説明

高粘度材料の発泡方法及びその装置

【課題】高粘度材料とガスとの比重の定量性を高めることができるとともに、設備の複雑化及び大型化を来すことのない高粘度材料の発泡方法及びその装置を提供する。
【解決手段】高粘度材料に材料供給管路2の所定位置から所定圧力のガスを混入するとともに、材料供給管路2におけるガス混入位置の上流側に設けた第1のポンプ4の回転数をガス混入位置の下流側に設けた第2のポンプ5の回転数よりも低くすることにより、ガス混入位置の高粘度材料を材料供給管路の外部よりも減圧状態で流通させるようにしたので、材料供給管路2を流通する材料内にガスを吸引しながら混入させることができ、ガス供給管路3のガスに高い圧力を付与しなくとも材料供給管路2の材料内にガスを容易に取り込ませることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種工業製品の接合に用いられる接着剤、隙間充填用のシーリング材、コーティング材等の高粘度材料にガスを混合して発泡させるための高粘度材料の発泡方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車部品等の各種工業製品の接合においては、例えばホットメルト接着剤等の高粘度ポリマー材料に窒素ガス、炭酸ガス、空気等の気体を混合し、これを発泡させて塗布することにより、接着剤の減量化や接着部品の軽量化を図るようにしている。
【0003】
前述の接合に用いる高粘度材料の発泡装置としては、材料吐出管に接続された混合室に材料供給管路及びガス供給管路を接続し、材料供給管路から高粘度材料が流入した混合室にガス供給管路のガスを加圧供給することにより、混合室内の高粘度材料にガスを混入させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、混合室内の高粘度材料には材料供給管路から吐出させるための圧力が加わっているため、これにガスを混入させるためにはガス供給管路のガスに高い圧力を付与しなければならず、高圧ガス設備が必要となる。また、ガスの圧力が高い場合は流量制御が難しいため、高粘度材料とガスの比重にバラツキを生じ、材料の発泡状態が不安定になり易いという問題がある。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、材料タンクから低圧で圧送される高粘度材料に大気圧程度の低い圧力のガスを混入させるとともに、ガスが混入された高粘度材料を加圧装置によって加圧しながら分散用管路を流通させ、分散用管路によって高粘度材料中にガスを分散させた後、材料供給管路のノズルから吐出して発泡させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平7−100346号公報
【特許文献2】特開2004−1571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、後者の場合には、低圧で圧送された高粘度材料を更に加圧するための加圧装置を必要とするため、設備の複雑化及び大型化を来すという問題点があった。
【0007】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高粘度材料とガスとの比重の定量性を高めることができるとともに、設備の複雑化及び大型化を来すことのない高粘度材料の発泡方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、高粘度材料に発泡用のガスを混入させるとともに、高粘度材料中にガスを分散させて材料供給管路から吐出することにより、高粘度材料を発泡させる高粘度材料の発泡方法において、前記高粘度材料に材料供給管路の所定位置から所定圧力のガスを混入するとともに、高粘度材料を材料供給管路の外部よりも低い減圧状態になるようにガス混入位置に流通させるようにしている。
【0009】
これにより、材料供給管路の高粘度材料にガスが混入する際、ガス混入位置を流通する高粘度材料が材料供給管路の外部よりも低い減圧状態になっていることから、材料供給管路を流通する高粘度材料にガスが吸引されながら混入し、ガスの圧力を高圧にしなくとも高粘度材料内にガスが容易に取り込まれる。
【0010】
また、本発明は前記目的を達成するために、高粘度材料に発泡用のガスを混入させるとともに、高粘度材料中にガスを分散させて材料供給管路から吐出することにより、高粘度材料を発泡させる高粘度材料の発泡装置において、前記材料供給管路を流通する高粘度材料に材料供給管路の所定位置から所定圧力のガスを混入するガス供給管路と、高粘度材料を材料供給管路の外部よりも低い減圧状態になるようにガス混入位置に流通させる材料流通手段とを備えている。
【0011】
これにより、材料供給管路の高粘度材料にガス供給管路のガスが混入する際、ガス混入位置を流通する高粘度材料が材料流通手段によって材料供給管路の外部よりも低い減圧状態になっていることから、材料供給管路を流通する高粘度材料にガス供給管路のガスが吸引されながら混入し、ガスの圧力を高圧にしなくとも高粘度材料内にガスが容易に取り込まれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、材料供給管路を流通する高粘度材料にガスを吸引しながら混入させることができるので、材料供給管路に供給されるガスに高い圧力を付与しなくとも材料供給管路の材料内にガスを容易に取り込ませることができる。従って、高粘度材料にガスを混入させるための高圧ガス設備を必要とせず、しかも低圧であるためガスの流量制御が容易となる。これにより、高粘度材料とガスの比重にバラツキを生じさせることなく定量性を高めることができ、常に安定した発泡材料を得ることができる。また、材料供給管路の高粘度材料を別途加圧するための加圧装置を必要とすることもないので、設備の複雑化及び大型化を来すことがないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1乃至図6は本発明の一実施形態を示すもので、図1は高粘度材料発泡装置の概略構成図、図2は制御系を示すブロック図、図3は材料吐出時の制御部の動作を示すフローチャート、図4乃至図6はガス混合比率変更時の制御部の動作を示すフローチャートである。
【0014】
この高粘度材料発泡装置は、高粘度材料を吐出する材料供給ポンプ1と、材料供給ポンプ1から吐出された高粘度材料を流通する材料供給管路2と、材料供給管路2を流通する高粘度材料に材料供給管路2の所定位置からガスを混入させるガス供給管路3と、材料供給管路2のガス混入位置の上流側に設けられた材料流通手段としての第1のポンプ4と、材料供給管路2のガス混入位置の下流側に設けられた材料流通手段としての第2のポンプ5と、第2のポンプ5の下流側に設けられた第1の分散用管路としての第1のスタティックミキサ6と、第1のスタティックミキサ6の下流側に設けられた第2の分散用管路としての第2のスタティックミキサ7と、第2のスタティックミキサ7の下流側に設けられた材料吐出管路8と、材料吐出動作を制御する制御部9とを備えている。
【0015】
材料供給ポンプ1は周知の一軸ポンプからなり、材料容器1a内の高粘度材料Aを吸入し、材料供給管路2に所定圧力(例えば0.1〜20MPa)で吐出するようになっている。この場合、高粘度材料Aとしては、例えばホットメルト接着剤等の高粘度ポリマー材料が用いられる。
【0016】
材料供給管路2は一端を材料供給ポンプ1に接続され、その管路中には第1のポンプ4、第2のポンプ5、第1のスタティックミキサ6及び第2のスタティックミキサ7が設けられている。
【0017】
ガス供給管路3は一端を材料供給管路2の所定位置に接続され、その他端はガスボンベ10に接続されている。この場合、ガスボンベ10のガスとしては、乾燥空気、乾燥窒素、二酸化炭素または混合ガスが用いられる。また、ガス供給管路3中には逆止弁11,ガス供給弁12及び圧力調整弁13が設けられている。逆止弁11はガス供給管路3の一端側に設けられ、ガス供給管路3のガスを材料供給管路2側のみに流通するようになっている。ガス供給弁12は材料供給管路2を開閉する電磁弁からなり、予め設定された所定時間ずつ断続的に開放するようになっている。即ち、ガス供給弁12は、所定時間(例えば0.2秒間)だけ開放し、所定時間(例えば3.0秒間)だけ閉鎖する動作を繰り返すようになっている。圧力調整弁13はサーボモータ等の駆動機構によって開度を調整可能な周知の機器からなり、ガス供給管路3のガスの圧力を任意に調整可能になっている。
【0018】
第1のポンプ4は、例えばギヤポンプやトロコイドポンプなど、出力(回転数)を変えることにより回転数を調整可能な周知の定流量ポンプからなり、材料供給管路2におけるガス供給管路3との接続箇所(ガス混入位置)の上流側に配置されている。この場合、第1のポンプ4の出力は第2のポンプ5よりも回転数が小さくなるように設定されている。第1のポンプ4とガス混入位置との間には電磁弁からなる第1の開閉弁14が設けられ、第1の開閉弁14とガス混入位置との間には圧力計15が設けられている。
【0019】
第2のポンプ5は、例えばギヤポンプやトロコイドポンプなど、出力(回転数)を変えることにより回転数を調整可能な周知の定流量ポンプからなり、材料供給管路2におけるガス供給管路3との接続箇所(ガス混入位置)の下流側に配置されている。この場合、第2のポンプ5は第1のポンプ4と同一仕様のものが用いられ、第2のポンプ5の出力は第1のポンプ4よりも回転数が高くなるように設定されている。例えば、第1のポンプ4の出力は25%に設定され、第2のポンプ5の出力は55%に設定されている。第2のポンプ5とガス混入位置との間には電磁弁からなる第2の開閉弁16が設けられ、第2のポンプ5の下流側には圧力計17が設けられている。
【0020】
第1のスタティックミキサ6は所定管径の管路内に多数のミキサーエレメントを流通方向に配列してなる周知の構成からなり、第2のスタティックミキサ7よりも管径が大きく形成されている。
【0021】
第2のスタティックミキサ7は所定管径の管路内に多数のミキサーエレメントを流通方向に配列してなる周知の構成からなり、第1のスタティックミキサ6よりも管径が小さく形成されている。
【0022】
材料吐出管路8は、例えばフッ素樹脂等の可撓性の材質からなる所定管径のフレキシブルホースによって形成され、第2のスタティックミキサ7よりも管径の小さいものが用いられる。材料吐出管路8の先端には吐出弁18が取付けられ、吐出弁18は材料吐出用ノズル18aを有している。吐出弁18は手動操作または自動によりノズル18aから材料を吐出するようになっており、ノズル18aの口径は材料吐出管路8の管径よりも小さく形成されている。
【0023】
制御部9はマイクロコンピュータによって構成され、材料供給ポンプ1、第1のポンプ4、第2のポンプ5、ガス供給弁12、圧力調整弁13、第1の開閉弁14、第2の開閉弁16及び吐出弁18に接続されている。また、制御部9には混合比率設定部19が接続され、混合比率設定部19によって高粘度材料に対するガスの混合比率を任意に設定可能になっている。
【0024】
ここで、図3のフローチャートを参照し、制御部9の動作について説明する。即ち、吐出弁18が開放操作されると(S1)、第1の開閉弁14及び第2の開閉弁16を開放するとともに(S2,S3)、ガス供給弁12を所定時間ずつ断続的に開放し(S4)、材料供給ポンプ1、第1のポンプ4及び第2のポンプ5を作動する(S5,S6,S7)。また、吐出弁18が閉鎖されると(S8)、材料供給ポンプ1、第1のポンプ4及び第2のポンプ5を停止するとともに(S9,S10,S11)、ガス供給弁12を常時閉鎖状態にし(S12)、第1の開閉弁14及び第2の開閉弁16を閉鎖する(S13,S14)。
【0025】
前記制御部9の動作により、吐出弁18が開放されると、材料供給ポンプ1によって材料容器1a内の高粘度材料Aが材料供給管路2に吐出され、第1のポンプ4及び第2のポンプ5によって材料が材料供給管路2を流通するとともに、圧力調整弁13によって所定圧力(例えば0.5MPa)に調整されたガスが第1のポンプ4と第2のポンプ5との間を流通する材料に混入する。その際、第1のポンプ4の回転数が第2のポンプ5の回転数よりも低く設定されているので、第1のポンプ4と第2のポンプ5との間の材料が外部の圧力よりも減圧状態になる。これにより、ガス供給管路3のガスが第1のポンプ4と第2のポンプ5との間の材料内に吸引されながら混入することから、ガスの圧力を高圧(例えば1.0MPa以上)にしなくとも材料内にガスが容易に取り込まれる。この場合、ガス供給弁12が所定時間ずつ断続的に開放することによりガス供給管路3のガスが材料に供給されることから、材料内にガスが過剰に混入することがない。このように、各ポンプ4,5の回転数の差、ガス供給弁12の開放時間、或いはこれらの関係を任意に設定することにより、後述する材料の発泡状態を調整することができる。
【0026】
次に、ガスが混入された材料は第1のスタティックミキサ6と第2のスタティックミキサ7とに順次流通し、各スタティックミキサ6,7内でガスが材料中に分散する。その際、第2のスタティックミキサ7の管径が第1のスタティックミキサ6よりも小さくなっているので、第1のスタティックミキサ6で分散したガスが第2のスタティックミキサ7でより細かく分散する。
【0027】
そして、第2のスタティックミキサ7から材料吐出管路8に流入した材料を吐出弁18から吐出することにより、大気中に放出された材料が発泡しながら膨張する。その際、材料吐出管路8の管径が第2のスタティックミキサ7よりも小さく、更にノズル18aの口径が材料吐出管路8の管径よりも小さくなっているので、材料吐出管路8及びノズル18aを流通する際においても材料がより細かく分散し、表面が滑らかな発泡材料が得られる。また、吐出弁18を閉じると、第1及び第2の開閉弁14,16が閉鎖されることから、第1及び第2のポンプ4,5が停止しても、第1及び第2の開閉弁14,16間のガス混入位置の圧力が前記所定圧力に保持される。
【0028】
更に、高粘度材料に対するガスの混合比率を変更する場合は、図4のフローチャートに示すように、混合比率設定部19によって混合比率が変更されると(S20)、混合比率が増加するように変更された場合は(S21)、圧力調整弁13の開度を大きくする(S22)。これにより、高粘度材料へのガスの混入量が多くなり、混合比率が増加して材料の発泡倍率が大きくなる。また、混合比率が減少するように変更された場合は(S22)、圧力調整弁13の開度を小さくする(S23)。これにより、高粘度材料へのガスの混入量が少なくなり、混合比率が減少して材料の発泡倍率が小さくなる。
【0029】
このように、本実施形態によれば、高粘度材料に材料供給管路2の所定位置から所定圧力のガスを混入するとともに、高粘度材料を材料供給管路2の外部よりも減圧状態になるようにガス混入位置に流通させるようにしたので、材料供給管路2を流通する材料内にガスを吸引しながら混入させることができ、ガス供給管路3のガスに高い圧力を付与しなくとも材料供給管路2の材料内にガスを容易に取り込ませることができる。従って、高粘度材料にガスを混入させるための高圧ガス設備を必要とせず、しかも低圧であるためガスの流量制御が容易となる。これにより、高粘度材料とガスの比重にバラツキを生じさせることなく定量性を高めることができ、常に安定した発泡材料を得ることができる。また、材料供給管路2の高粘度材料を別途加圧するための加圧装置を必要とすることもないので、設備の複雑化及び大型化を来すことがないという利点がある。
【0030】
更に、材料供給管路2におけるガス混入位置の上流側に設けた第1のポンプ4の回転数をガス混入位置の下流側に設けた第2のポンプ5の回転数よりも低くすることにより、ガス混入位置の高粘度材料を材料供給管路の外部よりも減圧状態にするようにしたので、第1及び第2のポンプ4,5の回転数の設定のみによりガス混入位置における高粘度材料の圧力を負圧にすることができ、第1及び第2のポンプ4,5間の圧力設定を容易且つ高精度に行うことができる。
【0031】
また、ガス供給弁12によって高粘度材料にガスを所定時間ずつ断続的に混入させるようにしたので、材料内にガスが過剰に混入することがなく、常に材料内にガスを精度よく混入させることができる。
【0032】
更に、高粘度材料を材料供給管路2の所定位置に設けた所定管径の第1のスタティックミキサ6に流通させることにより高粘度材料中にガスを分散させた後、高粘度材料を第1のスタティックミキサ6よりも管径の小さい第2のスタティックミキサ7に流通させることにより高粘度材料中にガスを分散させるようにしたので、第1のスタティックミキサ6で分散したガスを第2のスタティックミキサ7でより細かく分散させることができ、ガスの分散を効率よく行うことができる。
【0033】
この場合、ガスを分散させるための分散用管路としてスタティックミキサを用いるようにしたので、簡単な構造により確実にガスを分散させることができる。
【0034】
また、材料供給管路2からの材料吐出動作が停止すると、材料供給管路2におけるガス混入位置の上流側及び下流側を第1及び第2の開閉弁14,16によってそれぞれ閉鎖するようにしたので、第1及び第2のポンプ4,5が停止しても、第1及び第2の開閉弁14,16間のガス混入位置の圧力を所定圧力に保持することができ、次の材料吐出動作を開始する際に速やかにガスを材料に混入させることができる。
【0035】
更に、材料吐出管路8の先端に取付けられた材料吐出用ノズル18aの口径を材料吐出管路8の管径よりも小さくなるように形成したので、材料吐出管路8及びノズル18aを流通する際においても材料をより細かく分散させることができる。これにより、表面が滑らかな発泡材料を得ることができるので、例えば接着剤を発泡させる場合には、接着対象物との密着性を高めることができる。
【0036】
また、材料供給管路2に供給されるガスの圧力を圧力調整弁13によって変えることにより高粘度材料に対するガスの混合比率を調整するようにしたので、圧力調整弁13の制御によりガス混合比率を容易に調整することができ、用途に応じて材料の発泡倍率を変える場合に極めて有利である。
【0037】
尚、前記実施形態では、第1及び第2のポンプ4,5の回転数(rpm)の差によって高粘度材料を減圧状態にするようにしたものを示したが、例えば上流側のポンプに代えて絞り弁または細径管を設け、ガス混入位置を流通する前の材料に流通抵抗を付与することにより、ガス混入位置の材料に負圧を生じさせるようにしてもよい。また、前記実施形態では、高粘度材料に混入させるガスとして乾燥空気または乾燥窒素を例示したが、炭酸ガスや混合ガス等の他の気体を用いるようにしてもよい。更に、前記実施形態では、接着剤を発泡させるものを例示したが、本発明はシーリング材やコーティング材等の他の種類の高粘度材料にも用いることができる。
【0038】
図5及び図6は高粘度材料に対するガスの混合比率を変更する場合の他の制御例を示すものである。即ち、図5のフローチャートに示すように、混合比率設定部19によって混合比率が変更されると(S30)、混合比率が増加するように変更された場合は(S31)、ガス供給弁12の開放時間を長くする(S32)。これにより、高粘度材料へのガスの混入量が多くなり、混合比率が増加して材料の発泡倍率が大きくなる。また、混合比率が減少するように変更された場合は(S32)、ガス供給弁12の開放時間を短くする(S33)。これにより、高粘度材料へのガスの混入量が少なくなり、混合比率が減少して材料の発泡倍率が小さくなる。即ち、ガス供給弁12の開放時間を制御することによりガス混合比率を容易に調整することができるので、用途に応じて材料の発泡倍率を変える場合に極めて有利である。
【0039】
また、図6のフローチャートに示すように、混合比率設定部19によって混合比率が変更されると(S40)、混合比率が増加するように変更された場合は(S41)、第1のポンプ4の回転数を低くする(S42)。これにより、第1及び第2のポンプ4,5間の圧力差が大きくなって高粘度材料へのガスの混入量が多くなり、混合比率が増加して材料の発泡倍率が大きくなる。また、混合比率が減少するように変更された場合は(S42)、第1のポンプ4の回転数を高くする(S43)。これにより、第1及び第2のポンプ4,5間の圧力差が小さくなって高粘度材料へのガスの混入量が少なくなり、混合比率が減少して材料の発泡倍率が小さくなる。即ち、第1のポンプ4の回転数を制御することによりガス混合比率を容易に調整することができるので、用途に応じて材料の発泡倍率を変える場合に極めて有利である。尚、第1のポンプ4の代わりに第2のポンプ5の回転数を制御したり、或いは第1及び第2のポンプ4,5の両方の回転数を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態を示す高粘度材料発泡装置の概略構成図
【図2】制御系を示すブロック図
【図3】材料吐出時の制御部の動作を示すフローチャート
【図4】ガス混合比率変更時の制御部の動作を示すフローチャート
【図5】ガス混合比率変更時の他の制御例における制御部の動作を示すフローチャート
【図6】ガス混合比率変更時の他の制御例における制御部の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0041】
1…材料供給ポンプ、2…材料供給管路、3…ガス供給管路、4…第1のポンプ、5…第2のポンプ、6…第1のスタティックミキサ、7…第2のスタティックミキサ、8…材料吐出管路、9…制御部、10…ガスボンベ、11…逆止弁、12…ガス供給弁、13…圧力調整弁、14…第1の開閉弁、15…圧力計、16…第2の開閉弁、17…圧力計、18…吐出弁、18a…ノズル、19…混合比率設定部、A…高粘度材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高粘度材料に発泡用のガスを混入させるとともに、高粘度材料中にガスを分散させて材料供給管路から吐出することにより、高粘度材料を発泡させる高粘度材料の発泡方法において、
前記高粘度材料に材料供給管路の所定位置から所定圧力のガスを混入するとともに、
高粘度材料を材料供給管路の外部よりも減圧状態になるようにガス混入位置に流通させる
ことを特徴とする高粘度材料の発泡方法。
【請求項2】
前記材料供給管路におけるガス混入位置の上流側に設けた第1のポンプの回転数をガス混入位置の下流側に設けた第2のポンプの回転数よりも低くすることにより、ガス混入位置の高粘度材料を材料供給管路の外部よりも低い圧力にする
ことを特徴とする請求項1記載の高粘度材料の発泡方法。
【請求項3】
前記高粘度材料にガスを所定時間ずつ断続的に混入させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の高粘度材料の発泡方法。
【請求項4】
前記高粘度材料を材料供給管路の所定位置に設けた所定管径の分散用管路に流通させることにより高粘度材料中にガスを分散させた後、高粘度材料を上流側の分散用管路よりも管径の小さい他の分散用管路に流通させることにより高粘度材料中にガスを分散させる
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の高粘度材料の発泡方法。
【請求項5】
前記材料供給管路に供給されるガスの圧力を変えることにより高粘度材料に対するガスの混合比率を調整する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の高粘度材料の発泡方法。
【請求項6】
前記材料供給管路に断続的に供給されるガスの供給時間を変えることにより高粘度材料に対するガスの混合比率を調整する
ことを特徴とする請求項3記載の高粘度材料の発泡方法。
【請求項7】
前記第1及び第2のポンプの少なくとも一方の回転数を変えることにより高粘度材料に対するガスの混合比率を調整する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の高粘度材料の発泡方法。
【請求項8】
高粘度材料に発泡用のガスを混入させるとともに、高粘度材料中にガスを分散させて材料供給管路から吐出することにより、高粘度材料を発泡させる高粘度材料の発泡装置において、
前記材料供給管路を流通する高粘度材料に材料供給管路の所定位置から所定圧力のガスを混入するガス供給管路と、
高粘度材料を材料供給管路の外部よりも減圧状態になるようにガス混入位置に流通させる材料流通手段とを備えた
ことを特徴とする高粘度材料の発泡装置。
【請求項9】
前記材料流通手段を、材料供給管路におけるガス混入位置の上流側に設けられた第1のポンプと、ガス混入位置の下流側に設けられ、第1のポンプよりも高い回転数に設定された第2のポンプとから構成した
ことを特徴とする請求項8記載の高粘度材料の発泡装置。
【請求項10】
前記高粘度材料にガス供給管路のガスを所定時間ずつ断続的に混入させるガス供給弁を備えた
ことを特徴とする請求項8または9記載の高粘度材料の発泡装置。
【請求項11】
前記材料供給管路の所定位置に設けられ、高粘度材料中にガスを分散させる所定管径の第1の分散用管路と、
第1の分散用管路よりも下流側に設けられ、高粘度材料中にガスを分散させる第2の分散用管路とを備え、
第2の分散用管路を第1の分散用管路よりも管径が小さくなるように形成した
ことを特徴とする請求項10記載の高粘度材料の発泡装置。
【請求項12】
前記分散用管路をスタティックミキサーによって形成した
ことを特徴とする請求項11記載の高粘度材料の発泡装置。
【請求項13】
前記ガス供給管路から材料供給管路に供給されるガスの圧力を変えることにより高粘度材料に対するガスの混合比率を調整する混合比率調整手段を備えた
ことを特徴とする請求項8、9、10、11または12記載の高粘度材料の発泡装置。
【請求項14】
前記ガス供給弁によって材料供給管路に断続的に供給されるガスの供給時間を変えることにより高粘度材料に対するガスの混合比率を調整する混合比率調整手段を備えた
ことを特徴とする請求項10記載の高粘度材料の発泡装置。
【請求項15】
前記第1のポンプの回転数を変えることにより高粘度材料に対するガスの混合比率を調整する混合比率調整手段を備えた
ことを特徴とする請求項8、9、10、11または12記載の高粘度材料の発泡装置。
【請求項16】
前記材料供給管路におけるガス混入位置の上流側及び下流側にそれぞれ設けられ、材料供給管路からの材料吐出動作が停止すると材料供給管路を閉鎖する一対の開閉弁を備えた
ことを特徴とする請求項8、9、10、11、12、13、14または15記載の高粘度材料の発泡装置。
【請求項17】
前記材料供給管路の材料吐出側に設けられた材料吐出管路と、
材料吐出管路の先端に取付けられた材料吐出用ノズルとを備え、
材料吐出用ノズルの口径を材料吐出管路の管径よりも小さくなるように形成した
ことを特徴とする請求項8、9、10、11、12、13、14、15または16記載の高粘度材料の発泡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−289276(P2006−289276A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114672(P2005−114672)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】