説明

高速炉の炉心構成要素,炉心燃料集合体、及び炉心並びに原子炉構造

【課題】
高速炉の炉心の出力増大に伴う制御棒価値の低下の防止と、万一の炉心損傷を想定した場合の再臨界性排除性確保と炉心サイズコンパクト化を両立する構造を提供する。
【解決手段】
高速炉のラッパ管8の軸中心に上部開放型の制御棒案内管6をラッパ管8と一体化して設け、制御棒案内管6とラッパ管8との間にワイヤースペーサを施した燃料要素7を複数本収納し、その制御棒案内管6に制御棒集合体を上部から出し入れ自在とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速炉の炉心構成要素,炉心燃料集合体、及び炉心並びに原子炉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高速増殖炉(Fast Breeder Reactor、略称としてFBRという。)の燃料集合体、炉心に関しては、平川直弘、岩崎智彦著「原子炉物理入門」(東北大学出版会、2003年10月30日、p279〜286)(非特許文献1)等に記載されている。
【0003】
すなわち、一般的に高速増殖炉の燃料集合体は、プルトニウム(Pu)を富化した劣化ウラン(U−238)を燃料棒被覆管に封入して束ねた燃料棒束と、これを取り囲むラッパ管、燃料棒束より上方にある冷却材流出部、および燃料棒束の下方にある中性子遮蔽体と冷却材流入部(エントランスノズル)より構成される。
【0004】
炉心は、上記の燃料集合体を円柱状に多数束ねて形成され、標準的な均質炉心の場合、Pu富化度は半径方向に2領域配置され、炉心の周辺側に装荷する燃料集合体のPu富化度を、中心寄りに装荷する燃料集合体のPu富化度よりも高くして、半径方向の出力分布を平坦化している。
【0005】
燃料の形態としては、これ迄、金属,窒化物,酸化物等が検討されているが、酸化物燃料が最も実績が豊富である。その場合、燃料棒被覆管の軸方向中心位置にはPuと劣化Uの酸化物を混合した混合酸化物、すなわちMOX燃料のペレットが80〜100cm程度の高さ領域に充填され、その上下位置には劣化Uの酸化物UO2燃料のペレットを充填した軸方向ブランケット領域が設けられる。
【0006】
またMOX燃料を充填した燃料棒から構成される燃料集合体を配置した炉心領域の周辺に、劣化ウランの酸化物UO2燃料ペレットのみを充填した燃料棒のみで構成されるブランケット燃料集合体を装荷する径方向ブランケット領域が設けられる。
【0007】
ブランケット領域では、炉心領域の核分裂反応で発生した中性子のうち、炉心領域から漏れ出た中性子がU−238に吸収されて核分裂核種Pu−239が生成され、炉心全体のPuの増殖(増殖比>1.0)に寄与する。また、炉の起動・停止時及び出力を変える場合には制御棒が用いられる。
【0008】
制御棒は、炭化ホウ素(B4C)ペレットをステンレス製の被覆管に封入して束ね、炉心燃料集合体と同様に正六角形のラッパに収納される。主炉停止系と後備炉停止系の独立2系統構成となっており、いずれか1方のみで緊急停止が可能となるよう設計される。
【0009】
FBRの安全性においては、大型炉の場合炉心部のボイド反応度が正である点や、高富化度のPuが用いられることから、仮想的な炉心損傷事象に対する再臨界回避性が議論される場合がある。
【0010】
すなわち、スクラム失敗とポンプの故障や外電喪失による冷却材流量喪失事象が仮に同時に発生したとしても、炉心の即発臨界やそれに伴う大規模な損傷が回避できること、すなわち再臨界回避性が確保される必要がある。再臨界回避についてはいくつかの方策が提案されている。
【0011】
一例が、ケー・コバヤシ他5名による「APPLICABILITY EVALUATION OF MOX FUELED FAST BREEDER REACTOR TO THE SELF-CONSISTENT NUCLEAR ENERGY SYSTEM」(Proceedings of International Conference on Future Nuclear Systems (GLOBAL97)、Vol.2、1997年10月5−10日、pp.1062〜1067)(非特許文献2)のp.1066、Fig.5に示されている。
【0012】
この文献では、炉心燃料集合体の軸中心に内部ダクトを設け、内部ダクト上方に劣化ウランを低融点合金で吊るしておき、万一の事故時に冷却材温度の炉心出口温度が上昇すると上記低融点合金が溶けて、劣化ウランが炉心燃料領域迄落下し、Puを希釈して再臨界を回避するものである。
【0013】
【特許文献1】特開平11−94974号公報
【非特許文献1】平川直弘、岩崎智彦著、原子炉物理入門:東北大学出版会(2003年10月30日)
【非特許文献2】APPLICABILITY EVALUATION OF MOX FUELED FAST BREEDER REACTOR TO THE SELF-CONSISTENT NUCLEAR ENERGY SYSTEM」(Proceedings of International Conference on Future Nuclear Systems (GLOBAL97)、Vol.2、1997年10月5−10日、pp.1062〜1067)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
非特許文献1で示されるように、従来のFBRでは、図2のごとく、Puを燃料とする炉心燃料集合体21,22と同じ集合体ピッチ202で六角形状の制御棒案内管26が設けられ、反応度の制御は、案内管に炭化ホウ素(B4C)を内包した制御棒要素29を円筒形の管201内で束ねた制御棒集合体を炉心に出し入れして行われる。一般にFBRの炉心燃料集合体ピッチは、炉心の出力増大に伴って大きくなる傾向があるが、上述した様に制御棒案内管のピッチも大きくする必要がある。
【0015】
ところが、制御棒のピッチが大きくなると、炉心燃料領域の核分裂で発生した中性子が、半径方向中心よりの制御棒要素に届きにくくなる。すなわち、炉心燃料集合体数に対して、同じ割合の制御棒を挿入した場合の炉心の反応度低下割合(:制御棒価値=(制御棒全引抜時の中性子実効増倍率−当該制御棒を挿入した時の中性子実効増倍率)/制御棒全引抜時の中性子実効増倍率、[Δk/k])は小さくなる傾向となる。
【0016】
他方、非特許文献2に記載のように万一の炉心損傷を想定した場合の再臨界性を排除してFBRの安全性をより向上させる場合、炉心燃料集合体の軸中心に溶融燃料を排出するための内部ダクトを設ける必要がある。すなわち、炉心燃料集合体内部に燃料棒がない領域を設けるので内部ダクトを設けない炉心と比べて、同じ燃料装荷量に対する燃料集合体ピッチや炉心サイズが大きくなる。燃料集合体ピッチが大きくなると、上述したように制御棒のピッチが大きくなり、更に制御棒価値が小さくなる。
【0017】
本発明の目的は、炉心の出力増大に伴う制御棒価値の低下の防止と、万一の炉心損傷を想定した場合の再臨界性排除のために炉心燃料集合体内部に設置する内部ダクトによる炉心サイズの増加を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した目的を達成するため本発明では、以下の(1)〜(5)を提案する。
【0019】
(1)六角断面形状を有し、プルトニウムなどの核分裂性物質を含む燃料物質を封入した燃料要素を束ねた燃料要素束を内包するラッパ管の軸中心に制御棒案内管を設け、上方から前記制御棒案内管に制御棒集合体を出し入れ可能なように上方開放型とし、燃料棒に巻きつけるワイヤー方式のスペーサによって隣接する燃料棒同士及び前期燃料要素束の最外周の燃料棒とラッパ管内面及前期燃料要素束の最内周と前期制御棒案内管外面の間隔を保持したことを特徴とした高速炉の炉心燃料集合体構造とする。
【0020】
(2)(1)記載の炉心燃料集合体と、ウラン−238を主成分とした劣化ウランを含む燃料物質を封入した燃料要素を束ねたブランケット燃料要素を内包するラッパ管より構成されるブランケット燃料集合体を装荷し、(1)記載の制御棒案内管に、制御棒集合体を出し入れして、炉心の反応度や原子炉出力を制御することを特徴とする高速炉の炉心とする。
【0021】
(3)(2)に記載の高速炉の炉心において、(1)記載の炉心燃料集合体を差し込んで保持するための2枚の炉心支持板を連結管で繋ぎ、前記2枚の炉心支持板に挟まれた領域を1次冷却系入口配管からの高温の冷却材を流入させる高圧プレナム領域とし、前記2枚の炉心支持板のうち、下側の下部支持板に設けた流出孔から前記高圧プレナム領域の冷却材の一部を流出させ、前記下部支持板下方に低圧プレナム領域を設け、前記2枚の支持板に挿入した炉心燃料集合体の冷却材流入孔のうち、側部の流入孔には前記高圧プレナムの冷却材を流入させて、(1)記載の燃料要素束を冷却し、前記炉心燃料集合体先端には、(1)記載の制御棒案内管につながる流入孔から低圧プレナム領域からの圧力が低い冷却材を流入させたことを特徴とする高速炉の燃料集合体及び原子炉構造とする。
【0022】
(4)隣接する(1)記載の炉心燃料集合体7体に挿入する7体の制御棒集合体をクラスター状に束ね、一つの制御棒駆動機構と連結して同時に(1)記載の制御棒案内管に出し入れ可能とし、燃料集合体交換時には、前記7体の炉心燃料集合体に挿入した7体の制御棒集合体を切り離し、前記炉心燃料集合体の制御棒案内管に、制御棒要素を挿入したまま、前記炉心燃料集合体が燃料交換可能な高速炉とする。
【0023】
(5)高速炉の炉心に装荷されるラッパ管の軸中心に、上方から制御棒集合体を出し入れ可能な制御棒案内管を装備した炉心構成要素が、燃料要素を制御棒案内管外周面とラッパ管内周面との間に入れる容器として採用される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、炉心の出力が増大した場合に、制御棒集合体のピッチ増大に伴う制御棒価値の低下を抑制し、さらに万一の炉心損傷を想定した場合の再臨界回避を達成することによる安全性の向上と炉心径縮小による経済性向上を両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明を実施するための最良の形態を図1,図2を用いて説明する。図1(a)は本実施の形態になる発明の炉心燃料集合体1を装荷したFBRの1/2炉心の水平断面を示す図である。電気出力は150万kWe級の大型FBRを想定している。
【0026】
図1(b)は本実施の形態になる炉心燃料集合体1の水平断面を示す図であり、7はPuを主要な燃料物質とする燃料棒(燃料要素とも言う。)、6は炉心燃料集合体1内部に設けた制御棒の案内管(制御棒案内管とも言う。)、8はそれらを内包した高速炉のラッパ管である。そのラッパ管8は、中空な六角形の断面を有している。
【0027】
燃料棒7は図には示していないが、金属製のワイヤーがスペーサとして巻かれ、そのワイヤー方式のスペーサによって、燃料棒間、燃料棒と制御棒案内管外側面及び燃料棒とラッパ管内側面との間隔が保持されている。制御棒案内管6及びラッパ管8はいずれもステンレス鋼製で、制御棒案内管6の肉厚はラッパ管8の肉厚よりも薄い。
【0028】
一方、本炉心燃料集合体1を装荷するFBRの炉心9は、Pu富化度が低い内側炉心燃料集合体1を装荷する内側炉心領域,Pu富化度が高い外側炉心燃料集合体2を装荷する外側炉心領域,劣化ウランを燃料物質とするブランケット燃料集合体3を装荷するブランケット領域、及びB4Cを用いる遮へい体4とステンレス鋼のみで作られる遮へい体5よりなる遮へい体領域より構成される。
【0029】
他方、従来のFBRの炉心燃料集合体、制御棒集合体及び炉心の構造を図2に示す。従来のFBRでは、Puを燃料とする炉心燃料集合体21,22と同じ集合体ピッチ202で六角形状の制御棒案内管26が設けられ、反応度の制御は、案内管にB4Cを内包した制御棒要素29を円筒形の管201内で束ねた制御棒集合体を炉心に出し入れして行われる。
【0030】
一般にFBRの炉心燃料集合体ピッチは、炉心の出力増大に伴って大きくなる傾向があるが、上述した様に制御棒案内管のピッチも大きくする必要がある。ところが、制御棒のピッチが大きくなると、炉心燃料領域の核分裂で発生した中性子が、半径方向中心よりの制御棒要素に届きにくくなる。
【0031】
すなわち、炉心燃料集合体数に対して、同じ割合の制御棒を挿入した場合の炉心の反応度低下割合(:制御棒価値=(制御棒全引抜時の中性子実効増倍率−当該制御棒を挿入した時の中性子実効増倍率)/制御棒全引抜時の中性子実効増倍率、[Δk/k])は小さくなる傾向となる。本実施の形態では図1に示すように、制御棒集合体のサイズは炉心燃料集合体ピッチより小さいので、従来のFBRである図2の制御棒集合体のピッチより小さい。従って、炉心に挿入するB4Cの総量が同じ場合、図1に示す本発明のFBRの全制御棒価値が、図2に示す従来のFBRと較べて大きく出来る。
【0032】
また、外部電源喪失に伴う炉心流量の低下とスクラム失敗を重畳した極端な事故を想定した場合、炉心損傷が発生する可能性がある。この場合、本実施の形態においては、制御棒案内管6の肉厚がラッパ管8の肉厚よりも薄く設定してあるので、溶融した燃料はラッパ管よりも先に制御棒案内管を溶融し、炉心領域の下方に排出される。
【0033】
すなわち、ラッパ管の溶融により、燃料の損傷が隣接燃料集合体に伝播し、大規模炉心損傷に至る事象の発生を防止できるので、本実施の形態では、万一の炉心損傷を想定した場合においても、炉心が再臨界することを回避でき、従来のFBRと較べて安全性が向上する。更に、(非特許文献2)に示される再臨界回避方策のように、制御棒とは別に炉心燃料集合体内部に溶融燃料排出経路を設ける場合と比べて、本発明では制御棒案内管と溶融燃料排出経路を兼ね備える構造としているので、炉心全体のサイズのコンパクト化も実現できる。
【0034】
本発明になる第二の実施の形態を、図3,図5を用いて説明する。図3(a)は本実施の形態になる炉心燃料集合体の制御棒案内管6に中性子吸収材B4Cのペレットを封入した制御棒要素を束ねた制御棒集合体201を挿入した状態の水平断面を示す図であり、図3(b)は垂直断面を示す図である。また図3(c)は垂直断面の下部構造の詳細図である。図(c)において、31,32は炉心燃料集合体を支持し、その重量を支えるための上部および下部支持板であり、33はそれらの連結管である。
【0035】
また、図5は本実施の形態になる原子炉の全体図である。炉心52を内包する原子炉容器51は、1次系の主配管57を介して、1次系ポンプ55及び中間熱交換器56と連結されている。ポンプから送り出された冷却材ナトリウム36は炉心を支持する支持板31と32の間に形成される高圧プレナム領域53に流入する。炉心出口からの高温の液体金属ナトリウム59は、原子炉容器の上部プレナム領域58を経て中間熱交換器56に流れ込こみ(60)、2次系のナトリウム62と図には示していない中間熱交換器内の伝熱管を介してポンプ側に流出する(61)。
【0036】
図3に示す支持板31と32の間に形成した高圧プレナムを介し、炉心燃料集合体下部に設けた開口部と、さらに集合体内下部の燃料支持部材30に設けた開口部を経て燃料要素間を上方に流れて燃料要素内部の核分裂反応で発生した熱および崩壊熱を除熱する。下部支持板35には細い空隙35が設けられ、高圧プレナムに流入した冷却材ナトリウム36の一部が下部支持板35下方の低圧プレナムに流出する(37)。
【0037】
先の空隙を通過する際に、圧力損失により動圧が低下し低圧となった状態で、制御棒案内管6の下方の流入口から上方に流入する。すなわち、図(b)に示すように、発熱量が高くかつ燃料要素による流動抵抗が多い領域には高圧プレナムからの冷却材ナトリウム36aが流入し、発熱量が低く、かつ燃料要素領域よりも流動抵抗が小さな制御棒集合体領域には低圧プレナムからの冷却材ナトリウム37aが流入する。
【0038】
図(d)は制御棒案内管に挿入した制御棒集合体を引き抜いた状態の水平断面図である。図(e)は万一の炉心損傷を想定して、炉心燃料溶融が発生した状態を示す垂直断面図である。
【0039】
本実施の形態では、上述したように制御棒案内管領域に流入する冷却材の圧力が燃料要素領域に流入する圧力よりも低いため、通常時の制御棒案内管からの無駄流量を減らせると共に、炉心損傷想定時の溶融燃料を低圧プレナム領域に確実に排出できる利点を有する。
【0040】
本発明になる第3の実施の形態を図4を用いて説明する。本実施の形態においては、図4(b)に示すように、隣接する7体の集合体に挿入する制御棒集合体201を、中心の1つの制御棒駆動41で駆動する。各制御棒集合体は駆動機構と連結装置42で繋がれており、燃料交換時には連結装置42と制御棒集合体は切り離される。
【0041】
従って、燃料交換時には燃料集合体に制御棒集合体が挿入されたまま、炉外に取り出すことによって、未臨界性が確保される。本実施の形態では、隣接7体の炉心燃料集合体1を1つの駆動機構で駆動する構造を示したが、炉停止能力が確保できる範囲で減らす事や、逆に増やす事も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、高速炉の原子炉炉心の構成に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図にして、(a)図は、炉心燃料集合体を装荷したFBRの炉心の1/2領域の水平断面を示す図、(b)図は、(a)図における炉心燃料集合体の水平断面図である。
【図2】従来例を示す図にして、(a)図は、炉心燃料集合体を装荷したFBRの炉心の1/2領域の水平断面を示す図、(b)図は、(a)図における炉心燃料集合体の水平断面図、(c)図は、(a)図における制御棒集合体の水平断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す図にして、(a)図は、制御棒集合体が挿入された状態のFBRの炉心燃料集合体の水平断面図、(b)図は、(a)図の縦断面図、(c)図は、炉心支持板への炉心燃料集合体の差込状態を示した縦断面図、(d)図は、制御棒集合体が挿入されていない状態のFBRの炉心燃料集合体の水平断面図、(e)図は、(d)図の縦断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す図にして、(a)図は、炉心燃料集合体を装荷したFBRの炉心の1/2領域の水平断面を示す図、(b)図は、(a)図における炉心に制御棒集合体を挿入している状態での炉心燃料集合体と制御棒集合体との位置関係を部分的に示した平面図、(c)図は、(a)図におけるA−A断面図である。
【図5】本発明が適用される高速炉システムの構造説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 内側炉心用の炉心燃料集合体
2 外側炉心燃料集合体
3 径方向ブランケット燃料集合体
4 B4Cを装荷した遮へい体
5 ステンレス鋼製の遮へい体
6 制御棒案内管
7 燃料要素
8 ラッパ管
9 本発明の第1の実施の形態になるFBRの炉心
20 従来のFBRの炉心水平断面
21 従来のFBRの内側炉心燃料
22 外側炉心燃料
23 径ブランケット燃料
24 SUS遮へい体
25 B4C遮へい体
31 上部支持板
32 下部支持板
33 連結管
34 高圧プレナムナトリウム流入孔
35 低圧プレナムナトリウム流出孔
36 高温のナトリウム流
37 低圧プレナムナトリウム流入孔
38 燃料損傷箇所の模式図
39 溶融排出燃料
41 制御棒駆動機構
42 連結装置
51 原子炉容器
52 炉心垂直断面
53 高圧プレナム領域
54,58 低圧プレナム領域
55 1次系ポンプ
56 中間熱交換器
57 1次系配管
59 高温出口ナトリウム
60 中間熱交換器に流入する1次系ナトリウム
61 中間熱交換器から流出する1次系ナトリウム
62 中間熱交換器に流入する2次系ナトリウム
63 中間熱交換器から流出する2次系ナトリウム
64 ポンプに流入する1次系ナトリウム
65 炉上部機構
66 遮へいプラグ
201 制御棒集合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速炉の炉心に装荷されるラッパ管の軸中心に、上方から制御棒集合体を出し入れ可能な制御棒案内管を装備した炉心構成要素。
【請求項2】
核分裂性物質を含む燃料物質を封入した燃料要素を束ねた燃料要素束を内包する高速炉のラッパ管と、
前記ラッパ管の軸中心に、上方から制御棒集合体を出し入れ可能なように上方を開放して設けられた制御棒案内管とを備え、
前記燃料要素に巻きつけたワイヤー方式のスペーサによって隣接する前記燃料要素同士及び前記燃料要素束の最外周に位置する前記燃料要素と前記ラッパ管内面、及び前記燃料要素束の最内周に位置する前記燃料要素と前記制御棒案内管外面の間隔を保持したことを特徴とする高速炉の炉心燃料集合体。
【請求項3】
制御棒集合体が炉心に挿入される位置に位置させた請求項2に記載の炉心燃料集合体と、ウラン−238を主成分とした劣化ウランを含む燃料物質を封入した燃料要素を束ねたブランケット燃料要素を内包する高速炉のラッパ管より構成されるブランケット燃料集合体と、が装荷された高速炉の炉心。
【請求項4】
請求項3に記載の高速炉の炉心と、
前記炉心燃料集合体を差し込んで保持するための少なくとも上下2枚の炉心支持板と、
前記各炉心支持板を上下に間隔を開けて繋ぐ連結管と、
前記2枚の炉心支持板に挟まれた領域を前記高速炉の1次冷却系入口配管からの冷却材を流入させる高圧プレナム領域として備え、
前記各炉心支持板のうち、下側の下部支持板に設けた流出孔から前記高圧プレナム領域の冷却材の一部を流出させる流路を備え、
前記下部支持板の下方に前記高圧プレナム領域よりも低圧な冷却材が存在する低圧プレナム領域を備え、
前記各支持板に挿入した前記炉心燃料集合体の前記炉心支持板に差し込まれた部分の側部と前記制御棒案内管の下部に設けた各冷却材流入孔を備え、
各冷却材流入孔のうち、側部の流入孔は、前記高圧プレナム領域の冷却材を前記燃料集合体の燃料要素束を冷却するように流入するように、及び前記下部の流入孔は、前記制御棒案内管に低圧プレナム領域の冷却材を流入するように、各プレナム領域の冷却材が通る流路を構成していることを特徴とした高速炉の原子炉構造。
【請求項5】
請求項4に記載の高速炉の原子炉構造において、
前記炉心に装備された前記炉心燃料集合体の内の隣接する前記炉心燃料集合体7体に挿入する7体の制御棒集合体をクラスター状に束ね、
前記クラスター状に束ねた前記各制御棒集合体を前記制御棒案内管に同時に出し入れ可能に連結した前記各制御棒集合体に共通の制御棒駆動機構と、
前記炉心燃料集合体の交換時に、前記7体の炉心燃料集合体に挿入した前記7体の制御棒集合体を個別に切り離して、前記制御棒案内管に、前記制御棒集合体を挿入したまま、前記燃料集合体を交換自在に構成した高速炉の原子炉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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