説明

高温空気加熱器

【課題】 高温空気加熱器の伝熱外管の継ぎ目から伝熱外管の内部への溶融塩の侵入を低減する。
【解決手段】 伝熱外管の継ぎ目から伝熱外管の内部への溶融塩の侵入を低減するため、燃焼排ガス流路2内に設けられ耐火物製の筒部材4を軸方向にシート材5を介して複数段積み重ねて形成される伝熱外管3と、伝熱外管3の内部に挿入して設けられ下端に伝熱外管3の下端が載置される受け金具17を有し受け金具17より上方の管壁に開口が形成されてなる金属製の伝熱内管13とを備え、伝熱外管3と伝熱内管13との間に形成される空間14と伝熱内管13に被加熱空気を流通して加熱する高温空気加熱器1において、シート材5は、セラミックファイバーを板状に形成したものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温空気加熱器に係り、特に、燃焼排ガス流路内に吊り下げて設けられ燃焼排ガスにより被加熱空気を加熱する高温空気加熱器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の高温空気加熱器としては、耐火物製の筒部材を軸方向に複数段積み重ねて形成された伝熱外管を燃焼排ガス流路内に設け、この伝熱外管の内部に金属製の伝熱内管を挿入し、この伝熱内管の上端部を燃焼排ガス流路を構成する上部壁の構造物に支持させて吊り下げ、この伝熱内管の下端に受け金具を設け、この受け金具に耐火物製の伝熱外管の下端が支持された構造のものが知られている(例えば、特許文献1)。そして、受け金具より上方の伝熱内管の管壁に開口を設け、伝熱外管と伝熱内管との間に形成される空間と伝熱内管に被加熱空気を流通して、燃焼排ガスにより加熱するようにしている。
【0003】
また、このような高温空気加熱器により加熱された空気は、特許文献1によれば、廃棄物を熱分解する熱分解反応器の熱源として用いている。
【0004】
ところで、燃焼排ガスには、廃棄物に由来する腐食成分が含まれているので、伝熱外管は耐火性及び耐食性を有する筒部材で形成する必要があることから、耐火物製の筒部材を複数段積み重ねて形成している。そして、積み重ね部の継ぎ目にモルタル又はシート材を装着して伝熱外管のシールを確保している。
【0005】
【特許文献1】特開2004―162796
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1は、燃焼排ガス中の腐食成分が凝縮して形成された溶融塩が伝熱外管の継ぎ目から侵入して内部の金属部材を腐食させるおそれがあることについて考慮されていない。
【0007】
すなわち、シート材又は筒部材の継ぎ目から漏れた被加熱空気は腐食成分の凝縮温度より低いことから、その継ぎ目に燃焼排ガス中の腐食成分が凝縮されて溶融塩が形成される。この溶融塩がシート材又は筒部材の継ぎ目から伝熱外管の内部に侵入すると、その内面を伝わって流下し、受け金具あるいは伝熱内管を腐食させるおそれがある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、高温空気加熱器の伝熱外管の継ぎ目から伝熱外管の内部への溶融塩の侵入を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、伝熱外管の継ぎ目に使用されるシート材の組成について種々の試験をした。その結果、セラミックファイバーとバインダに無機フィラを配合して形成された従来のシート材は、シート材に侵入した溶融塩により高温空気加熱器のメンテナンスなどの休止時に硬化することを見いだした。
【0010】
シート材が硬化すると、高温空気加熱器の運転と停止による耐火物製の伝熱外管の膨張、収縮の繰り返しによる、又は、燃焼排ガスの流通による振動などによる、筒部材相互の継ぎ目の間隔の変化に追従できなくなり、シート材と筒部材の間に隙間が生じ、溶融塩が侵入しやすくなることが推察される。
【0011】
そこで、シート材の硬化の原因を探るため、無機フィラを除去したシート材を筒部材の継ぎ目に装着し、高温空気加熱器の運転状態を模擬してその筒部材を高温に加熱し、シート材に溶融塩を浸透させ、その後、筒部材を高温空気加熱器の停止時の温度に下げ、シート材を取り出してその状態を観察した。その結果、シート材は柔軟性を有していたことから、シート材の硬化の原因は、無機フィラにあるものと推察された。
【0012】
これらの知見に基づいて、上記課題を解決するため、本発明の高温空気加熱器に用いられるシート材は、セラミックファイバーを板状に形成したことを特徴とする。
【0013】
これによれば、無機フィラを含まないことから、高温空気加熱器を運転及び停止を繰り返しても、シート材が硬化することを低減でき、シート材の弾力性を保持できることから、筒部材とシート材の隙間の変化を吸収できる。その結果、筒部材とシート材の隙間から伝熱外管の内部への溶融塩の侵入を低減できる。
【0014】
この場合において、シート材に使用されるセラミックファイバーは、長繊維であることが好ましく、セラミックファイバーには、少なくともシリカ及び/又はアルミナを含むことが好ましい。
【0015】
また、シート材に使用されるセラミックファイバーは、繊維長が0.5mm〜300mmであることが好ましい。
【0016】
また、厚さ1mm〜6mmのシート材を使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高温空気加熱器の伝熱外管の継ぎ目から伝熱外管の内部への溶融塩の侵入を低減することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。図1に本発明の高温空気加熱器の一実施形態の全体構成図を示し、図2に図1実施形態の伝熱外管の筒部材の積み重ね状態を示し、図3に図2の線A−Aにおける断面図を示す。
【0019】
図1、図2に示すように、本実施形態の高温空気加熱器1は、燃焼排ガス流路2内に設けられた伝熱外管3と、伝熱外管3の内部に挿入された伝熱内管13と、伝熱内管13の下端に設けられた受け金具17と、伝熱外管3と伝熱内管13の間に形成された空間14に被加熱空気を供給する空気供給管10を備えている。なお、図示を簡単にするため、図1では、1組の高温空気加熱器1を示しているが、実際には複数組の高温空気加熱器1が併設されている。
【0020】
伝熱外管3は、耐火物製、例えば、炭化ケイ素製の筒部材4を軸方向に柔軟性を有するシート材5を介して複数段積み重ねて形成されている。筒部材4は、例えば、外径200mm、内径146mm、肉厚27mm、シート材座の幅15mmの円筒状に形成されている。筒部材4の上端部の内周側には、上方向に突出させて形成された、例えば、高さ20mmの突起6が備えられ、筒部材の下端部の内周側には、突起6と嵌合する溝7が形成されている。筒部材4は、突起6と溝7を有することから、筒部材4を積み重ねてもずれにくい構造となっている。なお、筒部材4は円筒状に限られるものではなく、外形断面が矩形で、内部に円筒状の空間を形成したものでもよい。また、筒部材4の寸法は、上記の例に限られるものではなく、高温空気加熱器1に要求される設計諸元に応じて適宜設定できる。
【0021】
伝熱外管3の下端には、伝熱外管3を封止する底蓋9がシール材11を介して受け金具17との間に空間24を有して取り付けられている。伝熱外管3の内側には、空気供給管10と金属製の伝熱内管13がシール材6を介して挿入されている。
【0022】
伝熱内管13は、支持部材15により図示しない構造物に支持され、伝熱内管13の内部を被加熱空気が流通するように形成されている。伝熱内管13の下端には、金属製の平板状の受け金具17が取り付けられ、受け金具17の端部には、伝熱外管3の下端が載置されている。これにより、伝熱外管3は伝熱内管13によって吊り下げ支持されている。伝熱外管3と伝熱内管13の間には空間14が形成されている。伝熱内管13の受け金具17の上方の管壁には開口19が形成され、これにより伝熱外管3と伝熱内管13の間に空間14と伝熱内管13に被加熱空気が流通するようになっている。受け金具17には、空間14に連通する開口21と、伝熱内管13の内側に連通する開口23が設けられ、これにより、受け金具17と底蓋9の間の空間24が被加熱空気の流路に連通され、受け金具17の下面の空間24を冷却するようになっている。
【0023】
次に、本発明の特徴であるシート材5について、図3の(a)に基づいて説明する。シート材5は、セラミックファイバーとバインダのみからなり、抄造機により板状に形成されている。セラミックファイバーとバインダの詳細については後述する。シート材5の形状は、筒部材4の継ぎ目に装着できるように、例えば、外径200mm、内径170mm、厚さ4mmの円形のリング状に形成されている。なお、シート材は繊維化したセラミックファイバーを積層して、ニードル処理して形成されるシート材を使用してもよい。ニードル処理とは、鉤針を積層されているセラミックファイバーに繰り返し刺して繊維同士を絡ませ、バインダを使用せずに板状に成型する処理である。また、シート材5の形状は円形リング状に限定されず、筒部材4の継ぎ目の形状に対応させて適宜設計できる。例えば、図3の(b)に外形断面が矩形で、内部に円筒状の空間を形成してなる筒部材4をシート材5を介して積み重ねた場合の、図2の線A−A断面図を示す。図3の(b)に示すとおり、シート材の形状は外形が矩形のリング状に形成している。また、シート材の厚みは、筒部材の凹凸を吸収し、かつ圧縮変形による緻密化とのバランスを考慮して選定され、例えば、厚さ3〜4mmにすることができる。
【0024】
次に、本実施形態の高温空気加熱器1の動作を説明する。伝熱外管3の外側には、燃焼排ガスが流通し、伝熱外管3の内側の空間14には、空気供給管10から供給される被加熱空気が流通している。被加熱空気は、空間14内を下方に流通しながら、伝熱外管3の外側を流れている燃焼排ガスにより加熱される。加熱された被加熱空気は、伝熱内管13に形成された開口19を通って伝熱内管13の内部に導かれる。伝熱内管13に導かれた加熱された被加熱空気は、伝熱内管13内を上方に導かれ、図示しない出側流路に導かれ、例えば、熱分解反応器の熱源として利用される。
【0025】
次に、本実施形態の効果である高温空気加熱器1の伝熱外管3の筒部材4の継ぎ目から伝熱外管3の内部への溶融塩の侵入を低減することについて説明する。
【0026】
まず、伝熱外管3の継ぎ目に使用されるシート材5の組成と溶融塩の侵入の関係について試験をした結果を図4、表1に基づいて説明する。図4は、本試験に使用した試験器50であり、本実施形態で使用されるシート材と同じ組成のシート材52を、筒部材を模擬して100mm角に形成した炭化ケイ素製のレンガ54、56の間に挟み込んだ。また、レンガ54は、内部に直径73mmの円柱状の空洞を設け、その空洞に、腐食成分60として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムの等モル混合塩を投入し、レンガ54の上部に約5.5kgの蓋58を取り付けた。
【0027】
次に、試験方法について説明する。高温空気加熱器1の運転状態を模擬し、試験器50を電気炉で700℃に加熱し、その状態を10時間維持した後、高温空気加熱器1の停止時の温度まで冷却した。その後、高温空気加熱器1の繰り返し使用を模擬し、再度同様の操作を行い、シート材52を取り出してその状態を観察した。また、腐食成分の溶融塩の侵入については、レンガ54の外部に染み出した溶融塩はレンガを変色させることから、その変色域のシート材の鉛直方向の長さを測定して評価した。比較例1として、無機フィラを含むシート材(例えば、アスクテクニカ製、フリーダムシートW)を用い、比較例2として、無機フィラを多量に含むシート材(例えば、日本ピラー工業製、P#9900−HT)を用いた。実施例1のシート材52は、シリカとアルミナの組成がシリカ53wt%、アルミナ47wt%である繊維長が0.5mm〜300mmの長繊維のセラミックファイバー96wt%に有機バインダ4wt%を加えて抄造機で成型したものを用いた。なお、セラミックファイバーはシリカとアルミナの混合物に限られず、少なくともシリカ及び/又はアルミナを含んでいればよく、また、上記組成比に限定されるものではない。また、実施例1のシート材は有機バインダを使用しているが、有機バインダに代えて無機バインダを使用してもよく、また、上記配合割合に限定されるものではない。
【0028】
表1に実施例1及び比較例1、2の試験結果を示す。
【0029】
【表1】

これによれば、無機フィラを含まない実施例1のシート材は柔軟性を有していたが、無機フィラを含むシート材は硬化することがわかる。つまり、シート材に無機フィラが含まれていると、シート材に侵入した溶融塩により高温空気加熱器1の休止時に硬化することが推察される。
【0030】
また、実施例1の腐食成分の溶融塩が染み出した長さは、比較例1、2よりも著しく短かった。これは、比較例1、2のシート材は、2回目の加熱の時にすでに硬化し、レンガ相互の継ぎ目の間隔の変化を吸収できずに隙間が生じ、その隙間から多量の溶融塩が漏れ出したものと推察される。
【0031】
以上より、セラミックファイバーとバインダからなる実施例1のシート材は、溶融塩の侵入を低減できることがわかる。
【0032】
また、シート材自体は接着性を有しないが、本試験により実施例1のシート材の一部がレンガに張り付いていたことから、実施例1のシート材は溶融塩が浸透することによって、筒部材とのなじみを向上させていると推察される。
【0033】
一方、図5、図6に、従来のシート材を使用した高温空気加熱器の伝熱外管からの被加熱空気の漏れ量と、シート材にかかる面圧の関係を示す。図5は、従来のシート材にかかる面圧が低い場合であり、図6は従来のシート材にかかる面圧が高い場合である。これによれば、シート材にかかる面圧が大きくなると、筒部材とシート材の隙間(界面)からの被加熱空気の漏れ量が少なくなることわかる。これは、シート材にかかる面圧が大きくなり、柔軟性を有するシート材が圧縮されて筒部材の継ぎ目の隙間をより多く吸収していることによるものである。これに対し、実施例1のシート材は、高温空気加熱器を繰り返し使用しても柔軟性を有しているから、伝熱外管からの被加熱空気の漏れ出しも低減できる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に使用されているシート材5は、無機フィラを含まないシート材であることから、高温空気加熱器1の運転及び停止を繰り返しても、弾力性を保持することができる。そのため、高温空気加熱器1の運転と停止による伝熱外管3の膨張、収縮の繰り返しによる、又は、燃焼排ガスの流通による振動などによる、筒部材4の相互の継ぎ目の間隔の変化を吸収できる。その結果、筒部材4とシート材5の隙間が生じにくいことから、伝熱外管3の内部への溶融塩の侵入を低減できる。
【0035】
また、表2にシート材5を形成するセラミックファイバーの長さと、高温空気加熱器1の繰り返し運転による影響を示す。実施例2のシート材は、繊維長0.5mm〜300mmのセラミックファイバー用いて形成されている。これに対して、比較例3のシート材は、繊維長0.5mm〜15mmのセラミックファイバーで形成され、比較例4のシート材は、繊維長0.5mm〜500mmのセラミックファイバーで形成されている。なお、上記実施例2及び比較例3、4は、セラミックファイバーの繊維長以外は実施例1のシート材と同じである。
【0036】
【表2】

表2から明らかなように、繊維長が0.5mm〜300mmの長繊維のセラミックファイバーを使用した実施例2のシート材が最も優れていることがわかる。よって、本実施形態に使用されるシート材5は、繊維長が0.5mm〜300mmの長繊維のセラミックファイバーを用いて形成することが好ましい。なお、比較例3のシート材は、繊維長が短いことから、繊維の切れ目が多く、溶融塩がシート材に浸透した後に硬化・破断しやすくなっている。また、実施例4のシート材は、繊維長が長すぎることから、成型性が著しく悪くなっている。
【0037】
また、表3にシート材5の厚みと高温空気加熱器1の繰り返し運転による影響を示す。表3の実施例3は実施例1のシート材を厚み1mmに成型し、実施例4は実施例1のシート材を厚み4mmに成型したものである。なお、比較例5は実施例1のシート材を厚み0.5mmに成型したものである。
【0038】
【表3】

また、表4にセラミックファイバーをニードル処理して形成したシート材の厚みと高温空気加熱器の繰り返し運転による影響を示す。実施例5は、実施例1のシート材に用いられているセラミックファイバーを積層してニードル処理し、厚さ6mmにしたものである。比較例6は、実施例5のシート材を厚さ12.5mmにしたものである。以下、セラミックファイバーにバインダを加えて抄造機で成型したものをペーパー状シート材と、セラミックファイバーをニードル処理して成型したシート材をブランケット状シート材という。
【0039】
【表4】

表3及び表4によれば、厚さ1mmの実施例3のペーパー状シート材、厚さ4mmの実施例4のペーパー状シート材、厚さ6mmの実施例5のブランケット状シート材が優れていることがわかる。よって、シート材の厚さは1mm〜6mmであることが好ましい。
【0040】
なお、比較例5のペーパー状シート材は薄いことから、筒部材4の継ぎ目面の凹凸を吸収できず、被加熱空気の漏れ量が多く、被加熱空気により冷却されて生成する溶融塩の量が多くなり、溶融塩の侵入量が多くなっている。また、シート材が薄いことから、シート材内に保持される溶融塩の量が少なくなり、溶融塩の侵入量が多くなっている。また、溶融塩の生成量が多いことから、シート材に浸透する溶融塩の量が多くなり硬化している。また、比較例6のブランケット状シート材は厚すぎることから、筒部材の荷重による圧縮変形量が低下するため、ブランケット状シート材からの被加熱空気の量が多く、溶融塩の生成量が多いことから、溶融塩の侵入量が多くなっている。なお、シート材の厚みは、筒部材4の凹凸を吸収し、かつ圧縮変形による緻密化とのバランスを考慮して選定され、例えば、シート材にかかる荷重が小さい伝熱外管3上段に使用されるシート材を、シート材にかかる荷重が大きな伝熱外管3下段のシート材よりも薄くすることができる。
【0041】
また、別途行った伝熱外管3の気密性試験からは、シート材が厚くなるほど筒部材の継ぎ目のシール性は低下する傾向にあり、その閾値は6mmと想定される。
【0042】
また、本実施形態のシート材5はペーパー状シート材又はブランケット状シート材を使用できるが、ブランケット状シート材は積層方向に不連続でかさ密度が小さいことから、ペーパー状シート材をシート材として使用することがより一層好ましい。なお、一般的に、ペーパー状シート材は、ブランケット状シート材と比較して薄く成型されている。
【0043】
また、本実施形態に使用されるシート材5のかさ密度、加熱減量を例示すると、ペーパー状シート材はかさ密度が240〜250kg/m3、加熱減量4〜7%であり、ブランケット状シート材はかさ密度100〜160kg/m3、加熱減量0〜2%である。なお、かさ密度、加熱減量はこれらに限定されるものではなく、伝熱外管3内部への溶融塩の侵入を低下できればよい。
また、本実施形態に使用されるセラミックファイバーを例示すると、シリカ52〜54wt%、アルミナ46〜48wt%よりなり、平均繊維系2〜4μm、繊維長0.5mm〜300mm、真比重2.5〜2.7、最高使用温度1260℃である。なお、セラミックファイバーはこれに限定されるものではなく、本実施形態のシート材5を形成できればよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態の高温空気加熱器の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態の伝熱外管の筒部材の積み重ね状態を示す詳細図である。
【図3】図2の線A−A断面図である。
【図4】シート材を試験するための試験器の構成図である。
【図5】従来のシート材を使用した高温空気加熱器のシート材にかかる面圧が低い場合の被加熱空気の漏れ量を示した図である。
【図6】従来のシート材を使用した高温空気加熱器のシート材にかかる面圧が高い場合の被加熱空気の漏れ量を示した図である。
【符号の説明】
【0045】
1 高温空気加熱器
2 燃焼排ガス流路
3 伝熱外管
4 筒部材
5 シート材
13 伝熱内管
17 受け金具
19 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガス流路内に設けられ耐火物製の筒部材を軸方向にシート材を介して複数段積み重ねて形成される伝熱外管と、該伝熱外管の内部に挿入して設けられ下端に前記伝熱外管の下端が載置される受け金具を有し該受け金具より上方の管壁に開口が形成されてなる金属製の伝熱内管とを備え、前記伝熱外管と前記伝熱内管との間に形成される空間と前記伝熱内管に被加熱空気を流通して加熱する高温空気加熱器において、
前記シート材は、セラミックファイバーを板状に形成したものであることを特徴とする高温空気加熱器。
【請求項2】
請求項1に記載の高温空気加熱器において、
前記セラミックファイバーは、少なくともシリカ及び/又はアルミナを含むことを特徴とする高温空気加熱器。
【請求項3】
請求項2に記載の高温空気加熱器において、
前記セラミックファイバーは、繊維長が0.5mm〜300mmの長繊維であることを特徴とする高温空気加熱器。
【請求項4】
請求項1に記載の高温空気加熱器において、
前記シート材は、厚さが1mm〜6mmであることを特徴とする高温空気加熱器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−243795(P2009−243795A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91713(P2008−91713)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】