説明

(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドの結晶形態

本発明は、(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドの新規結晶形態と、この結晶形態を含有する医薬組成物と、この結晶形態を不安及び関連障害、双極性躁鬱病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇原性、ブドウ糖関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満、疼痛、薬物乱用の治療に、又は、神経保護に、使用することと、を目的とする。本発明は、この新規結晶形態の調製プロセスを更に目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドの新規結晶形態と、この結晶形態を含有する医薬組成物と、この結晶形態を不安及び関連障害、双極性躁鬱病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇原性、ブドウ糖関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満、疼痛、薬物乱用の治療に、並びに、神経保護剤として使用することと、を目的とする。本発明は、この新規結晶形態の調製プロセスを更に目的とする。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2006−0041008(A1)号(2006年2月23日公開)は、癲癇及び関連障害の治療に有用なベンゾ縮合スルファミド誘導体を開示している。米国特許出願公開第2007−0155826(A1)号(2007年7月5日公開)は、双極性障害及び躁病の治療へのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。米国特許出願公開第2007−0155827(A1)号(2007年7月5日公開)は、鬱病の治療へのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。米国特許出願公開第2007−0155824(A1)号(2007年7月5日公開)は、癲癇原性の治療へのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。米国特許出願公開第2007−0155821号(A1)号(2007年7月5日公開)は、ブドウ糖関連障害の治療及び脂質関連障害へのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。米国特許出願公開第2007−0191474(A1)号(2007年8月16日公開)は、片頭痛の治療へのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。米国特許出願公開第2007−015823(A1)号(2007年7月5日公開)は、神経保護のためのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。米国特許出願公開第2008−0027131(A1)号(2008年1月31日公開)は、肥満の治療へのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。米国特許出願公開第2007−0155822(A1)号(2007年7月5日公開)は、疼痛の治療へのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。米国特許出願公開第2007−0155825(A1)号(2007年7月5日公開)は、薬物乱用及び/又は嗜癖の治療へのベンゾ縮合スルファミド誘導体の使用を開示している。これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、式(IS)の化合物の新規結晶形態を目的とする。
【0004】
【化1】

【0005】
(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドの結晶形態としても知られる。式(IS)の化合物の新規結晶形態は、本明細書では以降、結晶形態(IS−VI)と呼ばれ、例えば、X線回折パターンにより特徴付けられ得る。
【0006】
本発明の実例は、製薬上許容できる担体及び結晶形態(IS−VI)を含む医薬組成物である。本発明の実例は、結晶形態(IS−VI)と製薬上許容できる担体とを混合することにより作製される医薬組成物である。本発明の実例は、結晶形態(IS−VI)と製薬上許容できる担体とを混合することを含む医薬組成物の作製プロセスである。
【0007】
本発明は、その必要がある対象に治療的に有効な量の結晶形態(IS−VI)を投与することを含む、不安及び関連障害、双極性躁鬱病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇原性、ブドウ糖関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満、疼痛、薬物乱用の治療、又は、神経保護のための方法を更に目的とする。
【0008】
本発明の別の例は、その必要がある対象における、(a)不安及び関連障害、(b)双極性鬱病、(c)躁病、(d)鬱病、(e)癲癇及び関連障害、(f)癲癇原性、(g)ブドウ糖関連障害、(h)脂質関連障害、(i)片頭痛、(j)肥満、(k)疼痛、(l)薬物乱用を治療するための、及び(m)神経保護のための、医薬品の調製に結晶形態(IS−VI)を使用することである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本明細書に記載されるように測定される、式(IS)の化合物の結晶形態(IS−VI)の代表的なXRDパターン。
【図2】本明細書に記載されるように測定される、式(IS)の化合物の結晶形態(IS−VI)の代表的なDSC。
【図3】本明細書に記載されるように測定される、式(IS)の化合物の結晶形態(IS−VI)の代表的なTGAスキャン。
【図4】本明細書に記載されるように測定される、式(IS)の化合物の結晶形態(IS−VI)の代表的なDVSスキャン。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、式(IS)の化合物の新規結晶形態を目的とする。
【0011】
【化2】

【0012】
本明細書では、結晶形態(IS−VI)と呼ばれる。本発明は、不安及び関連障害、双極性躁鬱病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇原性、ブドウ糖関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満、疼痛、薬物乱用の治療のために、又は、神経保護のために、結晶形態(IS−VI)を使用することを更に目的とする。本発明は、結晶形態(IS−VI)を含む医薬組成物を更に目的とする。
【0013】
本発明による化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、結果としてそれらはエナンチオマーとして存在する可能性がある。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在することができる。すべてのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含される。好ましくは、化合物がエナンチオマーとして存在する場合、エナンチオマーは、約80%以上のエナンチオマー過剰率、より好ましくは、約90%以上のエナンチオマー過剰率、更に好ましくは、約95%以上のエナンチオマー過剰率、更により好ましくは約98%以上のエナンチオマー過剰率、最も好ましくは、約99%以上のエナンチオマー過剰率で存在する。
【0014】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「単離された形態」は、化合物が、別の化合物(一種又は複数)との任意の固体混合物、溶媒系又は生物学的環境から分離された形態で存在することを意味するものとする。本発明の一実施形態では、結晶形態(IS−VI)は、単離形態として存在する。
【0015】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「実質的に純粋な形態」は、単離した化合物又は結晶形態中の不純物のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味するものとする。本発明の一実施形態では、結晶形態(IS−VI)は、実質的に純粋な形態として存在する。
【0016】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「他の多形体又は結晶形態を実質的に含まない」は、式(I)の化合物を説明するために用いるとき、単離した式(I)のベース中の他の多形体又は結晶形態のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味する。本発明の一実施形態では、結晶形態(IS−VI)は、他の多形体又は結晶形態を実質的に含まない形態として存在する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「不安及び関連障害」及び「不安又は関連障害」は、全般性不安障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、社会恐怖(社会不安障害としても知られる)、特定の恐怖症、広場恐怖を伴う又は伴わないパニック障害、パニック障害の病歴なしの広場恐怖、一般的な医学的状態に起因する不安障害、薬物乱用により誘発される不安障害、及び、特定不能な不安障害(これらの症状は、「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」(4th Edition,Text Revision,American Psychiatric Association,2000)(参照により、本明細書に組み込まれる)に列挙されているように、それらの診断基準により説明されている通りである)などの不安及び関連障害を含むように定義されているものとする。好ましくは、不安又は関連障害は、全般性不安障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害及び強迫性障害からなる群から選択される。最も好ましくは、不安及び関連障害は、全般性不安障害である。
【0018】
双極性障害は、躁状態(激しい躁状態)から抑鬱状態への気分の予測不可能な揺らぎにより特徴付けられる精神障害である。本明細書で使用するとき、用語「双極性障害」は、双極性障害I、双極性障害II、気分循環性障害及び特定不能な双極性障害を含むものとする。好ましくは、双極性障害は、抑鬱期と躁(又は激しい躁)期により特徴付けられ、これらの期は循環する。好ましくは、双極性障害は、双極性障害I又は双極性障害IIである。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「双極性鬱病」は、双極性障害の特徴及び症状に関連する抑鬱状態を意味することが意図される。それゆえに、本発明の双極性鬱病の治療方法は、双極性障害の抑鬱状態及び/又は抑鬱期を治療する方法を目的とする。
【0020】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「循環」又は「双極性循環」は、双極性障害に特徴的な抑鬱期と躁期との間の気分の変化を指すものとする。それゆえに、本発明は、循環の頻度の低減、並びに/又は、躁期及び/若しくは抑鬱期の強度の低減が挙げられるが、これらに限定されない、を含む、循環の安定化する方法を含む。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「躁」は、基礎原因に関わらず、躁状態又は躁気分の期間を含むものとする。本明細書で使用するとき、用語「双極性躁病」は、双極性障害の特徴又は症状に関連する躁状態を意味することが意図される。それゆえに、本発明の双極性躁病の治療方法は、双極性障害の躁状態及び/又は躁期を治療する方法を目的とする。
【0022】
本発明で使用するとき、「鬱病」は、大鬱病(一回の発作と再発を含む)、単極性鬱病、難治性鬱病、抵抗性鬱病、不安鬱病及び気分変調(気分変調性障害とも呼ばれる)を含むように定義されるものとする。更に、用語「鬱病」は、「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」(4th Edition,Text Revision,American Psychiatric Association,2000)に列挙されているように、それらの診断基準により定義されているような任意の大鬱病、気分変調性障害及び特定不能な抑鬱障害を包含するものとする。好ましくは、鬱病は、大鬱病、単極性鬱病、難治性鬱病、抵抗性鬱病又は不安鬱病である。より好ましくは、鬱病は大鬱病である。
【0023】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「癲癇及び関連傷害」は、対象(好ましくはヒトの成人、小児又は乳児)が1回以上の発作及び/又は振戦を経験する任意の障害を意味する。好適な例には、癲癇(局所関連癲癇、全身癲癇、全身化及び局所的発作の両方が起こる癲癇及びこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない)、疾患又は症状の合併としての発作(脳障害、フェニルケトン尿、若年性ゴーシェ病、ルントボルク(Lundborg)進行性間代性筋痙攣癲癇、脳卒中、頭部外傷、ストレス、ホルモン変化、薬物使用又は離脱、アルコール使用又は離脱、睡眠遮断など)、本態性振戦、むずむず足症候群及びこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、障害は、癲癇(型、根本にある原因又は起源にかかわらず)、本態性振戦又はむずむず足症候群から選択され、より好ましくは、障害は癲癇(型、根本にある原因又は起源にかかわらず)又は本態性振戦である。
【0024】
癲癇原性は、2期プロセスである。「第1期癲癇原性」は、第1次癲癇発作又は類似する発作関連障害の症状に先立つ癲癇原性プロセスの開始であり、多くの場合、脳に対するある種の損傷又は外傷、すなわち、脳卒中、疾患(例えば、髄膜炎などの感染症)又は外傷、例えば、事故による頭部への衝撃、脳で行われた外科手術、の結果である。「第2期癲癇原性」は、既に癲癇発作又は類似する発作関連障害の発作関連現象に対して既に感受性を有する脳組織が、頻度及び/若しくは重篤度を増した発作に対してより大きな感受性を有するようになり、並びに/又は、治療に対してより小さな反応しか示さなくなるプロセスを指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「ブドウ糖関連障害」は、ブドウ糖濃度の増加により特徴付けられる任意の障害として定義されるものとする。ブドウ糖関連障害には、ブドウ糖濃度の増加、前糖尿病、経口ブドウ糖負荷での耐糖能異常(impaired oral glucose tolerance)、血糖コントロール不良、II型真性糖尿病、シンドロームX(メタボリックシンドロームとしても知られる)、妊娠糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖症及び高血糖症(悪液質)の結果としての筋肉量の損失が挙げられる。
【0026】
ブドウ糖関連障害の治療は、ブドウ糖濃度の低減、血糖コントロールの改善、インスリン抵抗性の低減、及び/又は、ブドウ糖関連障害の進展の予防(例えば、経口ブドウ糖負荷での耐糖能異常又はブドウ糖濃度の増加に苦しむ患者におけるII型真性糖尿病発症の予防)を含み得る。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「脂質関連障害」は、異常な脂質濃度により特徴付けられる任意の障害として定義されるものとする。脂質関連障害には、トリグリセリド濃度の増加、低いHDLコレステロール及び異常脂質血症、好ましくはトリグリセリド濃度の増加又は低いHDLコレステロール濃度が挙げられる。脂質関連障害の治療は、トリグリセリドの低減、HDLコレステロールの増加、及び/又は、トリグリセリド/HDLの比の改善を含み得る。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「片頭痛」は、中度から重篤なズキズキとした片側だけの頭痛が4〜72時間にわたって続くことにより診断される慢性、反復発作性及び消耗性臨床症状を意味するものとし、これは、前兆なしの片頭痛及び前兆ありの片頭痛を含む。
【0029】
本明細書で使用するとき、「前兆なしの片頭痛」は、以下の基準を満たす少なくとも5回の発作を意味するものとする。(a)頭痛発作が4〜72時間継続し、以下の特徴のうちの少なくとも2つを有する。位置が片側であること、ズキズキ感(pulsating quality)、日常生活の活動に直接的な影響を及ぼす中度又は重篤な強度、階段を登ったり又は同様の作業を行うことによる悪化。並びに、(b)頭痛の間、以下のうちの少なくとも1つが生じる。悪心及び/又は嘔吐、並びに光過敏及び音過敏。
【0030】
本明細書で使用するとき、「前兆ありの片頭痛」は、以下4つの基準のうちの少なくとも3つを伴う少なくとも2回の発作を意味するものとする。(a)1つ以上の完全に可逆的な症状。(b)4分以上にわたって段階的に進展する少なくとも1つの前兆症状又は連続して生じる2つ以上の症状。(c)60分超継続する前兆症状がないこと。(d)頭痛が前兆に先立って、前兆と同時に又は前兆に続いて発生し、前兆と頭痛との間の無症状期が約60分間未満であること。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「予防」は、片頭痛発作(頭痛)の予防、片頭痛発作(頭痛)の頻度の低減、片頭痛発作(頭痛)の重篤度の低減、及び/又は、片頭痛発作(頭痛)の持続時間の低減を含むものとする。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「肥満」は、約25以上のボディマス指数(BMI)、好ましくは約30以上のBMI、として定義されるものとする。それゆえに、本明細書で使用するとき、用語「肥満」は、過体重及び臨床的肥満の両方の対象/患者を含むものとする。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「疼痛」は、急性、慢性、炎症性及び神経障害性の疼痛(好ましくは糖尿病性神経症)を含むように定義されるものとする。更に、疼痛は、中枢媒介、末梢媒介であり得、構造組織損傷により生じ得、軟組織損傷により生じ得、又は進行性疾患により生じ得る。任意の中枢媒介、末梢媒介、構造組織損傷、軟組織損傷又は進行性疾患に関連する疼痛は、急性又は慢性であり得る。
【0034】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、疼痛は、炎症性疼痛、中枢媒介疼痛、末梢媒介疼痛、内臓痛、構造関連疼痛、癌性疼痛、軟組織損傷関連疼痛、進行性疾患関連疼痛、神経障害性疼痛、急性損傷からの急性疼痛、外傷からの急性疼痛、外科手術からの急性疼痛、頭痛、歯痛、背痛(好ましくは腰痛)、神経障害症状からの慢性疼痛及び発作後の症状からの慢性疼痛を含むものとする。
【0035】
本発明の実施形態は、疼痛が急性疼痛である場合の疼痛の治療方法である。本発明の別の実施形態は、疼痛が慢性疼痛である場合の疼痛の治療方法である。本発明の別の実施形態は、疼痛が神経障害性疼痛であり、好ましくは糖尿病性神経症である場合の疼痛の治療方法である。本発明の更に別の実施形態は、疼痛が炎症性疼痛である場合の疼痛の治療方法である。
【0036】
一実施形態では、疼痛は、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛、頭痛、歯痛、火傷、日焼け、動物咬傷(イヌ咬傷、ネコ咬傷、ヘビ咬傷、クモ咬傷、昆虫刺傷及びこれらに類するものなど)、神経因性膀胱、良性前立腺肥大、間質性膀胱炎、鼻炎、接触性皮膚炎/過敏症、痒み、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、セルライト、灼熱痛、坐骨神経炎、舌咽神経痛、末梢神経炎、多発性神経炎、断端痛、幻肢痛、術後腸閉塞、胆嚢炎、乳房切除後疼痛症候群、口腔内神経因性疼痛、Charcot関節(Charcot's pain)、反射性交感神経性ジストロフィー、Guillain−Barre症候群、異常感覚性大腿神経痛、口腔灼熱症候群、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、末梢神経障害、両側末梢神経障害(bilateral peripheral neuropathy)、糖尿病性神経症、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、視神経炎、発熱後神経痛、遊走性神経炎、分節性神経炎、Gombault神経炎、ニューロン炎、頸腕症候群、脳神経痛、膝神経節神経痛、舌咽頭神経痛、片頭痛性神経痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、Morton神経痛、鼻毛様神経痛、後頭神経痛、紅神経痛、Sluder神経痛、翼口蓋神経痛、眼窩上神経痛、ビディアン神経痛、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、労働、出産、月経性痙、癌、背痛、腰痛及び手根管症候群疼痛からなる群から選択される。
【0037】
急性疼痛には、急性損傷、外傷、疾患又は外科手術(例えば、開胸外科手術(心臓切開又はバイパス手術など))により生じる疼痛が挙げられる。急性疼痛にはまた、頭痛、術後疼痛、腎石痛、胆嚢痛、胆石痛、産科的疼痛、リウマチ痛、歯痛又はスポーツ医科的損傷により生じる疼痛、手根管症候群、火傷、筋骨格の捻挫及び筋挫傷、筋腱挫傷、頚腕痛症候群、消化不良、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、月経困難又は子宮内膜症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
慢性疼痛には、炎症状態、変形性関節症、関節リウマチにより、又は、疾患、急性損傷若しくは外傷についての後遺症として、生じる疼痛が挙げられる。慢性疼痛にはまた、頭痛、上背部痛若しくは腰痛(系統的、領域的又は原発的脊椎疾患(神経根症から選択される)から生じる背痛から選択される)、骨痛(変形性関節症、骨粗鬆症、骨転移又は未知の理由に起因する骨痛から選択される)、骨盤痛、脊髄損傷関連の疼痛、心臓性胸痛、非心臓性胸痛、中心部卒中後痛、筋膜疼痛、癌性疼痛、AIDS性疼痛、鎌状赤血球疼痛、老人病性疼痛、又は、頭痛、片頭痛、三叉神経痛、顎関節症候群、線維筋痛症候群、変形性関節症、関節リウマチ、痛風、線維筋痛症又は胸郭出口症候群から生じる疼痛、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
神経障害性疼痛には、慢性又は消耗性の、症状又は疾患から生じる疼痛が挙げられる。神経障害性疼痛につながり得る慢性又は消耗性の、症状又は疾患には、有痛性の糖尿病性末梢神経疾患、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、卒中後痛、多発性硬化症関連の疼痛、神経系関連疼痛、例えば、特発性若しくは外傷後の神経痛及び単神経炎、HIV関連神経因性疼痛、癌関連神経因性疼痛、手根管関連神経因性疼痛、脊髄損傷関連疼痛、複合領域疼痛症候群、線維筋痛関連神経因性疼痛、腰痛及び頸痛、反射性交感神経性ジストロフィー、幻肢症候群及び他の慢性及び消耗性症状関連疼痛症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「薬物乱用の治療」は、渇望(carvings)、禁断症状及び嗜癖又は乱用の他の症状が挙げられるがこれらに限定されない薬物乱用又は嗜癖の治療を含むものとする。本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「薬物」は、薬物乱用及び/又は嗜癖に言及するとき、対象又は患者が嗜癖を進行させ得る任意の合法又は違法の薬物を含むものとする。好適な例には、アルコール、コカイン、ヘロイン、メタンフェタミン、ケタミン、エクスタシー、ニコチン、オキシコンチン/オキシコドン、コデイン、モルヒネ及びこれらに類するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「神経保護」は、死及び/損傷から脳、中枢神経系又は末梢神経系(好ましくは脳又は脊髄内)を保護することを意味するものとする。好ましくは、ニューロンは、酸化応力、例えば、酸素ラジカル、により引き起こされる死又は損傷から保護される。
【0042】
本発明の方法に含まれる「急性神経変性障害」には、脳血管不全、限局性脳外傷、瀰漫性脳損傷及び脊髄損傷、すなわち、塞栓性閉塞又は血栓性閉塞、再潅流後急性虚血、周産期低酸素性虚血性損傷、心停止、並びに、任意のタイプの頭蓋内出血(硬膜外、硬膜下、クモ膜下及び脳内)及び、頭蓋内及び脊椎内の疾患部位(挫傷、貫通、剪断、圧縮及び裂傷が挙げられるがこれらに限定されない)及び、むち打ち症揺さぶられっ子症候群といった脳虚血、脳梗塞などのニューロン死又は損傷に関連する種々のタイプの急性神経変性障害が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、急性神経変性障害は、脳卒中、急性虚血性損傷、頭部損傷又は脊椎損傷の結果である。
【0043】
本発明の方法に含まれる「慢性神経変性障害」には、アルツハイマー病、ピック病、瀰漫性レビー小体病、進行性核上性麻痺(Steel−Richardson症候群)、多系統変性症(Shy−Drager症候群)、神経変性に関連する慢性癲癇症、筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロン病、変性性運動失調、大脳皮質基底核変性症、Guam島におけるALS及びパーキンソン認知症症候群、亜急性硬化性全脳炎、ハンチントン病、パーキンソン病、シヌクレイン病(多系統萎縮症など)、原発性進行性失語症、線条体黒質変性症、Machado−Joseph病/脊髄小脳失調症3型及びオリーブ橋小脳萎縮症、Gilles De La Tourette症候群、球麻痺及び偽性球麻痺、球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病)、多発性硬化症、原発性側索硬化症、家族性痙性対麻痺、Werdnig−Hoffmann病、Kugelberg−Welander病、Tay−Sach病、Sandhoff病、家族性痙性病、Wohlfart−Kugelberg−Welander病、痙性対麻痺、進行性多巣性白質脳症、家族性自律神経失調症(Riley−Day症候群)並びにプリオン病(Creutzfeldt−Jakob、Gerstmann−Straussler−Scheinker病、Kuru及び致死性の家族性不眠症が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、慢性神経変性障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症又は脳性麻痺から選択される。
【0044】
それ自体が本発明の方法に含まれることが意図されるニューロン死又は損傷を顕在化する他の疾患には、根底にある病因と無関係に、アルツハイマー病関連の認知症、血管性認知症、瀰漫性大脳白質病(Binswanger病)、内分泌腺若しくは代謝由来の認知症、頭部外傷及び瀰漫性脳損傷の認知症、パンチドランカー及び前頭葉型認知症といった、老年期認知症及び他の認知症、並びに、記憶喪失状態などの認知症が挙げられる。
【0045】
脳、中枢神経系又は末梢神経系への損傷後の神経保護の方法(すなわち、ニューロン死及び/又は損傷の予防方法)もまた、本発明内に含まれ、ここで、損傷は化学性、毒性、感染性、放射線性及び/又は外傷性損傷から生じる。好ましくは、本発明の方法は、原因とは無関係に、脳、頭部及び/又は脊髄外傷又は損傷後のニューロン死又は損傷を予防することを目的とする。
【0046】
本明細書で使用されるように、用語「対象/患者」は、処置、観察又は実験に付されている動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。好ましくは、対象/患者は、処置及び/又は予防するべき疾病又は疾患の少なくとも1つの症状を経験し及び/又は示している。
【0047】
本明細書で使用されるように、用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められている、処置されている疾病又は疾患の症状の緩和を含む組織系、動物又はヒト内で生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は薬学的薬剤の量を意味する。
【0048】
本明細書で使用する用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含んでなる生成物、並びに直接的又は間接的に特定の成分の特定の量の組み合わせから生じる任意の生成物を包含することを意図する。
【0049】
当業者は、特に指示がない限り、反応工程(1又は複数)は、適切な条件下で、公知の方法に従って行われて、所望の生成物を提供することを認識するであろう。
【0050】
当業者は、本発明の反応工程が、様々な溶媒又は溶媒系で行うことができ、その反応工程はまた、適切な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを認識するであろう。
【0051】
当業者は、本願に記載された明細書及び特許請求の範囲において、試薬又は試薬のクラス/種類(例えば、ベース、溶媒など)が1を超える方法工程に引用されている場合、個々の試薬は、各反応工程に関して独立して選択され、同一でも、又は互いに異なっていてもよいことを認識するであろう。例えば、方法の2つの工程が、試薬として有機又は無機ベースを挙げている場合、第1の工程に関して選択される有機又は無機ベースは、第2の工程の有機又は無機塩基と同一でも又は異なっていてもよい。
【0052】
説明をより簡潔にする目的で、本明細書に示す量的表現のいくつかには用語「約」による制限を受けさせていない。用語「約」が明確に使用されていてもされてなくても、本明細書で与える各量は、実際に与えられる量を指し、そしてそのように与えられた値に関する実験的及び/又は測定条件による近似も含め、当該技術分野の通例の技術に基づき合理的に推定されるそのように与えられた量の近似を指すことも意味すると理解される。
【0053】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が列挙されていようといまいと、範囲は、列挙された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲を含むと理解される。
【0054】
結晶形態(IS−VI)は、その粉末X線回折パターン(pXRD)により特徴付けられ得る。粉末XRDは、図1に示されているように、結晶形態(IS−VI)の代表的サンプルについて測定された。16mmの積載ホルダを有するX’PERT PRO MPD X線回折計(Philips)を使用して、X−Celerator検出器を用いて、サンプルを分析した。各サンプルを、2θ=0.0165°のステップサイズとし、各ステップの時間10.16秒で2θ=3〜35°まで走査した。有効走査速度は、0.2067°/秒であり、機器電圧及び電流設定は45kV及び40mAであった。自動モードで発散スリットを使用してサンプルを分析し、十分に低い位置でビームナイフを採用した。
【0055】
結晶形態(IS−VI)は、その粉末X線回折パターン(pXRD)により特徴付けられ得、これは下表1に列記されているピークを含む。
【0056】
【表1】

【0057】
好ましくは、結晶形態(IS−VI)は、下表2に列挙される約10%以上の相対強度を有するピークを含むそのpXRDパターンにより特徴付けられる。
【0058】
【表2】

【0059】
DSC(示差走査熱量測定法)で、図2に示されているように、結晶形態(IS−VI)の代表的サンプルを測定した。TA InstrumentsのDSC Q1000示差走査熱量計を使用して、サンプルのDSC分析を行った。開いたTA Instrumentアルニミウムサンプルパンに受けた時にサンプルを分析し、窒素パージ下で周囲温度から10℃/分で120℃までプログラム加熱した。結晶形態(IS−VI)は、100.4℃の誘拐開始温度、101.5℃の融解ピーク温度及び96.2J/gの融解熱を呈した。
【0060】
TGA(熱重量分析法)で、図3に示されているように、結晶形態(IS−VI)の代表的サンプルを測定した。TA InstrumentsのTGA Q5000IR熱重量熱量計を使用して、サンプルの重量喪失を得た。受けた時にサンプルを分析し、窒素パージ下で周囲温度から10℃/分で120℃までプログラム加熱した。周囲温度から最大でサンプル融解温度まで重量喪失はTGAによって観察されず、これにより結晶形態(IS−VI)は非水和物であることが明らかになった。
【0061】
結晶形態(IS−VI)の代表サンプルをDVS(動的蒸気吸着)循環湿度条件にさらして、図4に示されるように、吸湿性を測定した。Surface Measurement SystemのDVS−1 Dynamic Vapor Sorption Systemを使用して、サンプルを分析した。25℃において0〜90%RHから10%RH増分でステップモードにてフルサイクルでサンプルを分析した。平衡条件設定は、0.0007%/分のdm/dt、5分のdm/dtウィンドウ、並びに、15分の最小段階及び360分の最大段階であった。1分間隔でデータを回収した。キャリアガスとして窒素を使用した。DVS測定からの結果は、結晶形態(IS−VI)は非吸湿性であることを示す。
【0062】
上記の結果は、式(IS)の化合物の結晶形態(IS−VI)は、温度及び湿度に安定性を呈し、それにより固体薬剤剤形での製剤に特に優れて好適になっていることを示す。
【0063】
本発明は、結晶形態(IS−VI)を担体と共に結晶形態(IS−VI)を含有する薬学的組成物を更に含む。有効成分として本明細書に記載する本発明の化合物の1若しくは複数の化合物を含有する製薬学的組成物は、化合物(1若しくは複数)を常通の製薬学的配合技術に従って製薬学的担体とよく混合することにより調製することができる。この担体は、所望する投与経路に依存して広い種々の形態(例えば経口、非経口)をとることができる。したがって、懸濁液、エリキシル及び液剤のような液状経口調製物では、適当な担体及び添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、安定化剤、着色剤等を含み;散剤、カプセル及び錠剤のような固形経口製調製物には、適当な担体及び添加剤には、澱粉、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等を含む。固体経口調製物は、吸収の主要部位を調節するために、糖のような物質でコートされるか、又は腸溶コーティングしてもよい。非経口投与では担体は通常、滅菌水からなり、そして他の成分は溶解性を上げ、又は防腐のために加えることができる。注入可能な懸濁液又は溶剤も適切な添加剤と一緒に水性担体を使用して調製することができる。
【0064】
本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として本発明の1つ若しくは複数の化合物を、通常の製薬学的配合技術に従って製薬学的担体とよく混合し、この担体は、投与に所望される製剤の形態、例えば経口若しくは筋肉内のような非経口により多種多様な形態をとることができる。経口剤形の組成物の調製では、任意の通常の製薬学的媒質を用いることができる。すなわち懸濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液状経口製剤では、適当な担体及び添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、着色剤などが包含され;例えば、散剤、カプセル剤、キャプレット、ゲルキャップ及び錠剤のような固形経口製剤では、適当な担体及び添加剤には、澱粉、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが包含される。錠剤及びカプセル剤は、投与におけるそれらの容易さのために、最も都合のよい経口単位剤形を表し、この場合、固形の製薬学的担体を明らかに用いる。所望により、錠剤は、標準的な技術により糖衣をコーティングするか若しくは腸溶コーティングすることができる。非経口のための担体は、通常、無菌水を含むが、例えば溶解性を助けるなどの目的のため、又は保存のために他の成分を含んでもよい。注入可能な懸濁剤も調製することもでき、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤等を用いることができる。本明細書における製薬学的組成物は、投薬単位、例えば、錠剤、カプセル、散剤、注射、茶さじ1杯等あたり、上記のような有効用量を送達するために必要な有効成分の量を含有する。本明細書の薬学的組成物は、単位用量、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、坐剤、茶さじ一杯及び同様物当たり、約0.1〜1000mg又はその中の任意の範囲を含み、また、約0.01〜300mg/kg/日、又はその中の任意の範囲、好ましくは約0.5〜50mg/kg/日、又はその中の任意の範囲の投与量で付与されるであろう。しかしながら、投与量は、患者の要求量、処置されている病状の重症度、及び使用される化合物に応じて変動しうる。連日投与又は断続的(post-periodic)投与の使用のいずれかを用いることができる。
【0065】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下又は直腸投与、又は吸入若しくは送気による投与のための、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒、無菌非経口溶液又は縣濁液、定量エアゾル又は液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬などの単位剤の形態である。あるいは組成物は、週に1回若しくは月に1回の投与に適当な形態で与えることができ、例えば、デカン酸塩のような、活性化合物の不溶性の塩を筋肉内注射用のデボー製剤(depot preparation)を提供するために適応させることができる。錠剤のような固形組成物を製造するために、主要有効成分を製薬学的担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム若しくはガムのような通常の錠剤成形成分及び他の製薬学的希釈剤、例えば水と混合して本発明の化合物若しくはその製薬学的に許容しうる塩の均質な混合物を含有する固形前調合(preformulation)組成物を生成する。これらの前調合組成物を均質と呼ぶ場合、組成物を錠剤、丸剤及びカプセル剤のような同等に有効な剤形に容易に再分割することができるように、有効成分が組成物の全体にわたって均一に分散していることを意味する。この固体予備配合組成物は、次に0.1〜約500mgの本発明の活性成分を含む、上述した種類の単位剤形に分割される。新規な組成物の錠剤若しくは丸剤は、持続性作用の利点を与える剤形を提供するためにコーティングするか若しくはそうでなく配合することができる。例えば錠剤若しくは丸剤は、内部投与成分及び外部投与成分を含んでなることができ、後者は前者を包む形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内側成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離されることができる。様々な物質をそのような腸溶性の層若しくはコーティングに用いることができ、そのような物質には、シェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような物質と共に多数のポリマー酸が包含される。
【0066】
経口投与又は注入投与用に本発明の新規組成物を組み込み得る液体形としては、水性液剤、好適に香味付けされたシロップ剤、水性又は油性縣濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナッツ油のような食用油を含む香味付けされたエマルション、並びにエリキシル剤及び同様の医薬賦形剤が挙げられる。水性懸濁剤の適当な分散剤若しくは沈殿防止剤には、合成及び天然のガム、例えば、トラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン若しくはゼラチンを含む。
【0067】
本発明に記載される治療方法は、また、本明細書に定義される任意の化合物及び製薬上許容できる担体を含む医薬組成物を用いて実施してもよい。薬学的組成物は、約0.01mg〜1000mgの化合物、又はその中の任意の範囲、好ましくは約10〜500mgの化合物を含んでもよく、選択される投与モードに好適な任意の形態に構成することができる。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない必要かつ不活性な薬学的賦形剤を含む。経口投与用に好適な組成物としては、丸剤、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれ、迅速放出、時限放出及び持続放出製剤を含む)、顆粒、及び散剤のような固体形、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、及び縣濁剤のような液体形が挙げられる。非経口投与用に有用な形態は、無菌溶液、乳液及び縣濁液を含む。
【0068】
有利には、本発明の化合物は1日に1回の用量で投与することができ、又は1日の全投薬用量を1日あたり2、3、又は4回の用量に分割して投与してもよい。更に本発明の化合物は、当業者に周知な適切な鼻内賦形剤の局所的使用を介して、又は経皮的な皮膚パッチを介して鼻に投与することができる。経皮的送達系の状態で投与するためには、投薬はもちろん投薬計画を通して断続的というよりむしろ連続的である。
【0069】
例えば、錠剤若しくはカプセル剤の形態の経口投与には、活性薬剤成分をエタノール、グリセロール、水等のような経口用の無毒の製薬学的に許容しうる不活性担体と合わせることができる。更に、所望若しくは必要に応じて、適当な結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤もまた、混合物に包含することができる。適当な結合剤には、限定するわけではないが澱粉、ゼラチン、グルコース若しくはベータ−ラクトースのような天然の糖、コーン甘味料、アカシア、トラガカント若しくはオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが包含される。崩壊剤には、限定するわけではないが澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが包含される。
【0070】
液体は、合成及び天然のガム、例えば、トラガカント、アカシア、メチルセルロース等のような適当に風味を加えた沈殿防止剤若しくは分散剤中に形成する。非経口投与には、滅菌懸濁剤及び液剤が望ましい。静脈内投与が所望される場合、適当な防腐剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
【0071】
本発明の薬学的組成物を調製するには、活性成分としての式(I)の化合物を、従来の薬学的配合技術に従って、薬学的担体と共に緊密に混合するのだが、その担体は、投与(例えば、経口又は非経口)に所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとることができる。製薬上許容できる好適な担体は、当技術分野にて周知である。これらの製薬上許容できる担体のいくつかの説明は、米国薬剤師会(American Pharmaceutical Association)及び英国薬剤師会(Pharmaceutical Society of Great Britain)出版の「Handbook of Pharmaceutical Excipients」に見出すことができる。
【0072】
医薬組成物を配合する方法は、例えば、「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets」(Second Edition,Revised and Expanded,Volumes 1〜3,edited by Lieberman et al)、「Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications」(Volumes 1〜2,edited by Avis et al)及び「Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems」(Volumes 1〜2,edited by Lieberman et al;published by Marcel Dekker,Inc)などの多数の出版物に記載されている。
【0073】
本発明の化合物は、不安及び関連障害、双極性躁鬱病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇原性、ブドウ糖関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満、疼痛、薬物乱用の治療又は神経保護が必要とされる場合にいつでも、前述組成物のいずれかにおいて、当該技術分野で確立された投与レジメンに従って投与され得る。
【0074】
製品の一日用量は、ヒト成人につき1日当たり1.0〜5,000mg、又はその中の任意の範囲の幅広い範囲で変動しうる。経口投与用に、組成物は、処置されるべき患者の用量の症状による調整のために、好ましくは0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250及び500ミリグラムの活性成分を含む錠剤形態で提供される。薬物の有効量は、通常、1日当たり約0.1mg/kg体重〜約1,000mg/kg体重、又はその中の任意の範囲の用量レベルで供給される。好ましくは、範囲は、1日当たり約0.5〜約500mg/kg体重、又はその中の任意の範囲である。より好ましくは、1日当たり約1.0〜約250mg/kg体重、又はその中の任意の範囲である。化合物は、1日当たり1〜4回の投薬計画で投与されてもよい。
【0075】
投与する最適投薬量は、当業者により容易に決定されることができ、そして使用する特定の化合物、投与の形態、調製物の強さ、投与の様式及び疾患症状の進展で変動する。更に、患者の年齢、体重、食事及び投与時期を含め、処置する特定の患者と関連する因子が投薬量を調整する必要性をもたらす。
【0076】
当業者は、適切な既知の、及び一般的に受け入れられている細胞及び/又は動物モデル使用したインビボ及びインビトロ試験の両方で、上記障害を処置し、又は防止するための試験化合物の能力が予測されることを認識している。
【0077】
当業者は更に、健康な受診者及び/又は上記障害に罹患している患者を対象としたヒト初回投与(first-in-human)、用量範囲及び効力試験を含むヒトの臨床試験を、臨床及び医学分野で周知な方法に従い行うことができることを認識している。
【0078】
以下の実施例は本発明の理解を助ける目的で説明され、そして添付する特許請求の範囲で説明される本発明をどのようにも限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0079】
実施例1:結晶形態(IS−VI)
頭上撹拌機と添加漏斗と加熱マントルと温度制御ユニットと窒素流出口とを備えた5Lの4つ首反応フラスコに、(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(300g、1.08モル)と50%のIPA−ヘプタン(1500mL、7.36モル)とを装填した。得られたスラリーを75℃に加熱した。いくつかの固体を観察して混合物中にそのままにした。わずかな減圧下で、加熱濾過フラスコと濾紙を使用して、混合物を加熱濾過した。フラスコを50%のIPA−ヘプタン(およそ200mL)で洗浄した。加熱濾過後、反応混合物の温度は、62℃であった。20分間かけて46℃に冷却したところ、沈殿は観察されなかった。30℃に冷却したところ、沈殿は認められなかった。得られた混合物を40℃に加熱し、次にヘプタン(175mL、1.19モル)を30分間かけて加えた。ヘプタンを添加後、いくつかの固体が大きくなるのが観察された。固体が温度(+4℃)で有意な増分で急速に大きくなったところでヘプタン添加を止めた。1時間かけて室温に冷却した後、固体を濾過し、10%のIPA−ヘプタン(100mL)で洗浄した。濾過及び乾燥後、表題化合物を白色固体として分離した。
【0080】
粉末XRDは、結晶形態(IS−VI)が分離されたことを示した。
【0081】
実施例2:結晶形態(IS−VI)
(2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(9.3kg)と活性炭(0.3kg)とイソプロパノール(15.5kg)とn−ヘプタン(15.4kg)とを反応器に充填した。得られた混合物を加熱して還流させ、加熱濾過した。イソプロパノール(1.7kg)とn−ヘプタン(1.7kg)との高温混合物でフィルターを洗浄した。濾液を50〜54℃に冷却し、所望の多形体形態(0.02kg)で埋め込んだ。得られた混合物を50〜54℃で30分間にわたって撹拌した。次に、n−ヘプタン(14.4kg)を50〜54℃にて20分間にかけて混合物に添加した。得られた混合物を1時間かけて0〜5℃に冷却し、次にこの温度で2時間にわたって撹拌した。得られた混合物を濾過し、フィルターケーキをn−ヘプタンで洗浄し、50〜60℃において減圧下で乾燥させて表題化合物を所望の多型形態(粉末XRDにより測定されるように)で得た。
【0082】
実施例3:経口製剤−予想される実施例
経口組成物の具体的な実施形態として、実施例1又は2で調製した結晶形態100mgを、十分な微粉乳糖と共に配合して、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセル剤に充填した。
【0083】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に含まれる全ての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IS)の化合物の結晶形態(IS−VI)
【化1】

【請求項2】
以下の粉末X線回折ピークを含む、式(IS)の化合物の結晶形態。
【化2】

【表1】

【請求項3】
以下の粉末X線回折ピークを含む、請求項2に記載の結晶形態。
【表2】

【請求項4】
製薬上許容できる担体と請求項1に記載の結晶形態とを含む、医薬組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の結晶形態と製薬上許容できる担体とを混合することにより製造される、医薬組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の結晶形態と製薬上許容できる担体とを混合することを含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項7】
必要のある対象に、治療的に有効な量の請求項1に記載の結晶形態を投与することを含む、不安及び関連障害、双極性躁鬱病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇原性、ブドウ糖関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満、疼痛並びに薬物乱用からなる群から選択される障害の治療方法、又は、神経保護方法。
【請求項8】
前記障害が、鬱病、癲癇及び関連障害、並びに、ブドウ糖関連障害からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
必要のある対象に、治療的に有効な量の請求項4に記載の組成物を投与することを含む、不安及び関連障害、双極性躁鬱病、鬱病、癲癇及び関連障害、癲癇原性、ブドウ糖関連障害、脂質関連障害、片頭痛、肥満、疼痛並びに薬物乱用からなる群から選択される障害の治療方法、又は、神経保護方法。
【請求項10】
前記障害が、鬱病、癲癇及び関連障害、並びに、ブドウ糖関連障害からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
必要のある対象における、(a)不安及び関連障害、(b)双極性鬱病、(c)躁病、(d)鬱病、(e)癲癇及び関連障害、(f)癲癇原性、(g)ブドウ糖関連障害、(h)脂質関連障害、(i)片頭痛、(j)肥満、(k)疼痛、(l)薬物乱用を治療するための、並びに(m)神経保護のための、医薬品の調製への請求項1に記載の結晶形態の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−530682(P2012−530682A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516478(P2011−516478)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/048026
【国際公開番号】WO2010/008776
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】