部材(例えば、実施形態におけるフラップ用触針マーカー80)を備え、幕部材位置検出部材の長さは、上記下端部分から、扉部材が開放位置にあるときの幕部材の下端の位置までの距離と略一致することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明に係る高所作業車では、扉部材と同様にその下端部分を中心として作業台に上下揺動自在に取り付けられ、扉部材の高さと略同一の長さを有する長尺状の揺動位置検出部材が設けられることにより、作業者は、扉部材を開放させる前に当該揺動位置検出部材を揺動させその先端部分が作業対象に当接するか否かを確認することにより、扉部材が作業対象に干渉するか否かを事前に検知することができる。また、この揺動部材は簡易な構成からなるものであるため干渉防止策を低コストで実現できる効果も得られる。
【0011】
また、上記扉部材が開放位置においてその下端部分から略水平に延びる位置にまで下方に揺動するように構成されることにより、この扉部材を住宅の屋根等の作業対象へのステップとして利用できる。また、揺動位置検出部材がその下端部分から略水平に延びる位置にまで下方に揺動するように構成されることにより、上記扉部材を上記開放位置にするときに作業対象に干渉するか否かを検知することができる。
【0012】
また、扉部材の先端部分に沿うように幕部材が吊り下げられている場合、扉部材を開放させたときに当該扉部材と作業対象との間に幕部材が下方に垂れるように位置するため、作業対象を移動する落下物をこの幕部材で止めることができ、資材等の落下を防止することができる。この幕部材も簡易な構成からなるものであるため作業対象からの落下防止策を低コストで実現させることができる。さらに、上記幕部材位置検出部材を備えることにより、作業者は、扉部材を開放させる前にこれを下方に揺動させその先端位置を確認することにより、扉部材の開放位置における幕部材の先端位置も事前に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る高所作業車の側面図である。
【図2】上記高所作業車の作業台と作業対象物とを示す斜視図である。(a)は触針マーカーを前方揺動させた状態の斜視図、(b)は扉部材を前方に開放した状態の斜視図である。
【図3】上記触針マーカーが格納位置にある状態を示す斜視図である。
【図4】上記作業台の扉部材、落下防止フラップ、及び作業対象物の位置関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係る高所作業車の一例として高所作業車1について説明する。図1に示すように、本実施形態における高所作業車1には、高所に移動自在な
作業台20が設けられ、作業者が作業台20に搭乗し、例えば住宅の屋根においてソーラーパネルの施工等を行うため、所望の高所に移動できるようになっているものである。まず、図1を参照しながら高所作業車1の構成について説明する。高所作業車1は、駆動輪2及び従動輪3を有し、駆動輪2と従動輪3との間に履帯4が巻き掛けられて駆動輪2の回転により履帯4が回転動するように構成され走行可能になっている。駆動輪2及び従動輪3の上部には車体5が設けられ、この車体5上にはシザースリンク式昇降装置6が取り付けられており、さらに、このシザースリンク式昇降装置6上には作業者搭乗用の作業台20が取り付けられている。
【0015】
シザースリンク式昇降装置6は、図1に示すように、複数の腕部材を揺動自在に結合してリンク機構を構成したシザースリンク7と、このシザースリンク7を伸縮させる昇降シリンダ8とから構成される。シザースリンク7は、下部において第1段目の前方腕部材7aの下端部が車体5に揺動自在に連結され、後方腕部材7bの下端部が図示しないローラ部材若しくはスライダ部材と摺動レールとにより車両前後方向に摺動自在で、かつ、揺動自在に車体に連結されている。また、このシザースリンク7は、上部において第4段目の後方腕部材7hの上端部が作業台20に揺動自在に連結され、前方腕部材7gの上端部が図示しないローラ部材若しくはスライダ部材と摺動レールにより車両前後方向に摺動自在で、かつ、揺動自在に作業台20に連結されている。また、第1段目の後方腕部材7bには、第1ブラケット9が取り付けられ、第3段目の後方腕部材7fには第2ブラケット10が取り付けられており、さらに、これらの第1及び第2ブラケット9、10に昇降シリンダ8のシリンダ部及びロッド部がそれぞれ取り付けられている。
【0016】
また、高所作業車1は作業台20上に設けられる上部操作装置25(後に詳述)の操作により走行させたり、上記シザースリンク7の伸縮により作業台20を昇降させたりすることが可能となっているが、車体5のこの走行方向に対して左前方、右前方、左後方、及び右後方の4箇所の部分にジャッキ装置12を取り付けることができるようになっている。ジャッキ装置12は、接地部材12aとジャッキ12bとからなり、ジャッキ12bの一端は上記4箇所の部分に取り付け可能となっており、他端に接地部材12aを取り付けられるようになっている。接地部材12aは下端に水平方向に延びる平板部を有し、作業台20を昇降させる場合等にはこの平板部を接地させることにより、高所作業車1の走行移動を規制できるようになっている。
【0017】
作業台20は、図2に示すように、水平方向に延びて形成される床部21と、床部21の上面の周囲から上方に延びて該上面を囲むように設けられる手摺部22と、車体5の走行及びシザースリンク7の伸縮による作業台20の昇降等の操作を行うための上部操作装置25とを備えて構成される。作業台20は、その3つの側面には手摺部22が存在するが、残りの一側部には作業台20を屋根等の作業対象物Bに移動させた状態で、作業台20から人や物の移動を可能にする開口部が乗降口として形成される。そして、この開口部に対して上下に揺動開閉自在に支持される扉部材30が設けられている。具体的には、扉部材30は、上記開口部にその下端部分を中心として上下揺動自在に取り付けられ、上方に揺動して上記開口部を閉鎖する閉鎖位置、及び下方に揺動して上記開口部を開放する開放位置との間で揺動開閉するように設けられる。以下では、便宜上、各図の矢印に示すように、乗降口が開口する方向、すなわち作業台20に対して作業対象物Bが存在する方向を前方向として説明する。
【0018】
また、作業台20について、手摺部22の前側上部及び扉部材30の上部を繋いでチェーン27が左右一対に設けられ、扉部材30を開放させたときには、図2(b)に示すように、このチェーン27により扉部材30が手摺部22に繋がれた状態となる。このように構成される作業台20は、扉部材30が住宅の屋根等の作業対象物Bに沿って位置するように作業対象物Bに近づけられ、この近づけられた状態で扉部材30が下方に開放され
たときには扉部材30の内面が上方に向くためこの扉部材30を作業者が作業対象物Bへ移動するためのステップとして利用できる。
【0019】
ところで、本実施形態における高所作業車1においては、図2及び図3に示すように、扉部材30の左右両脇に触針マーカー70が設けられている。この触針マーカー70は、球状に形成され軟性を有する先端部材71と、弾性可撓性を有して構成される棒状部材72と、扉部材30の下端部に設けられる揺動軸73とを備えて構成される。先端部材71は棒状部材72の揺動側先端部に取り付けられる。棒状部材72は、その棒状部分の長さが扉部材30の閉鎖位置における上下方向の長さと略同一であり、揺動軸73を揺動中心として上下に揺動自在に設けられる。また、揺動軸73の近傍にはストッパ(不図示)が設けられ、棒状部材72は、その棒状部が略水平に延びる程度の位置にまで下方に揺動
し、このストッパによりそれより下方への揺動が規制されるようになっている。
【0020】
また、扉部材30の左右上部には、図3に示すように、当該左及び右の端部からそれぞれ左及び右に突出し後方に折り曲げられて略L字状に形成されるマーカー固定部材31が設けられる。このマーカー固定部材31により、扉部材30を上方に揺動させて閉鎖させた状態において触針マーカー70の棒状部材72を若干左右に揺動させ後方からマーカー固定部材31に引っ掛けて触針マーカー70を格納位置に位置固定させることができる。
【0021】
また、触針マーカー70が格納位置にある状態においては、棒状部材72が撓み前方に付勢された状態になっている。よって、格納位置にある状態から触針マーカー70を使用する場合は棒状部材72を左右及び後方へ移動させてマーカー固定部材31から外せばよいが、この状態で触針マーカー70を放すと自然に下方に揺動する。また、触針マーカー70を下方に揺動させたときにおける先端部材71の前後位置及び上下位置は、扉部材30を下方に開放させたときにおけるその先端部分の前後位置及び上下位置と略一致するが、詳細には、安全領域を確保するため、先端部材71の前後位置及び上下位置が、扉部材30の先端部分の前後位置及び上下位置よりも若干前方及び下方に位置するようになっている。
【0022】
触針マーカー70が以上のように構成されることにより、作業台20に搭乗した作業者は、扉部材30を下方に揺動させる前に、この触針マーカー70を下方に揺動させて扉部材30が作業対象物Bに干渉するか否かを事前に検知することができる。すなわち、触針マーカー70を下方に揺動させたときに先端部材71が作業対象物Bに当接した場合は扉部材30を下方に揺動させると作業対象物Bに干渉するということであり、作業者はこれを目視で検知して上部操作装置25を操作して作業台20と作業対象物Bとの距離を長くとることができる。また、触針マーカー70を下方に揺動させたときにおける先端部材71の位置が作業対象物Bから著しく離れている場合は作業台20と作業対象物Bとの距離が長すぎるということであり、作業者はこれを目視で検知して上部操作装置25を操作して作業台20を作業対象物Bに近づける操作をすることができる。
【0023】
以上、触針マーカー70を設けることにより作業者は作業台20の作業対象物Bに対する距離を直ちに認識することができる。また、上述した先端部材71としては発泡材のようなものを材料として用いることができ、棒状部材72としては弾性可撓性を有する樹脂等を用いることができるが、先端部材71及び棒状部材72がこのような材料からなる場合、先端部材71が作業対象物Bに当たっても傷つかないうえ、作業対象物Bに付与される力を低減させることができる。なお、先端部材71の形状については必ずしも上記のように球状にしなければならないわけではなく別の形状にしてもよい。また、先端部材71については蛍光塗料等が塗布されているものを使用してもよく、このようなものを用いることにより薄暗い現場等においても先端部材71の位置を認識しやすくすることができる。
【0024】
また、扉部材30の閉鎖位置における上端部には、図2及び図4に示すように、落下防止フラップ75が吊り下げられている。落下防止フラップ75は軟性を有して構成されており、扉部材30を下方に開放揺動させたときに、その揺動側端部から下方に垂れるように移動して作業対象物Bに接触して位置する。このように落下防止フラップ75が設けられることにより、図4に示すように作業対象物B上を落下してくる落下物Mが落下防止フラップ75に引っ掛かるため作業対象物Bから物が落下する事態を抑止することができる。なお、落下防止フラップ75は、その左右位置が、高所作業車1の左右位置(車幅)の範囲内に収まるようになっており車幅から飛び出さないように設けられている。
【0025】
ところで、上記では扉部材30の作業対象物Bに対する干渉の有無を事前検知するため触針マーカー70を備える例について説明したが、以下では、図4に示すような触針マーカー70と同様の構成のフラップ用触針マーカー80を用いて、扉部材30を下方に揺動開放させたときにおける落下防止フラップ75の先端位置を予め検知する方法について説明する。このフラップ用触針マーカー80は、球状に形成され軟性を有して構成される先端部材81と、可撓性を有して構成される棒状部材82と、扉部材30の下端部に設けられる揺動軸83とを備えて構成されている。
【0026】
フラップ用触針マーカー80は、触針マーカー70と同様、マーカー固定部材31により格納位置に位置固定させることが可能になっているが、揺動軸83の近傍にもストッパ(不図示)が設けられており、フラップ用触針マーカー80を下方に揺動させたときにおける先端部材81の前後位置及び上下位置は、扉部材30を前方に開放させたときにおける落下防止フラップ75の先端の前後位置及び上下位置と略一致するようになっている。なお、詳細には、安全領域を確保するため、先端部材81の前後位置及び上下位置が落下防止フラップ75の先端の前後位置及び上下位置よりも若干前方及び下方に位置するようになっている。
【0027】
フラップ用触針マーカー80が以上のように構成されることにより、作業台20に搭乗した作業者は、扉部材30を下方に揺動させる前に、このフラップ用触針マーカー80を下方に揺動させて扉部材30を開放したときにおける落下防止フラップ75の先端部分の位置を事前に検知することができる。なお、先端部材81の形状についても必ずしも球状にしなければならないわけではなく、別の形状にしてもよい。また、蛍光塗料等が塗布されているものを使用してもよい。
【0028】
以上、本実施形態における高所作業車1は、触針マーカー70を備えることにより、扉部材30を開放したときに作業対象物Bと干渉するか否かを作業者が事前に検知するとともに、作業台20と作業対象物Bとの距離が適切か否かを事前に判断することもできる。また、触針マーカー70は、上述したように、先端部材71、棒状部材72、及び揺動軸73を備えて構成されるものであるため、安価で製造等ができコストアップの抑止を図ることも可能である。
【0029】
また、本実施形態における高所作業車1は、扉部材30の揺動側先端部に軟性を有して構成された幕状の落下防止フラップ75が吊り下げられていることにより、開放した扉部材30と作業対象物Bとの間の隙間をこの落下防止フラップ75で塞ぐことができるため、作業対象物Bの上面からの物の落下を防止することができる。また、落下防止フラップ75も扉部材30に吊り下げるだけの簡易な構成であるため、作業対象からの落下防止策を低コストで実現させることができる。さらに、フラップ用触針マーカー80を備えることにより、作業者は扉部材30の開放前に落下防止フラップ75の先端位置についても事前に検知することができる。
【0030】
以上、本実施形態においては、前後に揺動開閉自在な扉部材30を備えた作業台20を備える高所作業車1について説明したが、扉及び作業台の構成はこれに限定されず、例えばスライド移動する扉が取り付けられた作業台を備えた高所作業車に対しても本発明を適用させることができる。
【0031】
そして、本実施形態においては、揺動軸73,83の近傍にストッパ(不図示)が設けられ、このストッパにより棒状部材72,82の棒状部が所定の位置にまで下方に揺動する例について説明したが、このストッパの位置を適宜変更できるようにして触針マーカー70,80の揺動範囲を適宜変更できるようにしてもよい。また、上記のようなストッパを設けずに棒状部材72,82を上下に自由揺動させるようにしてもよい。更に、先端部材71等にセンサを取り付け、このセンサに扉部材30等が作業対象に干渉するか否かを検出させたり、若しくは扉部材30が作業対象に干渉する扉部材30の開放角度等を検出させるようにしてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、側面視枠状の手摺部22が作業台20に設けられる例について説明したが、本発明が対象とする手摺部及び作業台の構成は上記に限定されることはなく、例えば側面部が板状に形成される作業台にも本発明を適用させることができる。
【0033】
さらに、上述した実施形態では、クローラ型の走行装置及びシザースリンク機構を備えた高所作業車1に本発明を適用させた例について説明したが、本発明の適用対象としては上記のような車両に限定されることはなく、例えば、ブームの先端部から上方に延びる垂直ポストを設け、この垂直ポストに作業台が水平旋回自在に設けられる車両、あるいは車輪を備えた作業車やブームの先端部に作業台を備えたような、別のタイプの車両に対しても本発明を適用させることができる。
【符号の説明】
【0034】
B 作業対象物(作業対象) 1 高所作業車
5 車体
6 シザースリンク昇降装置(昇降装置)
20 作業台 21 床部
22 手摺部 30 扉部材
70 触針マーカー(揺動位置検出部材)
75 落下防止フラップ(幕部材)
80 フラップ用触針マーカー(幕部材位置検出部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行移動自在な車両の車体上に、昇降装置により昇降自在となって作業台が設けられた高所作業車において、
前記作業台の床面の周囲から上方に延びて前記床面を囲むように設けられる手摺部を備え、
前記手摺部における前記作業台の一側部に人や物が乗降するための開口部が設けられ、
前記開口部にその下端部分を中心として前記作業台に上下揺動自在に取り付けられ、上方に揺動して前記開口部を閉鎖する閉鎖位置、及び下方に揺動して前記開口部を開放する開放位置との間で揺動開閉するように設けられる扉部材と、
前記扉部材と同様にその下端部分を中心として上下揺動自在に取り付けられ、前記扉部材の高さと略同一の長さを有する長尺状の揺動位置検出部材とを備えることを特徴とする高所作業車。
【請求項2】
前記扉部材は、前記開放位置においてその下端部分から略水平に延びる位置にまで下方に揺動するように構成され、前記揺動位置検出部材は、その下端部分から略水平に延びる位置にまで下方に揺動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
【請求項3】
前記扉部材は略矩形状に形成され、その先端部分に沿うように幕部材が吊り下げられていることを特徴とする請求項1または2に記載の高所作業車。
【請求項4】
前記扉部材と同様にその下端部分を中心として上下揺動自在に取り付けられる長尺状の幕部材位置検出部材を備え、
前記幕部材位置検出部材の長さは、前記下端部分から、前記扉部材が前記開放位置にあるときの前記幕部材の下端の位置までの距離と略一致することを特徴とする請求項3に記載の高所作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−166946(P2012−166946A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31446(P2011−31446)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】