説明

高結晶性ポリエチレン

本発明は、高結晶性重合体状材料、例えば高結晶性の、架橋した、および架橋していない超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の製造方法に関する。本発明は、高圧および高温結晶化製法を使用する添加剤ドーピングした高結晶性重合体状材料、その材料から製造した医療用充填材、およびそれに使用する材料の製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年8月22日提出の米国仮出願第60/709,796号(該出願は引用されることにより本願の開示の一部とされる。)を基礎として優先権を主張したものである。
【0002】
本発明は、高結晶性耐酸化性架橋重合体状材料を包含する高結晶性重合体状材料の製造方法に関する。高圧下、高温で重合体状材料を結晶化させる方法およびそれに使用する材料も提供する。
【発明の背景】
【0003】
照射による架橋は、UHMWPEの疲労強度を低下させる。その上、照射後の融解により、UHMWPEの疲労強度がさらに低下する。放射線および融解は、UHMWPEの降伏強度、極限引張強度、靱性および破断伸度も低下させる。
【0004】
残留フリーラジカルは、架橋を形成し、大部分が結晶区域に捕獲されており、酸素と反応して酸化性脆化を引き起こす恐れがあるが、融解を照射と組み合わせると、この残留フリーラジカルの再結合を促進する。しかし、架橋および照射後の融解に伴う結晶化度の低下は、放射線架橋させ、融解させたUHMWPEの疲労強度、降伏強度、極限引張強度、靱性および破断伸度を低下させる理由であると考えられる。これらの特性変化の一部または全部が、低摩耗性の高架橋UHMWPEの、低応力用途への使用を制限している。したがって、低摩耗性を必要とする高応力用途向けの、低摩耗性および高疲労耐性のUHMWPEには、結晶化度がより高く、架橋したUHMWPEであることが望ましい。
【0005】
したがって、架橋UHMWPEにおける、照射により形成された残留フリーラジカル濃度を、結晶化度を下げずに低下させ、低摩耗性を必要とする高応力用途向けの高疲労耐性を達成することが望ましい。融解に代わる方法を使用し、照射されたUHMWPEの長期間酸化を阻止し、高レベルの結晶化度および疲労強度を保存することができる。
【0006】
従来のUHMWPEの疲労強度に対する結晶化度の影響は公知である。研究者らは、高圧結晶化により未照射UHMWPEの結晶化度を増加し、これによって未照射UHMWPEの疲労亀裂伝播抵抗が約25%増加している(Bakerら, Polymer, 2000. 41(2): p. 795-808)。他の研究者らは、高圧(2,000〜7,000バール)および高温(>200℃)で、ポリエチレンが伸びきり鎖結晶を成長させ、より高い結晶化度レベルを達成することを見出している(Wunderlichら, Journal of Polymer Science Part A-2: Polymer Physics, 1969. 7(12): p. 2043-2050)。高圧結晶化は、極限引張強度は大きく変化しないにも関わらず、最初に融解させ、次いで加圧することにより、照射されたUHMWPEの疲労強度を改良することができる(Pruittら, 7th World Biomaterials Congress, 2004. p. 538, Bistolfiら, Transactions, Orthopaedic Research Society, 2005. p.240)。未架橋のまたは高架橋のポリエチレンを、先ず加圧し、次いで高圧で加熱することによる、高圧での結晶化挙動は確認されていない。
【0007】
ポリエチレンは、高温および高圧で、斜方晶から六方晶相への相変換を受ける。六方晶相は、伸びきり鎖結晶を成長させ、ポリエチレン中でより高い結晶化度を達成することができる。これは、斜方晶相と比較して、六方晶相における束縛結晶化速度が低い結果であると考えられる。高圧結晶化の前にポリエチレン中に可塑剤または核形成剤を導入することにより、結晶化速度に対する束縛をさらに小さくすることができよう。高圧結晶化の前に、ポリエチレンを可塑剤、例えばα−トコフェロールまたはビタミンEでドーピングすることができる。このドーピングは、ポリエチレン樹脂粉末を可塑剤とブレンドし、そのブレンドを固化させるか、または固化させたポリエチレン中に可塑剤を拡散させることにより、達成できる。2004年1月15日提出の米国特許出願第10/757,551号、および2004年1月15日提出のPCT/US/04/00857号、2004年2月3日提出の米国仮出願第60/541,073号、および2005年2月3日提出のPCT/US2005/003305号(これら文献は引用れることにより、本明細書の開示の一部とされる)に記載されているように、種々のドーピング法を採用できる。
【0008】
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)構成部品の接着/摩擦摩耗の低減は、重合体の大規模変形能力を下げることにより達成できる。この目的には、イオン化放射線による架橋が一般的に使用されるが(Muratogluら, J. Arthroplasty, 2001. 16(2): p. 149-160、Muratogluら, Biomaterials, 1999. 20(16)p. 1463-1470、およびMcKellopら, J. Orthop Res, 1999. 17(2): p. 157-167参照)、同時に強度も低下する(Oralら, Biomaterials, 2005)。
【0009】
UHMWPEの強度を増加させるために、UHMWPEの高圧結晶化(HPC)が提案されている(Bistolfiら, Transactions of the Orthopaedic Research Society, 2005. p.240、Oralら, Transactions of the Orthopaedic Research Society, 2005. p.988、2004年2月3日提出の米国仮出願第60/541,073号、および2005年2月3日提出のPCT/US2005/003305号参照)。未照射GUR1050 UHMWPEの160℃強および300 MPaにおける高圧結晶化により、従来型UHMWPEの50〜60%に対して、約70%結晶性のUHMWPEが得られている。これは、UHMWPE結晶の、上記高温かつ高圧における斜方晶相から六方晶相への相転移によるものである。六方晶相では、結晶はより大きなサイズに成長し、結晶化度が増加する(Bassettら, J. Appl. Phys., 1974. 45(10): p. 4146-4150参照)。
【0010】
高圧結晶化は、UHMWPEの強度増加に使用できるが、未照射UHMWPEの耐摩耗性を低下させることが判明している(Bistolfiら, Transactions, Orthopaedic Research Society, 2005. p.240)。高圧結晶化に伴う延性低下は、耐摩耗性に悪影響を及ぼすことがあると思われる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、一般的には、結晶性が高い重合体状材料の製造方法に関し、好ましくは、この架橋材料は、従来の方法により得られる結晶化度よりも高い結晶化度を有する。より詳しくは、本発明は、高結晶性の架橋したUHMWPEを製造し、続いてそのUHMWPEを処理し、その耐酸化性を増加させる方法に関する。また、本発明は、架橋した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を、高圧下、高温で、六方晶相中で結晶化させ、それによって伸びきり鎖結晶が存在し、高結晶化度が達成される、方法にも関する。また、本発明は、架橋した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を、高圧下、高温で、六方晶相中で結晶化させ、それによって伸びきり鎖結晶が存在し、高結晶化度が達成され、続いてUHMWPEを処理し、その耐酸化性を増加させる、方法にも関する。本発明は、架橋したおよび未架橋の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を包含する重合体状材料を、高圧下、高温で、六方晶相中で結晶化させ、それによって、高結晶化度を達成する方法にも関する。耐酸化性の、架橋したおよび未架橋のUHMWPEの結晶化度を、高圧結晶化により増加する方法にも関する。本発明は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を包含する重合体状材料と添加剤、例えば可塑剤または酸化防止剤とのブレンドを、高圧下、高温で、六方晶相中で結晶化させ、それによって、高結晶化度を達成する方法にも関する。
【0012】
本発明の方法は、高圧下、高温でポリエチレンを結晶化させる工程、溶融状態より低いか、または高い、種々の温度で照射し、架橋の際に無定形の、折りたたみ鎖、および伸びきり鎖結晶の量を制御する工程を含んでなる。本発明は、酸化防止剤をポリエチレン中に配合するか、または架橋したポリエチレンをアニーリングするか、もしくは高圧および高温を架橋したポリエチレンに作用させる、耐酸化性を増加させるための方法にも関する。本方法は、本開示およびこの分野における技量に応じて、個別に、または一緒に、種々の順序で使用することができる。本発明の概要および説明に記載する範囲は、その範囲の近傍またはその間のすべての数または値を包含する。本発明の範囲は、その範囲内のすべての整数および分数を明確に表示する。
【0013】
本発明の一態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋した重合体状材料を形成すること、b)前記架橋した重合体状材料を少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、c)前記加圧された、架橋した重合体状材料を、前記加圧された、架橋した材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、d)前記温度および圧力に保持すること、e)前記加熱された、架橋した重合体状材料を略室温に冷却すること、およびf)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0014】
本発明の別の態様においては、高結晶性の重合体状材料のブレンドを製造する方法であって、a)重合体状材料を添加剤とブレンドすること、b)前記ブレンドを固化させること、c)前記ブレンドされた重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、d)前記加圧された、ブレンドされた重合体状材料を、前記加圧された、ブレンドされた材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、e)前記温度および圧力を保持すること、f)前記加熱された、ブレンドされた重合体状材料を略室温に冷却すること、およびg)前記圧力を大気圧レベルに解放して、耐酸化性の、高結晶性重合体状材料のブレンドを形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の、高結晶性の重合体状材料のブレンドを製造する方法であって、a)重合体状材料を酸化防止剤とブレンドすること、b)前記ブレンドを固化させること、c)前記ブレンドされた重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、d)前記加圧された、ブレンドされた重合体状材料を、前記加圧された、ブレンドされた材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、e)前記温度および圧力を保持すること、f)前記加熱された、ブレンドされた重合体状材料を略室温に冷却すること、およびg)前記圧力を大気圧レベルに解放して、耐酸化性の、高結晶性の重合体状材料のブレンドを形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0016】
本発明の別の態様においては、高結晶性の重合体状材料のブレンドを製造する方法であって、a)重合体状材料を添加剤とブレンドすること、b)前記ブレンドを固化させること、c)前記ブレンドされた重合体状材料を、その溶融状態より高い温度に加熱すること、d)前記加熱された、ブレンドされた重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、e)前記温度および圧力を保持すること、f)前記加熱された、ブレンドされた重合体状材料を略室温に冷却すること、およびg)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料のブレンドを形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の、高結晶性の重合体状材料のブレンドを製造する方法であって、a)重合体状材料を酸化防止剤とブレンドすること、b)前記ブレンドを固化させること、c)前記ブレンドされた重合体状材料を、その溶融状態より高い温度に加熱すること、d)前記加熱された、ブレンドされた重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、e)前記温度および圧力に保持すること、f)前記加熱された、ブレンドされた重合体状材料を略室温に冷却すること、およびg)前記圧力を大気圧レベルに解放して、耐酸化性の、高結晶性の重合体状材料のブレンドを形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0018】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の、高結晶性架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋した重合体状材料を形成すること、b)前記架橋重合体状材料を、その溶融状態より高い温度に加熱すること、c)前記架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、d)前記温度および圧力を保持すること、e)前記加熱された、架橋重合体状材料を略室温に冷却すること、f)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、g)前記高結晶性の架橋重合体状材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングすること、およびh)前記酸化防止剤をドーピングした、高結晶性架橋重合体状材料を、前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性架橋重合体状材料の融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性の、高結晶性架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0019】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の、高結晶性架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、b)前記架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、c)前記加圧された、架橋重合体状材料を、前記加圧された、架橋重合体状材料の融点より低い温度に加熱すること、d)前記温度および圧力を保持すること、e)前記加熱された、架橋重合体状材料を略室温に冷却すること、f)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、g)前記高結晶性の架橋重合体状材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングすること、およびh)前記酸化防止剤をドーピングした、高結晶性架橋重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性の、高結晶性架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0020】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料をその溶融状態より高い温度に加熱すること、b)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、c)前記温度および圧力を保持すること、d)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、e)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、f)前記高結晶性の重合体状材料溶融物に、イオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、およびg)前記高結晶性の架橋重合体状材料を、その溶融状態未満でアニーリングすること、を含んでなる、方法を提供する。
【0021】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料をその溶融状態より高い温度に加熱すること、b)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、c)前記温度および圧力を保持すること、d)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、e)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、f)前記高結晶性の重合体状材料溶融物に、イオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、およびg)前記高結晶性の架橋重合体状材料を、その融点より上に加熱すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0022】
本発明の別の態様においては、高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)前記重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、c)前記加熱された重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、d)前記圧力および温度を保持すること、e)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、およびf)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0023】
本発明の別の態様においては、高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、c)前記加圧された重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、d)前記圧力および温度を保持すること、e)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、およびf)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0024】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)前記重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、c)前記加熱された重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、d)前記圧力および温度を保持すること、e)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、f)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、およびg)前記高結晶性の重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0025】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、c)前記加圧された重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、d)前記圧力および温度を保持すること、e)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、f)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、およびg)前記高結晶性の重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0026】
本発明の別の態様においては、高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、b)前記架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、c)前記架橋重合体状材料を、前記架橋した重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、d)前記加熱された、架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、e)前記圧力および温度を保持すること、f)前記加熱された、架橋重合体状材料を略室温に冷却すること、およびg)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0027】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、b)前記架橋した重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)前記架橋した重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、c)前記加圧された、架橋重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された、架橋重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、d)前記圧力および温度を保持すること、e)前記加熱された、架橋重合体状材料を略室温に冷却すること、およびf)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0028】
本発明の別の態様においては、高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)前記重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、c)前記重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、d)前記加熱された重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、e)前記圧力および温度を保持すること、f)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、およびg)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0029】
本発明の別の態様においては、高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、c)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、d)前記加圧された重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、e)前記圧力および温度を保持すること、f)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、およびg)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0030】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)前記重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、c)前記重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、d)前記加熱された重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、e)前記圧力および温度を保持すること、f)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、g)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、およびh)前記高結晶性の重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0031】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、b)前記重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、c)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、d)前記加圧された重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、e)前記圧力および温度を保持すること、f)前記加熱された重合体状材料を略室温に冷却すること、g)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、およびh)前記高結晶性の重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0032】
本発明の別の態様においては、高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、b)前記架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、c)前記架橋重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、d)前記架橋重合体状材料を、前記架橋重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、e)前記加熱された、架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、f)前記圧力および温度を保持すること、g)前記加熱された、架橋重合体状材料を略室温に冷却すること、h)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0033】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、b)前記架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、c)前記架橋重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、d)前記架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、e)前記加圧された、架橋重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された、架橋重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、f)前記圧力および温度を保持すること、g)前記加熱された、架橋重合体状材料を略室温に冷却すること、およびh)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法を提供する。
【0034】
本発明の別の態様においては、UHMWPEと添加剤の、照射された、または照射されていないブレンドを提供するが、前記UHMWPEと添加剤とのブレンドは機械加工され、完成品、例えば物品、充填材、または医療用補欠物等を形成し、前記完成品は、高圧結晶化される。高圧結晶化は、照射された、または照射されていないUHMWPEの融点より高い温度に常圧で加熱すること、少なくとも約10〜1000 MPa、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧すること、その融点より高い温度に加熱すること、略室温に冷却すること、および前記圧力を解放することにより行う。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000 MPa、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧すること、照射された、または照射されていないUHMWPEの常圧における融点より高く、前記加圧された、照射された、または照射されていないUHMWPEの融点より低い温度に加熱すること、略室温に冷却すること、および前記圧力を解放することにより行うこともできる。前記完成品は、包装し、滅菌することができる。
【0035】
本発明の別の態様においては、拡散によるドーピングにより、あるいは粉末とブレンドし、前記ブレンドを固化させることにより、添加剤を配合したUHMWPEを提供するが、前記UHMWPEは、高圧結晶化される。高圧結晶化は、前記照射された、または照射されていないUHMWPEの融点より高い温度に常圧で加熱すること、少なくとも約10〜1000 MPa、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧すること、融点より高い温度に加熱すること、略室温に冷却すること、および前記圧力を解除することにより行う。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000 MPa、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧すること、前記照射された、または照射されていないUHMWPEの常圧における融点より高く、前記加圧された、照射された、または照射されていないUHMWPEの融点より低い温度に加熱すること、略室温に冷却すること、および前記圧力を解放することにより行うこともできる。前記完成品は、包装し、滅菌することができる。
【0036】
本発明の別の態様においては、拡散によるドーピングにより、あるいは粉末とブレンドし、前記ブレンドを固化させることにより、添加剤を配合した、架橋UHMWPEを提供するが、前記UHMWPEは、高圧結晶化され、照射される。本発明の別の態様においては、拡散によるドーピングにより、あるいは粉末とブレンドし、前記ブレンドを固化させることにより、添加剤を配合した、架橋UHMWPEを提供するが、前記UHMWPEは、照射され、高圧結晶化される。
【0037】
他に定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、それらの様々な文法的な形態において、本発明が属する分野における当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載するものと類似の方法および材料を、本発明の実施および試験で使用できるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を包含する本明細書が調整する。さらに、材料、方法、および例は、例示目的にのみ記載するのであって、本発明を制限するものではない。
【0038】
本発明の他の特徴、目的、および優位性は、特許請求の範囲および下記の詳細な説明から明らかである。しかし、無論、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示しているが、当業者には、この詳細な説明から、本発明の精神および範囲内での様々な変形および修正が明らかなので、例示目的にのみ記載する。
【発明の詳細な説明】
【0039】
本発明は、高結晶性の、架橋した、および未架橋の重合体状材料、その材料から製造した、永久的および非永久的医療用装置を包含する、医療用装置を含んでなる医療用充填材の製造方法を提供する。本発明は、耐酸化性の、高結晶性の、架橋した、および未架橋の重合体状材料、およびその材料から製造した、永久的および非永久的医療用装置を包含する医療用充填材の製造方法も提供する。本発明は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、を高圧、高温で結晶化し、様々な温度で照射し、架橋したポリエチレンを酸化防止剤でドーピングする方法に関する。本発明は、ポリエチレンを添加剤、例えばビタミンEとブレンドし、そのブレンドを結晶化させ、通常の、または加圧された状態でポリエチレンの融点より低いまたは高い温度を包含する様々な温度で照射する方法にも関する。本発明は、ポリエチレンに添加剤、例えばビタミンEを配合し、前記添加剤を配合した重合体状材料を結晶化する方法にも関する。
【0040】
UHMWPEにおける耐摩耗性は、その大きなひずみ変形能力を減少させることにより、達成される。架橋は、変形する際の重合体鎖の移動度を制限することにより、大きなひずみ変形の減少を達成する手段である。高圧結晶化(HPC)もUHMWPEの強度増加に使用できるが、高圧結晶化は、恐らく剛性が増加するために、耐摩耗性に悪影響を及ぼすことがある。したがって、これに対処するために、本発明の一態様においては、高圧結晶化の際に可塑剤をUHMWPEに使用する。高圧結晶化の際に可塑剤、例えばビタミンEを使用することは、高圧結晶化により得られる結晶化度の増加に伴う鎖の移動度低下に反作用する。したがって、可塑剤を配合することにより、高圧結晶化したUHMWPEの摩耗速度が低下し、結晶化度が高くなり、強度が高くなる。この知見は、摩耗性の低下が必ずしも架橋により達成されるのではなく、必ずしも強度低下を伴わないので、模範的な変化(paradigm shift)である。
【0041】
可塑剤、例えばビタミンEのUHMWPE中への配合は、様々な様式で達成でき、例えば、a)UHMWPE粉末とブレンドし、可塑剤とUHMWPEを固化させることにより、およびb)UHMWPEから製造された、固化した固体原料、プリフォームまたは完成製品中に可塑剤を拡散させることにより、達成することができる。UHMWPE中の可塑剤の均質性を高めるために、UHMWPEを拡散によりドーピングし、続いて常圧または加圧下で溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングする。
【0042】
ポリエチレンは、半結晶性材料(55〜60%)であり、常圧下で溶融物から結晶化する時に折りたたみ鎖結晶を含む。結晶の大部分は、斜方晶相にあり、格子寸法が、a、bおよびc寸法に対してそれぞれ7.42、4.95および2.55Åである。単位セル軸は、相互に90°である。変形により、単斜晶相の格子寸法が8.09、4.79、および2.55Åになる。300 MPaを超える圧力でのみ見られる六方晶相(図1A〜1W参照)では、単位セル寸法が8.42、4.56、および<2.55Åになる。この相では、個々の鎖幹(chain stem)が相互に不規則相角度で回転し、鎖を相互に超えて横滑りさせ、密に充填された構造を形成する。この相における結晶は、密な充填により、結晶が折りたたみ鎖結晶よりも大きく成長し得るので、「伸びきり鎖結晶(ECC)」と呼ばれる。
【0043】
架橋していないUHMWPEの結晶化度は、高圧および高温結晶化により、増加できることが公知である。例えば、架橋していないUHMWPEを300 MPaを超える圧力で160℃で結晶化させ、六方晶相転移を得る場合、その結晶のピーク融点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定して、より高温側にシフトし、全体的な結晶化度が増加する。架橋していない、高圧結晶化させた、結晶化度が高いポリエチレンは、結晶化度が増加するにつれて、疲労耐性が高くなると思われる(Bakerら, Polymer, 2000. 41(2):p. 795-808参照)。したがって、本発明の一目的は、耐摩耗性の、結晶性の高い(>51%結晶化度を有する)、疲労および酸化耐性が良好なポリエチレンを達成することであった。
【0044】
高圧結晶化は、一般的に、六方晶相で伸びきり鎖を形成できる全ての方法を意味する。この変換は、幾つかの異なった方法により行うことができる。第一の方法では、常圧でポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、次いで、溶融物から六方晶への転移が起こる条件に達するまで、加圧の際に試料が溶融物にあるように加圧する。あるいは、試料が、六方晶相に近くなるまで、常に溶融状態にはないように、段階的な加熱および加圧を行う。試料の加熱および加圧は、六方晶相変換が起こる時に、UHMWPEが大量の予備形成された結晶を含まず、溶融相にあると考えられるように、様々な様式で行うことができる。
【0045】
六方晶相が達成され、伸びきり鎖結晶が形成される条件になった後、所望の結晶性構造が失われる恐れがあるので、試料を完全に融解させることはできない。したがって、試料を六方晶または斜方晶区域に止めるための冷却および除圧スキームを使用する。例えば、200℃および380 MPa(55,000 psi)で高圧結晶化させた試料を、室温でポリエチレンのほぼ融点未満(約135〜140℃)に冷却し、次いで圧力を解除する。あるいは、試料が実質的に融解しない限り、段階的な冷却および除圧方法を使用する。
【0046】
斜方晶と六方晶の比は、六方晶相で費やした時間、および試料が冷却の際に融解したか否かによって異なる場合がある。試料が六方晶相で完全に結晶化し、部分的または完全に溶融相に遭遇するように冷却され、および/またはそうなるような圧力に除圧され、その新しい圧力における温度低下だけで試料が六方晶相にならない場合、試料をさらに冷却し、除圧した場合に、結晶の一部または全部が斜方晶に転化されるであろう。
【0047】
重合体の高い靱性および高い疲労強度は、エネルギー吸収機構、例えばキャビテーションおよび塑性変形に起因する。ポリエチレンにおける主要エネルギー吸収機構は、結晶性領域の塑性変形(結晶塑性)であり、これは延性および結晶化度によって異なる。高線量レベルの照射でポリエチレンを架橋させることにより、鎖の移動度が急激に低下し、そのために全体的な延性が低下する。架橋の存在下における融解は、鎖の再整列能力を制限し、従って、ポリエチレンの結晶化度を低下させる。これら2つのファクターを組み合わせると、すなわち鎖の移動度を下げ、結晶化度を下げると、架橋した、融解したポリエチレンの疲労耐性が低下する。
【0048】
本発明により、耐摩耗性の高結晶性ポリエチレンを、以下に説明する様々な製法および工程により得ることができる。
【0049】
例えば、1.可塑剤を、未照射または照射したポリエチレン中に、下記の方法の一つにより配合する、すなわち
A.可塑剤とブレンドし、固化させる。
B.拡散により可塑剤でドーピングし、溶融状態より高いか、または低い温度でアニーリングする。
【0050】
2.経路Iまたは経路IIのいずれかを使用するポリエチレンの高圧結晶化(HPC)、すなわち
A.経路I:所望の温度、例えば溶融状態より高い温度(例えば、約140℃、約160℃、約180℃、約200℃、約250℃、または約300℃)に加熱し、次いで加圧し、次いで圧力をほぼ同じ圧力に、1分間〜1日以上、好ましくは約0.5時間〜12時間、より好ましくは1〜6時間保持し、次いで除圧する(圧力は、高圧下で達成された結晶の融解を避けるために、室温に冷却した後で解除する)。
B.経路II:所望の圧力に加圧し、次いで所望の温度、例えば加圧されたポリエチレンの溶融状態より低い温度(例えば約150℃、約160℃、約180℃、約195℃、約225℃、約300℃、および約320℃)、に加熱し、次いで圧力をほぼ同じ圧力に、1分間〜1日以上、好ましくは約0.5時間〜12時間、より好ましくは1〜6時間保持し、次いで室温に冷却し、次いで除圧する(圧力は、高圧下で達成された結晶の融解を避けるために、室温に冷却した後で解除する必要がある)。
【0051】
本発明により、耐酸化性の、高結晶性架橋ポリエチレンを、以下に説明する様々な製法および工程(例えば、図2参照)により得ることができる。
【0052】
例えば、1.経路Iまたは経路IIのいずれかを使用する、未照射の、架橋していないポリエチレンの高圧結晶化(HPC)
A.経路I:所望の温度、例えば溶融状態より高い温度(例えば、約140℃、約160℃、約180℃、約200℃、約250℃、または約300℃)に加熱し、次いで加圧し、次いで圧力をほぼ同じ圧力に、1分間〜1日以上、好ましくは約0.5時間〜12時間、より好ましくは1〜6時間保持し、次いで除圧する(圧力は、高圧下で達成された結晶の融解を避けるために、室温に冷却した後で解除する)。
B.経路II:所望の圧力に加圧し、次いで所望の温度、例えば加圧されたポリエチレンの溶融状態より低い温度(例えば約150℃、約160℃、約180℃、約195℃、約225℃、約300℃、および約320℃)、に加熱し、次いで圧力をほぼ同じ圧力に、1分間〜1日以上、好ましくは約0.5時間〜12時間、より好ましくは1〜6時間保持し、次いで室温に冷却し、次いで除圧する(圧力は、高圧下で達成された結晶の融解を避けるために、室温に冷却した後で解除する必要がある)。
【0053】
2.次いで、高圧結晶化(HPC)させたポリエチレンを、低温または温照射を使用して照射する
A.低温照射(CI):略室温〜90℃で、e−線またはガンマ放射線を使用して照射する。HPC-ポリエチレンの結晶化度が高過ぎる場合、十分な無定形ポリエチレンが架橋に使用できない場合がある。従って、所望の耐摩耗性または架橋密度を達成するには、通常の線量レベル、すなわち高圧を使用せずに結晶化させたポリエチレンに必要な線量レベル(本明細書で記載するように、例えば通常線量レベル75 kGyまたは100 kGy)、よりも高くする必要がある。
B.温照射(WI):約90℃〜HPC-ポリエチレンのピーク融点、一般的には約145℃で照射する。照射の際に、照射の温度を調節し、所望の無定形程度を達成することができる。
【0054】
3.次いで、照射したHPC-ポリエチレン(I-HPC)を、下記の方法の一つ、またはそれらの組合せにより、処理する。
A.上記のように、経路Iまたは経路IIに従って高圧結晶化を繰り返す。
B.酸化防止剤、例えばビタミンE、でドーピングするが、これは様々な様式で行うことができる、例えば
i.最終製品を機械加工し、酸化防止剤、例えばビタミンE溶液中に、室温〜ビタミンE溶液の沸点までの温度で浸漬し、次いで洗浄し、包装し、ガスプラズマ、エチレンオキシド、またはイオン化放射線(例えば空気中または不活性ガス中のガンマ線)で滅菌処理する。
ii.高結晶性の重合体状材料を酸化防止剤(例えばビタミンE溶液)中に、室温〜ビタミンE溶液の沸点の温度で浸漬し、医療用充填材を機械加工し、次いで洗浄し、包装し、包装した医療用充填材を照射して架橋および滅菌処理する。
C.CIMA(低温照射および機械的アニーリング)法で処理する、例えば
i.90℃〜I-HPCのピーク融点の温度に加熱し、圧縮下で2.5を超える圧縮比に変形させ、変形を保持し、室温に冷却し、90℃〜I-HPCのピーク融点の温度でアニーリングし、最終製品を機械加工し、包装し、滅菌処理、好ましくはエチレンオキシドまたはガスプラズマで滅菌処理する。CIMA法は、2002年9月24日提出の米国特許公開第20030149125号(米国特許出願第10/252,582号;この文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる)に記載されているようにして使用することができる。
【0055】
本発明の一態様においては、経路Iの高圧結晶化の際に、重合体状材料を、融点より高い温度、例えば約140℃、約160℃、約180℃、約200℃、約250℃、または約300℃、に加熱する。
【0056】
別の態様においては、経路IIの高圧結晶化の際に、重合体状材料を、加圧された重合体状材料の融点より低い温度、例えば約150℃、約160℃、約180℃、約195℃、約225℃、約300℃、および約320℃、に加熱する。
【0057】
親油性ポリエチレンと相容性がある酸化防止剤は、100 kGyまでの放射線量で照射されたポリエチレンと良く混合し、それを酸化から保護する。その上、酸化防止剤は、照射後に拡散したした時、ポリエチレンの架橋を妨害しないことが分かっている。従って、照射後に酸化防止剤が拡散した、架橋したポリエチレンは、同時に架橋した、融解したポリエチレンに匹敵する摩耗速度を示す。溶融状態より低い温度における機械的変形も、照射されたポリエチレンから残留フリーラジカルを、融解せずに除去するもう一つの手法である。
【0058】
本発明は、重合体と添加剤とのブレンドを高圧および高温で結晶化させ、そうして形成された結晶性の高いブレンドに照射し、高結晶性の架橋した重合体と添加剤とのブレンドを得る方法も提供する。本発明は、重合体と、酸化防止剤でもある添加剤とのブレンドを、高圧および高温で結晶化させ、そうして形成された高結晶性のブレンドに照射して、耐酸化性の、高結晶性架橋重合体と、酸化防止剤でもある添加剤とのブレンドを得る方法も提供する。
【0059】
本発明は、高結晶性の、架橋したUHMWPEの耐酸化性を、融解させずに改良する方法も提供する。結晶性の高いUHMWPEの融解は、ECCを排除し、重合体の結晶化度を下げる。したがって、本発明は、融点より低い温度で酸化防止剤または機械的変形を使用する方法を提供する。本発明で、本明細書で記載する酸化防止剤でドーピングすることにより、または機械的変形方法により、耐酸化性を改善することができる。機械的変形は、照射の後に、重合体を融解させずに、残留フリーラジカル密度を下げるのに使用し、例えば融点より低い温度(例えば約150℃より低い温度)で少なくとも2.0の圧縮比に単軸圧縮し、残留フリーラジカル濃度を下げる。本発明により、機械的変形の後にも持続することがある配向および熱的応力の一部は、融点未満の高温でさらにアニーリングし、冷却することにより、低減させる。アニーリングに続いて、ポリエチレンを十分に遅い冷却速度(例えば約10℃/時間)で冷却させ、熱的応力を最小に抑えるのが望ましい場合がある。
【0060】
本明細書に記載するように、機械的変形は、放射線架橋したUHMWPE中の残留フリーラジカルを排除できることが立証されている。本発明は、UHMWPEを、固体または溶融状態で、例えば圧縮により、先ず新しい形状に変形させることができる方法も提供する。本発明の方法により、UHMWPEの機械的変形を溶融状態で行うと、重合体は負荷の下で結晶化し、変形した新しい形状を維持する。変形工程に続いて、変形したUHMWPE試料を融点より低い温度で照射し、架橋させるが、これは残留フリーラジカルを発生させる。これらのフリーラジカルを減少させるか、または排除するために、照射された重合体試料を、変形させ、照射したポリエチレンの融点より低い温度(例えば、約150℃まで)に加熱し、形状記憶により、本来の形状を部分的に回復させる。一般的に、本来の形状の約80〜90%が回復すると期待される。この回復の際、結晶は運動を受け、フリーラジカルの再結合および排除に役立つ。上記の方法は、「逆IBMA」と呼ばれる。逆IBMA(溶融状態より低い温度での逆照射および機械的アニーリング)技術は、UHMWPEを基材とする医療用装置の大規模製造に応用するのに適した方法である。
【0061】
本発明の一態様においては、高度に架橋した、融解したポリエチレンに匹敵する高い架橋密度、高い結晶化度、摩耗、および酸化耐性を有し、高度に架橋した、融解したポリエチレンより高い疲労耐性を有する、永久的および非永久的医療用装置を包含する医療用充填材を開示する。
【0062】
本明細書で開示する医療用充填材は、本明細書で開示する様々な方法、例えば重合体状材料を固化させ、固化した重合体状材料を、例えば150℃を超える高温、および例えば10〜1000 MPaを超える高圧(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、で結晶化させ、続いて室温に冷却した後、常圧に除圧し、続いて高圧結晶化させた重合体状材料を加熱し、特定の温度、例えば150℃未満、に保持して部分的に無定形のポリエチレンを達成し、イオン化放射線により、1 kGyを超える、例えば約25〜400 kGy以上、好ましくは約75 kGy、より好ましくは約100 kGy、さらに好ましくは約150 kGyの、線量に照射し、酸化防止剤をドーピングするか、または例えば機械的変形およびアニーリングおよび/または高い圧力および温度で結晶化させることにより、残留フリーラジカルの濃度を下げることにより、耐酸化性を増加させる方法により、得ることができる。
【0063】
高圧下での結晶化は、先ずポリエチレンを低圧で融解させ、続いて10〜1000 MPaより高く(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、室温に冷却するか、または先ず10〜1000 MPaより高く(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、次いで温度を、斜方晶相から六方晶相への相転移が起こるまで増加し、次いで冷却し、除圧することにより、行うことができる。
【0064】
溶融状態の保持時間、加圧下の保持時間、最終的な温度と圧力、および冷却速度を変化させ、最も高い結晶化度およびほぼ等しい量の伸びきり鎖結晶および折りたたみ鎖結晶を得ることができる。
【0065】
高圧結晶化したポリエチレンの折りたたみ鎖結晶が融解する温度、およびその温度での保持時間を変化させ、所望の伸びきり鎖結晶と折りたたみ鎖結晶の比および無定形含有量を得ることができる。
【0066】
照射により、高圧結晶化したポリエチレンが架橋し、耐摩耗性が得られる。照射は、室温またはポリエチレンの融点より低い高温で行うことができる。照射は、空気中、真空中、または不活性ガス、例えば窒素または希ガス、を包含する、酸素を含まない環境で行うことができる。照射は、電子線、ガンマ放射線、またはX線照射により行う。
【0067】
イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルの有害な酸化性効果は、酸化防止剤、例えばα−トコフェロールを、高圧結晶化した、部分的に融解した、架橋したポリエチレン中に拡散させることにより、低減する。酸化防止剤は、照射された材料の酸化を防止する。酸化防止剤によるポリエチレンのドーピングは、本明細書に記載するように行う。
【0068】
イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルの有害な酸化性効果は、重合体と、やはり酸化防止剤、例えばα−トコフェロールである添加剤とのブレンドを使用し、高圧結晶化および照射することにより、低減される。
【0069】
別の態様においては、イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルを、機械的アニーリングにより除去するが、そこではポリエチレンを融点より低い(約150℃未満)温度、好ましくは145℃、より好ましくは約140℃、に加熱し、機械的に変形させて残留フリーラジカルに移動度を与え、再結合させ、安定化させる。
【0070】
別の態様においては、ポリエチレンを加熱して融解させることにより、イオン化放射線照射の際に発生した残留フリーラジカルを除去する。照射されたポリエチレンの融解は、照射に続く高圧結晶化の一部として使用する。
【0071】
結晶性の高いポリエチレンは、照射していないポリエチレンの高圧結晶化、それに続く照射、およびこの製法中に発生したフリーラジカルの排除を含んでなる方法により、達成される結晶化度の犠牲を最小に抑えながら、製造することができる。
【0072】
本発明の一態様により、ポリエチレンを約10〜1000 MPaより高く(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、さらに好ましくは約320 MPa強に加圧し、約180℃または約225℃に加熱し、この温度および圧力に保持し、室温に冷却し、圧力を常圧に下げ、室温で照射する。続いて、高圧結晶化したポリエチレンの耐酸化性を改良するために、下記の方法の一つ、すなわち、a)高圧結晶化したポリエチレンを酸化防止剤、例えばビタミンE、でドーピングする、またはb)高圧結晶化したポリエチレンをその融点より低い温度で機械的に変形させ、続いてその融点近くでアニーリングし、実質的にCIMA法のいずれかを適用する、およびc)融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、さらに好ましくは約380 MPa強に加圧し、この温度および圧力に保持し、略室温に冷却し、圧力を常圧に下げる、を使用することができる。
【0073】
結晶性の高いポリエチレンを室温で照射することの潜在的な欠点は、架橋が主として起こる無定形相の濃度が低下する場合があり、結晶化度が増加したポリエチレンでは、照射により形成された架橋の濃度も低下する場合があることである。従って、重合体の結晶性が約60%以下であるポリエチレンは高温で照射し、無定形含有量を増加させるのが好ましい。高圧結晶化したポリエチレンは、2つの融解ピークを示し、一方は約137℃にあり、他方は約140℃より高い。第二のピークは、高圧結晶化の際に形成され、伸びきり鎖結晶(大きい方)を代表する。本発明の一態様では、下記の手順を採用する。すなわち、140℃より低い温度に加熱して小さな結晶を融解させ、小さな結晶を含む領域を架橋させ、この温度で照射(温照射(WI))し、次いで下記の方法の一つ、すなわち
a)高圧結晶化したポリエチレンを酸化防止剤、例えばビタミンEをドーピングする、および
b)融点より高い温度に加熱することにより融解させ、次いで少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、さらに好ましくは約320 MPa強に加圧し、圧力および温度をほぼ一定に保持し、略室温に冷却し、圧力を常圧に下げる、を使用し、高圧結晶化したポリエチレンの耐酸化性を改良する。この方法の融解工程は結晶を排除するので、この方法に続いて高圧結晶化を行い、高レベルの結晶化度を達成する。
【0074】
本発明の一態様においては、高圧結晶化したポリエチレンのドーピングは、添加剤、例えばα−トコフェロール、例えばビタミンEを拡散させることにより、行うことができる。本発明の一態様では、温度および/または圧力を増加することにより、添加剤の拡散を促進する。
【0075】
本発明の別の態様においては、純粋な形態、例えば純粋なビタミンEとして、または溶剤中に溶解させた形態を包含する様々な形態で添加剤を送達する。
【0076】
本発明の別の態様においては、添加剤溶液、例えばビタミンE溶液の濃度を増加することにより、ポリエチレン中への添加剤の拡散速度を増加する。
【0077】
本発明の別の態様においては、高圧結晶化したポリエチレンを、超臨界流体、例えば超臨界CO、すなわち温度が超臨界温度31.3℃より高く、圧力が超臨界圧力73.8バールより高い流体中で膨潤させることにより、ポリエチレン中への酸化防止剤の拡散速度を増加する。
【0078】
固化した状態でドーピングすることにより、固化した重合体状材料中に酸化防止剤の勾配を達成することができる。医療用装置中の重合体状材料の酸化が摩耗の観点で問題となる表面層の特定の厚さをドーピングすることができる。これは、完成した装置、例えば完成した医療用充填材、を、純粋なビタミンEまたはビタミンEの溶液中に、特定の温度で特定時間、単純に浸漬するか、または浸すことにより、達成できる。
【0079】
本明細書に記載する方法により、酸化防止剤、例えばビタミンEを高圧結晶化した重合体状材料中に、照射の前、最中、または後にドーピングする。
【0080】
ドーピングした酸化防止剤が、医療用充填材または医療用装置の製造に使用した重合体状材料から、使用前の貯蔵中または生体内使用中に浸出することがある。永久的医療用装置には、生体内の持続時間は、患者の余命までになることがあり、これは装置の植え込みから患者の死亡までの長さ、例えば1〜120年である。酸化防止剤の浸出が問題になる場合、医療用充填材または医療用装置の照射もしくはそれらのいずれかの部分の照射は、酸化防止剤をドーピングした後に行うことができる。これによって、酸化防止剤を宿主重合体に共有結合により架橋させ、医療用充填材または装置からの酸化防止剤の損失を確実に最小に抑えることができる。
【0081】
本発明の別の態様においては、酸化防止剤ドーピングした重合体状材料または酸化防止剤ドーピングした医療用充填材を、包装および滅菌処理の前に、工業用洗浄機中で洗剤で洗浄することができる。工業用洗浄機、例えば洗浄機/乾燥機、例えばHAMO T-21または洗浄機/消毒薬/乾燥機、例えばHAMO M-100(HAMO AG, Pieterlen, スイス製)を使用できる。
【0082】
本発明の別の態様においては、酸化防止剤ドーピングした重合体状材料または酸化防止剤ドーピングした医療用充填材を、包装および滅菌処理の前に、溶剤、例えばエタノール中に浸漬することができる。酸化防止剤が溶解する溶剤を選択し、洗浄環境が、重合体状材料から酸化防止剤を除去するための伝導性環境を与えることができる。これによって、酸化防止剤をドーピングした重合体状材料から酸化防止剤が浸出する可能性が小さくなる。溶剤は、室温でも高温でも、常圧下でも高圧下でも、静止していても攪拌されていてもよい。酸化防止剤をドーピングした重合体状材料または医療用充填材が溶剤と接触する時間は、約1時間から、少なくともドーピングが行われた時間まででよく、好ましくは16時間未満である。
【0083】
本発明の別の態様においては、重合体状材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物を添加剤と混合し、次いでその混合物を固化させる。固化した、添加剤でドーピングした重合体状材料(ブレンド)を、機械加工し、医療用充填材中の部品として、または医療用装置として使用することができる。
【0084】
本発明の別の態様により、高圧結晶化した重合体状材料、例えば高圧結晶化した樹脂粉末、成形シート、ブロー成形フィルム、チューブ、バルーン、フレーク、粒子、またはそれらの混合物を、添加剤、例えばα−トコフェロールの形態にあるビタミンEで、拡散によりドーピングすることができる。高圧結晶化した重合体状材料、例えば高圧結晶化したUHMWPEを、100%ビタミンEまたはα−トコフェロールを、アルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノールに入れた溶液中に浸漬することができる。α−トコフェロールの約50重量%エタノール溶液を使用し、超臨界流体、例えばCOと接触させたUHMWPE中に拡散させることができる。
【0085】
本発明は、高度に架橋したポリエチレンから製造され、金属片を含む医療用装置、例えば二極人工股関節、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板系、およびガス滅菌法により容易に滅菌できない表面を含むすべての充填材を製造するための下記の処理工程にも関する。
【0086】
本発明の一態様により、医療用充填材の高圧結晶化したポリエチレン成分が別の材料(すなわち非モジュール式充填材)、例えば金属製メッシュまたはバック、非金属製メッシュまたはバック、頸骨トレー、膝蓋骨トレー、または寛骨臼シェル、と緊密に接触し、その際、ポリエチレン、例えば樹脂粉末、フレークおよび粒子をこれらの対向面に直接圧縮成形する。例えば、ポリエチレン樹脂粉末を頸骨トレーに、金属製メッシュまたはバックに、もしくは非金属製メッシュまたはバックに圧縮成形することにより、ポリエチレン頸骨挿入物を製造する。後者の場合、メッシュは、成長骨(bony in-growth)を通して、または接着剤、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)骨セメントの使用により、骨との固定界面として役立つように成形する。これらの形状は、寛骨臼ライナー、全またはユニコンパートメント膝充填材用の頸骨トレー、膝蓋骨トレー、および関節窩成分、踝、肘、または指成分を包含する様々な形態を有する。本発明の別の態様は、成形されたポリエチレンと、充填材の一部を形成する他の断片、例えば金属または非金属片、との機械的な連結に関する。その場合、金属片を含む固化したポリエチレンを高圧結晶化(HPC)させ、結晶性の高いポリエチレンを達成する。HPCは、非モジュール式充填材を先ず加熱または加圧することにより行う。
【0087】
界面の幾何学的構造は、ポリエチレンがその固化した形状で、その幾何学的構造を取るので、極めて重要である。ポリエチレンは、高密度の物理的絡み合いを生じる非常に高い分子量を有するために、「形状記憶」の顕著な特性を有する。固化に続いて、塑性変形が、融解した時に好ましい高エントロピー形状を達成する永久的形状変化を導入する。この、本来の固化した形状の回復は、ポリエチレンを固化させた時に達成される「形状記憶」によるものである。この形状記憶のために、機械的連結(interlock)は、非モジュール式充填材の高圧結晶化の最中および後にも無傷のまま残る。
【0088】
本発明の別の態様においては、対向面に機械的連結により成形されたポリエチレンの高圧結晶化に続いて、そのハイブリッド成分をイオン化放射線を使用して所望の線量レベル、例えば約25〜約1000 kGy、好ましくは約50 kGy〜約150 kGy、に照射する。本発明の別の態様では、照射工程が残留フリーラジカルを発生させるので、その後に融解工程を導入し、残留フリーラジカルを消滅させてから、別の高圧結晶化工程を行うことを開示する。ポリエチレンを最初に界面の形状に固化させ、それによって、重合体の「形状記憶」を設定するので、ポリエチレンは、融解およびその後の高圧結晶化工程の際に、対向面から分離しない。
【0089】
本発明の別の態様においては、ポリエチレンを架橋させ、ポリエチレンを基材とする医療用装置を製造する方法であって、前記装置を耐酸化性媒体、例えば不活性ガスまたは不活性流体、中に浸漬し、前記媒体を、照射された、高結晶性のポリエチレン、例えば高圧結晶化したUHMWPEの融点より高い温度(約140℃を超える)に加熱し、結晶性物質を排除し、残留フリーラジカルの再結合/排除を達成する、方法を提供する。圧縮成形された重合体の形状記憶が機械的に連結した界面で設定され、その記憶は架橋工程により強化されるので、ポリエチレンと対向面との間の界面に重大な分離は起こらない。
【0090】
本発明の別の態様では、上記のフリーラジカル排除工程に続いて、照射の際に使用する高い照射線量レベルにより、金属と重合体との間の界面が無菌になる方法を提供する。HPC-ポリエチレンの外側表面上に、フリーラジカル排除工程または照射工程の際に誘発されるかなりの酸化がある場合、装置の表面をさらに機械加工し、酸化された表面層を除去する。本発明の別の態様においては、充填材の融解後の機械加工を行う場合、融解工程を不活性ガスの存在下で行う。
【0091】
本発明の別の態様では、界面は無菌であるが、残りの部分が無菌ではない場合、装置をエチレンオキシド、ガスプラズマ、または他のガスでさらに滅菌する、加工した装置の滅菌処理方法を包含する。
【0092】
溶融相を経由する加熱および加圧
ポリエチレンの六方晶相は、溶融相を通して、または斜方晶相を通して進行することにより、達成される(図1A参照)。溶融相を通す方法は、六方晶相転移が起こる直前に試料が溶融相にあるように、加熱および加圧方法を使用することにより、達成される。
【0093】
一実施態様においては、試料を、先ず常圧下でのポリエチレンの融解温度(約135℃)より高い温度に、または約40,000 psiにおけるポリエチレンの融解温度より高い温度に加熱し、続いて六方晶相転移が達成されるように加圧する。この実施態様に関する加熱および加圧の例は、図1Bに示す。
【0094】
別の実施態様においては、斜方晶相から溶融相への転移が先ず達成され、次いで溶融相から六方晶相への転移が達成されるように、試料を同時に加熱および加圧する(例えば図1C参照)。
【0095】
別の実施態様においては、試料を、先ず重合体の三重点未満の圧力に加圧し、続いてこの圧力で溶融相転移が達成されるように加熱し、続いてさらに加圧し、溶融物の六方晶相転移を達成する(例えば図1D参照)。
【0096】
別の実施態様においては、溶融相から六方晶相への転移が達成されるまでの間、試料を段階的に斜方晶相または溶融相で加熱および加圧する(例えば図1E参照)。
【0097】
別の実施態様においては、試料を所望の高圧結晶化温度より上に加熱し、次いで溶融相から六方晶相への転移が達成されるように、加圧しながら冷却する(例えば図1F参照)。
【0098】
別の実施態様においては、試料が六方晶相を通して溶融相に加熱および加圧されるように加熱および加圧を行い、次いで冷却および除圧し、六方晶相で結晶化させる(例えば図1G参照)。
【0099】
斜方晶相を経由する加熱および加圧
あるいは、溶融相から六方晶相に入るために、試料を、斜方晶相を通して進行することにより、六方晶相で結晶化する(例えば図1A参照)。一実施態様では、試料を三重点より上に加圧し、続いて加熱し、斜方晶相から六方晶相への転移を達成する(例えば図1H参照)。
【0100】
別の実施態様においては、溶融相にならずに、六方晶相が斜方晶相から達成されるように、加圧および加熱を行う(例えば図1Iおよび1J参照)。
【0101】
別の実施態様では、試料を、常圧における重合体の融解温度未満の温度に先ず加熱し、続いて六方晶相転移が斜方晶相から達成されるように、溶融相に遭遇せずに、加熱および加圧する(例えば図1K参照)。
【0102】
別の実施態様においては、常圧および常温で斜方晶相からの加熱および加圧を段階的に行い、斜方晶相から六方晶相への転移を達成する(例えば図1L参照)。
【0103】
別の実施態様では、試料を、常圧における重合体の融点未満の温度に先ず加熱し、加圧しながら冷却し、さらに加熱し、この過程を、斜方晶相から六方晶相への転移が達成されるまで繰り返すことができる(例えば図1M参照)。
【0104】
さらに別の実施態様では、試料を、斜方晶相における所望の高圧結晶化圧より高い圧力に先ず加圧し、次いで加熱しながら除圧し、斜方晶相から六方晶相への転移を達成する(例えば図1N参照)。
【0105】
冷却および除圧
六方晶相転移が達成され、重合体を六方晶相に所望の時間置いた後、冷却および除圧を様々な様式で達成する。六方晶相で形成された結晶を保存するために、試料を、溶融転移が完全に起こらないように冷却する。どのようにこれを達成するかの例として、下記の実施態様は幾つかの方法を記載する。
【0106】
一実施態様では、試料を、一定圧力下で略室温に冷却し、続いて圧力を解除する。このようにして、先ず六方晶相から斜方晶相への転移を達成し、次いで試料を斜方晶相で除圧する(例えば図1O参照)。この方法では、一低圧力とは、本来の値の約5000 psi以内の圧力を意味する。
【0107】
別の実施態様では、試料を、非直線的に、溶融相に遭遇せずに、同時に冷却および除圧する(例えば図1P参照)。圧力は、同時に解除し、試料を常圧における重合体の融解温度未満に冷却する。
【0108】
あるいは、試料を、溶融相に遭遇せずに、段階的に冷却および除圧する(例えば図1Q−1U参照)。一実施態様では、試料を、部分的に除圧しながら、常圧における重合体の融点より高い温度に冷却し、その温度に維持するか(例えば図1R参照)、または部分的に除圧しながら、常圧における重合体の融点より低い温度に冷却し、その温度に維持する(例えば図1S参照)。続いて、試料を、略室温にさらに冷却し、残りの圧力を解除する。
【0109】
別の実施態様では、重合体試料を、一定圧力下で、常圧における重合体の融点より低い温度近くに冷却し、続いて圧力を解除する(例えば図1T参照)。このようにして、先ず六方晶相から斜方晶相への転移を達成し、次いで試料を斜方晶相で除圧する。この方法では、一低圧力とは、本来の値の約5000 psi以内の圧力を意味する。
【0110】
本発明の一態様では、冷却速度は0.001℃/分〜500℃/分、より好ましくは約0.1℃/分〜5℃/分、より好ましくは約1℃/分である。本発明の別の態様では、除圧は約100 psi/分〜500,000 psi/分、より好ましくは約1000 psi/分〜45000 psi/分、より好ましくは約10,000 psi/分である。本発明の別の態様では、一定圧力または温度工程のすべてにおける保持時間は、0.1分間〜500時間、より好ましくは約1分間〜600分間、より好ましくは約1時間〜8時間、より好ましくは約4時間である。試料に対する保持時間の影響は、試料のサイズによって異なる。試料全体が同じ温度にならない場合、重合体中に勾配がある場合がある。勾配は、特定の用途には望ましい。
【0111】
あるいは、本発明の別の態様では、試料を、常圧における重合体の融解温度より低い温度に冷却し、次いでさらに加圧し、この圧力および温度に維持し、次いで圧力を解除し、次いで試料を略室温に冷却する(例えば図1U参照)。
【0112】
一実施態様では、試料を冷却、加熱および除圧および加圧工程を経由して、全体的に冷却および除圧する(例えば図1Vおよび1W参照)。
【0113】
別の実施態様では、試料を、冷却および除圧しながら、溶融転移させる。溶融相で費やす時間および試料サイズにより、六方晶相で形成された伸びきり鎖結晶の一部または全部が融解し、続いて試料を直ちに略室温および常圧に冷却および除圧する場合、融解した結晶が折りたたみ鎖結晶として再結晶化される。
【0114】
UHMWPEと添加剤のブレンドから製造された完成製品の照射と、それに続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記のように、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、次いで高圧結晶化する。すなわち、重合体状材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、を添加剤、例えば酸化防止剤、好ましくはビタミンE(好ましくは約10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満のビタミンE)と混合/ブレンドし、次いで
a.前記ブレンドを固化させ、好ましくは前記固化させたブレンドをアニーリングし、熱的応力を除去する工程を加えること、および
b.前記ブレンドを機械加工し、完成製品を形成すること、または
c.前記ブレンドを直接圧縮成形し、完成品を形成すること
により、物品または医療用装置を形成する。
【0115】
完成品は、少なくとも1 kGy、好ましくは約25 kGy〜約1000 kGy以上、より好ましくは約25、50、75、100、125、150、175、または200 kGyの線量に、ガンマ線、e−線、またはX線により照射する。
【0116】
照射された完成品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、除圧すること、または
b.少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0117】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0118】
完成製品の照射、融解、および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の別の態様では、下記のように、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、融解させ、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0119】
重合体状材料を照射し、融解させ、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等を、形成する。
【0120】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、該圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0121】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0122】
完成品の照射および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の別の態様では、下記のように、完成品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等に照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0123】
重合体状材料に照射し、機械加工して、完成品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等を形成する。
【0124】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、該圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0125】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0126】
完成品の温照射、融解、および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の別の態様では、下記のように、完成品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等に温照射し、融解させ、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0127】
重合体状材料に、室温より高い温度、例えば約80℃を超え、重合体状材料の融点より低い温度で温照射する。温照射した重合体状材料を融解させ、機械加工して完成品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等を形成する。
【0128】
完成品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、前記圧力を解放すること、または
b.少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0129】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0130】
完成品の温照射および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の別の態様では、下記のように、完成品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等に温照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0131】
重合体状材料に、室温より高い温度、例えば約80℃を超え、重合体状材料の融点より低い温度で温照射し、機械加工して完成品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等を形成する。
【0132】
完成品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、前記圧力を解放すること、または
b.少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0133】
高圧結晶化された完成品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0134】
完成品の低温照射および機械的アニーリング(CIMA)および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の別の態様では、下記のように、完成品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等に、CIMA法により照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0135】
重合体状材料に、高温、例えば90℃を超え、140℃より低い温度、で照射し、機械的に変形させ、加圧下で室温に冷却するまで変形させ、室温より高い温度、例えば90℃を超え、140℃より低い温度でアニーリングして変形した状態を回復させ、機械加工して完成品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物等を形成する。
【0136】
完成品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、前記圧力を解放すること、または
b.少なくとも約10〜1000 MPa(例えば、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPa)、好ましくは少なくとも約150 MPa、より好ましくは少なくとも約250 MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0137】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0138】
定義
「高圧結晶化された」(HPC)とは、本発明により、本明細書に記載する高圧結晶化過程を受けた重合体状材料の状態を意味する。
【0139】
「高圧結晶化」とは、本発明により、本明細書に記載する、高圧結晶化されたポリエチレンを製造する方法を意味する。
【0140】
「高結晶性の」または「高結晶化度」は、材料の結晶化度が少なくとも約51%である状態を意味する。
【0141】
「添加剤」は、この分野で公知の、重合体状材料以外の別の成分を意味する。「添加剤」は、例えば核形成剤、酸化防止剤、リピド、低分子量ポリエチレンでよい。
【0142】
「酸化防止剤」は、この分野で公知の、アルファ−およびデルタ−トコフェロール、プロピル、オクチル、またはドデシルガレート、乳酸、クエン酸、および酒石酸およびそれらの塩、オルトホスフェート、トコフェロールアセテート、好ましくはビタミンEを意味する(例えば、国際公開第WO/80778号、米国特許第6,448,315号参照)。「添加剤」としては、酸化防止剤、等が挙げられる。
【0143】
「超臨界流体」は、この分野で公知のこと、例えば超臨界プロパン、アセチレン、二酸化炭素(CO)を意味する。これに関して、臨界温度とは、それを超えると、ガスが圧力だけでは液化できない温度である。臨界温度において、ある圧力未満で、ある物質がその液体と平衡状態にあるガスとして存在し得る場合、その圧力が臨界圧である。超臨界流体状態は、一般的に流体が、超臨界流体およびそれによって、超臨界流体混合物が得られるような温度および圧力にさらされることを意味し、その温度は超臨界温度を超え、超臨界温度は、COでは31.3℃であり、その圧力は超臨界圧を超え、超臨界圧は、COでは73.8バールである。より詳しくは、超臨界条件とは、例えばUHMWPEと酸化防止剤の混合物の、高い温度および圧力で、超臨界流体混合物が形成され、次いで、その混合物からCOが蒸発し、酸化防止剤でドーピングされたUHMWPEが得られる条件である(例えば、米国特許第6448315号および国際公開第WO02/26464号参照)。
【0144】
本明細書で使用する用語「圧縮成形」とは、一般的にはこの分野で公知の内容に関し、特に重合体状材料を高温成形することに関連し、粉末形態を包含するすべての物理的状態にある重合体状材料が、スラブ形態または医療用充填材、例えば頸骨挿入物、寛骨臼ライナー、関節窩ライナー、膝蓋骨、またはユニコンパートメント挿入物の型の中に圧縮される。
【0145】
本明細書で使用する用語「直接圧縮成形」は、一般的にはこの分野で公知の内容に関し、特にポリエチレンを基材とする装置、例えば医療用充填材、に適用できる成形に関連し、そこでは粉末形態を包含するすべての物理的状態にあるポリエチレンが、非中空の支持体、例えば金属製バック、金属製メッシュ、または溝、刻み目または切り取り部を含む金属表面に押し付けられる。圧縮成形は、ポリエチレンを、樹脂粉末、フレークおよび粒子を包含する様々な状態で、対向面に高温圧縮成形し、医療用充填材、例えば頸骨挿入物、寛骨臼ライナー、関節窩ライナー、膝蓋骨、またはユニコンパートメント挿入物、を形成することも包含する。
【0146】
用語「機械的に連結した(interlocked)」とは、一般的にはポリエチレンと対向面の連結を意味し、これは、圧縮成形、熱および照射、を包含する様々な方法で行われ、それによって、連結界面を形成し、連結されたポリエチレンを「形状記憶」させる。そのような連結界面を有する装置の成分は、「ハイブリッド材料」と呼ぶことができる。そのようなハイブリッド材料を有する医療用充填材は、実質的に無菌の界面を含む。
【0147】
用語「実質的に無菌」とは、物体、例えば界面またはハイブリッド材料または界面を含む医療用充填材、の、その界面が、医療用に受け入れるのに十分に無菌である、すなわち感染を引き起こさないか、または修正手術を必要としない、状態を意味する。
【0148】
「金属製メッシュ」とは、様々な細孔径、例えば0.1〜3 mm、の多孔質金属表面を意味する。多孔質表面は、幾つかの異なった方法により得られ、例えば金属粉末を結合剤と共に焼結させ、この結合剤を続いて除去し、後に多孔質表面を残すか、直径0.1〜3 mmの短い金属繊維を焼結させるか、または異なったサイズの金属製メッシュを重ね合わせ、連続開気孔構造を得る。
【0149】
「骨セメント」とは、この分野で公知の、医療用装置を骨に結合させるのに使用する接着剤を意味する。典型的には、骨セメントは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)から製造される。
【0150】
「高温圧縮成形」とは、あらゆる形態、例えば樹脂粉末、フレークまたは粒子、にあるポリエチレンを、圧力および温度をかけて圧縮成形し、新しい幾何学的構造を与えることを意味する。高温(ポリエチレンの融点より高い)圧縮成形の際、ポリエチレンをその融点より高い温度に加熱し、所望の形状を有する型の中に押し込み、加圧下で冷却させ、所望の形状を維持する。
【0151】
「形状記憶」とは、この分野で公知のように、ポリエチレン、例えばUHMWPEの、融解した時に好ましい高エントロピー形状を取る特性を意味する。好ましい高エントロピー形状は、樹脂粉末を、圧縮成形を通して固化させた時に達成される。
【0152】
「検出可能な残留フリーラジカルが実質的に無い」の句は、ポリエチレン成分の、十分なフリーラジカルを排除し、酸化性劣化を避ける状態を意味し、これは電子スピン共鳴(ESR)により評価できる。「検出可能な残留フリーラジカル」の句は、ESRにより検出可能なフリーラジカルの最も低いレベルを意味する。現状技術水準の計器で検出可能なフリーラジカルの最も低いレベルは、約1014スピン/グラムであり、従って、用語「検出可能な」とは、ESRによる1014スピン/グラムの検出限界を意味する。
【0153】
数値および範囲における用語「約」または「およそ」は、本発明を意図した通りに実行できるように、例えば本明細書に含まれる開示から当業者には明らかなように、所望の程度の結晶化度または架橋を有する、および/またはフリーラジカルが所望の程度に少なくなるように、記載する値または範囲に近似するか、または近い値または範囲を意味する。これは、少なくとも部分的に、重合体組成物の特性が様々であることに起因する。従って、これらの用語は、系統的な誤差から生じる値を超える値を包含する。
【0154】
重合体状材料 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とは、分子量が約500,000を超える、好ましくは約1,000,000を超える、より好ましくは約2,000,000を超える、直鎖状の、分岐していないエチレン鎖を意味する。分子量は、約8,000,000以上にも達する場合が多い。初期平均分子量とは、あらゆる照射前の、UHMWPE出発材料の平均分子量を意味する。米国特許第5,879,400号、1999年7月16日提出のPCT/US99/16070号、1997年2月11日提出のPCT/US97/02220号、および米国特許公開第20030149125号(2002年9月24日提出の米国特許出願第10/252,582号)を参照。
【0155】
本発明の製品および方法は、様々な種類の重合体状材料、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、またはそれらの混合物を包含するすべてのポリオレフィン、にも適用される。重合体状材料は、本明細書で使用するように、様々な形態のポリエチレン、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、粉末、またはそれらの混合物、もしくは上記のいずれかに由来する固化した形態、にも適用される。
【0156】
用語「添加剤」は、ベース重合体に50v/v%未満で加えることができるすべての材料を意味する。この材料は、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する、有機または無機材料でよい。添加剤は、重合体状材料に異なった特性を与えることができ、例えば、添加剤は、可塑剤、核形成剤、または酸化防止剤でよい。
【0157】
「ブレンドする」は、一般的に、ポリオレフィンをその固化前の形態で添加剤と混合することを意味する。両方の構成成分が固体である場合、ブレンドは、第三の成分、例えば液体、を使用して行い、2成分の混合を仲介し、その後、その液体を蒸発により除去することができる。添加剤が液体、例えばα−トコフェロールである場合、固体を大量の液体と混合し、次いで固体の重合体を使用して所望の濃度に希釈し、均質なブレンドを得ることができる。添加剤が酸化防止剤、例えばビタミンE、またはα−トコフェロールでもある場合、ブレンドされた重合体は、酸化防止剤でドーピングもされている。重合体状材料は、本明細書で使用するように、ポリオレフィンと可塑剤のブレンド、例えばUHMWPE樹脂粉末をα−トコフェロールとブレンドし、固化させたものにも適用される。重合体状材料は、本明細書で使用するように、添加剤、ポリオレフィンおよび可塑剤のブレンド、例えばα−トコフェロール中に浸漬したUHMWPE、にも適用される。
【0158】
「可塑剤」は、この分野で公知の、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する材料、例えばポリエチレン中のα−トコフェロールまたはポリエチレン中の低分子量ポリブタジエン、を意味し、どちらの場合も、ポリエチレンがベース重合体である。可塑剤は、典型的にはベース重合体に20重量%未満で添加される。可塑剤は、可撓性を増大させ、重合体状材料を軟化させる。
【0159】
用語「可塑化」または「可塑化する」とは、可塑剤が、それを加えた重合体状材料に付与する特性を意味する。これらの特性には、破断点伸びの増加、剛性低下、および延性増加があるが、これらに限定するものではない。
【0160】
「核形成剤」とは、この分野で公知の、重合体状材料中の結晶化度を増加する、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する有機または無機材料を意味する。典型的には、有機カルボン酸塩、例えば炭酸カルシウム、がポリオレフィンに対する良好な核形成剤である。核形成剤は、典型的には低濃度、例えば0.5重量%で使用される。
【0161】
ドーピング
ドーピングとは、この分野で良く知られている過程である(例えば米国特許第6,448,315号および第5,827,904号参照)。これに関して、ドーピングは、一般的に、本明細書で記載するように、重合体状材料を酸化防止剤と特定の条件下で接触させることを意味し、例えばUHMWPEを、超臨界条件下で酸化防止剤でドーピングする。「ドーピング」は、ベース重合体状材料中に第二の成分を50v/v%未満の量で導入することも意味する。より詳しくは、ドーピングとは、重合体状材料中に酸化防止剤を、最も多くは周囲の媒体から重合体状材料中に酸化防止剤の拡散により、導入することを意味する。そのように処理された重合体状材料は、「酸化防止剤をドーピングした」重合体状材料と呼ばれる。しかし、酸化防止剤を重合体状材料中にドーピングする方法は、拡散方法に限定されない。重合体状材料は、他の添加剤、例えば可塑剤によっても「ドーピング」することができ、この場合、そのように処理された重合体状材料は、「可塑剤でドーピングされた」と呼ばれる。
【0162】
より詳しくは、例えばHPC重合体状材料は、その材料を酸化防止剤溶液中に浸漬することにより、酸化防止剤をドーピングすることができる。これによって、酸化防止剤を重合体中に拡散させることができる。例えば、材料を100%酸化防止剤中に浸漬することができる。材料を酸化防止剤溶液中に浸漬することもでき、その際、キャリヤー溶剤は、酸化防止剤濃度の希釈に使用できる。酸化防止剤の拡散深度を増加させるために、材料をより長い時間、より高い温度で、より高い圧力で、および/または超臨界流体の存在下で浸漬することができる。
【0163】
ドーピング工程では、重合体状材料、医療用充填材または装置に、酸化防止剤、例えばビタミンEを、約1時間〜数日間、好ましくは約1時間〜24時間、より好ましくは1時間〜16時間しみ込ませることができる。酸化防止剤を室温に、または約160℃まで加熱することができ、ドーピングを室温で、または約160℃までで行うことができる。好ましくは、酸化防止剤を100℃に加熱し、ドーピングを100℃で行う。
【0164】
ベース重合体状材料中の酸化防止剤の均質性をさらに高めるために、ドーピングされた重合体状材料を融点より低いまたは高い温度でアニーリングする。アニーリングは、好ましくは約1時間〜数日間、より好ましくは約1時間〜24時間、最も好ましくは1時間〜16時間行う。ドーピングされた重合体状材料は、室温に、または約160℃まで加熱することができ、アニーリングを室温で、または約160℃までで行うことができる。好ましくは、ドーピングされた重合体状材料を100℃に加熱し、アニーリングを100℃で行う。
【0165】
用語「従来のUHMWPE」とは、市販の、分子量が約500,000を超えるポリエチレンを意味する。好ましくは、UHMWPE出発材料は、平均分子量が約2百万を超える。
【0166】
「初期平均分子量」とは、あらゆる照射前の、UHMWPE出発材料の平均分子量を意味する。
【0167】
架橋性ポリエチレン重合体状材料
重合体状材料、例えばUHMWPE、は、架橋薬品(例えば過酸化物および/またはシラン)および/または照射を使用する方法を包含する、様々な手法により架橋させることができる。架橋させるための好ましい手法は、照射を使用する。架橋したUHMWPEは、ここにその全文を参考として含める、米国特許第5,879,400号、1999年7月16日提出のPCT/US99/16070号、1997年2月11日提出のPCT/US97/02220号、米国特許公開第2003049125号(2002年9月24日提出の米国特許出願第10/252,582号)、および米国特許第6,641,617号の開示により得ることができる。
【0168】
固化した重合体状材料
固化した重合体状材料とは、固体の、固化した棒状原料、原料から機械加工した固体材料、または本明細書に記載する、固化させることができるすべての形態、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、に由来する重合体状材料半固体形態を意味する。固化した重合体状材料は、スラブ、ブロック、固体の棒状原料、機械加工した部品、フィルム、チューブ、バルーン、プリフォーム、充填材、または完成した医療用装置の形態でもよい。
【0169】
「結晶化度」とは、重合体の、結晶性である画分を意味する。結晶化度は、試料の重量(グラムで表示した重量)、融解中に試料によって吸収された熱(E、J/gで表示)、および性結晶の融解熱(ΔH=291 J/g)を知ることにより、下記の式により計算される。
結晶化度%=E/w・ΔH
【0170】
引張「弾性率」は、標準的な試験ASTM638 M III等またはそれらの後継版を使用して求められる、公称応力と対応するひずみの比を意味する。
【0171】
用語「非永久的装置」は、この分野で公知の、数ヶ月より短い期間体内に移植のための装置を意味する。非永久的装置の中には、体内に数秒間〜数分間存在するものもあれば数日、数週間、または数ヶ月まで移植することができるものもある。非永久的装置としては、例えばカテーテル、チューブ、静脈内チューブ、および縫合がある。
【0172】
「永久的装置」とは、この分野で公知の、数ヶ月より長い期間体内に移植することを意図する装置である。永久的装置としては、医療用装置、例えば寛骨臼ライナー、肩関節窩、膝蓋骨成分、指関節成分、踝関節成分、肘関節成分、手首関節成分、足指関節成分、二極人工股関節、頸骨膝挿入物、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板、縫合、腱、心臓弁、ステント、血管移植片がある。
【0173】
「薬学的化合物」は、本明細書で使用するように、粉末、懸濁液、エマルション、粒子、フィルム、ケーキ、または成形された形態にある薬物を意味する。薬物は、独立していても、医療用装置の成分として取り入れることもできる。
【0174】
用語「圧力チャンバー」は、内部圧力を大気圧より高いレベルに上昇できる容器またはチャンバーを意味する。
【0175】
用語「包装物」は、医療用装置を中に入れて包装および/または輸送する容器を意味する。包装物としては、バッグ、PTP包装、熱収縮包装物、箱、アンプル、ビン、チューブ、トレー、等またはそれらの組合せを挙げることができる。単一の成分を幾つかの個別の種類の包装物で輸送することができ、例えば成分をバッグに入れ、それをトレーに載せ、それを箱に入れることができる。その組立構造全体を滅菌し、輸送することができる。包装物材料としては、植物性羊皮紙、多層ポリエチレン、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびエチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体があるが、これらに限定するものではない。
【0176】
用語「熱収縮性包装物」とは、内部に高度の配向を有するプラスチックフィルム、バッグ、またはチューブを意味する。熱を作用させることにより、配向した鎖が後退するにつれて包装物が収縮し、医療用装置の周囲を緊密に包み込むことが多い。
【0177】
「メルト転移温度」とは、材料中のすべての結晶性領域が消失する、最低温度を意味する。
【0178】
「融点」は、示差走査熱量測定により、加熱速度毎分10℃で、20℃から220℃まで加熱した時に測定されるピーク融解温度を意味する。
【0179】
ポリエチレンと緊密に接触する、工場で組み立てた部品を含む医療用充填材は、界面を形成する。ほとんどの場合、これらの界面には、ガス滅菌の際、EtOガスまたはGPが容易に到達できない。
【0180】
照射
本発明の一態様では、好ましくはイオン化する種類の放射線を使用する。本発明の別の態様により、使用するイオン化放射線の線量は約25 kGy〜約1000 kGyである。放射線量は、約50 kGy、約65 kGy、約75 kGy、約100 kGy、約200 kGy、約300 kGy、約400 kGy、約500 kGy、約600 kGy、約700 kGy、約800 kGy、約900 kGy、あるいは約1000 kGy、または約1000 kGyを超える、もしくはそれらの近くまたは間のすべての整数もしくは分数でよい。好ましくは、放射線量は、約50 kGy〜約200 kGyでよい。X線、ガンマ線、および/または電子線を包含するこれらの種類の放射線が、細菌、ウイルス、または他の、界面を含む医療用充填材を汚染する可能性がある微生物剤を殺すか、または不活性化させ、製品の無菌性を達成する。本発明により電子線またはガンマ線でよい照射は、酸素を含む空気雰囲気中で行うことができ、その際、雰囲気中の酸素濃度は少なくとも1%、2%、4%、または約22%まで、もしくはそれらの近くまたは間のすべての整数である。別の態様では、照射を不活性雰囲気中で行うことができ、その際、雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、等、またはそれらの組合せからなる群から選択されたガスを含む。照射は、真空中で行うこともできる。
【0181】
本発明の好ましい態様では、照射は、増感性雰囲気中で行うことができる。この雰囲気は、重合体中に拡散するのに十分に小さい分子サイズを有し、照射により、多官能性グラフト化部分として作用する気体状物質を含んでなることができる。例としては、置換された、または置換されていない、ポリ不飽和炭化水素、例えばアセチレン系炭化水素、例えばアセチレン、共役または非共役オレフィン系炭化水素、例えばブタジエンおよび(メタ)アクリレートモノマー、一塩化硫黄があり、クロロ−トリ−フルオロエチレン(CTFE)またはアセチレンが特に好ましい。「気体状」とは、本明細書では、増感性雰囲気が、照射温度で、その臨界温度より上または下で、気相にあることを意味する。
【0182】
金属断片
本発明では、重合体状材料と界面を形成する断片は、例えば金属である。本発明により、ポリエチレンと機能的な関係にある金属断片は、例えばコバルトクロム合金、ステンレス鋼、チタン、チタン合金またはニッケルコバルト合金から製造することができる。様々な種類の金属は、2002年11月8日提出の米国特許第60/424,709号(PCT/US03/18053、2003年6月10日提出、WO/2004000159号)にも記載されている。
【0183】
非金属断片
本発明では、重合体状材料と界面を形成する断片は、例えば非金属である。本発明により、ポリエチレンと機能的な関係にある非金属断片は、例えばセラミック材料から製造することができる。
【0184】
界面
本発明における用語「界面」は、充填材が、ある成分が別の断片(例えば金属または非金属成分)と接触する配置にある時に形成される、医療用装置中のニッシェとして定義され、これが重合体と金属または別の重合体状材料との間の界面を形成する。例えば、重合体−重合体または重合体−金属の界面は、医療用補欠物、例えば整形外科学的関節および骨置換部品、例えば股、膝、肘または踝置換物中にある。様々な金属/非金属種類および界面が、2002年11月8日提出の米国特許第60/424,709号(PCT/US03/18053、2003年6月10日提出、WO/2004000159号:この文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる)にも記載されている。
【0185】
不活性雰囲気
用語「不活性雰囲気」とは、酸素含有量が1%以下である環境、より好ましくは滅菌処理の際に、重合体状材料中のフリーラジカルに酸素無しに架橋を形成させる酸化体が存在しない条件、を意味する。不活性雰囲気は、重合体状材料、例えばUHMWPE、を含んでなる医療用装置を酸化する恐れがあるOを避けるために使用する。不活性雰囲気条件、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオンは、イオン化放射線により重合体状医療用充填材を滅菌処理するのに使用される。
【0186】
不活性雰囲気条件、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、または真空は、イオン化放射線により医療用充填材中の重合体−金属および/または重合体−重合体の界面を滅菌処理することにも使用される。
【0187】
不活性雰囲気条件は、不活性ガス、不活性流体、または不活性液体媒体、例えば窒素ガスまたはシリコーン油、も意味する。
【0188】
無酸素環境
「無酸素環境」とは、酸素含有量が21%〜22%未満、好ましくは酸素含有量が2%未満の、ガス、例えば窒素、を含む環境を意味する。無酸素環境中の酸素濃度は、少なくとも1%、2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、または約22%まで、あるいはそれらの近傍またはその間のすべての整数もしくは分数でもよい。
【0189】
真空
用語「真空」とは、滅菌処理の際に重合体状材料中のフリーラジカルに、酸化なしに架橋を形成させる恐れがある、感知できる量のガスを含まない環境を意味する。真空は、重合体状材料、例えばUHMWPEを含む医療用装置を酸化する恐れがあるOを避けるために使用する。真空条件は、イオン化放射線により重合体状医療用充填材を滅菌処理するのに使用される。
【0190】
真空条件は、市販の真空ポンプを使用して造り出すことができる。真空条件は、イオン化放射線により医療用充填材中の重合体−金属および/または重合体−重合体の界面を滅菌処理する時にも使用される。
【0191】
残留フリーラジカル
「残留フリーラジカル」とは、重合体をイオン化放射線、例えばガンマ線またはe線照射、に露出した時に発生するフリーラジカルを意味する。フリーラジカルの中には、互いに再結合して架橋を形成するものもあれば、結晶性領域中に捕獲されるものもある。捕獲されたフリーラジカルは、残留フリーラジカルと呼ばれる。
【0192】
本発明の一態様では、重合体中の、イオン化放射線(例えばガンマ線または電子線)照射の際に発生した残留フリーラジカルのレベルは、電子スピン共鳴を使用して測定し、適切に処理し、再結合によりフリーラジカルを減少させる。
【0193】
滅菌
本発明の一態様では、重合体状材料、例えば架橋したUHMWPE、を含む医療用充填材の滅菌方法を開示する。本方法は、ガンマ線または電子線放射で、例えば線量レベル約25〜70 kGyでイオン化滅菌することにより、あるいはエチレンオキシドまたはガスプラズマでガス滅菌することにより、医療用充填材を滅菌することを含んでなる。
【0194】
本発明の別の態様は、重合体状材料、例えば架橋したUHMWPE、を含む医療用充填材の滅菌方法を開示する。本方法は、ガンマ線または電子線放射で、例えば線量レベル約25〜200 kGyでイオン化滅菌することにより、医療用充填材を滅菌することを含んでなる。この滅菌の線量レベルは、照射に使用する標準的なレベルよりも高い。これは、滅菌の際に医療用充填材を架橋させるか、またはさらに架橋させるためである。
【0195】
用語「アルファ転移」とは、転移温度を意味し、通常は約90〜95℃であるが、ポリエチレン中に溶解する増感性環境の存在下では、アルファ転移を下げることができる。アルファ転移は、結晶相中に運動を誘発すると考えられ(「アルファ転移温度」の説明は、N.G. McCrum, B.E. Read and G. Williamsによる、重合体状固体における非弾性および誘電性効果(Anelastic and Dielectric Effects in Polymeric Solids)、141-143頁、J. Wiley and Sons, N.Y., N.Y., 1967出版、に記載されている)、この運動により、増感性環境の、この相中への拡散が増加す、および/または捕獲されたフリーラジカルが解放されると仮定されている。アルファ転移より高い温度に加熱することにより、添加剤、例えば可塑剤または酸化防止剤、のベース重合体中への拡散も増加する。
【0196】
用語「臨界温度」とは、ポリエチレンのアルファ転移に対応する。用語「融点より低い」または用語「溶融状態より低い」は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、の融点より低い温度を意味する。用語「融点より低い」または用語「溶融状態より低い」は、155℃より低い温度を意味し、これはポリエチレンの融点によって異なる。用語「融点より高い」または用語「溶融状態より高い」は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、の融点より高い温度を意味する。用語「融点より高い」または用語「溶融状態より高い」は、145℃を超える温度を意味し、これはポリエチレンの融点によって異なる。ポリエチレンの融点は、例えば155℃、145℃、140℃または135℃でよく、やはり処理しているポリエチレンの特性、例えば伸びきり鎖結晶、結晶化度、分子量の平均および範囲、バッチ変動、等によって異なる。例えば、重合体状材料の、高圧結晶化工程の際の高圧下での「融点より高い」または用語「溶融状態より高い」は、150℃以上の温度を意味する。融解温度は、典型的には示差走査熱量測定(DSC)を使用し、毎分10℃の加熱速度で測定される。こうして測定されたピーク融解温度を融点と呼び、例えばある等級のUHMWPEには約137℃にある。融解試験は、出発ポリエチレン材料に対して行い、融解温度を測定し、照射およびアニーリング温度を決定するのが望ましい。
【0197】
用語「アニーリング」とは、重合体をそのピーク融点より低い温度に加熱することを意味する。アニーリング時間は、少なくとも1分間〜数週間まで長くてよい。一態様では、アニーリング時間は約4時間〜約48時間、好ましくは24〜48時間、より好ましくは約24時間である。機械的変形に続いて所望のレベルに回復させるのに必要なアニーリング時間は、通常、アニーリング温度が低い程、長くなる。「アニーリング時間」は、本発明によるアニーリングのための熱的条件を指す。
【0198】
用語「接触した」とは、増感剤がその意図する機能を果たせるような、物理的な近傍または接触を包含する。好ましくは、ポリエチレン組成物またはプリフォームを、増感剤中に浸漬されるように、十分に接触させ、これによって十分な接触を確保する。浸漬は、試料を特殊な環境中に十分な時間、適切な温度で、配置することとして定義され、例えば試料を酸化防止剤溶液中に浸漬する。この環境を、室温〜材料の融点より低い温度に加熱する。接触時間は、少なくとも約1分間〜数週間であり、この持続時間は、環境の温度によって異なる。
【0199】
用語「耐酸化性」とは、重合体状材料の、重合体状材料を空気炉中、80℃で5週間エージングした後の酸化指数(A.U.)が約0.5未満である状態を意味する。耐酸化性の、架橋した重合体状材料は、一般的にこのエージング期間の後、約0.5未満のA.U.を示す。
【0200】
「酸化指数」とは、重合体状材料における酸化の程度を意味する。酸化指数は、重合体状材料の赤外スペクトルを取り、このスペクトルを解析し、酸化指数を、対応する基線を差し引いた後の、1740 cm−1カルボニルおよび1370 cm−1メチレン伸縮吸収の下である面積の比として計算する。
【0201】
「機械的変形」とは、材料の融点より低い温度で起こる変形を意味し、実質的に材料の「冷間加工」である。変形様式としては、単軸、チャネルフロー、単軸圧縮、二軸圧縮、振動圧縮、伸張、単軸伸張、二軸伸張、超音波振動、曲げ、平面応力圧縮(チャネルダイ)またはそれらのいずれかの組合せがある。変形は、静止でも動的でもよい。動的変形は、小または大振幅振動様式における変形モードの組合せでよい。超音波振動を使用できる。変形はすべて増感性ガスの存在下および/または高温で行うことができる。
【0202】
用語「変形した状態」とは、重合体状材料の、固体または溶融状態における変形工程、例えば本明細書で記載するような機械的変形、に続く状態を意味する。変形工程に続いて、固体状態または溶融状態における変形したポリエチレンを、変形した形状または新たに獲得した変形状態を維持している間に、固化/結晶化させる。
【0203】
「IBMA」とは、溶融状態より低い温度での照射および機械的アニーリングを意味する。「IBMA」は、「CIMA」(冷間照射および機械的アニーリング)とも呼ばれる。
【0204】
振動数範囲10〜100 kHzにおける超音波処理(sonication)または超音波を振幅1〜50ミクロンのオーダーで使用できる。超音波処理の時間は、超音波処理の振動数および温度によって異なる。一態様で、超音波処理は、約1秒間〜約1週間、好ましくは約1時間〜約48時間、より好ましくは約5時間〜約24時間、さらに好ましくは約12時間である。
【0205】
本発明を下記の例によりさらに説明するが、これらの例は、本発明をいかなる様式においても制限するものではない。
【実施例】
【0206】
例1 滅菌または架橋のためのポリエチレンの電子線照射
UHMWPEのブロックまたはロッドを厚さ1 cmの断片に機械加工した。これらの試料を、Massachusetts Institute of Technologyで、2.5 MeVのVan de Graff発生器(e線)を使用し、電子線の下を多数回通過させて照射し、所望の放射線量レベル(1回あたり約12.5 kGy)を達成した。
【0207】
例2 滅菌または架橋のためのポリエチレンのガンマ線照射
圧縮成形したブロック(5.5x10x12 cm)を、Co60線源(Steris Isomedix, Northborough, MA)を使用して照射した。
【0208】
例3 ビタミンE粉末とブレンドし、UHMWPEの融点より上で照射
ビタミンE0、0.05、0.1、0.3および1.0重量%とブレンドしたUHMWPEブロックを、UHMWPEの融点より上で、約170℃でガンマ線またはe−線で0、65、100、150および200 kGyに照射する。
【0209】
例4 照射に続いて経路Iおよび経路IIにより高圧結晶化
圧縮成形したGUR1050 UHMWPEブロック(5.5x10x12 cm)を空気中で65 kGyにガンマ線照射した。
【0210】
経路I 照射したブロックから直径2インチのシリンダー1個を機械加工し、圧力チャンバー中に入れ、そこで水中に200℃で5時間保持した。次いで、圧力を380 MPaに増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。
【0211】
経路II もう一つの直径2インチシリンダーを圧力チャンバー中に入れ、そこで水中で380 MPaに加圧し、次いで200℃に加熱し、5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。
【0212】
示差走査熱量測定(DSC)を使用し、これらのポリエチレン試料の結晶化度を測定した。DSC試料をSartorius CP 225D天秤で分解能0.01ミリグラムに秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、TA instruments Q-1000示差走査熱量計中に入れた。次いで、試料および基準試料を加熱速度10℃/分で−20℃から160℃に加熱し、−20℃に冷却し、別の−20℃から160℃の加熱サイクルに10℃/分でかけた。熱流量と時間および温度の関係を記録し、これらのサイクルを、それぞれ第一加熱、第一冷却、および第二加熱と呼ぶ。
【0213】
結晶化度は、20℃から160℃のエンタルピーピークを積算し、結晶性ポリエチレン100%融解のエンタルピー291 J/gで正規化することにより、決定した。
【0214】
ASTM D-638により、MTS II機械(Eden Prarie, MN)を使用し、クロスヘッド速度10 mm/分でドッグボーン試料を試験し、機械的特性を測定した。
【0215】
経路IIにより、伸びきり鎖結晶が形成された。DSC分析により、経路Iおよび経路IIの両方を使用して65 kGy照射し、HPC処理したポリエチレン中に高温(142℃)融解する結晶が存在することが分かった。ピーク融解温度の132℃から142℃への増加は、HPC処理の際に照射したUHMWPEに対する伸びきり鎖結晶の形成を示している。65 kGy照射したポリエチレンの結晶化度は57±1%であり、これが、経路IのHPC処理の後では63±1%に、経路IIのHPC処理の後では59±2%に増加した。
【0216】
経路Iにより照射し、HPC処理したUHMWPEは、検出可能なフリーラジカルを含まなかった。経路IIにより照射し、HPC処理したUHMWPEは、検出可能なフリーラジカルが少なかったか、または存在しなかった。
【0217】
65 kGy照射し、HPC処理したUHMWPEの機械的特性を表1に示す。
【0218】
【表1】

【0219】
例5 HPC処理し、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEの摩耗速度
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを比較試料として使用した。GUR1050 UHMWPE粉末をビタミンE(D,L−α−トコフェロール、>98%)と5重量%に混合した。次いで、この混合物をUHMWPE粉末で、UHMWPE中ビタミンE0.1重量%に希釈した。この混合物をブロック(5.5×10×12 cm)に圧縮成形し、これを直径2インチに機械加工してから、高圧結晶化(HPC)させた。HPCは、注文製の1リットル高圧チャンバー中で行った。直径2インチのシリンダーをこの圧力チャンバー中に入れ、水中、180℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を310 MPaに増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。比較試料として、未添加UHMWPE、0.1重量%ブレンドしたUHMWPE、同じ様式でHPC処理した未添加UHMWPEを使用した。
【0220】
上記の試料から機械加工したピン(直径9 mm、長さ13 mm、n≧3)を、注文製の二方向POD摩耗試験機で、頻度2 Hzで試験した。子牛血清を潤滑剤として使用し、摩耗を重量的に0.5百万サイクル間隔で、2百万サイクル(MC)まで定量した。
【0221】
HPC処理した0.1重量%ビタミンE/UHMWPEブレンドは、未添加UHMWPEより大幅に低い摩耗を示したのに対し、ビタミンEの非存在下におけるHPC処理は、UHMWPEの摩耗速度を増加した。(表2参照)。
【0222】
【表2】

【0223】
例6 HPC処理し、ビタミンEブレンドしたUHMWPEの機械的特性
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを比較試料として使用した。GUR1050 UHMWPE粉末をビタミンE(D,L−α−トコフェロール、>98%)と5重量%に混合した。次いで、この混合物をUHMWPEで、UHMWPE中ビタミンE0.1、0.3、および1.0重量%に希釈した。この混合物をブロック(5.5x10x12 cm)に圧縮成形し、これを直径2”に機械加工してから、高圧結晶化(HPC)させた。HPCは、注文製の1リットル高圧チャンバー中で行った。直径2”のシリンダーをこの圧力チャンバー中に入れ、水中、180℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を310 MPaに増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。比較試料として、未添加UHMWPE、および同じ様式でHPC処理した未添加UHMWPEを使用した。
【0224】
示差走査熱量測定(DSC)を使用し、これらのポリエチレン試料の結晶化度を測定した。DSC試料をSartorius CP 225D天秤で分解能0.01ミリグラムに秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、TA instruments Q-1000示差走査熱量計中に入れた。次いで、試料および基準試料を加熱速度10℃/分で−20℃から160℃に加熱し、−20℃に冷却し、別の−20℃から160℃の加熱サイクルに10℃/分でかけた。熱流量と時間および温度の関係を記録し、これらのサイクルを、それぞれ第一加熱、第一冷却、および第二加熱と呼ぶ。
【0225】
結晶化度は、20℃から160℃のエンタルピーピークを積算し、結晶性ポリエチレン100%融解のエンタルピー291 J/gで正規化することにより、決定した。
【0226】
ASTM D-638により、MTS II機械(Eden Prarie, MN)を使用し、クロスヘッド速度10 mm/分でドッグボーン試料を試験し、機械的特性を測定した。
【0227】
UHMWPEの結晶化度は、ビタミンEの添加により70%から76%に改良された。より高い濃度のビタミンEとブレンドした、高圧結晶化させたポリエチレンの結晶化度に大きな差は認められなかった(p>0.1、表3参照)。
【0228】
ビタミンEを0.1重量%ブレンドし、高圧結晶化させたUHMWPEの極限引張強度は、未添加の高圧結晶化(HPC)させたUHMWPEより大幅に高かった(p=0.012、表3)が、これは、ビタミンE濃度を高くしても、変わらなかった。
【0229】
【表3】

【0230】
ビタミンE濃度0.1重量%におけるUHMWPEに対するビタミンEとHPCの相乗効果により、摩耗が低くなったのみならず、破壊するまでの仕事量(work-to-failure)が非常に高い「超靱性UHMWPE」が得られた(表3)。
【0231】
例7 HPC処理し、ビタミンEブレンドしたUHMWPEの形態学的特性試験
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを比較試料として使用した。GUR1050 UHMWPE粉末をビタミンE(D,L−α−トコフェロール、>98%)と5重量%に混合した。次いで、この混合物をUHMWPEで、UHMWPE中ビタミンE0.1、0.3、および1.0重量%に希釈した。この混合物をブロック(5.5x10x12 cm)に圧縮成形し、これを直径2インチに機械加工してから、高圧結晶化(HPC)させた。HPCは、注文製の1リットル高圧チャンバー中で行った。直径2インチのシリンダーをこの圧力チャンバー中に入れ、水中、180℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を310 MPaに増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。比較試料として、未添加UHMWPE、および同じ様式でHPC処理した未添加UHMWPEを使用した。
【0232】
凍結破壊した表面を金で被覆し(Edward Sputtercoater S150B)、FEI/Phillips XL30 FEG ESEM (Hillsboro, OR)を使用し、電子顕微鏡画像を得た。
【0233】
SEM画像は、ビタミンEを0.1重量%ブレンドした試料を除く全てのHPC処理した試料に大量の空隙を示している(図4(A〜D)参照)が、これは、HPC処理していない試料のどれにも観察されていない(図5(A〜D)参照)。これらの空隙は、大きな結晶が加圧下で融解および再結晶した結果、または再結晶の際にビタミンEが排除されたために形成されたのであろう。ビタミンE濃度約0.1重量%で、高結晶化度の影響と空隙の影響が釣り合う競合機構があるものと考えられる。
【0234】
例8 HPC処理したUHMWPEのドーピングおよび均質化
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを使用した。直径2インチのシリンダーを圧力チャンバー中に入れ、水中、180℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を310 MPaに増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。この直径2インチの高圧結晶化させたブロックを厚さ1 cmの断片に機械加工し、室温で電子線照射により、125 kGyに照射したが、その際、Massachusetts Institute of Technologyで、2.5 MeVのVan de Graff発生器(e線)を使用し、電子線の下を多数回通過させて照射し、所望の放射線量レベル(1回あたり約12.5 kGy)を達成した。
【0235】
厚さ1cmの部分を二つに切断した。一方の断片をα−トコフェロールで、120℃で5時間ドーピングし、次いでその断片をα−トコフェロールから取り出し、室温に冷却し、綿ガーゼできれいに拭き取り、対流加熱炉中に120℃で64時間入れた。他方の断片をα−トコフェロールで、124℃で5時間ドーピングし、次いでその断片をα−トコフェロールから取り出し、室温に冷却し、綿ガーゼできれいに拭き取り、対流加熱炉中に124℃で64時間入れた。
【0236】
これら二個の試料におけるα−トコフェロールのプロファイルを、例9に記載したように赤外線分光法により測定した。これらの試料を半分に切断し、分割した(150μm)。赤外線スペクトルは、BioRad UMA 500顕微鏡により、アパーチャサイズ50×50μmで、本来の試料の自由表面から離れる深さの関数として集めた。
【0237】
α−トコフェロール指数を、1265 cm−1α−トコフェロールおよび1895 cm−1ポリエチレン骨格吸収の下にある面積の比として計算した。
【0238】
高圧結晶化させ、125 kGy照射し、α−トコフェロールドーピングし、均質化したUHMWPE試料のα−トコフェロールプロファイルを図6に示す。120℃でドーピングし、アニーリングした試料で得た最も低い指数レベルは0.016であり、124℃でドーピングし、アニーリングした試料で得た最も低い指数レベルは0.069であった。
【0239】
例9 ポリエチレン中への酸化防止剤拡散の測定
α−トコフェロール中でドーピングした試験試料における酸化防止剤の拡散プロファイルを測定するために、LKB Sledge Microtomeを使用し、ドーピングした部分から断面(100〜150μm)を切り取った。次いで、この薄い断面を、BioRad UMA 500赤外顕微鏡(Natick, MA)を使用して分析した。赤外スペクトルを、アパーチャサイズ50×50μmで、浸漬の際に酸化防止剤と接触した試料の自由表面と一致する縁部の一方から離れる深度の関数として集めた。1226〜1295 cm−1の吸光度は、α−トコフェロールに特徴的であり、ポリエチレンはこれらの周波数の近くでは吸収しない。ポリエチレンに関して、CH横揺れモードに対する1895 cm−1波数が内部参照として典型的である。1260 cm−1および1895 cm−1の積分吸光度の比である規格化された値は、ポリエチレン中のα−トコフェロール組成物の相対的な距離を与える指数であり、α−トコフェロール(ビタミンE)指数と呼ばれる。
【0240】
例10 ブレンドに続いて経路IIにより高圧結晶化させ、続いて照射し、続いて経路Iにより高圧結晶化
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを比較試料として使用した。GUR1050 UHMWPE粉末をビタミンE(D,L−α−トコフェロール、>98%)と5重量%に混合した。次いで、この混合物をUHMWPEで、UHMWPE中ビタミンE0.1重量%に希釈した。この混合物をブロック(5.5×10×12 cm)に圧縮成形し、これを直径2インチに機械加工してから、高圧結晶化(HPC)させた。HPCは、注文製の1リットル高圧チャンバー中で行った。直径2インチのシリンダーをこの圧力チャンバー中に入れ、水中で圧力を310 MPa(45,000 psi)に増加し、次いで180℃に加熱した。このブロックをこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。高圧結晶化させたブロックを100 kGyに照射した。次いで、このブロックを高圧チャンバー中に入れ、水中で180℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を310 MPa(45,000 psi)に増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。
【0241】
例11 ブレンドに続いて経路IIにより高圧結晶化させ、続いて照射し、続いて経路IIにより高圧結晶化
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを比較試料として使用した。GUR1050 UHMWPE粉末をビタミンE(D,L−α−トコフェロール、>98%)と5重量%に混合した。次いで、この混合物をUHMWPEで、UHMWPE中ビタミンE0.1重量%に希釈した。この混合物をブロック(5.5×10×12 cm)に圧縮成形し、これを直径2インチに機械加工してから、高圧結晶化(HPC)させた。HPCは、注文製の1リットル高圧チャンバー中で行った。直径2インチのシリンダーをこの圧力チャンバー中に入れ、水中で圧力を310 MPa(45,000 psi)に増加し、次いで180℃に加熱した。このブロックをこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。高圧結晶化させたブロックを100 kGyに照射した。次いで、このブロックを圧力チャンバー中に入れ、水中で圧力を310 MPa(45,000 psi)に増加し、次いで180℃に加熱した。このブロックをこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。
【0242】
例12 ビタミンEをブレンドし、照射し、高圧結晶化させたUHMWPEの摩耗速度
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを比較試料として使用した。GUR1050 UHMWPE粉末をビタミンE(D,L−α−トコフェロール、>98%)と5重量%に混合した。次いで、この混合物をUHMWPE粉末で、UHMWPE中ビタミンE0.1重量%に希釈した。この混合物をブロック(5.5×10×12 cm)に圧縮成形し、これを直径2インチに機械加工してから、高圧結晶化(HPC)させた。HPCは、注文製の1リットル高圧チャンバー中で行った。直径2インチのシリンダーをこの圧力チャンバー中に入れ、水中、200℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を380 MPa(55,000 psi)に増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。
【0243】
上記の試料から機械加工したピン(直径9 mm、長さ13 mm、n≧3)を、注文製の二方向POD摩耗試験機で、頻度2 Hzで試験した。子牛血清を潤滑剤として使用し、摩耗を重量的に0.5百万サイクル間隔で、2百万サイクル(MC)まで定量した。
【0244】
ビタミンEブレンドし、架橋させたUHMWPEに高圧結晶化を使用することにより、耐摩耗性UHMWPEが得られる。
【0245】
例13 高圧結晶化させ、徐々に照射し、融解させたUHMWPEの改良された機械的強度
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを原料として使用した。直径インチのシリンダーを圧力チャンバー中に入れ、水中で180℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を310 MPa(45,000 psi)に増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。この直径2”の高圧結晶化させたブロックを厚さ1 cmの断片に機械加工し、室温で電子線照射により、125 kGyに照射したが、その際、Massachusetts Institute of Technologyで、2.5 MeVのVan de Graff発生器を使用し、電子線の下を多数回通過させて照射し、所望の放射線量レベル(1回あたり約12.5 kGy)を達成した。1個の厚さ1 cmの部分を約4 kGy/1回通過で150 kGyに照射した。12.5 kGy/1回通過で150 kGyに照射した1個の厚さ1 cmの部分を,照射後、真空中、170℃で融解させた。
【0246】
ASTM D-638により、MTS II機械(Eden Prarie, MN)を使用し、クロスヘッド速度10 mm/分でドッグボーン試料を試験し、機械的特性を測定した。
【0247】
照射した試料の極限引張強度は、高圧結晶化した試料と比較して低下している(表4参照)。しかし、遅い照射および照射後の融解の両方により、照射したHPC UHMWPEの強度は増加した。
【0248】
【表4】

【0249】
この効果は、HPC後および連結分子(tie-molecules)の照射中に張力下に置かれているクリスタライト間の連結分子によるものである。その結果、これらの分子は、張力下で鎖切断をより受け易くなる。次いで、この張力が、機械的試験の際に連結分子の破壊に悪影響を及ぼす。遅い照射および融解の両方により、これらの張りつめた連結分子が弛緩し、機械的強度が改良される。
【0250】
例14 高圧結晶化させ、徐々に照射し、アニーリングしたUHMWPEの改良された機械的強度
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを原料として使用した。直径2インチのシリンダーを圧力チャンバー中に入れ、水中で180℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を310 MPa(45,000 psi)に増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。この直径2インチの高圧結晶化させたブロックを厚さ1 cmの断片に機械加工し、室温で電子線照射により、150 kGyに照射したが、その際、Massachusetts Institute of Technologyで、2.5 MeVのVan de Graff発生器を使用し、電子線の下を多数回通過させて照射し、所望の放射線量レベル(1回あたり約4 kGy)を達成した。1個の厚さ1 cmの部分を150 kGyに照射し、照射後に、真空中、100℃、120℃および136℃で熱的にアニーリングし、機械的特性を改良した。
【0251】
例15 ビタミンE
他に指示がない限り、本明細書に記載する実験には、ビタミンE(Acros(商品名)99%D−α−トコフェロール、Fisher Brand)を使用した。使用したビタミンEは、色が非常に明るい黄色であり、室温で粘性の液体である。その融点は2〜3℃である。
【0252】
例16 二方向ピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験
摩耗速度は、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して定量した。この目的に、UHMWPE試料の摩耗挙動を、円筒形試料(直径9 mm、高さ13 mm)を使用し、注文製の二方向ピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験機で頻度2 Hzで試験した。子牛血清を潤滑剤として使用し、摩耗を重量的に0.5百万サイクル間隔で定量した。最初に、ピンを200,000サイクルのPOD試験にかけ、表面上の拡散または粗さと無関係の定常状態摩耗速度を達成した。各群から3個のピンを合計2百万サイクル試験した。摩耗速度は、0.2〜2百万サイクルまでの摩耗対サイクル数の直線回帰として計算した。
【0253】
例17 示差走査熱量測定による結晶化度の測定
結晶化度は、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して定量した。この目的に、示差走査熱量測定(DSC)を使用し、ポリエチレン試験試料の結晶化度を測定した。DSC試料は、Sartorius CP 225D天秤で分解能0.01ミリグラムまで秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、TA instruments Q-1000示差走査熱量計中に配置した。次いで、これらの試料および基準を加熱速度10℃/分で−20℃から160℃に加熱し、−10℃に冷却し、10℃/分で別の加熱サイクル−20℃から160℃にかけた。時間と温度の関数としての熱流動を記録し、そのサイクルをそれぞれ第一加熱、第一冷却および第二加熱と呼ぶ。
【0254】
結晶化度は、20℃〜160℃のエンタルピーピークを積分し、それを結晶化度100%ポリエチレンの融解エンタルピー291 J/gで規格化することにより、求めた。
【0255】
例18 照射し、高圧結晶化させた(経路II)寛骨臼ライナーの寸法安定性
100 kGy照射し、融解させたGUR1050 UHMWPEから機械加工した寛骨臼ライナーを圧力チャンバー中に入れ、水中で先ず圧力を380 MPa(55,000 psi)に増加し、次いで200℃に加熱し、5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。
【0256】
ライナーの寸法を高圧結晶化の前後に座標測定機(CMM, Global A2, Brown & Sharp, North Kingstown RI)により測定した。表5は、ライナーの関節および裏側における寸法変化が、融解を回避したために、最小であることを示す。全体的に、このHPC処理したライナーは、非常に安定していた。
【0257】
【表5】

【0258】
例19 0.1重量%α−トコフェロールとブレンドし、経路Iにより高圧結晶化させたUHMWPEの、透過電子顕微鏡(TEM)による形態学的分析
ラム押出したGUR1050 UHMWPEを比較試料として使用した。GUR1050 UHMWPE粉末をビタミンE(D,L−α−トコフェロール、>98%)と5重量%に混合した。次いで、この混合物をUHMWPE粉末で、UHMWPE中ビタミンE0.1重量%に希釈した。この混合物をブロック(5.5×10×12 cm)に圧縮成形し、これを直径2インチに機械加工してから、高圧結晶化(HPC)させた。HPCは、注文製の1リットル高圧チャンバー中で行った。直径2インチのシリンダーをこの圧力チャンバー中に入れ、水中、200℃に加熱し、5時間保持した。次いで、圧力を380 MPa(55,000 psi)に増加し、試料をこの温度および圧力に5時間保持した。最後に、試料を室温に冷却し、続いて圧力を解除した。
【0259】
結晶性の高いバーから切断した試料を、クロロスルホン酸中、60℃で6時間加熱することによりエッチングし、硫酸および水で洗浄した。ミクロトーム切断し、酢酸ウラニル溶液で染色し、Philips 420T上で100 kV加速電圧で画像撮影した。
【0260】
0.1重量%α−トコフェロールブレンドし、高圧結晶化させたUHMWPEは、「伸びきり鎖結晶」の存在を明らかに示している。
【0261】
無論、本説明、具体例およびデータは、代表的な実施態様を示しているが、説明のために記載するのであって、本発明を制限するものではない。本明細書に含まれる考察、開示およびそこに含まれるデータから、様々な変形および修正が当業者には明らかであり、従って、本発明の一部と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0262】
【図1A】様々な温度および圧力条件下での高圧結晶化(「HPC」)製法およびポリエチレンの相を図式的に示す。
【図1B】試料を先ず常圧で融解温度より上に、高圧結晶化温度に加熱し、加圧し、溶融相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1C】試料を融解温度に、高圧結晶化温度に加熱し、同時に、加圧し、溶融相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1D】試料を三重点圧力より僅かに下に加圧し、次いで融解温度より上に加熱し、次いでさらに加圧し、溶融相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1E】試料を連続工程で加圧および加熱し、三重点圧力および温度に到達するまで、溶融および斜方晶相の中に、およびそこから外に転移させ、次いで加熱および加圧し、溶融相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1F】試料を所望の高圧結晶化温度に加熱し、続いて同時に冷却および加圧し、溶融相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1G】試料をほぼ所望の高圧結晶化圧力に同時に加熱および加圧し、次いで試料がこの圧力で融解するように加熱し、次いで冷却し、所望によりさらに加圧し、溶融相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1H】試料をほぼ所望の高圧アニーリング圧力に加圧し、加熱して斜方晶相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1I】試料を同時に加熱および加圧し、斜方晶相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1J】試料を同時に加熱および加圧し、斜方晶相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1K】試料を常圧で溶融状態未満に加熱し、次いで所望の高圧アニーリング圧に、およびこの圧力における相転移温度より下に、同時に加熱および加圧し、次いでさらに加熱し、斜方晶相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1L】試料を連続工程で加熱および加圧し、斜方晶相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1M】試料を、加熱および同時冷却および加圧を含んでなる連続工程で加熱および加圧し、斜方晶相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1N】試料を加熱、および斜方晶相における所望の高圧アニーリング圧より高い圧力に加圧し、次いで加熱および除圧し、斜方晶相から六方晶相に転移させる、加熱および加圧スキームを示す。
【図1O】試料を高圧結晶化またはアニーリング圧で略室温に冷却し、六方晶相から斜方晶相に転移させ、続いて斜方晶相で圧力を解除する、冷却および除圧スキームを示す。
【図1P】試料を、常圧でほぼ融解温度未満に冷却し、除圧して六方晶相から斜方晶相に転移させ、次いで斜方晶相で、常圧で略室温にさらに冷却する、冷却および除圧スキームを示す。
【図1Q】試料を、連続工程で冷却および除圧して六方晶相から斜方晶相に転移させ、最終的に斜方晶相で常圧および略室温にする、冷却および除圧スキームを示す。
【図1R】試料を、高圧結晶化またはアニーリング圧で、常温における融点より上の温度に冷却して六方晶相から斜方晶相に転移させ、斜方晶相でこの温度に保持しながら除圧し、次いで略室温にさらに冷却し、斜方晶相で常圧に除圧する、冷却および除圧スキームを示す。
【図1S】試料を、高圧結晶化またはアニーリング圧で、常温における融点より下の温度に冷却して六方晶相から斜方晶相に転移させ、斜方晶相でこの温度に保持しながら除圧し、次いで斜方晶相で略室温にさらに冷却する、冷却および除圧スキームを示す。
【図1T】試料を、高圧結晶化またはアニーリング圧で、常圧でほぼ融点の温度に冷却して六方晶相から斜方晶相に転移させ、斜方晶相でこの温度に保持しながら、ほぼ三重点圧に除圧し、次いで斜方晶相で略室温にさらに冷却し、ほぼ常圧に除圧する、冷却および除圧スキームを示す。
【図1U】試料を、高圧結晶化またはアニーリング圧で、常圧でほぼ融点の温度に冷却して六方晶相から斜方晶相に転移させ、斜方晶相でこの温度で加圧し、次いでほぼ常圧に除圧し、次いで斜方晶相で略室温にさらに冷却する、冷却および除圧スキームを示す。
【図1V】試料を、冷却して六方晶相から斜方晶相に転移させ、最終的に常圧および常温に冷却する、斜方晶相における加圧を含んでなる冷却および除圧スキームを示す。
【図1W】試料を冷却し、次いで同時に、段階的に加熱および除圧して六方晶相から斜方晶相に転移させ、最終的に斜方晶相で常圧および常温に冷却する、冷却および除圧スキームを示す。
【図2】耐酸化性の高結晶性架橋重合体状材料を製造する、様々な工程および方法を図式的に示す。
【図3】経路Iおよび経路IIの処理を通して得た、HPC処理した、架橋したポリエチレンのDSC分析を、HPC処理していない、架橋したUHMWPEと比較して示す。
【図4A】高圧結晶化した、未添加α−トコフェロール−ブレンドしたUHMWPEの凍結破壊表面のSEM画像を示す。
【図4B】高圧結晶化した、0.1重量%α−トコフェロール−ブレンドしたUHMWPEの凍結破壊表面のSEM画像を示す。
【図4C】高圧結晶化した、0.3重量%α−トコフェロール−ブレンドしたUHMWPEの凍結破壊表面のSEM画像を示す。
【図4D】高圧結晶化した、1.0重量%α−トコフェロール−ブレンドしたUHMWPEの凍結破壊表面のSEM画像を示す。
【図5A】未添加α−トコフェロール−ブレンドしたUHMWPEの凍結破壊表面のSEM画像を示す。
【図5B】0.1重量%α−トコフェロール−ブレンドしたUHMWPEの凍結破壊表面のSEM画像を示す。
【図5C】0.3重量%α−トコフェロール−ブレンドしたUHMWPEの凍結破壊表面のSEM画像を示す。
【図5D】1.0重量%α−トコフェロール−ブレンドしたUHMWPEの凍結破壊表面のSEM画像を示す。
【図6】高圧結晶化し、照射し、α−トコフェロールドーピングし、均質化したUHMWPEにおけるα−トコフェロールプロファイルを示す。グラフは、試料の表面から、α−トコフェロール濃度が最も低い中央までの区域を示す。
【図7】0.1重量%ビタミン−EブレンドしたHPC UHMWPEのTEM画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高結晶性架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋した重合体状材料を形成すること、
b)前記架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
c)前記加圧された、架橋重合体状材料を、前記加圧された架橋材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、
d)前記温度および圧力を保持すること、
e)前記加熱された架橋重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
f)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項2】
耐酸化性の、高結晶性重合体状材料のブレンドを製造する方法であって、
a)重合体状材料に添加剤をブレンドすること、
b)前記ブレンドを固化させること、
c)前記ブレンドされた重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
d)前記加圧された、ブレンド重合体状材料を、前記加圧された、ブレンド重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、
e)前記温度および圧力を保持すること、
f)前記加熱された、ブレンド重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
g)前記圧力を大気圧レベルに解放して、耐酸化性の、高結晶性重合体状材料のブレンドを形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項3】
耐酸化性の、高結晶性架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)前記重合体状材料に、イオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、
b)前記架橋重合体状材料を、その溶融状態より高い温度に加熱すること、
c)前記架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
d)前記温度および圧力を保持すること、
e)前記加熱された、架橋重合体状材料を、略室温に冷却すること、
f)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、
g)前記高結晶性架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、および
h)前記酸化防止剤をドーピングした、高結晶性の架橋重合体状材料を、前記酸化防止剤をドーピングした、高結晶性架橋重合体状材料の融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性の、高結晶性架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項4】
耐酸化性の、高結晶性架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、
b)前記架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
c)前記加圧された、架橋重合体状材料を、前記加圧された、架橋重合体状材料の融点より低い温度に加熱すること、
d)前記温度および圧力を保持すること、
e)前記加熱された、架橋重合体状材料を、略室温に冷却すること、
f)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、
g)前記高結晶性架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、および
h)前記酸化防止剤をドーピングした、高結晶性架橋重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性の、高結晶性架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項5】
高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料をその溶融状態より高い温度に加熱すること、
b)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
c)前記温度および圧力を保持すること、
d)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、
e)前記圧力を大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、
f)前記高結晶性重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、および
g)前記高結晶性の架橋重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、を含んでなる、方法。
【請求項6】
高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、
c)前記加熱された重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
d)前記圧力および温度を保持すること、
e)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
f)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項7】
高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
c)前記加圧された重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、
d)前記圧力および温度を保持すること、
e)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
f)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項8】
高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、
c)前記加熱された重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
d)前記圧力および温度を保持すること、
e)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、
f)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、および
g)前記高結晶性の重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項9】
高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
c)前記加圧された重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、
d)前記圧力および温度を保持すること、
e)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、
f)前記圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、および
g)前記高結晶性の重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項10】
高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、
b)前記架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
c)前記架橋重合体状材料を、前記架橋重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、
d)前記加熱された、架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
e)前記圧力および温度を保持すること、
f)前記加熱された、架橋重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
g)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項11】
高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、
b)前記架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
c)前記加圧された、架橋重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された、架橋重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、
d)前記圧力および温度を保持すること、
e)前記加熱された、架橋重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
f)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項12】
高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、
c)前記重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、
d)前記加熱された重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
e)前記圧力および温度を保持すること、
f)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
g)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項13】
高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、
c)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
d)前記加圧された重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、
e)前記圧力および温度を保持すること、
f)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
g)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項14】
高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、
c)前記重合体状材料を、前記重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、
d)前記加熱された重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
e)前記圧力および温度を保持すること、
f)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、および
h)前記高結晶性の重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項15】
高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
b)前記重合体状材料を、その溶融状態より低いまたは高い温度でアニーリングすること、
c)前記重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
d)前記加圧された重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、
e)前記圧力および温度を保持すること、
f)前記加熱された重合体状材料を、略室温に冷却すること、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の重合体状材料を形成すること、および
h)前記高結晶性の重合体状材料にイオン化放射線を照射して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項16】
高結晶性の重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、
b)前記架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
c)前記架橋重合体状材料を、その溶融状態より低い温度でアニーリングすること、
d)前記架橋重合体状材料を、前記架橋重合体状材料の融点より高い温度に加熱すること、
e)前記加熱された、架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
f)前記圧力および温度を保持すること、
g)前記加熱された、架橋重合体状材料を、略室温に冷却すること、
h)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、を含んでなる、方法。
【請求項17】
高結晶性の架橋重合体状材料を製造する方法であって、
a)重合体状材料にイオン化放射線を照射して、架橋重合体状材料を形成すること、
b)前記架橋重合体状材料に、拡散により酸化防止剤をドーピングすること、
c)前記架橋重合体状材料を、その溶融状態より低い温度でアニーリングすること、
d)前記架橋重合体状材料を、少なくとも10〜1000 MPa下で加圧すること、
e)前記加圧された、架橋重合体状材料を、100℃より高く、前記加圧された架橋重合体状材料の溶融状態より低い温度に加熱すること、
f)前記圧力および温度を保持すること、
g)前記加熱された、架橋重合体状材料を、略室温に冷却すること、および
h)前記圧力を略大気圧レベルに解放して、高結晶性の架橋重合体状材料を形成すること、含んでなる、方法。
【請求項18】
前記重合体状材料がポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテルケトン、またはそれらの混合物である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリオレフィンが、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状の低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記照射が、約1%〜約22%の酸素を含む雰囲気中で行われる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記照射が、窒素、アルゴン、ヘリウムネオン、等、またはそれらの組合せからなる群から選択されたガスを含む不活性雰囲気中で行われる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記照射が真空中で行われる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記重合体状材料が、前記重合体状材料の融点より高いまたは低い温度で照射される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記照射線量が、1 kGyを超え、1000 kGyまでである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記照射線量が、約25 kGy〜約1000 kGyである、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記照射線量が、約25 kGy〜400 kGy以上である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記照射線量が、少なくとも約150 kGyである、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記照射線量が、約65 kGy〜約75 kGy、または約150 kGyである、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記放射線がガンマ線照射である、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記放射線が電子線照射である、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記重合体状材料が、少なくとも約150 MPa、200 MPa、250 MPa、300 MPa、310 MPa、320 MPa、380 MPa、400 MPa、または450 MPaに加圧される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記添加剤がビタミンEである、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ビタミンE濃度が、0.0001重量%〜50重量%、0.001重量%〜1.0重量%、または約0.1重量%である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ドーピングが、不活性ガスまたは空気中で行われる、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記アニーリングが、不活性ガスまたは空気中で行われる、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ドーピングが、不活性ガスまたは空気中で、加圧下で行われる、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記アニーリングが、不活性ガスまたは空気中で、加圧下で行われる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記加圧された、架橋した重合体状材料が、150℃未満の温度に加熱される、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記重合体状材料が、略室温〜約90℃の温度で照射される、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記重合体状材料が、約90℃〜前記重合体状材料の融点の温度で照射される、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記重合体状材料が、前記重合体状材料の融点より高いまたは低い温度で照射される、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記結晶性の高い重合体状材料が、約90℃〜前記高結晶性の重合体状材料のピーク融点の温度で照射される、請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれか一項に記載の重合体状材料を含んでなる医療用充填材。
【請求項44】
請求項1〜43のいずれか一項に記載の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋重合体状材料を含んでなる医療用充填材。
【請求項45】
前記重合体状材料が、別の部品または医療用充填材に対して圧縮成形されて、界面または連結ハイブリッド材料を形成する、請求項1〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記ドーピングが、前記医療用充填材を酸化防止剤中に約1時間または約16時間浸漬することにより行われる、請求項1〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記添加剤をドーピングした、高結晶性の架橋医療用充填材を、包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌して、無菌の、添加剤をドーピングした、高結晶性架橋医療用充填材を形成する、請求項1〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記添加剤をドーピングした、高結晶性架橋重合体状材料を、機械加工して、医療用充填材を形成し、前記医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌して、無菌の、添加剤をドーピングした、高結晶性架橋医療用充填材を形成する、請求項1〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記充填材が、寛骨臼ライナー、肩関節窩、膝蓋骨成分、指関節成分、踝関節成分、肘関節成分、手首関節成分、足指関節成分、二極人工股関節、頸骨膝挿入物、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板、縫合、腱、心臓弁、ステント、血管移植片からなる群から選択される医療用装置を含んでなる、請求項1〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記重合体状材料が、重合体状樹脂粉末、重合体状フレーク、重合体状粒子等、またはそれらの混合物または添加剤である、請求項1〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記添加剤が酸化防止剤である、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記添加剤が可塑剤である、請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
ドーピングが、溶融状態より低いまたは高い温度で行われる、請求項1〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
アニーリングが、溶融状態より低いまたは高い温度で行われる、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図1F】
image rotate

【図1G】
image rotate

【図1H】
image rotate

【図1I】
image rotate

【図1J】
image rotate

【図1K】
image rotate

【図1L】
image rotate

【図1M】
image rotate

【図1N】
image rotate

【図1O】
image rotate

【図1P】
image rotate

【図1Q】
image rotate

【図1R】
image rotate

【図1S】
image rotate

【図1T】
image rotate

【図1U】
image rotate

【図1V】
image rotate

【図1W】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2009−504897(P2009−504897A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528012(P2008−528012)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/032321
【国際公開番号】WO2007/024684
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(593030244)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション ディー ビー エイ マサチューセッツ ジェネラル ホスピタル (8)
【Fターム(参考)】