説明

高粘度用静電式ブレード型塗布ノズル

【課題】高粘度液体を、静電気の作用下で被塗布体の表面に向けて噴霧して均一に塗布する。
【解決手段】高粘度用静電式ブレード型塗布ノズル3は、互いに対向する一対の第1,第2ノズルブレード19,21を備えた電気絶縁材料からなるノズルヘッド27と、前記第1,第2ノズルブレードに挟んで配置した導電材料からなるシム25と、このシムの一方の表面と前記第1ノズルブレードの表面との間に設けて被塗布体5に向けて吐出すべき高粘度液体の吐出流路群7と、この吐出流路群に連通する液体供給路9と、前記シムに前記被塗布体5とは逆極性の電圧を印加する電極31と、前記第2ノズルブレードの内部に設けて前記高粘度液体を保温する熱風を供給する熱風室35と、この熱風室に前記熱風を供給するノズル熱風供給路41と、前記熱風室内の熱風を排出するノズル熱風排出路43と、を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高粘度用静電式ブレード型塗布ノズルに関し、特に、ビスケットやケーキや煎餅からなる食品や、工業用の部材や、その他の被塗布体の表面に、高粘度液状のチョコレートやクリーミーなどの物質や、工業用の高粘度油や、その他の物質からなる高粘度液体を静電気の作用下で前記被塗布体の表面に向けて噴霧して均一に塗布するための高粘度用静電式ブレード型塗布ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
図5を参照するに、従来、静電型液体塗布装置101には、静電式ブレード型塗布ノズル103(以下、単に「ノズル」という)が設けられており、離型油などからなる液体がノズル103から静電気の作用下で被塗布体105に向けて噴霧されて被塗布体105の表面に塗布される。
【0003】
静電型液体塗布装置101は、被塗布体105に向けて吐出すべき液体の吐出流路群107を備えたノズル103と、前記吐出流路群107に対応して前記液体を供給すべく連通する液体供給管路109と、この液体供給管路109を開閉すべく前記液体供給管路109に介設した電磁弁111と、から塗布用液圧回路が構成されている。
【0004】
さらに、上記の塗布用液圧回路においては、液体が液体モータ113により回転駆動される液体ポンプ115により液体タンク117から液体供給管路109へ供給されるように構成される。
【0005】
上記のノズル103は、一対のノズルブレード119と121との間に形成されたスリット123内に1枚ないしは多数枚のシム125を電極として配置したノズルヘッド127が備えられている。ノズルブレード119,121は電気絶縁材料製であり、例えば全長が被塗布体105より長く設けられている。シム125は厚さが例えば0.5mm程度のステンレス鋼シートなどからなる導電材料製であり、1枚のシム125の長さが、図6(A)に示されているように、100〜150mmほどである。したがって、ノズルブレード119,121の全長が長い場合は、多数枚のシム125が横方向に並べられ、その全長がノズルブレード119,121の全長と同じ長さになるように配列される。
【0006】
また、シム125の表面と一方のノズルブレード119の隣接表面との間には、被塗布体105に向けて吐出すべき液体の吐出流路群107が形成されている。この吐出流路群107は、例えばシム125の片面に溝深さCでエッチング加工されている。なお、上記の吐出流路群107には液体を供給するための液体供給口129が連通されている。
【0007】
図6(A),(B)を併せて参照するに、例えばシム125としては、図6(B)において左側の表面には油だめ131A,131Bと吐出流路群107A,107Bとが例えば0.25mm程度の深さCでエッチング加工されており、この吐出流路群107A,107Bに連なる油だめ131A,131Bに液体を供給する液体供給口129が連通されている。
【0008】
油だめ131A,131Bは塗布装置のノズルブレード119における一対の液体供給口129に連通させ、これら液体供給口129は図5に示されているように可変型流量制御弁133、電磁弁111を介して液体供給管路109を経て液体ポンプ115に接続される。
【0009】
なお、吐出流路群107A,107Bは細管抵抗として作用するものであり、その抵抗値は流路の長さに比例し、流量は長さの二乗に反比例する。吐出流路群107A,107Bから吐出される流体の塗布幅は、それぞれWA、WBである。したがって、各吐出流路群107A,107Bの上流側の電磁弁111を開閉することにより、シム125の全体としての塗布幅を、被塗布体105に応じてWA,WB,WA+WBと変化させることが可能である。
【0010】
上記のシム125における油だめ131A,131Bの両側に形成された比較的大きな円形開口部135は、塗布装置全体の支持ブラケット等に対する固定ボルトを通すものである。また、油だめ131A,131Bの隣接領域に配置された比較的小さい円形開口部137は、シム125と隣接するノズルブレード119,121との間の液密性を維持しつつ装置を組立てるための止めねじを通すものである。なお、上記のように形成された吐出流路群107A,107Bの最終的な流路の吐出口139は四角形状をなしている。
【0011】
再び図5を参照するに、被塗布体105は接地されており、正電位を有する。そのため、負電位の直流高電圧(−60〜−70kV前後)が電源コネクタ141を介してシム125に印加されると、液体供給口129から供給される液体は吐出流路群107A,107B内を通過する間に瞬時に帯電するので、同一極性の電荷が互いに反発することとなる。この結果、液体が均一粒径の微粒子として霧化され、ノズルヘッド127の先端から被塗布体105に向けて均等に噴霧される。被塗布体105の上における液体の拡散幅Aは液体の噴射量に応じて均等に拡がることとなる。
【0012】
また、液体ポンプ115と可変型流量制御弁133との間の液体供給管路109には、電磁弁111と液体ポンプ115の流体圧力を一定に保つためのリリーフ弁143が介設されている。
【0013】
また、上記の液体モータ113、可変型流量制御弁133及び電磁弁111はそれぞれ制御装置145により制御されるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−79144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来の静電型液体塗布装置101に備えたノズル103においては、粘性の低い液体である離型剤や潤滑油等を用いて被塗布体105へ噴射することは容易に行えるが、例えば、被塗布体105がビスケットやケーキや煎餅からなる食品であって、この被塗布体105の表面に、高粘度液状のチョコレートやクリーミーなどの物質からなる高粘度液体を塗布することはできないものであった。この点では、工業用の高粘度油や、その他の物質からなる高粘度液体も同様に従来の静電型液体塗布装置101を用いて塗布することができないものであった。
【0015】
したがって、粘性の高い高粘度液状のチョコレートやクリーミーや、工業用の高粘度油や、その他の物質からなる高粘度液体を塗布するには、手作業で刷毛塗りなどにより塗布するか、あるいは何らかの他の機械的な方法で行う必要があった。
【0016】
なお、従来の静電型液体塗布装置101では、比較的低い粘性の流動性を有するチョコレートやクリーミーなどの液状体が用いられていた。しかし、粘性の低い液状のチョコレートやクリーミーでは、製品の表面がべとべとするので薄い樹脂ラップ材で覆ったり、薄い樹脂の袋で包装したりするなどの処理が必要であった。
【0017】
また、従来の静電型液体塗布装置101を使用して、上述した高粘度液体を塗布しようとする場合、ノズル103から霧状にして噴射するには、特に、ノズル103の内部では吐出流路群107の狭い流路を流れやすくするために上記の高粘度液体の粘性を低くする必要があり、そのために加熱・保温されている必要がある。しかし、ノズル103は、前述したように負電位の直流高電圧(−60〜−70kV前後)が印加されているので、ヒータ等では加熱できないという問題点があった。
【0018】
そこで、例えば図5の二点鎖線で示されているようにノズルブレード119,121の側壁面に例えば高温水が通過する熱交換用のパイプ147を接触させてノズル103の全体を加熱・保温することが考えられるが、これでは熱交換効率が低いことや、熱交換効率を高めるには熱交換用のパイプ147を細かい間隔で配設する必要性や、高温水を供給する設備などの点で、高コストになるという問題点があった。
【0019】
この発明は上述の課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明の高粘度用静電式ブレード型塗布ノズルは、互いに対向する一対の第1,第2ノズルブレードを備えた電気絶縁材料からなるノズルヘッドと、前記第1,第2ノズルブレードに挟んで配置した導電材料からなるシムと、このシムの一方の表面と前記第1ノズルブレードの表面との間に設けて被塗布体に向けて吐出すべき高粘度液体の吐出流路群と、この吐出流路群に連通する液体供給路と、前記シムに前記被塗布体とは逆極性の電圧を印加する電極と、前記第2ノズルブレードの内部に設けて前記高粘度液体を加熱・保温する熱風を供給する熱風室と、この熱風室に前記熱風を供給するノズル熱風供給路と、前記熱風室内の熱風を排出するノズル熱風排出路と、を設けてなることを特徴とするものである。
【0021】
また、この発明の高粘度用静電式ブレード型塗布ノズルは、前記高粘度用静電式ブレード型塗布ノズルにおいて、前記熱風室の前記シム側の側面が開口されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、高粘度用静電式ブレード型塗布ノズルが静電式であるために、例えば負電位の直流高電圧がノズルに通電されるのであるが、第2ノズルブレードの内部に、熱風を供給する熱風室を設けたので、ノズルをヒータなどで電気的に加熱しなくても効率よくノズルの全体特にシムを介して高粘度液体を加熱・保温することができる。
【0023】
その結果、高粘度液状のチョコレートやクリーミーなどの物質や、工業用の高粘度油や、その他の物質からなる高粘度液体の粘性を低めて、ビスケットやケーキや煎餅からなる食品や、工業用の部材や、その他の被塗布体の表面に向けて霧状に噴射して前記被塗布体に均一に塗布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1を参照するに、この発明の実施の形態に係る高粘度用静電塗布装置1には、高粘度用静電式ブレード型塗布ノズル3(以下、単に「高粘度用ノズル」という)が設けられており、この高粘度用ノズル3から、例えば、高粘度液状のチョコレートやクリーミーなどの物質や、工業用の高粘度油や、その他の物質からなる高粘度液体が、ビスケットやケーキや煎餅からなる食品や、工業用の部材や、その他の被塗布体5の表面に向けて噴射され、前記被塗布体5に均一に塗布する装置である。
【0026】
被塗布体5は、コンベア装置などの搬送装置により前記高粘度用ノズル3の下方を通過するように搬送され、被塗布体5が高粘度用ノズル3の下方位置を通過するときに、高粘度液体が静電気の作用下で、高粘度用ノズル3から被塗布体5の表面に向けて噴霧されて均等に塗布されることになる。
【0027】
高粘度用静電塗布装置1は、被塗布体5に向けて吐出すべき高粘度液体の吐出流路群7を備えた高粘度用ノズル3と、このノズル3の前記吐出流路群7に対応して前記高粘度液体を供給すべく連通する液体供給管路9と、この液体供給管路9を開閉すべく前記液体供給管路9に介設した電磁弁11と、から塗布用液圧回路が構成されている。
【0028】
さらに、上記の塗布用液圧回路においては、高粘度液体が液体モータ13により回転駆動される液体ポンプ15により液体タンク17から液体供給管路9へ供給されるように構成される。
【0029】
次に、この発明の実施の形態の主要部を構成する高粘度用ノズル3の構造並びにその加熱・保温の方法について詳しく説明する。
【0030】
図1を参照するに、高粘度用ノズル3は、一対の第1ノズルブレード19と第2ノズルブレード21との間に形成されたスリット23内に1枚ないしは多数枚のシム25を電極として配置したノズルヘッド27が備えられている。第1、第2ノズルブレード19,21は例えば絶縁性プラスチックなどの電気絶縁材料製であり、例えば全長が被塗布体5より長く設けられている。前記シム25は厚さが例えば0.5mm程度のステンレス鋼シートなどからなる導電材料製であり、1枚のシム25の長さが、図2(A)に示されているように、100〜150mmほどである。したがって、第1、第2ノズルブレード19,21の全長が長い場合は、多数枚のシム25が横方向に並べられ、その全長が第1、第2ノズルブレード19,21の全長と同じ長さになるように配列される。
【0031】
また、ノズルヘッド27には、シム25に負電位の高電圧を印加するための電極としての例えば電源コネクタ29を構成するコネクタピン31が第1ノズルブレード19の側面から突出するように設けられている。
【0032】
また、シム25の表面と第1ノズルブレード19の隣接表面との間には、被塗布体5に向けて吐出すべき液体の吐出流路群7が形成されている。この吐出流路群7は、例えばシム25の片面(この実施の形態ではシム25の図1において左側面)に溝深さCでエッチング加工されている。なお、上記の吐出流路群7には液体を供給するための液体供給口33が連通されている。
【0033】
図2(A),(B)と図3(A),(B)を併せて参照するに、シム25の吐出流路群7を備えていない裏面と隣接する第2ノズルブレード21の表面(この実施の形態では図1において左側面)には、熱風室35が設けられている。この熱風室35は第2ノズルブレード21の長手方向(図1において左側面側、図3(B)において左側面側)に長く深い溝部とこの溝部の開口側がシム25の裏面で塞がれるようにして構成されるものであり、熱風室35の図1及び図3(A),(B)において上部の内壁面には熱風を熱風室35に供給するための熱風供給口37と、熱風室35内の熱風を排出するための熱風排出口39が連通されている。なお、前記熱風室35を第2ノズルブレード21側に設けた理由は、第1ノズルブレード19側には電極としての電源としての電源コネクタ29を構成するコネクタピン31が設けられているため、電気的に支障をきたすためである。
【0034】
また、上記の熱風供給口37には熱風を供給するためのノズル熱風供給管路41が連通されており、上記の熱風排出口39には熱風を排出するためのノズル熱風排出管路43が連通されている。また、前記ノズル熱風供給管路41は熱風源としての例えばノズル熱風用ブロワー装置45に連通している。また、上記のノズル熱風排出管路43の熱風は外部へ排出されるか、あるいは上記のノズル熱風用ブロワー装置45へ戻って再加熱されるよう構成される。
【0035】
また、上記のシム25としては、図2(B)において左側の表面には油だめ47A,47Bと吐出流路群7A,7Bとが深さCでエッチング加工されており、この吐出流路群7A,7Bは油だめ47A,47Bから延在するものであり、下流側に向けて多数の流路溝が並列に配置されている。最下流の両端に位置する流路の間隔は液体の塗布幅WA,WBに対応するものであり、塗布幅WA,WBはそれぞれ、例えば50mm程度とすることができる。
【0036】
油だめ47A,47Bは塗布装置のノズルブレード19における一対の液体供給口33に連通させ、これら液体供給口33は図1に示されているように可変型流量制御弁49、電磁弁11を介して液体ポンプ15に接続されている。なお、可変型流量制御弁49は液体供給管路9内の高粘度液体の流量を調整するものである。前記可変型流量制御弁49がなくても対応可能である。
【0037】
なお、吐出流路群7A,7Bは細管抵抗として作用するものであり、その抵抗値は流路の長さに比例し、流量は長さの二乗に反比例する。吐出流路群7A,7Bから吐出される流体の塗布幅は、それぞれWA、WBである。したがって、各吐出流路群7A,7Bの上流側の電磁弁11を開閉することにより、シム25の全体としての塗布幅を、被塗布体5に応じてWA,WB,WA+WBと変化させることが可能である。
【0038】
さらに、上記のシム25における油だめ47A,47Bの両側に形成された比較的大きな円形開口部51は、塗布装置全体の支持ブラケット等に対する固定ボルトを通すものである。また、油だめ47A,47Bの隣接領域に配置された比較的小さい円形開口部53は、シム25と隣接する第1、第2ノズルブレード19,21との間の液密性を維持しつつ装置を組立てるための止めねじを通すものである。
【0039】
また、この実施の形態では、塗布幅WA,WBにはそれぞれ16本の流路溝が吐出流路群7A,7Bとして配置されている。さらに、上記のように形成された吐出流路群7A,7Bの最終的な流路の吐出口55は四角形状をなしている。
【0040】
図4(A),(B)を併せて参照するに、第1、第2ノズルブレード19,21には、上記のシム25の円形開口部51,53と同様の円形開口部51,53が設けられている。また、液体供給口33からの高粘度液体がシム25の油だめ47A,47Bへ効率よく供給されるための液体供給流路となる溝部57が第1ノズルブレード19の図4(A)において左右の長手方向に長く形成されている。
【0041】
再び図1を参照するに、液体ポンプ15と可変型流量制御弁49との間の液体供給管路9には、電磁弁11と液体ポンプ15の流体圧力を一定に保つためのリリーフ弁59が介設されている。
【0042】
また、上記の液体モータ13、可変型流量制御弁49及び電磁弁11はそれぞれ制御装置61により高粘度液体の供給量を調整するよう制御されるように構成されている。さらに、熱風源としての例えばノズル熱風用ブロワー装置45は制御装置61により供給される熱風の温度が制御される。
【0043】
次に、上記構成における作用を説明する。
【0044】
図1を参照するに、高粘度用ノズル3の加熱・保温の作用について説明すると、ノズル熱風用ブロワー装置45からの熱風はノズル熱風供給管路41を経てノズルヘッド27に設けた熱風供給口37から熱風室35内に流入する。この熱風室35内の熱風により第2ノズルブレード21の内部から高粘度用ノズル3の全体が効率よく適正な温度に加熱・保温される。特に、シム25の裏面が熱風室35に接触しているので加熱性及び保温性が良好である。次いで、熱風室35内の熱風は熱風排出口39からノズル熱風排出管路43を経て外部へ排出されるか、あるいは上記のノズル熱風用ブロワー装置45へ戻って再加熱される。
【0045】
次に、高粘度液体が被塗布体5の表面に噴霧、塗布される作用について説明する。
【0046】
例えば、被塗布体5がコンベア装置により高粘度用静電塗布装置1の高粘度用ノズル3の下方を通過するように搬送される。一方、液体タンク17内の高粘度液体は、液体モータ13により回転駆動される液体ポンプ15により液体タンク17から、液体供給管路9を経て送られる。電磁弁11が開放され、液体供給管路9内の高粘度液体がノズル3の各吐出流路群7A,7Bを経て最終的な流路の各吐出口55から被塗布体5の表面に向けて噴霧される。
【0047】
このとき、前述したように高粘度用ノズル3の全体が熱風室35内の熱風により適正な温度に保温されているので、高粘度液体が流れやすい良好な状態で各吐出流路群7A,7Bを経て各吐出口55からコンベア装置上の被塗布体5の表面に噴霧される。
【0048】
さらに、図1を参照して、高粘度用ノズル3から高粘度液体が噴霧されるときの作用を詳しく説明すると、被塗布体5を載せたコンベア装置は接地されており、正電位を有する。そのため、負電位の直流高電圧(−60〜−70kV前後)が電源コネクタ29を介してシム25に印加されると、制御装置61により電磁弁11をONせしめ、可変型流量制御弁49により高粘度液体が制御装置61により制御されて液体供給管路9を経て液体供給口33へ供給され、この液体供給口33から供給される高粘度液体はシム25の吐出流路群7A,7B内を通過する間に瞬時に帯電するので、同一極性の電荷が互いに反発することとなる。この結果、高粘度液体が均一粒径の微粒子として霧化され、ノズルヘッド27の先端の吐出口55から被塗布体5に向けて均等に噴霧される。被塗布体5の上における高粘度液体の拡散幅Aは高粘度液体の噴射量に応じて均等に拡がることとなる。
【0049】
以上のことから、高粘度用静電塗布装置1が静電式であるために負電位の直流高電圧(−60〜−70kV前後)が高粘度用ノズル3に通電されるが、高粘度用ノズル3の第2ノズルブレード21の内部に、制御装置61により温度を制御した熱風を供給する熱風室35が設けられているので、高粘度用ノズル3をヒータなどで電気的に加熱しなくても、効率よく高粘度用ノズル3の全体を加熱・保温することができる。
【0050】
その結果、高粘度液状のチョコレートやクリーミーなどの物質や、工業用の高粘度油や、その他の物質からなる高粘度液体の粘性を低めて、ビスケットやケーキや煎餅からなる食品や、工業用の部材や、その他の被塗布体の表面に向けて霧状に噴射して前記被塗布体に均一に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の実施の形態の高粘度用静電塗布装置の概略的な断面図である。
【図2】(A)はこの発明の実施の形態のシムの一方の表面に吐出流路群が形成された正面図で、(B)はシムを油だめ並びに吐出流路群に沿った断面を拡大した状態の縦断面図である。
【図3】(A)はこの発明の実施の形態のノズルブレードの表面に熱風室が形成された正面図で、(B)は(A)の矢視III−III線の断面図である。
【図4】(A)はこの発明の実施の形態のノズルブレードの正面図で、(B)は(A)の矢視IV−IV線の断面図である。
【図5】従来の静電型液体塗布装置の概略的な断面図である。
【図6】(A)は従来のシムの一方の表面に吐出流路群が形成された正面図で、(B)はシムを油だめ並びに吐出流路群に沿った断面を拡大した状態の縦断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 高粘度用静電塗布装置
3 高粘度用ノズル(高粘度用静電式ブレード型塗布ノズル)
5 被塗布体
7,7A,7B 吐出流路群
9 液体供給管路
11 電磁弁
13 液体モータ
15 液体ポンプ
17 液体タンク
19,21 ノズルブレード
25 シム
27 ノズルヘッド
29 電源コネクタ(電極)
31 コネクタピン(電極)
33 液体供給口
35 熱風室
37 熱風供給口
39 熱風排出口
41 ノズル熱風供給管路(ノズル熱風供給路)
43 ノズル熱風排出管路(ノズル熱風排出路)
45 ノズル熱風用ブロワー装置
55 吐出口
61 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の第1,第2ノズルブレードを備えた電気絶縁材料からなるノズルヘッドと、前記第1,第2ノズルブレードに挟んで配置した導電材料からなるシムと、このシムの一方の表面と前記第1ノズルブレードの表面との間に設けて被塗布体に向けて吐出すべき高粘度液体の吐出流路群と、この吐出流路群に連通する液体供給路と、前記シムに前記被塗布体とは逆極性の電圧を印加する電極と、前記第2ノズルブレードの内部に設けて前記高粘度液体を加熱・保温する熱風を供給する熱風室と、この熱風室に前記熱風を供給するノズル熱風供給路と、前記熱風室内の熱風を排出するノズル熱風排出路と、を設けてなることを特徴とする高粘度用静電式ブレード型塗布ノズル。
【請求項2】
前記熱風室の前記シム側の側面が開口されていることを特徴とする請求項1記載の高粘度用静電式ブレード型塗布ノズル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−150217(P2006−150217A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343856(P2004−343856)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(504208474)LUI株式会社 (11)
【Fターム(参考)】