説明

高濃度オゾン供給方法及び液体オゾン蓄積用ベッセル

【課題】ガス流量が変化しても、反応に必要な濃度のオゾンガスを供給する。
【解決手段】液化したオゾンをオゾンチャンバ31に蓄積し、液化したオゾンを気化して高濃度オゾンガスを発生させる液体オゾン蓄積用ベッセル30において、オゾンチャンバ31から排出されるガスに含まれる微粒子を除去するためのフィルタ35は筒状であり、フィルタ35の上端が、チャンバ31の天井面に、また、フィルタ35の下端が、チャンバ31の底面にそれぞれ接続し、さらに、発生させた高濃度オゾンガスを排出するため配管33をフィルタ35の中空部と連通させ、フィルタ35の中空部に希釈ガスを導入することによりオゾンガスを希釈し、希釈したガスを前記ベッセル30の外部に備えられた装置に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンガスを液化することにより濃縮した高濃度オゾンガスを供給する装置においてオゾンを蓄積するベッセル部分に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年オゾン(元素記号:O3)の利用が、その強い酸化力を利用して上下水処理を始めとして種々の分野で進展している。中でも、半導体素子の製造分野では、Siウエーハ洗浄やTEOS−CVD(Tetra Ethyl Ortho Silicate−Chemical Vapor Deposition)への適用が検討されつつある。Siウエーハ洗浄は、オゾンガスを純水に溶かしたオゾン水を洗浄液として用いるもので、希フッ酸水溶液等と併用することでSiウエーハ上の重金属や有機物を除去できることが発表されている(電子材料1999年3月号PP.13〜18)。TEOS−CVDは半導体素子を多層配線化する際の層間絶縁膜の形成に用いられ、電極によるウエーハ表面の凹凸を絶縁膜で平坦化できることが特長である。このTEOS−CVDにオゾンを添加することによって平坦化の性能が向上することが報告されている(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.32(1993)PP.L110−L112)。
【0003】
これらは10%程度の比較的低濃度のオゾンガスを利用した例であるが、80%以上の比較的高濃度のオゾンガスを利用することで従来のオゾンガス利用では考えられなかった新たな応用の可能性が指摘され始めている。一例を挙げれば、特開平8−335576号公報で開示されているSi半導体の酸化膜形成がある。この公報によれば、従来の熱酸化法では為し得ない比較的低温での酸化膜形成が可能で、亜酸化層や欠陥構造の少ない良質の酸化膜の形成が可能であることなどが紹介されている。
【0004】
ところで、オゾンガスの生成には一般に無声放電方式が用いられる。これは放電により酸素ガスからオゾンと酸素の混合ガスを発生させるもので、発生効率の限度と爆発の危険性のため、常温常圧下で約10体積%以上のオゾンガスを生成することは困難であった。
【0005】
そこで、発生したオゾンガスを一旦液化貯蔵して、その後に気化させることにより80%以上の高濃度オゾンガスを生成する方法が特許文献1で紹介されている。この方法について図4に示す液体オゾン製造装置で説明する。
【0006】
この液体オゾンの製造装置は、オゾンガス発生装置及び排気装置1の部分とオゾンを液化する液体オゾン生成装置2から構成されている。酸素ボンベ3から圧力調整バルブ4を介して酸素ガスがオゾナイザ5に送られる。オゾナイザ5では酸素ガスは無声放電により酸素にオゾンガスが混合されたオゾン含有酸素ガスとなり、流量を制御するためのマスフローコントローラ6及びオゾン含有ガス中の微粒子を除去するための微粒子除去フィルタ7を通ってオゾンガスを液化する液体オゾン生成装置2に導入される。
【0007】
液体オゾン生成装置2では、図5にその詳細を示すように、オゾンガス発生装置1から導入された酸素ガスにオゾンガスが混合されたオゾン含有酸素ガスが、流量調整バルブ8とオゾン含有酸素ガス導入管25を介してオゾンチャンバ9に導入される。オゾンチャンバ9は、あらかじめコンプレッサ21で駆動されている冷凍機20により冷却されているコールドヘッド19に熱的に結合されており、温度センサ24とヒータ23及び温度制御装置22により0.1K以内の温度精度で精密に温度を制御可能であり、80K〜100Kの低温度に保たれている。
【0008】
オゾンガスの液化の原理は、オゾンと酸素の蒸気圧の差によってオゾンガスだけを液化するものである。例えば、1気圧のもとではオゾンは161Kの沸点であるが、酸素は90Kの沸点を有する。したがって、90K以上161K未満の温度に冷却すれば、オゾンは大部分が液体、酸素は大部分が気体状態となるのでオゾンだけを液体として分離できる。
【0009】
実際には高濃度オゾンの爆発性に対する安全上から減圧条件で取り扱うので、その際の温度と圧力条件下でのオゾンと酸素の蒸気圧の差で分離条件が決まる。例えば、温度90Kで圧力10mmHg(=13.3hPa)の場合を考えると、90Kではオゾンの蒸気圧はほぼ0mmHg(=0Pa)だが、酸素は約690mmHg(=918hPa)となりオゾンだけがこの条件下で液化される。
【0010】
オゾンチャンバ9ではこのように、冷却された温度でのオゾンと酸素の蒸気圧の差によってオゾンガスだけを液化する。オゾンガスを液化する時は、酸化処理容器16との間のバルブ15を閉じ、オゾンキラー11につながるバルブ10を開いた状態とする。オゾンチャンバ9に接続されたオゾン排出管26とバルブ10を通った液化されない酸素ガスは、若干残留するオゾンガスを外部へ排出させないよう加熱して酸素に変えるオゾンキラー11に導入され、オゾンキラー11で加熱された酸素ガスを冷却するためのガス冷却器12と、真空ポンプ14からの炭化物などによるオゾンチャンバ9への汚染や混入を防ぐための液体窒素トラップ13を経て真空ポンプ14により外部へ排出される。
【0011】
液化された液体オゾン27を酸化処理容器16内で酸化等の使用目的に利用する時は、流量調整バルブ8及びバルブ10を閉じ、バルブ15を開く。温度センサ24とヒータ23及び温度制御装置22によりコールドヘッド19に熱的に結合されたオゾンチャンバ9の温度を上昇させることにより、液体オゾンを気化しオゾンガスとしてオゾン排出管26とバルブ15を介して酸化処理容器16内に導入される。また、安全弁18は液体オゾン若しくは高濃度のオゾンガスが爆発性を有するので、万一の場合破壊してガスを排出するためのものである。
【0012】
そして、特許文献2では、複数のオゾンチャンバを並列接続して、高濃度オゾンガスの連続供給を可能にしている。
【0013】
液体オゾンを使用したオゾン発生装置では、液体オゾンの純度が高く、そこから発生するオゾンガス濃度は100%に近い濃度となる。一般的に、高濃度オゾンガスは急速な自己分解反応を起こし、爆発を生じるおそれがある。
【0014】
そこで、現在のオゾン発生装置では、オゾン爆発の発生を抑制するために、気化したオゾンガスの圧力が10000Pa以下となるようにオゾンチャンバの温度制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特公平5−17164号公報
【特許文献2】特開2003−20209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、このようなオゾン発生装置では、プロセス装置へオゾンガスを供給する際の圧力が制限を受ける。したがって、オゾンガスを大量供給する際には供給配管部での圧力損失により十分な供給量が得られない問題が生じる。
【0017】
また、実行するプロセスによっては、100%近い濃度のオゾンガスは反応性が高すぎるため、オゾンガスを希釈して使用する場合がある。高濃度オゾンガスを希釈する方法としては、図6のようにマスフローコントローラ44で流量制御した希釈ガスと混合チャンバ51内で混合する方法がある。
【0018】
しかしながら、オゾンチャンバ9と混合チャンバ51との間に、バルブ47、フィルタ48等のコンダクタンス特性を持つ配管部分が入ることで、希釈ガス量が変化した場合にオゾンチャンバ9と混合チャンバ51間のコンダクタンス特性が変化してしまう。この場合、高濃度オゾンガス流量が変動し、正しい希釈量での高濃度オゾンガス供給が難しくなる。
【0019】
したがって、本発明は、供給ガス量が変化しても正確な濃度の高濃度オゾンガスを供給することができる高濃度オゾン供給方法及び、オゾン蓄積用ベッセルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成する本発明の高濃度オゾン供給方法は、高濃度オゾンを蓄積するベッセル内に、オゾンを希釈する空間を備えることによりオゾン供給量にかかわらず、反応に必要なオゾン濃度を正確に供給することができるものである。
【0021】
すなわち、本発明の高濃度オゾン供給方法は、液化したオゾンをオゾンチャンバに蓄積し、前記液化したオゾンを気化して高濃度オゾンガスを発生させる液体オゾン蓄積用ベッセルにおいて、前記オゾンチャンバから排出されるガスに含まれる微粒子を除去するためのフィルタは筒状であり、前記フィルタの上端が、前記チャンバの天井面に、前記フィルタの下端が、前記チャンバの底面にそれぞれ接続している。そして、発生させた高濃度オゾンガスを排出するため配管をフィルタの中空部と連通させるとともに、前記フィルタの中空部に希釈ガスを導入することにより、前記オゾンガスを希釈し、前記希釈したガスを前記ベッセルの外部に備えられた装置に供給することを特徴とする。
【0022】
前記の高濃度オゾン供給方法において、前記チャンバの蓋部に、前記オゾンチャンバに導入されるガス中の微粒子を除去するための第2のフィルタを一体に備えると、外部からの液体オゾン蓄積用ベッセルへの微粒子の侵入を防止することができる。
【0023】
さらに、前記の高濃度オゾン供給方法において、前記筒状のフィルタの下端に、前記液化したオゾン透過を防止するための液体オゾン透過防止部材を備えると、液体オゾンがガスを希釈部に透過することを防止できる。
【0024】
そして、本発明の液体オゾン蓄積用ベッセルは、液化したオゾンをオゾンチャンバに蓄積し、前記液化したオゾンを気化して高濃度オゾンガスを発生させる液体オゾン蓄積用ベッセルにおいて、前記オゾンチャンバ内に、筒状のフィルタを、前記フィルタの上端が、前記チャンバの天井面に、前記フィルタの下端が、前記チャンバの底面に接続するように備え、前記フィルタの中空部に希釈ガスを導入するための希釈ガス供給手段を前記チャンバの底部に備えたことを特徴とする。
【0025】
以上の高濃度オゾン供給方法及び液体オゾン蓄積用ベッセルによれば、液体オゾン蓄積用ベッセル内で高濃度ガスを希釈することができる。
【発明の効果】
【0026】
したがって、以上の発明によれば、供給ガス量が変化しても正確な濃度の高濃度オゾンガスを供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)本発明の第1実施形態に係る液体オゾン蓄積用ベッセルの構成を示す装置断面図、(b)本発明の第1実施形態に係るオゾン蓄積装置によるオゾン希釈方法を示す装置断面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るオゾン希釈制御方法を示す概略図
【図3】本発明の第1実施形態に係る液体オゾン蓄積用ベッセルを改良した蓄積用ベッセルの構成を示す装置断面図。
【図4】従来技術に係る液体オゾン製造装置の概略断面図。
【図5】従来技術に係る液体オゾン製造装置の詳細な概略断面図。
【図6】従来技術に係る高濃度オゾンガス希釈制御方法を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1実施形態に係る高濃度オゾン供給方法について、図1及び図2を参照して説明する。
【0029】
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る液体オゾン蓄積用ベッセルの構成を示す断面図であり、図1(b)は、本発明の第1実施形態に係るオゾン蓄積装置によるオゾン希釈方法を示す装置断面図であり、図2は、本発明の第1実施形態に係るオゾン希釈制御方法を示す概略図である。
【0030】
図1(a)に示すように、第1実施形態に係る液体オゾン蓄積用ベッセル30は、液体オゾンを蓄積するオゾンチャンバ31、オゾンガスを含有するガスが供給されるガス導入管32、オゾン含有ガスに含まれるその他のガス(例えば酸素)や高濃度のオゾンガスが排出されるガス排出管33及び、希釈ガス導入管43を備えている。
【0031】
オゾンチャンバ内には、外部に供されるガス中の微粒子を除去するためのフィルタ35が備えられる。このフィルタ35を介して、蓄積されたオゾンが外部装置(図示省略)に供給される。
【0032】
フィルタ35は、例えば円筒形であり、フィルタ35の上端がオゾンチャンバ31の天井面に、フィルタ35の下端がオゾンチャンバ31の底面に接続されることで、オゾンチャンバ31内において液体オゾン貯留部(フィルタ35の外周部)41とオゾン排気部(フィルタ35の中空部)42が形成される。液体オゾン貯留部41はガス導入管32と連通し、オゾン排気部42はガス排出管33と連通している。
【0033】
このとき、フィルタ35の上端及にはフッ素樹脂シール36が備えられ、フィルタ35の下端には液体オゾン透過防止部材40が備えられる。
【0034】
フッ素樹脂シール36は、フィルタ35を透過せずにオゾン排気部42と液体オゾン貯留部41間でのガス移動を防止する。
【0035】
液体オゾン透過防止部材40の材質はフッ素樹脂等であり、透過防止部材40の形状は、例えば円筒状とすればよい。液体オゾン透過防止部材40の高さは、蓄積する液体オゾンの高さよりも高く設定する。
【0036】
希釈ガス導入管43は、オゾンチャンバ31の底部に備えられる。そして、希釈ガス導入管43より、ガス排気部42に高濃度オゾンガスを希釈するための希釈ガスが導入される。
【0037】
そして、オゾンチャンバ31底部の外周部には、冷却ブロック37が備えられる。液体オゾンを蓄積する場合、冷却ブロック37が、例えば、ヘリウム冷凍機等でオゾンチャンバ31を冷却する等の手段により、オゾンチャンバ31をオゾンガスのみが液化する温度に設定する。そして、オゾンを供給する場合には、冷却ブロック37により、液体オゾンが気化する温度にオゾンチャンバ31の温度が制御される。
【0038】
先ず、本発明に係るオゾン蓄積用ベッセル30が液体オゾンを蓄積する場合について説明する。
【0039】
オゾンガス発生装置(図示省略)より供給されるオゾン含有ガス(オゾン濃度10数%)は、ガス導入管32よりオゾンチャンバ31に導入される。
【0040】
オゾンチャンバ31の底部は、冷却ブロック37により冷却されており、オゾンチャンバ31内にはオゾンガスのみが液化し、液体オゾンが蓄積される。残りのガス(例えば、酸素ガス)は、フィルタ35を透過してガス排気部42に入り、ガス排出管33から液体オゾン蓄積用ベッセル30の外部へ排出される。このようにして、液体オゾン蓄積用ベッセル30内に液体オゾンが蓄積される。
【0041】
次に、高濃度オゾンガスを希釈する方法について、図1(b)を参照して説明する。
【0042】
図1(b)に示すように、希釈ガス導入管43より希釈ガスが導入される。希釈ガスは、ガス排気部42で高濃度オゾンガスと混合され、希釈されたオゾンガスが蓄積用ベッセル30からプロセスチャンバ(図示省略)に供給される。このとき、冷却ブロック37が、オゾンチャンバ31内の温度を液体オゾンが気化する温度となるように温度制御し、液体オゾン39はオゾンガスとして供給される。
【0043】
すなわち、液体オゾン39が気化し、液体オゾン貯留部41に高濃度のオゾンガスが蓄積される。液体オゾン貯留部41の高濃度オゾンガスは、真空排気により、フィルタ35を透過してガス排気部42に入り、希釈ガスと混合され、ガス排出管33を介して液体オゾン蓄積用ベッセル30から外部装置(図示省略)へ供給される。
【0044】
さらに、高濃度オゾンガスを希釈制御する方法について図2を参照して詳細に説明する。
【0045】
図2で示すように、液体オゾン蓄積用チャンバ30に希釈ガスを導入する希釈ガス導入管43には、希釈用酸素ガス量を調節するためのマスフローコントローラ44が備えられる。そして、液体オゾン蓄積用チャンバ30には、ガスフィルタ48及び流量調整バルブ47を介してプロセスチャンバ49が接続される。また、オゾン蓄積用ベッセル30とガスフィルタ48の間にはオゾンチャンバ真空計45が備えられ、ガスフィルタ48と流量調整バルブ47の間には供給ライン真空計46がそれぞれ、備えられる。
【0046】
マスフローコントローラ44により、プロセスチャンバ49での反応に必要な流量の希釈ガスを流し、その時のオゾンチャンバ圧を真空計45で計測する。そして、希釈ガスをプロセスチャンバ49の反応に必要な濃度に相当する流量まで下げると同時に、オゾンチャンバ30温度を調節して液体オゾンから気化するオゾン量を変化させ、オゾンチャンバ30の圧力が最初に測定した圧力となるように調節する。
【0047】
このように、高濃度オゾン発生部と希釈ガスの混合部が最短で接続されているので、コンダクタンス特性の変動が少なく、高濃度オゾンガスを反応に必要な濃度に正確に希釈することができる。よって、正確な濃度のオゾンガス供給を行うことができる。
【0048】
以上のように、第1実施形態に係る液体オゾン蓄積用ベッセル30は、蓄積用ベッセル30内で高濃度オゾンを希釈して、希釈したオゾンガスを供給することができる。
【0049】
したがって、供給ガス量が変化しても正確な濃度の高濃度オゾンガスを供給することができる。
【0050】
また、希釈ガスが直接液体オゾン部に吹き付けられることがないので、オゾンチャンバ31内で安全にガスの希釈が行える。
【0051】
さらに、オゾン蓄積用チャンバ31内でオゾンガスを希釈できるので、外部に混合チャンバを設置する必要がなくなる。
【0052】
故に、高濃度オゾン供給装置の安全性の向上、高濃度オゾン供給装置の小型化、及び正確な濃度のオゾンを供給することができる。
【0053】
次に、本発明の第1実施形態に係るオゾン蓄積ベッセルを改良したオゾン蓄積用ベッセルについて、図3を参照して説明する。
【0054】
図3は、本発明の第1実施形態に係るオゾン蓄積用ベッセルを改良したオゾン蓄積用ベッセル50の構成を示す装置断面図である。
【0055】
図3に示すように、このオゾン蓄積用ベッセル50は導入ガス中の微粒子を除去するためのフィルタ34をオゾンチャンバ31の蓋部38内のガス導入管部分に内蔵するように備える。
【0056】
このような構成により、蓄積用ベッセル50の導入ガス中の微粒子が、チャンバ内に侵入することを防止できるので蓄積用ベッセル50の安全性が向上する。
【0057】
すなわち、ガス導入管32及びフィルタ34を蓄積用ベッセル50の蓋部38と一体に備えることで、外部配管(図示省略)にフィルタを備える必要がなくなり、蓄積用ベッセル50を複数個並列接続する場合の接続配管を単純化することができる。
【0058】
そして、接続配管が単純化することにより、配管内のデッドスペースが減少し、管内面での腐食が発生しにくくなる。すなわち、オゾンガスへの不純物の混入が減少する。
【0059】
したがって、高濃度オゾン供給装置を小型化するとともに高濃度オゾンガス供給装置の安全性を向上することができる。
【符号の説明】
【0060】
30、50…液体オゾン蓄積用ベッセル
31…オゾンチャンバ
33…気体出口
34、35…フィルタ
38…蓋部
40…液体オゾン透過防止部材
43…希釈ガス導入管(希釈ガス供給手段)
44…マスフローコントローラ
49…プロセスチャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化したオゾンをオゾンチャンバに蓄積し、
前記液化したオゾンを気化して高濃度オゾンガスを発生させる液体オゾン蓄積用ベッセルにおいて、
前記オゾンチャンバから排出されるガスに含まれる微粒子を除去するためのフィルタは筒状であり、
前記フィルタの上端が、前記チャンバの天井面に、
また、前記フィルタの下端が、前記チャンバの底面にそれぞれ接続し、
さらに、発生させた高濃度オゾンガスを排出するため配管を前記フィルタの中空部と連通させるとともに、
前記フィルタの中空部に希釈ガスを導入することにより、前記オゾンガスを希釈し、
前記希釈したガスを前記ベッセルの外部に備えられた装置に供給する
ことを特徴とする高濃度オゾン供給方法。
【請求項2】
前記チャンバの蓋部に、前記オゾンチャンバに導入されるガス中の微粒子を除去するための第2のフィルタが一体に備えられた
ことを特徴とする請求項1に記載の高濃度オゾン供給方法。
【請求項3】
前記筒状のフィルタの下端には、前記液化したオゾン透過を防止するための液体オゾン透過防止部材が備えられた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高濃度オゾン供給方法。
【請求項4】
液化したオゾンをオゾンチャンバに蓄積し、
前記液化したオゾンを気化して高濃度オゾンガスを発生させる液体オゾン蓄積用ベッセルにおいて、
前記オゾンチャンバ内に、筒状のフィルタを、前記フィルタの上端が、前記チャンバの天井面に、前記フィルタの下端が、前記チャンバの底面に接続するように備え、
前記フィルタの中空部に希釈ガスを導入するための希釈ガス供給手段を前記チャンバの底部に備えた
ことを特徴とする液体オゾン蓄積用ベッセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−202452(P2010−202452A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49451(P2009−49451)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】