説明

鯛の調理方法

【課題】 骨まで柔らかくできる鯛の調理方法において、鯛本来の赤みを残しながら美味しく味付けし、身崩れも防止する。
【解決手段】 内臓を取り除いた骨付きの鯛の表面に小麦粉を衣付けして空揚げし、その空揚げした鯛を薄めの食酢とともに圧力鍋に入れて加圧加熱し、その加圧加熱した鯛を予め加熱しておいた醤油を含む食酢に熱い内に漬け込む。以上の調理方法により、鯛はウロコ・トゲ・頭・中骨まで柔らかくなり、鯛石以外は全て食べることができるようになる。しかも、薄めの食酢と熱い食酢(この時に醤油を使用する)に段階的に漬け込むことで味が中まで浸透し、変色することなく美味しく味付けされ、鯛本来の赤みを十分に残すことができる。また、油を使用することでさらに美味しくなり、衣で覆われることで身崩れも防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨まで柔らかくできる鯛の調理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、骨まで柔らかくできる鯛の調理方法が特許文献1に開示されている。この技術は、クエン酸とリンゴ酸を0.5〜1.5重量%加えた醤油に鯛を入れ、90〜96℃で60〜360分間加熱することを特徴としている。これにより、固い骨まで柔らかくなり、骨ごと食べることができる、というものである。
【0003】
ところで、前記技術では、加熱時に調味液として醤油を使用するから、鯛本来の赤みが消えて黒くなり、商品価値が落ちるという問題があった。また、鯛は淡白な魚であるから、油を使用しない調理方法では美味しさが不十分となりやすかった。さらに、長時間の加熱によって身崩れしやすくなるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−318805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、骨まで柔らかくできる鯛の調理方法において、鯛本来の赤みを残しながら美味しく味付けし、身崩れも防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 内臓を取り除いた骨付きの鯛の表面に小麦粉を衣付けして空揚げし、その空揚げした鯛を薄めの食酢とともに圧力鍋に入れて加圧加熱し、その加圧加熱した鯛を予め加熱しておいた醤油を含む食酢に熱い内に漬け込むことを特徴とする、鯛の調理方法
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、薄めの食酢を用いた加圧加熱処理でウロコ・トゲ・頭・中骨まで柔らかくなる。さらに薄めの食酢と熱い食酢(この時に初めて醤油を使用する)に段階的に漬け込むことで味が中まで浸透する。よって、変色することなく美味しく味付けされ、鯛本来の赤みを残すことができる。また、油を使用することでさらに美味しくなり、衣で覆われることで身崩れも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例の鯛の調理方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の空揚げ時の油温は、一般的には170〜175℃が適温であるが、500〜600gのレンコ鯛の場合ではやや低温の160℃が望ましい。大きい鯛では弱い低温でないと中まで熱が十分に入らず、高温にすると表面が茶色に焦げてくる問題がある。空揚げ後の衣は半分程度に薄くなるから、身崩れを防止しながら鯛本来の赤みを残すことができる。
【0010】
圧力鍋に入れる薄めの食酢は、食べ頃の食酢の約半分位の味(40〜60%濃度)が実用的である。加圧加熱の時間は鯛の種類や大きさにもよるが、レンコ鯛の場合では300g以下で1時間30分ほど、500〜600gでは2時間ほど必要である。
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を実施例と図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例】
【0012】
a)500〜600gの生の天然レンコ鯛からオサ(エラの部分)とわたを取り除く。ウロコ・トゲ・頭・中骨はそのままにする。
b)その天然レンコ鯛の表面に小麦粉を適量まぶして衣付けする。
c)その天然レンコ鯛を160℃の白絞油(食用大豆油)に入れ、20分程空揚げする。
d)食べ頃の美味酢(米酢を主に味を加減した味のやさしい合わせ酢)を50%濃度に調整した薄めの美味酢と前記空揚げした天然レンコ鯛を圧力鍋に入れ、2時間加圧加熱する。
e)予め食べ頃の美味酢を加熱して用意しておく(この時は醤油を使用する)。
f)加圧加熱した天然レンコ鯛を圧力鍋から取り出し、その熱い内に前記加熱しておいた食べ頃の美味酢に漬け込む。
【0013】
以上の調理方法により、天然レンコ鯛はウロコ・トゲ・頭・中骨まで柔らかくなり、鯛石以外は全て食べることができるようになる。しかも、薄めの食酢と熱い食酢に段階的に漬け込むことで味が中まで浸透し、熱い二度目の美味酢の時に醤油を使用することで美味しく味付けされ、鯛本来の赤みを十分に残すことができる。また、油を使用することでさらに美味しくなり、衣で覆われることで身崩れも防止できる。また、美味酢によって薄い酸味となり、健康に良く、食欲増進につながるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の技術は、鯛だけでなく、他の魚の調理にも応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内臓を取り除いた骨付きの鯛の表面に小麦粉を衣付けして空揚げし、その空揚げした鯛を薄めの食酢とともに圧力鍋に入れて加圧加熱し、その加圧加熱した鯛を予め加熱しておいた醤油を含む食酢に熱い内に漬け込むことを特徴とする、鯛の調理方法。

【図1】
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