説明

高純炭素の製造方法とそれにより得られた高純炭素を含有させた布帛及びそれを用いた身体装着具

【課題】産業廃棄物の有効利用を可能とした固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理にて得られた高純炭素を用いた布帛及びそれを用いた身体装着具を提供することにある。
【解決手段】フェノール樹脂を除いた高分子化合物を無酸素熱分解・賦活処理にて得られた高純炭素を用いた布帛及びそれを用いた身体装着具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイナスイオン効果及び遠赤外線効果を有する高純炭素を含有させた布帛及びそれを用いた身体装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木炭、竹炭等の活性炭には吸臭、除湿、防菌などの効果が知られており、更に、近年、木炭、竹炭等の活性炭にはマイナスイオン発生作用と共に遠赤外線発生作用があることが判明しつつあり、その活用に注目が集まっている。そして、自然界において森林の中や滝壷の近傍の空中にはマイナスイオンが多いことが知られ、これが健康に良いと言われている。即ち、マイナスイオンは、生体の細胞を活性化し自律神経や内分泌機能を調整して人体の精神安定、免疫力向上、疲労軽減などの効果(マイナスイオン効果)を奏するといわれ、この知見を基に、商用の低電圧電力を変換して、高電圧放電によるマイナスイオン発生器が市販されている。同様に、遠赤外線が人体の皮下深層の温度の上昇や、微細血管の拡張、血行促進、新陳代謝の強化などの効果(遠赤外線効果)を奏するといわれ、これらのマイナスイオン効果や遠赤外線効果を有する繊維等を使用して製造された衣料や寝装具又は健康器具、サポータ、マスク等と言った繊維製品が市場に見受けられる。
【0003】
このようなマイナスイオン効果や遠赤外線効果を利用した布帛や衣服に関する提案がされている。(例えば特許文献1〜4参照)
【0004】
【特許文献1】特開2000−160475号公報
【特許文献2】特開2003−306850号公報
【特許文献3】特開2005−13574号公報
【特許文献4】特開2005−218651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1では、活性炭素繊維(フェノール繊維等使用)よりなる布帛の片面に金属箔(銅、チタン)をスパッタリングや蒸着にて付着させ、金属箔を蒸着させない面を身体側にして衣服を製作して、体温で昇温した衣服から遠赤外線が放射され、金属箔の内側面に反射され、活性炭素繊維からの遠赤外線放射をより一層強める。この布帛の製造には工数が多くかかり、素材的にも高価なものとなっていた。
【0006】
特許文献2では、コウゾ、ミツマタ、ガンビ等の植物を原料にした和紙を撚って和紙糸として、その和紙糸で製織した織物地又は和紙糸を編んだ編物地を炭化し、そのシート状炭化物の表裏両面を通常の織物地又は/及び編物地で被覆して接着したことを特徴とする織物地又は編物地としての利用及び加工をするものである。この布帛の製造にも工数が多くかかり、そのために高価なものとなっていた。
【0007】
特許文献3では、2枚の織布の対向する内側面間に発泡樹脂接着層をバインダーとしてコーティングして形成し、そしてその発泡樹脂接着層の間にマイナスイオンを放出する粒状・粉状の天然鉱石(医王石、学名:石英閃緑玲石)と、遠赤外線を放出する細かい特殊セラミックス(トルマリン鉱石、電気石等を粒状・粉状にしてセラミックス加工したもの)と、細かい活性炭の混合材を均等に分散保持させて、その発泡樹脂接着層を介して、2枚の織布と天然鉱石と特殊セラミックスと活性炭とを弾性と通気性を保って接着した敷物である。この敷物も工数が多く、素材的にも高価なものであった。
【0008】
特許文献4では、天然靭皮繊維の織物の炭化材層の上下両面を織物布で通気性を損なわないように接着剤を塗布して貼付して、シート状材となし、この表面と裏面の少なくとも一方の面に、温泉水等に含まれる放射性物質(ラドン、トロン、ラジウム、アクチノン)や、モザナイト等を含む微細な粒状体の塗布液を塗布して形成している。この布帛は工数が多く、素材的にも高価なものであった。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、産業廃棄物の有効利用を可能として、乾留炉と賦活炉とを有する固形廃棄物の処理装置において、固形廃棄物(例えば、炭化水素を主体とする人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物を裁断したチップ状裁断物)の原料を無酸素熱分解・賦活処理にて得られた活性炭或いは活性炭様物質(以下これを高純度炭素又は高純炭素と称す)とそれを用いた布帛及び身体装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明は、フェノール樹脂を除いた人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物をチップ状に裁断した原料を、ガス燃焼処理装置から送られる高温ガス通路内に配置されてなる無酸素熱分解炉(乾留炉)内の第1の仕切ドラム内に投入し、前記高温ガスにより前記仕切ドラム壁を介して前記原料を間接加熱し無酸素状態で熱分解(乾留)させて、その炭化物を取出し、次にこの炭化物を、内部に窒素ガスを充満した賦活処理装置(賦活炉)内の第2の仕切ドラム内に投入させ、窒素と置換した後に、前記仕切りドラム内の前記炭化物を前記第2の仕切ドラム壁に開口した複数の通気穴より導入した水蒸気と高温ガスとにより賦活処理させ、気体成分を分離後、取出してなる活性炭或いは活性炭様物質(以下これを高純炭素と称す)の製造方法。
【0011】
上記請求項1の発明の場合、無酸素状態で乾留することにより、揮発性物質や水素等のほとんどを完全に近い脱離をしたことにより生成された特殊な炭素の製造方法である。フェノール樹脂を除いた高分子化合物を無酸素熱分解・賦活処理にて得られた高純炭素において炭素の純度は、竹炭や稲籾殻活性炭の炭素の純度よりかなり高い(炭素の純度は94.4%である。)。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1による製造方法により得られた高純炭素を含有する布帛及びそれを用いた身体装着具である。
【0013】
上記請求項2の発明の場合、フェノール樹脂を除いた人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物をチップ状に裁断した原料を、無酸素熱分解・賦活処理により生成される製造方法により得られる高純炭素を含有する布帛及びそれを用いた身体装着具であるから、マイナスイオン効果及び遠赤外線効果を高水準で発揮し得る効能を有する布帛及び、それを用いた身体装着具の提供が可能である。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、請求項1の発明では、マイナスイオンの発生と、遠赤外線の発生がより強く認められる高純炭素が得られると共に、廃タイヤの有効利用をすることが出来て、廃タイヤが野積みされて、自然発火による火災発生を防止出来て安心して生活出来る環境が整備され得る。
【0015】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加えて、より強いマイナスイオンの発生能や遠赤外線の発生能による高純炭素を含有する布帛及びそれを用いた身体装着具を使用することにより、生体の細胞を活性化し自律神経や内分泌機能を調整して人体の精神安定、免疫力向上、疲労軽減などの効果(マイナスイオン効果)を受けることが可能であると共に、人体の皮下深層の温度の上昇や、微細血管の拡張、血行促進、新陳代謝の強化などの効果(遠赤外線効果)を受けることが可能であり、健康維持及び健康増進に役立つことができて便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1を参照して、原料容器11内に収容されている固形廃棄物(例えば、フェノール樹脂を除いた炭化水素を主体とする人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物を裁断したチップ状裁断物)である原料10を、原料用コンベア(例えばバケットコンベア、図示せず)により無酸素熱分解炉(乾留炉)2の一端上方に設けてある第1のホッパ13内に搬送して、更に、シャッタ付の第1の投入口13aからシャッタ(図示せず)を開いて無酸素熱分解炉2の無酸素熱分解炉本体3内の耐熱外壁を貫き投入させ、更に、内部の仕切ドラム4内の第1のねじコンベア(第1の圧送機)6にて、無酸素熱分解室6a内に装填する。
【0017】
ここで無酸素熱分解炉2は、耐火煉瓦等耐熱材の外壁に覆われた無酸素熱分解炉本体3内に、前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し、第1の高温ガス通路5を形成するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される少なくとも1基の第1の仕切ドラム4が架設されている。前記仕切ドラム4内には、第1の圧送機として第1のねじコンベア6と無酸素熱分解室6aが形成されている。その第1の圧送機として第1のねじコンベア6により無酸素熱分解室6a内に前記原料10が搬送(圧送)される。前記第1のねじコンベア6は、第1の駆動軸7とその長手方向の外周面に溶接等により固着された螺旋状の第1のねじ羽根8とよりなり、この第1のねじコンベア6を前記無酸素熱分解炉本体3の耐火煉瓦等の耐熱外壁の両側壁端部に軸シール部材を備えた軸受9により回転自在に支承されている。図1の左方から見て、ここでは螺旋状の前記第1のねじ羽根8は右巻としているので反時計方向に回転する。左巻ならば時計方向回転とする。(そうでないと原料19を搬送(圧送)出来ない。)
【0018】
そして、前記仕切りドラム4内の前記無酸素熱分解室6aの上側面には、無酸素熱分解(乾留)時に原料10から発生する気体成分を前記耐火煉瓦等の外壁部を貫いて前記無酸素熱分解炉本体3外に導出するための取出案内ダクト31a、31aを複数個所設けて、集合ダクト31を介して冷却装置33内に導入され、この気体成分は更に、気体配管34により気液分離装置37に導かれ、気体成分(ガス成分)38と液体成分(オイル成分)39とに分けられる。一方のこの無酸素熱分解ガス成分(気体成分)38は気体配管37aにより気液分離装置37から外部に取出されて流量調節弁(図示せず)を持つガス容器(ガスタンク)X1に蓄えられ、この蓄えられた気体成分(ガス成分)38はガスタンクX1から分岐配管X2,X3により無酸素熱分解用のガス燃焼処理装置20と賦活処理用ガス燃焼処理装置X4に送られる。他方の液体成分(オイル成分)39は、前記冷却装置33からの液体配管35(途中に図示しない切換弁を設ける。)に液体配管37bを接続して、液体成分容器(図示せず)に収容する。
【0019】
そして、前記無酸素熱分解炉2の前記高温ガス通路5内には、前記気体成分38と燃料21を用いてガス燃焼処理装置20で燃焼させた高温ガスを第1の配管22を介して第2の配管24から複数の第3の配管(分岐配管)25により前記無酸素熱分解炉2の前記無酸素熱分解炉本体3内の第1の高温ガス通路5内に導入される。一方、後述する前記無酸素熱分解炉本体3の第1の高温ガス通路5内からの戻り気体成分で再利用される高温ガスは第5の配管27(途中コイル部27aを形成し、第2の配管24に巻付けて再加熱される。)、送風機28を経由して、一部は再び第6の配管29を経由して、ガス燃焼処理装置20に導かれる。そして、前記気体成分38と燃料21と混合されてガス燃焼処理装置20で燃焼させて、高温ガスとして、第1の配管22に導かれ、この第1の配管22に接続する第2の配管24等を経由して前記無酸素熱分解炉本体3の高温ガス通路内に輸送される。(前記第2の配管24にはコイル部27aが巻き付けられていて、第1の高温ガス通路5内からの戻り気体成分を再加熱している。)
【0020】
ところで、高温ガス通路5内に放出された高温ガスはステンレス鋼等の耐熱材で構成される前記仕切ドラム4壁を通して内方に伝熱し、無酸素熱分解室6a内部の前記第1のねじコンベア6上にて搬送される固形廃棄物の原料10を200〜600℃の高温に加熱(第1の仕切ドラム4壁を介して間接加熱)しながら連続的に無酸素熱分解させる。投入された前記原料10が、シャッタ付の第1の投入口13aからシャッタ(図示せず)を開いて無酸素熱分解炉2の無酸素熱分解炉本体3内に圧送開始から数時間〜8時間程度の短時間(一般的に言えば、無酸素熱分解(乾留)工程としては短時間の部類である。)にて、第1の出口14の図示しないシャッタを開いて炭化物(無酸素熱分解残滓)15を貯留所(図示してないが粉砕機能を有する)16内の粉砕された炭化物(無酸素熱分解残滓)15を磁気による金属選別機17内に移動させ(図示しないコンベア使用)、炭化物15内に混入した磁性金属(例えば使用済み廃タイヤのビードワイヤ)を磁石(図示しない電磁石)に吸着させて、その後、搬送される炭化物15内に磁性金属が混入しないようにして、賦活炉本体51の賦活室52aの内壁面が傷付くことから保護する。この磁気による金属選別機17の部分は蓋を開いて吸着した磁性金属等を取出せるような構造になっている。そして炭化物15は炭化物用コンベア(例えばバケットコンベア)57により後述する賦活炉50の賦活炉本体51へと搬送される。
【0021】
さて、高温ガス通路5内に放出された高温ガスはステンレス鋼等の耐熱材で構成される前記仕切ドラム4壁を通して内方に伝熱し、無酸素熱分解室6a内部の前記第1のねじコンベア6上にて搬送される固形廃棄物の原料10を200〜600℃の高温に加熱(第1の仕切ドラム4壁を介して間接加熱)しながら連続的に無酸素熱分解させることは上述した。その後、高温ガスは前記複数の第4の配管(集合配管)26を経由して第5の配管(ヘッダ配管)27に案内され、コイル部27aを形成して前記第2の配管24の周囲に巻付けて再加熱されて、その高温ガスは送風機28を介して第6の配管29を経て一部はガス燃焼処理装置20へ再度導かれ、この高温ガスの他の一部は前記第6の配管29の途中で分岐している廃熱ボイラ配管29aに導かれ、その後、排気管72に合流して屋外に排気される。
【0022】
無酸素熱分解炉2の無酸素熱分解炉本体3において、無酸素熱分解室6a内の第1の圧送機としての第1のねじコンベア6の第1の駆動軸7は、図示しないが、左方端部から減速装置付電動機により回転駆動され、0.2〜3回転/時間程度の緩やかな搬送速度で回転し、固形廃棄物である原料10が無酸素熱分解炉2の無酸素熱分解炉本体3の一端にある第1のホッパ13の原料投入口(シャッタ付き)13aから無酸素熱分解炉本体3の無酸素熱分解室6a内に投入されてから、無酸素熱分解炉本体3の他端下方に設けられている第1の出口14から炭化物15として無酸素熱分解炉本体3の外に取出される時間は、例えば、数時間〜8時間程度というような短時間で処理出来ることは上述した。
【0023】
次に、炭化物15を賦活処理するために圧送する第2の圧送機52としての第2のねじコンベア52を備えた賦活炉50について述べる。図1を参照して、賦活炉50は、耐火煉瓦等の耐熱材の外壁に覆われた賦活炉本体51の前記外壁内面との間に所定距離の空間を離間し第2の高温ガス通路45を形成するように、且つ、前記無酸素熱分解室6a数に対応するように、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される少なくとも1基の第2の仕切ドラム44が架設され、前記第2の仕切ドラム44内には、賦活室52aが形成され、そこに第2の圧送機として第2のねじコンベア52が配設されている。即ち、第2の駆動軸53とその長手方向の外周面に溶接等により固着された螺旋状の第2のねじ羽根54とよりなる第2のねじコンベア52を前記賦活炉本体51の耐火煉瓦等の耐熱外壁の両側壁端部に軸シール部材を備えた軸受55により回転自在に支承されている。
【0024】
前記賦活炉本体51の一端上方に、前記賦活室52aに通じ夫々専有の第2の投入口(図示せぬシャッタ付き)58aを有する夫々専有の第2のホッパ58を配置し、前記賦活炉本体51の他端下方に夫々専有の第2の出口(図示せぬシャッタ付き)59を配置している。図1において左側から見て、第2のねじ羽根54が右巻きとすれば、炭化物15を左方に移送するために、第2のねじコンベア52の回転方向は時計方向となる。勿論、図1にて、第2のねじコンベア52の第2のねじ羽根54が左巻ならば反時計方向回転となる。(そうでないと圧送出来ない。)
【0025】
そして、前記ガスタンクX1から分岐配管X3により輸送された気体成分38と燃料21を用いてガス燃焼処理装置X4で燃焼させた高温ガスは、配管X5により賦活炉本体51の一方の下方側部から、賦活炉本体51内の前記第2の高温ガス通路45に接続導入されている。そして、前記賦活炉本体51の一端側の上方側部であって前記一端側の第2のホッパ58の左方近傍には送気管78から分岐された複数の送気分岐配管78aが前記第2の高温ガス通路45を貫通し更に前記第2の仕切ドラム44壁を突き通して前記賦活炉本体51内に設けられた賦活室52a内の第2のねじコンベア52に面して開口接続されている。この送気管78は切換弁75を介して、一方は前記廃熱ボイラ70の水蒸気配管74に接続され、この切換弁75を介して他方は窒素ガスタンク76(図示せず)から窒素ガスを供給するための窒素ガス配管77に接続されている。
【0026】
賦活化用ガス燃焼処理装置X4で発生させた高温ガスは、賦活炉本体51内の前記第2の高温ガス通路45内の下方から、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される前記第2の仕切ドラム44壁の多数の孔を通し前記第2のドラム44内に導入され、即ち、この高温ガスは賦活炉本体51内の賦活室52a内に流入し、この賦活室52a内の前記炭化物15を直接加熱して、この炭化物15を900〜1000℃の程度の温度とする。
【0027】
そして前記賦活炉50内の第2の圧送機である第2のねじコンベア52の第2の駆動軸53は、図示しないが左方端部から減速装置付き電動機により回転駆動され、第2のホッパ58から投入された炭化物15が数時間後に第2の出口(シャッター付き)59により良質の活性炭或いは活性炭様物質60として取出せる。
【0028】
ところで、前記賦活炉50において、賦活工程の準備段階として、初めに前記第2の出口59のシャッタ(図示せず)と第2のホッパ58のシャッタ(図示せず)とを閉じておき、切換弁75を介して窒素ガスタンク76(図示せず)から、前記賦活炉本体51内には窒素ガスを充満させておき、次に前記炭化物用コンベア(例えばバケットコンベア)57から搬送されてくる炭化物15が第2のホッパ58内に到着した場合に、第2のホッパ58のシャッタ(図示せず)を開いて第2の投入口58aから炭化物15を賦活炉本体51の賦活室52a内に投入し同時に前記賦活炉本体51への分岐配管65から高温ガスを第2の高温ガス通路45内に放出させ、ステンレス鋼等の耐熱材で構成される前記第2の仕切ドラム44壁の多数の孔を通し前記第2のドラム44内に導入され、同時に前記切換弁75を切換て、水蒸気を送気分岐配管78aから賦活炉本体51の賦活室52a内に供給し、賦活炉本体51の賦活室52a内で賦活処理を開始する。賦活炉本体51内の温度は900〜1000℃程度とする。そして、前記賦活炉本体51の上部からは、前記賦活炉本体51内の高温ガスが複数の配管66から集合配管67により廃熱ボイラ70に導入された後に排気管72を経て装置外又は屋外に排気される。
【0029】
上記内容をまとめると、無酸素熱分解炉(乾留炉)と賦活炉とを有する固形廃棄物の処理装置において、無酸素熱分解炉本体(乾留炉本体)の外壁内面との間に所定距離の空間を離間し第1の高温ガス通路を形成する第1の仕切ドラムを備え、第1の投入口より投入される固形廃棄物(例えば、炭化水素を主体とする人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物を裁断したチップ状裁断物)の原料を前記第1の仕切ドラム内に圧送する第1の圧送機を備え、ガス燃焼処理装置により発生された高温ガス(200〜600℃の高温ガス)を前記第1の高温ガス通路内に導入循環させ、前記チップ状裁断物の原料を前記第1の仕切りドラム内にて数時間〜8時間かけて圧送する過程で、前記原料を前記第1の仕切りドラム壁を介して間接加熱して無酸素熱分解(乾留)させ、前記第1の仕切りドラム内から無酸素熱分解(乾留)時に発生する液体成分と気体成分とを取出す各々の配管も備え、前記原料を無酸素熱分解(乾留)後に炭化物として取出す第1の取出口をも備えた前記無酸素熱分解炉(前記乾留炉)と共に、
【0030】
前記無酸素熱分解(乾留)後、前記第1の取出口から取出された前記炭化物をコンベアにて前記賦活炉に導き、前記賦活炉の第2の投入口より賦活炉内に投入させ、前記賦活炉本体内に設けられた第2の圧送機により、前記炭化物を前記賦活炉本体内に設けられた第2の仕切ドラム内に圧送し、その時前記炭化物は前記賦活炉本体内部の前記第2の仕切ドラム内に充満された窒素ガスと置換しながら連続的に移送され、そして前記炭化物は前記第2の仕切ドラム内の移送過程にて、前記第2の仕切ドラム内に導入された水蒸気と高温ガス(200〜600℃の高温ガス)とにより数時間かけて賦活処理された後に、前記賦活炉の第2の取出口より良質の活性炭或いは活性炭様物質(これを高純炭素と称す)として取出される。尚、前記第1のねじコンベア6や前記第2のねじコンベア52等はピストンとシリンダの圧送機に置き換えられることは勿論である。
【0031】
ところで、表1は、地球上の主要構成要素の存在度を示すものであり、表2は、高純炭素と植物性炭素の元素分析結果の比較を示すものである。前記したように現在、多種類の炭や活性炭などの炭化物(炭素)が、本来の燃料としての用途以外に炭化物としての調湿作用、消臭作用、土壌改良作用や水質浄化作用等に利用され、市販されているが、そのほとんどは植物(木材、竹材、椰子殻)を原料として製造されている。
【0032】
植物体を構成する元素は、その生育地域の土壌に含まれる元素の含有量を反映していると考えられる。表1に示すように地殻(岩圏)を主に構成する元素は酸素、水素を除いて、最も多いのが珪素Siであり、20.5%、次にアルミニウム(6.2%)、そしてナトリウム(2.49%)、鉄Fe(1.90%)、Ca(1.88%)マグネシウムMg(1.77%)、カリウム(1,37%)と続く。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
表2の高純炭素と植物性炭素の元素分析結果の比較において、植物体の乾留物である植物性炭素−1(具体的には竹炭)と植物性炭素―2(具体的には稲の籾殻活性炭)との元素含有量の結果より、植物の光合成によって大気中の二酸化炭素から合成した各種有機物に由来する炭素Cの含有量が最も多い。この大気由来の炭素Cを除いた残りの成分はSi(15.0%と21.0%)、K(15.0%と3.3%)、Ca(4.0%と0.81%)、Fe(0.91%と1.0%)が多く、上記の主要な地殻成分の含有量を反映している。
【0036】
ところで、炭素と珪素は、元素の周期表の第14族の第2周期と第3周期に属する元素であり、どちらも非金属であるが珪素は半導体(電気を通しにくい絶縁体と電気を通しやすい導体との中間物質で、抵抗率10−4〜10Ω・mくらいの範囲にある)であり、炭素とは異なった物性をもっている。そのため、炭や炭化物の生体への作用は主に炭素Cに起因するものである。
【0037】
この様なことから、気体である酸素と水素を除いて、大気中の二酸化炭素から光合成された各種有機物に由来する含有量の多い炭素Cと、生育地域の土壌に含まれる元素の含有量を反映していると考えられる、地殻(岩圏)を主に構成する元素の最も多い珪素Siとを用いて、炭素の純度(%)を次の式1により表現すると、
【0038】
炭素の純度(%)=(Cの含有量)/(Cの含有量+Siの含有量)×100 …式1
【0039】
表2に示すように、炭素の純度は、(植物性炭素−1:具体的には竹炭)では72.7%であり、(植物性炭素―2:具体的には稲の籾殻活性炭)では69.1%である。
一方、(高純炭素)の炭素の純度は94.4%であり、(植物性炭素−1:具体的には竹炭)や(植物性炭素―2:具体的には稲の籾殻活性炭)に比べて炭素の純度はかなり高い。
【0040】
従来、(植物性炭素−1:具体的には竹炭)や、(植物性炭素―2:具体的には稲の籾殻活性炭)は低酸素状態で上層を燃焼させながら炭化している乾留(炭焼き窯等でのいわゆる蒸し焼き)によって製造されている。従来から、無酸素状態で長時間間接加熱をして炭素化合物を生成することは、極めて経費がかかるために、この様に低酸素状態で上層を燃焼させながら炭化している乾留によって炭化物の生成をしているのである。
【0041】
これに対して(高純炭素)は、固形廃棄物(例えば、炭化水素を主体とする人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物を裁断したチップ状裁断物)である原料を、ガス燃焼処理装置から送られる高温ガス通路内に配置されてなる無酸素熱分解炉(乾留炉)内に投入し、無酸素状態で熱分解(乾留)させて、その炭化物を取出し、次にこの炭化物を、内部に窒素を充満した賦活処理装置(賦活炉)内に投入させ、窒素と置換した後に、水蒸気と高温ガスとにより賦活処理させ、気体成分を分離後、取出してなる活性炭或いは活性炭様物質(以下これを高純炭素と称す)を生成してなるものである。
【0042】
即ち、高純炭素は、炭素含有量の多い炭化水素を主体とする固形廃棄物(例えば、炭化水素を主体とする人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物を裁断したチップ状裁断物)を原料に使用し、無酸素状態で乾留することにより、揮発性物質や水素等のほとんどを完全に近い脱離をしたことにより生成された(特殊な炭素)であると言える。
【0043】
本発明の高純炭素と植物性炭素―2とのマイナスイオン生成能についての測定結果を表3に示す。
【0044】
ポリエチレン製の袋(大きさ縦20cm、横10cm、厚さ0.04mm)の試料風袋を5袋を用意した。測定装置は株式会社佐藤商事製イオン測定器ACI―100を使用した。測定は試料風袋を空中に吊るし、3cmの距離の試料風袋周辺大気におけるマイナスイオン生成能を調べた。なお、対照地点は試料風袋から30cmの距離の大気とした。
【0045】
まず、試料風袋のみで、各乾留物を入れていない場合、各試料風袋から3cmの周辺空気中のマイナスイオン生成能は0であり、実験で使用したポリエチレン製の袋(大きさ縦20cm、横10cm、厚さ0.04mm)の試料風袋を5袋にはいずれもマイナスイオン生成能の無いことが実証できた(表3参照)。
【0046】
【表3】

【0047】
表3に示すように、各試料についてマイナスイオン生成能を8回ずつ測定し、その平均値を算出した。表3に示すように、各高純炭素はいずれも強いマイナスイオン生成能を有することが判明した。高純炭素(粗粒)で1,690個/CC、高純炭素(中粒)で1,888個/CC、高純炭素(細粒)で2,490個/CC、高純炭素(粉末)で3,534個/CCと微細化に伴って増加することが判明した。また、同じ形態の粉末で比較すると、高純炭素は、植物性炭素よりもマイナスイオン生成能が2倍以上も強いことが確認された。
【0048】
高純炭素は、炭素含有量の多い炭化水素を主体とする固形廃棄物(例えば、炭化水素を主体とする人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物を裁断したチップ状裁断物)を原料に使用し、無酸素状態で乾留することにより、揮発性物質や水素等のほとんどを完全に近い脱離をしたこと(完全熱分解処理)により生成された「特異的な炭素」であり、その特異性が前記の高度なマイナスイオン生成能をもたらす結果になったものと判断される。
【0049】
次に、試料1:幅40mm、長さ390mm、厚さ約1mmのポリウレタン製網状部材の表面に、高純炭素を、エフフォースター(2003年7月1日施行の、シックハウス症候群対策に関する改正建築基準法に準拠の、ホルムアルデヒド放散量のほとんどない最高等級規格の規制対応接着剤)の水性ニス(商品名スーパーテラー)を用いて、塗布して乾燥させ、表裏両面を綿布にて被覆し周縁を縁縫いし、長手方向の一方端の表側と他方端の裏側に、夫々雌雄平面ファスナーの片方ずつを設けた布製ベルト(以下これを高純炭素含有ベルトT00と称す)を用意する。
【0050】
同様に、試料2:幅40mm、長さ390mm、厚さ約1mmのポリウレタン製網状部材の表面に、高純炭素とトルマリン(別名電気石と言い、外部から圧力を受けたり温度変化が与えられたりするとマイナスイオンを生成し、且つ、遠赤外線を放出する鉱物)とを夫々重量比8:2の割合の状態で混合したものを、エフフォースター(2003年7月1日施行の、シックハウス症候群対策に関する改正建築基準法に準拠の、ホルムアルデヒド放散量のほとんどない最高等級規格の規制対応接着剤)の水性ニス(商品名スーパーテラー)を用いて、塗布して乾燥させ、表裏両面を綿布にて被覆し周縁を縁縫いし、長手方向の一方端の表側と他方端の裏側に夫々一対をなす雌雄の平面ファスナーの片方ずつを設けた布製ベルト(以下これを高純炭素含有ベルトT20と称す)を用意する。
【0051】
大阪府及び奈良県に在住する年齢58歳,61歳、63歳の3人の男性健常者を被験者として、調査日:2005年11月16日および11月19日、高純炭素含有ベルト装着部位:上椀部の肘下30mm、血流計測器:KDD(株)製ES−1000SPM、血流計測方法:各高純炭素含有ベルト(T00とT20)を適用部位に装着5分後以降に、親指付け根から20mm付近における橈骨動脈の血流を測定した。
【0052】
表4は、被験者1(男性、63歳)において、検査ベルトの区分と測定時期が、A:ベルト装着無し、B:高純炭素含有ベルトT00の装着5分後、C:高純炭素含有ベルトT20の装着5分後、D:高純炭素T20ベルトの剥離5分後、という四種類による測定を各3回づつ行った。その測定データに基づいて被験者1(男性、63歳)における高純炭素含有ベルト装着による橈骨動脈の血流の増加効果をまとめたものである。
【0053】
【表4】

【0054】
表4に示すように、A:高純炭素含有ベルトを装着しない場合、被験者1における測定で橈骨動脈の最高血流、平均血流及び脈拍は、3回計測の平均値として、それぞれ11.2cm/秒、1.9cm/秒、63回/分であった。B:高純炭素含有T00ベルトを上腕の肘下5cmの部位に装着してその5分後の最高血流及び平均血流は16.3cm/秒及び3.0cm/秒となり、A:高純炭素含有ベルトを装着しない場合に比較して、血流が増加している。増加率は最高血流で45.7%、平均血流で59.6%であった。しかし、脈拍は61回/分でほとんど変化はなかった。
【0055】
そして、C:高純炭素含有ベルトT20を装着した場合、より顕著な血流増強効果が観察された。即ち、表4に示すように、C:高純炭素含有ベルトT20装着5分後における最高血流は21.9cm/秒、平均血流は4.0cm/秒となり、血流増加率は95.8%と108.8%であった。また、この高純炭素含有ベルトT20の場合も脈拍の変化はほとんど認められなかった。
【0056】
一方、D:高純炭素T20ベルトを剥離した場合、血流増加効果は比較的早期に消失する。即ち、表4に示すように、D:高純炭素T20ベルト剥離し、5分後に計測すると、最高血流は21.9cm/秒から13.5cm/秒に減少した。また、平均血流も4.0cm/秒から2.3cm/秒に減少した。
【0057】
表5は、被験者2(男性、61歳)において、検査ベルトの区分と測定時期が、A:高純炭素含有ベルト装着無し、B:高純炭素含有ベルトT00の装着5分後、C:高純炭素含有ベルトT20の装着5分後、D:高純炭素含有ベルトT20の装着10分後、という四種類による測定を各3回づつ行った。その測定データに基づいて被験者1(男性、63歳)における高純炭素含有ベルト装着による橈骨動脈の血流の増加効果をまとめたものである。
【0058】
【表5】

【0059】
表5に示すように、A:高純炭素含有ベルト装着しない場合、被験者2における測定で橈骨動脈の最高血流、平均血流及び脈拍は、3回計測の平均値として、それぞれ15.6cm/秒、6.5cm/秒、72回/分であった。B:高純炭素含有T00ベルトを上腕の肘下5cmの部位に装着してその5分後の場合、その最高血流及び平均血流は19.1cm/秒及び7.7cm/秒となり、A:高純炭素含有ベルトを装着しない場合に比較して、血流が増加している。増加率は最高血流で22.4%、平均血流で19.1%であった。しかし、脈拍は70回/分でほとんど変化はなかった。
【0060】
そして、C:高純炭素含有ベルトT20を装着した場合、より顕著な血流増強効果が観察された。即ち、表5に示すように、C:高純炭素含有ベルトT20装着5分後における最高血流は25.1cm/秒、平均血流は10.4cm/秒となり、血流増加率は60.3%と61.3%であった。また、この高純炭素含有ベルトT20の場合も脈拍の変化はほとんど認められなかった。
【0061】
そして、この高純炭素含有ベルトT20の装着時間を長くすると、更に血流増強効果が強くなる。即ち、表5に示すように、D.高純炭素含有ベルトT20装着10分後の場合、その最高血流及び平均血流は40.6cm/秒及び15.0cm/秒となり、A:高純炭素含有ベルトを装着しない場合に比較して、血流が増加している。血流増加率は最高血流で159.9%、平均血流で132.5%であった。しかし、脈拍は72回/分で変化はなかった。
【0062】
表6は、被験者3(男性、58歳)において、検査ベルトの区分と測定時期が、A:高純炭素含有ベルト装着無し、B:高純炭素含有ベルトT20の装着5分後、という二種類による測定を各3回づつ行った。その測定データに基づいて被験者3(男性、58歳)における高純炭素含有ベルト装着による橈骨動脈の血流の増加効果をまとめたものである。
【0063】
【表6】

【0064】
表6に示すように、A:高純炭素含有ベルト装着しない場合、被験者3における測定で橈骨動脈の最高血流、平均血流及び脈拍は、3回計測の平均値として、それぞれ16.9cm/秒、3.2cm/秒、68回/分であった。B:高純炭素含有T20ベルトを上腕の肘下5cmの部位に装着してその5分後の場合、その最高血流及び平均血流は20.3cm/秒及び6.1cm/秒となり、A:高純炭素含有ベルトを装着しない場合に比較して、血流が増加している。増加率は最高血流で19.7%、平均血流で88.7%であった。しかし、脈拍は67回/分でほとんど変化はなかった。
【0065】
上記3人の被験者における調査結果から得られた結論は、以下に要約することができる。
1)高純炭素含有ベルトT00、及び高純炭素含有ベルトT20は、いずれもその装着により装着付近の動脈の血流を増加させる。
2)高純炭素含有ベルトT00、及び高純炭素含有ベルトT20は、いずれも脈拍数に影響を与えない。
3)高純炭素含有ベルトT00は、装着付近の動脈の血流を20〜60%程度増加させる。
4)高純炭素含有ベルトT20は、装着付近の動脈の血流を90〜130%程度増加させる。
【0066】
次に、(1)福岡県の一級河川の遠賀川の河川水を取水したものを試料原水として、(2)上記遠賀川の河川水を取水した試料原水400mLに、高純炭素30gを添加して、30秒間撹拌した試料処理水、(3) 上記遠賀川の河川水を取水した試料原水400mLに、ボタ(選炭後の粗悪な石炭)を低酸素乾留物にして得られた炭素(ここではボタ炭と称す)30gを添加して、30秒間撹拌した試料処理水、(4) 上記遠賀川の河川水を取水した試料原水400mLに、竹材を低酸素乾留物にして得られた炭素(ここでは竹炭と称す)30gを添加して、30秒間撹拌した試料処理水、を夫々用意した。(平成17年6月2日採取した試料原水を用いた水質検査をした。分析方法は上水試験方法で、分析項目は大腸菌群(個/mL)を、上記試料(1)、(2)、(3)(平成17年6月2日採取した試料原水を用いた水質検査をした。分析方法は上水試験方法で、分析項目は大腸菌群(個/mL)を、上記試料(1)、(2)、(3)、(4)について、夫々分析を行った。そして、その結果を表7に示す。
【0067】
【表7】

【0068】
上記水質検査において、(1)福岡県の一級河川の遠賀川の河川水を、平成17年6月2日に取水採取したものを試料原水とした場合に、4.5×10の大腸菌群(個/mL)が認められた。そして、(2)上記遠賀川の河川水を取水採取した試料原水400mLに、高純炭素30gを添加して、30秒間撹拌した試料処理水の場合に、5.1×10の大腸菌群(個/mL)が認められた。そして、(3)上記遠賀川の河川水を取水採取した試料原水400mLに、ボタ(選炭後の粗悪な石炭)を低酸素乾留物にして得られた炭素(ここではボタ炭と称す)30gを添加して、30秒間撹拌した試料処理水の場合に、7.8×10の大腸菌群(個/mL) が認められた。更に、(4)上記遠賀川の河川水を取水採取した試料原水400mLに、竹材を低酸素乾留物にして得られた炭素(ここでは竹炭と称す)30gを添加して、30秒間撹拌した試料処理水の場合に、2.5×10の大腸菌群(個/mL) が認められた。分析方法は上水試験方法で、分析項目は大腸菌群(個/mL)を、検査した。
【0069】
表7より水質検査結果は、遠賀川の河川水の取水採取した上記試料水(1)、ボタ炭混入の上記試料水(3)、竹炭混入の上記試料水(4)、高純炭素混入の上記試料水(2)の順で大腸菌群(個/mL)の存在量が少なくなっていることが確認された。即ち、高純炭素混入の上記試料水(2)中の大腸菌群(個/mL)の減少率は98.9%であり、竹炭混入の上記試料水(4)中の大腸菌群(個/mL)の減少率は82.7%、ボタ炭混入の上記試料水(3)中の大腸菌群(個/mL)の減少率は94.4%とした結果となった。これにより高純炭素の存在により河川水中の大腸菌を1.1%に減少させる水質浄化の強い効果があり、その浄化効果は竹炭やボタ炭よりもはるかに強いことが分かった。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、これに限定されるものではなく、フェノール樹脂を除いた人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物をチップ状に裁断した原料を、またはプラスチック製品をチップ状あるいは繊維状に裁断した原料を、または繊維状のプラスチック製品を、無酸素熱分解・賦活処理により生成される製造方法により得られる高純炭素を含有する布帛及びそれを用いた身体装着具である。
【0071】
従来技術のように前記布帛には、複数のポケットを所定間隔に設けて、腰や腹部に巻き付けて使用する腹帯が提案できる。例えば、ポリプロピレンやポリエチレンやポリエステル等の四角形の不織布を半分に折り、一端部を開口部となし、それを挟む左右両端の二方向をヒートシールして袋状(俗称ティーバッグ状)にしたものの中に、本発明の高純炭素粉末を適量袋詰めにしたものを複数用意して、この高純炭素を袋詰めした各々を前記腹帯の前記各々のポケット内に挿入し、そして、前記腹帯の両端部近傍の表裏に対をなして設けられ、互いに当接して使用される雌雄の平面ファスナにより、長さ方向を任意の位置に止められるようにしておき、容易に着脱可能である腹帯とすることが出来る。これを腰や腹部に巻き付けて使用すれば、高純炭素のマイナスイオンにより、生体の細胞を活性化し自律神経や内分泌機能を調整して人体の精神安定、免疫力向上、疲労軽減などの効果(マイナスイオン効果)を得ることが出来、同様に高純炭素の、遠赤外線が人体の皮下深層の温度の上昇や、微細血管の拡張、血行促進、新陳代謝の強化などの効果(遠赤外線効果)を得ることが出来、腰や腹部ひいては背中の血流が促進されて、暖まり腰痛や肩こり冷え性等が緩和され、健康の維持増進に良い。
【0072】
或いは、本発明の高純炭素粉末を従来技術のようにアクリルバインダー等のバインダー類に混合分散させたものを、天然綿やポリエステル綿等の合成繊維綿に含浸又は塗布したものを、2枚の綿織布の間に詰め、上から細かく刺し子縫いを施し、周端部を縁縫いして、布団やひざ掛けや敷物等も提案できる。或いは、綿布や麻布や合成繊維布の表裏に、本発明の高純炭素粉末を、従来技術のようにアクリルバインダー等のバインダー類に混合分散させたり、又は、水性ニス(商品名スーパーテラー)に混合分散させたものを用いて、所定幅で所定間隔に塗布したものを用意して、これを2枚の綿織布の間に挟んで、上から細かく刺し子縫いを施し、周端部を縁縫いして、ひざ掛けや敷物等も提案できる。このような布団やひざ掛けや敷物等を用いることにより、本発明の高純炭素のマイナスイオンにより、生体の細胞を活性化し自律神経や内分泌機能を調整して人体の精神安定、免疫力向上、疲労軽減などの効果(マイナスイオン効果)を得られ、同様に高純炭素の、遠赤外線が人体の皮下深層の温度の上昇や、微細血管の拡張、血行促進、新陳代謝の強化などの効果(遠赤外線効果)を得ることができて、健康の維持増進に良い。
【0073】
このように本発明の高純炭素を使用した布帛およびそれを用いた身体装着具は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の高純炭素及び高純炭素含有布帛は、マイナスイオン(陰イオン)作用により陽イオンを吸着するのでフィルターの素材として、土木作業現場、採石現場、石炭採掘現場、鉄鋼業現場、造船業、製粉業、繊維工業現場、セメント工事現場、や各種塗装現場、農作業等の防塵マスクや花粉症用マスクに使用したり、アイマスクや腕や足に巻くバンドや首に巻くバンド等により、目や体内の血流を良くして疲れを癒してくれるために健康器具産業分野でも利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置の構成図である。
【符号の説明】
【0076】
1…固形廃棄物の無酸素熱分解・賦活処理装置
2…無酸素熱分解炉
3…無酸素熱分解炉本体
4…第1の仕切ドラム
5…第1の高温ガス通路
6…第1の圧送機
6a…無酸素熱分解室
10…固形廃棄物
13a…第1の投入口
14…第1の出口
15…炭化物
31…配管
20…ガス燃焼処理装置
28…送風機
33…冷却装置
37…木液分離装置
44…第2の仕切ドラム
45…第2の高温ガス通路
50…賦活炉
51…賦活炉本体
52…第2の圧送機
52a…賦活室
57…炭化物用コンベア
58a…第2の投入口
59…第2の出口
60…活性炭
66,67…配管
74…水蒸気配管
77…窒素ガス配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂を除いた人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物をチップ状に裁断した原料を、ガス燃焼処理装置から送られる高温ガス通路内に配置されてなる無酸素熱分解炉(乾留炉)内の第1の仕切ドラム内に投入し、前記高温ガスにより前記仕切ドラム壁を介して前記原料を間接加熱し無酸素状態で熱分解(乾留)させて、その炭化物を取出し、次にこの炭化物を、内部に窒素ガスを充満した賦活処理装置(賦活炉)内の第2の仕切ドラム内に投入させ、窒素と置換した後に、前記仕切りドラム内の前記炭化物を前記第2の仕切ドラム壁に開口した複数の通気穴より導入した水蒸気と高温ガスとにより賦活処理させ、気体成分を分離後、取出してなる活性炭或いは活性炭様物質(以下これを高純炭素と称す)の製造方法。
【請求項2】
請求項1による高純炭素の製造方法により得られた高純炭素を含有させた布帛及びそれを用いた身体装着具。

【図1】
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【公開番号】特開2008−50193(P2008−50193A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226861(P2006−226861)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(505094102)
【出願人】(506286858)
【Fターム(参考)】