説明

鮮度保持シート

【課題】何回も洗濯を繰り返して使用する場合でも鮮度保持効果の減衰しない鮮度保持シートを提供する。
【解決手段】生肉,鮮魚,野菜等の鮮度保持用に使用されるシート2であって、このシート2は、不織布,紙類の柔軟性のある素材で構成され、この素材の繊維に銀のナノ粒子が浸透固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生肉,鮮魚,野菜等の鮮度を保持するために使用される鮮度保持シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の鮮度を良好に保持できる鮮度保持用シートとして、例えば特許文献1に開示されているようなものが存在する。
【特許文献1】特開平7−17581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の鮮度保持用シートでは、鮮度保持用シートを洗濯等して何回も再使用する場合に、含有された鮮度保持成分が流出し、鮮度保持効果が減衰してしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、洗濯等をしても鮮度保持効果の減衰しない鮮度保持用のシートを提供することを目的の1つとし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、生肉,鮮魚,野菜等の鮮度保持用に使用されるシートであって、該シートは、不織布,紙類の柔軟性のある素材で構成され、該素材の繊維に銀のナノ粒子が浸透固着されていることである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の鮮度保持シートでは、シートを構成する不織布,紙類の繊維に銀のナノ粒子が強固に浸透固着されており、シートを洗濯しても、固着されている銀のナノ粒子が流出することがなく、長期間鮮度保持効果を持続することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
本実施例の鮮度保持シートは、図1に示すような製造装置を用いて製造される。
図において、製造装置のセット部1に、不織布2の原反巻きをセットする。この不織布2は、綿100%の不織布で、例えば800mm程度の幅寸法を有し、不織布2の原反巻きは、紙管に1800m程度の長さのものが巻着されたものである。
【0007】
このように不織布2の原反巻きをセット部1に回転可能にセットし、不織布2を上ローラー3aと下ローラー3b間に挟み込んで、順次略水平に引き出してゆく。この下ローラー3bの下方には、例えば水槽4等を設けておき、上ローラー3aと下ローラー3b間に挟まれて下流側へ引き出される不織布2を湿らせることができるものである。
引き出された不織布2は、ガイドローラー5から、反時計方向に回転する浸漬ローラー6を介し下方側に向かって導かれ、浸漬ローラー6の下方に設置されている銀イオン電解液槽7内に不織布2が浸漬される。
【0008】
この銀イオン電解液槽7内には、100〜500倍の水による希釈率の銀のナノ粒子が分散状に存在し、銀のナノ粒子は、例えば粒子径3nm〜100nmの粒子で構成されている。
なお、このような銀のナノ粒子は、例えば特開2006−213955号公報に開示されているような製造方法で製造された銀の粒子粉末である。
【0009】
浸漬ローラー6の回転に従って、浸漬ローラー6の外周の不織布2は銀イオン電解液槽7内の銀イオン電解液に所謂ドブ漬けされ、この時に、不織布2を構成する繊維に銀のナノ粒子が浸透し、1個所に銀のナノ粒子が集積することなく、銀のナノ粒子が不織布2の繊維全体に良好に分散された状態で浸透される。
【0010】
このように不織布2の繊維全体に銀のナノ粒子を浸透させて固着させた状態で、下流側に設けられている絞り上ローラー8aと絞り下ローラー8b間に不織布2が挟持されて、このローラー8a,8b間で不織布2が絞り力を受けて絞られ、その後に、下流側の乾燥装置9内に不織布2が導入される。
この乾燥装置9内では、内部に例えば13個所に熱源が配置されて、下流側へ不織布2が移動する間に不織布2を構成する繊維が良好に乾燥され、繊維に浸透固着されている銀のナノ粒子がこの乾燥装置9を通ることで定着されることとなる。
【0011】
なお、この乾燥装置9では、不織布2の厚みや種類や寸法等に応じて乾燥時間を適正に制御できるように構成されており、不織布2の繊維に浸透固着された銀のナノ粒子が確実に定着されるように制御される。乾燥装置9の下流側には、巻取り部10が設けられており、この巻取り部10で不織布2は巻き取られることとなる。
なお、巻き取られた不織布2は、その後、例えば400mm×400mm程度の寸法に切断加工される。
【0012】
このようにして繊維全体に分散させて銀のナノ粒子を浸透固着させ、かつ強固に定着させて不織布2製の鮮度保持シートを得ることができ、このようにして得られた鮮度保持シートは、例えば洗濯を50〜100回繰り返しても浸透固着された銀のナノ粒子が脱落することがなく、長期間の再使用においても銀イオンによる鮮度保持効果が持続されるものである。
【0013】
なお、本例では、綿100%の不織布2を用いて鮮度保持シートを形成した場合を例示しているが、不織布2に代えて、繊維組織を有する柔軟性のある紙類で鮮度保持シートを形成させても良く、図1に示したような製造装置で、紙類においてもその繊維全体に分散させて良好に銀のナノ粒子を浸透固着させ、かつ定着させることができるものである。
【0014】
このようにして得られた鮮度保持シートは、例えば生肉,鮮魚,野菜等の冷凍,冷蔵保存時に、この鮮度保持シートで包むか、或いは生肉等の下に鮮度保持シートを敷設したり、生肉等の上面に直接触れるように鮮度保持シートを被せることにより、良好に生肉等の鮮度保持ができるものである。
【0015】
このように鮮度保持シートに直接生肉等の食材が当たるようにして鮮度保持シートを使用し、更には水分の蒸発を防ぐために密閉容器内に入れて、密閉容器の底に鮮度保持シートを敷き詰める等して使用することができ、また、食材をこの鮮度保持シートで包んで、更にその外側をラップで包んで密閉するようにして使用することもできるものである。
特に、鮨ネタの保存などには、トレイに鮮度保持シートを敷き、その上に鮨ネタを置く等して保存ができるものである。
更には、大型のマグロ等を大寸法の鮮度保持シートでその全体を包み込んで、鮮度保持状態で良好に輸送することができるものである。
食材を包んだ状態において、野菜等では銀イオンによる鮮度保持効果によりエチレンガスの発生が少なくなり、また、良好に酸化を防止できるものである。
【0016】
なお、本例の鮮度保持シートは、財団法人日本紡績検査協会の試験では、殺菌活性値が3.0以上となっており、また、静菌活性値は5.5以上の試験結果が得られており、特に、食中毒と悪臭の原因菌である黄色ぶどう球菌の減菌率が99.9%であり、優れた抗菌力が確保されている。
また、肺炎などの原因菌である肺炎桿菌に対しても減菌率が99.9%の試験結果が得られている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】鮮度保持シートの製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0018】
1 セット部
2 不織布
3a,3b ローラー
6 浸漬ローラー
7 銀イオン電解液槽
8a,8b 絞りローラー
9 乾燥装置
10 巻取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生肉,鮮魚,野菜等の鮮度保持用に使用されるシートであって、
該シートは、
不織布,紙類の柔軟性のある素材で構成され、該素材の繊維に、銀のナノ粒子が浸透固着されている
ことを特徴とする鮮度保持シート。

【図1】
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【公開番号】特開2009−201440(P2009−201440A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48736(P2008−48736)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(594044808)株式会社神堂 (2)
【Fターム(参考)】