説明

鮮度保持フィルム材

【課題】 収納若しくは包被包着が簡便で、収納若しくは包被包着された商品が視認でき、且長期に亘り鮮度保持が可能な鮮度保持フィルム材を提供する。
【解決手段】 全体が透明性と柔軟性及び実用使用強力を保持し、僅かな透湿性を有する透湿フィルムに、ガスバリヤー性と且吸水性を保持するフィルムの下面にシリカゲル若しくは合成ゼオライトに鮮度維持材が担持され塗着された鮮度維持フィルムが積合され、而も透湿フィルムの上面には感圧接合層及び鮮度維持フィルムの下面には感圧接合薄層が一体的に積層形成され、包被包着により鮮度保持を図る鮮度保持フィルム材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚介類畜肉類若しくは果実や野菜類の鮮度を長期に亘って保持しえ、且簡便な密封の可能な鮮度保持フィルム材に関する。
【背景技術】
【0002】
包装分野にはプラスチックフィルムが多量に使用され、その素材としてはポリエチレンを初めポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエステル或いはアセテート類が使用されているが、近年に至ってはそれぞれの素材の特性を生かす方向に進んでおり、且その包装形態も著しく多様化した傾向にある。
そして包装用プラスチックフィルムの使用途としては食品包装が最も多く、次いで繊維製品や雑貨の包装、医薬品包装等の軽包装と、且肥料やセメント、食塩や砂糖等の重包装用として使用されている。
【0003】
ところで包装用フィルム材に必要な性質としては、包装内容物を保護する本来的目的のほかに、使用者にとって使い易く且見た目にも美しく販売促進に役立つ機能が要請される。即ち包装内容物の保護性は輸送、貯蔵、陳列など生産から消費される間、商品を変質や破損しないよう保護することであるから、引張り強さや引裂き強さ或いは耐磨耗性等の物理的強さが必要であり、更に湿気や水、酸素、ガス或いは紫外線等に対するバリヤー性や、温湿度変化や薬品等に対しての安定性と且衛生的にも無臭無害であることが望まれる。
加えて食品包装においては、包装時の簡便な作業性や密封性等の作業性の他、包装商品の鮮度や萎れ具合等を即時に確認しえる透明性も要請されるとともに、当然に価格的安価さも重要となる。
【0004】
そこで現状の食品包装は、菓子類の如く量産化され安価なものでは、防湿性を有するポリプロピレンフィルムと加熱シール性を有するポリエチレンフィルムとのラミネートフィルム材で製袋し、所要量を収納のうえ加熱シールさせたものや、油を含む菓子類では酸化防止のうえからポリプロピレンフィルムにアルミ箔を積層し且その内面にポリエチレンフィルムを配したラミネートフィルム材で製袋させたものが使用され、更には商品が視認できるよう透明なポリエチレンとポリプロピレン若しくはセルロースフィルムによるラミネートフィルム材で製袋したもの等が用いられている。
【0005】
他方食塩や砂糖等或いは穀類等では収納重量も多重であるから十分な厚さと強力で、且防水性や防湿性を有する塩化ビニルやポリエチレン若しくはポリプロピレンフィルム材で所要の収納容量に製袋のうえ、開口部に設けたファスナーで収納密閉させ、若しくは開口部を縫合若しくは加熱シールさせて使用している。
【0006】
反面野菜や果実及び魚介類や畜肉は高価なうえ、多量の水分と炭水化物、蛋白質、脂質等、細菌類や微生物の栄養源を保有するとともに、これら生体内には酵素が多種に亘って存在するものであって、魚介類や畜肉類では該酵素の活動により死後硬直から軟化及び自己消化へと変性されて、外形上の色調や艶、張りの滅失が急速に進み、且自己消化に伴い付着菌類や微生物類の急激な繁殖が増長されて腐敗が短期に招来される。
加えて野菜や果実においても、呼吸作用とともに水分蒸散やエチレンガスの排出がなされ、これによる萎れや過熟が促進され、而も野菜類では採取切断部位に酵素の保護作用が働き、これによる褐変現象も惹起される。
【0007】
而しながら現状の魚介類においては、合成樹脂発泡成形箱に魚介類に多量の氷を混在させて、低温度による酵素作用を抑制させ或いは付着細菌や微生物の繁殖を抑制させて鮮度の保持を図り配送に供しているものの、合成樹脂発泡成形箱は嵩高なうえ混在させる氷で多重となり輸送コストが莫大なばかりか、合成樹脂発泡成形箱の廃棄にも大きな問題を抱えている。更に配送されたうえ流通における陳列時には常温開放環境に晒されるため、酵素の活性化に加え空中落下菌等の付着繁殖とも相俟って、短時に鮮度が滅失する。更に畜肉類においても屠殺処理場からは低温輸送され、且流通陳列に際しても低温環境におかれるものの、水分蒸散とともに油脂分の酸化と且酵素の働きにより鮮度低下が促進され、豚肉でも3乃至5日、牛肉でも7乃至13日が限度とされており、売り残しや廃棄で多大な損害を被ることとなる。
【0008】
更に果実や野菜類等は、その商品保護のために通常ダンボール箱に収納され流通に付されるが、果実や野菜類は呼吸作用とともに水分放出と且エチレンガス等の排出がなされ、萎れとともに過熟化が促進されて鮮度低下が著しく、とりわけ野菜類特には葉菜類では水分放出に伴う萎れが激しく、且採取切面への酵素の保護作用に伴う褐変現象の発生とも相俟って商品価値も激減する。
これがため果実や野菜類も収穫後の選別、包装の後は、保冷庫や保冷車等の利用により呼吸作用や酵素作用を抑制する手段を講じているものの、流通市場では常温開放環境に晒されるため、果実等の過熟や野菜類の萎れや褐変が一段と促進されて鮮度低下が著しく発生する。
【0009】
発明者はかかる問題に鑑み、長年に亘って鮮度保持のための研究を重ねた結果、収納若しくは包被される魚介類や畜肉若しくは果実或いは野菜類が即時に視認できるような透明性と柔軟性に加え、実用使用に耐えうる強靭性と防水性、防湿性及び防ガス透過性、及び鮮度保持機能と且シール機能若しくは感圧機能を保持させた積層フィルムで製袋のうえ収納させ、若しくは積層フィルムで包被包着させることで、収納や包被包着が簡便に且長期に鮮度保持がなしえることに想到し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は収納若しくは包被包着が簡便で、収納若しくは包被包着される魚介類、畜肉類若しくは果実や野菜が視認でき、而も長期に鮮度保持の可能な鮮度保持フィルム材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために用いた技術的手段は、全体が透明性と柔軟性及び実用使用強力を保持し、且僅かな透湿性を有するポリアミド系若しくはセルロース系樹脂素材からなる透湿フィルムに、ガス不透過性と吸水性を保持するエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂素材、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂素材若しくは酢酸セルロース樹脂素材からなるフィルムに、シリカゲル若しくは合成ゼオライトを担体としてチオスルファト銀錯体やカテキン、ヒノキチオール、キノン誘導体、イソチオシアン酸アリル、月桃エキス若しくはコロイド状ペクチンを担時させたうえ塗着させてなる鮮度維持フィルムが積合され、而も透湿フィルムの上面には、アクリル樹脂素材、ポリビニルエチルエーテル樹脂素材、若しくはポリビニルアルコール或いは酢酸セルロース樹脂素材からなる感圧接合層が、及び鮮度維持フィルムの下面には感圧接合薄層が塗着された積層構造からなり、適宜形状及び大きさに切断のうえ、水分量の多い魚介類や畜肉類若しくは果実や野菜類を包被包着させる鮮度保持フィルム材に存する。
【0012】
更には全体が透明性と柔軟性及び実用使用強力を保持し、且加熱シール性を有するポリエチレン素材からなる加熱シールフィルムに、僅かな透湿性を有するポリアミド系或いはポリエステル系、若しくはセルロース系樹脂素材からなる透湿フィルムが積合され、且ガス不透過性と吸水性を保持するエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂素材、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂素材若しくは酢酸セルロース樹脂素材からなるフィルムに、シリカゲル若しくは合成ゼオライトを担体としてチオスルファト銀錯体やカテキン、ヒノキチオール、キノン誘導体、イソチアン酸アリル、月桃エキス若しくはコロイド状ペクチンを担持させたうえ塗着させてなる鮮度維持フィルムとの積層構造からなり、所要の寸法形状に製袋したうえ、水分量の多い魚介類や畜肉類若しくは果実や野菜類を収納のうえ密封シールさせ使用する鮮度保持フィルム材に存する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述の構成からなるもので全体が透明性と柔軟性を有するため、収納若しくは包被包着された内容物の色、艶、張り、若しくは萎れや褐変等が瞬時に判別しえるため、生産者や流通業者及び消費者にも容易に鮮度保持状態が判断され、而も所要の寸法形状の製袋はもとより、切断により包被包着も簡便になしえる。
【0014】
そして本発明では実用使用上における強力も十分に保持するばかりか、僅かな透湿性を保持する透湿フィルムにガス不透過性の鮮度維持フィルムを積合させることで、過剰湿気の滞留によるガスバリヤー性低下が防止され、且該鮮度維持フィルムは吸水性を保持するエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂素材やエチレン酢酸ビニル共重合樹脂素材若しくは酢酸セルロース樹脂素材からなるため、内容物からの蒸散する水蒸気を吸湿し透明性が損なわれることがなく、更に吸水性を保持するため塗着性にも優れ、且微細孔隙による比表面積の膨大なシリカゲル若しくは合成ゼオライト担体として且食品衛生上安全なチオスルファト銀錯体やカテキン、ヒノキチオール、キノン誘導体、イソチオシアン酸アリル、月桃エキス若しくはコロイド状ペクチンを担持させたうえ塗着させてなるため、収納若しくは包被包着された商品からの蒸散水蒸気も該担体に吸湿され且放湿される調湿作用が働き、商品近傍の湿度が略一定に保持されて水分の過剰蒸散が抑制され乾きや萎れが防止される。
【0015】
更に収納若しくは包被包着された商品に付着した細菌類や微生物類の抗菌はもとより、発生する各種ガスとりわけエチレンガスも十分に吸着されて過熟の防止もなされ、且これらチオスルファト銀錯体等は商品内部への浸透性にも優れ、酵素作用をも抑制するため鮮度が長期に亘って保持されることとなる。
そして包被包着に用いる本発明は、透湿フィルムの上面及び鮮度維持フィルムの下面に、アクリル樹脂素材やポリビニルエチルエーテル樹脂素材若しくはポリビニルアルコール或いは酢酸セルロース樹脂素材からなる感圧接合層並びに感圧接合薄層が塗着されてなるため、包被包着させるのみでその端縁が密着して密封が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
全体が透明性と柔軟性及び実用使用強力を保持し、且僅かな透湿性を有するポリアミド素材からなる透湿性フィルムに、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂素材からなるフィルムに、合成ゼオライトを担体としてカテキン若しくは月桃エキスを担持のうえ塗着させた鮮度維持フィルムが積合され、且透湿フィルムの上面及び鮮度維持フィルム下面に、ポリビニルアルコール樹脂素材からなる感圧接合層並びに感圧接合薄層が塗着された積層構造からなる、包被包着使用する鮮度保持フィルム材。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明実施例を図とともに説明すれば、図1は包被包着に用いる本発明の説明図、図2は鮮度維持フィルムの拡大説明図であって、包被包着に用いる鮮度保持フィルム材1は、全体が透明性と柔軟性を有し且実用使用強力を保持させる必要がある。
かかる場合の透明性は包被包着される比較的水分量を多く含む魚介類や畜肉類、或いは果実や野菜類の鮮度保持状態を流通業者はもとより消費者に確認せしめるうえからも、構成するフィルム材や塗着材は透明なものが不可欠であり、且包被包着に使用する鮮度保持フィルム材1は、多様な寸法の形状の魚介類や畜肉類或いは果実や野菜等を、適宜大きさに切断のうえ包被包着するうえから、十分な柔軟性も要求される。当然のことながら該鮮度保持フィルム材1は実用使用に供しえる強力も保持させて形成される。
【0018】
かくして該鮮度保持フィルム1は水分量の多い魚介類や畜肉類或いは果実や野菜への酸化防止のためのガスバリヤー性は、湿気透過量が少なくなるとガスバリヤー性も低下する。これがためには僅かな透湿性を有し且実用使用に供しえる強力の補強のうえから、ポリアミド系樹脂素材若しくはセルロース系樹脂素材からなる透湿フィルム1Aが用いられる。無論該透湿フィルム1Aの厚さは使用素材や包被包着される内容物の重量によっても考慮されるが、一般的には略20乃至40μm程度が目処となる。
【0019】
そしてこの透湿フィルム1Aの下側には鮮度維持フィルム1Bが積合されている。この鮮度維持フィルム1Bは、包被包着される内容物の酸化防止のためのガスバリヤー性と、且内容物から蒸散される水分の吸湿と内部湿度の調整による萎れや乾きの防止、或いは多種に亘る発生ガス、とりわけ果実や野菜類から排出されるエチレンガスの吸着による消臭と且過熟の防止、及び付着細菌や微生物類の繁殖抑制に係わる抗菌性と、更には内容物内に浸透せしめて酵素の抑制を図り、長期に亘る鮮度保持を可能となす多様な機能を保持させるものである。
【0020】
従って使用素材としてはガス透過性所謂ガスバリヤー性に優れ、且多様な機能を付加しえる付着性即ち吸水性を具備する素材が望まれる。この具体的素材としてはエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂素材やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂素材若しくは酢酸セルロース樹脂素材からなるフィルムが好適で、該フィルムの下面には極めて微細で膨大数の多孔を有する比表面積の大きなシリカゲル若しくは合成ゼオライトからなる担体1Cに、安全性が高く付着細菌類や微生物類に対する優れた抗菌性と、且内容物内への浸透性に優れ包被包着される魚介類や畜肉或いは果実や野菜類内にまで浸透せしめて、酵素類の活動を抑制して鮮度維持を図る鮮度維持材1Dが担持されたうえ塗着1Eされている。
【0021】
かかる場合に担体1Cは平滑な塗着1Eをなすうえから、その平均粒径としては2μm以下、望ましくは0.1乃至1.0μmで、而も十分な量の担持と且発生する湿気や臭気、ガス等の十分な吸着のうえからは、その比表面積が少なくとも200m/g以上が好都合である。そして担持される鮮度維持材1Dとしては、チオスルファト銀錯体は生活関連環境中での使用には高い耐塩素性が要求されるため、塩素に対し反応性に富む銀イオンをアニオン化してチオスルファト銀錯体として利用する。更に本発明は魚介類や畜肉若しくは果実や野菜類等の食品であるから、安全性のうえからも天然の鮮度維持材1Dがより望まれるところである。
【0022】
これがため天然の鮮度維持材1Dとしてはカテキンが挙げられるもので、エピガロカテキンガレートやエピカテキン、エピカテキンガレート、エピカロカテキン或いはカテキンに細分化されるが、その化学構造中にフェノール性水酸基を複数持ち、ビブリオ菌やボツリヌス菌等の食中毒菌やコレラ菌等の細菌に強い抗菌力を示し、而も抗酸化作用や天然色素褐色防止作用をも保持し極めて好適である。
更にヒノキチオールは、七員環構造でトロポロンとも呼ばれ、細菌類はもとよりカビに対しても高い抗菌力を示すものであるが、光分解を受けやすく使用に多少の配慮が要請される。加えてキノン誘導体は盂宗竹のエタノール抽出成分であって、細菌類やカビに対しての抗菌力を保持するが、水に溶けにくく僅かな活性剤の混合が要請される。
【0023】
加えてイソシアン酸アリルはワサビやカラシに含まれるシニグニンが、ミシロナーゼ酵素により分解生成されたもので、該イソシアン酸アリルは細菌類や微生物に幅広い抗菌スペクトルを有し、特にカビや酵母菌には有効に作用するが特有の刺激臭を持つため、ミクロデキストリンによる包接化が望ましい。
更に月桃エキスは、サンニンの葉部に存在し幅広い抗菌、防虫スペクトルを有するとともに、特に魚介類や畜肉内に浸透し酵素の活動阻害作用を持つと考えられ、且柑橘類から抽出されるコロイドペクチンも同様な作用を有するとされている。
【0024】
かかる如く選択された鮮度維持材1Dは、図2に示すように担持される担体1Cとともにポリビニルアルコールやカルボメチルセルロース、ポリビニルメチルエーテル等の塗着成分を以って塗着1Eされる。
かくして透湿フィルム1Aに鮮度維持フィルム1Bが積合され、且該鮮度維持フィルム1Bの下面には鮮度維持材1Dが塗着1Eされたうえは、更に包被包着し簡便に密封し使用するうえから感圧接合機能を付与させることが必要となる。
【0025】
この感圧接合機能は感圧接着剤の原理を応用するもので、これがためには感圧接合機能を発揮させる感圧接合成分としては、アクリル樹脂素材やポリビニルエチルエーテル樹脂素材、ポリビニルアルコール樹脂素材若しくは酢酸、セルロース樹脂素材が挙げられる。
そして感圧接合層1Fの形成に際しては透湿フィルム1Aの上面にやや厚膜、望ましくはその厚さが略10乃至15μm程度で塗着形成され、且他方鮮度維持フィルム1Bの塗着1Eの下面には、可能な限り薄膜で、望ましくは1乃至5μm程度で形成し包被包着された魚介類や畜肉類若しくは果実や野菜等から発生する湿気や臭気若しくはガス等が容易に透過しえる程度に、感圧接合薄層1Gが塗着された積層構造により、包被包着使用に供する鮮度保持フィルム材1が形成される。
【0026】
図3は製袋使用による鮮度保持フィルム材10の説明図であって、該製袋による使用の場合では包被包着の如く小型軽量の場合とは異なり、多量且多重に収納のうえ使用に供するため収納の後は通常加熱シール20による密封が施される。
【0027】
これがため製袋使用による鮮度保持フィルム10は、全体が透明性と柔軟性及び実用使用に供しえる強力を保持するとともに、加熱シール性を有するポリエチレン樹脂素材からなる加熱シールフィルム11に、僅かな透湿性を有するポリアミド若しくはポリエステル系樹脂素材、或いはセルロース系樹脂素材からなる透湿フィルム12が配され、更にはガス不透過性所謂ガスバリヤー性と且吸水性を保持するエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂素材若しくは酢酸セルロース樹脂素材からなるフィルムに、シリカゲル若しくは合成ゼオライトを担体14として、チオスルファト銀錯体やカテキン、ヒノキチオール、キノン誘導体、イソチアン酸アリル、月桃エキス若しくはコロイド状ペクチンからなる鮮度維持材15を担持させたうえ、塗着16がなされた鮮度維持フィルム13との積層構造からなるものである。
【0028】
かかる製袋使用による鮮度保持フィルム10も、包被包着に使用する鮮度保持フィルム1の透湿フィルム2、鮮度維持フィルム3と、透湿フィルム12及び鮮度維持フィルム13とは略同様の構成からなる。
そして図4に示されてなる如く、同図Aにおいては包被包着させた場合には鮮度保持フィルム1の表面に形成された感圧接合層1Fに、該鮮度保持フィルム1の裏面に形成された感圧接合薄層1Gとが接合して密封され、更に製袋においてはその内部に収納させたうえ開口部を加熱シール20により密封される。
【産業上の利用可能性】
【0029】
包被包着使用では所要の幅と長さの長尺状に形成し必要分を切断して使用でき、製袋使用では所要の寸法形状に製袋のうえ、その内部に収納し開口部をシール密封させて使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 包被包着に用いる本発明の説明図である。
【図2】 鮮度維持フィルムの拡大説明図である。
【図3】 製袋に用いる本発明の説明図である。
【図4】 本発明の使用態様図である。
【符号の説明】
【0028】
1 包被包着に用いる鮮度保持フィルム材
1A 透湿フィルム
1B 鮮度維持フィルム
1C 担体
1D 鮮度維持材
1E 塗着
1F 感圧接合層
1G 感圧接合薄層
10 製袋に用いる鮮度保持フィルム材
11 加熱シールフィルム
12 透湿フィルム
13 鮮度維持フィルム
14 担体
15 鮮度維持材
16 塗着
20 加熱シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が透明性と柔軟性及び実用使用強力を保持し、僅かな透湿性を有する透湿フィルムにガスバリヤー性と且吸水率を保持するフィルムの下面には、シリカゲル若しくは合成ゼオライトを担体として鮮度維持材が担持されたうえ塗着された鮮度維持フィルムが積合され、且透湿フィルム上面には感圧接合層及び鮮度維持フィルム下面には感圧接合薄層が塗着され一体的に積層形成されてなり、包被包着により鮮度保持を図ることを特徴とする鮮度保持フィルム材。
【請求項2】
全体が透明性と柔軟性及び実用使用強力を保持し、加熱シールフィルムに僅かな透湿性を有する透湿フィルムが積合され且その下面にはシリカゲル若しくは合成ゼオライトを担体として鮮度維持材が担持されたうえ塗着された鮮度維持フィルムが一体的に積層形成されてなり、適宜に製袋のうえ収納し且加熱シールして鮮度保持を図ることを特徴とする鮮度保持フィルム材。
【請求項3】
透湿フィルムがポリアミド系若しくはセルロース系樹脂素材からなる、請求項1若しくは請求項2記載の鮮度保持フィルム材。
【請求項4】
鮮度維持フィルムのフィルムが、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂素材、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂素材若しくは酢酸セルロース樹脂素材からなる、請求項1若しくは請求項2記載の鮮度保持フィルム材。
【請求項5】
担体であるシリカゲル若しくは合成ゼオライトの粒径が2μm以下で、且その比表面積が少なくとも200m/g以上である、請求項1若しくは請求項2記載の鮮度保持フィルム材。
【請求項6】
鮮度維持材が、チオスルファト銀錯体、カテキン、ヒノキチオール、キノン誘導体、イソシアン酸アリル、月桃エキス若しくはコロイドペクチンである請求項1若しくは2記載の鮮度保持フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−42650(P2010−42650A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231501(P2008−231501)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(501021678)株式会社セラフト (17)
【Fターム(参考)】