説明

黒色繊維反応性アゾ染料の混合物およびその混合物をヒドロキシ−および/またはカルボキシアミド−含有繊維材料を染色するために使用する方法

【課題】黒色繊維反応性アゾ染料およびヒドロキシ- および/またはカルボキシアミド- 含有繊維材料を染色するために使用する方法の提供。
【解決手段】例えば下記構造式で表わされる染料が例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術的分野は、繊維反応性染料に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロ−ス繊維材料上に濃い黒色染色を形成するために適する黒色染色性染料混合物は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5中に既に記載されている。
【特許文献1】特開平2- 73870号公報
【特許文献2】特開平2- 202956号公報
【特許文献3】韓国特許第91/2676号明細書
【特許文献4】韓国特許第91/6386号明細書
【特許文献5】韓国特許第91/8343号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしこれらの公知染料混合物は、使用上ある種の技術的欠点を有し、特に例えばそれらの洗出堅牢性能および湿潤貯蔵堅牢性が改善される必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により、下記一般式(1)で表わされる1種またはそれ以上、例えば2,3または4種のジスアゾ染料および下記一般式(2)で表わされる1種またはそれ以上、例えば2,3または4種のモノアゾ染料を含む染料混合物が見出された。
【0005】
【化1】

【0006】
上記の式において各記号は次の意味を有する:
Mは水素またはアルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウムであり、
0 はスルホまたはカルボキシであり、
1 は水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、スルホまたはカルボキシ、好ましくはメトキシおよび水素、特に水素であり、
2 は水素、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシ、好ましくは水素であり、
Yはそれぞれ互いに関係なく、ビニル、β- クロロエチル、β- ホスファトエチル、β- チオスルファトエチルまたはβ- スルファトエチル、好ましくはビニル、特にβ- スルファトエチルであり、
一般式(2)において、フルオロトリアジニルアミノ基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシ- 6- スルホナフタレン残基に結合している。
【0007】
一般式(1)および(2)および同様に後記の一般式において示されている、個々の記号は、それらの定義の範囲内で互いに同一または互いに異なる意味を有することができる。
【0008】
一般に、一般式(1)のジスアゾ染料および一般式(2)のアゾ染料は、混合物中で1:0.3ないし1:1.4のモル比で存在しており、好ましくは(1):(2)のモル比は1:0.5ないし1:1である。
【0009】
本発明による染料混合物は、調色成分として、本発明の染料混合物に対し10重量%、特に5重量%までの、下記一般式(3a)、(3b)および/または(3c)で表わされる1種以上、例えば2、3または4種のモノアゾ染料を付加的に含んでいてもよい。
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、MおよびYは上記の意味を有しそして一般式(3c)における- SO3 Mの一方は基- NHRに対しメタ- 位またはパラ- 位- 位にありそしてRは2ないし5個の炭素原子を有するアルカノイル、例えばプロピオニルおよびアセチルであるか、またはベンゾイルであるか、または2,4- ジ(シアノアミノ)- 1,3,5- トリアジン- 6- イルまたは一般式(4a)または(4b)
【0012】
【化3】

【0013】
〔式中、MおよびYは上記の意味を有し、Xは塩素、フッ素またはシアノアミノであり、Halは塩素またはフッ素であり、RA は水素または1ないし4個の炭素原子を有するアルキル、例えばメチルまたはエチル──これはフェニルまたはフェニル(これはスルホ、カルボキシ、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシよりなる群から選ばれた1または2個の置換基により置換されている)により置換されていてもよい──であり、好ましくは水素でありそしてRB は1ないし4個の炭素原子を有するアルキル、例えばメチルまたはエチル──これはフェニルまたはフェニル(これはスルホ、カルボキシ、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシよりなる群から選ばれた1または2個の置換基により置換されている)により置換されていてもよい──であるか、またはモノスルホフェニルまたはジスルホフェニル、好ましくは3- スルホフェニルであるか、またはRA およびRB は窒素原子と共に4ないし7個の炭素原子、好ましくは5個の炭素原子を有するアルキレンを有するか、または1ないし4個の炭素原子を有する2個のアルキレンおよび別のヘテロ基、例えば- O- または- NH- を有する飽和複素環式残基、例えばN- ピペリジノ、N- ピペラジノまたは、好ましくはN- モルホリノ残基である〕
で示される基である]。
【0014】
スルホ基は一般式 -SO3 Mで示される基であり、カルボキシ基は一般式 -COOMで示される基であり、ホスファト基は一般式 -OPO3 2 で示される基であり、スルファト基は一般式 -OSO3 Mで示される基でありそしてチオスルファト基は一般式 -S- SO3 Mで示される基である。
【0015】
一般式(1)、(2)および(3)において、基 -SO2 - Yは、好ましくはベンゼン環においてメタ- 位、特に好ましくはパラ- 位にある。
【0016】
一般式(1)の染料は、文献中にすでに記載されており、例えば米国特許第2,657,205号明細書および特開昭58- 160362号公報および米国特許第4257770号明細書およびその中に引用されている文献から公知である。一般式(2)のモノアゾ染料の一部はすでに記載されており、例えば欧州特許出願公開第0040806号明細書中に記載されているか、またはそこで示された記載に従って合成することができる。一般式(3)の染料は、同様に文献から公知であり、例えば欧州特許出願公開第0032187号明細書および欧州特許出願公開第0542214号明細書およびドイツ特許第2748965号明細書から公知であるか、または対応するジアゾおよびカップリング成分のカップリングに関する公知の方法に従って製造することができる。
【0017】
一般式(1)、(2)および(3)におけるジアゾ成分の残基の例は、3- (β- スルファトエチルスルホニル)フェニルおよび4- (β- スルファトエチルスルホニル)フェニルならびにそれらのビニルスルホニル、β- クロロエチルスルホニルおよびβ- チオスルファトエチルスルホニルおよびβ- ホスファトエチルスルホニル誘導体であり、これらのうち、4- (β- スルファトエチルスルホニル)フェニルおよび4- ビニルスルホニルフェニルが好ましい。
【0018】
一般式(2)の染料における一般式(5)
【0019】
【化4】

【0020】
で示される残基の例は、2- スルホフェニル、3- スルホフェニル、4- スルホフェニル、2- カルボキシフェニル、3- カルボキシフェニル、4- カルボキシフェニル、3- スルホ- 4- メチルフェニル、2,5- ジスルホフェニル、2- カルボキシ- 5- スルホフェニル、3,5- ジカルボキシフェニル、2,3-ジカルボキシフェニル、2,5- ジカルボキシフェニル、2- スルホ-4-メトキシフェニルおよび4- スルホ- 2,5- ジメトキシフェニルである。
【0021】
一般式(3c)の染料における残基Rの例は、既に挙げたアルカノイルおよびベンゾイル基およびまた既に挙げた2,4-ジ(シアノアミノ)- 1,3,5- トリアジン-6-イルのほかに、2-クロロ-4-(3′-スルホフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン- 6-イル、2-フルオロ- 4-(3′-スルホフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン- 6-イル、2-シアノアミノ-4-(3′-スルホフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン-6-イル、2-シアノアミノ-4-(4′-スルホフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン-6-イル、2-クロロ-4-(4′-スルホフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン-6-イル、2-フルオロ-4-(4′-スルホフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン-6-イル、2-フルオロ-4-(2′-スルホフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン-6-イル、2-クロロ-4-(2′-スルホフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン- 6-イル、2-クロロ-4-{4′-[7′-(4″-β-スルファトエチルスルホニル)アゾ-3′,6′-ジスルホ- 8′-ヒドロキシ-1′-ナフチル}アミノ-1,3,5-トリアジン- 6- イル、2- フルオロ-4-{4′-[7′-(4″-β-スルファトエチルスルホニル)アゾ-3′,6′-ジスルホ-8′-ヒドロキシ-1′- ナフチル}アミノ-1,3,5-トリアジン-6-イルおよび2-フルオロ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-6-イルである。
【0022】
一般式(1)の染料および一般式(2)の染料は、両方共、特にこれら染料が同一の発色団を有する場合、Yの定義の範囲内の異なる繊維反応性基- SO2 - Yを有していてもよい。特に染料混合物は、同一の発色団を有する一般式(1)の染料および/または同一の発色団を有する一般式(2)の染料──これらの場合繊維反応性基- SO2 - Yは同一の発色団を有する染料において一方ではビニルスルホニル基でありそして他方ではβ- クロロエチルスルホニルまたはβ- チオスルファトエチルスルホニルまたは、好ましくはβ- スルファトエチルスルホニル基である──を含んでいてもよい。染料混合物が、このような染料成分をビニルスルホニル染料の形で含有するなら、そのビニルスルホニル染料対各β- クロロ- またはβ- チオスルファト- またはβ- スルファトエチルスルホニル染料の比率は、それら染料発色団に対し約30モル%までである。
【0023】
この場合、ビニルスルホニル染料対β- スルファトエチルスルホニル染料のモル比が2:98ないし30:70である染料混合物が好ましい。
本発明の染料混合物は、固体または液体(溶解した)の形で配合物として存在しうる。これら染料混合物は、一般に水溶性および、特に繊維反応性染料の場合慣用の電解質塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび硫酸ナトリウムを含有しそしてまた市販染料において慣用の助剤、例えば水溶液中のpHを3ないし7に設定することができる緩衝物質、例えば酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウム、または固体の場合は少量の乾燥剤等を含有していてもよい。あるいはこれら染料混合物が、液状の場合は水溶液(捺染ペ−ストにおいて慣用のような糊剤をも含む)状やこれら組成物の耐久性を保証する物質、例えば防カビ剤を含有していてもよい。
【0024】
一般に本発明の染料混合物は、染料粉末または組成物に対し10ないし80重量%の濃度標準化希釈電解質塩を含有する染料粉末として存在している。これら染料粉末は、さらに上記の緩衝物質を染料粉末に対し5%までの全量で含有していてもよい。本発明の染料混合物が、水溶液の形で存在しているなら、これら水溶液中の全染料含有率は、約50重量%まで、例えば5ないし50重量%であって、これら水溶液の電解質塩含有率は、水溶液に対し10重量%以下であり、水溶液(液状組成物)は、一般に上記緩衝物質を5重量%まで、好ましくは2重量%までの量で含有していてもよい。
【0025】
本発明の染料混合物は、慣用の方法で、例えば個々の染料を所要の割合で機械的に混合してまたは、慣用のジアゾ化およびカップリング反応による合成によりジアゾおよびカップリング成分の適当な混合物を当業者間で周知の方法でそしてこのために必要な量割合で使用して製造することができる。例えば1- アミノ- 8- ナフト−ル- 3,6- ジスルホン酸を適当に過剰の、一般式(6)
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、Yは前記と同一の意味を有する)
で示されるアミンのジアゾニウム塩と0.3ないし2.5のpHおよび0ないし20℃の温度において反応させて一般式(3b)の前記モノアゾ化合物を得、次にpHを4ないし7に高め、バッチに一般式(7)
【0028】
【化6】

【0029】
(式中、M、R0 1 およびR2 は前記と同一の意味を有する)
で示される化合物を添加しそしてカップリング反応を4ないし7、好ましくは5ないし6のpHおよび0ないし20℃の温度において完了させて一般式(1)および(2)のアゾ染料を得るようにして実施することができる。本発明の染料混合物は、化学的手段により、一般式(3b)および(7)の出発化合物を水に溶解して(またはこれら成分の水溶液を互いにに混合して)、互いに機械的に混合し、適量の、一般式(6)のアミンのジアゾニウム塩を添加しそしてカップリング反応を3ないし7、好ましくは4ないし6のpHおよび0ないし20℃の温度において実施するようにして製造することもできる。
【0030】
得られる染料混合物は、慣用の方法で、例えば電解質塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化リチウムを用いた塩析または噴霧乾燥により溶液から単離することができる。
【0031】
本発明の染料混合物が、個々の染料を機械的に混合して製造されるなら、その場合、染色技術においてそして染色するために使用される染色組成物において慣用の、必要な濃度標準化希釈剤、粉立ち防止剤または別の助剤が混合操作の間に添加される。
【0032】
一般式(2)の化合物のうち、一般式(2A)
【0033】
【化7】

【0034】
(式中、M、Y、R1 およびR2 は前記と同一の意味を有しそしてフルオロトリアジニルアミノ残基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシナフタリン残基に結合している)
で示される化合物は、従来文献に記載されておらず、それゆえ新規である。それゆえ本発明は、一方で一般式(2A)のモノアゾ化合物、その製法およびその化合物を染料として使用する方法にも関する。
【0035】
一般式(2A)の化合物は、本発明により一般式(6)の化合物を慣用および公知の方法で(例えば塩酸を含有する溶液中でアルカリ金属亜硝酸塩により2以下のpHおよび−5℃ないし+10℃の温度において)ジアゾ化しそして得られるジアゾニウム塩を一般式(7A)
【0036】
【化8】

【0037】
(式中、M、R1 およびR2 は前記の意味を有しそしてフルオロトリアジニルアミノ残基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシナフタリン残基に結合している)
で示される化合物と3ないし7、好ましくは4ないし6のpHおよび0ないし20℃の温度においてカップリングするか、あるいは一般式(8)
【0038】
【化9】

【0039】
(式中、YおよびMは前記の意味を有しそしてジフルオロトリアジニルアミノ残基基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシ- 6- スルホナフタリン残基に結合している)
で示される化合物を一般式(9)
【0040】
【化10】

【0041】
(式中、M、R1 およびR2 は前記の意味を有する)
で示される化合物と2ないし7、好ましくは3ないし6のpHおよび5ないし20℃、好ましくは5ないし10℃の温度において反応させるか、あるいは一般式(10)
【0042】
【化11】

【0043】
(式中、M、R1 およびR2 は前記の意味を有する)
で示される化合物を4ないし7、好ましくは5ないし6のpHおよび−5℃ないし+20℃、好ましくは0ないし10℃の温度において一般式(11)
【0044】
【化12】

【0045】
(式中、MおよびYは前記の意味を有しそして遊離アミノ基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシ- 6- スルホナフタリン残基に結合している)
で示される化合物と反応させることにより製造することができる。
【0046】
一般式(7A)の出発化合物は、ドイツ特許出願公開第2746109号明細書中に記載されている方法に従ってトリフルオロトリアジンを一般式(9)のアミノ化合物と反応させ、そして得られる一般式(10)のジフルオロトリアジニルアミノ化合物を2- または3- アミノ- 6- スルホ- 8- ナフト−ルと0ないし20℃、好ましくは5ないし10℃の温度および2ないし7、好ましくは3ないし6.5のpHにおいて反応させることにより製造することができる。一般式(8)の出発化合物は、2- または3- アミノ- 6- スルホ- 8- ナフト−ルを一般式(6)のアミンのジアゾニウム塩とカップリングさせて得られるアゾ化合物をフッ化シアヌル(トリフルオロトリアジン)と0ないし5℃の温度および2ないし7、好ましくは3ないし6のpHにおいて反応させて製造することができる。
【0047】
一般式(2A)の本発明によるモノアゾ化合物は、非常に良好な染料特性を有する。繊維反応性染料に関して技術的に慣用の適用および固着法により使用する場合、これら化合物は、ヒドロキシ- および/またはカルボキシアミド- 含有繊維材料上に著しく堅牢な染色および捺染を橙色ないし褐色色調で与える。
【0048】
ヒドロキシ- 含有繊維材料は、天然または合成ヒドロキシ- 含有繊維材料、例えばセルロ−ス繊維材料──これには紙の形のものが包含される──またはその再生生成物およびポリビニルアルコールである。セルロース繊維材料は、好ましくは木綿であるが、別の植物繊維、例えばリンネル、麻、ジュートおよびラミー繊維でもよい。再生セルロース繊維は、例えばステープルビスコースおよびフィラメントビスコースである。
【0049】
カルボキシアミド- 含有繊維材料の例は、合成および天然ポリアミドまたはポリウレタン繊維、例えば羊毛および別の動物毛、絹、皮革、ナイロン- 6,6、ナイロン- 6、ナイロン- 11およびナイロン- 4である。
【0050】
一般式(1)および(2)の染料からなる本発明の混合物は、ヒドロキシ- および/またはカルボキシアミド- 含有繊維材料を、繊維反応性染料に関する技術における多数の文献中に示されている適用および固着方法により濃い黒色色調で良好なカラービルドアップおよび非固着染料分に関する良好な洗出能を以て染色する。
【0051】
それゆえ本発明は他方では、一般式(2A)の新規なモノアゾ化合物および本発明の染料混合物を、ヒドロキシ- および/またはカルボキシアミド- 含有繊維材料を染色(捺染をも包含する)するために使用する方法および一般式(2A)の新規染料または本発明の染料混合物を使用してこのような繊維材料を染色する方法において、染料(染料混合物)を、溶解した形でこのような繊維材料に適用し、そして染料をアルカリの作用によりまたは加熱によりまたはその両方の手段によりこのような材料上に固着してこのような材料を染色する方法に関する。
【0052】
本発明の染料および染料混合物の適用は、繊維反応性染料に関して公知の適用技術により繊維材料を染色および捺染する、一般的に公知の方法により実施される。本発明による染料混合物中の染料は、互いに著しい相容性を有するから、本発明の染料混合物は、有利には吸尽染色法において使用してもよい。染料混合物を、長浴から吸尽染色法により、例えば40ないし105℃の温度、所望により130℃までの温度において過圧下および、所望により慣用の染色助剤の存在下に酸結合剤および、所望により中性塩、例えば塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムを用いてセルロ−ス繊維に適用して、非常に良好なカラーイールドでそして優れたカラービルドアップおよび一定の色調を有する染色を形成する。この場合材料を熱浴中に導入し、この浴を所望の染色温度に徐々に加熱しそして染色操作をその温度において完了させるように実施してもよい。染料の吸尽を促進する中性塩は、所望なら、実際の染色温度に到達直後浴に添加してもよい。
【0053】
同様に、セルロース繊維に関する慣用の捺染法──これは一段階法で、例えば重炭酸ナトリウムまたは他の酸結合剤および着色剤を含有する捺染ペ−ストを用いて捺染し、次に100ないし103℃において蒸熱して実施するかまたは二段階法で、例えば着色剤を含有する中性または弱酸性捺染ペーストを用いて捺染し、次に捺染材料を熱い電解質- 含有アルカリ性浴に通すかまたはアルカリ性電解質- 含有パジング液を用いてオーバーパジングし、その後この処理した材料をバッチングさせるかまたは次に蒸熱するかまたは次に乾熱により処理して固着させて実施することができる──は、十分に明瞭な輪郭および明確な白色地を有する濃い捺染物を形成する。捺染の成果は、固着条件の変更により著しくは影響されない。染色におけるばかりでなく、捺染においても、本発明の染料混合物を用いて得られる固着度は、非常に高い。慣用の熱固着法により乾熱により固着する場 合、120ないし200℃の熱風が使用される。101ないし103℃における慣用の蒸気のほかに、過熱蒸気および160℃までの温度を有する高圧蒸気を使用することもできる。
【0054】
セルロース繊維材料上に本発明の染料を固着させる酸結合剤は、例えば、無機または有機酸のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水溶性の塩基性塩および加熱の際アルカリを遊離する化合物である。特に、アルカリ金属水酸化物および弱ないし中濃度の無機または有機酸のアルカリ金属塩が可能であり、その際好ましいアルカリ金属化合物は、ナトリウム化合物およびカリウム化合物である。このような酸結合剤の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ギ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムである。
【0055】
本発明による一般式(2A)の化合物は、染料混合物に関する前記と同一の方法で染色および捺染において使用することができる。
【0056】
酸結合剤を用いて熱を作用させてまたは作用させずに染料を処理することにより、染料をセルロース繊維に化学的に結合させ、特にセルロース染色物は、染料の非固着分を除去するためのゆすぎによる慣用の後処理を施した後、優れた湿潤堅牢性を示す。何となれば特に非固着染料分は、それらの良好な冷水溶性のために容易に洗去されるからである。
【0057】
ポリウレタンおよびポリアミド繊維の染色は、通常酸性媒体から実施される。例えば染浴に、所望のpHをもたらすために、酢酸および/または硫酸アンモニウムまたは酢酸および酢酸アンモニウムまたは酢酸ナトリウムを含有していてもよい。適度な均染性を有する染色物を得るために、慣用の均染助剤、例えば塩化シアヌルと3倍モル量のアミノベンゼンスルホン酸またはアミノナフタリンスルホン酸との反応生成物または、例えばステアリルアミンとエチレンオキシドとの反応生成物を主成分とする該剤を添加することが推奨される。一般に、染色されるべき材料を浴中に約40℃の温度において導入し、その中で数時間揺動させ、次に染浴を所望の弱酸性、好ましくは弱酢酸酸性pHに調節しそして実際の染色を60ないし98℃の温度において実施する。しかし染色を沸とう温度または120℃までの温度(過圧下)において実施することもできる。
【実施例】
【0058】
以下の例は、本発明を説明するためのものである。特記しない限り、部および百分率は重量に関する。重量部対容量部は、キログラム対リットルと同じ関係を有する。
【0059】
例中で式により記載した染料は、遊離酸の形で示されている。しかし一般に染料は、それらのアルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩の形で製造されそして単離されそしてそれらの塩の形で染色に使用される。同様に以下の例、特に表例中で遊離酸の形で挙げた出発化合物及び成分は、そのまままたはそれらの塩、好ましくはアルカリ金属塩の形で合成に使用することができる。
例 1
2- アニリンスルホン酸35.4部を2,4,6- トリフルオロ- 1,3,5- トリアジン29.8部とドイツ特許出願公開第2746109号明細書中に記載の方法に従って反応させる。その後3- アミノ- 8- ナフト−ル- 6- スルホン酸47部を混合物に攪拌下に添加し、pHを6にしそして反応を、水酸化リチウム水溶液によりこのpHを保ちながら、5ないし10℃の温度において約3時間完了させる。製造した化合物を塩化ナトリウムによる塩析により合成溶液から沈澱させそして濾別する。
【0060】
このように製造した、カップリング成分として使用される化合物3- [2′- フルオロ- 4′- (2″- スルホフェニル)アミノ- 1′,3′,5′- トリアジン- 6′- イル]アミノ- 8- ナフト−ル- 6- スルホン酸50.7部を氷水800容量部中に懸濁させそしてこの懸濁液に、常法で製造した、4- (β- スルファトエチルスルホニル)アニリン28.1部のジアゾニウム塩の塩酸含有- 水性懸濁液を30分間にわたって5ないし6のpHおよび0ないし15℃の温度を保ちながら、攪拌下に添加する(pH範囲の保持は、炭酸ナトリウム水溶液の連続的添加により実施することができる)。その後混合物を約1時間攪拌し、pHを7にし、所望ならリン酸塩緩衝剤としてのリン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウム若干部を添加しそして製造された本発明のモノアゾ化合物を慣用の方法で噴霧乾燥によりまたはアルカリ金属塩としての塩化ナトリウムによる塩析により単離する。この化合物は、遊離酸の形で記載して式
【0061】
【化13】

【0062】
を有し、非常に良好な繊維反応性染料特性を有しそして、本明細書中に記載の材料、例えば特にセルロ−ス繊維材料、例えば木綿に適用する場合、染色および捺染を濃い黄金橙色色調で与える。
例 2ないし9
次の表例中で、一般式(A)
【0063】
【化14】

【0064】
に相当する本発明の別の新規なモノアゾ化合物を、それらの成分にもとづいて記載する。これら化合物は、本発明の方法で、一般式(A)から明らかな出発化合物(ジアゾ成分D- NH2 、2- または3- アミノ- 6- スルホ- 8- ナフト−ル、フッ化シアヌルおよび一般式H2 N- Rで示されるアニリン)から製造することができる。これら化合物は、非常に良好な繊維反応性染料特性を有しそして本明細書中に挙げた材料、特にセルロース繊維材料をそれぞれの表例中(この場合木綿に関して)で示された色調で著しい色の濃さおよび良好な堅牢性でもって染色する。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
例 A
一般式(1)──式中、両方の基- SO2 - Yが残基β-スルファトエチルスルホニルを示し、その両方がアゾ基に対するパラ- 位においてそれぞれのベンゼン環に結合している──で示されるジスアゾ染料40部および式
【0068】
【化15】

【0069】
で示される染料13部を相互に磨砕して均質な混合物を得る。繊維反応性染料に関して慣用の方法により、例えば木綿に適用する場合、本発明の染料混合物は、良好な堅牢性──そのうち、特に良好な洗濯堅牢性または繊維材料に固着していない染料分の染色物からの良好な洗出性を強調することができる──を有する濃い黒色染色および捺染を与える。
【0070】
例 B
一般式(1)──式中、両方の基- SO2 - Yが残基β- スルファトエチルスルホニルを示し、その両方がアゾ基に対するパラ- 位においてそれぞれのベンゼン環に結合している──で示されるジスアゾ染料40部および例1のモノアゾ染料13部を相互に磨砕して均質な混合物を得る。繊維反応性染料に関して慣用の方法により、例えば木綿に適用する場合、本発明の染料混合物は、良好な堅牢性──そのうち、特に良好な洗濯堅牢性または繊維材料に固着していない染料分の染色物からの良好な洗出性を強調することができる──を有する濃い黒色染色および捺染を与える。
【0071】
例 C
4-(β-スルファトエチルスルホニル)アニリン37.8部を慣用の方法によりジアゾ化しそしてこの塩酸含有- ジアゾニウム塩懸濁液を氷水600部中1-アミノ-8-ナフト−ル-3,6-ジスルホン酸32部の懸濁液中にかきまぜる。炭酸水素ナトリウムによりpHを1ないし1.5に保ちながら、10℃において4時間攪拌を続行し、次に例1の方法に従って製造することができる、化合物3-[2′-フルオロ-4′-(3″-スルホフェニル)アミノ-1′,3′,5′-トリアジン-6′-イル]アミノ- 6-スルホ-8- ナフト−ル17.8部を添加し、pHを5ないし6に設定しそして混合物を、このpH範囲を保ちながら約5℃の温度においてさらに約3時間攪拌する。その後混合物を、7のpHに調節し、所望ならリン酸塩緩衝剤若干部を添加しそして染料混合物を噴霧乾燥により単離する。
【0072】
染料混合物は、ジスアゾ染料2,7- ジ[4′-(β-スルファトエチルスルホニル)フェニルアゾ]-3,6-ジスルホ-1-アミノ-8-ヒドロキシナフタリン88部およびモノアゾ染料7-[4′-(β- スルファトエチルスルホニル)フェニルアゾ]-6-スルホ-3- アミノ-[2″-フルオロ-4″-(3′′′-スルホフェニル)アミノ-1″,3″,5″-トリアジン- 6″-イル]アミノ-8-ヒドロキシナフタリン28部を含有する。本発明の染料混合物は、非常に良好な適用技術的性質を有しそして木綿を、例えば繊維反応性染料に関して慣用の適用および固着法により著しく濃い黒色色調で染色する。
【0073】
例 D
例Cの方法を繰り返すが、ただしそこで使用されるフルオロトリアジニルアミノナフト−ル化合物の代わりにカップリング成分としての化合物3- 2′-フルオロ-4′- (2″- スルホフェニル)アミノ- 1′,3′,5′-トリアジン-6′-イル]アミノ-6- スルホ-8-ナフト−ル25部を使用する。
【0074】
木綿を、例えば技術的に慣用の染色および捺染法により濃い黒色色調で染色する染料混合物が得られる。
【0075】
例 E
例Cの方法を繰り返すが、ただしそこで使用されるフルオロトリアジニルアミノナフト−ル化合物の代わりにカップリング成分としての化合物3- [2′-フルオロ-4′-(2″-スルホ-4″-メチルフェニル)アミノ-1′,3′,5′-トリアジン-6′-イル]アミノ-6-スルホ-8-ナフト−ル23部を使用する。
【0076】
木綿を、例えば技術的に慣用の染色および捺染法により濃い黒色色調で染色する染料混合物が得られる。
【0077】
例 F
本発明の染料混合物を製造するために、例Cの方法を繰り返すが、ただしジアゾ化反応において4- (β- スルファトエチルスルホニル)アニリン37.8部の代わりにこの化合物43部をそして付加的カップリング成分として化合物1- [2′- クロロ- 4′- (3″- スルホ- フェニル)アミノ- 1′,3′,5′- トリアジン- 6′- イル]アミノ- 3,6- ジスルホ- 8- ナフト−ル10部を使用する。
【0078】
本発明の染料混合物は、繊維反応性染料に関して技術的に慣用の染色および捺染法により濃い黒色染色および捺染を与える。
【0079】
例 G
例Fの方法を繰り返すが、ただしそこで示された1- クロロトリアジニルアミノ- 3,6- ジスルホ- 8- ナフト−ル化合物の代わりに化合物1- (2′- フルオロ- 4′- モルホリノ- 1′,3′,5′- トリアジン- 6′- イル)アミノ- 3,6- ジスルホ- 8- ナフト−ル10部を使用する。
【0080】
木綿を、例えば濃い黒色色調で染色する染料混合物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(2A)
【化1】

(式中、
Mは水素またはアルカリ金属であり、
Yはビニル、β- クロロエチル、β- ホスファトエチル、β- チオスルファトエチルまたはβ- スルファトエチルであり、
1 は水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、スルホまたはカルボキシであり、
2 は水素、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシであり、
そして
フルオロトリアジニルアミノ基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシ- 6- スルホナフタリン残基に結合している)
で示されるモノアゾ化合物。
【請求項2】
請求項1記載の一般式(2A)のモノアゾ化合物を製造する方法において、一般式(6)
【化2】

(式中、Yは請求項1記載の意味を有する)
で示される化合物をジアゾ化しそして得られたジアゾニウム塩を一般式(7A)
【化3】

(式中、M、R1 およびR2 は請求項1記載の意味を有しそしてフルオロトリアジニルアミノ残基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシナフタリン残基に結合している)
で示される化合物と3ないし7のpHおよび0ないし20℃の温度においてカップリングさせるか、あるいは一般式(8)
【化4】

(式中、YおよびMは請求項1記載の意味を有しそしてジフルオロトリアジニルアミノ残基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシ- 6- スルホナフタリン残基に結合している)
で示される化合物を一般式(9)
【化5】

(式中、M、R1 およびR2 は請求項1記載の意味を有する)
で示される化合物と2ないし7のpHおよび5ないし20℃の温度において反応させるか、あるいは一般式(10)
【化6】

(式中、M、R1 およびR2 は請求項1記載の意味を有する)
で示される化合物を4ないし7のpHおよび−5ないし+20℃の温度において一般式(11)
【化7】

(式中、MおよびYは請求項1記載の意味を有しそして遊離アミノ基は2- 位または3- 位において8- ヒドロキシ- 6- スルホナフタリン残基に結合している)
で示される化合物と反応させることを特徴とする方法。
【請求項3】
ヒドロキシ- および/またはカルボキシアミド- 含有繊維材料を染色するために請求項1記載のモノアゾ化合物を使用する方法。
【請求項4】
染料を、溶解した形でヒドロキシ- および/またはカルボキシアミド- 含有繊維材料に適用しそして染料を熱によりまたはアルカリによりまたはその両方の作用により該材料上に固着して該材料を染色する方法において、染料が請求項1記載のモノアゾ化合物であることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2007−119788(P2007−119788A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323749(P2006−323749)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【分割の表示】特願平7−106286の分割
【原出願日】平成7年4月28日(1995.4.28)
【出願人】(596141033)ダイスター・テクステイールフアルベン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・ドイチユラント・コマンデイトゲゼルシヤフト (2)
【氏名又は名称原語表記】DyStar Textilfarben GmbH & Co. Deutschland KG
【住所又は居所原語表記】Frankfurt am Main, Germany
【Fターム(参考)】