説明

黒色腫の治療のためのガリウム(III)錯体の使用

本発明は、黒色腫の治療のためのガリウム(III)錯体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色腫の治療のためのガリウム(III)錯体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
単純なガリウム塩、例えば塩化ガリウム(III)および硝酸ガリウムが、ヒトにおいて腫瘍性疾患と闘うために使用されることは公知である。例えば、Colleryは、様々なヒト腫瘍の治療における塩化ガリウムの使用を、US 4,596,710(特許文献1)に記載している。US 4,529,593(特許文献2)は、とりわけ腫瘍に関連する高カルシウム血症の治療のための硝酸ガリウムの使用を記載している。これらの小さな無機化合物の重大な欠点は、一方では経口適用の場合の非常に限られた生物学的利用能であり、他方では重大な腎毒性であり、これはヒトの中の臨床適用を非常に難しくする(Krakoff et al., Cancer 44, 1722-1727, 1997(非特許文献1); Senderowicz et al., Urol. Int. 1999, 63, 120-125(非特許文献2); Fagbemi et al. Seminars in Urologic Oncology, 1998, 16, 23-29(非特許文献3); Schwartz et al. Anticancer Res. 1984, 4, 317-318(非特許文献4))。これとは別に、体重減少、肺炎、および肝障害は、単純なガリウム塩の使用においても観察された(Hart et al., J. Natl. Cancer Inst. 47, 1121-1127, 1971(非特許文献5))。したがって、単純なガリウム塩である塩化ガリウムおよび硝酸ガリウムに代わるものの探索が行われている。
【0003】
上記の欠点を回避する化合物は、ガリウムマルトレイト(gallium maltolate)であり、今ちょうど臨床的に試験されている(Lawrence Bernstein, WO 93/09776(特許文献3))。この化合物は、有意に増大した生物学的利用能によって識別される。
【0004】
さらに、窒素含有配位子を有するガリウム(III)錯体は、はるかに高い親油性を示し、経口適用における生物学的利用能を向上させ、実験的な動物腫瘍、例えば軟部組織肉腫においてそれらの抗腫瘍効果を示す可能性がある(Collery et al. WO 93/02087(特許文献4); Thiel et al. in: Relevance of Tumour Models for Anticancer Drug Development. Contrib. Oncol. Basel, Karger, 54, 439-442, 1999(非特許文献6))。経口適用は、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害のメカニズムのために、腫瘍性疾患の治療におけるガリウム化合物の場合には特に望ましく、これらの化合物を、できれば長期にわたって連続的に投与する必要がある。
【0005】
WO 02/074304(特許文献5)には、他の治療上有効な細胞増殖抑制剤、例えば様々なプラチナ(II)錯体などと組み合わせた、窒素含有配位子を有するガリウム(III)錯体の使用が記載されている。
【0006】
意外にも、一般式(I)のガリウム(III)錯体は、他の細胞毒性化合物と組み合わせなくても、黒色腫の治療において特に有用であることが今では明らかになっている。この適応症に有効な薬物に対する需要は依然として大きい。一般式(I)のガリウム錯体がこれらの癌疾患の治療において高活性を示すことが、前臨床試験において示される可能性がある。
【0007】
【特許文献1】US 4,596,710
【特許文献2】US 4,529,593
【特許文献3】WO 93/09776
【特許文献4】WO 93/02087
【特許文献5】WO 02/074304
【非特許文献1】Krakoff et al., Cancer 44, 1722-1727, 1997
【非特許文献2】Senderowicz et al., Urol. Int. 1999, 63, 120-125
【非特許文献3】Fagbemi et al. Seminars in Urologic Oncology, 1998, 16, 23-29
【非特許文献4】Schwartz et al. Anticancer Res. 1984, 4, 317-318
【非特許文献5】Hart et al., J. Natl. Cancer Inst. 47, 1121-1127, 1971
【非特許文献6】Thiel et al. in: Relevance of Tumour Models for Anticancer Drug Development. Contrib. Oncol. Basel, Karger, 54, 439-442, 1999
【発明の開示】
【0008】
したがって、本発明の目的は、黒色腫を治療することである。
【0009】
この目的は、一般式(I)の化合物の使用によって達成される。

式中、Rは、N含有基であり、一般式(II)〜(VII)の群より選択される:

式中、
R1は、それぞれ置換または非置換であってもよいC1〜C6-アルキレン、C3〜C8-シクロアルキレン、C3〜C8-シクロアルケニレン、C2〜C6-アルケニレン、芳香族であってもよい単核または多核のC6〜C14環システムまたはヘテロ環であり;
R2およびR3は、それぞれ置換もしくは非置換であってもよいC1〜C10-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-シクロアルケニル、C2〜C10-アルケニル、芳香族であってもよい単核もしくは多核のC6〜C14環システムもしくはヘテロ環、または水素であり;
ならびにR1およびR2、またはR1およびR3、またはR2およびR3は、さらに窒素原子を含んでいてもよいヘテロ環を形成してもよく;

式中、R4はR1と同じ意味を有し、R5はR2と同じ意味を有し、ならびに
R4およびR5はNとともに、さらに窒素原子を含みうる芳香族であってもよい環システムを形成してもよく;
iは、0〜3の整数であり、ならびに式(III)および/または(VI)のN含有基の合計に対応し;
Yは、ハロゲン、擬ハロゲン、HCO3、またはR'が、それぞれ置換もしくは非置換であってもよいC1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C3〜C6-シクロアルキル、C3〜C6-シクロアルケニル、アリールであるR'COO、および/または生理学的に適合性のアニオン、および生理学的に適合性のそれらの付加塩である。
【0010】
さらに、R1に対するヘテロ環は、1つまたは複数の窒素原子を有する単核または多核の基本的なヘテロ環が好ましい。
【0011】
好ましい態様では、R1は、それぞれ置換または非置換であってもよいC1〜C6-アルキレン、C3〜C6-シクロアルキレン、C3〜C6-シクロアルケニレン、C2〜C6-アルケニレン、C6〜C14-アリーレン、またはヘテロ環であり、ならびに
R2およびR3は、それぞれ置換もしくは非置換であってもよいC1〜C10-アルキル、C3〜C6-シクロアルキル、C3〜C6シクロアルケニル、C2〜C10-アルケニル、C6〜C14-アリール、もしくはヘテロ環、または水素である。
【0012】
R1は、以下が好ましい:
C1〜C5-アルキレン(例えばn-ブチレンまたはn-ペンチレン)、特にC1〜C3-アルキレン(例えばメチレン、エチレン、n-プロピレン、またはi-プロピレン);C2〜C5-アルケニレン(例えばブテニレンまたはペンテニレン)、特にC2〜C3-アルケニレン(例えばエテニレンまたはプロペニレン);
C3〜C6-シクロアルキレン(例えばシクロペンチレンまたはシクロヘキシレン)、特にC3〜C4-シクロアルキレン(例えばシクロプロピレンまたはシクロブチレン);C3〜C6-シクロアルケニレン、特にC5〜C6-シクロアルケニレン(例えばシクロペンテニレンまたはシクロヘキシニレン);C6〜C10-アリーレン、特にベンジレン。
【0013】
R2およびR3は、以下が好ましい:
C1〜C6-アルキル(例えばn-ブチル、n-ペンチル、またはn-ヘキシル)、特にC1〜C3-アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、またはi-プロピル);
C2〜C6-アルケニル(例えばブテニル、ペンテニル)、特にC2〜C3-アルケニル(例えばエテニルまたはプロペニル);
C3〜C6-シクロアルキル(例えばシクロペンチルまたはシクロヘキシル)、特にC3〜C6-シクロアルキル(例えばシクロプロピルまたはシクロブチル);
C3〜C6-シクロアルケニル、特にC5〜C6-シクロアルケニル(例えばシクロペンテニルまたはシクロヘキセニル);
C6〜C10-アリール、特にベンジル。
【0014】
好ましい態様では、R4およびR5は、芳香環を形成する。
【0015】
好ましい態様では、R1、R2、および/またはR3は、以下によって置換される:
水酸基、アミノ基、-SO3H、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C2〜C4-アルケニル、C3〜C6-シクロアルキル、C3〜C6-シクロアルケニル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-アルコキシ-C1〜C4-アルキレン、C1〜C4-アルキルメルカプト、C1〜C4-アルキルメルカプト-C1〜C4-アルキレン、ホルミル基、C1〜C4-アルコキシカルボニル、C1〜C4-アルコキシカルボニル-C1〜C4-アルキレン、ジ-C1〜C4-アルキルアミノ、ジ-C1〜C4-アルキルアミノ-C1〜C4-アルキレン、ジ-C1〜C4-アルキルアミノカルボニル、ジ-C1〜C4-アルキルアミノカルボニル-C1〜C4-アルキレン。
【0016】
さらに、一般式(II)の基は、好ましくは式(VIII)および(IX)の群より選択される:
式中、

R2、R3は、上記で定義した通りであり、
R6は、それぞれ置換または非置換であってもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
pは0〜4であり、
m、m'は、0〜2、特に1である。
【0017】
さらに、p = 2の場合は、2つのオルト位置換基R6は、芳香環を形成していてもよい。
【0018】
好ましい態様では、R6は、上記で定義した通りR1、R2、および/またはR3に置換される。
【0019】
一般式(III)の基は、好ましくは式(X)および(XI)の群より選択される:

式中、R2、R3、R6、p、m、m'は、上記で定義した通りである。
【0020】
一般式(IV)の基は、好ましくは式(XII)および(XII)の群より選択される:

式中、R2、R3、R6、p、m、m'は、上記で定義した通りである。
【0021】
一般式(V)の基は、好ましくは式(XIV)および(XV)の群より選択される:

式中、
R6は、上記の通りであり、
R7は、それぞれ置換または非置換であってもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール、
ハロゲン、スルホニルであり、
qは0〜3であり
rは0〜2であり、ならびに
nは0〜2、特に1である。

【0022】
さらに、qまたはrが2の場合は、2つのオルト位置換基R6は、芳香環を形成していてもよい。
【0023】
一般式(VI)の基は、好ましくは式(XVI)および(XVII)の群より選択される:

式中、R6、R7、q、r、nは、上記で定義した通りである。

【0024】
一般式(VII)の基は、好ましくは式(XIII)および(XIX)の群より選択される:

式中、R6、R7、q、r、nは、上記で定義した通りである。

【0025】
さらに好ましい態様では、一般式(I)中のYは塩素である。
【0026】
特に好ましくは、式(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、および(XIV)の基において、q = 0およびr = 0である。
【0027】
一般式(I)中のRは、特に非常に好ましくは、式(XV)の基であり、かつ(q = 0)である。
【0028】
本発明は、黒色腫を治療するための薬剤を調製するための一般式(I)のガリウム(III)錯体の使用にも関する。
【0029】
一般式(I)のガリウム錯体による治療に適した黒色腫は、メラニン欠乏性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端性黒子性黒色腫、類上皮細胞黒色腫、結節型黒色腫、母斑と関連した黒色腫、表面的な広がりを有する黒色腫、または紡錘細胞黒色腫であってもよい。他の臓器におけるこれらの腫瘍の転移を、一般式(I)のガリウム錯体で治療してもよい。
【0030】
上記の癌疾患を治療するために、式(I)のガリウム錯体は、特に好ましくは経口投与されるが、静脈内、筋肉内、または腹腔内にも投与される。外用または局所適用も可能である。経口適用による投与が好ましい。
【0031】
本発明に従うガリウム(III)錯体の使用は、任意の適当な製剤中で、活性成分の適正水準の組成または維持が保証される条件で、実施されてもよい。これは、例えば、適当な用量における経口投与または非経口投与の方法によって達成できる。都合よく、活性成分の薬学的調製物は、所望の投与に適応した単位用量の形状である。単位用量は、例えば、錠剤、コーティング錠、カプセル、坐薬、または適当な量の粉末剤、顆粒剤、溶液剤、乳剤、もしくは懸濁液剤であってもよい。
【0032】
本発明の意味の中での「単位用量」は、薬学的担体物質と組み合わせた活性成分の個々の量を含む物理的に定義された単位として理解され、その活性成分の含有量は、治療上の単一用量の分割数または倍数に対応する。単一用量は、好ましくは適用において投与される活性成分の量を含み、通常は全1日量、1日量の半分、1日量の3分の1、または1日量の4分の1に対応する。1回の治療的投与に分割数、例えば、単位用量の半分または単位用量4分の1が必要な場合、単位用量は、例えば、割目のポイントがある錠剤の形状で分割できることが好ましい。
【0033】
単位用量で実施される場合、および例えばヒトへの適用が意図される場合、適当な薬剤中での本発明に従うガリウム(III)錯体の使用は、約0.1mg〜3000mg、好ましくは10mg〜2000mg、および特に30mg〜1500mgの活性成分で行なってよい。活性成分は、一度投与してもよいが、連続的に長期にわたって投与してもよい。経口治療で、同様の投薬量を使用してよい。
【0034】
薬剤中での本発明に従う治療上のガリウム(III)錯体の使用は、1日に1〜4回、固定時間、または変動時間(例えば食前および/または晩ごと)に行われてよい。しかしながら、前記投薬量から外れる必要がある、すなわち治療される人の体型、体重および年齢、病気の種類および重症度、薬剤の調製および適用方法、ならびに投与が実施される期間または間隔に依存する場合がある。例えば、あるケースでは、上記の活性成分の量より少ない使用で十分だが、他のケースでは、上記の活性成分の量より多く必要である。薬剤を一度だけ投与する、または数日の間隔で投与する場合に好都合となることもある。
【0035】
すべての当業者は、当人の技術知識により、ガリウム(III)錯体の必要な最適の投薬量および適用の形を確定できる。
【0036】
本発明に従うガリウム(III)錯体の使用は、ガリウム(III)錯体および非毒性の薬学的に許容された薬剤ビヒクル(例えば、固体、半固体、もしくは液体の形状の混合剤もしくは希釈剤、または、例えば、カプセル、錠剤コーティング、バッグ、もしくは治療上の活性成分のためのその他の容器の形状のコーティング剤として使用される)を通常含む薬剤の形状でよい。担体物質は、例えば、体による薬剤取込みに対する媒介物として、製剤賦形剤として、甘味剤として、味覚調整剤(taste corrective)として、色素として、または防腐剤として作用しうる。
【0037】
錠剤、コーティング錠、例えばゼラチンの硬カプセルおよび軟カプセル、分散性粉末剤、顆粒剤、水性懸濁液剤、油性懸濁液剤、乳剤、溶液剤、またはシロップ剤は、例えば経口適用のために使用されてよい。
【0038】
錠剤は、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはラクトース;造粒剤および分布剤(distributing agents)、例えばコーンスターチ、ポリビニルピロリドン、またはアルギナート;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、またはアラビアゴム;ならびに潤滑剤、例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリコーン油であってもよい。それらには、胃腸管における薬剤調製物の分解および再吸収の遅延をもたらす種類のコーティングがさらに提供され、例えば、耐性、延長または遅延が向上する結果が生じてよい。ゼラチンのカプセルは、固体希釈剤、例えば炭酸カルシウムもしくはカオリン、または油性希釈剤、例えばオリーブ油、ピーナッツ油、もしくはパラフィン油を混合した薬剤を含んでもよい。
【0039】
水性懸濁液剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、またはアラビアゴム;分散剤および湿潤剤、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシカタノール(heptadecaethyleneoxycatanol)、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート、またはレシチン;防腐剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチル、またはヒドロキシ安息香酸プロピル); 香料、甘味剤、例えばショ糖、ラクトース、シクラミン酸ナトリウム、ブドウ糖、転化糖シロップを含んでもよい。
【0040】
油性懸濁液剤は、例えば、ピーナッツ油、オリーブ油、ごま油、ココナッツ油、またはパラフィン油、および増粘剤、例えば密蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコール;さらに、甘味剤、香料、および酸化防止剤を含んでもよい。
【0041】
ガリウム(III)錯体が本発明に従って使用される場合、水分散性粉末剤および顆粒剤は、甘味剤、香料および色素と共に、例えば、分散剤、湿潤剤および懸濁剤(例えば上記のもの)を、混合状態で含んでもよい。
【0042】
乳剤は、甘味剤および香料と共に、例えばアラビアゴム、トラガカントゴム、ホスファチド、ソルビタンモノオレアート(sorbitane monooleate)、ポリオキシエチレン-ソルビタン-モノオレアートなどの乳化剤に加えて、例えば、オリーブ油、ピーナッツ油またはパラフィン油を含んでもよい。
【0043】
水溶液は、香料および色素と共に、防腐剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチルまたはヒドロキシ安息香酸プロピル;増粘剤;香料;甘味剤、例えばショ糖、ラクトース、シクラミン酸ナトリウム、ブドウ糖、転化糖シロップを含んでもよい。
【0044】
無菌の注射可能な水溶液、等張塩溶液、または他の溶液は、薬剤の非経口適用に役立つ。
【0045】
本発明は、次に、実施例に関して以下に説明するものとする。
【0046】
実施例
トリス(ヒドロキシキノリノラト)ガリウム(III)の化合物を、ヒト腫瘍から得た黒色腫細胞株上での細胞培養において、その細胞障害活性に関して分析した。
【0047】
化合物は以下のμモル範囲において高活性を示した。
SK-MEL-5 0.76
SK-MEL-28 35

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色腫の治療のための一般式(I)の化合物の使用:

式中、Rは、一般式(II)〜(VII)の群より選択されるN含有基である:

式中、
R1は、それぞれ置換または非置換であってもよいC1〜C6-アルキレン、C3〜C8-シクロアルキレン、C3〜C8-シクロアルケニレン、C2〜C6-アルケニレン、芳香族であってもよい単核または多核のC6〜C14環システムまたはヘテロ環であり;
R2およびR3は、それぞれ置換もしくは非置換であってもよいC1〜C10-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-シクロアルケニル、C2〜C10-アルケニル、芳香族であってもよい単核もしくは多核のC6〜C14環システムもしくはヘテロ環、または水素であり;
ならびにR1およびR2、またはR1およびR3、またはR2およびR3は、さらに窒素原子を含んでいてもよいヘテロ環を形成してもよく;

式中、R4はR1と同じ意味を有し、R5はR2と同じ意味を有し、ならびに
R4およびR5はNとともに、さらに窒素原子を含みうる芳香族であってもよい環システムを形成してもよく;
または、
iは、0〜3の整数であり、かつ式(III)および/または(VI)のN含有基の合計に対応し;
Yは、ハロゲン、擬ハロゲン、HCO3、またはR'が、それぞれ置換もしくは非置換であってもよいC1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C3〜C6-シクロアルキル、C3〜C6-シクロアルケニル、アリールであるR'COO、および/または生理学的に適合性のアニオン、および生理学的に適合性のそれらの付加塩である。
【請求項2】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、および
pは0〜4である。
【請求項3】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、および
pは0〜4である。
【請求項4】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、および
pは0〜4である。
【請求項5】
p = 0である、請求項2〜4のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項6】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、および
m、m'は0〜2である。
【請求項7】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、および
m、m'は0〜2である。
【請求項8】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、および
m、m'は0〜2である。
【請求項9】
mおよびm'が1である、請求項6〜8のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
qは0〜3であり、
rは0〜2であり、および
nは0〜2である。
【請求項11】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
qは0〜3であり、
rは0〜2であり、および
nは0〜2である。
【請求項12】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
qは0〜3であり、
rは0〜2であり、および
nは0〜2である。
【請求項13】
nが1である、請求項10〜12のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R7は、それぞれ置換または非置換であってもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール、
ハロゲン、スルホニルであり、および
qは0〜3である。
【請求項15】
Rが

である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項16】
Rが

である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項17】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R7は、それぞれ置換または非置換であってもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール、
ハロゲン、スルホニルであり、および
qは0〜3である。
【請求項18】
Rが

である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項19】
Rが

である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項20】
請求項1記載の化合物の使用:
式中、Rは、

であり、R7は、それぞれ置換または非置換であってもよいアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール、
ハロゲン、スルホニルであり、および
qは0〜3である。
【請求項21】
Rが

である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項22】
Rが

である、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項23】
Yが塩素である、請求項1〜22の少なくとも一項記載の化合物の使用。
【請求項24】
q = Oである、請求項14、17、または20のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項25】
黒色腫の治療のためのトリス(ヒドロキシキノリノラト)ガリウム(III)の使用。
【請求項26】
黒色腫の転移の治療のための請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項27】
請求項1〜26の少なくとも一項記載の化合物を含有した薬剤。

【公表番号】特表2009−525987(P2009−525987A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553574(P2008−553574)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/AT2007/000071
【国際公開番号】WO2007/092978
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(509023584)ニッキ ファーマ インク. (7)
【Fターム(参考)】