説明

高放電容量リチウムバッテリー

高放電容量を有するリチウム/二硫化鉄電気化学バッテリーセル。前記セルはリチウム陰極、二硫化鉄陽極及び非水電解質を有する。二硫化鉄を含む陽極混合物は、固体粒子の回りに小さな空間を有する高充填固体材料を含み、混合物内の高濃度の二硫化鉄を提供する。セル内により大きな空間を活性材料に与えるために、セパレータは薄く、セル放電の際のカソードの膨潤がセパレータに追加の応力を加える場合でさえ、悪条件下で陽極と陰極の間の短絡を防止するのに十分に強い。その結果、低率/低出力及び高率/高出力放電での実際の容量である、電極界面容積に対する陽極の界面容量の比は大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本発明は電気化学バッテリーセル、特にリチウム陰極及び二硫化鉄陽極を有するセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムバッテリー(陰極活性材料として金属リチウムを含むバッテリー)は高出力作動を必要とする電子装置用携帯電源として人気が高まっている。一般の民生用リチウムバッテリーとしては、リチウム/二酸化マンガン(Li/MnO2)及びリチウム/二硫化鉄(Li/FeS2)バッテリーなどが挙げられ、それぞれセル当たり3.0及び1.5ボルトの公称電圧を有する。
バッテリー製造業者はより大きい放電容量を有するバッテリーを設計するために絶えず努力を続けている。これは、シール及び孔を含むハウジングに収容したセルの容積を最小にし、それによって活性材料のために利用できる内部容積を最大にすることによって達成できる。しかしながら、最大内部容積による実用上の制限が常に存在する。
別のアプローチは放電容量を増大するために内部セル設計及び材料を変更することである。これを達成する最も良い方法は、少なくともある部分では、バッテリーによって動力を供給される装置の放電要求に依存する。必要な電力が低い装置では、どちらかと言えば活性材料の量が非常に重要であるが、必要な電力が高い装置では、放電効率がより重要である。リチウムバッテリーは、高出力放電において優れた放電効率を達成できるため、しばしば高電力装置で使用される。
一般に、バッテリー放電効率は放電出力の増加に伴って急速に減少する。したがって、高電力を供給するために、高放電効率は重要である。これは、しばしばより少ない活性材料を含み、したがって低電力及び低放電率での容量を犠牲にする設計を用いることを意味する。例えば、良い高電力放電効率のために、陰極(アノード)と陽極(カソード)との界面の、電極の容積に対して大きい表面積は望ましい。これは、しばしば螺旋状にねじれた電極アセンブリを用いて達成され、相対的に長く細い電極ストリップはコイルに一緒に巻きつけられる。電極組成物が高電気伝導率を持たなければ、そのような長く細い電極は、典型的には電極ストリップの長さ及び幅の大部分に沿って広がる集電体を必要とする。また、電極の界面の大きい表面積は、より多くのセパレータ材料が陽極と陰極を互いに電気的に絶縁するために必要であることを意味する。最大外法はしばしばセルのために設定されている(業界標準又は装置のバッテリー区画のサイズ及び形状によって)ために、電極界面の表面積の増大は、また使用され得る活性な電極材料の量を減らさなければならないことを意味する。
【0003】
高及び低出力用途の両方に向いているバッテリーについて、高出力性能を最大にするためにセルの活性材料の量を減らすことは、高出力用途のみに向いているバッテリーよりも価値が少ない。例えば、AAサイズ1.5ボルトLi/FeS2(FR6サイズ)バッテリーは、AAサイズ1.5ボルトアルカリZn/MnO2バッテリー(低出力装置でもしばしば使用される)の一般的な置き換えに加えて、フラッシュ及びデジタルスチルカメラのような高出力用途での使用に向いている。そのような状況では、高出力放電効率及びセルの入力容量の両方を最大にすることが重要である。任意のセルにおける電極の入力容量を最大にすることが一般に望まれているが、そうすることの相対的な重要性は低出力用途用のセルにおいてより大きい。
セルにおいて活性材料の量を最大にし、電極界面表面積を増大するその影響を軽減するために、セルの内部体積をできる限り小さくするセパレータ材料を使用することが望ましい。実際には、そうすることに対する制限がある。セパレータは、損傷することなくセル製造プロセスに耐え、アノードとカソードとの間の適切な電気絶縁性及びイオン輸送を与え、セルが取り扱い、輸送、保管及び使用の正常及び予想される異常な条件下にある場合にアノードとカソードとの間の内部短絡を生じる欠陥の発生をさせないでそうすることができなければならない。
セパレータ特性は強度及び損傷に対する耐性を向上させる多くの方法において変えることができる。その例は米国特許第5,952,120号、第6,368,742号、第5,667,911号及び第6,602,593号に開示されている。しかしながら、強度を増大するために行われる変更はセパレータ特性に悪影響を及ぼし、セルの化学、電極設計及び特徴、セル製造プロセス、意図されたセル用途、予想される保管及び使用条件などの要因にある程度基づく。
【0004】
特定のセル化学について、セルにおける活性材料の量を最大にすることはより困難である。リチウムバッテリーでは、活性なカソード材料がリチウムと反応して反応物よりも大きい合計容積を有する反応生成物を生成し、電極アセンブリの膨潤はセルにおける追加の力を生成する。これらの力はセルハウジングを膨らませ、セパレータを介して短絡させる。これらの問題に対する可能な解決手段は、セルハウジング用の丈夫な(しばしば厚い)材料及びセル内の不活性成分を用いることを含み、さらにより小さい容積の反応生成物を有するセルと比較してそのような活性材料を有するセルにおける活性材料のために利用できる内部容積を制限することを含む。Li/FeS2セルについて、他の可能な解決手段(米国特許第4,379,815号に開示されている)は、他の活性材料をFeS2と混合することによってカソードの膨張とアノードの収縮のバランスを取ることである。そのような活性なカソード材料としては、CuO、Bi2O3、Pb2Bi2O5、P3O4、CoS2及びその混合物などが挙げられる。しかしながら、カソード混合物に他の活性材料を添加することは、セルの電気的及び放電特性に影響を与える。
バッテリー製造業者らが放電容量を改善する試みを続けていると同時に、他のバッテリー特性(例えば、安全性及び信頼性)を改善し続け、内部短絡に対する耐性をより高めたセルを作ることは両方に寄与する。上述から明らかなように、内部短絡に対する耐性を改善するためになされる変更は放電容量を最大にすることに対して逆効果である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから、本発明の目的は放電容量を高めたリチウムバッテリーセルを提供することである。本発明の他の目的は高エネルギー密度(界面電極容積に対する界面放電容量)を有するリチウムバッテリーセルを提供することである。本発明の他の目的は、高出力放電における放電効率を犠牲にすることなく低出力放電における放電容量を増大させる、好ましくは高率及び低率放電の両方において放電容量を増大させる大きい界面電極表面積を有するLi/FeS2セルを提供することである。本発明のさらに別の目的は、カソード界面容量を増大させ、改善したエネルギー密度及び内部短絡に対する優れた耐性を有するLi/FeS2セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
本発明により、上記目的が達成され、従来技術の上記欠点が克服される。
したがって、本発明の一局面は、ハウジング;ハウジング内に配置された金属リチウムを含む陰極ストリップ、活性材料混合物を含む陽極ストリップ及び非水電解質に溶解した少なくとも1つの塩を含む電解質;及び陰極と陽極との間に配置したセパレータを含む電気化学バッテリーセルに関するものであり、前記セルは、カソード界面容量と電極アセンブリ界面容積の比が少なくとも710mAh/cm3である。
本発明の別の局面は、ハウジング;ハウジング内に配置された陰極、陽極及び電解質;及び陰極と陽極との間に配置したセパレータを含む電気化学バッテリーセルに関するものである。ハウジングは、完全に閉じた底端部、最初は開口していた上端部、底端部と上端部の間に広がる側壁及びセルを閉じるために上端部に配置されるカバーを有する円筒容器を含み;陰極は2つの対向した主表面を有するストリップの形態であり、金属リチウムを含み;陽極は2つの対向した主表面を有するストリップの形態であり、活性材料混合物を含み、活性材料は50重量%よりも多い二硫化鉄を含み;電解質は非水有機溶媒に溶解された1又は2以上の塩を含み;陰極、陽極及びセパレータは、容器の側壁の内面に隣接して配置され放射状外面を有する螺旋状にねじれた(spiral wound)円筒電極アセンブリを形成し;電極アセンブリは界面容積を有し;陽極は界面容量を有し;陽極界面容量と電極アセンブリ界面容積の比は少なくとも710mAh/cm3であり;セパレータは、縦方向及び横方向を有し、22μm未満の平均厚さ並びに縦方向及び横方向で少なくとも1.0kgf/cmの引張応力を有する、ポリエチレンを含むマイクロポーラス膜である。
【0007】
本発明の別の局面は、ハウジング;ハウジング内に配置した陰極、陽極及び電解質;及び陰極と陽極との間に配置したセパレータを含む電気化学バッテリーセルに関するものである。前記セルは、電極アセンブリ界面容積を有する螺旋状にねじれた電極アセンブリを有する円筒FR6タイプLi/FeS2セルであり;前記セルは少なくとも3500mAhの界面容量を有し;セパレータはポリエチレンを含むマイクロポーラス膜であり、22μm未満の平均厚さ、縦方向及び横方向で少なくとも2.0kgf/cmの引張応力、少なくとも2400ボルトの絶縁破壊電圧、0.08〜0.20μmの最大有効孔径及び4.0〜15m2/gのBET比表面積を有する。
本発明のさらに別の局面は、ハウジング;ハウジング内に配置した陰極、陽極及び電解質;及び陰極と陽極との間に配置したセパレータを含む電気化学バッテリーセルに関するものである。前記セルは、電極アセンブリ界面容積を有する螺旋状にねじれた電極アセンブリを有する円筒FR6タイプLi/FeS2セルであり;セパレータはポリエチレンを含むマイクロポーラス膜であり、22μm未満の平均厚さ、縦方向及び横方向で少なくとも2.0の引張応力、少なくとも2400ボルトの絶縁破壊電圧及び0.08〜0.20μmの最大有効孔径を有し;陽極は少なくとも95重量%の二硫化鉄を含む活性材料を含み;前記セルは200mAで連続して1.0ボルトまで放電したときに少なくとも2950mAhの放電容量及び1000mAで連続して1.0ボルトまで放電したときに少なくとも2600mAhの放電容量を提供できる。
【0008】
本発明のこれらの、及び他の特徴、利点及び目的は、本明細書、特許請求の範囲及び添付の図面を参照して当業者によってさらに理解されるであろう。
特別の定めのない限り、本明細書で使用される以下の用語は下記のとおり定義される。
・活性材料−セルの放電反応の一部であり、セル放電容量に寄与する1又は2以上の化合物(存在する不純物及び少量の他の部分(moieties)を含む)、
・活性材料混合物−電極活性材料を含む固体電極材料(集電体及び電極リード線を除く)の混合物、
・容量(放電)−放電の際にセルによって供給される実際の容量(一般には、アンペア時(Ah)又はミリアンペア時(mAh)で表される)、
・容量(入力)−電極中の各活性材料の重量に活性材料の理論的比容量をかけたものに等しい、電極の理論容量(各活性材料の理論的比用量は次式にしたがって決定される。
[(96,487アンペア秒/モル)/(活性材料のグラム数/モル)]×(活性材料の電子数/モル)/(3600秒/時)×(1000ミリアンペア時/アンペア時)
(例えば、Li = 3862.0 mAh/g、S = 1672.0 mAh/g、FeS2 = 893.6 mAh/g、CoS2 871.3 mAh/g、CFx = 864.3 mAh/g、CuO = 673.8 mAh/g、C2F = 623.0 mAh/g、FeS = 609.8 mAh/g、CuS = 560.7 mAh/g、Bi2O3 = 345.1 mAh/g、MnO2 = 308.3 mAh/g、Pb2Bi2O5 = 293.8 mAh/g 及び FeCuS2 292.1 mAh/g))
・容量(セル界面)−陰極及び陽極容量の小さい方、
・容量(電極界面)−セルの全放電反応機構及び対向電極中の活性材料に隣接した活性材料混合物のその部分内に含まれる活性材料の合計量に基づく、セルの理論的放電容量への電極のすべての寄与(活性材料のすべての完全な反応を仮定し、一般には、Ah又はmAhで表される(電極ストリップの2つの主表面の1つのみが対向電極中の隣接した活性材料である場合、電極のその面上の活性材料のみ(固体集電体シートのその面上の材料又は固体集電体シートのない電極の厚さの半分のその材料のいずれか)が界面容量の決定で含まれる))、
・電極アセンブリ−陰極、陽極及びセパレータの組合せ、並びにそれに組み込まれる任意の絶縁材料、上包、テープなど(活性材料に加えられた任意の個々の電気リード線、活性材料混合物又は集電体を除く)、
・電極ローディング(loading)−単位電極表面積あたりの活性物質混合物の乾燥重量(一般には、平方センチあたりのグラム数(g/cm2)で表される)、
・電極パッキング(packing)−単位電極表面積あたりの値論上の活性材料混合物の乾燥重量で割られた単位電極表面積あたりの活性材料の乾燥重量(混合物の固体材料の実際の密度に基づき、一般には%で表される)、
・折りたたみ電極−折りたたむことによってアセンブリと一体化した電極ストリップ(互いに平行又は交差している電極ストリップの長さ方向を有する)、
・界面高さ(電極アセンブリ)−アセンブリの電極の界面の平均高さ(セルの縦方向に平行である)
・界面容積(電極アセンブリ)−容器の側壁の内面での断面積(セルの縦軸に垂直である)及び電極アセンブリの界面高さによって画定されるセルハウジング内の容積、
・公称−その特徴又は特性について期待されるものを表す値(製造業者によって特定される)、
・放電率−放電の際にセルから除かれる定格容量の割合、
・螺旋状にねじれた電極−その長さ又は幅に沿って巻かれる(例えば、回転軸又は中核の周り)ことによって、アセンブリと一体化される電極ストリップ、及び
・空隙容量(電極アセンブリ)−無孔の電極アセンブリ構成要素と界面高さ内に含まれる多孔性電極アセンブリ構成要素の個体部分の容積の合計を電極アセンブリの界面容積から引くことによって決定される、単位界面高さあたりの電極アセンブリの空隙の容積(マイクロポーラスセパレータ、絶縁体フィルム、テープなどは、無孔又は非圧縮性であると仮定され、多孔性電極の容積は構成要素の実際の密度及び実際の総溶積を用いて決定され、一般にcm3/cmで表される)
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(詳細な説明)
本発明のバッテリーセルは陰極の活性材料として金属リチウムを含むアノードを有する。アノード及びカソードは両方ともストリップの形態であり、電極アセンブリにおいて接合されて活性材料を含む電極の容積に対して大きな界面表面積を提供する。界面表面積が大きければ大きいほど、電流密度は小さく、放電時の高出力を提供するセルの能力は良くなる。また、セルはカソード界面容量の電極アセンブリ界面容積に対する高い比(少なくとも710mAh/cm2)を有する。これは、電極アセンブリにおける活性材料の容積が大きいことを意味し、高放電容量を提供する。活性材料の大きな容積は、多くの変数(例えば、界面入力容量の合計入力容量に対する比、カソード集電体の容積、カソード混合物における活性なカソード材料の濃度及び電極アセンブリにおけるセパレータの容積)を制御することによって達成できる。
【0010】
本発明は図1を参照してさらに理解され、図1は本発明のセルの実施態様を示す。セル10はFR6タイプ円筒Li/FeS2バッテリーセルである。セル10は閉じた底端部及びセルカバー14及びガスケット16によって密閉される開口した上端部を有するカン12を含むハウジングを有する。カン12は上端部近くにビーズ又は直径が減少するステップを有し、ガスケット16及びカバー14を支える。ガスケット16はカン12とカバー14の間で圧縮されてセル10内のアノード18、カソード20及び電解質を密閉する。アノード18、カソード20及びセパレータ26は電極アセンブリに一緒に螺旋状にねじられる。カソード20は金属集電体22を有し、集電体22は電極アセンブリの上端部から伸び、接触ばね24によってカバー14の内面に接続される。アノード18は金属タブ(示されていない)によってカン12の内面に電気的に結合されている。絶縁コア46は電極アセンブリの上端部の周辺部分に位置し、カソード集電体22がカン12と接触しないようにし、カソード20の底端部とカン12の底との接触はセパレータ26の内部に折りたたまれた部分に寄って防止され、カン12の底に位置する底ディスク44を電気的に絶縁する。セル10は別の正の端子カバー40を有し、端子カバー40はカン12の内部に縮めた上端部及びガスケット16によって所定の位置に保持される。カン12は陰性の接触端子として機能する。悪い(abusive)電気的条件下で電流の流れを実質的に制限する陽温度係数(positive temperature coefficient(PTC))装置42は、端子カバー40の周辺フランジとセルカバー14の間に配置される。セル10は、またプレッシャーリリーフベントを含む。セルカバー14は、ベントウエル28の底にあるベントホール30を有する内部に突出する中心ベントウエル28を含むアパーチャーを有する。アパーチャーはベントボール32及び薄壁熱可塑性ブッシング(bushing)34によって密閉され、ブッシング34はベントウエル28の縦の壁とベントボール32の周囲の間で圧縮される。セルの内部圧力があらかじめ定められたレベルを超えたとき、ベントボール32又はボール32及びブッシング34の両方は、アパーチャーの外にセル10から圧縮ガスを放出させる。
【0011】
最初は両端が開口していた金属チューブをカンの代わりに使用してもよいが、セル容器はしばしば完全に密封された底を有する金属カンである。このカンは、一般にカンの外側を腐食から保護するために少なくとも外側にニッケルメッキされた鋼である。メッキのタイプは種々の程度の腐食耐性を与えるために、又は所望の外観を与えるために異なってもよい。鋼のタイプは、容器が形成される方法にある程度依存する。延伸(drawn)カンについて、鋼は、ASTM 9-11の粒径を有する拡散アニール、低カーボン、アルミキルド、SAE 1006又は同等の鋼であってもよく、わずかに引き伸ばした粒形に等軸である。他の鋼(例えば、ステンレス鋼)は特別な要求を満たすために使用される。例えば、カンがカソードと電気的に接している場合、ステンレス鋼はカソード及び電解質による腐食に対する耐性を改善するために使用してもよい。
セルカバーは典型的には金属である。ニッケルメッキ鋼を使用してもよいが、ステンレス鋼はしばしば、特にカバーがカソードと電気的に接している場合は望ましい。カバー形状の複雑さは、また材料選択の因子である。セルカバーは単純な形状(例えば、厚い、フラットディスク)を有してもよく、又はより複雑な形状(例えば、図1に示されるカバー)を有してもよい。カバーが図1のような複雑な形状を有する場合、ASTM 8-9粒径を有するタイプ304ソフトアニールステンレス鋼を使用してもよく、所望の腐食耐性及び金属形成の容易さを提供する。成形されたカバーを、例えばニッケルでメッキしてもよい。
端子カバーは、周囲環境の水による腐食に対する良い耐性、良い電気伝導率及び民生用バッテリーで目に見える場合の魅力的な外観を有する必要がある。端子カバーはしばしばニッケルメッキ冷間圧延鋼(cold rolled steel)又はカバーを形成した後ニッケルメッキされる鋼から作られる。端子をプレッシャーリリーフベント上に配置する場合、端子カバーは、一般にセルベンティングを促進するために1又は2以上のホールを有する。
【0012】
ガスケットは所望の密封特性を提供する任意の適した熱可塑性材料から作られる。材料選択はある程度電解質組成物をベースとする。適した材料の例としては、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、四フッ化-パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、ポリブチレンテレフタレート及びこれらの組合せなどが挙げられる。好ましいガスケット材料としては、ポリプロピレン(例えば、バセルポリオレフィンズ社(ウィルミントン、DE、USA)のPRO-FAX(商標)6524)、ポリブチレンテレフタレート(例えば、Ticona-US(サミット、NJ、USA)のCELANEX(商標)PBT(grade 1600A))及びポリフェニレンスルフィド(例えば、Boedeker Plastics社(シャイナー、TX、USA)のTECHTRON(商標)PPS)などが挙げられる。少量の他のポリマー、強化用無機充てん材及び/又は有機化合物をガスケットの主剤に加えてもよい。
ガスケットは最も良いシールを提供するために封止剤でコートしてもよい。エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)は適した封止材料であるが、他の適した材料を使用してもよい。
ベントブッシングは高温(例えば、75℃)で低温フローに対して耐性である熱可塑性材料から作られる。熱可塑性材料は、エチレン-テトラフルオロエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、エチレン-クロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、フッ素化パーフルオロエチレンポリプロピレン及びポリエーテルエーテルケトンのような主剤を含む。エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリフタルアミドが好ましい。前記樹脂は熱安定化フィラーを加えることによって変性して高温で所望の密封及びベンティング(venting)特性を有するベントブッシングを提供できる。ブッシングは熱可塑性材料から射出成形してもよい。TEFZEL(商標)HT2004(25重量%のチョップドガラスフィラーを有するETFE樹脂)は好ましい熱可塑性材料である。
【0013】
ベントボールは、セル内容物と接触して安定であり、所望のセル密封及びベンティング特性を提供する任意の適した材料から作ることができる。ガラス又は金属(例えば、ステンレス鋼)を使用できる。
アノードはリチウム金属のストリップ(しばしばリチウムホイルと呼ばれる)を含む。バッテリーグレードリチウムについて、純度は常に高いが、リチウムの組成は変えることができる。リチウムは他の金属(例えば、アルミニウム)と合金されて所望のセル電気特性を提供できる。0.5重量%のアルミニウムを含むバッテリーグレードリチウム-アルミニウムホイルはChemetall Foote社(キングマウンテン、NC、USA)から入手可能である。
アノードは金属リチウム内又はその表面に集電体を有してもよい。図1のセルにおけるように、リチウムが高い電気伝導度を有しているため、別の集電体は必要ではないかもれないが、リチウムが消費されるため、例えば放電の際のアノード内で電気的導通状態を維持するために、集電体を含んでいてもよい。アノードが集電体を含む場合、その伝導性のために、銅から作られてもよいが、セル内で安定である限り、他の導電性金属を使用できる。
薄い金属ストリップは、しばしばアノードとセル端子(図1に示されるFR6セルの場合のカン)の1つとを接合する電気リード線又はタブとして機能する。金属ストリップはしばしばニッケル又はニッケルメッキ鋼から作られ、リチウムに直接接合される。これは、アノードの一部内にリード線の端部を埋め込み、又はリチウムホイルの表面上にリード線の端部を単に圧縮することによって達成してもよい。
【0014】
カソードは集電体及び1又は2以上の電気化学的に活性な材料(通常粒子状である)を含む混合物を含むストリップの形態である。二硫化鉄(FeS2)は好ましい活性材料である。Li/FeS2セルにおいて、活性材料は50重量%よりも多くのFeS2を含む。また、カソードは、所望のセルの電気及び放電特性に応じて、1又は2以上の追加の活性材料を含むことができる。追加の活性なカソード材料は任意の適した活性なカソード材料であってもよい。例えば、Bi2O3、C2F、CFx、(CF)n、CoS2、CuO、CuS、FeS、FeCuS2、MnO2、Pb2Bi2O5及びSなどが挙げられる。より好ましくは、Li/FeS2セルのカソード用活性材料は少なくとも95重量%のFeS2、さらにより好ましくは少なくとも99重量%のFeS2を含み、最も好ましくはFeS2は単独の活性なカソード材料である。少なくとも95重量%の純度レベルを有するバッテリーグレードFeS2はAmerican Minerals社(カムデン、NJ、USA)、Chemetall GmbH社(ウィーン、オーストリア)及びKyanite Mining社(Dillwyn、VA、USA)から入手可能である。
活性材料に加えて、カソード混合物は他の材料を含む。バインダーは、一般に粒子状材料を一緒に保持し、混合物を集電体と接着するために使用される。金属、グラファイト及びカーボンブラック粉末のような1又は2以上の導体材料は改善された電気伝導度を混合物に与えるために加えてもよい。使用される導体材料の量は、活性材料及びバインダーの電気伝導度、集電体上の混合物の厚み及び集電体設計などの因子に依存する。少量の種々の添加剤は、またカソード製造性及びセル特性を高めるために使用してもよい。以下のものは、Li/FeS2セルのカソード用活性材料混合物材料の例である。グラファイト:Timcal America社(ウェストレーク、OH、USA)のKS-6及びTIMREX(商標)MX15グレード合成グラファイト。カーボンブラック:Chevron Phillips社(ヒューストン、TX、USA)のグレードC55アセチレンブラック。バインダー:Polymont Plastics社(以前は、Polysar社)によって製造され、Harwick Standard Distribution社(アクロン、OH、USA)から市販されているエチレン/プロピレンコポリマー(PEPP);非イオン性水溶性ポリエチレンオキシド(PEO):Dow Chemical社(ミッドランド、MI、USA)のPOLYOX(商標);及びKraton Polymers社(ヒューストン、TX、USA)のG1651グレードスチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)ブロックコポリマー。添加剤:Micro Powders社(Tarrytown、NY、USA)によって製造されたFLUO HT(商標) 微粉化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(Dar-Tech社(クリーブランド、OH、USA)から市販されている)及びDegussa Corporation Pigment Group(Ridgefield、NJ)のAEROSIL(商標)200グレードヒュームドシリカ。
【0015】
集電体はカソード表面内に配置され、又はカソード表面に埋め込まれてもよく、又はカソード混合物は薄い金属ストリップの1面又は両面にコートしてもよい。アルミニウムは一般に使用される材料である。集電体はカソード混合物を含むカソードの一部を超えて広がっていもよい。集電体のこの広がった部分は正の端子と接続した電気リード線との接触をなすのに都合のよい領域を与えることができる。集電体の広がる部分の容積を、活性材料及び電解質に利用できるセルの内部容積を多くするために、最小にすることが望ましい。
FeS2カソードを製造する好ましい方法は、揮発性の高い有機溶媒(例えば、トリクロロエチレン)中の活性材料混合物材料のスラリーをアルミホイルのシートの両面にロールコートし、コーティングを乾燥させて溶媒を除去し、コートされたホイルをカレンダーにかけてコーティングをコンパクトにし、コートされたホイルを所望の幅に切断し、切断したカソード材料のストリップを所望の長さにカットすることである。セパレータに穴をあけるリスクを最小限にするために、小さな粒子サイズを有するカソード材料を用いることが望ましい。例えば、FeS2は、好ましくは使用前に230メッシュ(62μm)スクリーンを通して篩分けられる。
カソードはセルの正の端子に電気的に接続される。これは、電気リード線によって達成してもよく、しばしば図1に示される薄い金属ストリップ又はバネの形態である。リード線はしばしばニッケルメッキステンレス鋼から作られる。
セパレータはイオン浸透性及び電気的に非導電性である薄いマイクロポーラス膜である。セパレータの孔には少なくとも一部の電解質を保持できる。セパレータはアノードとカソードの隣接面に配置され、互いに電極を電気的に絶縁する。セパレータの一部は、また内部短絡を防止するためにセルの端子と電気的な接続において、他の成分を絶縁してもよい。セパレータの端部は、アノード及びカソードが、互いに完全に一列に並べられていない場合でさえ、電気的な接触がないことを保証するために、しばしば少なくとも1つの電極の端部を越えて広がる。しかしながら、電極を越えて広がるセパレータの量を最小限にすることが望ましい。
【0016】
良い高出力放電特性を与えるために、セパレータが1994年3月1日に発行された米国特許第5,290,414号に開示される特性(少なくとも0.005μmの最小サイズ及び5μm以下の最大サイズを持つ孔、30〜70%の範囲の多孔度、2〜15ohm-cm2の面積抵抗率及び2.5よりも小さいねじれ)を有することが望ましい(参照により本明細書に組み込まれるものとする)。適したセパレータ材料は、またセルの製造プロセス及び内部短絡の結果生じる裂け目(tears)、割れ目(sprits)、穴又は他のギャップの発生なしにセル放電中にセパレータに加えられる圧力に耐えるのに十分に強い必要がある。
セルにおける合計セパレータ容積を最小限にするために、セパレータはできるだけ薄くなければならないが、好ましくは25μm厚未満であり、より好ましくは22μm厚以下であり、例えば20μm又は16μmである。10μm以下のセパレータは、適した特性を有する場合、使用できる。必要な厚みはセパレータ材料の強度並びに電気絶縁性を与えるセパレータに加えられる力の大きさ及び場所にある程度依存する。
厚さに加えて多くの特性がセパレータ強度に影響する。これらの1つは引張応力である。高い引張強度は望ましく、好ましくは少なくとも800、より好ましくは少なくとも1000キログラム重量/平方センチ(kgf/cm2)である。マイクロポーラスセパレータを製造するために一般に使用される製造方法のために、引張応力は一般には横方向(TD)よりも縦方向(MD)で大きい。要求される最小引張応力はセルの直径にある程度依存する。例えば、FR6タイプセルについて、好ましい引張応力は縦方向で少なくとも1500kgf/cm2であり、横方向で少なくとも1200kgf/cm2であり、FR03タイプセルについて、縦方向及び横方法の好ましい引張強度はそれぞれ1300及び1000kgf/cm2である。引張応力が小さすぎる場合、製造性及び内部セルフォースは裂け目又は他の穴を生じる。一般に、引張応力が大きければ大きいほど、強度の観点から良い。しかしながら、引張応力が大きすぎる場合、セパレータの他の所望の特性は悪影響を受ける。
【0017】
引張応力は、またkgf/cmで表され、引張応力(kgf/cm2)にセパレータ厚さ(cm)をかけることによって引張応力(kgf/cm2)から計算できる。引張応力(kgf/cm)は、またセパレータ強度に関係する所望の特性を確認するために有用である。したがって、セパレータは少なくとも1.0kgf/cm、好ましくは少なくとも1.5kgf/cm、より好ましくは少なくとも1.75kgf/cmの引張応力を縦方向及び横方向の両方で有することが望ましい。約0.45インチ(11.4mm)よりも大きい直径を有するセルについて、少なくとも2.0kgf/cmの引張応力が最も好ましい。
セパレータ強度の別の指標はその絶縁破壊電圧である。好ましくは、平均絶縁破壊電圧は少なくとも2000ボルトであり、より好ましくは少なくとも2200ボルトである。約0.45インチ(11.4mm)よりも大きい直径を有する円筒セルについて、平均絶縁破壊電圧は、最も好ましくは少なくとも2400ボルトである。絶縁破壊電圧が低すぎる場合、セルの製造の際に、電気試験(例えば、電解質を加える前に電極アセンブリに加えられる高電圧の保持)によって欠陥のある又は損傷したセパレータを有するセルを確実に除去することは困難である。絶縁破壊はできる限り高いが、依然として他の所望のセパレータ特性を達成することが望ましい。
平均有効孔径はセパレータ強度のより重要な指標の他のものである。大きな孔はセパレータを通るイオン輸送を最大限にするために望ましいが、孔が大きすぎる場合、セパレータは電極間の浸透及び短絡がしやすくなる。好ましい最大有効孔径は0.08〜0.40μmであり、より好ましくは0.20μm以下である。
BET比表面積は、また孔の数と共に孔径に関連するものである。一般に、セル放電特性は、セパレータがより大きい比表面積を有する場合がより良い傾向があるが、セパレータ強度はより低くなる傾向がある。BET比表面積が40m2/g以下であることが望ましいが、少なくとも15m2/g、より好ましくは少なくとも25m2/gであることが望ましい。
【0018】
良い高率及び高出力セル放電特性について、小さい面積抵抗率は望ましい。より薄いセパレータはより低い抵抗を有する傾向があるが、またセパレータは十分な強度(セパレータの厚さを制限する)を有する必要がある。好ましくは、面積抵抗率は4.3ohm-cm2以下であり、より好ましくは4.0ohm-cm2以下であり、最も好ましくは3.5ohm-cm2以下である。
リチウムバッテリーで使用されるセパレータ膜はしばしばポリプロピレン、ポリエチレン又は超高分子量ポリエチレンから製造され、ポリエチレンが好ましい。セパレータは2軸配向のマイクロポーラス膜の単層であってもよく、2層又は3層以上を一緒に積層して直交する方向で所望の引張強度を提供してもよい。単層はコストを最小限にするため好ましい。好ましい単層2軸配向ポリエチレンマイクロポーラスセパレータは東燃化学株式会社、エクソンモービルケミカル社(マケドニア、NY、USA)から入手可能である。Setela F20DHIグレードセパレータは20μmの公称厚さを有し、Setela 16MMSグレードは16μmの公称厚さを有する。
アノード、カソード及びセパレータストリップは電極アセンブリで一緒に結合される。電極アセンブリは、カソード、セパレータ、アノード及びセパレータのストリップを交互にマンドレルの回りに巻き取ることによって作られる螺旋状にねじれた設計(例えば、図1に示される)であってもよく、マンドレルは巻取りが完了したとき、電極アセンブリから抜き取られる。セパレータの少なくとも1層及び/又は絶縁性フィルム(例えば、ポリプロピレン)の少なくとも1層は、一般に電極アセンブリの外側の回りに巻きつけられる。これは、多くの目的に役立つ。アセンブリを一緒に保持するのを助け、アセンブリの幅又は直径を調整して所望の大きさとするために使用してもよい。セパレータの最外層又は他の外側のフィルム層は1つの接着テープによって、又はヒートシールによって押さえつけられてもよい。
【0019】
螺旋状にねじれることよりも、電極アセンブリは電極及びセパレータストリップを一緒に折りたんで形成されてもよい。ストリップをその長さに沿って並べ、次いでアコーディオンのように折りたたまれる。又は、アノード及び1つの電極ストリップをカソード及び他の電極ストリップに垂直に置き、電極を互いに交互に(直交する向きに)折りたたんでもよい。両方の場合とも、アノード及びカソード層を交互に重ねたものを形成する。
電極アセンブリをハウジング容器に挿入する。螺旋状にねじれた電極アセンブリの場合、円筒又はプリズム容器において、電極の主表面は容器の側壁に垂直である(すなわち、電極アセンブリの中心コアはセルの縦軸に平行である)。折りたたまれた電極アセンブリは、一般にプリズムセルで使用される。アコーディオン折りたたみ電極アセンブリの場合、アセンブリは配向されて、電極層を重ねたものの反対端で平らな電極表面は容器の逆側に隣接する。これらの配置において、アノードの主表面の合計面積の大部分はセパレータを介するカソードの主表面の合計面積の大部分に隣接し、電極主表面の最外部分は容器の側壁に隣接する。このような方法で、アノード及びカソードを組合せた厚みの増加による電極アセンブリの広がりは容器の側壁によって制約される。
非水電解質(汚染物質として非常に少量の水を含む(例えば、重量で約500ppm以下(使用する電解質塩に依存する)))は本発明のバッテリーセルで使用される。リチウム及び活性なカソード材料と共に使用するのに適した任意の非水電解質を使用してもよい。電解質は有機溶媒に溶解した1又は2以上の電解質塩を含む。Li/FeS2セルについて、適した塩の例としては、臭化リチウム、リチウムペルクロラート、リチウムヘキサフルオロホスファート、カリウムヘキサフルオロホスファート、リチウムヘキサフルオロアルセナート、リチウムトリフルオロメタンスルホナート及びリチウムヨージドなどが挙げられ、適した有機溶媒としては、以下のジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、メチルエチルカルボナート、エチレンカルボナート、プロピレンカルボナート、1,2-ブチレンカルボナート、2,3-ブチレンカルボナート、メチルホルマート、γ-ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、3,5-ジメチルイソオキサゾール、n,n-ジメチルホルムアミド及びエーテルの1又は2以上が挙げられる。塩/溶媒の組合せは、所望の温度範囲にわたってセルの放電要求を満たすのに十分な電解質伝導度及び電気伝導度を提供する。エーテルは、その一般に低い粘度、良い濡れ容量、良い低温放電特性及び良い高率放電特性のためにしばしば望ましい。このことは、エーテルがMnO2カソードよりも安定であり、そのためより高濃度のエーテルを使用できるために、Li/FeS2セルにおいて特に真実である。適したエーテルとしては、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジ(メトキシエチル)エーテル、トリグリム、テトラグリム及びジエチルエーテルのような非環式エーテル及び1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び3-メチル-2-オキサゾリジノンのような環状エーテルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0020】
具体的なアノード、カソード及び電解質の組成及び量は、所望のセルの製造性、特性及び保管特性を与えるように調整できる。
セルは任意の適した方法を用いて閉鎖及び密閉できる。前記方法としては、これに限定されないが、圧接、作り直し(redrawing)、コレットにはめる(colleting)及びこれらの組合せなどが挙げられる。例えば、図1のセルについて、電極及び絶縁体錐を挿入した後ビーズをカンに形成し、ガスケット及びカバーアセンブリ(セルのカバー、接触バネ及びベントバッシングを含む)をカンの開口した端部に配置する。セルをビーズで支持し、ガスケット及びカバーアセンブリをビーズに対して下方向へ押す。ビーズ上のカンの上端部の直径は、セルの所定の場所にガスケット及びカバーアセンブリを維持するために分割したコレットと共に減少する。ベントバッシング及びカバーのアパーチャーを通して、電解質をセルに分配した後、ベントボールをバッシングに挿入してセルのカバーのアパーチャーを密閉する。PTC装置及び端子カバーをセル上にセルのカバーを覆うように配置し、カンの上端部は圧接ダイによって内部に曲げられ、ガスケット、カバーアセンブリ、PTC装置及び端子カバーを保持した状態で、ガスケットによってカンの開口した端部の密閉を完全にする。
上記説明は円筒Li/FeS2セル(例えば、国際電気標準会議(ジュネーヴ、スイス)によって発行された国際標準IEC 60086-1及びIEC 60086-2で定義されるFR6及びFR03タイプ)に特に関するものである。しかしながら、本発明は、また他のセルサイズ及び形状にも適合でき、他の電極アセンブリ、ハウジング、シール及びプレッシャーリリーフベント設計を有するセルにも適合できる。
発明の特徴及びその利点は以下の実施例においてさらに詳細に説明される。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
螺旋状にねじれた電極アセンブリを有するFR6タイプ円筒Li/FeS2セルを、約0.373〜約0.455cm3/cmの範囲にわたって界面電極アセンブリの高さ1センチあたりの電極アセンブリの空隙容積を変えて製造した。空隙容積は、カソード上にコートされた活性材料混合物内の空隙容積を調整することによって変えられる。これは、混合物組成、厚さ及びパッキングの種々の組合せによって行われる。すべてのセルで使用されるセパレータ材料は、25μmの公称厚さを有する高い結晶性の、1軸配向、マイクロポーラスポリプロピレン材料である。
【0022】
(実施例2)
実施例1のセルのサンプルを試験のために調製した。単位高さあたり所定の空隙容積を有する各群について、いくつかのセルは放電しないままとし、いくつかのセルは50%放電した(定格容量の50%を除去するのに必要な時間200mAの率で放電した)。放電しない及び50%放電したセルを衝撃試験で試験し、試験した各セルの外部温度を、試験中及び試験後6時間モニターした。
衝撃試験について、サンプルセルを平面に置き、15.8mmの直径の棒をサンプルの中心に配置し、9.1kgの質量をサンプル上61±2.5cmの高さから落とす。サンプルセルは平面に平行で、かつ、セルの中心にある15.8mmの直径の棒の縦軸に垂直に、その縦軸によって衝撃を受ける。各サンプルは1回の衝撃のみ受ける。
放電しないセルはいずれも170℃を超える外部温度を持たなかった。外部温度が170℃を超える50%放電したセルの割合をプロットした。プロットした点をフィッティングする最も良い曲線を図2に示す。ここで単位高さあたりの空隙容積(cm3/cm)はx軸であり、170℃を超える外部温度を有するセルの割合はy軸である。
衝撃試験の結果は、電極アセンブリの空隙容積が減少すると、170℃を超える外部温度を有するセルの割合が増加することを示す。図2のグラフから、界面高さの約0.45cm3/cmの空隙容積を有するセルが170℃を超える外部温度を有する割合は0%と予想され、約0.37cm3/cmの空隙容積を有するセルが170℃を超える割合は60%を超えると予想される。高い外部温度の原因は熱生成内部短絡をもたらすセパレータへの損傷によるものである。
異なるレベルの放電後の両FR6 Li/FeS2セルの続く試験は、FR6セルの合計電極容積の純増加(放電が進むとより大きくなる)が、セルが50%放電するまでは電極ストリップのたわみ及びバックリング(buckling)及び電極アセンブリの中核のへこみを生じることを明らかにした。対照的に、螺旋状にねじれた電極を有するLi/MnO2セルの同様の試験は、50%放電で電極アセンブリの認識できる変化があっても少ないことを示した。活性材料の容積及び放電反応生成物の容積の間の差はLi/FeS2対Li/MnO2セルの螺旋状にねじれた電極アセンブリに対する放電の影響の差についての説明を与える。
【0023】
(実施例3)
4ロットのFR6セルを作製し、それぞれセパレータを異なる材料から作った。セパレータ材料の詳細は表1で与えられ、典型的なセパレータの特性(以下に記載する方法によって決定される)は表2にまとめられる。ロットAで使用されるセパレータ材料は実施例1のセルで使用されるものと同じである。各セルは、約1.60gの電解質、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン及び3,5-ジメチルイソオキサゾールの溶媒ブレンド(重量で63.05:27.63:0.18)中9.14重量%のLiI塩からなる電解質を含む。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
ロットA〜Dのすべてについて、同じセル設計を使用した。セル設計は、約0.452の、界面高さに対する電極アセンブリの空隙容積の比を有する実施例1のセルよりも、多い量の活性材料、カソード混合物において高濃度のFeS2及び増加した電極界面表面積、並びに低いアノード:カソード合計入力容量比を有するものであり、セルの界面容量において22%の増加を生じる。
【0027】
(実施例4)
実施例3の各ロットのセルを50%放電し、次いで衝撃試験で試験した。試験で170℃を超えるセルの割合は、ロットAについて20%、ロットBについて80%並びにロットC及びDについて0%であった。
界面高さに対する電極アセンブリの空隙容量の比が約0.452である実施例1のセルと比較して界面容量を22%増加させることによって、衝撃試験で170℃を超えるセルの割合は0%から20%に増加した。ロットAのセルは、未反応の活性材料の容積と比較した放電反応生成物の容積の純増加を適合させるために、空隙の量を減らし、実施例2で観測されるLi/FeS2電極アセンブリに対する放電の悪影響を増加させる。
ロットAと比較してロットBのセパレータ材料の厚さの減少は、衝撃試験での170℃を超えるセルの割合を20%から80%にさらに増加させることに寄与した。
ロットC及びDにおけるセパレータ材料の厚さはロットBのセパレータの厚さと同じであるが、ロットC又はロットDにおいて、衝撃試験で170℃を超えるセルはなかった。ロットC及びDについての結果は、カソード内の空隙容積及びセパレータ材料の厚さが共にロットC及びDで減少した場合であっても、界面高さに対する電極アセンブリの空隙容積の比が約0.452である実施例1のセルについての結果に匹敵した。
【0028】
(実施例5)
FR6セルの3つのロットを使用して相対的に低率及び高率の放電試験でのFR6セルの実際の性能を比較した。第1ロットは実施例3のロットDであった。ロットDの特徴を表3にまとめる。
ロットE及びFのセルを従来技術に従って作製した。ロットFのセルは、界面高さに対する電極アセンブリの空隙容積の比が約0.452である実施例1と同様であった。ロットE及びFの特徴を表3に示す。ロットEにおいて、ロットFと同じセパレータ材料を用いたが、ロットEにおいては、カソード混合物組成を変更し、セルの界面容量をロットFと比較して18%増加させた。ロットDにおける薄い(20μm厚)のセパレータの使用は、ロットFと比較してセルの界面容量を22%増加させた。

























【0029】
【表3】

【0030】
(実施例6)
ロットD、E及びFの各セルを200mAで連続して1.0ボルトまで、及び1000mAで連続して1.0ボルトまで放電した。表4はその結果を比較する。
【0031】
【表4】

【0032】
以下のセパレータ材料特性を対応する方法に従って決定する。特別の定めのない限り、すべての開示された特性は室温(20〜25℃)で決定される。
・引張応力はASTM D882-02に従ってInstron Model 1123 Universal Testerを用いて決定された。サンプルを0.50インチ(1.27cm)×1.75インチ(4.45cm)にカットした。初期顎間容積は1インチ(2.54cm)であり、歪み速度は2インチ(5.08cm)/分であった。初期断面積(加えた力に垂直なサンプルの幅×サンプルの厚み)で加えた力を割ることによって、引張応力を計算した。
・最大有効孔径を、走査型電子顕微鏡を用いて30,000倍の倍率で作成され、4μm×3μmの面積をカバーするイメージで測定した。各セパレータサンプルについて、両主表面のイメージを作成した。各イメージについて、最も大きな孔を測定して、孔の壁内にフィットする最大円形直径(個々の孔の最大有効径)を決定した。各面の2つの最も大きな孔の最大有効孔径を平均化すること(すなわち、4つの孔の平均)によって、サンプルの最大有効孔径を計算した。
・(1)セパレータサンプルをカットし、(2)サンプルの重さを量り、(3)サンプルの長さ、幅及び厚みを測定し、(3)前記重量及び採寸から密度を計算し、(4)計算した密度をセパレータポリマー樹脂の理論密度(セパレータ製造業者によって提供される)で割り、(5)これに100をかけ、(5)100からこの値を引くことによって、多孔度を決定した。
・2つのステンレス鋼ピン(各直径2cm、平らな円形チップを有する)間にセパレータサンプルを配置し、Quadtech Model Sentry 20 hipot testerを用いてピン間に増加する電圧をかけ、表示される電圧(電流がサンプルを通してアークをなす電圧)を記録することによって、絶縁破壊電圧を決定した。
【0033】
・ASTM D882-02に従ってInstron Model 1123 Universal Testerを用いて、引張伸び(破断伸び)を決定した。サンプルを0.50インチ(1.27cm)×1.75インチ(4.45cm)にカットした。初期顎間容積は1インチ(2.54cm)であり、歪み速度は2インチ(5.08cm)/分であった。破断時のサンプル長さから初期サンプル長さを引き、これを初期サンプル長さで割り、これに100%をかけることによって、引張伸びを計算した。
・2つの白金電極間の電解質に懸濁されたセパレートサンプルについて、抵抗測定を行うためにYellow Springs Instrument社(Yellow Springs、OH、USA)のModel 34 Conductance-Resistance Meterを用いて、面積抵抗率(ASR)を決定した。使用した電解質溶液は、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン及び3,5-ジメチルイソオキサゾール(重量で63.05:27.63:0.18)の溶媒ブレンド中9.14重量%のLiI塩であった。1ppm未満の水及び100ppm未満の酸素の雰囲気下で、すべての試験を行った。電気的に不伝導性のサンプルホルダー(曝されるセパレータの面積が1.77cm2であるようにセパレータサンプルを保持するように設計される)を電解質溶液に浸漬して、サンプルを保持するためのホルダーの一部が2つの白金電極(0.259cm離れた)の中間に配置される。電極間の抵抗を測定した。電解質からホルダーを取り出し、セパレータサンプルをホルダーに挿入し、ホルダーを同じ設定レベルに電解質溶液中にゆっくりと下げて、気泡をサンプル中に発生させないようにしてサンプルを電解質に完全に浸した。抵抗を測定した。次式を用いて、ASRを計算した。
ASR=A(R2−R1+ρL/A)
式中、Aは曝したセパレータサンプルの面積であり、R2は膜が存在する場合の抵抗値であり、R1は膜がない場合の抵抗値であり、Lはセパレータサンプルの厚みであり、ρは使用した電解質の伝導度である。
【0034】
・Micromeritics Instrument社(Norcross、GA、USA)のTriStar gas adsorption analyzerを用いて、比表面積をBET法によって決定した。サンプルホルダーにフィットさせるために、0.1〜0.2gのセパレータサンプルを1cm2未満の小片にカットし、サンプルを窒素流下で70℃1時間脱気し、吸着ガスとして窒素を用い、全吸着/脱離等温線を収集して、孔径分布分析を行った。
種々の修正及び改善が、開示された概念の意図から離れることなしに、本発明に対してなされてもよいことは、本発明を実施する者及び当業者によって理解される。与えられる保護の範囲は特許請求の範囲によって、及び法によって与えられる解釈の幅によって決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の電気化学バッテリーセルの実施態様である。
【図2】界面高さ内の電極アセンブリの単位高さあたりの空隙の容積の関数として部分的に放電したFR6セルの衝撃試験結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング;ハウジング内に配置した金属リチウムを含む陰極ストリップ、活性材料混合物を含む陽極ストリップ及び非水電解質に溶解した少なくとも1つの塩を含む電解質;及び陰極と陽極との間に配置したセパレータを含む電気化学バッテリーセルであって、陰極界面容量と電極アセンブリ界面容積の比が少なくとも710mAh/cm3である前記セル。
【請求項2】
電極活性材料が50重量%よりも多い二硫化鉄を含む、請求項1記載のセル。
【請求項3】
電極活性材料が少なくとも95重量%の二硫化鉄を含む、請求項2記載のセル。
【請求項4】
電極活性材料が少なくとも99重量%の二硫化鉄を含む、請求項3記載のセル。
【請求項5】
陰極界面容量と電極アセンブリ界面容積の比が少なくとも720mAh/cm3である、請求項1記載のセル。
【請求項6】
(a)前記ハウジングが、閉じた端部、カバーによって閉じられた最初は開口していた端部、及び前期閉じた端部と最初は開口していた端部との間に広がる側壁を含み、
(b)陰極が、2つの対向した主表面を有する少なくとも1つのシートの形態であり、
(c)陽極が、2つの対向した主表面を有する少なくとも1つのシートの形態であり、
(d)陰極及び陽極が、セパレータを介して陽極シートの少なくとも1つの主表面の一部に隣接した陰極シートの少なくとも1つの主表面の一部を有する容器内に配置され、陰極及び陽極の隣接した部分の少なくとも一部分がセルの縦軸に平行である、請求項1記載のセル。
【請求項7】
陰極、陽極及びセパレータが螺旋状にねじれた電極アセンブリを形成する、請求項6記載のセル。
【請求項8】
容器が円筒形状を有し、電極アセンブリが容器の側壁の内面に隣接して配置された放射状の外面を有する、請求項7記載のセル。
【請求項9】
容器がプリズム形状を有し、電極アセンブリが容器の側壁の内面に隣接して配置された外面を有する、請求項7記載のセル。
【請求項10】
セパレータがマイクロポーラス膜であり、25μm未満の厚み及び縦方向及び横方向で少なくとも1.0kgf/cmの引張応力を有する、請求項1記載のセル。
【請求項11】
セパレータが22μm未満の厚みを有する、請求項10記載のセル。
【請求項12】
セパレータの引張応力が少なくとも1.5kgf/cmである、請求項10記載のセル。
【請求項13】
セパレータの引張応力が少なくとも1.75kgf/cmである、請求項12記載のセル。
【請求項14】
セパレータが少なくとも2000ボルトの絶縁破壊電圧を有する、請求項10記載のセル。
【請求項15】
絶縁破壊電圧が少なくとも2200ボルトである、請求項14記載のセル。
【請求項16】
絶縁破壊電圧が少なくとも2400ボルトである、請求項15記載のセル。
【請求項17】
セパレータが0.08〜0.40μmの最大有効孔径を有する、請求項10記載のセル。
【請求項18】
最大有効孔径が0.20μm以下である、請求項17記載のセル。
【請求項19】
マイクロポーラス膜がポリエチレンを含む、請求項10記載のセル。
【請求項20】
セパレータが4.0〜15m2/gのBET比表面積を有する、請求項10記載のセル。
【請求項21】
ハウジング;前記ハウジング内に配置した陰極、陽極及び電解質;及び陰極と陽極との間に配置したセパレータを含む電気化学バッテリーセルであって、
(a)ハウジングは円筒容器を含み、円筒容器は完全に密閉された底端部、最初は開口していた上端部、底端部及び上端部の間に広がる側壁並びにセルを閉じるために上端部に配置されたカバーを有し、
(b)陰極は2つの対向した主表面を有するストリップの形態であり、金属リチウムを含み、
(c)陽極は2つの対向した主表面を有するストリップの形態であり、活性材料混合物を含み、前記活性材料は50重量%よりも多い二硫化鉄を含み、
(d)電解質は非水有機溶媒に溶解された1又は2以上の塩を含み、
(e)陰極、陽極及びセパレータは螺旋状にねじれた円筒電極アセンブリを形成し、円筒電極アセンブリは容器の側壁の内面に隣接して配置された放射状の外面を有し、
(f)電極アセンブリは界面容積を有し、
(g)陽極は界面容量を有し、
(h)陽極界面容量と電極アセンブリ界面容積の比は少なくとも710mAh/cm3であり、
(h)セパレータはポリエチレンを含むマイクロポーラス膜であり、前記マイクロポーラス膜は縦方向及び横方向を有し、22μm未満の平均厚さ及び縦方向及び横方向で少なくとも1.0kgf/cmの引張応力を有する、前記セル。
【請求項22】
活性材料が少なくとも95重量%の二硫化鉄を含む、請求項21記載のセル。
【請求項23】
活性材料が少なくとも99重量%の二硫化鉄を含む、請求項22記載のセル。
【請求項24】
セパレータの引張応力が縦方向及び横方向で少なくとも1200kgf/cm2である、請求項21記載のセル。
【請求項25】
カソード界面容量と電極アセンブリ界面容積の比が少なくとも720mAh/cm3である、請求項21記載のセル。
【請求項26】
セパレータが少なくとも2200ボルトの絶縁破壊電圧を有する、請求項21記載のセル。
【請求項27】
ハウジング;ハウジング内に配置した陰極、陽極及び電解質;及び陰極と陽極との間に配置したセパレータを含む電気化学バッテリーセルであって、
(a)前記セルは、電極アセンブリ界面容積を有する螺旋状にねじれた電極アセンブリを有する円筒FR6型Li/FeS2セルであり、
(b)前記セルは少なくとも3500mAhの界面容量を有し、
(c)セパレータはポリエチレンを含むマイクロポーラス膜であり、22μm未満の平均厚さ、縦方向及び横方向で少なくとも2.0kgf/cmの引張応力、少なくとも2400ボルトの絶縁破壊電圧、0.08〜0.20μmの最大有効孔径及び4.0〜15m2/gのBET比表面積を有する、前記セル。
【請求項28】
カソード界面容量と電極アセンブリ界面容積の比が少なくとも710mAh/cm3である、請求項27記載のセル。
【請求項29】
ハウジング;ハウジング内に配置した陰極、陽極及び電解質;及び陰極と陽極との間に配置したセパレータを含む電気化学バッテリーセルであって、
(a)前記セルは、電極アセンブリ界面容積を有する螺旋状にねじれた電極アセンブリを有する円筒FR6型Li/FeS2セルであり、
(b)セパレータはポリエチレンを含むマイクロポーラス膜であり、22μm未満の平均厚さ、縦方向及び横方向で少なくとも2.0の引張応力、少なくとも2400ボルトの絶縁破壊電圧及び0.08〜0.20μmの最大有効孔径を有し、
(c)陽極は少なくとも95重量%の二硫化鉄を含む活性材料を含み、
(d)200mAで連続して1.0ボルトまで放電したときに少なくとも2950mAhの放電容量及び1000mAで連続して1.0ボルトまで放電したときに少なくとも2600mAhの放電容量を提供できる前記セル。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−513474(P2007−513474A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541351(P2006−541351)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/038612
【国際公開番号】WO2005/053067
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500034767)エヴァレディー バッテリー カンパニー インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】