(+)−および(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の結晶形
(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩は、4つの結晶形A、B、CおよびDとして存在することができ、結晶形Aは最も安定な形である。結晶形Aは、太い柱状、直方体(cuboids)、立方体および立方体様形状のような形態的形状で直接的に調製することができ、加工や製剤化において扱いやすい。(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩はまたアセトン、メチルエチルケトン、およびテトラヒドロフランと溶媒和物を形成する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、安定な(+)−および(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の結晶形、好ましくは形態的に取り扱いやすい結晶形に関する。
発明の背景:
(+)−および(−)−エリスロ−メフロキンは、(+)−(11S,2’R)−α−2−ピペリジニル−2,8−bis(トリフルオロメチル)−4−キノリンメタノール(2)および(−)−(11R,2’S)−α−2−ピペリジニル−2,8−bis(トリフルオロメチル)−4−キノリンメタノール(1)の慣用名で、下式のものである。
【0002】
【化1】
【0003】
メフロキンは、キラルな薬剤物質で、キニンの合成類似体であり、当初は耐性が発達した現存の抗−マラリア剤を代替するために開発されたものである。メフロキンは、ラセミ混合物として販売されているが、両方のエナンチオマーが異なった生物的活性を示すことが示されている。EP−A−0966285は、副作用の軽減したマラリアの治療のための(+)−メフロキンを開示しており、一方EP−A−0975345およびEP−A−1107761は、(−)−メフロキンがプリン受容体をブロックして運動および神経変性障害の治療に有効であろうことが開示されている。より最近では、WO02/19994は、(+)−(11S,2’R)−エリスロ−メフロキン(2)は、リウマチ様関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息のような炎症と自己免疫疾患の治療に好ましいエナンチオマーであると開示している。
【0004】
J. M. KarleらによるAntimicrobial Agents and Chemotherapy Vol. 46 (5), ページ1529〜1534 (2002)は、エタノールと水の塩酸によるpH2.3混合物から(−)−メフロキン塩酸塩の再結晶によってきれいな長方針状の形状での(−)−メフロキン塩酸塩水和物の調製、およびその産物のX線結晶学的性質を開示している。我々自身の研究では、ラセミ体の性質とは対照的に、純粋なエナンチオマーは水和物を形成しないことが示された。そこに記載された結晶形は調製することができなかった。その報告された単結晶データからの計算された回折パターンは、以下に示す新規な結晶形Aとはかなり異なっていることを示している。
【0005】
F. 1. Carroll らによる Journal of Medicinal Chemistry Vol. 17 (2), ページ210から219は、(+)−および(−)−メフロキンの遊離塩基の、メタノール性塩酸での(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩への転換と、それに続くCH2Cl2およびCH3CN混合物からの再結晶化について記載している。分離された固体産物は100℃で乾燥され、安定ではない結晶性化合物を得ている。それは、以下の結晶形BとCの混合物であると判明した(非常に細かい粒子)。
発明の概要
(+)−メフロキン塩酸塩の開発の間に得られた結果は、その結晶性化合物は多形および疑似多形形態で調製されうることを示した。さらに驚くべきことに、安定な結晶形(以下結晶形Aと呼ぶ)は、制御された結晶化条件下で調製されうること、および結晶形Aは医薬製剤の製造および調製で取り扱いやすく、加工しやすい形態学的形態の中で、確実性のある方法によって調製されうることが明らかとなった。
【0006】
本発明の側面は、(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩の安定な結晶形A、および形態を制御しやすい、その調製のためのプロセスを含む。制御された結晶化条件の使用は、(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩の改良された生産サイクルを可能にする(これは、本明細書の目的では、(+)または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩と理解される)。
【0007】
(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aは、示差走査熱量測定により10℃/分の加熱速度で測定された分解下で約284℃の融点を含む。その融点は上述のCarrollらによる報告よりも約7℃高い(しかし、速い分解のため十分な区別(differentiation)ではない)。この結晶形Aは結晶形BおよびCと比較して最も安定な形態であり、それは結晶形A、BおよびCの混合物での2℃〜75℃の範囲での懸濁実験で示される。結晶形Cは最も不安定である。
結晶形A
結晶形Aは、シンクロトロンX線放射にて測定し、5.95(s)および4.02(w)のd値(Å)で表されるピークの特徴的X線解析粉末回折パターンを示す(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形である。
【0008】
更なる態様において、結晶形Aは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形であり、d値(Å)
【0009】
【化2】
【0010】
で表される特徴的ピークを有する、特徴的シンクロトロンX線解析粉末回折パターンを示す。
他の態様において、結晶形Aは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形で、 30〜150μmのサイズ分布の大きなサイズの粒子を使用したとき、d値(Å)
【0011】
【化3】
【0012】
で表される特徴的ピークを有する、特徴的X線解析粉末回折パターンを示す。
上記および以下で、カッコ内の略語は以下を意味する:(vvs)=非常に非常に強い強度;(vs)=非常に強い強度;(s)=強い強度;(m)=中くらいの強度;(w)=弱い強度、そして(vw)=非常に弱い強度。
【0013】
X線粉末回折パターンは、サンプルの大きな粒子サイズによって生じるいくつかの非常に強いピークを示す。このサンプルはおよそ1〜10μmに粒子サイズを低下させ、この組織構造上の効果を避けるためにわずかにすりつぶした。最も強いピーク強度は、それにより減少し、いくつかの小さなピークは消失する。結晶形Aはすりつぶしの後も依然として存在する。
【0014】
さらに他の態様において、結晶形Aは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形で、1〜10μmのサイズ分布の小さなサイズの粒子を使用したとき、d値(Å)
【0015】
【化4】
【0016】
で表される特徴的ピークを有する、特徴的X線粉末回折パターンを示す。
本発明の他の好ましい態様は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aは、図1、2または3で表される特徴的なX線粉末回折パターンを示す。
【0017】
本発明の他の好ましい態様において、結晶Aは、さらに1030.2(w)と85.4(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形を含む。
【0018】
結晶形A、BおよびCの中で、結晶形Cは最も安定でない結晶形であり、結晶形Bへ変換される。結晶形Bもまた準安定であり、熱力学的に安定な結晶形Aに変換する。エタノール/水混合物を使用した結晶化プロセスでは、結晶形A、BおよびCのみを製造することができる。結晶形A中の最も可能性のある夾雑物は、それゆえ結晶形Bである。
【0019】
結晶形Aは少量の結晶形Bを含むことがある。結晶形Aの含量は、混合物に対して重量で好ましくは少なくとも70%、よりこの好ましくは少なくとも80%、そして最も好ましくは少なくとも90%である。バイオアベイラビリティーのような薬理的特性は、ある含量の結晶形Bによっては実質的に影響されない。
他の結晶形
アセトニトリルと塩化メチレンの混合物からの再結晶化産物は(参照:上述のCarro11ら)、アセトニトリルと塩化メチレン溶媒和物の混合物を生じることも判明した。驚くべきことに、溶媒和物は、アセトン、テトラヒドロフラン、およびメチルエチルケトンでも調製することができること、およびそれらの溶媒和物は(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の他の結晶形を製造するために使用することができること(例えばメチルエチルケトン溶媒和物を脱溶媒することによって得られる結晶形D)が判明した。
結晶形D
本発明の他の側面は、結晶形A、BおよびCとは異なる他の結晶形で、メチルエチルケトン溶媒和物から溶媒を除去することによって製造することができるものである。結晶Dは、2877(m)、1601(s)、1585(s)、1363(vs)、1028.2(w)、320(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形である。
結晶形E
本発明の更なる側面は、1602(s)、1585(s)、1363(vs)、322(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す、アセトン溶媒和物の形態である(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶性疑似多形である。アセトンの含量は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩に対して0.8〜1モルであってもよい。
結晶形F
本発明の更に他の側面は、1601(s)、1585(s)、1363(vs)、323(m)および119(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す、テトラヒドロフラン溶媒和物の形態である(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶性疑似多形である。テトラヒドロフランの含量は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩に対して0.8〜1モルであってもよい。
結晶形G
本発明の更に他の側面は、1600(s)、1585(s)、1363(vs)、319(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す、メチルエチルケトン溶媒和物の形態である(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶性疑似多形である。メチルエチルケトンの含量は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩に対して0.8〜1モルであってもよい。
発明の説明
結晶多形A、BおよびCは、立方体、立方体様粒子、柱状、針状、またはブレード形状(blade-shaped)粒子のような異なった結晶性を有することができる。有利な取り扱い性と加工特性の点で、太い柱状、直方体(cuboids)、立方体および立方体様の性質は好ましい。直方体、立方体および立方体様粒子が特に好ましい。太い柱状、直方体、立方体および立方体様形状が大部分で、針状および/またはブレード形状粒子が少量である混合物を含め、結晶性状の混合物が可能である。その粒子サイズは、形態形状の最も長い辺で、1〜1000μm、好ましくは10〜700μm、そしてより好ましくは20〜500μmである。
【0020】
(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶多形A、B、C、D、E、FおよびGは、好ましくは実質的に太い柱状、直方体、立方体または立方体様粒子の性状、そして特に好ましくは直方体、立方体または立方体様粒子の性状である。
【0021】
本発明の好ましい側面は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶性多形Aで、実質的に太い柱状、直方体、立方体または立方体様粒子の性状、そして特に好ましくは直方体、立方体または立方体様粒子の性状である。
【0022】
結晶性状の調製として、懸濁、析出、再結晶化、蒸発、溶媒様水吸着法(solvent-like water sorption methods)、または溶媒和物の脱溶媒のような当業者によく知られた結晶化技術を使用することができる。希釈、飽和または過飽和溶液が、適当な核剤での種化とともに、または種化なしに、結晶化に使用することができる。150℃までの温度、および好ましくは100℃までの温度が溶液を形成するために適用することができる。−50℃までの結晶化と沈殿開始のための冷却、好ましくは−10℃から30℃(室温)までの冷却を適用することができる。準安定結晶形は、より安定な結晶形の調製のための溶液または懸濁液を調製するために、そして溶液中でより高い濃度を達成するために使用することができる。B、Cのような結晶形またはそれらの混合物並びに溶媒和物は、結晶形Aまたは疑似多形を調製するために使用することができる。疑似多形もまた結晶形Aを調製するために使用することができる。
【0023】
適当な溶媒は、例えばエタノールおよびイソプロパノールのようなアルカノール類、酢酸エチルのような酢酸エステル類、および少量の水を含むそれらの混合物である。
(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩の典型的な水和物の形成が見られないので、水を含む溶媒混合物を使用することができるというのが分かったのは驚くべきことである(Karleらにより報告されている“0.25水和物”は、結晶格子内のチャンネルに残存する水として説明することができる)。さらに、驚くべきことに、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩はエタノールと水のような溶媒/水混合物中で普通でない溶解特性を示すことも明らかとなった。純粋なエタノールにある量の水を添加すると溶媒中での溶解性は増加し、より多くの量の水を添加すると溶解性は減少し、水の含量が50%(v/v)を超えると純粋なエタノール中よりも溶解性が低くなる。この効果は(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶液へ水を添加することによる沈殿と結晶化の開始に使用することができ、また立方体または立方体様形の結晶形Aのような望ましい形態での種晶を使用した種化技術にも適用することができる。しかし、他の非―溶媒は、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサン)またはエーテル類(t−ブチルメチルエーテル)のような溶媒中の溶液から沈殿を起こさせるのに使用することができる。結晶形Aの形成を完結するのに十分な時間の懸濁液の攪拌は、好ましく適用され、必要は時間は時間単位から数日であり、たとえば1時間から10日またはより好ましくは5時間から5日である。
【0024】
本発明の好ましい側面は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの調製方法であって、20℃〜100℃の温度で溶媒中へ(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の他の固体結晶形を溶解して濃縮溶液を形成し、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を沈殿させるために溶液を冷却し、結晶形Aの形成を完結するに十分な時間懸濁液を攪拌し、溶媒を除去し、固体残査を乾燥する工程を含む方法である。結晶形A以外の固体結晶形には、たとえば結晶形Bおよび/またはCを夾雑物として含む結晶形A、または針状またはブレード形状粒子のような望ましくない形態である結晶形Aが含まれる。前記プロセスは種化工程を経て、または種化なしで行うことができる。
【0025】
溶液の温度範囲は20℃から100℃で行うことができ、好ましくは20℃から70℃である。冷却は連続的または段階的に実施することができ、冷却速度は速度が0.1℃/時間から5℃/時間の範囲、そして好ましくは0.3℃から3℃/時間の範囲になるようにコントロールすることができる。冷却はある低い温度レベルで停止され、結晶化が完結するまでその温度に維持することができる。溶液中の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の濃度は、溶解温度に依存して60〜600mg/ml溶媒であり、好ましくは80〜450mg/ml溶媒である。適当な溶媒は、例えばエタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、またはエタノール/水の80:20体積比混合物である。攪拌時間は1時間から5日である。固体の分離は、デカンテーションまたはろ過により行うことができる。乾燥は好ましくは約室温にて、または60℃までの温度で実施される。
【0026】
本発明の他の好ましい側面は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの調製方法であって、20℃〜100℃の温度で溶媒中へ(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形A以外の固体結晶形を溶解して濃縮溶液を形成し、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を沈殿させるために十分な量の非−溶媒を添加し、結晶形Aの形成を完結するに十分な時間懸濁液を攪拌し、溶媒を除去し、固体残査を乾燥する方法である。場合により、非−溶媒の添加後に、溶液は冷却される。適当な溶媒は、例えばエタノール、イソプロパノール、酢酸エチルであり、適当な非−溶媒は例えばヘプタン、そしてまたは好ましくは水である。添加される非−溶媒の量は、溶解に使用される溶媒の体積の半分、または5倍まで、好ましくは3倍までである。前述の他の条件は、このプロセスを実施する際に適用することができる。結晶形A以外の固体結晶形には、たとえば結晶形Bおよび/またはCを夾雑物として含む結晶形A、または針状またはブレード形状粒子のような望ましくない形態の結晶形Aが含まれる。前記プロセスは種化工程を経て、または種化なしで行うことができる。
【0027】
上述のエタノールと水の混合物中の(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩の普通でない溶液特性は、(+)−および(−)−メフロキンの遊離塩基から始まり、第一段階としての塩酸塩の形成、そしてエタノール/水混合物中での遊離塩基の濃縮に関する結晶化条件の調整、結晶化プロセスのそれぞれの工程での適当な水含量、望ましい形態を得るための種化のタイプと時間、冷却速度、温度、水添加の時間と相平衡という、結晶形Aの調製に関する基礎ともなる。この方法は、驚くべき信頼性の高い、そして便宜な結晶形Aのみの、特に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様形のような取り扱いやすい形態学的結晶形のみの製造のプロセスを提供する。望ましくなく、そして不安定な結晶形BとCの存在は、最終産物結晶形A中にさえ検出されない。
【0028】
本発明の更なる、そして好ましい側面は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの製造方法であって、
a)10℃〜80℃の温度にて、実質的に水を含まない(+)−または(−)−メフロキン遊離塩基をエタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)水分含量が、形成した(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩が不溶化する濃度となるような濃度で塩酸水溶液と水を添加する工程、
c)得られた懸濁液を振り混ぜるまたは攪拌する工程、そして場合により懸濁液を冷却する工程、
d)場合による冷却下での振り混ぜまたは攪拌後にその混合液を保存する工程、そして、
e)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む、前記方法である。
【0029】
種化は、工程b)での水の添加の間または後に、後に述べる種晶と種晶の量で実施することができる。
本発明において実質的に水を含まないとは、水を遊離塩基に対して水の重量として5%以下、そして好ましくは1%以下含むことを意味する。温度は好ましくは約室温(20℃〜30℃)である。工程b)で与えられる水含量は、塩酸水溶液と水の添加によって生じるエタノール/水混合物中の水含量が少なくとも40体積%、好ましくは40〜90体積%の範囲、そしてより好ましくは65〜85体積%の範囲になるようにすることができる。添加する塩化水素の量は、好ましくは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の完全な形成に等しい量であり、そして等モル量の80%までの過剰量が使用されうる。工程c)での冷却は、室温への冷却を意味する。工程d)での保存時間は、数時間から数日、例えば1時間〜10日を意味する。沈殿物はデカンテーションまたは濾過により分離することができる。選択される乾燥手段は、好ましくは室温〜60℃までの空気乾燥または真空下での乾燥である。エタノール中の遊離塩基の濃度は、工程a)で選択される温度に応じて、100〜800mg/ml、およびより好ましくは200〜600mg/mlである。
【0030】
結晶形Aの調製における特別な利点は、エタノールへの水の添加を通して、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶解性増加と減少の効果を使用することである。この方法は、工業スケールでの(標準的な条件においても)、望ましい多形結晶形での(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの調製のための確固としたプロセスを提供する。
【0031】
本発明の特に好ましい態様は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの調製方法であって、
a)40℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−メフロキン遊離塩基をエタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)振り混ぜる/攪拌下にて、温度を維持し、そして塩酸水溶液を添加して、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を形成する工程、
c)約10℃から30℃の温度に、継続的に、または継続的で段階的に、徐々に温度を低下させる工程、
d)(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶解性を低下させるために、低下した温度で水を添加する工程、
e)低下した温度で振り混ぜ/攪拌を継続する工程、そして、
f)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む方法である。種化は、工程d)での水の添加の間または後に、後に述べる種晶と種晶の量で実施することができる。
【0032】
実質的に水を含まないとは、水を遊離塩基に対して水の重量として5%以下、そして好ましくは1%以下含むことを意味する。(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の望ましい溶解性とするようにトータルの水含量を調整するために、添加する水の量と濃塩酸水溶液として添加される水の量とを一緒に考慮することが重要である。温度は好ましくは50℃〜80℃である。遊離塩基の量は、工程b)で(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩が100〜800mg/mlの濃度、そしてより好ましくは300〜700mg/mlの濃度になるように選択されるのが好ましい。その量は、選択される温度に依存する。
【0033】
塩酸水溶液の添加は、一度で行われるのは好ましくなく、添加は連続的に1〜30分以内、連続的に5〜20分以内が好ましい。塩酸水溶液を工程a)で適用される温度に加熱するのが有益であろう。水含量をよりよくコントロールするために、濃塩酸水溶液(37%m/m)を使用するのが便利である。添加する塩化水素の量は、好ましくは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の完全な形成に等しい量であり、そして等モル量の80%までの過剰量が使用されうる。塩酸水溶液の添加と共にまたはその後に添加される水の量は、好ましくは工程b)でのエタノール中の水含量が20〜3体積%、そして好ましくは15〜5体積%となる量である。溶解した(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の少量が沈殿するので、濁った混合物が濃塩酸の添加後に形成される。
【0034】
その混合物を、b)工程の後にある時間、例えば1分〜2時間、好ましくは5分〜1時間、振り混ぜ/攪拌することができる。
工程c)での温度の低下は、2つの態様で実施することができる。最初の態様では、混合物は0.1〜5K/分の冷却速度、好ましくは0.1〜2K/分、そしてより好ましくは0.2〜1K/分の冷却速度で約10℃〜30℃の温度、好ましくは室温(20〜30℃)に連続的に冷却される。2番目の態様では、混合物は連続的で段階的に、好ましくは混合物で添加した種晶が溶解しない温度に冷却される。温度の低下は開始温度に依存する;約5〜20℃、より好ましくは7〜15℃、そして最も好ましくは約10℃が本目的には十分である。
【0035】
望ましい形態での結晶形Aのような核化剤での種化(Seeding)または同様の形態での結晶性種晶での種化は、別のバッチであらかじめ調製され、前記結晶形の重量%として、5%まで、好ましくは0.1〜3%、そしてより好ましくは0.5〜2.5%添加することにより実施される。種晶として最も好ましい形態学的形態は、立方体または立方体様形態である。その種晶の量は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の量に対してである。
【0036】
工程d)での水の添加は、エタノール/水混合物中での(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶解性の減少に寄与する。添加する水の量は、エタノール/水混合物中の水含量が少なくとも40体積%、好ましくは40〜90体積%、そしてより好ましくは65〜85体積%になるような量である。水は、一度に、段階的に、または連続的に添加することができる。一度での添加は、小さすぎる粒子サイズでの望ましくない沈殿の突然の形成を起こすかもしれない;それゆえ、段階的または連続的添加が好ましい。連続添加のための適当な投与時間は、10〜90分、そしてより好ましくは30〜60分である。
【0037】
振り混ぜ/攪拌は、水添加後、例えば10〜180分、好ましくは30〜120分継続される。
結晶化プロセスが終了した後、沈殿物をろ過にかけ、残存するエタノールと水を取り除くために乾燥される。乾燥は真空で高められた温度で、または真空で高められた温度であるが分解温度より低い温度で実施することができる。乾燥温度は10〜70℃、好ましくは20〜50℃である。
【0038】
立方体または立方体様粒子の形態での(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩結晶形Aの製造のための本発明の特に好ましい製造方法は、
a)65℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−メフロキン遊離塩基を無水エタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)温度を維持し、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶液を形成するために、エタノール/水中に、エタノール/水混合物中の水含量が20〜3、好ましくは15〜5体積%となるように、振り混ぜまたは攪拌下にて濃塩酸水溶液を5〜20分連続的に添加する工程、
c)約20℃から30℃の温度に、0.2〜1K/分の速度で継続的に温度を低下させる、または第一段階で0.2〜1K/分の速度で工程aより5〜20℃低い温度に継続的に温度を低下させ、立方体または立方体様の形態の結晶形Aの結晶種を(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の量に対する重量で0.5〜2.5%を添加し、15〜30分間攪拌し、そしてそれから継続的に0.1〜1K/分の速度で約20℃〜30℃の温度に低下させる工程、
d)低下した温度で、30分〜60分の間、エタノール/水混合物中の水含量が65〜85体積%となるように水を添加する工程、
e)低下した温度で1〜2時間振り混ぜ/攪拌工程を継続する工程、そして、
f)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む前記方法である。
【0039】
本発明の更なる側面は、結晶形Dの(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の製造方法で、
a)(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物を20℃〜100℃、好ましくは30℃〜70℃にて真空、または真空ではなくメチルエチルケトンが除去されるまで処置する工程、または、
b)非−溶媒中に(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物を懸濁し、結晶形Dを形成するために溶媒和物からメチルエチルケトンを除去するに十分な時間攪拌し、結晶を分離し、分離した結晶を乾燥する工程を含む方法である。
【0040】
適当な非−溶媒には、例えばn−へプタン、t−ブチルメチルエーテルおよび水が含まれる。工程b)での攪拌と乾燥は、20℃〜50℃の温度で実施することができる。
また、本発明の更なる側面は、アセトン溶媒和物(結晶形E)、テトラヒドロフラン溶媒和物(結晶形F)、またはメチルエチルケトン溶媒和物(結晶形G)の形の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の製造方法であって、
a)アセトン、テトラヒドロフランまたはメチルエチルケトンを溶媒として、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を40℃〜80℃の温度で溶解し、濃縮された、飽和または過飽和溶液を形成し、冷却し、そして溶媒和物を形成するに十分な時間冷却された懸濁液を攪拌し、そして結晶を分離し、分離された結晶を乾燥する工程、または、
b)アセトンまたはテトラヒドロフランを溶媒として(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を懸濁し、溶媒和物を形成するに十分な時間20℃〜35℃の温度で懸濁液を攪拌し、そして結晶を分離し、分離された結晶を乾燥する工程を含む方法である。
【0041】
溶媒和物を形成するに適当な時間は、例えば1時間〜100時間、好ましくは2時間〜80時間である。冷却は、−10℃〜20℃、好ましくは−10℃〜10℃を意味する。分離と乾燥は、例えば室温で、注意深く実施することができる。
【0042】
結晶形B〜Gは、医薬組成物中に、そして好ましくは、その安定性、意図した条件での調製の可能性、その適当な形態と粒子サイズゆえに加工しやすく、扱いやすく、より好ましい結晶形Aを調製するための中間体および出発物質として使用することができる。それらの顕著な特性は、結晶形Aを特に医薬用途に適したものとしている。
【0043】
従って、本発明は、実質的に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様粒子の形状の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形B、Cおよび/またはD、および製剤的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物にも関する。
【0044】
好ましい態様では、本発明は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形A、および製剤的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物にも関する。好ましくは、本発明の医薬組成物は、実質的に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様粒子の形状である結晶形Aを含む。
【0045】
(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形の量は、実質的に製剤の種類および投与期間中の望ましい投与量に依存する。経口製剤での量は、0.1〜50mg、好ましくは0.5〜30mg、そしてより好ましくは1〜15mgである。
【0046】
経口製剤は、カプセル、錠剤、ピルおよびトローチのような固体剤、水性懸濁液、エリキシルおよびシロップのような液体剤であってもよい。固体および液体剤型は、本発明による(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形の液体または固体食品への混合をも含む。液体は、輸液または注射のような非経口の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの溶液をも含む。
【0047】
本発明の結晶形は、粉末(微粒状化粒子)、顆粒、懸濁液または溶液として直接使用することも、または他の製剤的に許容される成分と混ぜられ、場合によりそれらを細かく分け、そして例えば硬いかやわらかいゼラチンからできたカプセル、圧縮錠剤、ピルあるいはトローチに入れ、または懸濁液、エリキシルおよびシロップとして担体中に懸濁または溶解することができる。コーティングはピルを形成するのに圧縮後に適用することができる。
【0048】
製剤的に許容される成分は、様々な種類の製剤用がよく知られていて、たとえば様々な製剤種用の、天然あるいは合成ポリマーのような結合剤、賦形剤、潤滑剤、界面活性剤、甘味剤および芳香剤、コーティング剤、保存剤、染料、増粘剤、補助薬、抗菌剤および担体である。
【0049】
結合剤の例は、ガムトラガカント、アカシア、スターチ、ゼラチン、およびジカルボン酸、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、および/または脂肪族カルボン酸のホモ−またはコポリエステルのような生分解性ポリマー;ジカルボン酸、アルキレンジアミン、および/または脂肪族アミノカルボン酸のホモ−またはコ−ポリアミド;相当するポリエステル−ポリアミドコポリマー、ポリアンハイドライド(polyanhydrides)、ポリオルトエステル(polyorthoesters)、ポリホスファゼン(polyphosphazene)およびポリカーボネート(poly-carbonates)である。生分解性ポリマーは、直鎖、分岐鎖、または架橋されたものでもよい。特定の例は、ポリ−グリコール酸、ポリ−乳酸、およびポリ−d,l−ラクチド/グリコリドである。ポリマーとしての他の例は、ポリオキサアルキレン(ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレン、およびそれらの混合ポリマー)、ポリ−アクリルアミドおよびヒドロキシアルキル化ポリアクリルアミド、ポリ−マレイン酸およびそのエステルまたはアミド、ポリ−アクリル酸およびそのエステルまたはアミド、ポリビニルアルコールおよびそのエステルまたはエーテル、ポリビニルイミダゾール、ポリ−ビニルピロリドン、およびキトサンのような天然ポリマーのような水−溶解性ポリマーである。
【0050】
賦形剤の例は、リン酸2カルシウムのようなリン酸塩(phosphate)である。潤滑剤の例は、天然あるいは合成オイル、油脂、ワックス、またはステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸塩である。
【0051】
界面活性剤は、アニオン、両性または中性であってもよい。界面活性剤の例は、レシチン、リン脂質、硫酸オクチル、硫酸デシル、硫酸ドデシル、硫酸テトラデシル、硫酸ヘキサデシルおよび硫酸オクタデシル、オレイン酸ナトリウム、またはカプリル酸ナトリウム、1−オクタノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−デカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ドデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−テトラデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ヘキサデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸および1−オクタデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸のような1−アクリルアミノエタン−2−スルホン酸、およびタウロコール酸およびタウロデオキシコール酸、胆汁酸およびそれらの塩、コール酸、デオキシコール酸およびクリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウムまたはラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ひまし油硫酸およびドクセートナトリウム、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropylbetaine)およびラウリルベタイン、脂肪アルコール、コレステロール類、グリセロールモノ−またはジステアレート、グリセロールモノ−またはジオレエート、およびグリセロールモノ−またはジパルミテート、およびポリオキシエチレンステアレートである。
【0052】
甘味剤の例は、スクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテームである。芳香剤の例は、ペパーミント、ウィンターグリーン油またはチェリーやオレンジフレーバーのようなフルーツフレーバーである。コーティング剤の例は、ゼラチン、ワックス、セラック、糖または生分解ポリマーである。保存剤の例は、メチルまたはプロピルパラベン類、ソルビン酸、クロロブタノール、フェノールおよびチメロサールである。補助薬の例は、芳香剤(fragrance)である。増粘剤の例は、合成ポリマー、脂肪酸および脂肪酸塩類およびエステル類および脂肪アルコール類である。液体担体の例は、水、エタノールのようなアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチンおよび油類である。固体担体の例は、タルク、クレー、微結晶セルロース、シリカ、アルミナ等である。
【0053】
本発明の製剤は、糖、緩衝液または塩化ナトリウムのような等張剤を含むこともできる。
本発明の結晶形は、水性環境下で分解し、飲用溶液を与える発泡性の錠剤または粉末としても調剤することができる。
【0054】
シロップまたはエリキシルは、本発明の多形、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、メチルパラベンのような保存剤、染料および香味料(flavouring agent)を含むことができる。
【0055】
胃腸管中の体液との接触で活性剤の制御放出を達成するため、および血漿中での活性剤の実質的に一定で有効なレベルを与えるために、徐放製剤も本発明の結晶形から調製することができる。本目的のために、本発明の結晶形は、生分解性ポリマー、水溶性ポリマーまたはそれらの混合物、および場合により適当な界面活性剤のパリマーマトリックス中に埋め込むことができる。この関連での埋め込みは、ポリマーマトリックス中に微粒子を挿入することを意味しうる。制御放出製剤は、分散された微粒子の被包、または公知の分散または乳化コーティング技術による乳化微小滴の被包によって得ることもできる。
【0056】
本発明の結晶形は、動物へ治療的に有効な薬剤と組み合わせて投与することの有益である。そのような組み合わせ治療は、製剤中に追加的に分散され、または溶解されうる少なくとも一つの更なる治療剤を使用して実施することができる。
【0057】
本発明の結晶形と製剤は、それぞれある状態を処置するのに有効で組み合わせ治療を提供する他の治療剤と組み合わせて投与することもできる。
本発明の結晶形と医薬組成物は、上記に両エナンチオマーとして記載されているように、低減された副作用でのマラリアの治療、運動および神経変性障害の治療、リウマチ様関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息のような炎症性および自己免疫疾患の有効な治療に極めて適切である。
【0058】
本発明の側面は、本発明の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形の有効量、または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形の有効量を治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、抗マラリア、抗炎症および抗自己免疫疾患、または抗−神経変性作用を発生させるための治療方法でもある。
【0059】
本発明の他の側面は、本発明の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形を受容者(host)に送達する方法であって、受容者に本発明の結晶形の有効量を投与することを含む方法である。
【0060】
本発明の更なる側面は、人のような哺乳動物のマラリアの治療、運動および神経変性障害の治療、または炎症および自己免疫疾患の治療に有効な薬剤の製造のための本発明の結晶形の使用;および医療治療に使用するための本発明の結晶形である。
【0061】
以下の実施例は、発明の範囲を制限することなく、本発明を例示したものである。
A)結晶形AおよびDの調製
実施例A1:結晶形Aの調製
101mgの(+)−メフロキン遊離塩基を0.35mlの無水エタノールに室温で溶解する。0.27mlの1M塩酸水溶液を添加し、混合液を振る。その混合液を8時間攪拌せずに室温で保存する。次に、母液をデカントし、固形物を空気乾燥し、針状の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形を得る。
実施例A2:結晶形Aの調製
100mgの(+)−メフロキン遊離塩基を0.35mlの無水エタノールに室温で溶解する。0.03mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を添加し、混合液を振る。その混合液を攪拌せずに室温で一日保存する。次に、母液をデカントし、固形物を空気乾燥し、立方体状の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形を得る。
実施例A3: 結晶形Aの調製
5.01gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水<1%)を16.2mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして70℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を70℃にて10分にわたりその溶液に添加し、そしてその混合液をさらに一時間攪拌する。攪拌しながら温度を0.4K/分の速度にて25℃まで下げる。25℃にて、懸濁液に46mの水を32ml/時間の速度で添加する。水の添加後、懸濁液を室温にてさらに45分攪拌する。次に、ろ過、空気乾燥し、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aを得る。
実施例A4: 結晶形Aの調製
5.00gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水<1%)を16.2mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして70℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を70℃にて10分にわたりその溶液に添加し、そしてその混合液をさらに15分間攪拌する。攪拌しながら温度を0.3K/分の速度にて60℃まで下げる。60℃にて、50mgの立方体形態の結晶形Aの(+)−メフロキン塩酸塩を添加し、その懸濁液を5分間60℃にて攪拌する。攪拌しながら、温度を0.3K/分の速度で25℃まで下げる。25℃にて、懸濁液に46mlの水を84ml/時間の速度で添加する。水の添加後、懸濁液を室温にてさらに10分攪拌する。次に、ろ過、20時間40℃にて真空乾燥し(10mbar)、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形A5.09gを得る。
実施例A5: 結晶形Aの調製
5.01gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水含量<1%)を8.1mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして69℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を69℃にて10分にわたりその溶液に添加し、そしてその混合液をさらに20分間攪拌する。攪拌しながら温度を0.7K/分の速度にて25℃まで下げる。25℃にて、懸濁液に23mlの水を115ml/時間の速度で添加する。水の添加後、懸濁液を室温にてさらに18分間攪拌する。次に、ろ過、空気乾燥し、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aを得る。
実施例A6: 結晶形Aの調製
5.01gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水含量<1%)を8.1mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして70℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を70℃にて10分にわたりその溶液に添加する。70℃にて、懸濁液に23mlの水を92ml/時間の速度で添加する。水の添加後、懸濁液を70℃にてさらに5分間攪拌する。攪拌しながら温度を0.8K/分の速度で23℃まで下げる。その懸濁液をさらに10分間23℃で攪拌する。次に、ろ過、16時間40℃にて真空乾燥し(15mbar)、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aを得る。
実施例A7:結晶形Aの調製
101mgの(−)−メフロキン塩酸塩を1.4mlのエタノールと水(1:1v/v)の混合液に室温にて溶解する。1.4mlの水を添加する。その混合液を室温にて5日間攪拌する。続いて、ろ過および固形物の空気乾燥にて、結晶形A(非常に微細な粒子)の(−)−メフロキン塩酸塩を得る。
実施例A8:結晶形Dの調製
101mgの(+)−メフロキン塩酸塩を70℃にて3.5mlのメチルエチルケトンに溶解する。その混合液を5℃にて4日間保存する。続いて、ろ過、固形物の空気乾燥にて立方体形態の結晶形Dの(+)−メフロキン塩酸塩を得る(注:結晶形Dは、メチルエチルケトン溶媒和物の“同晶形”の脱溶媒された溶媒和物である)。
B)溶媒和物の調製
実施例B1:アセトン溶媒和物の調製
101mgの(+)−メフロキン塩酸塩を5.0mlのアセトンに室温にて懸濁する。その懸濁液を室温にて18時間攪拌する。続くろ過、および固形物の室温での空気乾燥にて、(+)−メフロキン塩酸塩のアセトン溶媒和物を得る(非常に微細な粒子)。
実施例B2 :アセトン溶媒和物の調製
101mgの(+)−メフロキン塩酸塩を50℃にて17mlのアセトンに溶解する。その混合液を5℃にて2時間保存する。引き続くろ過、固形物の室温での空気乾燥にて、(+)−メフロキン塩酸塩のアセトン溶媒和物(角柱)を得る。
実施例B3:テトラヒドロフラン溶媒和物の調製
100mgの(+)−メフロキン塩酸塩を70℃にて1.5mlのテトラヒドロフランに溶解する。その混合液を5℃にて5日間保存する。引き続くろ過、固形物の室温での空気乾燥にて、(+)−メフロキン塩酸塩のテトラヒドロフラン溶媒和物(立方体)を得る。
実施例B4:メチルエチルケトン溶媒和物の調製
301mgの(+)−メフロキン塩酸塩を75℃にて9.5mlのメチルエチルケトンに溶解する。その混合液を5℃にて3日間保存する。引き続く形成された結晶の室温での空気乾燥にて、(+)−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物(立方体)を得る。
C)結晶形BおよびCの調製
それらの結晶形は、Journal of Medicinal Chemistry Vol. 17 (2),ページ210〜219に記載されている結晶(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩との比較として、本発明の新しい方法にて調製される。
実施例C1:結晶形Bの調製
100mgの(+)−メフロキン塩酸塩を1.4mlのエタノールと水(1:1v/v)の混合液に室温にて溶解する。1.4mlの水を添加し、その混合液を振る。攪拌せずに、その混合液を23時間室温で保存する。続いて、ろ過および固形物の室温での空気乾燥にて、針状の結晶形Bの(+)−メフロキン塩酸塩を得る。
実施例C2:結晶形Bの調製
100mgの(+)−メフロキン塩酸塩を室温にて2.0mlの無水エタノールに溶解する。6.0mlのn−ヘプタンを添加し、そしてその混合液を5分間攪拌する。その混合液を攪拌せずに室温で23時間保存する。続いて、ろ過および固形物の室温での空気乾燥にて、柱形状の結晶形Bの(+)−メフロキン塩酸塩を得る。
【0062】
結晶形Bは、シンクロトロンX線放射にて測定した以下のd値(Å)で示される特徴的なピークを示す。
【0063】
【化5】
【0064】
結晶形Bは、波長(cm−1)で示される特徴的なラマンバンドを示す:1026.1(w);87.4(vs)。
実施例C3:結晶形Cの調製
300mgの(+)−メフロキン塩酸塩を室温にて4.5mlの無水エタノールに溶解する。30mlのn−ヘプタンを添加する。その混合液を0.5時間室温にて攪拌する。続いて、ろ過および固形物の室温での空気乾燥にて、柱およびブレード形状粒子の結晶形Cの(+)−メフロキン塩酸塩を得る。
実施例C4:結晶形Cの調製
101mgの(+)−メフロキン遊離塩基を0.35ml無水エタノールに室温で溶解する。10mlのガス状塩酸を添加する。その懸濁液を攪拌せずに室温にて1.5時間保存する。続いて、ろ過および固形物の室温での空気乾燥にて、立方体形態の結晶形Cの(+)−メフロキン塩酸塩を得る。
実施例C5:結晶形Cの調製
5.01gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水含量<1%)を16.2mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして70℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を70℃にて10分にわたりその溶液に添加し、そしてその溶液をさらに5分間攪拌する。攪拌しながら温度を1K/分の速度で55℃まで下げる。続いて、小さなサンプルのろ過、室温での空気乾燥にて、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形Cを得る。
【0065】
結晶形Cは、波長(cm−1)で示される特徴的なラマンバンドを示す:2962(s); 2958(s);1026.2(w)および88.3(vs)。
実験:
粉末X線回折(PXRD):PXRDは、CuKα照射を使用したフィリップス1710パウダーX線回折装置(Philips 1710 powder X-ray diffractometer)にて実施した。d−スペーシングは、1.54060Åの波長を使用して、2θの値から計算する。一般的に、2θ値は、±0.1−0.2°の誤差の範囲内である。そのd−スペーシング値の実験誤差は、それゆえピークの位置に依存する。
【0066】
シンクロトロン照射X−線回折は、Material Science Forum Vols.321−324(2000)、ページ212〜217に記載の方法に従って実施される。サンプルを直径1.0mmのガラスキャピラリー上に、およそ深さ3cmで載せる。データ収集は、Daresbury LaboratoryのSRSのstation2.3で行う。使用したX−線の波長は、1.300Åであり(シリコン標準を使用して校正)、ビームサイズは1.0x10mm2である。収集したデータは1.54060ÅのCuKα照射にて再計算する。
ラマン分光法:FT−ラマンスペクトルは、1064nmで操作される近赤外Nd:YAGレーザー及び液体窒素冷却検出器を備えたBruker RFS 100 FT−ラマンシステムにて記録する。それぞれのサンプルについて、2cm−1の分解能での64スキャンを集積する。一般的に、100mWレーザー出力を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、結晶形Aの特徴的なX線粉末回折パターン(シンクロトロン測定)である。
【図2】図2は、結晶形Aの特徴的なX線粉末回折パターン(大きいサイズ粒子)である。
【図3】図3は、結晶形Aの特徴的なX線粉末回折パターン(小さなサイズ粒子)である。
【図4】図4は、結晶形Bの特徴的なX線粉末回折パターン(シンクロトロン測定)である。
【図5】図5は、結晶形A[(+)−エナンチオマー]の特徴的なラマンスペクトルである。
【図6】図6は、結晶形A[(−)−エナンチオマー]の特徴的なラマンスペクトルである。
【図7】図7は、結晶形Bの特徴的なラマンスペクトルである。
【図8】図8は、結晶形Cの特徴的なラマンスペクトルである。
【図9】図9は、結晶形Dの特徴的なラマンスペクトルである。
【図10】図10は、結晶形Eの特徴的なラマンスペクトルである。
【図11】図11は、結晶形Fの特徴的なラマンスペクトルである。
【図12】図12は、結晶形Gの特徴的なラマンスペクトルである。
【図13a】図13aは、種化なしでエタノール/水中の結晶化によって調製された結晶形A(立方体および立方体様形態)の走査型電子顕微鏡イメージである。
【図13b】図13bは、種化にてエタノール/水中の結晶化によって調製された結晶形A(立方体および立方体様形態)の走査型電子顕微鏡イメージである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、安定な(+)−および(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の結晶形、好ましくは形態的に取り扱いやすい結晶形に関する。
発明の背景:
(+)−および(−)−エリスロ−メフロキンは、(+)−(11S,2’R)−α−2−ピペリジニル−2,8−bis(トリフルオロメチル)−4−キノリンメタノール(2)および(−)−(11R,2’S)−α−2−ピペリジニル−2,8−bis(トリフルオロメチル)−4−キノリンメタノール(1)の慣用名で、下式のものである。
【0002】
【化1】
【0003】
メフロキンは、キラルな薬剤物質で、キニンの合成類似体であり、当初は耐性が発達した現存の抗−マラリア剤を代替するために開発されたものである。メフロキンは、ラセミ混合物として販売されているが、両方のエナンチオマーが異なった生物的活性を示すことが示されている。EP−A−0966285は、副作用の軽減したマラリアの治療のための(+)−メフロキンを開示しており、一方EP−A−0975345およびEP−A−1107761は、(−)−メフロキンがプリン受容体をブロックして運動および神経変性障害の治療に有効であろうことが開示されている。より最近では、WO02/19994は、(+)−(11S,2’R)−エリスロ−メフロキン(2)は、リウマチ様関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息のような炎症と自己免疫疾患の治療に好ましいエナンチオマーであると開示している。
【0004】
J. M. KarleらによるAntimicrobial Agents and Chemotherapy Vol. 46 (5), ページ1529〜1534 (2002)は、エタノールと水の塩酸によるpH2.3混合物から(−)−メフロキン塩酸塩の再結晶によってきれいな長方針状の形状での(−)−メフロキン塩酸塩水和物の調製、およびその産物のX線結晶学的性質を開示している。我々自身の研究では、ラセミ体の性質とは対照的に、純粋なエナンチオマーは水和物を形成しないことが示された。そこに記載された結晶形は調製することができなかった。その報告された単結晶データからの計算された回折パターンは、以下に示す新規な結晶形Aとはかなり異なっていることを示している。
【0005】
F. 1. Carroll らによる Journal of Medicinal Chemistry Vol. 17 (2), ページ210から219は、(+)−および(−)−メフロキンの遊離塩基の、メタノール性塩酸での(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩への転換と、それに続くCH2Cl2およびCH3CN混合物からの再結晶化について記載している。分離された固体産物は100℃で乾燥され、安定ではない結晶性化合物を得ている。それは、以下の結晶形BとCの混合物であると判明した(非常に細かい粒子)。
発明の概要
(+)−メフロキン塩酸塩の開発の間に得られた結果は、その結晶性化合物は多形および疑似多形形態で調製されうることを示した。さらに驚くべきことに、安定な結晶形(以下結晶形Aと呼ぶ)は、制御された結晶化条件下で調製されうること、および結晶形Aは医薬製剤の製造および調製で取り扱いやすく、加工しやすい形態学的形態の中で、確実性のある方法によって調製されうることが明らかとなった。
【0006】
本発明の側面は、(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩の安定な結晶形A、および形態を制御しやすい、その調製のためのプロセスを含む。制御された結晶化条件の使用は、(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩の改良された生産サイクルを可能にする(これは、本明細書の目的では、(+)または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩と理解される)。
【0007】
(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aは、示差走査熱量測定により10℃/分の加熱速度で測定された分解下で約284℃の融点を含む。その融点は上述のCarrollらによる報告よりも約7℃高い(しかし、速い分解のため十分な区別(differentiation)ではない)。この結晶形Aは結晶形BおよびCと比較して最も安定な形態であり、それは結晶形A、BおよびCの混合物での2℃〜75℃の範囲での懸濁実験で示される。結晶形Cは最も不安定である。
結晶形A
結晶形Aは、シンクロトロンX線放射にて測定し、5.95(s)および4.02(w)のd値(Å)で表されるピークの特徴的X線解析粉末回折パターンを示す(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形である。
【0008】
更なる態様において、結晶形Aは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形であり、d値(Å)
【0009】
【化2】
【0010】
で表される特徴的ピークを有する、特徴的シンクロトロンX線解析粉末回折パターンを示す。
他の態様において、結晶形Aは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形で、 30〜150μmのサイズ分布の大きなサイズの粒子を使用したとき、d値(Å)
【0011】
【化3】
【0012】
で表される特徴的ピークを有する、特徴的X線解析粉末回折パターンを示す。
上記および以下で、カッコ内の略語は以下を意味する:(vvs)=非常に非常に強い強度;(vs)=非常に強い強度;(s)=強い強度;(m)=中くらいの強度;(w)=弱い強度、そして(vw)=非常に弱い強度。
【0013】
X線粉末回折パターンは、サンプルの大きな粒子サイズによって生じるいくつかの非常に強いピークを示す。このサンプルはおよそ1〜10μmに粒子サイズを低下させ、この組織構造上の効果を避けるためにわずかにすりつぶした。最も強いピーク強度は、それにより減少し、いくつかの小さなピークは消失する。結晶形Aはすりつぶしの後も依然として存在する。
【0014】
さらに他の態様において、結晶形Aは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形で、1〜10μmのサイズ分布の小さなサイズの粒子を使用したとき、d値(Å)
【0015】
【化4】
【0016】
で表される特徴的ピークを有する、特徴的X線粉末回折パターンを示す。
本発明の他の好ましい態様は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aは、図1、2または3で表される特徴的なX線粉末回折パターンを示す。
【0017】
本発明の他の好ましい態様において、結晶Aは、さらに1030.2(w)と85.4(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形を含む。
【0018】
結晶形A、BおよびCの中で、結晶形Cは最も安定でない結晶形であり、結晶形Bへ変換される。結晶形Bもまた準安定であり、熱力学的に安定な結晶形Aに変換する。エタノール/水混合物を使用した結晶化プロセスでは、結晶形A、BおよびCのみを製造することができる。結晶形A中の最も可能性のある夾雑物は、それゆえ結晶形Bである。
【0019】
結晶形Aは少量の結晶形Bを含むことがある。結晶形Aの含量は、混合物に対して重量で好ましくは少なくとも70%、よりこの好ましくは少なくとも80%、そして最も好ましくは少なくとも90%である。バイオアベイラビリティーのような薬理的特性は、ある含量の結晶形Bによっては実質的に影響されない。
他の結晶形
アセトニトリルと塩化メチレンの混合物からの再結晶化産物は(参照:上述のCarro11ら)、アセトニトリルと塩化メチレン溶媒和物の混合物を生じることも判明した。驚くべきことに、溶媒和物は、アセトン、テトラヒドロフラン、およびメチルエチルケトンでも調製することができること、およびそれらの溶媒和物は(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の他の結晶形を製造するために使用することができること(例えばメチルエチルケトン溶媒和物を脱溶媒することによって得られる結晶形D)が判明した。
結晶形D
本発明の他の側面は、結晶形A、BおよびCとは異なる他の結晶形で、メチルエチルケトン溶媒和物から溶媒を除去することによって製造することができるものである。結晶Dは、2877(m)、1601(s)、1585(s)、1363(vs)、1028.2(w)、320(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形である。
結晶形E
本発明の更なる側面は、1602(s)、1585(s)、1363(vs)、322(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す、アセトン溶媒和物の形態である(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶性疑似多形である。アセトンの含量は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩に対して0.8〜1モルであってもよい。
結晶形F
本発明の更に他の側面は、1601(s)、1585(s)、1363(vs)、323(m)および119(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す、テトラヒドロフラン溶媒和物の形態である(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶性疑似多形である。テトラヒドロフランの含量は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩に対して0.8〜1モルであってもよい。
結晶形G
本発明の更に他の側面は、1600(s)、1585(s)、1363(vs)、319(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す、メチルエチルケトン溶媒和物の形態である(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶性疑似多形である。メチルエチルケトンの含量は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩に対して0.8〜1モルであってもよい。
発明の説明
結晶多形A、BおよびCは、立方体、立方体様粒子、柱状、針状、またはブレード形状(blade-shaped)粒子のような異なった結晶性を有することができる。有利な取り扱い性と加工特性の点で、太い柱状、直方体(cuboids)、立方体および立方体様の性質は好ましい。直方体、立方体および立方体様粒子が特に好ましい。太い柱状、直方体、立方体および立方体様形状が大部分で、針状および/またはブレード形状粒子が少量である混合物を含め、結晶性状の混合物が可能である。その粒子サイズは、形態形状の最も長い辺で、1〜1000μm、好ましくは10〜700μm、そしてより好ましくは20〜500μmである。
【0020】
(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶多形A、B、C、D、E、FおよびGは、好ましくは実質的に太い柱状、直方体、立方体または立方体様粒子の性状、そして特に好ましくは直方体、立方体または立方体様粒子の性状である。
【0021】
本発明の好ましい側面は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶性多形Aで、実質的に太い柱状、直方体、立方体または立方体様粒子の性状、そして特に好ましくは直方体、立方体または立方体様粒子の性状である。
【0022】
結晶性状の調製として、懸濁、析出、再結晶化、蒸発、溶媒様水吸着法(solvent-like water sorption methods)、または溶媒和物の脱溶媒のような当業者によく知られた結晶化技術を使用することができる。希釈、飽和または過飽和溶液が、適当な核剤での種化とともに、または種化なしに、結晶化に使用することができる。150℃までの温度、および好ましくは100℃までの温度が溶液を形成するために適用することができる。−50℃までの結晶化と沈殿開始のための冷却、好ましくは−10℃から30℃(室温)までの冷却を適用することができる。準安定結晶形は、より安定な結晶形の調製のための溶液または懸濁液を調製するために、そして溶液中でより高い濃度を達成するために使用することができる。B、Cのような結晶形またはそれらの混合物並びに溶媒和物は、結晶形Aまたは疑似多形を調製するために使用することができる。疑似多形もまた結晶形Aを調製するために使用することができる。
【0023】
適当な溶媒は、例えばエタノールおよびイソプロパノールのようなアルカノール類、酢酸エチルのような酢酸エステル類、および少量の水を含むそれらの混合物である。
(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩の典型的な水和物の形成が見られないので、水を含む溶媒混合物を使用することができるというのが分かったのは驚くべきことである(Karleらにより報告されている“0.25水和物”は、結晶格子内のチャンネルに残存する水として説明することができる)。さらに、驚くべきことに、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩はエタノールと水のような溶媒/水混合物中で普通でない溶解特性を示すことも明らかとなった。純粋なエタノールにある量の水を添加すると溶媒中での溶解性は増加し、より多くの量の水を添加すると溶解性は減少し、水の含量が50%(v/v)を超えると純粋なエタノール中よりも溶解性が低くなる。この効果は(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶液へ水を添加することによる沈殿と結晶化の開始に使用することができ、また立方体または立方体様形の結晶形Aのような望ましい形態での種晶を使用した種化技術にも適用することができる。しかし、他の非―溶媒は、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサン)またはエーテル類(t−ブチルメチルエーテル)のような溶媒中の溶液から沈殿を起こさせるのに使用することができる。結晶形Aの形成を完結するのに十分な時間の懸濁液の攪拌は、好ましく適用され、必要は時間は時間単位から数日であり、たとえば1時間から10日またはより好ましくは5時間から5日である。
【0024】
本発明の好ましい側面は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの調製方法であって、20℃〜100℃の温度で溶媒中へ(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の他の固体結晶形を溶解して濃縮溶液を形成し、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を沈殿させるために溶液を冷却し、結晶形Aの形成を完結するに十分な時間懸濁液を攪拌し、溶媒を除去し、固体残査を乾燥する工程を含む方法である。結晶形A以外の固体結晶形には、たとえば結晶形Bおよび/またはCを夾雑物として含む結晶形A、または針状またはブレード形状粒子のような望ましくない形態である結晶形Aが含まれる。前記プロセスは種化工程を経て、または種化なしで行うことができる。
【0025】
溶液の温度範囲は20℃から100℃で行うことができ、好ましくは20℃から70℃である。冷却は連続的または段階的に実施することができ、冷却速度は速度が0.1℃/時間から5℃/時間の範囲、そして好ましくは0.3℃から3℃/時間の範囲になるようにコントロールすることができる。冷却はある低い温度レベルで停止され、結晶化が完結するまでその温度に維持することができる。溶液中の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の濃度は、溶解温度に依存して60〜600mg/ml溶媒であり、好ましくは80〜450mg/ml溶媒である。適当な溶媒は、例えばエタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、またはエタノール/水の80:20体積比混合物である。攪拌時間は1時間から5日である。固体の分離は、デカンテーションまたはろ過により行うことができる。乾燥は好ましくは約室温にて、または60℃までの温度で実施される。
【0026】
本発明の他の好ましい側面は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの調製方法であって、20℃〜100℃の温度で溶媒中へ(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形A以外の固体結晶形を溶解して濃縮溶液を形成し、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を沈殿させるために十分な量の非−溶媒を添加し、結晶形Aの形成を完結するに十分な時間懸濁液を攪拌し、溶媒を除去し、固体残査を乾燥する方法である。場合により、非−溶媒の添加後に、溶液は冷却される。適当な溶媒は、例えばエタノール、イソプロパノール、酢酸エチルであり、適当な非−溶媒は例えばヘプタン、そしてまたは好ましくは水である。添加される非−溶媒の量は、溶解に使用される溶媒の体積の半分、または5倍まで、好ましくは3倍までである。前述の他の条件は、このプロセスを実施する際に適用することができる。結晶形A以外の固体結晶形には、たとえば結晶形Bおよび/またはCを夾雑物として含む結晶形A、または針状またはブレード形状粒子のような望ましくない形態の結晶形Aが含まれる。前記プロセスは種化工程を経て、または種化なしで行うことができる。
【0027】
上述のエタノールと水の混合物中の(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩の普通でない溶液特性は、(+)−および(−)−メフロキンの遊離塩基から始まり、第一段階としての塩酸塩の形成、そしてエタノール/水混合物中での遊離塩基の濃縮に関する結晶化条件の調整、結晶化プロセスのそれぞれの工程での適当な水含量、望ましい形態を得るための種化のタイプと時間、冷却速度、温度、水添加の時間と相平衡という、結晶形Aの調製に関する基礎ともなる。この方法は、驚くべき信頼性の高い、そして便宜な結晶形Aのみの、特に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様形のような取り扱いやすい形態学的結晶形のみの製造のプロセスを提供する。望ましくなく、そして不安定な結晶形BとCの存在は、最終産物結晶形A中にさえ検出されない。
【0028】
本発明の更なる、そして好ましい側面は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの製造方法であって、
a)10℃〜80℃の温度にて、実質的に水を含まない(+)−または(−)−メフロキン遊離塩基をエタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)水分含量が、形成した(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩が不溶化する濃度となるような濃度で塩酸水溶液と水を添加する工程、
c)得られた懸濁液を振り混ぜるまたは攪拌する工程、そして場合により懸濁液を冷却する工程、
d)場合による冷却下での振り混ぜまたは攪拌後にその混合液を保存する工程、そして、
e)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む、前記方法である。
【0029】
種化は、工程b)での水の添加の間または後に、後に述べる種晶と種晶の量で実施することができる。
本発明において実質的に水を含まないとは、水を遊離塩基に対して水の重量として5%以下、そして好ましくは1%以下含むことを意味する。温度は好ましくは約室温(20℃〜30℃)である。工程b)で与えられる水含量は、塩酸水溶液と水の添加によって生じるエタノール/水混合物中の水含量が少なくとも40体積%、好ましくは40〜90体積%の範囲、そしてより好ましくは65〜85体積%の範囲になるようにすることができる。添加する塩化水素の量は、好ましくは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の完全な形成に等しい量であり、そして等モル量の80%までの過剰量が使用されうる。工程c)での冷却は、室温への冷却を意味する。工程d)での保存時間は、数時間から数日、例えば1時間〜10日を意味する。沈殿物はデカンテーションまたは濾過により分離することができる。選択される乾燥手段は、好ましくは室温〜60℃までの空気乾燥または真空下での乾燥である。エタノール中の遊離塩基の濃度は、工程a)で選択される温度に応じて、100〜800mg/ml、およびより好ましくは200〜600mg/mlである。
【0030】
結晶形Aの調製における特別な利点は、エタノールへの水の添加を通して、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶解性増加と減少の効果を使用することである。この方法は、工業スケールでの(標準的な条件においても)、望ましい多形結晶形での(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの調製のための確固としたプロセスを提供する。
【0031】
本発明の特に好ましい態様は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの調製方法であって、
a)40℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−メフロキン遊離塩基をエタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)振り混ぜる/攪拌下にて、温度を維持し、そして塩酸水溶液を添加して、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を形成する工程、
c)約10℃から30℃の温度に、継続的に、または継続的で段階的に、徐々に温度を低下させる工程、
d)(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶解性を低下させるために、低下した温度で水を添加する工程、
e)低下した温度で振り混ぜ/攪拌を継続する工程、そして、
f)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む方法である。種化は、工程d)での水の添加の間または後に、後に述べる種晶と種晶の量で実施することができる。
【0032】
実質的に水を含まないとは、水を遊離塩基に対して水の重量として5%以下、そして好ましくは1%以下含むことを意味する。(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の望ましい溶解性とするようにトータルの水含量を調整するために、添加する水の量と濃塩酸水溶液として添加される水の量とを一緒に考慮することが重要である。温度は好ましくは50℃〜80℃である。遊離塩基の量は、工程b)で(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩が100〜800mg/mlの濃度、そしてより好ましくは300〜700mg/mlの濃度になるように選択されるのが好ましい。その量は、選択される温度に依存する。
【0033】
塩酸水溶液の添加は、一度で行われるのは好ましくなく、添加は連続的に1〜30分以内、連続的に5〜20分以内が好ましい。塩酸水溶液を工程a)で適用される温度に加熱するのが有益であろう。水含量をよりよくコントロールするために、濃塩酸水溶液(37%m/m)を使用するのが便利である。添加する塩化水素の量は、好ましくは(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の完全な形成に等しい量であり、そして等モル量の80%までの過剰量が使用されうる。塩酸水溶液の添加と共にまたはその後に添加される水の量は、好ましくは工程b)でのエタノール中の水含量が20〜3体積%、そして好ましくは15〜5体積%となる量である。溶解した(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の少量が沈殿するので、濁った混合物が濃塩酸の添加後に形成される。
【0034】
その混合物を、b)工程の後にある時間、例えば1分〜2時間、好ましくは5分〜1時間、振り混ぜ/攪拌することができる。
工程c)での温度の低下は、2つの態様で実施することができる。最初の態様では、混合物は0.1〜5K/分の冷却速度、好ましくは0.1〜2K/分、そしてより好ましくは0.2〜1K/分の冷却速度で約10℃〜30℃の温度、好ましくは室温(20〜30℃)に連続的に冷却される。2番目の態様では、混合物は連続的で段階的に、好ましくは混合物で添加した種晶が溶解しない温度に冷却される。温度の低下は開始温度に依存する;約5〜20℃、より好ましくは7〜15℃、そして最も好ましくは約10℃が本目的には十分である。
【0035】
望ましい形態での結晶形Aのような核化剤での種化(Seeding)または同様の形態での結晶性種晶での種化は、別のバッチであらかじめ調製され、前記結晶形の重量%として、5%まで、好ましくは0.1〜3%、そしてより好ましくは0.5〜2.5%添加することにより実施される。種晶として最も好ましい形態学的形態は、立方体または立方体様形態である。その種晶の量は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の量に対してである。
【0036】
工程d)での水の添加は、エタノール/水混合物中での(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶解性の減少に寄与する。添加する水の量は、エタノール/水混合物中の水含量が少なくとも40体積%、好ましくは40〜90体積%、そしてより好ましくは65〜85体積%になるような量である。水は、一度に、段階的に、または連続的に添加することができる。一度での添加は、小さすぎる粒子サイズでの望ましくない沈殿の突然の形成を起こすかもしれない;それゆえ、段階的または連続的添加が好ましい。連続添加のための適当な投与時間は、10〜90分、そしてより好ましくは30〜60分である。
【0037】
振り混ぜ/攪拌は、水添加後、例えば10〜180分、好ましくは30〜120分継続される。
結晶化プロセスが終了した後、沈殿物をろ過にかけ、残存するエタノールと水を取り除くために乾燥される。乾燥は真空で高められた温度で、または真空で高められた温度であるが分解温度より低い温度で実施することができる。乾燥温度は10〜70℃、好ましくは20〜50℃である。
【0038】
立方体または立方体様粒子の形態での(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩結晶形Aの製造のための本発明の特に好ましい製造方法は、
a)65℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−メフロキン遊離塩基を無水エタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)温度を維持し、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の溶液を形成するために、エタノール/水中に、エタノール/水混合物中の水含量が20〜3、好ましくは15〜5体積%となるように、振り混ぜまたは攪拌下にて濃塩酸水溶液を5〜20分連続的に添加する工程、
c)約20℃から30℃の温度に、0.2〜1K/分の速度で継続的に温度を低下させる、または第一段階で0.2〜1K/分の速度で工程aより5〜20℃低い温度に継続的に温度を低下させ、立方体または立方体様の形態の結晶形Aの結晶種を(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の量に対する重量で0.5〜2.5%を添加し、15〜30分間攪拌し、そしてそれから継続的に0.1〜1K/分の速度で約20℃〜30℃の温度に低下させる工程、
d)低下した温度で、30分〜60分の間、エタノール/水混合物中の水含量が65〜85体積%となるように水を添加する工程、
e)低下した温度で1〜2時間振り混ぜ/攪拌工程を継続する工程、そして、
f)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む前記方法である。
【0039】
本発明の更なる側面は、結晶形Dの(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の製造方法で、
a)(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物を20℃〜100℃、好ましくは30℃〜70℃にて真空、または真空ではなくメチルエチルケトンが除去されるまで処置する工程、または、
b)非−溶媒中に(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物を懸濁し、結晶形Dを形成するために溶媒和物からメチルエチルケトンを除去するに十分な時間攪拌し、結晶を分離し、分離した結晶を乾燥する工程を含む方法である。
【0040】
適当な非−溶媒には、例えばn−へプタン、t−ブチルメチルエーテルおよび水が含まれる。工程b)での攪拌と乾燥は、20℃〜50℃の温度で実施することができる。
また、本発明の更なる側面は、アセトン溶媒和物(結晶形E)、テトラヒドロフラン溶媒和物(結晶形F)、またはメチルエチルケトン溶媒和物(結晶形G)の形の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の製造方法であって、
a)アセトン、テトラヒドロフランまたはメチルエチルケトンを溶媒として、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を40℃〜80℃の温度で溶解し、濃縮された、飽和または過飽和溶液を形成し、冷却し、そして溶媒和物を形成するに十分な時間冷却された懸濁液を攪拌し、そして結晶を分離し、分離された結晶を乾燥する工程、または、
b)アセトンまたはテトラヒドロフランを溶媒として(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩を懸濁し、溶媒和物を形成するに十分な時間20℃〜35℃の温度で懸濁液を攪拌し、そして結晶を分離し、分離された結晶を乾燥する工程を含む方法である。
【0041】
溶媒和物を形成するに適当な時間は、例えば1時間〜100時間、好ましくは2時間〜80時間である。冷却は、−10℃〜20℃、好ましくは−10℃〜10℃を意味する。分離と乾燥は、例えば室温で、注意深く実施することができる。
【0042】
結晶形B〜Gは、医薬組成物中に、そして好ましくは、その安定性、意図した条件での調製の可能性、その適当な形態と粒子サイズゆえに加工しやすく、扱いやすく、より好ましい結晶形Aを調製するための中間体および出発物質として使用することができる。それらの顕著な特性は、結晶形Aを特に医薬用途に適したものとしている。
【0043】
従って、本発明は、実質的に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様粒子の形状の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形B、Cおよび/またはD、および製剤的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物にも関する。
【0044】
好ましい態様では、本発明は、(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形A、および製剤的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物にも関する。好ましくは、本発明の医薬組成物は、実質的に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様粒子の形状である結晶形Aを含む。
【0045】
(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形の量は、実質的に製剤の種類および投与期間中の望ましい投与量に依存する。経口製剤での量は、0.1〜50mg、好ましくは0.5〜30mg、そしてより好ましくは1〜15mgである。
【0046】
経口製剤は、カプセル、錠剤、ピルおよびトローチのような固体剤、水性懸濁液、エリキシルおよびシロップのような液体剤であってもよい。固体および液体剤型は、本発明による(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形の液体または固体食品への混合をも含む。液体は、輸液または注射のような非経口の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aの溶液をも含む。
【0047】
本発明の結晶形は、粉末(微粒状化粒子)、顆粒、懸濁液または溶液として直接使用することも、または他の製剤的に許容される成分と混ぜられ、場合によりそれらを細かく分け、そして例えば硬いかやわらかいゼラチンからできたカプセル、圧縮錠剤、ピルあるいはトローチに入れ、または懸濁液、エリキシルおよびシロップとして担体中に懸濁または溶解することができる。コーティングはピルを形成するのに圧縮後に適用することができる。
【0048】
製剤的に許容される成分は、様々な種類の製剤用がよく知られていて、たとえば様々な製剤種用の、天然あるいは合成ポリマーのような結合剤、賦形剤、潤滑剤、界面活性剤、甘味剤および芳香剤、コーティング剤、保存剤、染料、増粘剤、補助薬、抗菌剤および担体である。
【0049】
結合剤の例は、ガムトラガカント、アカシア、スターチ、ゼラチン、およびジカルボン酸、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、および/または脂肪族カルボン酸のホモ−またはコポリエステルのような生分解性ポリマー;ジカルボン酸、アルキレンジアミン、および/または脂肪族アミノカルボン酸のホモ−またはコ−ポリアミド;相当するポリエステル−ポリアミドコポリマー、ポリアンハイドライド(polyanhydrides)、ポリオルトエステル(polyorthoesters)、ポリホスファゼン(polyphosphazene)およびポリカーボネート(poly-carbonates)である。生分解性ポリマーは、直鎖、分岐鎖、または架橋されたものでもよい。特定の例は、ポリ−グリコール酸、ポリ−乳酸、およびポリ−d,l−ラクチド/グリコリドである。ポリマーとしての他の例は、ポリオキサアルキレン(ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレン、およびそれらの混合ポリマー)、ポリ−アクリルアミドおよびヒドロキシアルキル化ポリアクリルアミド、ポリ−マレイン酸およびそのエステルまたはアミド、ポリ−アクリル酸およびそのエステルまたはアミド、ポリビニルアルコールおよびそのエステルまたはエーテル、ポリビニルイミダゾール、ポリ−ビニルピロリドン、およびキトサンのような天然ポリマーのような水−溶解性ポリマーである。
【0050】
賦形剤の例は、リン酸2カルシウムのようなリン酸塩(phosphate)である。潤滑剤の例は、天然あるいは合成オイル、油脂、ワックス、またはステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸塩である。
【0051】
界面活性剤は、アニオン、両性または中性であってもよい。界面活性剤の例は、レシチン、リン脂質、硫酸オクチル、硫酸デシル、硫酸ドデシル、硫酸テトラデシル、硫酸ヘキサデシルおよび硫酸オクタデシル、オレイン酸ナトリウム、またはカプリル酸ナトリウム、1−オクタノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−デカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ドデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−テトラデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ヘキサデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸および1−オクタデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸のような1−アクリルアミノエタン−2−スルホン酸、およびタウロコール酸およびタウロデオキシコール酸、胆汁酸およびそれらの塩、コール酸、デオキシコール酸およびクリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウムまたはラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ひまし油硫酸およびドクセートナトリウム、コカミドプロピルベタイン(cocamidopropylbetaine)およびラウリルベタイン、脂肪アルコール、コレステロール類、グリセロールモノ−またはジステアレート、グリセロールモノ−またはジオレエート、およびグリセロールモノ−またはジパルミテート、およびポリオキシエチレンステアレートである。
【0052】
甘味剤の例は、スクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテームである。芳香剤の例は、ペパーミント、ウィンターグリーン油またはチェリーやオレンジフレーバーのようなフルーツフレーバーである。コーティング剤の例は、ゼラチン、ワックス、セラック、糖または生分解ポリマーである。保存剤の例は、メチルまたはプロピルパラベン類、ソルビン酸、クロロブタノール、フェノールおよびチメロサールである。補助薬の例は、芳香剤(fragrance)である。増粘剤の例は、合成ポリマー、脂肪酸および脂肪酸塩類およびエステル類および脂肪アルコール類である。液体担体の例は、水、エタノールのようなアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチンおよび油類である。固体担体の例は、タルク、クレー、微結晶セルロース、シリカ、アルミナ等である。
【0053】
本発明の製剤は、糖、緩衝液または塩化ナトリウムのような等張剤を含むこともできる。
本発明の結晶形は、水性環境下で分解し、飲用溶液を与える発泡性の錠剤または粉末としても調剤することができる。
【0054】
シロップまたはエリキシルは、本発明の多形、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、メチルパラベンのような保存剤、染料および香味料(flavouring agent)を含むことができる。
【0055】
胃腸管中の体液との接触で活性剤の制御放出を達成するため、および血漿中での活性剤の実質的に一定で有効なレベルを与えるために、徐放製剤も本発明の結晶形から調製することができる。本目的のために、本発明の結晶形は、生分解性ポリマー、水溶性ポリマーまたはそれらの混合物、および場合により適当な界面活性剤のパリマーマトリックス中に埋め込むことができる。この関連での埋め込みは、ポリマーマトリックス中に微粒子を挿入することを意味しうる。制御放出製剤は、分散された微粒子の被包、または公知の分散または乳化コーティング技術による乳化微小滴の被包によって得ることもできる。
【0056】
本発明の結晶形は、動物へ治療的に有効な薬剤と組み合わせて投与することの有益である。そのような組み合わせ治療は、製剤中に追加的に分散され、または溶解されうる少なくとも一つの更なる治療剤を使用して実施することができる。
【0057】
本発明の結晶形と製剤は、それぞれある状態を処置するのに有効で組み合わせ治療を提供する他の治療剤と組み合わせて投与することもできる。
本発明の結晶形と医薬組成物は、上記に両エナンチオマーとして記載されているように、低減された副作用でのマラリアの治療、運動および神経変性障害の治療、リウマチ様関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息のような炎症性および自己免疫疾患の有効な治療に極めて適切である。
【0058】
本発明の側面は、本発明の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形の有効量、または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形の有効量を治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、抗マラリア、抗炎症および抗自己免疫疾患、または抗−神経変性作用を発生させるための治療方法でもある。
【0059】
本発明の他の側面は、本発明の(+)−または(−)−メフロキン塩酸塩の結晶形を受容者(host)に送達する方法であって、受容者に本発明の結晶形の有効量を投与することを含む方法である。
【0060】
本発明の更なる側面は、人のような哺乳動物のマラリアの治療、運動および神経変性障害の治療、または炎症および自己免疫疾患の治療に有効な薬剤の製造のための本発明の結晶形の使用;および医療治療に使用するための本発明の結晶形である。
【0061】
以下の実施例は、発明の範囲を制限することなく、本発明を例示したものである。
A)結晶形AおよびDの調製
実施例A1:結晶形Aの調製
101mgの(+)−メフロキン遊離塩基を0.35mlの無水エタノールに室温で溶解する。0.27mlの1M塩酸水溶液を添加し、混合液を振る。その混合液を8時間攪拌せずに室温で保存する。次に、母液をデカントし、固形物を空気乾燥し、針状の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形を得る。
実施例A2:結晶形Aの調製
100mgの(+)−メフロキン遊離塩基を0.35mlの無水エタノールに室温で溶解する。0.03mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を添加し、混合液を振る。その混合液を攪拌せずに室温で一日保存する。次に、母液をデカントし、固形物を空気乾燥し、立方体状の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形を得る。
実施例A3: 結晶形Aの調製
5.01gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水<1%)を16.2mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして70℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を70℃にて10分にわたりその溶液に添加し、そしてその混合液をさらに一時間攪拌する。攪拌しながら温度を0.4K/分の速度にて25℃まで下げる。25℃にて、懸濁液に46mの水を32ml/時間の速度で添加する。水の添加後、懸濁液を室温にてさらに45分攪拌する。次に、ろ過、空気乾燥し、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aを得る。
実施例A4: 結晶形Aの調製
5.00gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水<1%)を16.2mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして70℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を70℃にて10分にわたりその溶液に添加し、そしてその混合液をさらに15分間攪拌する。攪拌しながら温度を0.3K/分の速度にて60℃まで下げる。60℃にて、50mgの立方体形態の結晶形Aの(+)−メフロキン塩酸塩を添加し、その懸濁液を5分間60℃にて攪拌する。攪拌しながら、温度を0.3K/分の速度で25℃まで下げる。25℃にて、懸濁液に46mlの水を84ml/時間の速度で添加する。水の添加後、懸濁液を室温にてさらに10分攪拌する。次に、ろ過、20時間40℃にて真空乾燥し(10mbar)、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形A5.09gを得る。
実施例A5: 結晶形Aの調製
5.01gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水含量<1%)を8.1mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして69℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を69℃にて10分にわたりその溶液に添加し、そしてその混合液をさらに20分間攪拌する。攪拌しながら温度を0.7K/分の速度にて25℃まで下げる。25℃にて、懸濁液に23mlの水を115ml/時間の速度で添加する。水の添加後、懸濁液を室温にてさらに18分間攪拌する。次に、ろ過、空気乾燥し、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aを得る。
実施例A6: 結晶形Aの調製
5.01gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水含量<1%)を8.1mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして70℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を70℃にて10分にわたりその溶液に添加する。70℃にて、懸濁液に23mlの水を92ml/時間の速度で添加する。水の添加後、懸濁液を70℃にてさらに5分間攪拌する。攪拌しながら温度を0.8K/分の速度で23℃まで下げる。その懸濁液をさらに10分間23℃で攪拌する。次に、ろ過、16時間40℃にて真空乾燥し(15mbar)、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形Aを得る。
実施例A7:結晶形Aの調製
101mgの(−)−メフロキン塩酸塩を1.4mlのエタノールと水(1:1v/v)の混合液に室温にて溶解する。1.4mlの水を添加する。その混合液を室温にて5日間攪拌する。続いて、ろ過および固形物の空気乾燥にて、結晶形A(非常に微細な粒子)の(−)−メフロキン塩酸塩を得る。
実施例A8:結晶形Dの調製
101mgの(+)−メフロキン塩酸塩を70℃にて3.5mlのメチルエチルケトンに溶解する。その混合液を5℃にて4日間保存する。続いて、ろ過、固形物の空気乾燥にて立方体形態の結晶形Dの(+)−メフロキン塩酸塩を得る(注:結晶形Dは、メチルエチルケトン溶媒和物の“同晶形”の脱溶媒された溶媒和物である)。
B)溶媒和物の調製
実施例B1:アセトン溶媒和物の調製
101mgの(+)−メフロキン塩酸塩を5.0mlのアセトンに室温にて懸濁する。その懸濁液を室温にて18時間攪拌する。続くろ過、および固形物の室温での空気乾燥にて、(+)−メフロキン塩酸塩のアセトン溶媒和物を得る(非常に微細な粒子)。
実施例B2 :アセトン溶媒和物の調製
101mgの(+)−メフロキン塩酸塩を50℃にて17mlのアセトンに溶解する。その混合液を5℃にて2時間保存する。引き続くろ過、固形物の室温での空気乾燥にて、(+)−メフロキン塩酸塩のアセトン溶媒和物(角柱)を得る。
実施例B3:テトラヒドロフラン溶媒和物の調製
100mgの(+)−メフロキン塩酸塩を70℃にて1.5mlのテトラヒドロフランに溶解する。その混合液を5℃にて5日間保存する。引き続くろ過、固形物の室温での空気乾燥にて、(+)−メフロキン塩酸塩のテトラヒドロフラン溶媒和物(立方体)を得る。
実施例B4:メチルエチルケトン溶媒和物の調製
301mgの(+)−メフロキン塩酸塩を75℃にて9.5mlのメチルエチルケトンに溶解する。その混合液を5℃にて3日間保存する。引き続く形成された結晶の室温での空気乾燥にて、(+)−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物(立方体)を得る。
C)結晶形BおよびCの調製
それらの結晶形は、Journal of Medicinal Chemistry Vol. 17 (2),ページ210〜219に記載されている結晶(+)−および(−)−メフロキン塩酸塩との比較として、本発明の新しい方法にて調製される。
実施例C1:結晶形Bの調製
100mgの(+)−メフロキン塩酸塩を1.4mlのエタノールと水(1:1v/v)の混合液に室温にて溶解する。1.4mlの水を添加し、その混合液を振る。攪拌せずに、その混合液を23時間室温で保存する。続いて、ろ過および固形物の室温での空気乾燥にて、針状の結晶形Bの(+)−メフロキン塩酸塩を得る。
実施例C2:結晶形Bの調製
100mgの(+)−メフロキン塩酸塩を室温にて2.0mlの無水エタノールに溶解する。6.0mlのn−ヘプタンを添加し、そしてその混合液を5分間攪拌する。その混合液を攪拌せずに室温で23時間保存する。続いて、ろ過および固形物の室温での空気乾燥にて、柱形状の結晶形Bの(+)−メフロキン塩酸塩を得る。
【0062】
結晶形Bは、シンクロトロンX線放射にて測定した以下のd値(Å)で示される特徴的なピークを示す。
【0063】
【化5】
【0064】
結晶形Bは、波長(cm−1)で示される特徴的なラマンバンドを示す:1026.1(w);87.4(vs)。
実施例C3:結晶形Cの調製
300mgの(+)−メフロキン塩酸塩を室温にて4.5mlの無水エタノールに溶解する。30mlのn−ヘプタンを添加する。その混合液を0.5時間室温にて攪拌する。続いて、ろ過および固形物の室温での空気乾燥にて、柱およびブレード形状粒子の結晶形Cの(+)−メフロキン塩酸塩を得る。
実施例C4:結晶形Cの調製
101mgの(+)−メフロキン遊離塩基を0.35ml無水エタノールに室温で溶解する。10mlのガス状塩酸を添加する。その懸濁液を攪拌せずに室温にて1.5時間保存する。続いて、ろ過および固形物の室温での空気乾燥にて、立方体形態の結晶形Cの(+)−メフロキン塩酸塩を得る。
実施例C5:結晶形Cの調製
5.01gの純粋な(+)−メフロキン遊離塩基(残存水含量<1%)を16.2mlの無水エタノールに攪拌しながら室温で懸濁し、そして70℃に加熱する。1.64mlの濃塩酸水溶液(37%m/m)を70℃にて10分にわたりその溶液に添加し、そしてその溶液をさらに5分間攪拌する。攪拌しながら温度を1K/分の速度で55℃まで下げる。続いて、小さなサンプルのろ過、室温での空気乾燥にて、立方体形態の(+)−メフロキン塩酸塩の結晶形Cを得る。
【0065】
結晶形Cは、波長(cm−1)で示される特徴的なラマンバンドを示す:2962(s); 2958(s);1026.2(w)および88.3(vs)。
実験:
粉末X線回折(PXRD):PXRDは、CuKα照射を使用したフィリップス1710パウダーX線回折装置(Philips 1710 powder X-ray diffractometer)にて実施した。d−スペーシングは、1.54060Åの波長を使用して、2θの値から計算する。一般的に、2θ値は、±0.1−0.2°の誤差の範囲内である。そのd−スペーシング値の実験誤差は、それゆえピークの位置に依存する。
【0066】
シンクロトロン照射X−線回折は、Material Science Forum Vols.321−324(2000)、ページ212〜217に記載の方法に従って実施される。サンプルを直径1.0mmのガラスキャピラリー上に、およそ深さ3cmで載せる。データ収集は、Daresbury LaboratoryのSRSのstation2.3で行う。使用したX−線の波長は、1.300Åであり(シリコン標準を使用して校正)、ビームサイズは1.0x10mm2である。収集したデータは1.54060ÅのCuKα照射にて再計算する。
ラマン分光法:FT−ラマンスペクトルは、1064nmで操作される近赤外Nd:YAGレーザー及び液体窒素冷却検出器を備えたBruker RFS 100 FT−ラマンシステムにて記録する。それぞれのサンプルについて、2cm−1の分解能での64スキャンを集積する。一般的に、100mWレーザー出力を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、結晶形Aの特徴的なX線粉末回折パターン(シンクロトロン測定)である。
【図2】図2は、結晶形Aの特徴的なX線粉末回折パターン(大きいサイズ粒子)である。
【図3】図3は、結晶形Aの特徴的なX線粉末回折パターン(小さなサイズ粒子)である。
【図4】図4は、結晶形Bの特徴的なX線粉末回折パターン(シンクロトロン測定)である。
【図5】図5は、結晶形A[(+)−エナンチオマー]の特徴的なラマンスペクトルである。
【図6】図6は、結晶形A[(−)−エナンチオマー]の特徴的なラマンスペクトルである。
【図7】図7は、結晶形Bの特徴的なラマンスペクトルである。
【図8】図8は、結晶形Cの特徴的なラマンスペクトルである。
【図9】図9は、結晶形Dの特徴的なラマンスペクトルである。
【図10】図10は、結晶形Eの特徴的なラマンスペクトルである。
【図11】図11は、結晶形Fの特徴的なラマンスペクトルである。
【図12】図12は、結晶形Gの特徴的なラマンスペクトルである。
【図13a】図13aは、種化なしでエタノール/水中の結晶化によって調製された結晶形A(立方体および立方体様形態)の走査型電子顕微鏡イメージである。
【図13b】図13bは、種化にてエタノール/水中の結晶化によって調製された結晶形A(立方体および立方体様形態)の走査型電子顕微鏡イメージである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5.95(s)および4.02(w)のd値(Å)で表されるピークの特徴的X線解析粉末回折パターンを示す、結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項2】
X線回折パターンが
【化1】
のd値(Å)で表されるピークも有する、請求項1記載のメフロキン塩酸塩。
【請求項3】
30〜150μmのサイズ分布を有する粒子を含み、
【化2】
のd値(Å)で表されるピークのX線解析粉末回折パターンを示す結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項4】
1〜10μmのサイズ分布を有する粒子を含み、
【化3】
のd値(Å)で表されるピークのX線解析粉末回折パターンを示す結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項5】
図1、2および3のいずれかで表される特徴的なX線解析粉末回折パターンを示す、請求項1〜4のいずれかのメフロキン塩酸塩。
【請求項6】
1030.2(w)と85.4(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項7】
2877(m)、1601(s)、1585(s)、1363(vs)、1028.2(w)、320(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項8】
1602(s)、1585(s)、1363(vs)、322(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す疑似多形結晶形で、アセトン溶媒和物である、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項9】
1601(s)、1585(s)、1363(vs)、323(m)および119(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す疑似多形結晶形で、テトラヒドロフラン溶媒和物である、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項10】
1600(s)、1585(s)、1363(vs)、319(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示すメチルエチルケトン溶媒和物である、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項11】
実質的に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様の粒子の形態である、請求項1〜10のいずれか一項のメフロキン塩酸塩。
【請求項12】
実質的に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様粒子の形態である、結晶形BまたはCの(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか一項のメフロキン塩酸塩の製造方法であって、20℃〜100℃の温度での溶媒中への(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の他の固体結晶形を溶解して濃縮溶液を形成し、場合により種化(seeding)し、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を沈殿させるために溶液を冷却し、所望の結晶形の形成を完結するに十分な時間懸濁液を攪拌し、溶媒を除去し、固体残査を乾燥する、各工程を含む前記方法。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか一項のメフロキン塩酸塩の製造方法であって、20℃〜100℃の温度での溶媒中への(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の他の固体結晶形を溶解して濃縮溶液を形成し、場合により種化(seeding)し、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を沈殿させるために十分な量の非溶媒を添加し、所望の結晶形の形成を完結するに十分な時間懸濁液を攪拌し、溶媒を除去し、固体残査を乾燥する、各工程を含む前記方法。
【請求項15】
(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の結晶形の製造方法であって、
a)10℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン遊離塩基をエタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)形成した(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩が不溶化する濃度の塩酸水溶液と水を添加する工程、
c)得られた懸濁液を振り混ぜまたは攪拌する工程、そして場合により懸濁液を冷却する工程、そして
d)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む、前記方法。
【請求項16】
請求項15記載の製造方法であって、
a)40℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン遊離塩基をエタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を形成するために、温度を維持し、そして振り混ぜまたは攪拌下にて塩酸水溶液を添加する工程、
c)約10℃から30℃の温度に、継続的に、または継続的で段階的に、徐々に温度を低下させる工程、
d)(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の溶解性を低下させるために、低下した温度で水を添加する工程、
e)低下した温度で振り混ぜる/攪拌する工程、
f)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む、前記方法。
【請求項17】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の立方体または立方体様形態であるメフロキン塩酸塩の製造のための請求項15記載の製造方法であって、
a)65℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン遊離塩基を無水エタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)温度を維持し、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の溶液を形成するために、エタノール/水中に、エタノール/水混合物中の水含量が20〜3、好ましくは15〜5体積%となるように、振り混ぜまたは攪拌下にて濃塩酸水溶液を5〜20分以内で連続的に添加する工程、
c)約20℃から30℃の温度に、0.2〜1K/分の速度で継続的に温度を低下させる、または第一段階で0.2〜1K/分の速度で20℃以下まで工程a)として継続的に温度を低下させ、立方体または立方体様の形態の請求項1〜6のいずれかのメフロキン塩酸塩の結晶種を、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の重量に対して重量で0.5〜2.5%添加し、15〜30分間攪拌し、そしてそれから継続的に0.1〜1K/分の速度で約20℃〜30℃の温度に低下させる工程、
d)低下した温度で、30分〜60分の間、エタノール/水混合物中の水含量が65〜85体積%となるように水を添加する工程、
e)低下した温度で1〜2時間振り混ぜ/攪拌工程を継続する工程、そして
f)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む、前記方法。
【請求項18】
請求項7記載の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の製造方法であって、
a)(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物を20℃〜100℃、好ましくは30℃〜70℃にて、真空または真空ではなくメチルエチルケトンを除去するために処理する工程、または、
b)非−溶媒中に(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物を懸濁し、溶媒和物からメチルエチルケトンを除去するに十分な時間攪拌し、そして結晶を分離し、乾燥する工程、
を含む、前記方法。
【請求項19】
請求項8〜10のいずれか一項の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の製造方法であって、
a)アセトン、テトラヒドロフランまたはメチルエチルケトン中に(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を40℃〜80℃の温度で溶解して、濃縮された、飽和または過飽和溶液を形成し、冷却し、溶媒和物を形成するに十分な時間冷却された懸濁液攪拌し、そして結晶を分離し、乾燥する工程、または、
b)アセトンまたはテトラヒドロフラン中に(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を懸濁し、溶媒和物を形成するに十分な時間20℃〜35℃の温度で懸濁液を攪拌し、そして結晶を分離し、乾燥する工程、
を含む、前記方法。
【請求項20】
治療に使用するための請求項1〜12のいずれか一項記載のメフロキン塩酸塩。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれか一項記載のメフロキン塩酸塩の、マラリア、運動若しくは神経変性障害、または炎症若しくは自己免疫疾患の治療に使用する製剤の製造における使用。
【請求項1】
5.95(s)および4.02(w)のd値(Å)で表されるピークの特徴的X線解析粉末回折パターンを示す、結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項2】
X線回折パターンが
【化1】
のd値(Å)で表されるピークも有する、請求項1記載のメフロキン塩酸塩。
【請求項3】
30〜150μmのサイズ分布を有する粒子を含み、
【化2】
のd値(Å)で表されるピークのX線解析粉末回折パターンを示す結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項4】
1〜10μmのサイズ分布を有する粒子を含み、
【化3】
のd値(Å)で表されるピークのX線解析粉末回折パターンを示す結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項5】
図1、2および3のいずれかで表される特徴的なX線解析粉末回折パターンを示す、請求項1〜4のいずれかのメフロキン塩酸塩。
【請求項6】
1030.2(w)と85.4(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項7】
2877(m)、1601(s)、1585(s)、1363(vs)、1028.2(w)、320(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す結晶形の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項8】
1602(s)、1585(s)、1363(vs)、322(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す疑似多形結晶形で、アセトン溶媒和物である、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項9】
1601(s)、1585(s)、1363(vs)、323(m)および119(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示す疑似多形結晶形で、テトラヒドロフラン溶媒和物である、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項10】
1600(s)、1585(s)、1363(vs)、319(m)および118(vs)の波長(cm−1)で表される特徴的なラマンバンドを示すメチルエチルケトン溶媒和物である、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項11】
実質的に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様の粒子の形態である、請求項1〜10のいずれか一項のメフロキン塩酸塩。
【請求項12】
実質的に太い柱状、直方体(cuboids)、立方体または立方体様粒子の形態である、結晶形BまたはCの(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか一項のメフロキン塩酸塩の製造方法であって、20℃〜100℃の温度での溶媒中への(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の他の固体結晶形を溶解して濃縮溶液を形成し、場合により種化(seeding)し、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を沈殿させるために溶液を冷却し、所望の結晶形の形成を完結するに十分な時間懸濁液を攪拌し、溶媒を除去し、固体残査を乾燥する、各工程を含む前記方法。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか一項のメフロキン塩酸塩の製造方法であって、20℃〜100℃の温度での溶媒中への(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の他の固体結晶形を溶解して濃縮溶液を形成し、場合により種化(seeding)し、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を沈殿させるために十分な量の非溶媒を添加し、所望の結晶形の形成を完結するに十分な時間懸濁液を攪拌し、溶媒を除去し、固体残査を乾燥する、各工程を含む前記方法。
【請求項15】
(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の結晶形の製造方法であって、
a)10℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン遊離塩基をエタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)形成した(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩が不溶化する濃度の塩酸水溶液と水を添加する工程、
c)得られた懸濁液を振り混ぜまたは攪拌する工程、そして場合により懸濁液を冷却する工程、そして
d)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む、前記方法。
【請求項16】
請求項15記載の製造方法であって、
a)40℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン遊離塩基をエタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を形成するために、温度を維持し、そして振り混ぜまたは攪拌下にて塩酸水溶液を添加する工程、
c)約10℃から30℃の温度に、継続的に、または継続的で段階的に、徐々に温度を低下させる工程、
d)(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の溶解性を低下させるために、低下した温度で水を添加する工程、
e)低下した温度で振り混ぜる/攪拌する工程、
f)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む、前記方法。
【請求項17】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の立方体または立方体様形態であるメフロキン塩酸塩の製造のための請求項15記載の製造方法であって、
a)65℃〜80℃の温度にて実質的に水を含まない(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン遊離塩基を無水エタノール中に溶解または懸濁する工程、
b)温度を維持し、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の溶液を形成するために、エタノール/水中に、エタノール/水混合物中の水含量が20〜3、好ましくは15〜5体積%となるように、振り混ぜまたは攪拌下にて濃塩酸水溶液を5〜20分以内で連続的に添加する工程、
c)約20℃から30℃の温度に、0.2〜1K/分の速度で継続的に温度を低下させる、または第一段階で0.2〜1K/分の速度で20℃以下まで工程a)として継続的に温度を低下させ、立方体または立方体様の形態の請求項1〜6のいずれかのメフロキン塩酸塩の結晶種を、(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の重量に対して重量で0.5〜2.5%添加し、15〜30分間攪拌し、そしてそれから継続的に0.1〜1K/分の速度で約20℃〜30℃の温度に低下させる工程、
d)低下した温度で、30分〜60分の間、エタノール/水混合物中の水含量が65〜85体積%となるように水を添加する工程、
e)低下した温度で1〜2時間振り混ぜ/攪拌工程を継続する工程、そして
f)沈殿物を分離し、固体残査を乾燥する工程を含む、前記方法。
【請求項18】
請求項7記載の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の製造方法であって、
a)(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物を20℃〜100℃、好ましくは30℃〜70℃にて、真空または真空ではなくメチルエチルケトンを除去するために処理する工程、または、
b)非−溶媒中に(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩のメチルエチルケトン溶媒和物を懸濁し、溶媒和物からメチルエチルケトンを除去するに十分な時間攪拌し、そして結晶を分離し、乾燥する工程、
を含む、前記方法。
【請求項19】
請求項8〜10のいずれか一項の(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩の製造方法であって、
a)アセトン、テトラヒドロフランまたはメチルエチルケトン中に(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を40℃〜80℃の温度で溶解して、濃縮された、飽和または過飽和溶液を形成し、冷却し、溶媒和物を形成するに十分な時間冷却された懸濁液攪拌し、そして結晶を分離し、乾燥する工程、または、
b)アセトンまたはテトラヒドロフラン中に(+)−または(−)−エリスロ−メフロキン塩酸塩を懸濁し、溶媒和物を形成するに十分な時間20℃〜35℃の温度で懸濁液を攪拌し、そして結晶を分離し、乾燥する工程、
を含む、前記方法。
【請求項20】
治療に使用するための請求項1〜12のいずれか一項記載のメフロキン塩酸塩。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれか一項記載のメフロキン塩酸塩の、マラリア、運動若しくは神経変性障害、または炎症若しくは自己免疫疾患の治療に使用する製剤の製造における使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【公表番号】特表2007−513196(P2007−513196A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543631(P2006−543631)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005331
【国際公開番号】WO2005/058872
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(506298976)ソセイ・アール・アンド・ディー・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005331
【国際公開番号】WO2005/058872
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(506298976)ソセイ・アール・アンド・ディー・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】
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