説明

高温エアロゾル用触媒化学冷却剤およびその製造方法

熱エアロゾル消火装置用触媒冷却剤およびその製造方法である。冷却剤は、主に熱吸収材料および冷却材料、触媒添加剤、加工助剤および粘着剤を含む。消火剤の有毒性を低下させ、環境安全性を高めるように、特定の材料およびその割合を選択することにより、触媒タイプの冷却剤は、従来技術と比較して、高い強度および良好な冷却効果を有し、消火剤の二次損害を減少させることができ、消火剤の生成物における有毒ガス含有量を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火分野におけるガス炎抑制の技術分野に属し、熱エアロゾルでの消火中の有害ガス冷却用冷却剤およびその調製方法に関し、特に、優れた冷却効果を備えた触媒冷却剤およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱エアロゾル火炎抑制剤の開始剤は、1種の起爆剤(pyrotechnic composition)であり、熱エアロゾル火炎抑制剤を放出する(release)場合に、強力な燃焼反応を有し、多量の熱を放出する。二次火災を回避するためには、火炎抑制剤を冷却させなければならない。従来技術において、一般的な冷却方法は、内部化学冷却、外部化学冷却、冷却媒体または低温源を備えた外部物理冷却、構造設計による外部物理冷却および物理冷却剤を備えた外部物理冷却などを含む。
【0003】
特許出願番号CN1593695Aにおいて、構造設計による外部物理冷却方法が開示され、その方法は、火炎および熱を熱エアロゾル火炎抑制剤から遮断し、断熱するために難燃剤バッフルおよび箱を利用する;しかしながら、装置が大きすぎであり、二次火災の危険が依然として存在する。
【0004】
特許出願番号CN101156981Aにおいて、高圧二酸化炭素放出を伴う吸熱効果による火炎抑制剤冷却用冷却方法が開示されている。しかしながら、その方法は、以下の欠点を有する:熱エアロゾル火炎抑制剤の放出と低温源の操作を同期することは難しく;結果として、火炎抑制剤の放出の後期において、火炎抑制剤は冷却されずに放出され得、したがって、火炎および高温残留物が噴出し、二次火災を引き起こし得;さらに、装置はより複合的であり、維持コストがより高い。
【0005】
特許出願番号CN1600391Aにおいて、原材料としてフェノールアルデヒドと冷却剤を、異なる混合比で結合することにより製造された、4〜8mmの孔を有する冷却ケーキを利用する外部化学冷却方法が開示されている。熱エアロゾル冷却方法により、異なる混合比で製造された冷却ケーキを、火炎抑制装置における4層に投入する。ここで、第1の層および第4の層を、主に硫酸カルシウム、ゼオライト、酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムからなる冷却ケーキで充填し;第2の層を、主に炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カリウムおよび重炭酸ナトリウムからなる冷却ケーキで充填し;第3の層を、主に炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛および水酸化銅からなる冷却ケーキで充填する。しかしながら、冷却剤は、以下の欠点を有する:冷却剤は、高温で、有毒なSOを発生させ得、したがって、環境に優しくなく;冷却ケーキは、低強度および乏しい振動強度を有し、容易に壊れ得;冷却効果が、不十分であり;大量のアルカリ金属化合物が、吸熱分解中に発生し得、したがって、火炎抑制の二次障害を引き起こす。
【0006】
既知の熱エアロゾル冷却剤が、特許RD 208627(1997年8月10日)に開示され、熱エアロゾル冷却剤は、以下の材料から作られている:ニトロセルロース、可塑剤、安定剤、触媒、加工助剤および熱吸収剤:25〜45%の塩基性炭酸マグネシウムまたはシュウ酸アンモニウムあるいは塩基性リン酸マグネシウムである。冷却剤の欠点は:吸熱冷却材料の含有量が低く、したがって、冷却効果が満足できるものではない;冷却剤は、低強度および乏しい振動強度を有し、容易に壊れ得、冷却チャンネルを塞ぎ、火炎抑制剤が放出される際に、爆発の危険を引き起こす;例えば、ニトロセルロース、可塑剤および安定剤などの構成成分は、例えば、CO、NO、NHおよびHCNなどの有毒ガスを、高温で放出し得る;塩基性炭酸塩が分解する際に、大量の水が放出され、保護される物質上に粘性のある導電性液体膜を形成して、二次障害を引き起こす;ことにある。
【0007】
類似の特性を備えた他の熱エアロゾル冷却剤は、特許出願番号RU 2120318(1998年10月20日)、RU 2166975(2001年5月20日)、RU 2142306(1999年12月10日)、RU 2142835(1999年12月20日)、 PCT/RU 2004/000342(2004年9月3日、中国特許出願番号CN 1845770A)などに開示された熱エアロゾル冷却剤を含む。
上記の冷却剤は、異なる特徴を有するが、それら全ては、高い火炎抑制有効性、有毒ガスの制御、二次障害の減少および冷却効果などの観点から、火炎抑制の総合的に高い性能を確保することができない。
【発明の概要】
【0008】
従来技術の欠点の観点から、本発明は、熱エアロゾル火炎抑制剤を安全な放出温度まで効果的に冷却するだけでなく、以下の目的を実現する、一種の冷却剤およびその調製方法を提供する:
1)主要な原材料は、冷却効率を向上させるように、低温で大量の熱を吸収し、分解できる冷却材料であり;
2)火炎抑制の二次障害の可能性が減少するように、結果として得られる水分および吸熱反応後に水分吸収性生成物を生成する構成成分が減少でき;
【0009】
3)火炎抑制剤中の、例えば、CO、NO、NH、HCNなどの有毒ガス含有量を減少させ、むしろ取り除いて環境の安全性を高めるように、触媒添加剤を、選択することができ;
4)冷却剤の分解生成物および火炎抑制剤への触媒添加剤の触媒効果により、火炎抑制剤中の活性構成成分含有量を増加させることができ、それにより熱エアロゾル火炎抑制剤の火炎抑制有効性を向上させることができ;
5)有機結合剤、無機結合剤、吸熱冷却材料、触媒添加剤、および表面被覆剤などの構成成分を、適宜組み合わせて、冷却剤の強度および表面の滑らかさを増加させ、冷却剤の振動強度を向上させることができる。
【0010】
本発明の理想的かつ技術的解決を、以下に記載する:
本発明における熱エアロゾル用触媒熱化学冷却剤は、吸熱冷却材料、触媒添加剤、加工助剤、結合剤を含み、化学冷却剤の構成成分含有量が:
吸熱冷却材料:50〜95重量%
触媒添加剤:1〜30重量%
加工助剤:0.5〜5重量%
結合剤:2〜6重量%
であることを特徴とする。
【0011】
吸熱冷却材料は、炭酸マンガン、シュウ酸マンガン、リン酸マンガン、マンガン酸カリウム、過マンガン酸カリウム、または炭酸マンガンおよび補助冷却剤からなる複合的吸熱冷却材料であり、補助冷却剤は、第I族、第II族または遷移族の金属の炭酸塩、塩基性炭酸塩およびシュウ酸塩であり、複合的吸熱冷却材料において、炭酸マンガンの割合は、50重量%以上であり;触媒添加剤は、金属酸化物または金属水酸化物であり;加工助剤は、ステアレート、グラファイトまたはその混合物であり;結合剤は、アルカリ金属ケイ酸塩および水可溶性高重合体の複合溶液である。
【0012】
本発明における熱エアロゾル用触媒化学冷却剤は、さらに、メチロールセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースフィルム材料製で、0〜2重量%の割合を占める、材料表面被覆剤を含む。
本発明における熱エアロゾル用触媒化学冷却剤において、吸熱冷却材料は、好ましくは、炭酸マンガンであり;触媒添加剤は、好ましくは、銅、亜鉛、鉄、マグネシウムもしくはニッケル酸化物および/または銅、亜鉛、鉄、マグネシウムもしくはニッケル水酸化物である。
【0013】
本発明における熱エアロゾル用触媒化学冷却剤において、結合剤は、好ましくは、ケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製されるか、またはケイ酸ナトリウムおよびセルロースカリウム(cellulose potassium)から調製される複合溶液である。
本発明における熱エアロゾル用触媒化学冷却剤の構成成分含有量は、保護する範囲内で、技術的要件および機能的実用性により決定することができる。
【0014】
本発明における熱エアロゾル用触媒化学冷却剤は、集合体、錠剤、ペレットまたは短冊およびハニカム形状であり得、別々にまたは物理冷却剤と組み合わせて使用することができ、ここで、錠剤形状の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤は、以下のステップを通して調製することができる:
【0015】
ステップ1:適切な割合で、炭酸マンガンまたは炭酸マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、次いでそれらを高速混合ペレタイザー中に投入し、それらを5〜25分間高速で撹拌して混合する;
ステップ2:適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、2〜10分間低速で撹拌し、次いで、高速せん断撹拌で5〜25分間ペレット化する;
【0016】
ステップ3:得られた混合物を、50℃〜80℃のオーブン中で2〜6時間乾燥し、取り出し、タンク撹拌機中に投入し、適切な重量のステアリン酸亜鉛を添加し、3〜10分間撹拌する;
ステップ4:混合物を回転錠剤機に投入し、混合物を、100〜300MPaで、非貫通の(non-penetrating)金型で錠剤に圧縮する;
ステップ5:錠剤をウォーターチェストナッツ糖被覆機中に投入し、錠剤を、適切な重量のヒドロキシエチルセルロース溶液中で、50〜150℃および20〜50r/分の条件下で被覆する。
【0017】
結節形状の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤を、以下のステップを通して調製することができる:
ステップ1:適切な割合で、炭酸マンガン、酸化亜鉛および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、次いでそれらを高速混合ペレタイザー中に投入し、それらを5〜25分間高速で撹拌して混合する;
ステップ2:得られた混合物をウォーターチェストナッツペレタイザー中に投入し、適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、80〜120℃および20〜50r/分の条件下でペレットを製造する;
ステップ3:材料を、直径約10mmのペレット中に製造した後、適切な重量のヒドロキシエチルセルロース溶液中で、ペレットを被覆する。
【0018】
短冊形状の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤を、以下のステップを通して調製することができる:
ステップ1:適切な割合で、炭酸マンガン、酸化亜鉛および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、次いでそれらを高速混合ペレタイザー中に投入し、それらを5〜25分間高速で撹拌して混合する;
ステップ2:適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、2〜10分間低速で撹拌し、次いで、高速せん断撹拌で5〜15分間錠剤化する;
【0019】
ステップ3:得られた粒子を直ちに押し出し機に投入し、各短冊において、直径1〜4mmの穴を2〜8個有する、直径4〜10mmの短冊に、粒子を60〜100Mpaの圧力で押し出し、
ステップ4:短冊を4〜10mmの高さの円柱に切断し、円柱を40〜80℃のオーブン中で2〜6時間乾燥し、次いで取り出す。
【0020】
他の類似の冷却剤と比較して、本発明により保護される熱エアロゾル用触媒化学冷却剤は、以下の明らかな利点を有する:
【0021】
1.炭酸マンガンまたは他の過マンガン酸化物が、吸熱冷却材料として好ましく、例えば、酸化亜鉛または水酸化亜鉛などの金属酸化物または水酸化物が、触媒添加剤として好ましい。
炭酸マンガンは、優れた吸熱冷却効果を有し、500℃で完全に分解することができ、546J/gまで熱を吸収する。例えば、酸化マンガンおよび酸化亜鉛などの分解物から生じる金属酸化物は、一緒に作用して、例えば、CO、NO、NH、HCNなどの、火炎抑制剤から生じる有毒ガスを、触媒的酸化または分解により減少させ、またはむしろ取り除いて、それにより有毒性を減少させる。同時に、上記の物質は、火炎抑制剤と接触する際に、火炎抑制剤中で固体粒子と結合して、それにより、火炎抑制の間に顕著な触媒効果を提供し、火炎抑制剤の火炎抑制有効性を向上させる。これまで、主要な吸熱冷却材料として、炭酸マンガンまたはシュウ酸マンガン、リン酸マンガンおよびマンガン酸カリウムを使用した報告は未だ見つかっていない。
【0022】
2.アルカリ金属ケイ酸塩および水可溶性高重合体から調製された複合溶液が、結合剤として好ましい。
複合結合剤は、高脆性、低延性、乏しい耐熱性および乏しい振動強度などの、単一の無機結合剤での組成系の欠点を克服する。複合材料は、少量の複合結合剤を添加されたとしても、高密度および高強度を有するであろう。
【0023】
3.メチロールセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースフィルム材料は、表面被覆剤として好ましい。
表面被覆剤は、組成系の表面の滑らかさを向上させ、さらに、組成系の強度、耐摩耗性および耐振性を増加させ、冷却剤が壊れることを防ぎ、輸送過程において火炎抑制装置からこぼれ出ることを防ぐ。
【0024】
4.組成系における元素Hの含有量が低いため、反応においてごくわずかな量のみの水分が生じ;さらに、組成物の分解生成物は、水分を吸収しやすく、高度に溶解可能な、いかなる物質も含有せず、生成物は、火炎抑制剤、環境およびそれ自身中における水分と結合せず、したがって、粘性のある導電性液体膜(液滴)を形成せず;したがって、腐食は減少し、火炎抑制の二次障害が減少するか、または増加しない。さらに、組成系は、元素Nを含有しないため、火炎抑制剤の有毒性を増加させる、例えば、NO、NHまたはHCNなどの有毒ガスを発生させない。
【0025】
5.組成物は、錠剤化、金型プレスまたは押し出しプロセスにより、集合体、錠剤、ペレットまたは短冊およびハニカム形状に調製することができ、別々にまたは物理冷却剤と組み合わせて使用することができる。
本発明における熱エアロゾル用触媒化学冷却剤は、以下の効果を同時に達成できる:高い冷却有効性、本質的に無水分および水分吸収生成物、および火炎抑制剤への二次障害を減少させることができるか、増加させない;触媒的酸化により火炎抑制剤の有毒性を減少させ、環境の安全性を高める;火炎抑制剤中の活性構成成分および著しい触媒効果を増加させることにより、火炎抑制剤の火炎抑制有効性を高める;有機/無機結合剤および被覆剤の表面被覆の組み合わせにより、冷却剤の強度および表面の滑らかさを増加させ、冷却剤の振動強度を向上させる。
【0026】
態様の詳細な説明
態様1
以下の割合で冷却剤を調製する:
炭酸マンガン 80重量%
酸化亜鉛 5重量%
酸化鉄 5重量%
塩基性炭酸マグネシウム 5重量%
ケイ酸ナトリウム 2.5重量%
ポリビニルアルコール 1重量%
ヒドロキシエチルセルロース 1重量%
ステアリン酸亜鉛 0.5重量%
【0027】
冷却剤を調製するプロセスは、以下のとおりである:適切な割合で、炭酸マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、高速混合ペレタイザー中に投入し、15分間高速で撹拌する;適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、低速で5分間撹拌し、次いで、高速せん断撹拌で10分間錠剤化する;得られた混合物をオーブン中に投入し、60℃のオーブン中で4時間乾燥し、取り出し、タンク撹拌機中に投入し、適切な重量のステアリン酸亜鉛を添加し、5分間撹拌する;混合物を回転錠剤機に投入し、混合物を、200MPaの圧力で、非貫通の金型で直径8mmの錠剤に圧縮する;得られた錠剤をウォーターチェストナッツ糖被覆機中に投入し、錠剤を、適切な重量のヒドロキシエチルセルロース溶液中で、100℃および30r/分の条件下で被覆する。
【0028】
上記のプロセスにより得られた200gの冷却剤の錠剤を、100gのS型熱エアロゾル発生剤を含有する発生器中に投入し、発生器を1mの火炎抑制試験チャンバー中に投入し、直径100mmの油受け皿中のノルマルへプタンの火炎抑制を試験する;上記のプロセスにより得られた4kgの冷却剤の錠剤を、2kgのS型熱エアロゾル発生剤を含有する発生器中に投入し、発生器を20mの火炎抑制試験チャンバー中に投入し、低温状態での噴霧による火炎抑制を試験する;噴霧後の火炎抑制剤のガス含有量および火炎抑制剤中の普通のデスクトップPCに対するATXの耐火性を測定する。
試験結果を添付の表に示す。
【0029】
態様2
以下の割合で冷却剤を調製する:
炭酸マンガン: 95重量%
ケイ酸ナトリウム: 2.5重量%
ポリビニルアルコール: 1重量%
ヒドロキシエチルセルロース: 1重量%
グラファイト: 0.5重量%
【0030】
冷却剤を調製するプロセスは、以下のとおりである:適切な割合で、炭酸マンガンを秤量し、高速混合ペレタイザー中に投入し、適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、低速で5分間撹拌し、次いで、高速せん断撹拌で10分間錠剤化する;得られた混合物をオーブン中に投入し、60℃のオーブン中で4時間乾燥し、混合物を取り出し、タンク撹拌機中に投入し、適切な重量のステアリン酸亜鉛を添加し、5分間撹拌する;混合物を回転錠剤機に投入し、混合物を、200MPaの圧力で、非貫通の金型で直径8mmの錠剤に圧縮する;得られた錠剤をウォーターチェストナッツ糖被覆機中に投入し、錠剤を、適切な重量のヒドロキシエチルセルロース溶液中で、100℃および30r/分の条件下で被覆する。
態様1に記載したように、得られた冷却剤の錠剤を試験する。試験結果を添付の表に示す。
【0031】
態様3
以下の割合で冷却剤を調製する:
炭酸マンガン: 50重量%
酸化亜鉛: 15重量%
酸化銅: 15重量%
塩基性炭酸マグネシウム: 15重量%
ケイ酸ナトリウム: 2.5重量%
ポリビニルアルコール: 1重量%
ヒドロキシエチルセルロース: 1重量%
ステアリン酸亜鉛: 0.5重量%
【0032】
冷却剤を調製するプロセスは、以下のとおりである:適切な割合で、炭酸マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、高速混合ペレタイザー中に投入し、15分間高速で混合する;適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、低速で5分間撹拌し、次いで、高速せん断撹拌で10分間錠剤化する;得られた混合物をオーブン中に投入し、60℃で4時間乾燥し、混合物を取り出し、タンク撹拌機中に投入し、適切な重量のステアリン酸亜鉛を添加し、5分間撹拌する;混合物を回転錠剤機に投入し、混合物を、200MPaの圧力で、非貫通の金型で直径8mmの錠剤に圧縮する;得られた錠剤をウォーターチェストナッツ糖被覆機中に投入し、錠剤を、適切な重量のヒドロキシエチルセルロース溶液中で、100℃および30r/分の条件下で被覆する。
態様1に記載したように、得られた冷却剤の錠剤を試験する。試験結果を添付の表に示す。
【0033】
態様4
以下の割合で冷却剤を調製する:
炭酸マンガン: 75重量%
酸化亜鉛: 12重量%
塩基性炭酸亜鉛: 8重量%
ケイ酸ナトリウム: 3重量%
ポリビニルアルコール: 1重量%
ヒドロキシエチルセルロース: 1重量%
【0034】
冷却剤を調製するプロセスは、以下のとおりである:適切な割合で、炭酸マンガン、酸化亜鉛および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、高速混合ペレタイザー中に投入し、15分間高速で撹拌して混合する;得られた混合物を、ウォーターチェストナッツ糖被覆機中に投入し、適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、混合物を100℃および30r/分の条件下で、直径約10mmのペレットにペレット化し、次いで、ペレットを、適切な重量のヒドロキシエチルセルロース溶液中で、被覆する。
態様1に記載したように、得られた冷却剤の錠剤を試験する。試験結果を添付の表に示す。
【0035】
態様5
以下の割合で冷却剤を調製する:
炭酸マンガン: 80重量%
酸化亜鉛: 8重量%
塩基性炭酸マグネシウム: 6重量%
ケイ酸ナトリウム: 4重量%
ポリビニルアルコール: 1.5重量%
ステアリン酸マグネシウム: 0.5重量%
【0036】
冷却剤を調製するプロセスは、以下のとおりである:適切な割合で、炭酸マンガン、酸化亜鉛および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、高速混合ペレタイザー中に投入し、15分間高速で撹拌して混合する;適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、5分間低速で撹拌し、次いで、高速せん断撹拌で10分間錠剤化する;得られた粒子を、押し出し機中に投入し、各短冊において、粒子を直径1mmの穴を4個有する、直径8mmの短冊に、80MPaの圧力で押し出し、次いで、短冊を8mmの高さの円柱に切断し;円柱を60℃のオーブン中で4時間乾燥し、次いでそれらを取り出す。
態様1に記載したように、得られた孔を有する円柱の冷却剤を試験する。試験結果を添付の表に示す。
【0037】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の産業上の用途 本発明における冷却剤で冷却される熱エアロゾル火炎抑制剤は、閉鎖空間および建物中で部分的に居住者で占められた空間における火炎を抑制するために効果的に用いることができる。
本発明における冷却剤の利点は:
熱エアロゾル火炎抑制剤への高い冷却有効性;
高強度および高表面滑らかさ;
環境への高い優しさ;製造することが簡単で安全であること
を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エアロゾル用触媒化学冷却剤であって、触媒化学冷却剤が、吸熱冷却材料、触媒添加剤、加工助剤および結合剤を含み、ここで、化学冷却剤の構成成分含有量が:
吸熱冷却材料:50〜95重量%
触媒添加剤:1〜30重量%
加工助剤:0.5〜5重量%
結合剤:2〜6重量%
であり、吸熱冷却材料が、炭酸マンガン、シュウ酸マンガン、リン酸マンガン、マンガン酸カリウム、過マンガン酸カリウム、または炭酸マンガンおよび補助冷却剤からなる複合的吸熱冷却材料であり、補助冷却剤は、第I族、第II族または遷移族の金属の炭酸塩、塩基性炭酸塩およびシュウ酸塩であり、複合的吸熱冷却材料において、炭酸マンガンの割合は、50重量%以上であり;触媒添加剤は、金属酸化物または金属水酸化物であり;加工助剤は、ステアレート、グラファイトまたはその混合物であり;結合剤は、アルカリ金属ケイ酸塩および水可溶性高重合体の複合溶液である、
を特徴とする、前記熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項2】
熱エアロゾル用触媒化学冷却剤が、さらに、メチロールセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースフィルム材料製で、0〜2重量%の割合を占める、表面被覆剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項3】
吸熱冷却材料が、炭酸マンガンであり;触媒添加剤が、銅、亜鉛、鉄、マグネシウムもしくはニッケルの酸化物および/または銅、亜鉛、鉄、マグネシウムもしくはニッケルの水酸化物であることを特徴とする、請求項1に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項4】
結合剤が、ケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールからなる複合溶液、またはケイ酸ナトリウムおよびセルロースカリウムからなる複合溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項5】
請求項1に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤であって、触媒化学冷却剤が:
炭酸マンガン: 80重量%
酸化亜鉛: 5重量%
酸化鉄: 5重量%
塩基性炭酸マグネシウム: 5重量%
ケイ酸ナトリウム: 2.5重量%
ポリビニルアルコール: 1重量%
ヒドロキシエチルセルロース: 1重量%
ステアリン酸亜鉛: 0.5重量%
を含むことを特徴とする、前記熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項6】
請求項1に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤であって、触媒化学冷却剤が:
炭酸マンガン: 95重量%
ケイ酸ナトリウム: 2.5重量%
ポリビニルアルコール: 1重量%
ヒドロキシエチルセルロース: 1重量%
グラファイト: 0.5重量%
を含むことを特徴とする、前記熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項7】
請求項1に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤であって、触媒化学冷却剤が:
炭酸マンガン: 50重量%
酸化亜鉛: 15重量%
酸化銅: 15重量%
塩基性炭酸マグネシウム: 15重量%
ケイ酸ナトリウム: 2.5重量%
ポリビニルアルコール: 1重量%
ヒドロキシエチルセルロース: 1重量%
ステアリン酸亜鉛: 0.5重量%
を含むことを特徴とする、前記熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項8】
請求項2に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤であって、触媒化学冷却剤が:
炭酸マンガン: 75重量%
酸化亜鉛: 12重量%
塩基性炭酸亜鉛: 8重量%
ケイ酸ナトリウム: 3重量%
ポリビニルアルコール: 1重量%
ヒドロキシエチルセルロース: 1重量%
を含むことを特徴とする、前記熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項9】
請求項1に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤であって、触媒化学冷却剤が:
炭酸マンガン: 80重量%
酸化亜鉛: 8重量%
塩基性炭酸マグネシウム: 6重量%
ケイ酸ナトリウム: 4重量%
ポリビニルアルコール: 1.5重量%
ステアリン酸マグネシウム: 0.5重量%
を含むことを特徴とする、前記熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤であって、化学冷却剤が、集合体、錠剤、ペレット、短冊またはハニカム形状であることを特徴とする、前記熱エアロゾル用触媒化学冷却剤。
【請求項11】
請求項10に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤の調製方法であって、錠剤形状の冷却剤の調製ステップ:
ステップ1:適切な割合で、炭酸マンガンまたは炭酸マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、次いでそれらを高速混合ペレタイザー中に投入し、それらを5〜25分間高速で撹拌して混合すること;
ステップ2:適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、2〜10分間低速で撹拌し、次いで、高速せん断撹拌で5〜25分間ペレット化すること;
ステップ3:得られた混合物を、50℃〜80℃のオーブン中で2〜6時間乾燥し、取り出し、タンク撹拌機中に投入し、適切な重量のステアリン酸亜鉛を添加し、3〜10分間撹拌すること;
ステップ4:混合物を回転錠剤機に投入し、混合物を、100〜300MPaで、非貫通の金型で錠剤に圧縮すること;
ステップ5:錠剤をウォーターチェストナッツ糖被覆機中に投入し、錠剤を、適切な重量のヒドロキシエチルセルロース溶液中で、50〜150℃および20〜50r/分の条件下で被覆すること、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
請求項10に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤の調製方法であって、ペレット形状の冷却剤の調製ステップ:
ステップ1:適切な割合で、炭酸マンガン、酸化亜鉛および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、次いでそれらを高速混合ペレタイザー中に投入し、5〜25分間高速で撹拌して混合すること;
ステップ2:得られた混合物をウォーターチェストナッツペレタイザー中に投入し、適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、80〜120℃および20〜50r/分の条件下でペレットを製造すること;
ステップ3:材料を、直径約10mmのペレット中に製造した後、適切な重量のヒドロキシエチルセルロース溶液中で、ペレットを被覆すること、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
請求項10に記載の熱エアロゾル用触媒化学冷却剤の調製方法であって、短冊およびハニカム形状の冷却剤の調製ステップ:
ステップ1:適切な割合で、炭酸マンガン、酸化亜鉛および塩基性炭酸マグネシウムを秤量し、次いでそれらを高速混合ペレタイザー中に投入し、5〜25分間高速で撹拌して混合すること;
ステップ2:適切な重量のケイ酸ナトリウムおよびポリビニルアルコールから調製した水溶液を添加し、2〜10分間低速で撹拌し、次いで、高速せん断撹拌で5〜15分間錠剤化すること;
ステップ3:得られた粒子を直ちに押し出し機に投入し、各短冊において、直径1〜4mmの穴を2〜8個有する、直径4〜10mmの短冊に、粒子を3〜80MPaの圧力で押し出し、
ステップ4:短冊を4〜10mmの高さの円柱に切断し、円柱を40〜80℃のオーブン中で2〜6時間乾燥し、次いで取り出すこと、
を含むことを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2013−508105(P2013−508105A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535599(P2012−535599)
【出願日】平成22年7月3日(2010.7.3)
【国際出願番号】PCT/CN2010/074966
【国際公開番号】WO2011/088666
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(510009290)シャンシー ジェイ アンド アール ファイア ファイティング カンパニー リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】SHAANXI J&R FIRE FIGHTING CO., LTD
【住所又は居所原語表記】7th Floor Qingyang International Building,65# Keji 2nd Road,Gaoxin District, Xi’an ,Shaanxi 710075 China
【Fターム(参考)】