説明

高活性のMTT骨格タイプモレキュラーシーブ

MTT骨格タイプモレキュラーシーブを、前記モレキュラーシーブを形成可能な混合物を結晶化することによって製造する方法が記載される。その際、混合物は、アルカリまたはアルカリ土類金属(M)の素材、三価元素(X)の酸化物、四価元素(Y)の酸化物、水、および式(CHCHCHCH(CHCHCHCH(CHの指向剤(R)を含み、かつモル比で、次の範囲の組成を有する。即ち、YO/X(45未満)、HO/YO(5〜100)、OH/YO(0.05〜0.5)、M/YO(0.05〜0.5)、およびR/YO(0超〜<0.5)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MTT骨格タイプを有する高活性モレキュラーシーブ、それらの合成、および接触プロセスにおけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
モレキュラーシーブは、IUPACゼオライト命名委員会の規定による国際ゼオライト学会構造委員会によって分類される。この分類に従って、骨格タイプゼオライトおよび他の結晶質微孔性モレキュラーシーブは、その構造が確定されており、三文字の記号を割り当てられる。これは、非特許文献1に記載されている。
【0003】
構造が確立されている一つの知られたモレキュラーシーブは、MTTとして表される物質である。これは、断面寸法約4.5Å×約5.2Åを有する平行通路によって定められる細孔を有するモレキュラーシーブである。MTT骨格タイプモレキュラーシーブの例には、ZSM−23、SSZ−32、EU−13、ISI−4、およびKZ−1が含まれる。MTT骨格タイプ物質は、パラフィン質炭化水素の脱ロウにおける触媒としてのそれらの活性から、商業的関心が高いものである。
【0004】
ZSM−23、即ちMTT骨格タイプと区別される第一のモレキュラーシーブ、およびピロリジン指向剤の存在下におけるそれらの調製は、本願明細書に参照により全体が援用される特許文献1によって教示される。特許文献1によれば、ZSM−23は、次のように、無水状態で、酸化物のモル比として表される組成を有する。
(0.58〜3.4)M2/nO:Al:(40〜250)SiO
式中、Mは、原子価nを有する少なくとも一種のカチオンである。
【0005】
特許文献2には、ZSM−23が、式(CH−R−N(CHの有機カチオン(一般に、ジクワット(Diquat)−7と呼ばれる)を含む反応混合物から合成されることができることが記載されている。式中、Rは、飽和または不飽和の直鎖炭化水素基であり、炭素原子7個を有する。実施例においては、ZSM−23生成物は、シリカ/アルミナモル比41〜420を有する。
【0006】
特許文献3には、ZSM−23が、シリカ/アルミナモル比30〜300を有し、かつ式(CHCHCHCH(CHCHCHCH(CHの有機カチオン(一般に、トリクワット(Triquat)−7と呼ばれる)を含む反応混合物から合成されることができることが記載されている。生成物のアルミニウム濃度は、報告されていない。また、全ての実施例は、反応混合物のSiO/Al比45以上で行なわれる。
【0007】
加えて、特許文献4には、ジクワット−12、(CH(CH12(CHの存在下におけるZSM−23の合成が報告されている。しかし、これは、60超のシリカ/アルミナモル比を有する反応混合物を用いる。やはり、生成物のアルミニウム濃度は、報告されていない。
【0008】
上述のように、MTT骨格タイプ物質(ZSM−23など)は、脱ロウ触媒として有用であり、これらの用途に対しては、活性および/または選択性は、一般に、モレキュラーシーブ生成物が低いシリカ/アルミナモル比および小結晶サイズを有する場合に向上されることが見出される。残念ながら、しかし、アルミニウムは、ある種のゼオライト(MTT骨格タイプ物質を含む)に対して、結晶化防止剤であることができる。そのために、殆どの既存の合成経路では、低いシリカ/アルミナモル比(即ち、30:1未満)のゼオライトを、不純物相(特に、FER骨格タイプ物質)を実質的に製造することなく、製造することは困難である。
【0009】
特許文献5および特許文献6には、SSZ−32(MTT骨格タイプの高アルミニウム含有量ゼオライトであるといわれる)が、N低級アルキル−N’−イソプロピル−イミダゾリウムカチオンを、指向剤として用いて合成されることができることが記載されている。SSZ−32は、シリカ/アルミナモル比20〜40未満を有するといわれるが、実施例に報告される最低のシリカ/アルミナモル比は、32である。
【0010】
特許文献7には、MTT骨格タイプゼオライトを、有機指向剤の非存在下に、シリカ/アルミナモル比20〜200および水/シリカモル比8未満を有する反応混合物を用いて合成する方法が開示されている。ゼオライト生成物は、シリカ/アルミナモル比12超を有するといわれる。しかし、生成物のアルミニウム濃度は、実施例に報告されていない。
【0011】
特許文献8には、MTT骨格タイプゼオライトが開示されている。これは、サイズ5μm未満を有する結晶を含み、その少なくとも一部は、寸法D、90が40nm〜100μmである粒度分析を有する凝集物の形態である。ゼオライトは、アルキル化ポリメチレンα−ωジアンモニウム化合物を、指向剤として用いて製造することができ、合成実施例は、Si/Al比18.6〜18.9(シリカ/アルミナモル比37.2〜37.8)を有する物質を製造する。
【0012】
特許文献9には、MTT骨格タイプゼオライトが、指向剤として、少なくとも一種の窒素含有有機化合物を用いて合成できることが開示されている。これは、次からなる群から選択される。即ち、N,N,N’,N’−テトラメチル−プロパン−1,3−ジアミン、N−イソプロピル−イソアミルアミン、N,N−ジメチル−N’−イソプロピル−エタンジアミン、N−イソプロピル−プロパン−1,3−アミン、N,N−ジメチル−N’−エチル−エタンジアミン、N,N,N,N’N’−ペンタメチル−プロパン−1,3−ジアンモニウムカチオン、N,N’−ジイソプロピル−ペンタン−1,5−ジアミン、N,N’−ジイソブチル−プロパン−1,3−ジアミン、N,N’−ジ−tertブチル−ペンタン−1,5−ジアミン、N,N’−ジイソブチル−ヘプタン−1,7−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−N’−4−メチルペンチル−プロパン−1,3−ジアンモニウムカチオン、トリメチル−ペンチルアンモニウムカチオン、エチル−(3−メチル−ブチル)−アミン、(3−ジメチルアミノ−プロピル)−ジメチル−ペンチルアンモニウムカチオン、2−アミノヘプタン、3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピル)アミン(3,3’−iminobis(N,N−dimethylpropylamine)、およびある種の高分子アミンである。実施例中のゼオライトに関し報告されている最低シリカ/アルミナモル比は、33である。
【0013】
特許文献10には、小結晶SSZ−32ゼオラオト(SSZ−32Xと呼ばれる)が開示されている。これは、酸化ケイ素/酸化アルミニウムのモル比約20:1超〜40:1未満、200〜400Åの小さな広幅旋盤状成分を有する結晶子、および外表面積80〜300m/gmを有すると報告されている。ゼオライトは、N−低級アルキル−N’−イソプロピル−イミダゾリウムカチオンおよびアルキルアミンの混合物を、構造指向剤として用いて製造される。唯一の合成実施例は、シリカ/アルミナモル比29を有するゼオライトを製造した(実施例1を参照)。
【0014】
本発明に従って、ここで、トリクワット−7は、特許文献3に先に例示されるものより高いアルミニウム濃度で、純相MTT骨格タイプゼオライトの製造における指向剤として効果的であることが見出されている。更に、得られた生成物は、低いシリカ/アルミナモル比(典型的には45未満)を有するMTTゼオライトの小結晶の凝集体から構成されるが、これは、高いSi/Al比(100/1超)を有するMTTゼオライト結晶から調製された触媒に比較して、脱ロウ触媒として向上された活性および選択性を有することが見出される。
【0015】
前記の説明は、MTT骨格タイプを有するアルミノシリケートに焦点を合わせているが、同じ骨格タイプを有するモレキュラーシーブを製造することができ、その際アルミニウムの一部または全てが他の3価元素で置換えられ、ケイ素の一部または全てが他の4価元素で置換えられることは、理解されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第4,076,842号明細書
【特許文献2】米国特許第4,490,342号明細書
【特許文献3】米国特許第5,332,566号明細書
【特許文献4】米国特許第5,405,596号明細書
【特許文献5】米国特許第5,053,373号明細書
【特許文献6】米国特許第5,252,527号明細書
【特許文献7】米国特許第6,099,820号明細書
【特許文献8】米国特許第6,692,723号明細書
【特許文献9】米国特許第7,157,075号明細書
【特許文献10】米国特許第7,390,763号明細書
【特許文献11】米国特許第3,354,078号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】「Atlas of Zeolite Framework Types」(第6版、Elsevier、London、England、2007年)
【非特許文献2】「Journal of Catalysis」(第4巻、第527頁、1965年)
【非特許文献3】「Journal of Catalysis」(第6巻、第278頁、1966年)
【非特許文献4】「Journal of Catalysis」(第61巻、第395頁、1980年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
一態様においては、本発明は、MTT骨格タイプモレキュラーシーブを製造する方法に属し、方法は、
(a)前記モレキュラーシーブを形成可能な混合物を調製し、その際前記混合物は、アルカリまたはアルカリ土類金属(M)の素材、三価元素(X)の酸化物、四価元素(Y)の酸化物、水、および式(CHCHCHCH(CHCHCHCH(CHの指向剤(R)を含み、かつモル比で、次の範囲の組成を有する工程
YO/X 45未満
O/YO 5〜100
OH/YO 0.05〜0.5
M/YO 0.05〜0.5
R/YO 0超〜<0.5、および
(b)前記混合物を、前記MTT骨格タイプモレキュラーシーブを製造するのに十分な条件下に保持する工程
を含む。
【0019】
好都合には、混合物のYO/Xモル比は、35未満、好ましくは30未満、典型的には25〜30(未満)である。
【0020】
好都合には、混合物のOH/YOモル比は、0.1〜0.5(未満)、例えば0.2〜0.4(未満)などである。
【0021】
好都合には、R/YOモル比は、0.01〜0.3(未満)、例えば0.01〜0.1(未満)などである。
【0022】
一実施形態においては、Xは、アルミニウムであり、Yはケイ素である。
【0023】
好都合には、混合物は、更に、典型的にはMTT骨格タイプモレキュラーシーブの種結晶を、前記結晶質物質の合成を強化するのに十分な量(少なくとも500ppmなど)で含む。
【0024】
好都合には、前記条件には、温度約150℃〜約200℃が含まれる。
【0025】
更なる態様においては、本発明は、シリカ/アルミナモル比30未満(例えば25〜30未満など)を有するMTT骨格タイプモレキュラーシーブに属する。或いは、本発明は、シリカ/アルミナモル比29未満(例えば25〜29(未満)など)を有するMTT骨格タイプモレキュラーシーブに属する。
【0026】
更なる態様においては、本発明は、パラフィン含有原料を脱ロウするための方法に属し、前記原料を、脱ロウ条件下に、本明細書に記載されるMTT骨格タイプモレキュラーシーブと接触させる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例3のZSM−23生成物のX線回折パターンである。
【図2】実施例3のZSM−23生成物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例4のZSM−23生成物のX線回折パターンである。
【図4】実施例5のZSM−23生成物のX線回折パターンである。
【図5】実施例5のZSM−23生成物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例10〜12のPt含有ZSM−23触媒に対するデカン異性化活性(温度:デカン転化率)を、実施例9のものと比較する。
【図7】実施例10〜12のPt含有ZSM−23触媒に対するデカン異性化活性(デカン転化率:全イソC10異性化体)を、実施例9のものと比較する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書には、低いYO/Xモル比(即ち、高濃度の三価元素X)を有するMTT骨格タイプモレキュラーシーブ、および特に、シリカ/アルミナモル比30未満(例えば25〜30(未満)など)、またはモル比29未満(例えば25〜29(未満)など)を有するアルミノシリケートゼオライトZSM−23が記載される。また、トリクワット−7を構造指向剤として用いる新規モレキュラーシーブを製造する方法、およびモレキュラーシーブを、パラフィン含有原料の異性化における触媒として用いる方法が記載される。
【0029】
低いシリカ/アルミナ比を提供することに加えて、本発明に従って合成されるMTTモレキュラーシーブはまた、80m/g以下などの比較的低い表面積を有する。いかなる特定の理論にも束縛されることなく、より低いシリカ/アルミナ比は、ゼオライトの反応性の増大を導く傾向がある。本発明に従って作製されるゼオライトの低い表面積は、ゼオライトが、反応器内に、より高密度に納まるであろうことを意味する。従って、低いシリカ/アルミナ比および低い表面積の組合せは、先のMTTモレキュラーシーブと比較して、容積当りで、増大された量の触媒活性を提供するであろう。
【0030】
本明細書で製造されるZSM−23は、固有線を有するX線回折パターンを有する。これは、次の表1に述べられる。
【0031】
【表1】

【0032】
これらのX線回折データを、グラファイト回折ビームモノクロメーターおよびシンチレーション計数計を装備したScintag θ−θ粉末回折システムで銅Kα線を用いて収集した。回折データを、2θ=0.05゜(θは、ブラッグ角である)、および各ステップの計数時間1秒でステップ走査することによって記録した。格子面間隔d(オングストローム単位(Å)で計算される)、および線の相対強度I/Io(Ioは、バックグラウンドより上の、最強線の強度の100分の1である)を、プロファイルフィッティング手順(または二次導関数アルゴリズム)を用いて導いた。強度は、ローレンツおよび偏極効果に対して修正されない。相対強度は、記号[vs=非常に強い(75〜100)、s=強い(50〜74)、m=中程度(25〜49)、およびw=弱い(0〜24)]によって与えられる。この試料について単一線として列記される回折データは、多数の重なりあった線からなってもよいことは理解されるべきである。これは、ある条件下(結晶子サイズの差、または非常に高い実験的分解能、または結晶学的変化など)で、解像されるかまたは部分的に解像される線として現れてもよい。典型的には、結晶学的変化には、構造形態の変化なしに、単位格子パラメーターの軽度の変化、および/または結晶対称性の変化が含まれる。これらの軽度の効果(相対強度の変化を含む)はまた、カチオン含有量、骨格組成、細孔充填物の性質およびその程度、並びに熱および/または熱水履歴の差の結果として生じることができる。
【0033】
これによって調製されるMTT骨格タイプモレキュラーシーブは、次のモル関係を含む組成を有する。
nYO:X
式中、Xは、三価元素(アルミニウム、ホウ素、鉄、インジウム、および/またはガリウムなど、好ましくはアルミニウム)であり、Yは、四価元素(ケイ素、スズ、および/またはゲルマニウムなど、好ましくはケイ素)であり、nは、45未満、好ましくは30未満、より好ましくは29未満、例えば25〜29(未満)などである。シリカ/アルミナモル比29未満を有するMTT骨格タイプモレキュラーシーブは、先には合成されていないと考えられる。この低いシリカ/アルミナモル比によって、本ZSM−23は、高い酸活性を有する。典型的にはアルファ値200超を示している。アルファ値試験は、触媒の分解活性の尺度であり、特許文献11、非特許文献2、非特許文献3および非特許文献4に記載されている。それぞれ、その記載に関して、本願明細書に参照により援用される。本明細書で用いられる試験の実験条件には、一定温度538℃および異なる流速が含まれる。この詳細は、非特許4に記載されている。
【0034】
本MTT骨格タイプモレキュラーシーブは、前記モレキュラーシーブを形成可能であり、かつアルカリまたはアルカリ土類金属(M)の素材、三価元素(X)の酸化物、四価元素(Y)の酸化物、水、および式(CHCHCHCH(CHCHCHCH(CHの指向剤(R)(トリクワット−7)を含む反応混合物を初期に製造することによって製造される。その際、反応混合物は、モル比で、次の範囲の組成を有する。
【0035】
【表2】

【0036】
一般に、反応混合物のYO/Xモル比は、30未満、典型的には25〜30(未満)である。一般に、混合物のOH/YOモル比は、0.2〜0.4(未満)であり、R/YOモル比は、0.01〜0.1(未満)である。
【0037】
所望のモレキュラーシーブが、アルミノシリケートゼオライトである場合、上述の反応混合物を製造するのに用いられることができるYOの適切な素材には、コロイドシリカ、沈殿シリカ、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、およびヒュームドシリカが含まれる。同様に、Xの適切な素材には、水和酸化アルミニウム(ベーマイト、ギブサイト、およびプソイドベーマイトなど)、アルミン酸ナトリウム、および酸素含有アルミニウム塩(硝酸アルミニウムなど)が含まれる。アルカリ金属の適切な素材には、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムが含まれる。
【0038】
一実施形態においては、反応混合物はまた、典型的にはMTT骨格タイプモレキュラーシーブの種結晶を、前記結晶質物質の合成を強化するのに十分な量で含む。全反応混合物の少なくとも500ppmなど、例えば少なくとも1,000ppm(少なくとも10,000ppmなど)である。
【0039】
結晶化は、撹拌または静置条件下のいずれか、好ましくは撹拌条件下で、温度約150℃〜約200℃、例えば約160℃〜約180℃などで行われる。一般に、結晶化は、約24〜約300時間、例えば(72〜約200時間など)で行われ、その後得られたZSM−23生成物は、母液から分離され、回収される。一般に、ZSM−23生成物は、平均結晶サイズ約0.02〜約0.5ミクロン、および外表面積80m/g未満を有する小結晶の凝集体の形態である。
【0040】
その合成されたままの形態においては、本方法によって製造されるZSM−23は、指向剤として用いられるトリクワット−7を含む。触媒または吸着剤として用いる前には、合成されたままの物質は、標準的には処理されて、この有機成分の一部または全てが除去される。これは、好都合には、合成されたままの物質を、温度約250℃〜約550℃で1時間〜約48時間加熱することによって達成される。
【0041】
所望される程度まで、合成されたままの物質の最初のナトリウムおよび/またはカリウムカチオンは、当分野で周知の技術に従って、少なくとも一部が、他のカチオンとイオン交換することによって置換されることができる。好ましい置換カチオンには、金属イオン、水素イオン、水素前駆体(例えば、アンモニウムイオン)、およびそれらの混合物が含まれる。特に好ましいカチオンは、ある種の炭化水素転化反応に対する触媒活性を調整するものである。これらには、水素、希土類金属、並びに元素周期律表の第IIA、IIIA、IVA、VA、IB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、およびVIII族の金属が含まれる。
【0042】
本方法によって製造される結晶質モレキュラーシーブは、吸着剤または触媒のいずれかとして有機化合物転化プロセスで用いられる場合には、少なくとも一部が、脱水されるべきである。これは、雰囲気(空気または窒素など)中で温度200℃〜約370℃へ、大気圧、準大気圧、または超大気圧で30分〜48時間加熱することによってなされることができる。脱水はまた、単にZSM−23を減圧中に置くことによって、室温で行われることができる。しかし、より長い時間が、十分量の脱水を得るのに必要とされる。
【0043】
これに従って調製された合成ZSM−23結晶は、合成されたままの形態、水素形態、若しくは他の一価または多価カチオン形態のいずれかで用いられることができる。それはまた、水素添加成分との本質的な組合せで用いられることができ、水素添加成分としてはタングステン、バナジウム、モリブデン、レニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、または貴金属(白金またはパラジウムなど)であり、その際水素添加−脱水素機能が行われる。これらの成分は、組成物中に交換されるか、その中に含浸されるか、またはそれと物理的に完全混合されることができる。これらの成分は、例えば白金の場合には、物質を、白金金属含有イオンを用いて処理することによって、ZSM−23中またはその上に含浸されることができる。この目的に適切な白金化合物には、塩化白金酸、塩化第一白金、および白金アミン錯体を含む種々の化合物が含まれる。金属の組合せ、およびそれらを導入するための方法がまた、用いられることができる。
【0044】
触媒として用いられる場合には、本ZSM−23を、ある種の有機転化プロセスで用いられる温度および他の条件に耐性のある他の物質と混ぜることは、望ましくてもよい。これらの母材物質には、活性および不活性物質、および合成または天然のゼオライト、並びに無機物質が含まれ、クレー、シリカ、および/または金属酸化物などであり、例えば、アルミナ、チタニア、および/またはジルコニアである。後者は、天然のままであるか、若しくはゼラチン状沈殿物、ゾル、またはゲルの形態(シリカおよび金属酸化物の混合物を含む)のいずれであってもよい。物質をZSM−23と組み合わせて用いること、即ちそれらと結合された物質(活性である)を用いることは、ある種の有機転化プロセスにおける触媒の転化率および/または選択性を高めてもよい。不活性物質は、適切に希釈剤として資して、所定のプロセスにおける転化量が制御され、そのために生成物は、反応速度(the rate or reaction)を制御するための他の手段を用いることなく、経済的かつ系統的に得られることができる。しばしば、結晶質触媒物質は、天然のクレー(例えば、ベントナイトおよびカオリン)中に組込まれている。これらの物質(即ち、クレー、酸化物等)は、ある程度、触媒に対する結合剤として機能する。良好な破砕強度を有する触媒を提供することが望ましい。何故なら、石油製油所においては、触媒は、しばしば、乱暴に取扱われ、処理中に問題を引起こすような粉末状物質に粉砕される傾向があることからである。
【0045】
これによって合成される結晶質物質と複合化されることができる天然クレーには、モンモリロナイトおよびカオリン系が含まれる。これには、サブベントナイト、およびカオリン(普通には、ディクシー、マクナミー、ジョージア、およびフロリダクレーとして知られる)、または主鉱物成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、またはアナウキサイトまたは他のものが含まれる。これらのクレーは、本来採掘された未処理状態で用いられるか、または最初に、焼成、酸処理、または化学的修飾に付されることができる。
【0046】
前述の物質に加えて、本モレキュラーシーブは、多孔質母材物質と複合化されることができる。シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チアニア、並びにシリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシア、およびシリカ−マグネシア−ジルコニアなどである。母材は、共ゲルの形態であることができる。これらの成分の混合物も用いられることができる。
【0047】
MTTモレキュラーシーブおよび母材の相対的比率は、幅広く異なってもよく、シーブの含有量は、組成物の約1〜約90wt%、より通常には約2〜約80wt%である。種々の実施形態においては、触媒のシーブ含有量は、約90wt%以下、または約85%以下、または約80%以下、または約70%以下であることができる。シーブの含有量は、少なくとも約1wt%、または少なくとも約2%、または少なくとも5%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%であることができる。
【0048】
本明細書で製造されるアルミノシリケートZSM−23は、有機化合物(特に炭化水素)の転化反応における触媒として有用である。その際、高活性が重要である。特に、水素添加成分(白金、パラジウム、またはレニウムなど)と組合される場合には、ZSM−23は、パラフィン質炭化水素原料材の異性化脱ロウで有用である。
【0049】
本触媒を用いて脱ロウされることができる原料材は、比較的軽質の留出油留分(灯油およびジェット燃料など)から高沸点材(全原油石油、抜頭原油、減圧塔残渣、サイクル油、合成原油(例えば、シェール油、タールサンド油(tars and oil)等)、ガス油、減圧ガス油、フーツ油、フィッシャー−トロプシュ誘導ワックス、および他の重油など)である。単独であるか、または極僅かに分枝された鎖状のパラフィンを有する、直鎖n−パラフィン(炭素原子16個以上を有する)は、しばしば、ワックスと呼ばれる。原料材は、しばしば、一般に約350°F(177℃)超で沸騰するC10原料材であろう。何故なら、より軽質の油は、通常、実質量のワックス質成分を含まないからである。しかし、触媒は、特には、ワックス質留出油材に対して有用である。ガス油、灯油、およびジェット燃料、潤滑油材、加熱油、および他の留出油留分を含む中間留出油材などであり、その流動点および粘度は、ある種の規格限界内に維持されることが必要である。潤滑油材は、一般に、230℃(450°F)超、より通常には315℃(600°F)超で沸騰するであろう。水素処理材は、この種類の、およびまた他の留出油留分の好都合な素材である。何故なら、それらは、標準的には、実質量のワックス質n−パラフィンを含むからである。原料材は、標準的には、パラフィン、オレフィン、ナフテン、芳香族および複素環式化合物を含むC10原料材であり、実質的な比率の、より高分子量のn−パラフィンおよび僅かに分枝されたパラフィン(原料材のワックス質の性質に寄与する)を有するであろう。処理中には、n−パラフィンは、分枝パラフィンへ異性化される。しかしまた、いくらかの分解または水素化分解を経て、液体範囲の物質(低粘度生成物の一因である)が形成される。生じる分解の程度は、しかし、限定され、そのために原料材のそれより低沸点を有する生成物の収率は低減され、従って原料材の経済的価値が保持される。
【0050】
異性化/脱ロウプロセスが行われる条件には、一般に、約392°F〜約800°F(200℃〜427℃)の範囲内に入る温度、および圧力約15〜約3000psig(204〜20771kPa)が含まれる。より好ましくは、圧力は、約100〜約2500psig(790〜17339kPa)である。接触中の液空間速度は、一般に、約0.1〜約20、より好ましくは約0.1〜約5である。接触は、好ましくは、水素の存在下に行われる。水素/炭化水素比は、好ましくは、炭化水素1バレル当たりH約2000〜約10,000標準立方フィートの範囲内に入り、より好ましくは炭化水素1バレル当たりH約2500〜約5000標準立方フィートである。
【0051】
本発明は、ここで、より詳しく、次の実施例および添付の図面を引用して記載されるであろう。
【実施例】
【0052】
実施例1:HA−ZSM−23の調製
混合物を、水975g、トリクワット−7溶液(40%)75g、ルドックス(Ludox)HS−40コロイドシリカ180g、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)10.8g、および50%水酸化ナトリウム溶液22.8gから調製した。HA−ZSM−23種結晶(SiO/Al約40/1)10gを、次いで混合物へ添加した。混合物は、次のモル組成を有した。
SiO/Al 約45
O/SiO 約53
OH/SiO 約0.32
Na/SiO 約0.32
トリクワット−7/SiO 約0.07
【0053】
混合物を、2リットルのオートクレーブ中338゜F(170℃)で、250RPMで撹拌しながら120時間反応させた。生成物を、ろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、250゜F(120℃)で乾燥した。合成されたままの物質のXRDパターンは、ZSM−23トポロジーの典型的な相を示した。合成されたままの物質のSEMは、物質が小結晶の凝集体からなったことを示した。得られたZSM−23結晶は、SiO/Alモル比約41を有した。
【0054】
実施例2:Ti含有HA−ZSM−23の調製
混合物を、水975g、トリクワット−7溶液(40%)75g、ルドックスHS−40コロイドシリカ180g、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)10.8g、チタンエトキシド7g/イソープロパノール20g中、および50%水酸化ナトリウム溶液22.8gから調製した。次いで、HA−ZSM−23種結晶(SiO/Al約40/1)10gを、混合物へ添加した。混合物は、次のモル組成を有した。
SiO/Al 約44
O/SiO 約53
OH/SiO 約0.32
Na/SiO 約0.32
トリクワット−7/SiO 約0.07
【0055】
混合物を、2リットルのオートクレーブ中338゜F(170℃)で、250RPMで撹拌しながら120時間反応させた。生成物を、ろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、250゜F(120℃)で乾燥した。合成されたままの物質のXRDパターンは、ZSM−23トポロジーの典型的な相を示した。合成されたままの物質のSEMは、物質が小結晶の凝集体からなったことを示した。合成されたままの結晶を、硝酸アンモニウム溶液を用いて室温で三回イオン交換し、引続いて250゜F(120℃)で乾燥し、1000゜F(540℃)で6時間焼成することによって水素型に転換した。得られたZSM−23結晶は、SiO/Alモル比約44を有し、1.48wt%のTiを含んだ。
【0056】
実施例3:HA−ZSM−23の調製
混合物を、水975g、トリクワット−7溶液(40%)75g、ルドックスHS−40コロイドシリカ180g、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)14.4g、および50%水酸化ナトリウム溶液22.8gから調製した。HA−ZSM−23種結晶(SiO/Al約40/1)10gを、次いで混合物へ添加した。混合物は、次のモル組成を有した。
SiO/Al 約33
O/SiO 約49
OH/SiO 約0.33
Na/SiO 約0.33
トリクワット−7/SiO 約0.07
【0057】
混合物を、2リットルのオートクレーブ中338゜F(170℃)で、250RPMで撹拌しながら120時間反応させた。生成物を、ろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、250゜F(120℃)で乾燥した。合成されたままの物質のXRDパターン(図1)は、ZSM−23トポロジーの典型的な相を示した。合成されたままの物質のSEM(図2)は、物質が小結晶の凝集体からなったことを示した。合成されたままの結晶を、硝酸アンモニウム溶液を用いて室温で三回イオン交換し、引続いて250゜F(120℃)で乾燥し、1000゜F(540℃)で6時間焼成することによって水素型に転換した。得られたZSM−23結晶は、SiO/Alモル比約31を有した。
【0058】
実施例4:HA−ZSM−23の調製
混合物を、水1000g、トリクワット−7溶液(40%)75g、ウルトラシル(Ultrasil)シリカ80g、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)14.4g、および50%水酸化ナトリウム溶液25gから調製した。次いで、HA−ZSM−23種結晶(SiO/Al約40/1)10gを、混合物へ添加した。混合物は、次のモル組成を有した。
SiO/Al 約33
O/SiO 約49
OH/SiO 約0.33
Na/SiO 約0.33
トリクワット−7/SiO 約0.07
【0059】
混合物を、2リットルのオートクレーブ中338゜F(170℃)で、250RPMで撹拌しながら120時間反応させた。生成物を、ろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、250゜F(120℃)で乾燥した。合成されたままの物質のXRDパターン(図3)は、ZSM−23トポロジーの典型的な相を示した。合成されたままの物質のSEMは、物質が小結晶の凝集体からなったことを示した。得られたZSM−23結晶は、SiO/Alモル比約30を有した。
【0060】
実施例5:HA−ZSM−23の調製
混合物を、水1134g、トリクワット−7溶液(40%)94.5g、ウルトラシルシリカ100.8g、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)20.5g、および50%水酸化ナトリウム溶液22gから調製した。次いで、HA−ZSM−23種結晶(SiO/Al約40/1)10gを、混合物へ添加した。混合物は、次のモル組成を有した。
SiO/Al 約29
O/SiO 約48
OH/SiO 約0.26
Na/SiO 約0.26
トリクワット−7/SiO 約0.07
【0061】
混合物を、2リットルのオートクレーブ中338゜F(170℃)で、250RPMで撹拌しながら120時間反応させた。生成物を、ろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、250゜F(120℃)で乾燥した。合成されたままの物質のXRDパターン(図4)は、ZSM−23トポロジーの典型的な相を示した。合成されたままの物質のSEM(図5)は、物質が小さな細長い結晶の凝集体からなったことを示した。得られたZSM−23結晶は、SiO/Alモル比約29を有した。
【0062】
実施例6:HA−ZSM−23の調製
混合物を、水1134g、トリクワット−7溶液(40%)95g、ウルトラシルシリカ101g、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)22g、および50%水酸化ナトリウム溶液21gから調製した。次いで、HA−ZSM−23種結晶(SiO/Al約40/1)10gを、混合物へ添加した。混合物は、次のモル組成を有した。
SiO/Al =28
O/SiO =44
OH/SiO =0.26
Na/SiO =0.26
トリクワット−7/SiO =0.07
【0063】
混合物を、2リットルのオートクレーブ中338゜F(170℃)で、250RPMで撹拌しながら144時間反応させた。生成物を、ろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、250゜F(120℃)で乾燥した。合成されたままの物質のXRDパターンは、ZSM−23トポロジーの典型的な相を示した。合成されたままの物質のSEMは、物質が小結晶の凝集体からなったことを示した。得られたZSM−23結晶は、SiO/Alモル比約27を有した。
【0064】
実施例7:HA−ZSM−23の調製
混合物を、水1134g、トリクワット−7溶液(40%)70g、ウルトラシルシリカ100.8g、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)20.5g、および50%水酸化ナトリウム溶液20gから調製した。次いで、HA−ZSM−23種結晶(SiO/Al約40/1)10gを、次いで混合物へ添加した。混合物は、次のモル組成を有した。
SiO/Al 約29
O/SiO 約44
OH/SiO 約0.25
Na/SiO 約0.25
トリクワット−7/SiO 約0.05
【0065】
混合物を、2リットルのオートクレーブ中338゜F(170℃)で、250RPMで撹拌しながら120時間反応させた。生成物を、ろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、250゜F(120℃)で乾燥した。合成されたままの物質のXRDパターンは、ZSM−23トポロジーの典型的な相を示した。合成されたままの物質のSEMは、物質が小結晶の凝集体からなったことを示した。合成されたままのZSM−23結晶は、SiO/Alモル比約26を有した。
【0066】
実施例8:HA−ZSM−23の調製
混合物を、水1134g、トリクワット−7溶液(40%)95g、ウルトラシルシリカ101g、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)22g、および50%水酸化ナトリウム溶液25gから調製した。次いで、HA−ZSM−23種結晶(SiO/Al約40/1)10gを、混合物へ添加した。混合物は、次のモル組成を有した。
SiO/Al 約27
O/SiO 約44
OH/SiO 約0.29
Na/SiO 約0.29
トリクワット−7/SiO 約0.07
【0067】
混合物を、2リットルのオートクレーブ中338゜F(170℃)で、250RPMで撹拌しながら168時間反応させた。生成物を、ろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、250゜F(120℃)で乾燥した。合成されたままの物質のXRDパターンは、ZSM−23トポロジーの典型的な相を示した。合成されたままの物質のSEMは、物質が小さな細長い結晶の凝集体からなったことを示した。得られたZSM−23結晶は、SiO/Alモル比約26を有した。
【0068】
実施例9(比較例):0.6%Pt担持/65[ZSM−23(SiO/Al〜135/1)]/35Al触媒
SiO/Alモル比135を有するZSM−23(65%)、およびアルミナ(35%)を押出し成形して、試験用触媒が形成された。押出し成形物を、窒素中900゜F(482℃)で3時間焼成し、次いで空気焼成装置へ切替えて、1000゜F(540℃)で6時間焼成した。押出し成形物を、次いで1N硝酸アンモニウム溶液を用いてアンモニウム交換し、引続いて白金交換して0.6wt%充填が達成された。白金含有触媒を、空気中715゜F(379℃)で4時間焼成した。
【0069】
実施例10:0.6%Pt担持ペレット化/サイジング化65%[実施例1からのZSM−23(SiO/Al約40/1)]/アルミナ触媒
実施例1から得られた触媒を、デカン異性化評価用触媒に形成した。ゼオライトを、窒素中で予備焼成(540℃で3時間)し、1N硝酸アンモニウム溶液を用いてアンモニウム交換し、空気中で最終焼成(540℃で6時間)して、そのH型へ転換した。H型結晶を、次いでアルミナと共に、65%H−ZSM−23/35%アルミナ比でペレット化し、14/24メッシュへ分粒し、引続いて空気中で焼成(540℃で6時間)して、擬ベーマイト(pseudobohemite)アルミナが、ガンマ相へ転化された。分粒された物質を、次いで、初期湿潤により、テトラアンミン硝酸白金溶液を用いて0.6wt%Ptへ含浸し、空気中360℃で3時間焼成した。
【0070】
実施例11:0.6%Pt担持ペレット化/サイジング化65%[実施例3からのZSM−23(SiO/Al約32/1)]/アルミナ
実施例3からの触媒を、デカン異性化評価用触媒に形成した。ゼオライトを、窒素中で予備焼成(540℃で3時間)し、1N硝酸アンモニウム溶液を用いてアンモニウム交換し、空気中で最終焼成(540℃で6時間)して、そのH型へ転換した。H型結晶を、次いでアルミナと共に、65%H−ZSM−23/35%アルミナ比でペレット化し、14/24メッシュへ分粒し、引続いて空気中で焼成(540℃で6時間)して、擬ベーマイトアルミナが、ガンマ相へ転化された。分粒された物質を、次いで、初期湿潤により、テトラアンミン硝酸白金溶液を用いて0.6wt%Ptへ含浸し、空気中360℃で3時間焼成した。
【0071】
実施例12:0.6%Pt担持ペレット化/サイジング化65%[実施例5からのZSM−23(SiO/Al約29/1)]/アルミナ
実施例5からの触媒を、デカン異性化評価用触媒に形成した。ゼオライトを、窒素中で予備焼成(540℃で3時間)し、1N硝酸アンモニウム溶液を用いてアンモニウム交換し、空気中で最終焼成(540℃で6時間)して、そのH型へ転換した。H型結晶を、次いでアルミナと共に、65%H−ZSM−23/35%アルミナ比でペレット化し、14/24メッシュへ分粒し、引続いて空気中で焼成(540℃で6時間)して、擬ベーマイトアルミナが、ガンマ相へ転化された。分粒された物質を、次いで、初期湿潤により、テトラアンミン硝酸白金溶液を用いて0.6wt%Ptへ含浸し、空気中360℃で3時間焼成した。この触媒の低いシリカ/アルミナ比は、所望レベルのイオン交換を達成することの困難性を増大してもよいことに注目されたい。
【0072】
実施例13:実施例9、10、および11からの触媒のデカン異性化結果
デカン異性化試験は大気圧で行われ、反応器槽は石英である。触媒は、粉砕され、14/25メッシュへ分粒される。分粒された触媒1gが、この試験に用いられる。試料を、先ず、窒素下に500゜F(260℃)へ加熱し、引続いて水素中大気圧下で3時間還元する。温度を、次いで325゜F(163℃)へ下げ、原料流を開始する。原料は、水素(200cc/分)および液体n−デカン(0.548cc/時)からなり、それぞれ、MFCおよびISCOポンプによって供給される。触媒を、この温度でラインアウトした後、反応器からの生成物は、オンラインGCによって分析され、次の設定温度が達成される。各触媒を、325゜F(163℃)〜495゜F(257℃)の9個の異なる温度の全てで、評価する。図6および図7は、実施例9、10、11、および12から触媒について、デカン異性化性能を示す。図6は、物質の活性を示し、一方図7は、物質の異性化選択性を示す。実施例10〜12の低いSi/AlのZSM−23触媒は、実施例9の高いSi/Al比(約135/1)のZSM−23触媒より、活性であり、かつ重要なことには、より選択的である。
【0073】
本発明は、特定の実施形態に関して記載および例証されるものの、当業者は、本発明が、本明細書に必ずしも例証されない変更に役立つことを理解するであろう。この理由で、やはり、添付の請求は、単に、本発明の真の範囲を決定する目的に対して参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MTT骨格タイプモレキュラーシーブを製造する方法であって、
(a)前記モレキュラーシーブを形成可能な混合物を調製する工程であって、
前記混合物は、アルカリまたはアルカリ土類金属(M)源、三価元素(X)の酸化物、四価元素(Y)の酸化物、水および式(CHCHCHCH(CHCHCHCH(CHの指向剤(R)を含み、それらの組成は、モル比で次の範囲:
YO/X 45未満
O/YO 5〜100
OH/YO 0.05〜0.5
M/YO 0.05〜0.5
R/YO 0超〜<0.5、および
である工程
(b)前記混合物を、前記MTT骨格タイプモレキュラーシーブを製造するのに十分な条件下に保持する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記YO/Xモル比は、35未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記YO/Xモル比は、30未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記YO/Xモル比は、25〜30(未満)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記OH/YOモル比は、0.1〜0.5(未満)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記OH/YOモル比は、0.2〜0.4であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記R/YOモル比は、0.01〜0.3(未満)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記R/YOモル比は、0.01〜0.1(未満)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記Xはアルミニウムであり、前記Yはケイ素であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物は更に、種結晶を、前記結晶質物質の合成を強化するのに十分な量で含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記種結晶は、MTT骨格タイプモレキュラーシーブを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物は、前記種結晶少なくとも500ppmを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記条件は、温度150℃〜200℃を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
シリカ/アルミナモル比45未満、外表面積80m/g未満を有することを特徴とするMTT骨格タイプアルミノシリケートモレキュラーシーブ。
【請求項15】
前記シリカ/アルミナモル比は、35未満であることを特徴とする請求項14に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項16】
前記シリカ/アルミナモル比は、30未満であることを特徴とする請求項14に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項17】
パラフィン含有原料を脱ロウする方法であって、
前記原料を、脱ロウ条件下に、請求項14に記載のMTT骨格タイプアルミノシリケートモレキュラーシーブと接触させる工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
シリカ/アルミナモル比25〜30(未満)を有することを特徴とするMTT骨格タイプアルミノシリケートモレキュラーシーブ。
【請求項19】
前記モレキュラーシーブの外表面積は、80m/g未満であることを特徴とする請求項18に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項20】
パラフィン含有原料を脱ロウする方法であって、
前記原料を、脱ロウ条件下に、請求項18に記載のMTT骨格タイプアルミノシリケートモレキュラーシーブと接触させる工程
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−512117(P2012−512117A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540713(P2011−540713)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/006558
【国際公開番号】WO2010/074722
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】