説明

高輝度放電ランプまたは反射鏡付高輝度放電ランプ

【課題】 ダウンライトやスポットライトにおいて、光源として高輝度なランプを用いた場合、外管内で複数回反射して減衰し、かつ反射鏡に制御されない光はグレアになるほどの輝度を持っている。このグレアを防止することを目的とする。
【解決手段】 発光管の発光部の両端部に外部リードが配置され、該発光管内には一対の電極を有し、該発光管が一方に給電部を有し、他方にトップ部を有する外管内に収容された高輝度放電ランプにおいて、前記外管トップ部に光を減光且つ拡散させる膜を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダウンライトやスポットライトに使用する高輝度放電ランプまたは反射鏡付高輝度放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から店舗にはダウンライトやスポットライトが多数利用されている。
反射板(あるいは反射鏡)を有する照明器具内にランプを装着し、この反射板によってランプからの発光が光学制御され、対象物を効果的に照明することができる。
反射板形状は、ランプの発光中心から出る光を要求仕様の範囲に集光させるように設計されている。
【0003】
ダウンライトやスポットライトに使用するランプは主に白熱電球やハロゲンランプであり、完全な点光源ではない。これは、発光部がある程度の長さを持っているためである。照明器具で配光制御し、対象物に照射する光(以下、対象物照射光という)以外に、照明器具で制御できない光、いわゆる散乱光が発生する。
【0004】
この散乱光の輝度が高い場合、照明器具の近くに来た人々の目に入るとグレアとなり、不快感を与える事がある。したがって、この種の照明器具はグレアを防止するように設計されている。
【0005】
しかし、発光中心以外から発生する光も完全に配光制御できる反射鏡を設計・製作することは困難であり、たいていの場合、制御できない光が器具外に漏れることを防ぐように対処されている。例えば、反射鏡の照射口側端面をランプトップ部位置より十分照射側に延長し、ランプトップ部からの光を遮光するキャップをつけることによって対象物照射光の照射範囲外からランプが直接見えないようにするなどの工夫がなされている。
【0006】
図6の天井面等に取り付けられた照明器具61の場合、発光管62と外管63とからなる高輝度放電ランプ64を反射鏡65の頂部開口部を介してソケット66に固定する。この際、放電ランプの先端部にはキャップ保持金具67を介して遮光キャップ68を設ける。このキャップ保持金具は必要な光も遮光してしまう。また、ランプの取り付け取り外しの際に前記保持金具が邪魔になる場合もある。
そこで、反射鏡にキャップ保持金具等の付属品をつける必要がないように、ランプに外管を設け、そのトップ部にキャップを付けたランプが考えられている。
【0007】
そして、外管トップ部に遮光膜を有している技術も開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平5−335002また、白熱電球または放電管を外管に入れ、外管の頭頂部に遮光膜を具備した白熱灯あるいは放電灯が開示されている。
【0009】
【特許文献2】特開平6−150889
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年ではコンパクトな高輝度ランプがダウンライトやスポットライトに装着される事が多くなってきている。
このような高輝度ランプを用いた場合、器具やランプ外管トップ部にキャップをつけたものやランプ外管トップ部に遮光膜を有するランプでは、器具からの光の利用効率が下がってしまう。
【0011】
例えば、特許文献2では主に白熱灯を対象として発明の効果が説明されている。すなわち発光部であるフィラメントコイルからの直射光が反射鏡開口部から出ないように遮光膜を形成すると説明されている。しかし、白熱灯と放電灯ではランプの構成が大きく異なる。
【0012】
図7(a)にスポットライトに用いる片側封止タイプのハロゲンランプを、図7(b)に高輝度放電ランプの一種であるセラミック発光管を用いた放電ランプの一般的な形状を示す。放電ランプは発光管の発光部72の両端に封止部73を有しているため、その分、外管71は発光中心からトップ部までが長くなり、次のような問題が生じてくる。なお、
図中同一符号は同一部品を、74は口金を示す。
【0013】
すなわち、図8(a)に示すように、発光管81の発光部82からの光は発光管内を複数回反射して減衰しながら外部に出て行く。すなわち発光部からの光は外管83外へ放射されるが、一部は外管内を反射してランプ先端部付近から外へ放射されグレア光となる。
【0014】
また、光源として高輝度なランプを用いた場合、複数回反射して減衰した光でもグレアになるほどの輝度を持っている。つまり、発光部からの光が器具から直接漏れてしまうのを防止するだけではグレアは完全になくす事が出来ない。
【0015】
これに対し、後述する本発明に係るランプは図8(b)に示すように、外管トップ部に光を減光且つ拡散する膜を形成することにより、反射光が外に放射されるのを防止するので、グレアが生じない。なお、一部は拡散して放射される。
【0016】
また、交換用のランプを器具に装着する場合、ランプを所定位置に取り付けるとランプの光中心が器具内反射鏡の焦点位置付近になるように設計されているが、器具設計は適用ランプ個々の位置ばらつきを許容したある程度余裕のある仕様になっているため、ランプ発光部から外管外へ出て行く光を完全に制御することはできない。
またランプトップ部に完全遮光膜を用いると、発光部からの光や反射光が遮光膜に当たっても光を完全に吸収し、その光を他の用途に利用することはできない。
【0017】
さらに、図9のような「PAR型ランプ」と呼ばれる反射鏡付ランプ91がある。
図中92は反射鏡93を一体化した外管であり、前面ガラス94と口金95とからなり、
外管内に発光管96が取り付け、支持されている。
この種のランプには「ナロータイプ」と「ワイドタイプ」がある。「ナロータイプ」では前面ガラスを設け、その表面に曇りガラスのような透過光拡散効果を持つ加工を施してある。反射鏡で集光された対象物照射光は一部前面ガラスで拡散されるが大部分はランプの設計仕様どおり対象物に照射される。一方、照射範囲外に放射される散乱光はもともと輝度が低いため前面ガラスで拡散させると輝度がさらに低くなり、その光が目に入ってもグレアとはならない。ただし対象物照射光の一部が前面ガラスで拡散されることで本来対象物に届くべき光が減少してしまう。また、「ワイドタイプ」では前面ガラスを設け、その表面に特殊な凹凸をもった細かなレンズを形成させることにより、レンズ効果によって広い範囲に制御された照射光を照射できる。
【0018】
また、図9のように前面ガラスを設けた場合、製造コストが高い。前面の重量が重くなるためバランスが悪い。ダウンライトでは問題ないが、水平に近い角度で固定したスポットライトではランプの自重で照射角が下向きにずれていく事もある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発光管の発光部の両端部に外部リードが配置され、該発光管内には一対の電極を有し、該発光管が一方に給電部を有し、他方にトップ部を有する外管内に収容された高輝度放電ランプにおいて、前記外管トップ部に光を減光且つ拡散させる膜を有することを特徴とする。
【0020】
また、発光管の発光部の両端部に外部リードが配置され、該発光管内には一対の電極を有し、該発光管は一方に給電部を有し、他方にトップ部を有する外管内に収容され、前記外管の中心軸は照明器具の反射鏡の中心軸と略一致して外管が反射鏡内に配置されている反射鏡付高輝度放電ランプにおいて、前記外管トップ部に光を遮光または減光且つ拡散させる材料を塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
発光部からランプトップ部を透過する直接の光を減光且つ拡散する事が出来、グレア対策として照明器具に追加部品を設ける必要がない。
発光部からの光が発光部からトップ部までの間で複数回反射して外管外へ出て行く光によるグレアも防止できる。
【0022】
また発光部から出た光が塗布してある部分の外管を透過する際、直線透過率が高いとその光はグレアとなりやすいが、光を拡散する材料を塗布しているので、全体的な光透過率がある程度高くても光が散乱するため外管から出て行く光は拡散されて輝度が低くなりグレアとならない。
また器具の反射板に反射した光が該膜部に当たった場合にも、光を拡散する材料であるため、膜からの反射光は拡散されグレアを軽減できる。
【0023】
さらに、発光部からランプトップ部を透過する直接の光を減光且つ拡散する事が出来、グレア対策用の前面ガラスを設ける必要がないのでコストが安く、軽量化できる。仮に、前面ガラスをつける場合にも単純形状のガラスでよい。
PARランプのナロータイプと比較すると、対象物照射光を前面ガラスで拡散しないため本来対象物に届くべき光をすべて照射できる。
発光部からの光が発光部からトップ部までの間で複数回反射して外管外へ出て行く光によるグレアも防止できる。すなわち発光部から出た光が塗布してある部分の外管を透過する際、直線透過率が高いとその光はグレアとなりやすいが、光を拡散する材料を塗布しているので、全体的な光透過率を高くしてもそれぞれの光線は輝度が低くグレアとはならない。
【0024】
さらにまた、膜が白色のため可視光の全波長をほぼ均一に反射し、対象物に照射される光と同じ色調の光で周辺を照射することができる。そのためランプから出る光の全体的な利用率が上がる。
【0025】
さらに、本発明では、膜の塗布範囲を反射鏡との組合せによって変えることによって、店舗やオフィスの照明に用いた時、グレアを感じることなく利用できる。光の利用効率を高めたランプであるため、省エネにもつながる。
【0026】
本発明に係る放電ランプは、次のような効果も認められる。
一般に、塗布膜無しランプは、外管トップ部の肩形状や排気管を切り取った後の肉だまり部形状によって配光にムラができる。ランプ単体で壁などに向けて照射した時、ある種のランプでは肉だまり部の影が照射面中央部にでき、その周辺に光の輪ができる。また他のランプでは肩部分のガラス形状によるレンズ効果で照射面中央部に光が集中してしまう。しかし、拡散膜が塗布されていれば外管トップ部を通過する光を拡散させるため、照射面に照度の急変箇所ができなくなる。逆に塗布膜無しランプでは、前記肉溜まり部で屈折される輝度の高い光が器具の設計照射範囲外へ照射されグレアとなるが、拡散膜を塗布することで格段に軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下代表的な実施の形態を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明に係る高輝度放電ランプを使用したダウンライトの説明図である。
放電ランプ1はセラミック発光管2を用いたメタルハライドランプで定格電力は70W、発光管を気密に内包する外管3の全長85mm、外径15mm。光中心は電極の先端から2mmの位置である。
発光管は、発光部の両端部に外部リードが配置され、該発光管内には一対の電極を有している。該発光管が一方に給電部を有し、他方にトップ部を有する外管内に収容され、前記外管トップ部に光を減光且つ拡散する膜4を形成している。図中5はダウンライトに内蔵した反射鏡である。
【0029】
この膜は、耐熱性無機接着剤・被覆剤財を用いるのがよい。具体的には、日産化学工業株式会社製のボンドエックス、型番;C650B(ブラック);C600W(ホワイト)をディップ法によって塗膜した。膜厚は約100μmとした。
この膜は、少なくとも外管トップ部頂点から外管トップ側の発光部端部位置を半径方向に延長して外管と交わる位置までの範囲で塗布されている。
【0030】
発光部端部位置の説明図を図2に示す。図2(a)は発光部が略円筒形の形状を有する場合であり、発光管の外表面において円筒の端面が発光部端部となる。図2(b)は発光部と細管部が一体化された発光管を使用した場合であり、細管部外径が発光部に向かって拡径を始める位置が発光部端部となる。
【0031】
なお、照明器具(ダウンライト)は口径約80mmで15°配光の市販の器具を用いた。上記実施例以外に、類似品あるいは同等品用いることが出来る。
次に、本発明に係る高輝度放電ランプの作用・効果を確認するために行なった実験室内での実験結果について説明する。
【0032】
図3に示すように、実験室31は床面31a,壁面31b,天井面31cで構成され、天井面に図1に示すダウンライト32を取り付け、床面に対象物33を設置する。
ダウンライト内の放電ランプ(発光管の発光部)から放出された光は器具の設計どおりの放射角度(本実施例では15度)の範囲に広がっていく。この照射光Aが対象物照射光である。一方、器具によって制御できない光Bは散乱光として対象物照射光の照射範囲外にも広がっていく。また、対象物の33の表面の光の強度を対象物照度EAとし、壁面の所定範囲の光の強度を雰囲気照度EBと規定する。
【0033】
本発明のような拡散膜を有しないランプを同じ器具にセットすると、前記散乱光の輝度が高いため、近くにいる人々がグレアを感じることがある。
本発明によれば、散乱光はランプトップ部に塗布された拡散膜によって拡散され、目に優しい光となるためグレアを感じない。
光をほとんど透過しない材料で膜を構成した場合、膜は黒色に見える(前記ボンドエックスC650B)。この場合は散乱光の影響をごく小さくできる。ただし黒色膜は反射率も低いが、高輝度放電ランプからの光はたとえ反射率が数%であってもグレアとなりうるため、黒色膜の表面はいわゆる「つや消し」の状態で反射光をも拡散させるようになっている必要がある。
【0034】
光の透過率および反射率が高い材料で膜を構成し、特に可視光域の波長をほぼ均等になるようにした場合、膜は白色に見える(前記ボンドエックスC650W)。この場合は、器具の反射板から反射した光が膜によって拡散するため方向制御できない光が器具周辺に照射される。また外管内部の光も減光されつつ一部が膜を透過し、散乱光として外部に照射される。膜の直線透過率が高いと透過光はグレアとなりやすいが、光を拡散する材料を塗布しているので、全体的な光透過率がある程度高くても透過光は拡散され、その輝度は低くなるため外管から出て行く光はグレアとならない。このように本発明のランプでは、散乱光がすべて拡散光であるため、人間の目に入ってもグレアとならず、ほんのり明るい光と感じられる。
拡散膜付ランプの効果をまとめると下表のようになる。
【0035】
【表1】

【0036】
また、特定の分光透過率または分光反射率をもつ材料で膜を構成し、発光部からの光による対象物の色と拡散光による雰囲気の色を変える事ができる。
例えば暖色系の光を発する発光管に対し、波長の短い光を多く透過または反射する材料で膜を構成すると、対象物には暖色系の光が照射され、一方器具周辺には寒色系の光が照射されるため、遠くから見た時に対象物の暖かさが強調される。もちろん対象物を寒色系、雰囲気を暖色系とすることも容易である。
なお、散乱光は方向制御できないために当然対象物にも照射されるが、対象物に届く散乱光の強度は制御光よりはるかに低いため、対象物の色合いが散乱光の影響を受ける事はない。
【0037】
さらに、本発明の効果を確認するため以下の実験を行なった。
図1に示す照明器具に取り付けられる3種のランプを用意した。3種共通部分の寸法特性は上記したものと同じ(70W)。第1にランプトップ部に何も塗布しないもの。第2に黒色の膜を塗布したもの。最後に白色の膜を塗布したもの。これらを同一の照明器具に交互に設置してその配光特性を測定し、全方向の光度データを積分して全光束を計算した。なお、膜の塗布範囲は外管トップ部頂点から外管トップ側の発光部端部位置を半径方向に延長して外管と交わる位置までとした。この結果を図4(a),図4(b)に示す。
【0038】
3種のランプとも照射方向(0度方向)付近の光度はほぼ同じだった。
図4(a)に示すように何も塗布していないランプと比較すると、黒膜を塗布したランプでは照射方向から7.5度以上の角度で膜なしランプより光度が低くなり、15度以上では50%以上減光し、70度以上の方向では光度がゼロになった。
黒色の膜を塗布したランプは、何も塗布しないランプと比較して、全光束が20%減少した。しかし減少した部分は散乱光であり、対象物を照明するためには充分な特性となっている。スポット照明としてはOKである。
【0039】
一方で図4(b)に示すように白色の膜を塗布したランプは、何も塗布しないランプと比較して10度以上の範囲でわずかに輝度が低くなり、17.5度以上では30%以上の減光、37.5度以上では50%以上の減光、77度以上の方向で光度がゼロになった。
全光束は何も塗布しないランプと比較して9%の減少に止まった。黒色の膜を塗布したランプと比較して光束が11%多くなっている。この光束は器具の放射角度外に照射される散乱光で、スポット照明としては不要な光だが、拡散光として器具周囲の照明に利用され、雰囲気を明るくする。拡散光であるため、散乱光であってもグレアとはならない。
【0040】
次にこれらのランプを装着したスポットライトの輝度を測定するために、カメラによる輝度分布の測定を行った。結果を図5に示す。図5は鉛直角約60度から撮影したものであり、発光部は隠れ、ランプトップ部が見えるような角度である。図5aに示すように、黒い膜を塗布したランプを使用したスポットライトでは輝度は非常に低く、グレアが抑えられている事が明らかである。また図5bに示すように、何も塗布していないランプを使用したスポットライトは、ランプのトップ部の輝度が非常に高く、約86800CD/mである。特にランプトップ部の肉溜の部分は高い輝度を持っている事が分かる。そして図5cに示すように、白い膜を塗布したランプを使用したスポットライトは何も塗布していないランプと比較して、輝度の高い部分は減り、約12100CD/mであり、緩和されている。なお図5の輝度の値は400分の1の値で表示してある。
【0041】
上記した配光データ及び輝度測定から、何も塗布しない従来のタイプのランプを使用したスポットライトでは、膜を塗布したものと比較して、全光束は高い値を示すが、グレア光が問題となる。一方、グレア防止として、黒い膜を塗布したランプを使用したスポットライトは非常に有効的であったが、全光束は極端に落ちてしまい、効率の面から見ると好ましくない。白い膜を塗布したランプを使用したスポットライトはグレア防止にも効果があり、全光束の極端な低下もなく、良好であった。
【実施例2】
【0042】
上記3種のランプを使用して、図1のダウンライトに装着し、被験者がグレアを感じるか感じないかの実験を行った。高さ2.2m、奥行き5m、幅3mの空間の中に、このダウンライトを天井中央に配置し、被験者はダウンライト直下から1.2m離れた場所に立った状態で、ダウンライトを見て、グレアを感じるか否かの実験を行った。
被験者の目の高さが地上から1.4〜1.6mであるため、ダウンライトの位置は被験者から約27度〜34度上方に当たる。(鉛直角56〜63度)
実験の結果、従来の膜を塗布しないランプを用いた方の器具にグレアを感じると答えた被験者は30人中14人いたのに対し、本発明の黒膜または白膜を塗布したランプを用いた器具にグレアを感じた被験者はいなかった。しかし黒膜を使用した方が光の利用効率が下がるため、白い膜を使用するより雰囲気が暗く見えた。
【0043】
また、上記3種のランプをスポットライトの照明器具に入れ、2m離れたカップを照明して上記の30人にどれが最も好ましいか質問した。
【0044】
その結果、周囲の照明が充分明るい条件では黒色膜を塗布したランプが最も好ましいという意見が最多(16人)で白色膜を塗布したランプは9人、塗布無しランプが良いと答えた人が5人だった。
【0045】
ところが、周囲の照明を消してスポットライトのみの照明にすると、白色膜が最多(18人)となり、黒色膜は12人、塗布無しランプは0人となった。
【0046】
周囲が暗い場合はグレアを感じやすく、またグレアを含む散乱光を完全に抑えた黒色膜では対象物以外の部分が暗くなるため心理的に好ましくない影響を与えるので、本発明のランプが最も好ましいものとなる。このような場合に本発明は最大の効果を発揮できる。
なお、実施例としてランプの口金形状は2ピンベースを説明したが、ねじ込み式の口金をつけたランプであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明はダウンライトやスポットライトに使用する高輝度放電ランプまたは反射鏡付高輝度放電ランプに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る高輝度放電ランプをダウンライトに取り付けた場合の説明図
【図2】本発明に係るセラミックメタルハライドランプの外観図
【図3】本発明に係るランプの実験室内での照射光の説明図
【図4】本発明に係るランプの配光特性図
【図5a】黒膜を塗布したランプのカメラによる輝度分布測定図
【図5b】膜を塗布しないランプのカメラによる輝度分布測定図
【図5c】白膜を塗布したランプのカメラによる輝度分布測定図
【図6】従来技術のダウンライトの説明図
【図7】ハロゲンランプと高輝度放電ランプとの比較説明図
【図8】図8(a)は従来技術のランプ、図8(b)は本発明に係るランプの説明図
【図9】従来技術のPAR型ランプの説明図
【符号の説明】
【0049】
1 放電ランプ
2 発光管
3 外管
4 膜
5 反射鏡
31 実験室
31a 床面
31b 壁面
31c 天井面
32 ダウンライト
33 対象物
A 照射光
B 散乱光
EA 対象物照度
EB 雰囲気照度
61 照明器具
62 発光管
63 外管
64 高輝度放電ランプ
65 反射鏡
66 ソケット
67 保持金具
68 遮光キャップ
71 外管
72 発光部
73 封止部
74 口金
81 発光管
82 発光部
83 外管
91 反射鏡付ランプ
92 外管
93 反射鏡
94 前面ガラス
95 口金
96 発光管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管の発光部の両端部に外部リードが配置され、該発光管内には一対の電極を有し、該発光管が一方に給電部を有し、他方にトップ部を有する外管内に収容された高輝度放電ランプにおいて、前記外管トップ部に光を減光且つ拡散させる膜を有することを特徴とする高輝度放電ランプ。
【請求項2】
前記光を減光且つ拡散する膜は、明度が高く、可視光の全波長をほぼ均等に反射および/または拡散させることを特徴とする請求項1項に記載の高輝度放電ランプ。
【請求項3】
前記光を減光且つ拡散させる膜は、前記高輝度放電ランプの発光部から放出される光とは異なる色調の光を反射および/または拡散させることを特徴とする請求項1項または2項に記載の高輝度放電ランプ。
【請求項4】
前記膜は、外管トップ部頂点から外管トップ側の発光部端部位置を半径方向に延長して外管と交わる位置まで塗布されていることを特徴とする請求項1項ないし3項に記載の高輝度放電ランプ。
【請求項5】
発光管の発光部の両端部に外部リードが配置され、該発光管内には一対の電極を有し、該発光管は一方に給電部を有し、他方にトップ部を有する外管内に収容され、前記外管の中心軸は照明器具の反射鏡の中心軸と略一致して外管が反射鏡内に配置されている反射鏡付高輝度放電ランプにおいて、前記外管トップ部に光を遮光または減光且つ拡散させる材料を塗布することを特徴とする反射鏡付高輝度放電ランプ。
【請求項6】
前記光を遮光または減光且つ拡散させる膜は、可視光の全波長をほぼ均等に反射および/または拡散させることを特徴とする請求項5に記載の反射鏡付高輝度放電ランプ。
【請求項7】
前記光を遮光または減光且つ拡散させる膜は、前記高輝度放電ランプの発光部から放出される光とは異なる色調の光を反射および/または拡散させることを特徴とする請求項5項または6項に記載の反射鏡付高輝度放電ランプ。
【請求項8】
前記光を遮光または減光且つ拡散させる膜は、スポット光の設計角度外からランプを見たときに、グレアを感じない範囲に塗布されていることを特徴とする請求項5項ないし7項に記載の反射鏡付高輝度放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公開番号】特開2007−73461(P2007−73461A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261725(P2005−261725)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】