説明

(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノールのフマル酸塩

本発明は、(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノールのフマル酸塩、有効成分として該塩を含んでなる製薬学的組成物ならびにそれらの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノールのフマル酸塩、特に、(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノール(2E)−2−ブテン二酸塩(1:1);該フマル酸塩を含んでなる製薬学的組成物、この塩および製薬学的組成物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
6−ブロモ−α−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−α−1−ナフタレニル−β−フェニル−3−キノリンエタノールおよびその立体異性形態物は、ミコバクテリア疾患、特に、ミコバクテリウム(M)・チュバキュローシス(Mycobacterium(M.) tuberculosis)、M.ボビス(M.bovis)、M.アビウム(M.avium)およびM.マリナム(M.marinum)のような病原性ミコバクテリアによって惹起されるそれらの疾患の処置のために有用な抗ミコバクテリア剤として、特許文献1において開示されている。
【0003】
鏡像異性体(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−α−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−α−1−ナフタレニル−β−フェニル−3−キノリンエタノールは、特許文献1の化合物12(またはA1鏡像異性体)に対応し、そしてミコバクテリア疾患、特に結核を処置するために好適な化合物である。
【0004】
(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノールのフマル酸塩が、非吸湿性であり、かつ安定であることが見出された。水におけるその溶解度およびその溶解速度により、該塩を含んでなる製薬学的組成物は、許容できる生物学的利用性を有して得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2004/011436
【発明の概要】
【0006】
かくして、本発明は、(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノールのフマル酸塩、特に、次の式:
【0007】
【化1】

【0008】
によって表される(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノール(2E)−2−ブテン二酸塩(1:1)に関する。
【発明を実施するための手段】
【0009】
本発明のフマル酸塩は、適当な溶媒、例えば、イソプロパノールの存在下で、対応する遊離塩基をフマル酸と反応させることによって製造することができる。
【0010】
本塩は、薬物耐性菌株を含むミコバクテリア、特に、ミコバクテリウム・チュバキュローシス、M.ボビス、M.アビウム、M.レプレエ(M.leprae)およびM.マリナムに対して、特に薬物耐性M.チュバキュローシス株を含む、ミコバクテリウム・チュバキュローシスに対して活性を示す。本塩は、活動性(active)、感受性(sensitive)、感応性(susceptible)のミコバクテリア菌株および潜伏性(latent)、休眠性(dormant)、持続性のミコバクテリア菌株に対して活性を示す。
【0011】
これ以前またはこれ以降で使用されるような、用語「薬物耐性」は、微生物学における熟達者によって十分理解される用語である。薬物耐性ミコバクテリウムは、少なくとも1種の従来有効な薬物に対してもはや感応性ではなく;少なくとも1種の従来有効な薬物による抗生物質攻撃に耐える能力を発達させたミコバクテリウムである。薬物耐性菌株は、その耐える能力をその子孫にまで中継することがある。該耐性は、単一薬物または種々の薬物に対するその感受性を変える細菌細胞におけるランダムな遺伝子突然変異によっているかもしれない。
MDR結核は、現在2種のもっとも強力な抗TB薬である、少なくともイソニアジド(isoniazid)およびリファンピシン(rifampicin)に対して耐性の細菌(他の薬物に対する耐性の有無によらず)による薬物耐性の結核の特定の形態である。したがって、これ以前またはこれ以降で使用されてもされなくても、「薬物耐性」は多剤薬物耐性を含む。
【0012】
ミコバクテリウム・チュバキュローシスは、1年間に200万人以上の死をもたらし、そしてHIVに感染した人々における死亡の主要原因である。何10年もの結核(TB)制御プログラムにもかかわらず、約20億人の人々が、無症候ではあるがM.チュバキュローシスに感染している。これらの個人の約10%が、彼らの生存期間中に活動性TBを発現する危険にある。かくして、活動性TBを処置する薬物への高いニーズが存在する。
TBの世界的大流行は、TBによるHIV患者の感染および多剤薬物耐性TB菌株(MDR−TB)の増加によって増進される。潜伏性TBの再活性化は、疾病発症への高い危険因子であり、そしてHIV感染した個人において32%の死を数える。TBの大流行を
制御するために、休眠性または潜伏性細菌をも死滅させることができる新しい薬物を発見することが必要である。休眠性TBは、腫瘍壊死因子αまたはインターフェロン−γに対する抗体のような免疫抑制作用物の使用による宿主免疫の抑制のように、いくつかの因子によって再活性化されて疾病を惹起する。HIV陽性患者の場合、休眠性TBのために利用できる唯一の予防処置は、リファンピシン、ピラジナミド(pyrazinamide)の2〜3ヶ月の療法である。この処置療法の有効性はまだ明白ではなく、さらに、処置の長さは、財源に制約される環境では重要な束縛である。それ故、休眠性TB細菌を保有する個人のために化学予防剤として作用できる新しい薬物を同定するための強いニーズが存在する。
結核菌は吸入によって健康な個人に侵入し;それらは、肺の肺胞マクロファージによって食作用を受ける。このことが、強力な免疫応答をもたらし、そしてT細胞によって包囲されたM.チュバキュローシスに感染したマクロファージからなる肉芽腫を生じる。6〜8週間後、宿主免疫応答が、壊死による感染細胞の死と、周辺におけるマクロファージ、類上皮細胞およびリンパ様組織の層によって囲まれたある種の細胞外細菌によるチーズ様物質の蓄積を惹起する。健康な個人の場合は、大部分のミコバクテリアはこれらの環境において死滅されるが、小部分の細菌は、なお生残し、非複製、低代謝状態において存在し続け、そしてイソニアジドのような抗TB薬による殺傷に対して寛容である。これらの細菌は、疾病のいかなる臨床症候も示すことなく個人の一生の間も変化した生理学的環境で生残することができる。しかしながら、この場合の10%では、これらの休眠性細菌は再活性化されて疾病を惹起することがある。これらの持続性細菌の発現に関する仮説の1つは、ヒトの病変における病理生理学的環境、すなわち低下した酸素圧、栄養制限および酸性pHである。これらの因子は、主な抗ミコバクテリア薬に対してこれらの細菌を表現型として寛容にさせると主張されてきた。
【0013】
遊離塩基の抗ミコバクテリア活性は、WO2004/011436に記述されていて、これは、引用によって本明細書に組み入れられている。
【0014】
抗ミコバクテリア活性により、本化合物はミコバクテリア感染の処置において有用である。一般に、本発明の化合物は、ミコバクテリアにより感染された温血哺乳動物の処置において有用である。したがって、本化合物は、医薬として使用することができる。特に、本発明の化合物は、ミコバクテリア感染を処置または予防するための医薬として使用することができる。医薬または処置の方法としての該使用は、ミコバクテリア、特に、ミコバクテリウム・チュバキュローシスに感染した被験者に対する、ミコバクテリア感染に抵抗するのに有効な量の投与を含む。特に、本化合物は、ミコバクテリア感染の処置または予防、好ましくは、ミコバクテリウム・チュバキュローシス感染の処置のための薬物の製造において使用されてもよい。
【0015】
本化合物の有用性にかんがみて、また、ミコバクテリア感染、特に、ミコバクテリウム・チュバキュローシス感染に罹患しているヒトを含む哺乳動物を処置する方法、あるいはヒトを含む温血哺乳動物がその感染に罹患するのを予防する方法が提供される。該方法は、ヒトを含む哺乳動物に対して本発明の塩の有効量の投与、好ましくは経口投与を含む。
【0016】
したがって、本発明は、また、製薬学的に許容できる担体ならびに有効成分としての(αS,βR)−6−ブロモ−α−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−α−1−ナフタレニル−β−フェニル−3−キノリンエタノールのフマル酸塩、特に、(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノール(2E)−2−ブテン二酸塩(1:1)の治療学的有効量を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【0017】
本化合物は、投与目的のための種々の製薬学的組成物に調合されてもよい。適当な組成物として、全身的に投与する薬物のために通常使用されるすべての組成物が列記されてもよい。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として本塩の有効量が製薬学的に許容できる担体との緊密な混合物に組み合わされるが、この担体は、投与のために所望される調製物の形態に応じて広範な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に、経口投与のために適当な単位用量形態物において所望される。例えば、経口用量形態物における組成物の製造では、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および液剤のような経口液状調製物の場合には、水、グリコール、油、アルコールなどのような慣用の製薬学的媒質のすべてが用いられてもよく;あるいは散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、糖、カオリン、賦形剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体が用いられてもよい。投与におけるそれらの容易さのために、錠剤およびカプセル剤は、もっとも有利な経口単位用量形態物を表し、この場合、明らかに、固形製薬学的担体が用いられる。非経口組成物では、通常、担体は少なくとも大部分は無菌水を含むが、例えば、溶解度を助けるために他の成分が含まれてもよい。例えば、担体が生理食塩水、グルコース液または生理食塩水とグルコース液の混合液を含む注射用液剤が製造されてもよい。また、注射用懸濁剤が製造されてもよく、この場合、適当な液状担体、懸濁化剤などが用いられもよい。また、使用直前に、液状形態調製物に変換されることが意図される固形形態調製物が含まれる。経皮投与のために適当な組成物では、担体は、場合によっては小部分で何らかの性質をもつ適当な添加物と組み合わされて、場合によっては、浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を含み、これらの添加物は皮膚において有意な悪影響をもたらさない。該添加物は、皮膚への投与を容易し、そして/または所望の組成物の製造のために有用であろう。これらの組成物は、種々の方法で、例えば、経皮パッチ剤として、スポット・オン製剤として、軟膏剤として投与されてもよい。
本発明の塩は、また、この方法を介して投与するために当該技術分野で用いられる方法および調合物によって吸入または吹入を介して投与されてもよい。かくして、一般に本発明の塩は、液剤、懸濁剤または乾燥散剤の形態で肺に投与されてもよい。経口または鼻内の吸入または吹入を介する液剤、懸濁剤または乾燥散剤の送達のために開発されたいかなるシステムも、本化合物の投与のために適当である。
【0018】
投与の簡易性および用量の均一性のために単位用量形態物において前記製薬学的組成物を調合することは、特に得策である。本明細書で使用されるような単位用量形態物は、単位用量として適当な物理的に区別された単位物を指し、各単位物は要求される製薬学的担体とともに、所望の治療学的効果を生じるよう計算された有効成分の予定量を含有する。そのような単位用量形態物の例は、錠剤(刻み目を付けた、または剤皮を施された錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット(packet)剤、ウエハース剤、坐剤、注射用液剤または懸濁剤など、およびそれらの分離される集合物(multiples)である。
【0019】
投与の正確な用量および頻度は、当業者には周知であるように、処置される特定の症状、処置される症状の重篤度、特定の患者の年齢、体重、性別、障害の程度および一般生理学的状態ならびに個人がとっている他の投薬に応じて異なる。さらにまた、該有効な一日量は、処置された被験者の応答に応じてそして/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて低下または増加されることは明らかである。
【0020】
好ましくは、本発明の製薬学的組成物は、対応する遊離塩基の約1mg〜約1000mg、より好ましくは、対応する遊離塩基の約10mg〜約750mg、なおより好ましくは、対応する遊離塩基の約50mg〜約500mgに等価の本フマル酸塩のそれらの量を含み、もっとも好適には、本製薬学的組成物は、対応する遊離塩基(塩基当量)の約100mgを含有する。
【0021】
投与方式に応じて、製薬学的組成物は、好ましくは、有効成分の重量で0.05〜99%、より好ましくは、重量で0.1〜70%、なおより好ましくは、重量で0.1〜50%、ならびに製薬学的に許容できる担体の重量で1〜99.95%、より好ましくは、重量で30〜99.9%、なおより好ましくは、重量で50〜99.9%を含むことができ、ここで、すべてのパーセンテージは組成物の総重量に基づいている。
【0022】
本発明の興味ある実施態様は、製薬学的に許容できる担体および有効成分としての本塩の治療学的有効量を含んでなる、経口製薬学的組成物、すなわち、経口投与のために適当な製薬学的組成物に関する。
特に、経口製薬学的組成物は、固形経口製薬学的組成物、より特に、錠剤またはカプセル剤、なおより特に、錠剤である。摂食中の被験者に対する固形用量形態物における本塩の経口投与は、絶食中の被験者に対する投与に較べた場合、より高い生物学的利用性をもたらすことが見いだされた。摂食状態では、固形用量形態物からの経口生物学的利用性は、経口液剤の生物学的利用性に匹敵した。したがって、経口固形用量形態物は、好ましくは、摂食中の被験者に対して投与される。
【0023】
これ以前またはこれ以降で使用されるような、数値xに関する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0024】
本フマル酸塩の粒径は、好ましくは、200μm未満である。
【0025】
本発明の製薬学的組成物は、好ましくは、湿潤剤を含む。
【0026】
本発明の組成物における湿潤剤に関しては、製薬学的組成物における使用のために好適な生理学的に許容できる湿潤剤のいかなるものが使用されてもよい。
【0027】
湿潤剤が両親媒性化合物であり;それが極性、親水性部分ならびに非極性、疎水性部分を含有することは当該技術分野では周知である。
【0028】
用語「親水性」または「疎水性」は相対的な用語である。
【0029】
湿潤剤の相対的親水性または疎水性は、その親水性−親油性比値(「HLB」値)によって表されてもよい。比較的低いHLB値をもつ湿潤剤は、「疎水性」湿潤剤であると分類され、一方、比較的高いHLB値をもつ湿潤剤は、「親水性」湿潤剤であると分類される。親指の法則として、約10を超えるHLB値を有する湿潤剤は、一般に、親水性湿潤剤であるとされ;約10以下のHLB値を有する湿潤剤は、一般に、疎水性湿潤剤であるとされる。
【0030】
本組成物は、好ましくは、親水性湿潤剤を含む。
【0031】
湿潤剤のHLB値は湿潤剤の親水性/疎水性を示すための単なる大まかな指標にすぎないと評価すべきである。特定の湿潤剤のHLB値は、HLB値を決定するために使用される方法により変わってもよく;その発売元によって変わってもよく;バッチ毎の変化に従う。当業者は、本発明の製薬学的組成物における使用のために適当な親水性湿潤剤を容易に同定することができる。
【0032】
本発明の湿潤剤は陰イオン、陽イオン、両性イオンまたは非イオン性湿潤剤であってもよく、後者が好適である。本発明の湿潤剤は、また、2種以上の湿潤剤の混合物であってもよい。
【0033】
本発明の組成物における使用のための適当な湿潤剤は、以下に列挙される。湿潤剤の該リストは、単に具体的、代表的に説明するものであり、徹底的に説明するものではないことが強調されねばならない。かくして、本発明は、以下に挙げられた湿潤剤に限定されるものではない。本組成物では、湿潤剤の混合物がまた使用されてもよい。
【0034】
本発明において使用されてもよい適当な湿潤剤は、次に示すものを含む:
a)ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リシノール酸(ricinoic acid)などとPEG6、7,8,9,10,12,15,20,25,30,32,40,45,50,55,100,200,300,400,600などとのエステルを含む、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、例えば、PEG−6ラウレートまたはステアレート、PEG−7オレエートまたはラウレート、PEG−8ラウレートまたはオレエートまたはステアレート、PEG−9オレエートまたはステアレート、PEG−10ラウレートまたはオレエートまたはステアレート、PEG−12ラウレートまたはオレエートまたはステアレートまたはリシノレート、PEG−15ステアレートまたはオレエート、PEG−20ラウレートまたはオレエートまたはステアレート、PEG−25ステアレート、PEG−32ラウレートまたはオレエートまたはステアレート、PEG−30ステアレート、PEG−40ラウレートまたはオレエートまたはステアレート、PEG−45ステアレート、PEG−50ステアレート、PEG−55ステアレート、PEG−100オレエートまたはステアレート、PEG−200オレエート、PEG−400オレエート、PEG−600オレエート;(この群に属する湿潤剤は、例えばCithrol,Algon,Kessco,Lauridac,Mapeg,Cremophor,Emulgante,Nikkol,Myrj,Crodet,Albunol,Lactomulとして既知である)、
b)ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸(palmic acid)、オレイン酸などとPEG−8,10,12,20,32,400などとのジエステルを含む、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、例えば、PEG−8ジラウレートまたはジステアレート、PEG−10ジパルミテート、PEG−12ジラウレートまたはジステアレートまたはジオレエート、PEG−20ジラウレートまたはジステアレートまたはジオレエート、PEG−32ジラウレートまたはジステアレートまたはジオレエート、PEG−400ジオレエートまたはジステアレート;(この群に属する湿潤剤は、例えばMapeg,Polyalso,Kessco,Cithrolとして既知である)、
c)ポリエチレングリコール脂肪酸モノ−およびジエステル混合物、例えば、PEG4−150モノおよびジラウレート、PEG4−150モノおよびジオレエート、PEG4−150モノおよびジステアレートなど;(この群に属する湿潤剤は、例えばKesscoとして既知である)、
d)ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、例えば、PEG−20グリセリルラウレートまたはグリセリルステアレートまたはグリセリルオレエート、PEG−30グリセリルラウレートまたはグリセリルオレエート、PEG−15グリセリルラウレート、PEG−40グリセリルラウレートなど;(この群に属する湿潤剤は、例えばTagat,Glycerox L,Capmulとして既知である)、
e)グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ペンタエリトリトールなどのようなアルコールまたはポリアルコールと、ひまし油、水素化ひまし油、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE,ビタミンK、食用植物油、例えばコーン油、オリーブ油、ピーナッツ油、ヤシ核油、アプリコット核油、アーモンド油などのような天然および/または水素化油または脂溶性ビタミンとのエステルを含む、アルコール−油エステル交換反応生成物、例えば、PEG−20ひまし油または水素化ひまし油またはコーングリセリドまたはアーモンドグリセリド、PEG−23ひまし油、PEG−25水素化ひまし油またはトリオレエート、PEG−35ひまし油、PEG−30ひまし油または水素化ひまし油、PEG−38ひまし油、PEG−40ひまし油または水素化ひまし油またはヤシ核油、PEG−45水素化ひまし油、PEG−50ひ
まし油または水素化ひまし油、PEG−56ひまし油、PEG−60ひまし油または水素化ひまし油またはコーングリセリドまたはアーモンドグリセリド、PEG−80水素化ひまし油、PEG−100ひまし油または水素化ひまし油、PEG−200ひまし油、PEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ラウロイルマクロゴル(macrogol)−32グリセリド、ステアロイルマクロゴルグリセリド,トコフェリル(tocopheryl)PEG−1000スクシネート(TPGS);(この群に属する湿潤剤は、例えばEmalex,Cremophor,Emulgante,Emulgin,Nikkol,Thornley,Simulsol,Cerex,Crovol,Labrasol,Softigen,Gelucire,VitaminE TPGSとして既知である)、
f)脂肪酸のポリグリセロールエステルを含むポリグリセリル化脂肪酸、例えば、ポリグリセリル−10ラウレートまたはオレエートまたはステアレート、ポリグリセリル−10モノおよびジオレエート、ポリグリセリルポリリシノレエートなど;(この群に属する湿潤剤は、例えばNikkol,Decaglyn,CaprolまたはPolymulsとして既知である)、
g)ステロールのポリエチレングリコール誘導体を含む、ステロ−ル誘導体、例えば、PEG−24コレステロールエステル、PEG−30コレスタノール、PEG−25フィトステロール、PEG−30ソーヤステロールなど;(この群に属する湿潤剤は、例えばSolutanTMまたはNikkol BPSHとして既知である)、
h)ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、例えば、PEG−10ソルビタンラウレート、PEG−20ソルビタンモノラウレートまたはソルビタントリステアレートまたはソルビタンモノオレエートまたはソルビタントリオレエートまたはソルビタンモノイソステアレートまたはソルビタンモノパルミネートまたはソルビタンモノステアレート、PEG−4ソルビタンモノオレエート、PEG−5ソルビタンモノオレエート、PEG−6ソルビタンモノオレエートまたはソルビタンモノラウレートまたはソルビタンモノステアレート、PEG−8ソルビタンモノステアレート、PEG−30ソルビタンテトラオレエート、PEG−40ソルビタンオレエートまたはソルビタンテトラオレエート、PEG−60ソルビタンテトラステアレート、PEG−80ソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンヘキサオレエート(AtlasG−1086)など;(この群に属する湿潤剤は、例えばLiposolb,Tween,Dacol MSS,Nikkol,Emalex,Atlasとして既知である)、
i)ポリエチレングリコールアルキルエーテル、例えば、PEG−10オレイルエーテルまたはセチルエーテルまたはステアリルエーテル、PEG−20オレイルエーテルまたはセチルエーテルまたはステアリルエーテル、PEG−9ラウリルエーテル、PEG−23ラウリルエーテル(laureth−23)、PEG−100ステアリルエーテルなど;(この群に属する湿潤剤は、例えばVolpo,Brijとして既知である)、
j)糖エステル、例えば、スクロースジステアレート/モノステアレート、スクロースモノラウレートまたはモノパルミテートまたはモノラウレートなど;(この群に属する湿潤剤は、例えばSucro ester,Crodesta,Saccharose monolaurateとして既知である)、
k)ポリエチレングリコールアルキルフェノール、例えば、PEG−10−100ノニルフェノール(Triton X series)、PEG−15−100オシルフェノールエーテル(Triton N series)など;
PEG−PEG−PEG−PEG−PEG−PEG−PEG−PEG−PEG−PEG−l)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・ブロック・コポリマー(ポロキサマー(poloxamer))、例えば、poloxamer108,poloxamer188,poloxamer237,poloxamer288など;(この群に属する湿潤剤は、例えばSynperonic PE,Pluronic,Emkalyx,LutrolTM,Supronic,Monolan,Pluracare,Plurodacとして既知である)、
m)陽イオン、陰イオンおよび両性イオン界面活性剤を含むイオン性湿潤剤、例えば、脂肪酸塩、例えばオレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシンナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸(state)ナトリウム、リシノール酸ナトリウムなど;例えば、胆汁塩、例えばコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウムなど;例えば、リン脂質、例えば卵/大豆レシチン、ヒドロキシル化レシチン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリンなど;例えば、リン酸エステル、例えばリン酸ジエタノールアンモニウムポリオキシエチレン−10オレイルエーテル、脂肪アルコールまたは脂肪アルコールエトキシレートとリン酸とのエステル化生成物または無水物;例えば、カルボン酸エステル、例えばコハク酸化モノグリセリド、フマル酸ステアリルナトリウム、コハク酸水素ステアロイルプロピレングリコール、モノ−およびジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ−およびジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のグリセリル−ラクトエステル、脂肪酸のラクチル(lactylic)エステル、カルシウム/ナトリウムステアロイル−2−ラクチレート、カルシウム/ナトリウムステアロイルラクチレート、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、エーテルカルボキシレートなど;例えば、硫酸およびスルホン酸エステル、例えば硫酸エトキシル化アルキル、硫酸アルキルベンゼン、スルホン酸α−オレイン、イソチオン酸アシル、アシルタウレート、スルホン酸アルキルグリセリルエーテル、オクチルスルホコハク酸ジナトリウム、ウンデシレンアミド−MEA−スルホコハク酸ジナトリウムなど;例えば、陽イオン性湿潤剤、例えば臭化ヘキサデシルトリアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルアンモニウム、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジイソブチルフェノキシエトキシジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベタイン(ラウリルベタイン)、エトキシル化アミン(ポリオキシエチレン−15ココナットアミン)など。
【0035】
適当な湿潤剤の上記リストにおいて、例えば、PEG−20オレイルエーテルまたはセチルエーテルまたはステアリルエーテルのような異なる可能性が挙げられる場合、これは、PEG−20オレイルエーテルおよびPEG−20セチルエーテルまたはPEG−20ステアリルエーテルが意図されていることを意味する。かくして、例えば、PEG−20ひまし油または水素化ひまし油またはコーングリセリドまたはアーモンドグリセリドは、PEG−20ひまし油およびPEG−20水素化ひまし油およびPEG−20コーングリセリドおよびPEG−20アーモンドグリセリドとして読まれるべきである。
【0036】
本組成物における好適な湿潤剤は、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルの群に属するそれらの湿潤剤、例えば、Tween20,60,80のようなTweenとして既知の湿潤剤である。もっとも好適な湿潤剤はTween20である。
【0037】
本発明の組成物では、好ましくは、湿潤剤は、組成物の総重量に比較して重量で約0.01〜約5%、好ましくは、重量で約0.1〜約3%、より好ましくは、重量で約0.1〜約1%の濃度において存在する。
本組成物において使用される湿潤剤の量は、組成物に存在する化合物の量または化合物の粒径により異なってもよい。より高い量またはより小さい粒径は、より多くの湿潤剤を必要とすることがある。
【0038】
本発明による固形経口製薬学的組成物、例えば、錠剤またはカプセル剤の場合、また、組成物は、有機高分子をさらに含有してもよい。
【0039】
有機高分子は組成物の製造中に結合剤として使用されてもよい。
【0040】
本発明の組成物において使用される有機高分子は、生理学的に許容できる水溶性の合成、半合成または非合成有機高分子のいずれでもよい。
【0041】
したがって、例えば、高分子は、多糖またはポリペプチドまたはその誘導体のような天然高分子、あるいはポリアルキレンオキサイド(例えば、PEG),ポリアクリレート、ポリビニルピロリドンなどのような合成高分子であってもよい。混合高分子、例えば、ブロックコポリマーおよびグリコペプチドもまた、もちろん使用されてもよい。
【0042】
高分子は、便利には、範囲500D〜2MDにおける分子量を有し、かつ便利には、2%水溶液中20℃の場合に1〜15,000mPa.sの見掛け粘度を有する。例えば、水溶性高分子は、
−アルキルセルロース、例えばメチルセルロース
−ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロース、
−ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、
−カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース、
−カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、
−カルボキシアルキルアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルエチルセルロース、−カルボキシアルキルセルロースエステル、
−澱粉、
−ペクチン、例えばナトリウムカルボキシメチルアミロペクチン、
−キチン誘導体、例えばキトサン、
−へパリンおよびヘパリノイド、
−多糖、例えばアルギン酸、そのアルカリ金属およびアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、アガー・アガー、アラビアゴム、グアガムおよびキサンタンガム、
−ポリアクリル酸およびその塩、
−ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリレートコポリマー、
−ポリビニルアルコール、
−ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、
−ポリアルキレンオキサイド、例えばポリエチレンオキサイドおよびポリプロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのコポリマー、例えばポロキサマーおよびポロキサミン
を含んでなる群から選ぶことができる。
【0043】
製薬学的に許容され、かつ前記のような適当な物理化学的性質を有する列挙されなかった高分子も、本発明による組成物を製造するために同等に適している。
【0044】
好ましくは、有機高分子は、澱粉、ポリビニルピロリドンまたはセルロースエーテル、例えば、PVP K29−32、PVP K90、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。
【0045】
該HPMCは、それを水溶性にさせるのに十分なヒドロキシプロピルおよびメトキシ基を含有する。約0.8〜約2.5のメトキシ置換度および約0.05〜約3.0のヒドロキシプロピルモル置換を有するHPMCは一般に水溶性である。メトキシ置換度は、セルロース分子の1アンヒドログルコース単位当たり存在するメチルエーテル基の平均数を指す。ヒドロキシプロピルモル置換は、セルロース分子の各アンヒドログルコース単位と反
応したプロピレンオキサイドの平均モル数を指す。好適なHPMCは、ヒプロメロース(hypromellose)2910 15mPa.sまたはヒプロメロース2910 5mPa.s、特にヒプロメロース2910 15mPa.sである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースはヒプロメロースについてのthe United States Adopted Nameである(参照、Martindale,The Extra Pharmacopoeia,29th edition,page 1435)。4数字の数「2910」では、最初の2数字はメトキシ基の近似パーセンテージを、そして第3と第4の数字はヒドロキシプロポキシル基の近似パーセンテージ組成を表す;15mPa.sまたは5mPa.sは20℃における2%水溶液の見掛けの粘度を示す値である。
【0046】
本発明の組成物では、有機高分子は、便利には、重量で約10%まで、好ましくは、約0.1〜約5%、より好ましくは、重量で約0.5〜約3%(組成物の総重量に対して)存在してもよい。
【0047】
本発明による固形経口製薬学的組成物、例えば、錠剤またはカプセル剤の場合には、組成物は、また、賦形剤および/または滑沢剤(glidant)をさらに含んでもよい。
【0048】
製薬学的に許容できる賦形剤は、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、けい化微結晶セルロースを含む微結晶セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、デキストリン、デキストロース添加物、フルクトース、カオリン、ラクチトール、無水ラクトース、ラクトース一水和物、マンニトール、ソルビトール、澱粉、可溶化澱粉、塩化ナトリウム、スクロース、圧縮性糖、製菓用糖、Microcelac(R)として市販されている、ラクトース一水和物と微結晶セルロースの噴霧乾燥混合物(75:25)、Prosolv(R)として市販されている、微結晶セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の混合処理された噴霧乾燥混合物(98:2)を含む。ラクトース一水和物、特に200メッシュ、微結晶セルロースまたはトウモロコシ澱粉が好適である。
【0049】
製薬学的に許容できる滑沢剤は、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、澱粉、ステアリン酸マグネシウムを含む。コロイド状二酸化ケイ素が好適である。
【0050】
錠剤の場合、また、組成物は、崩壊剤および潤滑剤(lubricant)をさらに含んでもよい。
【0051】
製薬学的に許容できる崩壊剤は、澱粉、イオン交換樹脂、例えばAmberlite、架橋ポリビニルピロリドン、修飾セルロースガム、例えばクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac−di−Sol(R))、ナトリウム澱粉グリコレート、ナトリウムカルボキシアルキルセルロース、ドデシル硫酸ナトリウム、修飾コーンスターチ、微結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、アルギン酸、アルギン酸塩、粉末セルロースを含む。
【0052】
製薬学的に許容できる潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムを含む。
【0053】
本発明の錠剤は、さらに、例えば、着香剤、甘味剤および着色剤のような他の任意の添加物を含んでもよい。
【0054】
本発明による固形製薬学的組成物は、組成物の総重量に基づいて重量で:
(a)本フマル酸塩の5〜50%;
(b)湿潤剤の0.01〜5%;
(c)賦形剤の40〜92%;
(d)滑沢剤の0.1〜5%
を含んでもよい。
【0055】
本発明による錠剤は、錠剤コアの総重量に基づいて重量で:
(a)本フマル酸塩の5〜50%;
(b)湿潤剤の0.01〜5%;
(c)賦形剤の40〜92%;
(d)高分子の0〜10%;
(e)崩壊剤の2〜10%;
(f)滑沢剤の0.1〜5%;
(g)潤滑剤の0.1〜1.5%
を含んでもよい。
【0056】
本発明の錠剤は、場合によっては、技術上既知のコーティング操作にしたがって剤皮を施されてもよい。剤皮を施された錠剤は、剤皮のない錠剤コアよりも嚥下が容易であり、通常、他の錠剤と区別し易く(特に、剤皮が染料または顔料を含有する場合には)、低粘着性を有し、そしてさらに、例えば、コーティングが光の影響から有効成分を保護できるので、改良された安定性(増大した保存期間)を有するであろう。好ましくは、剤皮は即時放出剤皮である。剤皮は、膜形成高分子および場合によっては可塑剤または顔料を含んでもよい。適当な膜形成高分子の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、そして適当な可塑剤の例は、ポリエチレングリコール、例えば、macrogol 3000または6000、またはtriacetinである。製薬学的錠剤のための市販される適当なコーティング剤は当業者には周知である。好ましくは、膜コーティングは不透明の膜コーティングである。適当なコーティング剤の例は、Opadry(R),特に、コーティング粉末Opadry(R)II Whiteである。
【0057】
本発明の錠剤は、直接圧縮または湿式造粒によって製造することができる。
【0058】
したがって、また、本発明は、
(i) 有効成分、崩壊剤および場合によっては滑沢剤を賦形剤とともに乾式混合し;
(ii) 場合によっては潤滑剤を段階(i)で得られた混合物と混合し;
(iii)段階(i)または段階(ii)で得られた混合物を乾燥状態において錠剤に圧
縮し;そして
(iv) 場合によっては、段階(iii)で得られた錠剤に剤皮を施すこと:
の段階を含む、本フマル酸塩を含んでなる錠剤を製造する方法に関する。
【0059】
また、本発明は、
(i) 有効成分および賦形剤の一部を乾式混合し;
(ii) 場合によっては結合剤と湿潤剤を含有する造粒溶液を製造し;
(iii) 段階(ii)で得られた造粒溶液を段階(i)で得られた混合物上に噴霧し

(iv) 段階(iii)で得られた湿潤顆粒を乾燥後、篩別し、そして場合によって
は混合し;
(v) 賦形剤の残りの部分、崩壊剤、場合によっては滑沢剤および場合によっては
結合剤と湿潤剤を、段階(iv)で得られた混合物において混合し;
(vi) 場合によっては、潤滑剤を段階(v)で得られた混合物に添加し;
(vii) 段階(vi)で得られた混合物を錠剤に圧縮し;
(viii)場合によっては、段階(vii)で得られた錠剤に剤皮を施すこと:
の段階を含む、本フマル酸塩を含んでなる錠剤を製造する方法に関する。
【0060】
また、本発明は、
(i) 有効成分および賦形剤の一部を乾式混合し;
(ii) 結合剤および湿潤剤を結合剤溶液の溶媒中に溶解することによって結合剤溶
液を製造し;
(iii) 段階(ii)で得られた結合剤溶液を段階(i)で得られた混合物上に噴霧
し;
(iv) 段階(iii)で得られた湿潤顆粒を乾燥後、篩別し、そして場合によって
は混合し;
(v) 賦形剤の残りの部分、崩壊剤および場合によっては滑沢剤を、段階(iv)
で得られた混合物において混合し;
(vi) 場合によっては、潤滑剤を段階(v)で得られた混合物に添加し;
(vii) 段階(vi)で得られた混合物を錠剤に圧縮し;
(viii)場合によっては、段階(vii)で得られた錠剤に剤皮を施すこと:
の段階を含む、本フマル酸塩を含んでなる錠剤を製造する方法に関する。
【0061】
当業者は、上記方法のために使用されるほとんどの適当な装置を認識することができる。
本発明の錠剤を製造する上記一般経路は、上記以外の段階において、例えば、ある種の成分を添加することによって当業者により改変されてもよい。
【実施例】
【0062】
実験の部
A.(αS,βR)−6−ブロモ−α−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−α−1−ナフタレニル−β−フェニル−3−キノリンエタノールのフマル酸塩の合成
(αS,βR)−6−ブロモ−α−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−α−1−ナフタレニル−β−フェニル−3−キノリンエタノールの10g(0.018mol)およびフマル酸2.13g(0.018mol)を185mlのイソプロパノール中に懸濁した。Dicalite(0.25g)および木炭(0.25g)を懸濁液に添加した。混合液を1時間還流し、反応混合液を70℃に冷却し、そして熱時濾過した。フィルターケーキを10mlのイソプロパノールにより洗浄した。母液を50℃まで徐々に冷却し、そしてこの温度で1時間撹拌した。反応混合液をさらに室温まで冷却し、そして16時間撹拌した。結晶を濾別し、20mlのイソプロパノールで洗浄した。湿潤ケーキを50℃で16時間乾燥した。
【0063】
収量:(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノール(2E)−2−ブテン二酸塩(1:1)(白色固体)の10g(82%).
【0064】
B.錠剤調合
本発明を具体的に説明する錠剤組成物:
本フマル酸塩 120.89mg(すなわち、1
00mg塩基当量)
ラクトース1水和物(200メッシュ) 152.91mg
トウモロコシ澱粉 66 mg
Hypomellose2910 15mPa.s 8 mg
ポリソルベート20 1 mg
微結晶セルロース 82.2 mg
Croscarmelloseナトリウム 23 mg
コロイド状二酸化ケイ素 1.4 mg
ステアリン酸マグネシウム 4.6 mg
【0065】
上記錠剤は、ヒポメロースおよびポリソルベート20を純水(q.s.)中に溶解した後、該溶液を、フマル酸塩、ラクトース1水和物およびトウモロコシ澱粉の混合物からなる流動粉末上に噴霧することによって製造された。得られた顆粒を乾燥し、篩別し、そして微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびコロイド状二酸化ケイ素とともに混合した。ステアリン酸マグネシウムを添加後、粉末混合物を錠剤に圧縮した。
該錠剤は、場合によっては,さらに、純水中コーティング粉末Opadry(R)II Whiteの懸濁液を用いて剤皮を施された。
【0066】
C.カプセル剤調合
本フマル酸塩 60.445mg
ラクトース1水和物(200メッシュ) 298.555mg
ポリソルベート20 1mg
純水 9μl
カプセル サイズ0 赤色キャップ赤色ボディ 1PC
=粉末混合物の製造中には使用されたが、工程の最後には除去されたので、カプセル剤中には存在しない溶媒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノールのフマル酸塩。
【請求項2】
(アルファS,ベータR)−6−ブロモ−アルファ−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−アルファ−1−ナフタレニル−ベータ−フェニル−3−キノリンエタノール(2E)−2−ブテン二酸塩(1:1)。
【請求項3】
次の構造:
【化1】

を有する化合物。
【請求項4】
医薬としての使用のための請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
ミコバクテリア感染を処置または予防するための医薬としての使用のための請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
製薬学的に許容できる担体、ならびに有効成分として請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の治療学的有効量を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項7】
組成物が経口投与のために適当である、請求項6に記載の製薬学的組成物。
【請求項8】
組成物が固形組成物である、請求項6または7に記載の製薬学的組成物。
【請求項9】
湿潤剤をさらに含んでなる、請求項6〜8のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項10】
湿潤剤がポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルである、請求項9に記載の製薬学的組成物。
【請求項11】
組成物の総重量に基づいて重量で:
(a)有効成分の5〜50%;
(b)湿潤剤の0.01〜5%;
(c)賦形剤の40〜92%;
(d)滑沢剤の0.1〜5%
を含んでなる、請求項6〜10のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項12】
組成物が錠剤の形態において存在する、請求項6〜11のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項13】
錠剤コアの総重量に基づいて重量で:
(a)有効成分の5〜50%;
(b)湿潤剤の0.01〜5%;
(c)賦形剤の40〜92%;
(d)高分子の0〜10%;
(e)崩壊剤の2〜10%;
(f)滑沢剤の0.1〜5%;
(g)潤滑剤の0.1〜1.5%
を含んでなる、請求項12に記載の製薬学的組成物。
【請求項14】
次の組成:
有効成分 120.89mg(すなわち、1
00mg塩基当量)
ラクトース1水和物(200メッシュ) 152.91mg
トウモロコシ澱粉 66 mg
Hypomellose2910 15mPa.s 8 mg
ポリソルベート20 1 mg
微結晶セルロース 82.2 mg
Croscarmelloseナトリウム 23 mg
コロイド状二酸化ケイ素 1.4 mg
ステアリン酸マグネシウム 4.6 mg
を有する、請求項12または13に記載の製薬学的組成物。
【請求項15】
剤皮を施されている、請求項12〜14のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項16】
次の段階:
(i) 有効成分および賦形剤の一部を乾式混合し;
(ii) 結合剤および湿潤剤を結合剤溶液の溶媒中に溶解することによって結合剤溶
液を製造し;
(iii) 段階(ii)で得られた結合剤溶液を段階(i)で得られた混合物上に噴霧
し;
(iv) 段階(iii)で得られた湿潤粉末を乾燥後、篩別し、そして場合によって
は混合し;
(v) 賦形剤の残りの部分、崩壊剤および場合によっては滑沢剤を、段階(iv)
で得られた混合物において混合し;
(vi) 場合によっては、潤滑剤を段階(v)で得られた混合物に添加し;
(vii) 段階(vi)で得られた混合物を錠剤に圧縮し;
(viii)場合によっては、段階(vii)で得られた錠剤に剤皮を施すこと:
を含む、請求項12〜15のいずれか1つに記載の製薬学的組成物を製造する方法。
【請求項17】
次の段階:
(i) 有効成分および賦形剤の一部を乾式混合し;
(ii) 場合によっては結合剤と湿潤剤を含有する造粒溶液を製造し;
(iii) 段階(ii)で得られた造粒溶液を段階(i)で得られた混合物上に噴霧し

(iv) 段階(iii)で得られた湿潤顆粒を乾燥後、篩別し、そして場合によって
は混合し;
(v) 賦形剤の残りの部分、崩壊剤、場合によっては滑沢剤および場合によっては
結合剤と湿潤剤を、段階(iv)で得られた混合物において混合し;
(vi) 場合によっては、潤滑剤を段階(v)で得られた混合物に添加し;
(vii) 段階(vi)で得られた混合物を錠剤に圧縮し;
(viii)場合によっては、段階(vii)で得られた錠剤に剤皮を施すこと:
を含む、請求項12〜15のいずれか1つに記載の製薬学的組成物を製造する方法。
【請求項18】
ミコバクテリア感染の処置または予防のための薬物の製造のための請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項19】
ミコバクテリア感染の処置のための薬物の製造のための請求項18に記載の化合物の使用。
【請求項20】
薬物が摂食中の被験者に与えられる、ミコバクテリア感染の処置のための薬物の製造のための請求項18または19に記載の化合物の使用。
【請求項21】
適当な溶媒の存在下で対応する遊離塩基をフマル酸と反応させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2010−511663(P2010−511663A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539724(P2009−539724)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063186
【国際公開番号】WO2008/068231
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】