説明

高齢者擬似体験装具

【課題】肘関節の屈伸動作に加えて、前腕部のねじり運動にも負荷を与えることができるようにする。
【解決手段】シリンダ部52,53に対してロッド部54が摺動自在かつ回転自在とされた往復動式のトルクダンパ51L、51Rが左右一対設けられる。シリンダ部52,53が自在継手56を介して上腕部に対して個々独立して揺動自在に取付けられる。ロッド部54の先端部が、中央側自在継手62,、端部側自在継手64を介して、前腕部に揺動自在に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高齢者擬似体験装具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者の筋力低下に伴う不自由さを健康な若年齢者に擬似的に体験させるための高齢者擬似体験装具(インスタントシニアあるいはシニアシュミレータとも呼ばれる)が種々提案されている。従来の高齢者擬似体験装具にあっては、関節の動きに抵抗を与えるサポータ形式のものが多く(例えば特許文献1,特許文献2参照)、また歩行の不便さを疑似体験するために、スキーブーツのような形状とされて足首を固定する装具も提案されている(例えば特特許文献3報参照)。さらに、身体をほぼ全体的に覆う密着式のスーツの関節部に動作制限部を設けて、この動作制限部の制限度合いを変更するものも開示されているが(特許文献4参照)、この動作制限部の具体的な構造は開示されていない。
【特許文献1】特許第2742045号公報
【特許文献2】特許第2880948号公報
【特許文献3】特開平10−123928号公報
【特許文献4】特開平10−340039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、高齢者といっても、65歳程度の比較的若年層に近い者から80歳以上というように平均寿命を越える者まで相当な年齢幅があり、筋力等の低下度合いが相当に異なるものである。また、高齢者擬似体験装具を装着する若年者においても、その筋力等に相当の相違がある。この一方、従来の高齢者擬似体験装具では、大きな年齢幅つまり筋力の大きな相違に対合して適切に高齢者擬似体験を得ることは不可能であった。
【0004】
また、従来の高齢者擬似体験装具では、曲げと伸ばしという屈伸動作に負荷を与えるだけのものであり、ねじり運動に適切に負荷を与えるものは事実上提案されていなかった。すなわち、腕にあっては、その肘関節において屈伸動作が行われると共に、肘関節に連なる前腕部においてかなり大きなねじり運動が行われることになるが、従来は、この腕のねじり運動に負荷を与えて高齢者擬似体験を得ることのできるものは提案されていなかった。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされもので、その目的は、肘関節の屈伸動作に加えて、前腕部のねじり運動にも負荷を与えることができるようにした高齢者擬似体験装具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
第1ベース部材と、
第2ベース部材と、
前記第1ベース部材を人体の上腕部に着脱自在に固定するための第1固定具と、
前記第2ベース部材を人体の前腕部に着脱自在に固定するための第2固定具と、
それぞれシリンダ部と該シリンダ部に摺動自在かつ回転可能とされたロッド部とを含み、該ロッド部のシリンダ部に対する摺動に応じて抵抗力を発生する左右一対の往復動型のトルクダンパと、
前記左右一対のシリンダ部を互いに間隔をあけて、前記第1ベース部材に対して自在継手を介して揺動自在に保持するための第1保持手段と、
前記左右一対のロッド部材の先端部を、互いに間隔をあけて、自在継手を介して前記第2ベース部材に対して揺動自在に保持するための第2保持手段と、
を備えたものとされている。上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、肘関節の屈伸運動時は勿論のこと、前腕部のねじり運動時にあっても、ロッド部がシリンダ部に対して摺動されて抵抗力が発生され、腕用の高齢者擬似体験装具として極めて好適なものが提供される。また、ダンパであるので、腕が動作されているときにのみ抵抗力を発生することになり、動作のないときに不要に抵抗力を発生してしまうこともない。さらに、ロッド部の先端部は、当該ロッド部のシリンダ部に対する摺動に応じて不用意に前方つまり手首側に伸張しないので、ロッド部が手首側の動きの邪魔となってしまうような事態も防止される。
【0008】
請求項2によれば、各保持手段によるトルクダンパ装置のより具体的な保持手法が提供される。
請求項3によれば、各シリンダ部での抵抗力発生方向を所定の一方向の摺動方向のみというように簡単なものとしつつ、全体として両方向への摺動について抵抗力を発生させて、膝関節の屈伸運動および前腕部の左右のねじり運動の全ての動作について抵抗力を与えることができる。
請求項4によれば、トルクダンパの抵抗力を調整することによって、高齢者の年齢差や被験者の体力差に対応して、つまり腕の筋力の相違に対応して、適切に高齢者擬似体験を得ることができる。
【0009】
請求項5によれば、肘関節の屈伸位置および前腕部のねじり位置が所定の基準位置にあるときに、左右一対のロッド部の先端部位置を所定の原点位置に確実に復帰させる上で好ましいものとなる。
請求項6によれば、高齢化に伴う握力の低下をスプリングを利用して疑似体験させることが可能となる。
請求項7によれば、シリンダ部が、不用意に肘関節に接近する方向にずれてしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図9は、関節特に膝関節の屈伸運動に抵抗を与えるための抵抗力調整式の高齢者擬似体験装具を示すものであり、人体への装着状態が図18〜図20に示される。まず、図1、図4において、1は第1ステー部材、2は第2ステー部材である。各ステー部材1,2は、それぞれ細長棒状に形成されており、例えばアルミニウム合金やステンレス等の金属あるいは硬質の合成樹脂によって大きな剛性を有するようにされて、容易には曲げ変形しないようにされている(実施形態ではステンレスのチャネル材により形成)。
【0011】
第1ステー部材1は、成人の平均的な太股部(大腿部)の長さよりも若干短い程度の長さとされている。また、第2ステー部材2は、成人の平均的な膝下部(下腿部)の長さよりも若干短い長さとされるが、この膝下部の長さは個人差が大きいことを勘案して、長さ調整可能とされている。長さ調整可能とされた第2ステー部材2は、図4、図5にも示すように、第1部材2Aと第1部材2Aに摺動自在に嵌合、連結された第2部材2Bとを有する。所望長さ位置で第1部材2Aと第2部材2Bとをロックしておくために、ロック機構2Cが設けられている。このロック機構2Cは、第1部材2Aの内面にその長手方向に所定ピッチ毎に形成された係止段部2aと、第2部材2Bに保持されて係止段部1aに係脱される係止爪部(図示略)と、第2部材2Bに保持されて係止爪部を係止段部1aに係脱操作するための操作部2bとを有する。この操作部2bは、ロック位置とアンロック位置との間で若干のスライド動が可能とされて、アンロック位置とされたときに、係止爪部の係止段部2aに対する係合が解除されて第2ステー部材2の長さ調整が可能とされ(第1部材2Aと第2部材2Bとがスライド可能)、ロック位置とされたときに係止爪部が係止段部2aに係合されて第2ステー部材2の長さが固定される(第2部材2Aと第2部材2Bとのスライド動が規制される)。このような長さ調整式とされた両部材2A、2Bは、ロック機構2Cを含めて、市販品を用いることができる(例えばタキゲン製造株式会社製で、商品名自在ストップステー)。
【0012】
第1ステー部材1と第2ステー部材2との端部同士が、かしめ固定されたピン3(図9参照)を中心として揺動自在に連結される。より具体的には、第2ステー部材2の一端部(上端部)に、ピン3を介して短い中間ステー部材4の中間部が回動自在に連結され、この中間ステー部材4の各端部がねじ5によって第1ステー部材1の端部に固定される(ねじ5が、第1ステー部材1の下端部に形成されたねじ孔1aに螺合)。
【0013】
第2ステー部材2の端部(上端部)には、第1取付軸6が台座部材7を介して一体化されている。この第1取付軸6は、両ステー部材1と2の揺動中心となるピン3と同一軸線上に位置するように設定されている。なお、図5,図6、図9、において、この揺動中心を一点鎖線でもってかつ符号αを付して示してある。この第1取付軸6は、断面異形とされているが、実施形態では、断面円形の軸部材を径方向に2分割するように軸方向全長に渡って伸びるすり割6aを有する形状とされている。一方、第1ステー部材1には、上記第1取付軸6近傍の偏心した位置において、第2取付軸8が一体化されている。この第2取付軸8は、第1取付軸6と平行で、かつ第1取付軸6よりも若干長くされている。このような第2取付軸8は、実質的にボルト部材によって形成されて、その外周には雄ねじ部8aを有する。
【0014】
前記両取付軸6、8を利用して、回転式のトルクダンパ本体10が着脱自在に取付けられる。このトルクダンパ本体10は、全体的にディスク状とされて、ロータとなる内部材11と、内部材11をその中心部分を残して囲むケース部材となる外部材12とを有し、外部材11内には所定粘度のオイルが封入されている。このようなトルクダンパ本体10は、内部材11と外部材12とが相対回転されたとき、オイルの粘性によって抵抗力が発生される。なお、抵抗力の大きさは、オイルの粘度と、両部材11と12との対向面積の大きさと、両部材11と12との対向間隙の大きさとによって決定される。実施形態では、トルクダンパ本体10としては、内部材11と外部材12との相対回転速度が大きいほど発生抵抗力が大きくなるものを用いているが、回転速度の大きさにかかわらず発生抵抗力の大きさを一定(ほぼ一定)のものを用いることもできる。なお、このようなトルクダンパ本体10は、市販品を用いることができる(例えば不二精器(株)製で、商品名ディスクダンパ)。
【0015】
トルクダンパ本体10の内部材11には、前記第1取付軸6が抜き差し可能に挿通される第1取付孔11aが形成されている。また、外部材12には取付ステー13がねじ14によって固定され、この取付ステー13には、前記第2取付軸8が抜き差し可能に挿通される第2取付孔13a、及び第1取付軸6が挿通される貫通孔13bが形成されている。トルクダンパ本体10を各取付軸6、8へ装着した後、第2取付軸8にはロック手段を構成するロックナット15が螺合されて、トルクダンパ本体10の取付軸6、8からの抜けが防止される。なお、第2取付軸8の先端部には、袋ナット16が螺合されて、トルクダンパ本体10の取付軸6、8からのより一層の抜け防止が図られると共に、取付軸8の先端部に丸みがつけられる(鋭利な部分が直接外部に露出することの防止)。
【0016】
互いに揺動自在に連結されている両ステー部材1、2に対して前述のようにトルクダンパ本体10を装着した状態で、両ステー部材1と2とがピン3を中心として揺動されたときを考える。このとき、外部材12は第1ステー部材1に対して相対回転されるのが規制されているため、内部材11が第2ステー部材2の第1ステー部材1に対する揺動に伴ってピン3(第1取付軸6)を中心として外部材12に対して相対回転することになり、これにより抵抗力が発生される。
【0017】
前記各取付軸6、8の長さは、トルクダンパ本体10を複数個(実施形態では4個)同時に装着できる長さに設定されている。このような各取付軸6、8とトルクダンパ本体10等によって、手動によって抵抗力の大きさが変更可能なトルクダンパ装置が構成される。すなわち、互いに発生抵抗力の相違するトルクダンパ本体10をあらかじめ複数個(例えば4個)用意して、その中から1個〜4個(最大装着個数)の範囲で選択して装着することにより、発生抵抗力の大きさを大きな範囲で変更することができる。具体的には、トルクダンパ本体10として、例えば回転速度が毎分20回転のときを前提として、抵抗力の大きさが20、30、50、70kgf・cmのものをそれぞれ複数個用意して、これらを1〜3個組み合わせることによって20〜210kgf・cmの抵抗力を段階的に選択することができる。
【0018】
図1、図2、図5に示すように、前記第2ステー部材2の他端部、つまり第1ステー部材1への連結部とは反対側端部となる下端部には、底部材21がボルト、ナット等の固定具22によって連結されている(連結は、回動可能な連結でもよく、あるいは回動不能な連結のいずれでもよい)。この底部材21は金属板を曲げ加工することによりあるいは合成樹脂によって、十分な剛性を有するように形成されている。この底部材21は、上下方向に伸びて上端部が第2ステー部材2に連結される縦壁部21aと、縦壁部21aの下端より略直角に折曲されて伸びる底壁部21bを有する。底壁部21bは、丁度靴底のような機能を果たして、被験者の足裏が着座される。そして、底部材21には、被験者の足に対して底部材21をしっかりと固定するために、長さ調整可能な締め付けベルト23(図5,図18、図20参照で、図1、図2では図示略)が設けられている。なお、図5に示すように、底部材の底壁部21bの上面および下面には、ゴム板等からなるすべり止め部材24が固定されている。
【0019】
前記第1ステー部材1は、被験者の太股部に着脱自在に取付けられる。このため、図1に示すように、第1ステー部材1には、第1固定具31が装備される。この第1固定具は、大別して、上下方向に太幅とされたシート状の巻掛け部材32と、細幅とされた長さ調整可能とされた上下一対の締め付けベルト33とからなる。巻掛け部材32は、その一端部にベルクロファスナの一方側係合部32aが一体化され、その他端部に一方側係合部32aが剥離自在に係合される他方側係合部32bが一体化されている。巻掛け部材32を被験者の太股部外周に巻き付けた状態で、両係合部32aと32bとを係合させることにより、太股部への巻き付け状態が維持される。
【0020】
前記締め付けベルト33は、非使用時は、非環状の細長い状態とされており、その一端部に固定されたバックル33aに、他端部に固定されたタング33bを差し込むことにより環状とされた係合状態となる。巻掛け部材32を被験者の太股部に巻き付けた状態で、タング33bをバックル33aに係合させた後、その長さ(環状状態での長さ)が短くなるように調整することにより、ベルト33による太股部への締め付けが行われる(図18〜図20参照)。
【0021】
再び図1において、第1ステー部材1は、そのほぼ全長に渡って、巻掛け部材32に固定されているが(例えばねじ固定、別途固定用の内張部材を用いた固定等)、その下端部は、巻掛け部材32に形成されたポケット部32cに挿入される(図3参照)。このポケット部32cは、上方のみが開口された袋状とするために、巻掛け部材32の本体部材に対して内張り部材32dが別途装着されており、第1ステー部材1の下端部を当該ポケット部32cに挿入した状態で、図9に示すように、内張部材32dが中間ステー部材4と第1ステー部材1とで挟持された状態で、ねじ5により共締めされる。なお、図5、図6では、内張部材32dは図示略としてある。
【0022】
図2に特に詳細に示すように、第2ステー部材2を膝下部に固定するために、第2固定具35が設けられる。この第2固定具35も、第1固定具32と同様に、大別して、上下方向に太幅とされたシート状の巻掛け部材36と、細幅とされた長さ調整可能とされた上下一対の締め付けベルト37とからなる。巻掛け部材36は、その一端部にベルクロファスナの一方側係合部36aが一体化され、その他端部に一方側係合部36aが剥離自在に係合される他方側係合部36bが一体化されている。巻掛け部材36を被験者の膝下部外周に巻き付けた状態で、両係合部36aと36bとを係合させることにより、膝下部への巻き付け状態が維持される。
【0023】
締め付けベルト37は、前述した締め付けベルト33と実質的に同様の構造となっており、非使用時は非環状の細長い状態とされており、その一端部に固定されたバックル37aに、他端部に固定されたタング37bを差し込むことにより環状とされた係合状態となる。巻掛け部材36を被験者の膝下部に巻き付けた状態で、タング37bをバックル37aに係合させた後、その長さ(環状状態での長さ)が短くなるように調整することにより、ベルト37による膝下部への締め付けが行われる(図18〜図20参照)。なお、被験者に装着された状態で下方へのずり落ちを防止するために、図1に示すように、第1ステー部材1の上端部には、後述するジャケット部材への連結のために、連結ベルト18が連結され、連結ベルト18の先端部には、ジャケット部材の係合部に着脱自在に係合される係合部19が設けられている。
【0024】
次に、図10〜図16を参照しつつ、腕の肘関節の屈伸運動および前腕部のねじり運動に対して抵抗力を与えるための高齢者擬似体験装具について説明する。まず、41は第1ベース部材、42は第2ベース部材である。第1ベース部材41は、第1固定具43によって、上腕部に着脱自在に取付けられる。第2ベース部材42は、第2固定具44によって、前腕部に着脱自在に取付けられる。
【0025】
各ベース部材41、42はそれぞれ、金属あるいは硬質合成樹脂によって大きな剛性を有するように板状に形成されている。第1ベース部材41は上腕部に密着して装着されるように、また第2ベース部材42は前腕部に密着して装着されるように、それぞれ若干左右方向(腕周り方向)に湾曲形成されている(図13,図14参照)。
【0026】
第1固定具43は、シート状の巻掛け部材45と、長さ調整可能な締め付けベルト46とから構成されている。同様に、第2固定具44も、シート状の巻掛け部材47と、長さ調整可能な締め付けベルト48とから構成されている。巻掛け部材45、47は、前述した巻掛け部材32,36と実質的に同じように構成されており、ベルクロファスナ構成のための第1係合部が符号45aあるいは47aで示され、第2係合部が符号45bあるいは47bによって示される。同様に、締め付けベルト46、48も、前述したベルト33、37と実質的に同様に構成されており、そのバックルが符号46aあるいは48aで示され、タングが符号46bあるいは48bで示される。なお、第1ベース部材41の第1固定具43への取付、および第2ベース部材42の第2固定具44への取付けは、例えばねじ固定、別途固定用の内張部材を用いた固定等、適宜の手法によってなし得る。
【0027】
両ベース部材41と42とに渡って、左右一対の往復動式のトルクダンパ51L、51Rが架設されている。この各トルクダンパ51L、51Rは、前後一対の2つのシリンダ部52、53と、該シリンダ部52,53を摺動自在かつ回転自在に貫通する1本のロッド部54とを有する。ロッド部54のシリンダ部52,53に対する摺動に応じて抵抗力が発生される。シリンダ部52,53は、ロッド部54の所定の一方向の摺動時のみ抵抗力を発生するものとされて、互いに抵抗力発生方向が反対方向となるように設定されている。すなわち、例えばロッド部54の後方向への摺動時にはシリンダ部52のみが抵抗力を発生し、ロッド部54の前方向の摺動時にはシリンダ部53のみが抵抗力を発生するように設定されている。抵抗力の大きさを手動調整する調整ダイアル52a、53aが、シリンダ部52,53の端部に設けられている。前後一対の調整ダイアル52a、53aは、回転操作されるもので、シリンダ部52,53を間に挟むような位置に設定されており、調整ダイアル52a、53aの周囲空間が極力大きく開けた状態となるようにされている。なお、上述のような往復動型のトルクダンパ51L、51Rは、市販品を用いることができる(例えばタキゲン製造株式会社製で、商品名フリクションステー)。
【0028】
各シリンダ部52,53は、第1ベース部材41に対して、自在継手を介して互いに独立して揺動自在に連結されている。すなわち、第1ベース部材41に、左右方向に所定間隔あけて左右一対の支軸55が立設され、この支軸55の上端部に、自在継手56を介して横方向に短く伸びる横軸57が保持されている。左右一対の横軸57は、互いに左右反対方向に伸びている。この横軸57の先端部には、前後方向(腕の長手方向)に長く伸びる取付ブラケット58が一体化され、この取付ブラケット58に対して、ねじ59によって前後一対のシリンダ部52,53が一体化されている。これにより、各シリンダ部52,53は、自在継手56によって、任意の方向に揺動自在とされる(所定の垂直面、水平面つまり肘の曲げ方向および前腕部のねじり方向に対してそれぞれ揺動自在)。なお、自在継手56は、後述する他の自在継手と同様に、ユニバーサルジョイント、球面継手等その名称を問わず、シリンダ部52,53を任意の方向(球面周りで、360度方向、つまり肘の曲げ方向および前腕部のねじり方向)に揺動自在とするものであれば、特にその構造には限定されないものである。
【0029】
左右一対のロッド部54の第2ベース部材42に対する取付けも、自在継手を介して行われる。すなわち、第2ベース部材42の左右方向略中間部には、1本の共通支軸61が立設され、この共通支軸61の上端部に、中央側自在継手62を介して、左右方向に伸びる保持軸63の略中間部が揺動自在に保持されている。この保持軸63の左右端部に、端部側自在継手64を介して、左右のロッド部54の先端部が揺動自在に連結されている。
【0030】
図10において、被験者の手に装着される手袋が符号71で示される。この手袋71は、その5本の指覆い部71a〜71eが、指の第1関節付近までは覆うがそれから先の部分は覆わないように短くされている。各指部71a〜71eには、スプリング取付用の取付孔部72a〜72eが形成されている。各取付孔部72a〜72eのうち、親指用の取付孔部72eを除いて、小指、薬指、中指、人差し指用の4個の各取付孔部72a〜72dと前記保持軸63とが、コイルスプリング73によって個々独立して連結されている。より具体的には、小指と薬指用の取付孔孔部72a、72bに連結されたスプリング73は、保持軸63のうち、中央側自在継手62よりも左側部分(小指側部分)に連結されている。また、中指と人差し指用の取付孔孔部72c、72dに連結されたスプリング73は、保持軸63のうち、中央側自在継手62よりも右側部分(親指側部分)に連結されている。
【0031】
以上のような腕用の高齢者擬似体験装具が、被験者に装着された状態が、図15,図16の他、図18〜図20に示される。腕がまっすぐに伸ばされた図15において、スプリング73によって、保持軸63が、腕に対して左右方向に伸びる原点位置にあるように復帰付勢される。指を曲げ操作することにより、スプリング73の抵抗力によって、握力の低下が擬似体験される。図15の状態から、肘を曲げると、左右一対のトルクダンパ51L、51Rのそれぞれにおいて、ロッド部54がシリンダ部52,53に対して摺動されて、抵抗力が発生される。すなわち、シリンダ部52,53からのロッド部54の後方への突出量が、左側のトルクダンパ51Lについては小さくなるように、また、右側のトルクダンパ51Rにあっては突出量が大きくなるように摺動が行われる。図16の状態から図15の状態への復帰するときも、摺動が行われて、抵抗力が発生される。
【0032】
図15の状態から、実線矢印で示すように前腕部を左側(小指側)へねじり運動すると、実線矢印で示すようにシリンダ部52,53に対してロッド部54が摺動して、抵抗力が発生される。同様に、図15の状態から、破線矢印で示すように前腕部を右側(親指側)へねじり運動すると、破線矢印で示すようにシリンダ部52,53に対してロッド部54が摺動して、抵抗力が発生される。図16の状態から前腕部をねじり運動しても、同様に抵抗力が発生される。肘や前腕部を静止しているときは、摺動が行われないので、抵抗力の発生がない。
【0033】
肘の屈伸運動、前腕部のねじり運度の場合共に、シリンダ部52,53に対してロッド部54が回転可能とされていること、および自在継手56,62,64による揺動の自由度の高さによって、抵抗力発生のための摺動を得つつ、肘の円滑な屈伸運動および前腕部の円滑なねじり運動を行うことができる。
【0034】
図17は、前述した脚用および腕用の高齢者擬似体験装具、特に図1〜図9の脚用の高齢者擬似体験装具と共に使用されて、その所定の装着状態を確実に維持するために用いられるジャケット部材91を示す。このジャケット部材91は、被験者の上半身に装着されるもので、胴部巻掛け部92と、左右一対の肩掛け部93とを有する。胴部巻掛け部92は、長さ調整式の締め付けベルト94によって、被験者の胴部にきつく巻き付けられる。なお、ベルト94は、そのバックル94aにタング94bを係合させて環状にした状態で、長さを短くすることによりきつい締め付け状態を得る。
【0035】
左右一対の肩掛け部93は、長さ調整式のベルトによって実質的に形成され、被験者の胴体後部で互いに交差するようにされており、胴部巻掛け部92を被験者の胴体に巻き付けた状態で、被験者の肩を跨いでその前部と後部とを連結するように設定されている。胴部巻掛け部92の側部には、脚用の高齢者擬似体験装具における第1ステー部材1をつり下げ支持するために、左右一対のつり下げベルト95が連結されている。このつり下げベルト95の下端部にはフック状の係合部96が設けられ、第1ステー部材1に連結された連結ベルト18の係合部19(図1参照)が、上記係合部96に着脱自在に係合されるようになっている(係合状態を示す図20をも参照)。
【0036】
なお、腕用の高齢者擬似体験装具を、ジャケット部材91に連結してもよく、この場合は、図10に示すように、前記第1ベース部材41に、両端部が自由端部とされた連結ベルト61を連結して、この連結ベルトの各端部に、ジャケット部材91に設けた係合部(図17では示されない)へ着脱自在に係合される係合部62を設けておけばよい。
【0037】
図18〜図20は、各高齢者擬似体験装具をジャケット部材91と共に、被験者に装着された状態を示す。脚用の高齢者擬似体験装具にあっては、その底部材21を足に装着しつつ、第1ステー部材1が固定具31を利用して被験者の太股部に取付けられ、第2ステー部材2が固定具35を利用して被験者の膝下部に取付けられ、この取付に際しては、両ステー部材1、2およびトルクダンパ本体10が、それぞれ脚の外側方に位置するようにされる。また、トルクダンパ本体10が丁度膝関節の側方に位置されるように、第2ステー部材2の長さ調整が行われる。さらに、第1ステー部材1が、連結ベルト18を利用してジャケット部材91に連結されて、トルクダンパ本体10が、膝関節位置よりも下方へ大きく移動してしまう事態がより確実に防止される。
【0038】
脚用の高齢者擬似体験装具にあっては、膝の屈伸量に応じて両ステー部材1と2とが揺動され、これによりトルクダンパ本体10の内部材11が外部材12に対して相対回転されて、抵抗力が発生される。トルクダンパ本体10による抵抗力発生は、膝が屈伸運動されている最中のみとされ、膝を曲げたままで静止、あるいは伸ばしたまま静止されているときは抵抗力が発生されない。高齢者の年齢の相違に応じて、あるいは被験者の体力の相違に応じて、トルクダンパ本体10を発生抵抗力の大きさが相違するものに変更することにより、あるいは使用するトルクダンパ本体10の個数を変更することにより、膝関節の屈伸に伴う発生抵抗力の大きさを、大きな範囲でもって変更することができる。
【0039】
一方、腕用の高齢者擬似体験装具にあっては、第1ベース部材41が固定具43によって被験者の上腕部に取付けられ、第2ベース部材42が固定具44によって被験者の前腕部に取付けられる。また、手袋71が被験者の手、指に装着される(スプリング73の装着)。さらに必要に応じて、連結ベルト61を利用して、第1ベース部材41をジャケット部材91に連結する等により、第1ベース部材41が手首側へ不用意に移動しないようにされる。
【0040】
腕用の高齢者擬似体験装具にあっては、指を曲げたとき(親指を除く)、スプリング73の付勢力が抵抗となって、握力の低下が擬似体験される。図15に示すように肘を曲げたとき、あるいは図16に示すように前腕部をねじり操作したとき、ロッド部54がシリンダ部52,53に摺動して抵抗力が発生される。高齢者の年齢の相違に応じて、をあるいは被験者の体力の相違に応じて、調整ダイアル52a、53aを操作することにより発生抵抗力の大きさが変更される。腕の筋力は脚の筋力に比して十分小さいため、調整ダイアル52a,53aによる抵抗力調整の範囲でもって、広範囲な年齢幅(筋力の相違幅)に対応できる。
【0041】
図21、図22は、図1〜図9に示す高齢者擬似体験装具において、膝関節の所定の位置方向の曲げのときにのみ、抵抗力を発生させるようにしたものであり、図1〜図9に示す部材に対応した部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。本実施形態では、第2ステー部材2と第1取付軸6との間にワンウェイクラッチ81を介在させて、第2ステー部材2の第1ステー部材1に対する所定の一方向の揺動のときにのみ、当該第2ステー部材2の揺動に伴って第1取付軸6が回動されるようにしたものである。
【0042】
上記ワンウェイクラッチ81を構成するため、第1取付軸6が第2ステー部材2に対して所定の抵抗力をもって回転自在に保持される一方、第1取付軸6その基端部には、ラチェット歯車82が一体化されている。第2ステー部材2には、上記ラチェット歯車82を取り囲むように、ケース部材83が固定されている。このケース部材83には、ラチェット歯車82に向けてその直径方向から進退自在として係合部材84が保持されると共に、この係合部材84をラチェット歯車82に向けて付勢するスプリング85が保持されている。
【0043】
図22において、第2ステー部材2が図中時計方向に揺動されたときを考える。このとき、ラチェット歯車82は、係合部材84を介して、第2ステー部材2の揺動に伴って回転されることになる。つまり、第2ステー部材2の揺動に伴って第1取付軸6が回転されて、トルクダンパ本体10による抵抗力発生が行われる。逆に、第2ステー部材2が図22中反時計方向に回転されたときは、係合部材84はラチェット歯車82周面を滑りつつ進退動されるだけで、ラチェット歯車82の回転、つまり第1取付軸6の回転が防止されて、トルクダンパ本体10による抵抗力発生が行われない状態となる。なお、膝の曲げあるいは伸ばしのいずれの方向に抵抗力を発生させるかは任意に選択できるが、膝の伸ばし時に抵抗力発生を行うように設定するのが好ましい(膝の曲げとなる座るときは上体の荷重を利用して容易に行われる一方、膝の伸ばしとなる立ち上がり時は上体の荷重に抗して行う必要があることを勘案)。
【0044】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。脚用、腕用の各高齢者擬似体験装具共に、ジャケット部材91を別途用いないで使用することもでき、またジャケット部材91としては、肩掛け部を有するものであれば、適宜の形状のものを採択することができる。
【0045】
図1〜図9の高齢者擬似体験装具において、脚用に限らず、腕の肘関節用として、あるいは腰の関節用として用いることもできる。トルクダンパ本体10としては、トルクダンパ本体10に設けられた手動操作される抵抗力調整用部材を操作することにより抵抗力調整が可能なものを用いることができる。トルクダンパ本体10としては、回転式に限らず、例えばシリンダ式つまり往復動式のものを用いることができる(この場合、両ステー部材1と2との揺動連結部を挟んで、その一方にシリンダ部を回動自在に連結し、その他方にピストンロッド部を回動自在に連結すればよい)。もっとも、回転式のトルクダンパを用いる方が、全体としてコンパクトになり、かつ両ステー部材1と2とがほぼ一直線上となった状態からでも確実に揺動つまり抵抗力を得ることができる等の観点から好ましいものとなる。トルクダンパ本体10の内部材11(第1取付軸6)を第1ステー部材1側に設け、外部材12(第2取付軸8)を第2ステー部材2側に設けることもできる。固定具31(35)は、巻掛け部材32(36)とベルト33(37)のうち、いずれか一方のみとすることもできる。底部材21の形状を、スキーブーツ式のように足首の動きに大きな制約を与える形状とすることもできる。また、底部材21を別途用いないようにすることもできる。
【0046】
図10〜図16に示す腕用の高齢者擬似体験装具において、シリンダ部52,53を第2ベース部材42側に連結する一方、ロッド部54の先端部を第1ベース部材41側に設けることもできる。ただし、この場合は、シリンダ部52,53からの前方へ(手の指先側へ)向けてのロッド部54の突出量がかなり大きくなって、ロッド部54が手作業を行う上で邪魔になりやすいことを勘案して、実施形態のようにシリンダ部52,53を第1ベース部材41側へ設けるのが好ましいものとなる。左右一対のシリンダ部52,53を、個々独立した自在継手を介して第1ベース部材41に連結することなく、左右共通の自在継手を介して第1ベース部材41に連結してもよい。左右一対のロッド部54を、共通の自在継手62を用いることなく、左右個々独立した自在継手64のみを介して第2ベース部材42に連結することもできる。シリンダ部52,53、ロッド部54先端部のベース部材に対する連結を、自在継手を用いることなく行うことも考えれるが、この場合は、肘関節の円滑な屈伸や前腕部の円滑なねじりを阻害する要因となるので、自在継手を介した連結を採択するのが好ましいものとなる。一端部が保持軸63に連結されたスプリング73の他端部を、手袋71ではなく、当該保持軸63が取付けられている第2ベース部材42に連結するようにしてもよい(この場合は、手指による握り操作に抵抗力を与えることができない)。スプリング73を別途設けないようにすることも可能ではあるが、保持軸63を所定の原点位置(図15に示す腕をまっすぐにした状態で、左右方向に伸びる位置状態)に強制復帰させるという観点から、スプリング73を設ける方が好ましいものである。ロッド部54を長さ調整可能として、被験者の前腕部の長さの相違に対応できるようにすることもできる。ロッド部54は、シリンダ部52、53を貫通することなく、テレスコピック式にシリンダ部からその一端部側へのみ延長されている形式のものとすることができる(特に、ロッド部54の伸縮動の両方向にそれぞれ抵抗力を発生する形式の場合で、シリンダ部としては52あるいは53の一方のみとすることができる)。
【0047】
各種部材は、その機能の上位表現に手段の名称を付して表現することができる。また、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】脚用の高齢者擬似体験装具を示す全体平面図。
【図2】図1のうち、第2ステー部材およびその固定具部分を詳細に示す図。
【図3】図1のうち、第1ステー部材の下端部とその固定具との取付関係を示す図。
【図4】図1のうち、第1ステー部材と第2ステー部材とトルクダンパ本体とをとり出して示す図。
【図5】第1ステー部材と第2ステー部材と底部材とを側方から示すと共に、トルクダンパ本体をステー部材から取外した状態で示す図。
【図6】第1ステー部材と第2ステー部材とトルクダンパ本体との取付部分の詳細を側方から示す図。
【図7】トルクダンパ本体とその取付ステーとを示す平面図。
【図8】トルクダンパ本体と各取付軸とを示す一部断面図。
【図9】第1ステー部材と第2ステー部材とを直交させた状態で、その連結部分を詳細に示す分解側面断面図。
【図10】腕用の高齢者擬似体験装具を示す全体平面図。
【図11】図10の状態から、固定具と手袋とを除外して示す図。
【図12】図11の側面図。
【図13】第1ベース部材へのシリンダ部の取付状態を示すもので、図11の上方から見たときの図。
【図14】第2ベース部材へのロッド部の取付状態をしめすもので、図11の下方から見たときの図。
【図15】図10の高齢者擬似体験装具を腕に装着した状態を示す平面図。
【図16】図15の状態から、肘を曲げたときの状態を示す平面図。
【図17】ジャケット部材の一例を示す正面図。
【図18】各高齢者擬似体験装具とジャケット部材とを被験者に装着したときの正面図。
【図19】図18の背面図。
【図20】図18の側面図。
【図21】図1に示す高齢者擬似体験装具の別の実施形態を示す要部断面図で、所定の一方向の揺動のときにのみ抵抗力を発生させる機構の一例を示す図。
【図22】図21の平面断面図。
【符号の説明】
【0049】
α:揺動中心線
1:第1ステー部材
2:第2ステー部材
2A:第1部材
2B:第2部材
2C:ロック機構
2b:操作部材(ロック・アンロック切換用)
3:ピン(連結部で、揺動中心)
6:第1取付軸
8:第2取付軸
10:トルクダンパ本体
11:内部材
12:外部材
15:ロックナット
18:連結ベルト
21:底部材
31:第1固定具
32:巻掛け部材
33:締め付けベルト
35:第2固定具
36:巻掛け部材
37:締め付けベルト
41:第1ベース部材
42:第2ベース部材
43:第1固定具
44:第2固定具
45:巻掛け部材
46:締め付けベルト
47:巻掛け部材
48:締め付けベルト
51L、51R:左右一対の往復動式トルクダンパ
52,53:前後一対のシリンダ部
54:ロッド部
56:自在継手
62:中央側自在継手
63:保持軸
64:端部側自在継手
71:手袋
73:スプリング
81:ワンウェイクラッチ
91:ジャケット部材
93:肩掛け部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベース部材と、
第2ベース部材と、
前記第1ベース部材を人体の上腕部に着脱自在に固定するための第1固定具と、
前記第2ベース部材を人体の前腕部に着脱自在に固定するための第2固定具と、
それぞれシリンダ部と該シリンダ部に摺動自在かつ回転可能とされたロッド部とを含み、該ロッド部のシリンダ部に対する摺動に応じて抵抗力を発生する左右一対の往復動型のトルクダンパと、
前記左右一対のシリンダ部を互いに間隔をあけて、前記第1ベース部材に対して自在継手を介して揺動自在に保持するための第1保持手段と、
前記左右一対のロッド部材の先端部を、互いに間隔をあけて、自在継手を介して前記第2ベース部材に対して揺動自在に保持するための第2保持手段と、
を備えていることを特徴とする高齢者擬似体験装具。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1保持手段が、前記左右一対のシリンダ部を前記第1ベース部材に対して個々独立して揺動自在に保持するように、左右一対設けられており、
前記第2保持手段が、前記第2ベース部材にその中間部が中央側自在継手を介して揺動自在に保持された保持軸を有し、
前記保持軸の左右端部に、前記左右一対のロッド部材の先端部が端部側自在継手を介して揺動自在に連結されている、
ことを特徴とする高齢者擬似体験装具。
【請求項3】
請求項2において、
前記左右のシリンダ部がそれぞれ、直列に配設された前後一対設けられ、
前記前後一対のシリンダ部での抵抗力発生方向が、前記ロッド部の摺動方向において互いに逆方向となるようにされている、
ことを特徴とする高齢者擬似体験装具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記左右一対のシリンダ部における抵抗力の大きさがそれぞれ調整可能とされている、ことを特徴とする高齢者擬似体験装具。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記保持軸が腕方向とほぼ直交する所定方向に伸びるように復帰付勢するスプリングをさらに備えている、ことを特徴とする高齢者擬似体験装具。
【請求項6】
請求項5において、
手袋をさらに備えると共に、前記スプリングが左右に隔置して複数本設けられ、
前記保持軸のうち前記中央側自在継手を境として小指側となる左側部分と、前記手袋のうち指の第1関節が位置される付近となる複数の特定位置のうち左側部分とが、前記複数のスプリングのうち一部のスプリングによって連結され、
前記保持軸のうち前記中央側自在継手を境として親指側となる右側部分と、前記複数の特定位置のうち右側部分とが、前記複数のスプリングのうち前記一部のスプリング以外となる他のスプリングによって連結されている、
ことを特徴とする高齢者擬似体験装具。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記第1ベース部材を人体の肩部に連結して、該第1ベース部材が下方へ変位するのを規制する吊りベルトをさらに備えている、ことを特徴とする高齢者擬似体験装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−287289(P2008−287289A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209531(P2008−209531)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【分割の表示】特願平11−331197の分割
【原出願日】平成11年11月22日(1999.11.22)
【出願人】(501267357)独立行政法人建築研究所 (28)
【Fターム(参考)】