説明

麺紐延ばし装置

【課題】 素麺、ひやむぎ、うどん、中華麺等の麺紐を延ばすにあたり、麺紐が滓や粉によって品質低下することのないようにした麺紐延ばし装置を提供する。
【解決手段】 一対のガイド(13D)の対向する内面にはガイド面(13M)を形成し、ガイド下端面(13P)及び麺紐送り方向側の端面(13Q)は円弧凹状に形成し、円弧凹状の端面を下側延ばしロール外周面の凹溝(13G)両側の平坦な円周端面、及び上側延ばしロール(13C)外周面の凹溝(13H)両側の尖端状周縁に接近させ、上側延ばしロールと下側延ばしロールとを回転させることにより、麺紐(11)を一対のガイドのガイド面によって案内させて上側延ばしロールと下側延ばしロールの間の隙間に引き込ませて延ばすように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は麺紐延ばし装置に関し、特に素麺、ひやむぎ、うどん、中華麺等の麺の断面形状を円形に成形するようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、素麺を製造する場合、小麦粉、食塩及び水をこね合わせて麺生地を作った後(こね前作業)、麺生地を幅ほぼ10cm、厚さほぼ5cmの麺帯にして採桶に巻き込み(板切作業)、麺帯にごま油を塗りながら延ばしロールに通して麺紐にして採桶に巻き込み(油返し作業)、熟成させた後、麺紐に縒りをかけながら延ばしロールで直径ほぼ12mmにして採桶に巻き込み(細目作業)、熟成させた後、延ばしロールで麺紐を直径ほぼ6mmにして採桶に巻き込み(こなし作業)、所望の太さの麺紐を製造する。
【0003】
得られた麺紐を熟成させた後、縒りをかけながら2本の棒に8の字を描くように掛け(かけば作業)、室箱(おも)に入れて熟成し、熟成した麺紐を小引き作業、小分け作業及び門干し作業を経てさらに1.6m、2mと徐々に引き延ばし、乾燥後に切断して製品の素麺を得ている。
【0004】
ところで、採桶から引き出した麺紐に縒りをかけながら麺紐を2本の棒に8の字を描くように掛け渡し、小引き作業及び小分け作業で棒の間隔をあけて延ばしを行っているので、製品の麺は断面円形状になっていると考えられている(特許文献1)。
【0005】
しかし、採桶に巻き込まれた麺紐は所定の時間の間積み重ねられ、荷重が加わっているので、断面台形状となっており、この麺紐にいくら縒りを掛けても製品の麺は断面台形状のままで断面円形状にはならず、麺を茹でたときに、中心まで茹で上がるようにすると外縁に茹で過ぎの部分ができ、外縁の茹で過ぎを少なくしようとすると、中心が茹で上がらないという問題があった。
【0006】
他方、上下の延ばしロール間の間隔を調整可能に構成し、麺紐の熟成度に応じて延ばしロール間の隙間を断面円形状や縦長の断面楕円形状に調整し、熟成したときに断面円形状の麺紐を得るようにした麺紐延ばし装置が提案されている(特許文献2)。
【0007】
ところで、麺紐延ばし装置では太い麺紐を延ばしロールの小さな隙間に通して麺紐を延ばす関係上、麺紐が延ばしロールの小さな隙間に円滑に引き込まれるように麺紐を案内するガイドを設けることが行われている。
【0008】
しかし、従来の麺紐延ばし装置では麺紐を上下に配列した延ばしロールの隙間に引き込むようにしているので、麺紐がガイド表面と擦れて麺紐の滓や粉が発生し、これが麺紐に巻き込まれて麺紐の品質が低下することがあった。
【0009】
これに対し、上下の延ばしロールの手前に合成樹脂製ガイドを設け、ガイドの対向する内面の上縁及び下縁には上下のロールの外縁が嵌まり込む段部を形成し、上下の段部によって囲まれる内面を円弧凹状に形成してV字状のガイド面となし、左右のガイドを上下の延ばしロールに嵌め合わせ、麺紐を上下の延ばしロールの隙間に円滑に案内する技術が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公昭58−23256号公報
【特許文献2】特許第4409547号公報
【特許文献3】特許第4090477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献3記載の麺紐延ばし装置ではガイドの段部に上下の延ばしロールを嵌め合わせて位置決めするようにしているので、ガイドの段部の形状精度が悪いと、ガイドが上下の延ばしロールの隙間内に突き出てガイド面の間隔が狭くなり、麺紐を引き込む際の抵抗になってしまうことがあった。
そのため、ガイドの段部を高精度に仕上げ加工する必要があって、製造が煩雑であるばかりでなく、製造のコスト高を招来するおそれがあった。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑み、ガイド製造の煩雑さやコスト高を招来することなく、麺紐を上下の延ばしロール間の隙間に円滑に案内できるようにした麺紐延ばし装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明に係る麺紐延ばし装置は、麺紐を一対のガイドによって上側延ばしロール及び下側延ばしロールの間の隙間に案内し、両ロールによって所定の太さに延ばすようにした麺紐延ばし装置において、上記一対のガイドの対向する内面にはガイド面が形成され、上記一対のガイドの下端面及び麺紐送り方向側の端面は円弧凹状に形成され、該円弧凹状の端面が上記下側延ばしロール外周面の凹溝両側の平坦な円周端面、及び上記上側延ばしロール外周面の凹溝両側の尖端状周縁に接近されており、上記上側延ばしロールと下側延ばしロールとが回転されることにより、麺紐が上記一対のガイドのガイド面によって案内されて上記上側延ばしロールと下側延ばしロールの間の隙間に引き込まれて延ばされるようになっていることを特徴とする。
【0014】
本発明の特徴の1つは、ガイドの下端面及び麺紐送り方向側の端面を円弧凹状に形成し、円弧凹状の端面を下側延ばしロール外周面の凹溝両側の平坦な円周端面、及び上側延ばしロール外周面の凹溝両側の尖端状周縁に接近して配設するようにした点にある。
【0015】
これにより、ガイドの円弧凹状の下端面及び麺紐送り方向側の端面を、下側延ばしロールの円周端面及び上側延ばしロールの尖端状周縁に接近させるだけでガイドを上下の延ばしロールに対して正確に位置決めすることができ、特にガイドの内端面を簡単に下側延ばしロールの平坦な円周端面の内縁、及び上側延ばしロールの尖端状周縁に対して実質的に面一になるように設けることができる結果、ガイドの形状精度に影響されることなく、麺紐を上下の延ばしロール間の隙間に円滑にかつ確実に案内できる。
【0016】
また、ガイドの下端面及び麺紐送り方向側の端面を円弧凹状に形成すればよいので、ガイドの段部を高い精度に仕上げ加工する必要がある特許文献3記載のガイドに比較して製造が容易であり、製造のコスト高を招来することもない。
【0017】
一対のガイドは、麺紐を上下の延ばしロールの間の隙間に円滑に案内する必要があるので、そのガイド面をガイドの正面から見て円弧凹状でかつ麺送り側に向けて狭くなったV字状に形成するのがよい。
【0018】
本発明では上下の延ばしロールは上下方向に配列してもよいが、上側延ばしロールを下側延ばしロールに対して麺紐送り方向にオフセットして配置すると、麺紐が下側延ばしロールの凹溝で一旦受けられた後に上側及び下側の延ばしロールの隙間に引き込まれる。
【0019】
これにより、麺紐は下側延ばしロールの凹溝によって一旦受けられて下側延ばしロールの凹溝との接触長さに応じてある程度成形されながら、上側及び下側の延ばしロールの隙間に斜め下向きに引き込まれるので、麺紐は延ばしロールの隙間に円滑に引き込まれ、滓や粉をほとんど発生することがなく、麺紐の品質を保証できる。
【0020】
一対のガイドは、取付けブラケットによって上下の延ばしロールを支持するためのフレームに取り付けることができる。
【0021】
また、上側延ばしロールと下側延ばしロールの回転は同速としてもよいが、上側延ばしロールを下側延ばしロールに対して麺紐送り方向進み側にリセットさせると、麺紐を下側延ばしロールの凹溝で一旦受けた後、上下の延ばしロールの隙間に斜め下方に引き込まれるので、上側延ばしロールの回転を下側延ばしロールよりも例えば1.1〜1.3倍程度速くすると、麺紐が上側の延ばしロールの回転によって下方に円滑に引き込まれる。
【0022】
しかも、上側延ばしロールの周速が下側延ばしロールの周速に比して速いと、上側延ばしロールの凹溝内面が麺紐の表面を擦ることになるので、麺紐の表面が緻密となる。
【0023】
下側延ばしロールは、円柱の外周部に凹溝を形成し該凹溝の両側部を平坦な円周端面に形成して構成する一方、上側延ばしロールは、円板の外周部に凹溝を形成し該凹溝の両側を尖端状の周縁に形成して構成するのがよい。
【0024】
また、凹溝の溝幅の異なる複数の下側延ばしロールが、円柱の外周部に平坦な円周端面を介して並列して形成されることができる。
【0025】
延ばしロールの材質は特に限定されず、銅や砲金などの金属材料でもよいが、耐久性及び麺紐への影響などを考慮すると、少なくとも外表面の部分にMCナイロンなどの合成樹脂材料を用いるのが好ましい。
【0026】
延ばしロールの隙間は横長の断面略楕円形状とするのがよい。それは次の理由による。麺紐は採桶内で上下に積み重ねられて偏平になっており、これを上下の延ばしロールの隙間で加圧すると、横方向の加圧力が大きくなるので、延ばしロールの隙間を横長の楕円形状にすると、横方向の加圧力を受けて縦方向に膨らむ内部応力が発生し、延ばしロールを通過した後、麺紐が縦に膨らんでほぼ断面円形状になるからである。
【0027】
これに対し、上下の延ばしロールの隙間を縦長の楕円形状にすると、麺紐は横方向の加圧力によって縦長の断面楕円形状になって延ばしロールを出るが、麺紐内に発生する内部応力は小さいので、自重によって断面円形状にならざるをえず、断面円形状になるまでに時間がかかり、縦長の楕円形状のままで採桶に巻き取られると、姿勢が安定せず、上側の麺紐の荷重を受けていびつな形状になりやすい。
【0028】
延ばしロールの凹溝は平滑な面のままでもよいが、麺紐を円滑に引き込み円滑に送り出せるように、例えばサンドブラスト処理などによって微小凹凸加工を施すのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る麺紐延ばし装置の好ましい実施形態を全体を示す概略構成図である。
【図2】上記実施形態における延ばしロール機構を示す側面構成図である。
【図3】上記実施形態における延ばしロール機構を示す正面構成図である。
【図4】上記実施形態における延ばしロールの隙間の形状を示す図である。
【図5】上記実施形態におけるガイドを示す図である。
【図6】上記実施形態における延ばしロール及び受けロールと駆動機構を示す概略斜視図である。
【図7】上記実施形態における上下の延ばしロール及びガイドの作用を説明するための図である。
【図8】上記実施形態における麺紐を巻き込む採桶の構造を示す図である。
【図9】上記実施形態におけるガイドと延ばしロールとの関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態を示す図である。
【図11】上記実施形態における上下の延ばしロールの外形を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図8は本発明に係る麺紐延ばし装置の好ましい実施形態を示す。図において、麺紐延ばし装置には麺紐11が螺旋状に連続して巻き込まれた第1の採桶10から麺紐11を引き出す引出し機構12が設けられている。
【0031】
この引出し機構12では床面上に支柱12Aが立設され、支柱12Aの上部には取付けバー12Fが横方向に延びて固定され、取付けバー12Fにはガイド筒12Bが取付けられ、第1の採桶10から引き出された麺紐11がガイド筒12B内を挿通されるようになっている。
【0032】
支柱12Aの上端には取付けフレーム12Cが斜め上方に延びかつ傾斜角度を調整可能に取付けられ、取付けフレーム12Cには2つの引出しロール12D、12Eの回転軸の一端部が回転自在に片持ち支持され、又引出しロール12Dは長溝(図示せず)内における回転軸の一端部の位置を調整することによって取付けフレーム12Cの長手方向に取付け位置を変更できるようになっている。
【0033】
取付けフレーム12Cの傾斜を大きくすると、麺紐11の引出しロール12Dの外周上における接触長さが長くなるので、麺紐11が細くなり、傾斜を低くすると、接触長さが短くなるので、麺紐11は太くなる。
【0034】
引出しロール12D、12EはMCナイロンなどの合成樹脂材料を用いて円板状に製作され、外周面は半円形凹状に加工され、引き出された麺紐11が半円形凹状の外周面で受けられ、引出しロール12D、12Eが駆動モータ(図示せず)によって回転されることによって麺紐11が第1の採桶10から引き出されるようになっている。
【0035】
引き出された麺紐11は延ばしロール機構13に送られるようになっている。この延ばしロール機構13において、取付けフレーム13Aには下側延ばしロール13Bの回転軸13Kが回転自在に取付けられるとともに、厚みの異なる3つの上側延ばしロール13Cに挿通された回転軸13Jが下側延ばしロール13Bに対して麺紐送り方向進み側に例えば30mmだけオフセットして回転自在に取付けられ、回転軸13Jは間隔調整ねじ13Rによって上下位置を調整できるようになっている。
【0036】
上下の延ばしロール13B、13CはMCナイロンなどの合成樹脂材料を用いて製作され、下側延ばしロール13Bでは円柱の上側延ばしロール13Cに対応する位置に上側延ばしロール13Cが嵌まり込む3つの凹溝13Gが平坦な円周端面を介して相互に並列に形成され、3つの凹溝13Gの内底面は断面半円形状となっている。
【0037】
他方、上側延ばしロール13Cでは円板の外周部に断面半円形状の凹溝13Hが形成され、凹溝13Hの両側周縁は尖端状に形成され、該上側延ばしロール13Cには回転軸13Jが挿通され、下側延ばしロール13Bの凹溝13Gに対応して位置決めされて適切な金具によって固定されている。
【0038】
下側延ばしロール13Bの凹溝13G内には上側延ばしロール13Cの両側尖端状の周縁が嵌め込まれ、両ロール13B、13Cの間には断面略横長楕円形状の隙間13Qが構成され、又凹溝13G、13Hの内底面はサンドブラストなどによって微小凹凸加工が施され、断面略横長楕円形状の隙間13Qには麺紐11が通されて延ばされるようになっている。なお、凹溝の半円形を重ねて楕円形状の隙間13Qを構成する関係上、隙間13Qの両端部分は鋭角状となるので、本発明では断面略楕円形状と表現している。
【0039】
また、取付けフレーム13Aにはガイド13Dが上下の延ばしロール13B、13Cの麺紐送り方向の手前にて側面コ字状の取付けブラケット13Tによって固定されている。このガイド13DはMCナイロンなどの合成樹脂材料を用いて製作され、ガイド13Dの対向する内側面はガイド面13Mに加工され、ガイド面13Mはガイド13Dの正面から見たときに円弧凹状で、麺紐送り方向に向けて狭くなったV字状に形成されている。
【0040】
また、ガイド13Dの下端面13P及びガイド13Dの先端面(麺紐送り方向側の端面)13Qは円弧凹状に形成され、下側延ばしロール13Bの円周端面及び上側延ばしロール13Cの尖端状周縁に接近しかつガイド13Dの内端が下側延ばしロール13Bの円周端縁及び上側延ばしロール13Cの尖端状周縁と実質的に面一となるように配置されている。
【0041】
ここで、ガイド13Dは、その円弧凹状の下端面13Pの内縁がガイド13Dの麺紐送り方向側の円弧凹状の端面13Qの内縁に対してオフセットした形状に形成されているので、図9に示されるように、ガイド13Dの円弧凹状の下端面13Pを下側延ばしロール13Bの円周端面に載せ、下端面13Pの内縁を凹溝13Gの外縁に位置合わせすると、ガイド13Dの麺紐送り方向側の円弧凹状の端面13Qの内縁が自動的に上側延ばしロール13Cの尖端状周縁に位置合わせされるので、ガイド13Dの内端を下側延ばしロール13Bの円周端面及び上側延ばしロール13Cの尖端状周縁に対して迅速かつ正確に位置決めできる。
【0042】
下側延ばしロール13Bの回転軸13Kにはギア13Sが取付けられ、ギア13Sはギア13Nと噛合され、ギア13Nには被駆動側プーリ13Lが連結され、被駆動側プーリ13Lはベルト13Mによって駆動モータ13Fの駆動側プーリ13Lに連結され、延ばしロール13Bは駆動モータ13Fによって回転駆動されるようになっている。
【0043】
また、上側延ばしロール13Cの回転軸13Jには被駆動側プーリ(図示せず)が取付けられ、被駆動側プーリとギア13Nの被駆動側プーリ13Lとの間はベルト130Aによって連結されており、上側延ばしロール13Cの周速は下側延ばしロール13Bの周速に比して1.1〜1.3倍程度に設定されている。
【0044】
さらに、取付けフレーム13Aには上下の延ばしロール13B、13Cの麺紐送り方向進み側に受けロール130Cが設けられ、一側方の取付けフレーム13Aには取付けアーム13Wが揺動可能に取付けられ、取付けアーム13Wには受けロール130Cの回転軸の一端部が回転自在に片持ち支持され、又取付けアーム13Wは板ばね13Zによって回動付勢されている。
【0045】
この受けロール130CはMCナイロンなどの合成樹脂材料を用いて円板状に製作され、その外周面は断面半円凹状に加工され、受けロール130Cの回転軸の一端部には被駆動側プーリが取付けられ、この被駆動側プーリはベルト130Bによって下側延ばしロール13Bに駆動力を伝えるギアNの被駆動側プーリ13Lに連結され、受けロール130Cは下側延ばしロール13Bと同期して回転されるようになっている。
【0046】
延ばしロール機構13の麺紐送り方向進み側には巻き込み機構15が設けられている。この巻き込み機構15において、受け台15A上には第2の採桶16が載せられ、受け台15Aは回転軸15Bの上端部に固定され、回転軸15Bの上端には小径突起15Hが突設され、小径突起15Hは採桶16の底部に形成された凹部16Aに嵌入されるようになっている。なお、第1の採桶10の底部には同様に回転軸15Bの小径突起15Hが嵌入する凹部が形成されている。
【0047】
また、採桶16の中央突起16Bには案内ブロック16Cが嵌合され、複数の案内ブロック16Cが積み重ねられるようになっている。第1の採桶10についても同様に案内ブロックが積み重ねられるようになっている。
【0048】
また、回転軸15Bはギア機構15Cによって円錐台形状の駆動ドラム15Dの回転軸に連結されている。駆動ドラム15Dは逆円錐台状の駆動ドラム15Eにベルトによって連結され、駆動ドラム15Eはベルトによって駆動モータに連結されている。駆動ドラム15D、15Eの間にはねじ棒15Hが設けられ、ねじ棒15Hの回転・逆回転によってベルトが駆動ドラム15D、15Eの回転軸に沿って変位するようになっている。
【0049】
また、ねじ棒15Hはプーリ、ベルト及びプーリを介して駆動ドラム15Dの回転軸に連結され、回転軸の途中には切換え機構が設けられ、回転方向を切り換えるようになっている。
【0050】
さらに、送込みアーム15Cはねじ棒15Hの回転によって第2の採桶16の中心側から外側に、逆回転によって第2の採桶16の外側から中心に向けて揺動されるようになっている。
【0051】
麺紐11を延ばす場合、積み重ねた案内ブロック(図示せず)の回りに麺紐11を螺旋状に巻き込んだ第1の採桶10を所定の位置にセットし、作業者が第1の採桶10から麺紐11の始端を手で引き出し、ガイド筒12Bに通し、引出しロール12D、12Eの上に載せた後、ガイド13Dに通し、延ばしロール機構13の下側延ばしロール13Bの凹溝13Gの回転の頂上部分に載せ、上下の延ばしロール13B、13Cの隙間13Qに押し込む。
【0052】
ロール13B、13Cを回転駆動させると、下側の延ばしロール13Bは凹溝13G上の麺紐11を麺紐送り方向進み側(後側)に送るとともに凹溝13Gとの接触長さに応じて麺紐11を成形し、延ばしロール13B、13Cの隙間13Qに押し込まれた麺紐11が延ばしロール13B、13Cの回転によって斜め下方に円滑に引き込まれ、麺紐11は隙間13Qの大きさに応じた太さに加圧されて断面楕円形状となる。
【0053】
このとき、上側延ばしロール13Cの周速が下側延ばしロール13Bの周速に比して1.1〜1.3倍程度に設定されているので、上側延ばしロール13Cは下側延ばしロール13Bの凹溝13Gによって成形された麺紐11の表面を擦って麺紐の11の表面を緻密にするとともに、麺紐11を延ばしロール13B、13Cの隙間13Qに向けて斜め下方に引っ張り込むので、麺紐11は延ばしロール13B、13Cの隙間13Qに円滑に引き込まれる。
【0054】
麺紐11の始端部分が延ばされると、始端部分を送込みアーム15Cの受けロールの上に載せ、第2の採桶16を回転させると、送込みアーム15Cが回転する第2の採桶16の中心から外側に向けて次第に速度を遅くしながら揺動され、麺紐11は第2の採桶16内に螺旋状に巻き込まれる。
【0055】
このとき、第2の採桶16内の中央の突起16Bには案内ブロック16Cを嵌め込んでおき、所定の高さまで麺紐11が巻き込まれた後、次段の案内ブロック16Cを積み重ねると、巻き込まれた麺紐11の内側が案内ブロック16Cによって崩れるのを規制され、麺紐11を正確に巻き込むことができる。
【0056】
また、第2の採桶16の最初の段について麺紐11が巻き込まれると、切換え機構によって回転方向が切り換えられ、ねじ棒15Hが逆回転され、送込みアーム15Cは第2の採桶16の外側から中心に向けて次第に速度を速くしながら揺動され、麺紐11は第2の採桶16内に螺旋状に巻き込まれ、このような操作が繰り返された麺紐11は延ばされて第2の採桶16内に螺旋状に連続して巻き込まれる。
【0057】
このとき、案内ブロック16Cを1段ずつ積み重ねるようにしているので、案内ブロック16Cが送込みアーム15Cの動作の邪魔になることはない。
【0058】
最初の延ばしが済み、さらに細く延ばす必要がある時には、麺紐11を巻き込んだ採桶16を引出し機構12の下側に置き、空になった採桶10を受け台15A上に載せ、今度は麺紐11を隙間13Qの小さい延ばしロール13B、13Cによって延ばすようにすると、さらに細く延ばすことができる。
【0059】
以上のように、麺紐11を下側延ばしロール13Bの凹溝13Gで一旦受けた後、上側及び下側の延ばしロール13B、13Cの間の隙間13Qに引き込むようにしたので、麺紐11を下側延ばしロール13Bの凹溝13Gによって成形されながら上側及び下側の延ばしロール13B、13Cの隙間13Qに斜め下向きに円滑に引き込むことができ、麺紐11がガイド13D表面と擦れて滓や粉を発生することはほとんどなく、麺紐11の品質を保証することができる。
【0060】
図10及び図11は第2の実施形態を示す。本例では下側延ばしロール13Bは円柱状の胴部130Fに複数、例えば2つの凹溝13Gを平坦な円周端面を介して並列に形成することによって構成されている一方、上側延ばしロール13Cは下側延ばしロール13Bの凹溝13Gに嵌まり込む幅のロール部を円柱状の胴部130Eに、隣接する凹溝13Gの間隔と等しい間隔をあけて一体的に形成することによって構成されている。
【0061】
第1の実施形態では3つの上側延ばしロール13Cを回転軸13Jに固定するようにしたが、下側延ばしロール13Bに対して正確に位置決めしてから固定する必要があって組立て作業が煩わしいことがある。
【0062】
本例では円柱状の胴部130Fに下側延ばしロール13Bの凹溝13Gに嵌まり込む幅の延ばしロールを2つの凹溝13Gの間隔に等しい間隔をあけて一体的に形成することによって上側延ばしロール13Cを構成しているので、上側延ばしロール13Cを位置決めしてから固定する必要がなく、組立て作業の煩わしさを解消できる。
【符号の説明】
【0063】
11 麺紐
13 延ばしロール機構
13B、13C 延ばしロール
13D ガイド
13E 駆動モータ(駆動機構)
13G、13H 凹溝
13Q 隙間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺紐を一対のガイドによって上側延ばしロール及び下側延ばしロールの間の隙間に案内し、両ロールによって所定の太さに延ばすようにした麺紐延ばし装置において、
上記一対のガイド(13D)の対向する内面にはガイド面(13M)が形成され、上記一対のガイド(13D)の下端面(13P)及び麺紐送り方向側の端面(13Q)は円弧凹状に形成され、該円弧凹状端面(13P、13Q)の内端縁が上記下側延ばしロール(13B)外周面の凹溝(13G)の周縁、及び上記上側延ばしロール(13C)外周面の凹溝(13H)の周縁に接近されており、
上記上側延ばしロール(13C)と下側延ばしロール(13B)とが回転されることにより、麺紐(11)が上記一対のガイド(13D)のガイド面(13M)によって案内されて上記上側延ばしロール(13C)と下側延ばしロール(13B)の間の隙間(13Q)に引き込まれて延ばされるようになっていることを特徴とする麺紐延ばし装置。
【請求項2】
回転軸を有する円柱状胴部の外周面に複数の凹溝(13G)を平坦な円周端面を介して相互に並列に形成することにより複数の上記下側延ばしロール(13B)が構成される一方、上記上側延ばしロール(13C)は上記凹溝(13G)に嵌まり込む幅の円板の外周面に凹溝(13H)を形成し該凹溝(13H)の両側を尖端状の周縁に形成して構成され、複数の上側延ばしロール(13G)が上記下側延ばしロール(13B)の凹溝(13G)の間隔と等しい間隔をあけて回転軸(13J)に固定されている請求項1記載の麺紐延ばし装置。
【請求項3】
回転軸を有する円柱状胴部(130F)の外周面に複数の凹溝(13G)を平坦な円周端面を介して相互に並列に形成することにより複数の上記下側延ばしロール(13B)が構成される一方、上記下側延ばしロール(13B)の凹溝(13G)に嵌まり込む幅の円板の外周面に凹溝(13H)を形成し該凹溝(13H)の両側を尖端状の周縁に形成してなるロール部を回転軸を有する円柱状胴部(130E)に上記下側延ばしロール(13B)の凹溝(13G)の間隔と等しい間隔をあけて一体的に形成することにより複数の上記上側延ばしロール(13C)が構成されている請求項1記載の麺紐延ばし装置。
【請求項4】
上記一対のガイド(13D)は、その下端面(13P)の内端縁が上記下側延ばしロール(13B)の平坦な円周端面の内縁、及び麺紐送り方向側の端面(13Q)の内端縁が上記上側延ばしロール(13C)の尖端状周縁に対して実質的に面一になるように設けられている請求項2又は3記載の麺紐延ばし装置。
【請求項5】
上記ガイド面(13M)は上記ガイド(13D)の正面から見て円弧凹状でかつ麺送り側に向けて狭くなったV字状に形成されている請求項1記載の麺紐延ばし装置。
【請求項6】
上記上側延ばしロール(13C)が下側延ばしロール(13B)に対して麺紐送り方向にオフセットして配置されており、麺紐(11)が下側延ばしロールの凹溝で一旦受けられた後、上側及び下側の延ばしロール(13B、13C)の隙間(13Q)に引き込まれるようになっている請求項1記載の麺紐延ばし装置。
【請求項7】
上記一対のガイド(13D)は、取付けブラケット(13T)によって上下の延ばしロール(13B、13C)を支持するためのフレーム(13A)に取付けられている請求項1記載の麺紐延ばし装置。
【請求項8】
上記上側延ばしロール(13C)は、上記下側延ばしロール(13B)に比して速く回転させるようになっている請求項1記載の麺紐延ばし装置。
【請求項9】
複数の上記下側延ばしロール(13B)は凹溝(13G)の溝幅が相互に異なっている請求項2又は3記載の麺紐延ばし装置。
【請求項10】
麺紐を一対のガイドによって上側延ばしロール及び下側延ばしロールの間の隙間に案内し、両ロールによって所定の太さに延ばすようにした麺紐延ばし装置において、
回転軸を有する円柱状胴部の外周面に複数の凹溝(13G)を平坦な円周端面を介して相互に並列に形成することにより複数の上記下側延ばしロール(13B)が構成される一方、
上記上側延ばしロール(13C)は上記凹溝(13G)に嵌まり込む幅の円板の外周面に凹溝(13H)を形成し該凹溝(13H)の両側を尖端状の周縁に形成して構成され、複数の上側延ばしロール(13G)が上記下側延ばしロール(13B)の凹溝(13G)の間隔と等しい間隔をあけて回転軸(13J)に固定され、
上記一対のガイド(13D)の下端面(13P)及び麺紐送り方向側の端面(13Q)は円弧凹状に形成され、該円弧凹状の端面(13P、13Q)が上記下側延ばしロール(13B)外周面の凹溝(13G)両側の平坦な円周端面、及び上記上側延ばしロール(13C)外周面の凹溝(13H)両側の尖端状の周縁に接近されていることを特徴とする麺紐延ばし装置。
【請求項11】
麺紐を一対のガイドによって上側延ばしロール及び下側延ばしロールの間の隙間に案内し、両ロールによって所定の太さに延ばすようにした麺紐延ばし装置において、
回転軸を有する円柱状胴部の外周面に複数の凹溝(13G)を平坦な円周端面を介して相互に並列に形成することにより複数の上記下側延ばしロール(13B)が構成される一方、
回転軸を有する円柱状胴部(130F)の外周面に複数の凹溝(13G)を平坦な円周端面を介して相互に並列に形成することにより複数の上記下側延ばしロール(13B)が構成される一方、
上記下側延ばしロール(13B)の凹溝(13G)に嵌まり込む幅の円板の外周面に凹溝(13H)を形成し該凹溝(13H)の両側を尖端状の周縁に形成してなるロール部を回転軸を有する円柱状胴部(130E)に上記下側延ばしロール(13B)の凹溝(13G)の間隔と等しい間隔をあけて一体的に形成することにより複数の上記上側延ばしロール(13C)が構成され、
上記一対のガイド(13D)の下端面(13P)及び麺紐送り方向側の端面(13Q)は円弧凹状に形成され、該円弧凹状の端面(13P、13Q)が上記下側延ばしロール(13B)外周面の凹溝(13G)両側の平坦な円周端面、及び上記上側延ばしロール(13C)外周面の凹溝(13H)両側の尖端状の周縁に接近されていることを特徴とする麺紐延ばし装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−74871(P2013−74871A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266013(P2011−266013)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【出願人】(506147582)
【Fターム(参考)】