説明

1α−ヒドロキシ−2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−ビタミンD化合物類及びそれらの製造及び使用方法

1-α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19-ノル-ビタミンD化合物類、医薬組成物及びそれらの製造及び処理方法を開示する。化合物は、一般的に、C2の3'-ヒドロキシプロピリデン成分の存在及びいずれのヒドロキシル成分も含まず省略されたアルキル側鎖の存在により特徴付けられた、生物学的に活性な2-アルキリデン-19-ノルビタミンD化合物及びそれらの類似体に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19-ノル-ビタミンD化合物類及びそれらの製造及び処理方法
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、2006年4月5日に申請した米国仮出願第60/789,303号の特権を請求する。その出願は、参考文献として全体的に本明細書に含まれるものとする。
本出願は、米国仮出願第60/744,383号、第60/744,385号、第60/744,379号、第60/744,381号、第60/744,386号、第60/791,487号、及び第60/791,227号に関連する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ビタミンD類似体化合物及びそれらの製造及び処理方法の分野に関する。
【0003】
(発明の背景)
天然のホルモン、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及びエルゴステロール類(即ち、1α,25-ジヒドロキシビタミンD2)のその類似体は、動物及びヒトにおけるカルシウムホメオスターシスの強力な制御因子である。近年、その細胞分化活性は確立されてきた。オステレム(Ostrem)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、84, 2610頁(1987年)を参照されたい。これらの代謝物の構造類似体、例えば、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α-ヒドロキシビタミンD2、及び様々な側鎖ホモロゲートビタミン及びそれらのフッ素化類似体は、製造及び試験されてきた。幾つかのこれらの化合物は、細胞分化及びカルシウム調節において活性の分離を示す。活性のその差異は、様々な疾患、例えば腎性骨ジストロフィー、ビタミンD-耐性くる病、骨粗しょう症、乾癬及び他の悪性病の治療において好都合かも知れない。
【0004】
ある部類のビタミンD類似体である19-ノル-ビタミンD化合物は、炭素19においてA-環の環外メチレン基(一般的なビタミンD系)の二つの水素原子での置換により特徴づけられる。そのような19-ノル-類似体(例えば、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3)の生物学的試験は、かなり強力な選択的活性プロフィールを示し、細胞分化及び非常に低いカルシウム動員活性を誘導する。潜在的に、これらの化合物は、腎性骨ジストロフィー、ビタミンD-耐性くる病、骨粗しょう症、乾癬、他の悪性病及び様々な皮膚疾患の治療に有用な治療剤である。
【0005】
様々な19-ノル-ビタミンD類似体の二つの異なる合成方法が記載された。パールマン(Perlman)ら、Tetrahedron Letters 31、1823頁 (1990年); パールマンら、Tetrahedron Letters 32、7663頁 (1991年);及びデルーカ(DeLuca)ら、米国特許第5,086,191号を参照されたい。ヒドロキシ基又はアルコキシ基で2位が置換された1α,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3の類似体は合成され(デルーカら、米国特許第5,536,713号を参照されたい)、それらは選択的な活性プロフィールを示すことができる。
【0006】
炭素10(C10)から炭素2(C2)へのA環環外メチレン基の転移により特徴付けられる類似体(例えば、2-メチレン-19-ノル-ビタミンD化合物)は、合成され、試験された(シシンスキ(Sicinski)ら、J. Med. Chem.、41、4662頁(1998年);シシンスキら、Steroids 67、247頁(2002年);及びデルーカ(DeLuca)ら、米国特許第5,843,928号;第5,936,133号及び第6,382,071号を参照されたい)。A環コンホメーションの変化がシクロヘキサンジオール環の平板化を生じるかもしれないことは、これら類似体において行われる分子機構の研究から予想される。A環コンホメーション平衡が、エクアトリアル1α-OHを有する配座異性体を優勢に約6:4であることが、分子機構計算及びNMR研究から、また予想される。19-ノル-ビタミンD炭素スケルトンへの2-メチレン基の導入が、その1α-及び3β-A-環ヒドロキシルの特性を変化させると考えられることが、さらに予想される。それらは、両方とも、天然ホルモン(即ち、1α,25-(OH)2D3)の分子において、1α-ヒドロキシ基(生物活性に重要である)に類似するアリル位にあると考えられる。1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノルビタミンD類似体は、明らかな生物学的効力により特徴付けられることが見い出された。さらに、そのような類似体の生物学的効力は、「不自然な」(20S)配置が存在するところで劇的に増強するかも知れない。
【0007】
近年、A環のそのような修飾が、E-幾何異性体に特に有意な生物学的効力を生じることにより、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3の2-エチリデン類似体は合成された。シシンスキら、J. Med. Chem.、45、3366頁(2002年)を参照されたい。E異性体は、エクアトリアル配向性において1α-ヒドロキシルを有する椅子型にかなりシフトする、A環コンフォメーション平衡を有することが立証された。
【0008】
近年、C-2に3'-ヒドロキシプロピリデン成分を有する1α,25-ジヒドロキシ-19-ノルビタミンD3の誘導体が合成され(デルーカら、米国特許出願第2004/0229851を参照されたい)、それは、特に、腸内カルシウム輸送の刺激に特に関して、インビボカルセミック活性が1α,25-(OH)2D3のものを明らかに超えることによる。類似体の分子モデリング研究は、(プロピリデンフラグメントの末端に位置する)酸素機能の存在が、ビタミンDレセプターとの相互作用を促進するかもしれないと予想された。VDRへの合成化合物の親和性は、天然ホルモンのものへのアプローチであってもよいことが、そのモデリングによりさらに予想された。切断される側鎖を有する2-メチレン-1α-ヒドロキシ-19-ノルビタミンD類似体の近年の発見から考慮すると、プラム(Plum)ら、PNAS、101、6900頁(2004年)は、そのような化合物が副甲状腺ホルモンレベルを有効に抑制することを示している。
【0009】
発明の概要
本発明のある態様は、以下のものを含む一般式I及びそれらの化合物のエステルで表される化合物である:
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、C1'への実線は、化合物が2-プロピリデンセグメントに関してE又はZ幾何異性体であることを提供し、C20は、立体化学中心であり、
【0012】
【化2】

【0013】
は、R又はS配置を提供し、nは整数の1〜3であり、Y1は、水素、重水素及び第一のヒドロキシ保護基からなる群より選ばれるメンバーであり、Y2は、水素、重水素及び第二のヒドロキシ保護基からなる群より選ばれるメンバーであり、Xは、第三のヒドロキシ保護基であり、R1は、水素、重水素及びメチルからなる群より選ばれるメンバーであり、R2は、水素、重水素、メチルからなる群より選ばれるメンバーであり、R3は、水素、重水素、メチルからなる群より選ばれるメンバーであり、
【0014】
【化3】

【0015】
は、
【0016】
【化4】

【0017】
及び
【0018】
【化5】

【0019】
からなる群より選ばれるメンバーである)。
【0020】
他の態様において、Xは、水素、重水素、炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル、1以上のヒドロキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキルであり、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルコキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル、1以上のアリールオキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルコキシ基で置換されているカルボニル、炭素数1〜6の分岐又は直鎖アルカノイル、炭素数1〜6の分岐又は直鎖カルボキシアルカノイル、芳香族アシル、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル基で置換されているシリル、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル基で置換されているシリル、1以上のアリール基で置換されているシリルからなる群より選ばれるメンバーである。
【0021】
他の態様において、炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルコキシ基で置換されているカルボニルは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソ-プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル及びアリルオキシカルボニルからなる群より選ばれるメンバーである。
【0022】
他の態様において、炭素数1〜6の分岐又は直鎖カルボキシアルカノイルは、オキサリル、マロニル、サクシニル及びグルタリルからなる群より選ばれるメンバーである。
他の態様において、芳香族アシルは、ベンゾイル、ハロ置換ベンゾイル、ニトロ置換ベンゾイル及び炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル置換ベンゾイルからなる群より選ばれるメンバーである。
他の態様において、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルコキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルからなる群より選ばれるメンバーである。
【0023】
他の態様において、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル基で置換されているシリルは、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル及びジブチルメチルシリルからなる群より選ばれるメンバーである。
他の態様において、1以上のアリール基で置換されているシリルは、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル及びジフェニル-t-ブチルシリルからなる群より選ばれるメンバーである。
【0024】
他の態様において、1以上のアリールオキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキルは、フェニル置換フェニル、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル置換フェニル、ニトロ-置換フェニル及びハロ置換フェニルからなる群より選ばれるメンバーである。
【0025】
他の態様において、化合物は、E幾何異性体である。或いは、化合物は、Z幾何異性体である。
他の態様において、Xは、t-ブチルジメチルシリルである。Y1は、t-ブチルジメチルシリルであってもよい。Y2は、t-ブチルジメチルシリルである。或いは、Xは水素である。Y1は、水素であってもよい。Y2は、水素であってもよい。
【0026】
他の態様において、nは1であり、R1及びR2はメチルであり、R3は水素である。
他の態様において、化合物は、(20R)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,24,25,26,27-ペンタ-ノル-ビタミンD3のE異性体である。
他の態様において、化合物は(20S)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,24,25,26,27-ペンタ-ノル-ビタミンD3のE異性体である。
【0027】
他の態様において、化合物は、(20R)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,23,24-トリ-ノル-ビタミンD3のE異性体である。
他の態様において、化合物は、(20S)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,23,24-トリ-ノル-ビタミンD3のE異性体である。
【0028】
本発明の他の態様としては、一般式Iの化合物(式中、nは1であり、R1、R2及びR3は水素であり、
【0029】
【化6】

【0030】
は、
【0031】
【化7】

【0032】
である)の製造に使用するための、ヒドリンダノン中間体化合物の製造方法であって;
一般式IIの出発化合物を提供する工程:
【0033】
【化8】

【0034】
出発化合物をイリド反応体と反応させて、アルケン含有生成物を製造する工程、アルケン含有生成物を水素化して油状エステル生成物を製造する工程、油状エステル生成物を加水分解し、アルコール生成物を製造する工程、及びアルコール生成物を酸化して一般式IIIのヒドリンダノン中間体化合物を製造する工程を含む、前記方法が挙げられる:
【0035】
【化9】

【0036】
本発明の他の態様としては、一般式Iの化合物の製造方法であって、
(式中、nは1であり、R1、R2及びR3は、それぞれ水素であり、
【0037】
【化10】

【0038】
は、
【0039】
【化11】

【0040】
である)
一般式IIIのヒドリンダノン中間体化合物をリチウムホスフィノキシカルボアニオンとカップリングし、保護基を有するカップリングした生成物を製造する工程及び保護基を加水分解する工程を含む、前記方法が挙げられる。
【0041】
本発明の他の態様としては、一般式Iの化合物(式中、nは1であり、R1、R2及びR3は、それぞれ水素であり、
【0042】
【化12】

【0043】
は、
【0044】
【化13】

【0045】
である)の製造に使用するための、ヒドリンダノン中間体化合物の製造方法であって;
一般式IVの出発化合物を提供する工程、
【0046】
【化14】

【0047】
出発化合物をイリド反応体と反応させてアルケン含有生成物を製造する工程、アルケン含有生成物を水素化して油状エステル生成物を製造する工程、油状エステル生成物を加水分解してアルコール生成物を製造する工程、及びアルコール生成物を酸化して、一般式Vのヒドリンダノン中間体化合物を製造する工程を含む前記方法が挙げられる:
【0048】
【化15】

【0049】
本発明の他の態様としては、一般式Iの化合物の製造方法であって、
(式中、nは1であり、R1、R2及びR3はそれぞれ水素であり、
【0050】
【化16】

【0051】
は、
【0052】
【化17】

【0053】
である)
一般式Vのヒドリンダノン中間体化合物をリチウムホスフィノキシカルボアニオンとカップリングし、保護基を有するカップリングされた生成物を製造する工程、及び保護基を加水分解する工程を含む前記方法が挙げられる。
【0054】
本発明の他の態様としては、一般式Iの化合物の製造方法であって、
(式中、R1、R2又はR3の少なくとも一つはメチルであり、
【0055】
【化18】

【0056】
は、
【0057】
【化19】

【0058】
である)
一般式VIの出発化合物を提供する工程:
【0059】
【化20】

【0060】
(式中、
【0061】
【化21】

【0062】
は、
【0063】
【化22】

【0064】
及び
【0065】
【化23】

【0066】
からなる群より選ばれるメンバーである)
出発化合物をニトリル化合物に変換する工程、ニトリル化合物を一般式VIIの第一の反応体でアルキル化してアルキル化ニトリル生成物を製造する工程;
【0067】
【化24】

【0068】
(式中、nは整数の1〜3であり、ZはBr、Cl及びIからなる群より選ばれるメンバーであり、R1、R2又はR3の少なくとも一つはメチルである)、アルキル化ニトリル生成物を加水分解してヒドロキシニトリル生成物を製造する工程、ヒドロキシニトリル生成物を還元的に脱シアネート化(decyanating)し、エピマーアルコール生成物の混合物を製造する工程、エピマーアルコール生成物の混合物を酸化して20S-ケトン生成物及び20R-ケトン生成物の混合物を製造する工程、20S-ケトン及び20R-ケトン生成物を分離する工程、20Rケトン生成物をリチウムホスフィノキシカルボアニオンとカップリングして保護基を有するカップリングした20R生成物を製造し、保護基を加水分解する工程を含む前記方法が挙げられる。方法の他の態様において、nは1であり、ZはBrであり、R1及びR2はメチルであり、R3は水素である。
【0069】
本発明の他の態様は、一般式Iの化合物の製造方法であって、
(式中、R1、R2又はR3の少なくとも一つはメチルであり、
【0070】
【化25】

【0071】
は、
【0072】
【化26】

【0073】
である)
一般式VIIIの出発化合物を提供する工程:
【0074】
【化27】

【0075】
(式中、
【0076】
【化28】

【0077】
は、
【0078】
【化29】

【0079】
及び
【0080】
【化30】

【0081】
からなる群より選ばれるメンバーである)、出発化合物をニトリル化合物に変換する工程、一般式VIIの第一の反応体でニトリル化合物をアルキル化して、アルキル化ニトリル生成物を製造する工程:
【0082】
【化31】

【0083】
(式中、nは整数の1〜3であり、ZはBr、Cl及びIからなる群より選ばれるメンバーであり、R1、R2又はR3の少なくとも一つはメチルである)、アルキル化ニトリル生成物を加水分解してヒドロキシニトリル生成物を製造する工程、ヒドロキシニトリル生成物を還元的に脱シアネート化してエピマーアルコール生成物の混合物を製造する工程、エピマーアルコール生成物の混合物を酸化して、20S-ケトン生成物及び20R-ケトン生成物の混合物を製造する工程、20S-ケトンと20R-ケトン生成物を分離する工程、20S-ケトン生成物をリチウムホスフィノキシカルボアニオンとカップリングして保護基を有するカップリングされた20S生成物を製造する工程、及び保護基を加水分解する工程を含む前記方法である。他の態様の方法において、nは1であり、ZはBrであり、R1及びR2はメチルであり、R3は水素である。
【0084】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、一般的に、C2の3'-ヒドロキシプロピリデン成分の存在及びいずれのヒドロキシル成分も含まず省略されたアルキル側鎖の存在により特徴付けられた、生物学的に活性な2-アルキリデン-19-ノルビタミンD化合物及びそれらの類似体に関する;
【0085】
【化32】

【0086】
{式中、Y1及びY2(それらは同一でも異なっていてもよい)は、水素及びヒドロキシ保護基からなる群より選ばれ;Xはアルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルからなる群より選ばれるメンバーであり;R1、R2及びR3(それらは同一でも異なっていてもよい)は、水素又はメチルからなる群より選ばれる}。C20に結合した波線は、化合物がR又はS配置のいずれかであることを示す。C1'での2-プロピリデン単位の相対位置は、分子の残部に対するE,Z幾何異性体配置を示している。
【0087】
天然の20R-及び「非天然」の20S-配置を有する側鎖の例としては、以下の一般式(a)、(b)、(c)及び(d)により表される構造が挙げられる。それは、24,25,26,27-テトラノルビタミンD3(また、本明細書中、「ビスホモプレグナカルシフェロール(bishomopregnacalciferol)及びRBHと呼ばれる)(a);20S-24,25,26,27-テトラノルビタミンD3(また、本明細書中「20S-ビスホモプレグナカルシフェロール」及びSBHと呼ばれる)(b);23,24-ジノルビタミンD3(また、本明細書中、HPBRと呼ばれる)(c);及び20S-23,24-ジノルビタミンD3(また、本明細書中、HPBSと呼ばれる)(d)における側鎖である。
【0088】
【化33】

【0089】
基本的な構造IのC2に置換プロピリデン成分を有する1α-ヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD化合物の製造は、以下に示すように二環ウィンダウス-グルンドマン型ケトンIIのアリルホスフィンオキシドIIIとの縮合により行うことができる。
【0090】
【化34】

【0091】
一般式II及びIIIに関して、基Y1、Y2、X、R1、R2及びR3は、前記の基を表し、好ましくは、Y1、Y2、Xは、ヒドロキシ保護基である。その方法は、ビタミンD化合物を製造するために使用された収束的(convergent)合成コンセプトの応用である。(リスゴエ(Lythgoe)ら、J. Chem. Soc. Perkin Trans. I、590 (1978年);リスゴエ、Chem. Soc. Rev. 9、449 (1983年);トウ(Toh)ら、J. Org. Chem. 48、1414 (1983年);バッジオリニ(Baggiolini)ら、J. Org. Chem. 51、3098 (1986年);サルジナ(Sardina)ら、J. Org. Chem. 51、1264 (1986年); J. Org. Chem. 51、1269 (1986年);デルーカ(DeLuca)ら、米国特許第5,086,191号;及びデルーカら、米国特許第5,536,713号を参照されたい)。
【0092】
IIIのホスフィンオキシドは、入手可能であるか、又は市販の(1R,3R,4S,5R)-(-)キナ酸から製造可能である(グレボッカ(Glebocka)ら、J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 89〜90、25 (2004年);及びデルーカら、米国特許出願第2004/0229851号を参照されたい)。
【0093】
IIのヒドリンダノン類の製造に関して、他の合成経路は、C20でのエピマー及び1a及び1bの22-アルデヒドから出発する。(フォール(Fall)ら、Tetrahedron Lett. 43、1433 (2002年);グランジャ(Granja)ら、J. Org. Chem. 58、124 (1993年)を参照されたい)。スキームIに示すように、別々の類似プロセスにより、出発アルデヒド1a及び1bは、ホスフィンオキシド6とその後結合されるC,D-環シントン5a,bに形質転換される。アルデヒド1a及び1bを、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド及びn-ブチルリチウムから生じるイリドと反応させた(即ち、ヴィティヒ反応)。得られたオレフィン2a及び2bを水素化し、炭素数4の側鎖を有する飽和化合物3a及び3bを生じた。エステル基の基本的な加水分解で8β-アルコール4a及び4bを生じ、その後、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムで酸化し、ヒドリンダノン5a及び5bを製造した。グルンドマン(Grundmann)ケトン5a及び5bのリチウムホスフィノキシカルボアニオン(ホスフィンオキシド(6)から生じた)(デルーカら、米国特許第2004/0229851により製造し、それは本明細書に参考文献として含まれるものとする)とのヴィティヒ-ホーナー(Wittig-Horner)カップリングにより、保護ビタミン化合物7a及び7bを得た。テトラブチルアンモニウムフルオライドの脱保護の後、1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD3化合物8a及び8bを製造した。1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD3 (8a)を、本明細書の実施例1に記載し、その20S-エピマー8bの製造を本明細書の実施例IIに記載した。
【0094】
スキームIIは、C20に結合したイソ分岐アルキル置換基(即ち、イソ-ブチル)を有し、同じ22-アルデヒド1aから出発したビタミンD類似体の製造を示している。アルデヒド1aを、(酢酸無水物での加熱により)ニトリル9を形成する異性体E-とZ-オキシムの混合物に変換した。ニトリル9を、LDAで処理し、イソブチルブロミドの添加によりアルキル化されたカルボアニオンを生じた。X線分析により、単一のアルキル化生成物(10)が20S-配置を有することが示された。
【0095】
その後、ニトリル10における8β-ベンゾイルオキシ基のアルカリ加水分解により、対応するアルコール11を生成し、それはC20シアノ基の還元的除去に望ましいものであり、そのような脱シアノプロセスに要求される条件は、対応するアルカン(8-非置換誘導体)への8-ベンゾイルオキシ基の還元を生じ得る。アルコール11における8β-ヒドロキシ基は、脱シアノプロセス前に、アルキルシリル-、アリールシリル又はアルコキシアルキルエーテルとして保護することができる。アルコール11の還元的脱シアノについての幾つかの方法は利用可能であり、溶解(dissolving)金属還元が好ましい。
【0096】
例えば、アルコール11は、ヘキサメチルリン酸トリアミド及びtert-ブタノール中のカリウム金属での反応により、又はカリウム金属/ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6/トルエン系と反応させることにより、アルコール12a及び12bの混合物に変換することができる。8β-アルコール12a及び12bを、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムでその後酸化し、ヒドリンダノン13a及び13bを製造した。グルンドマンケトン(C20でのエピマー)の分離を、HPLCを使用して達成した。ホスフィンオキシド6及びフェニルリチウムから生じたリチウムホスフィノキシカルボアニオンを使用して、ヒドリンダノン13a及び13bのヴィティヒ−ホーナーカップリングを行い、保護ビタミン化合物14a及び14bを産生した。テトラブチルアンモニウムフルオライドでの脱保護の後、1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,23,24-トリノルビタミンD3化合物(15a,b)を製造した。
【0097】
実施例IIIに示すように、1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,23,24-トリノルビタミンD3(15a)及びそのエピマー15bの合成を示した。即座のアルキル側鎖を有する他の1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19-ノル-ビタミンD類似体を、本明細書に記載の方法により合成してもよいことは明らかである。
本発明を、以下の実施例により説明する。これらの実施例において、アラビア数字(例えば、1、2、3等)により同定する具体的な生成物は、前の記載及びスキームI及びスキームIIに同定する具体的な構造を指す。
【0098】
実施例
化学的性質。融点(非補正)を、Thomas-Hoover毛細管融点測定装置を使用して測定した。紫外(UV)吸収スペクトルを、エタノール中のPerkin-Elmer Lambda 3B UV-VISスペクトロフォトメーターを使用して記録した。1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルを、デテリオクロロホルム(deteriochloroform)中、Bruker Instruments DMX-400 Avanceコンソールスペクトロメーターを使用して、400MHzで記録した。化学シフト(δ)を、内部Me4Si(δ 0.00)から低磁場で測定した。電子衝撃(EI)質量スペクトルを、Micromass AutoSpec(ベヴァリー、マサチューセッツ州)装置を使用して測定した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、モデル6000A溶媒送達システム、モデルU6Kユニバーサルインジェクター、及びモデル486 チューナブルアブソーバンスデテクターを装備した、Waters Associates液体クロマトグラフを使用して測定した。THFは、使用前に、アルゴン下、ベンゾフェノンケチルナトリウムから新たに蒸留した。
【0099】
生物学的活性;ビタミンDレセプター結合;試験材料及びタンパク源。完全長組換えラットレセプターは、E. coli BL21(DE3) Codon Plus RIL細胞に発現させ、二つの異なるカラムクロマトグラフィー系を使用して均一に精製した。第一の系は、タンパク上のC末端ヒスチジンタグを利用したニッケルアフィニティ樹脂であった。樹脂から溶出したタンパクは、イオン交換クロマトグラフィ(S-セファロースファーストフロー)を使用してさらに精製した。精製したタンパクのアリコートを液体窒素中で素早く凍結させ、使用まで-80℃で貯蔵した。結合アッセイでの使用のために、タンパクを、TEDK50(50mM トリス、1.5mM EDTA、pH=7.4、5mM DTT、150mM KCl)において、0.1%Chaps清浄剤で希釈した。レセプタータンパク及びリガンドの濃度は、添加した放射標識リガンドの20%以下がレセプターと結合するように最適化した。
【0100】
非標識リガンドをエタノールに溶解し、濃度をUVスペクトロフォトメトリー(1,25(OH)2D3: モル吸光計数=18,200及びλmax=265nm;類似体:モル吸光計数=42,000及びλmax=252nm)を使用して測定した。放射標識リガンド(3H-1,25(OH)2D3)は、最終濃度1 nMでエタノールに加えた。
【0101】
放射標識及び非標識リガンドを、最終エタノール濃度<10%で、希釈タンパク100mclに加え、混合し、結合平行に到達するまで氷上で一晩インキュベートした。次の日、ヒドロキシルアパタイトスラリー(50%)100mclを各チューブに加え、30分の間隔をおいて10分間混合した。ヒドロキシアパタイトを遠心分離により収集し、その後、0.5%トリトロンX-100を含有するトリス-EDTA緩衝液(50mM トリス、1.5 mM EDTA、pH 7.4)で3回洗った。最終的な洗浄後、Biosafe II シンチレーションカクテル4mlを含有するシンチレーションバイアルにペレットを移し、混合し、シンチレーションカウンターに置いた。放射標識リガンドのみを含有するチューブから、全結合を測定した。
【0102】
HL-60分化及び試験材料。薬物をエタノールに溶解し、濃度をUVスペクトロフォトメトリーを使用して測定した。細胞培養物中に存在するエタノールの最終濃度(0.2%)が変化することなく薬物濃度範囲を試験できるように、連続希釈を調製した。ヒト前骨髄球性白血病(「HL-60」)細胞は、10%ウシ胎児血清を含有するRPMI-1640培地中で成長させた。細胞を、5%CO2の存在下、37℃でインキュベートした。HL-60細胞を1.2×105 細胞/mlで蒔いた。プレーティングの18時間後、デュープリケート中の細胞を薬物で処理した。4日後、細胞を収集し、ニトロブルーテトラゾリウム還元アッセイを行った(コリンズ(Collins)ら、(1979年); J. Exp. Med. 149:969-974)。分化した細胞の百分率は、全200細胞を計数し、細胞内ブラックブルーホルマザン堆積物を含んだ数を計数することにより測定した。単球への分化の立証は、食細胞活性を測定することにより行った。
【0103】
インビトロ転写アッセイ。ルシフェラーゼリポーター遺伝子の24-ヒドロキシラーゼ(「24Ohase」)遺伝子プロモーター遺伝子プロモーターアップストリームで安定的に形質移入される(アーバウアら、(1998年))ROS 17/2.8骨細胞において、転写活性を測定した。細胞は投与範囲を示した。投与の16時間後、細胞を収集し、ルシフェラーゼ活性を照度計を使用して測定した(RLU=相対ルシフェラーゼ単位)。
【0104】
腸管カルシウム輸送及び骨カルシウム動員。雄性離乳児Sprague-Dawley系ラットを、食餌11(0.47% Ca)食餌+AEKに1週間、その後食餌11(0.02% Ca)+AEKに3週間置いた。その後、0.47%Caを含む食餌を1週間、その後0.02%Caを含む食餌を2週間に変えた。0.02%カルシウム食餌での最後の週の間、薬物の投与を開始した。4回の連続的ip投与を24時間間隔を空けて行った。最終投与の24時間後、血液を切断した首から集め、血清カルシウム濃度を、骨カルシウム動員測定として測定した。小腸の最初の10cmを、小腸反転嚢法を使用して腸カルシウム輸送分析用に集めた。反転嚢法は、シシンスキら、J. Med. Chem. 41、4662〜4674頁(1998年)のように行った。
【0105】
ネガティブコントロール材料(「ビヒクル」)は、エタノール(<5%)及びプロピレングリコールを容積測定し、混合し、2〜8℃の貯蔵下に置くことにより調製した。
ポジティブコントロール材料。UV分光光度計(吸光計数=18,200; λmax=265nm)を使用してエタノール貯蔵液の濃度を測定することにより、1,25(OH)2D3を調製した。要求量の1,25(OH)2D3をプロピレングリコールに容量測定し、最終溶液においてエタノール5%未満であるようにした。その溶液を混合し、その後2〜8℃で貯蔵した。
【0106】
UV分光光度計(吸光計数=42,000、λmax =252nm)を使用して、エタノール貯蔵液の濃度を第一に測定することにより、即席ビタミンD類似体を調製した。類似体溶液をプロピレングリコールに容量的に加え、最終溶液中にエタノール5%未満であるようにした。その溶液を混合し、2〜8℃で貯蔵した。
【0107】
用量投与方法。全ての実験的用量を、約24時間空けて連続した4〜7日間、腹腔内注入により投与した。1,25(OH)2D3は4連続日で投与した。
血清カルシウム分析。最終投与の24時間後、血液約1mlを、室温で凝固させ、その後3000×gで15分間遠心分離した。血清をポリプロピレンチューブに移し、-20℃で凍結貯蔵した。0.1%塩化ランタンに血清を希釈することにより、カルシウム量を測定した。原子吸光光度計、Perkin Elmerモデル3110(シェルトン、コネチカット州)で吸光度を測定した。
【0108】
実施例1
(20R)-1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD3(8a)の製造。スキームIに参照されるように、出発二環アルデヒド1aを、本明細書に記載の方法により得た(フォール(Fall)ら、Tetrahedron Lett. 43、1433 (2002年)を参照されたい)。
【0109】
(a)アルデヒド1aのヴィティヒ反応。安息香酸(1R,3aR,4S,7aR)-7a-メチル-1-((R)-1-メチル-プロプ-2-エニル)-オクタヒドロ-インデン-4-イルエステル(2a)。0℃、無水THF(0.5mL)中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(31mg、87μmol)に、アルゴン下、攪拌しながら、n-
BuLi(ヘキサン中2.65M、64μL、0.170mmol)を滴下して加えた。5分後、Ph3P+CH3Br-の他の部分を加え(31mg、87μmol)、溶液を0℃で10分間、その後室温で20分間攪拌した。橙赤色の混合物を-78℃に冷却し、無水THF(0.1mL)中、アルデヒド1a(33mg、0.109mmol)の溶液に吸い上げた。反応混合物を-78℃で攪拌し、ヴィティヒ試薬の第一の部分の添加3時間後、鹹水濃1%HClの添加により止めた。酢酸エチル(3mL)、ベンゼン(2mL)、エーテル(1mL)、飽和NaHCO3 (1mL)及び水(1ml)を加え、その混合物を室温で18時間激しく攪拌した。その後、有機層を分離し、鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。油状残渣をシリカSep-Pak(2g)を通して濾過した。ヘキサン/酢酸エチル(99:1)での溶離により、純粋なオレフィン系生成物2aを得た(19mg、68%)。2a: [α]24D +71.01°(c 0.90 CHCl3); 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ1.058 (3H, d, J=6.6 Hz, 21-H3)、1.079 (3H, s, 18-H3)、4.83 (1H, dd, J=10.1, 1.7 Hz, (23E)-H)、4.91 (1H, dd, J=17.2, 1.7 Hz, (23Z)-H)、5.41 (1H, narr m, 8α-H)、5.67 (1H, ddd, J=17.2, 10.1, 8.6 Hz, 22-H)、7.44 (2H, t, J=7.4 Hz, Ar-H)、7.55 (1H, t, J=7.4 Hz, Ar-H)、8.05 (2H, d, J = 7.4 Hz, Ar-H);C17H21O2 (M+- C6H5CO)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量257.1542、測定値257.1530。
【0110】
(b)22-オレフィン2aの水素化。安息香酸(1R,3aR,4S,7aR)-1-((R)-sec-ブチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-イルエステル(3a)。酢酸エチル(5.5mL)中にオレフィン2a(45mg、0.146mmol)を含む溶液に、Pd/C(10%、27mg)を加え、得られたサスペンジョンを水素の一定の流れの下、室温で19時間攪拌した。その後、そのサスペンジョンを濾過した。ろ液を蒸発させ、シリカSep-Pakカートリッジ(2g)に適用した。ヘキサン/酢酸エチル(96:4)での溶離により、純粋な油状エステル3a(40mg、87%)を得た。3a: [α]24D +53.0°(c 0.58 CHCl3); 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.836(3H,t, J = 7.4 Hz, 23-H3)、0.931(3H, d, J=6.6 Hz, 21-H3)、1.047(3H, s, 18-H3)、5.41 (1H, narr m, 8α-H)、7.45 (2H, t, J=7.4 Hz, Ar-H)、7.55(1H, t, J=7.4 Hz, Ar-H)、8.06(2H, d, J=7.4 Hz, Ar-H)。
【0111】
(c)ベンゾエート3aの加水分解。(1R,3aR,4S,7aR)-1-((R)-sec-ブチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-オール(4a)。10%メタノール性KOH(2mL)中にエステル3a(40mg、0.129mmol)を含む溶液を50℃で24時間加熱し、水に注ぎ、酢酸エチルを使用して抽出した。有機層をNaHCO3及び水で洗い、その後乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。油状残渣をシリカSep-Pak(2g)を使用して精製した。ヘキサン/酢酸エチル(96:4)で溶出し、純粋な生成物4a(22mg、81%)を得た。4a:[α]24D +38°(c 1.0 CHCl3); 1H NMR(400MHz, CDCl3)δ0.824(3H, t, J=7.4Hz, 23-H3)、0.821(3H, d, J=6.5Hz, 21-H3)、0.931(3H,s,18-H3)、4.08(1H, narr m, 8α-H);C14H26O (M+)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量210.1984、測定値210.1990。
【0112】
(d)アルコール4aの酸化。(1R,3aR,4S,7aR)-1-((R)-sec-ブチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-オン(5a)。塩化メチレン(0.9mL)中にNMO(23mg)及び分子篩4Å(138mg)を含む溶液を室温で15分間攪拌した。塩化メチレン(0.15mL)中に4a(21mg、0.10mmol)を含む溶液、その後TPAP(2.5mg)を加えた。得られた暗色混合物を30分間攪拌し、シリカSep-Pak(2g)に適用した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)を使用した溶出により、純粋なケトン5a(18.5mg、88%)を製造した。5a:[α]24D-11°(c 0.78 CHCl3); 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 0.640 (3H, s, 18-H3)、0.843 (3H, t, J=7.4 Hz, 23-H3)、0.945 (3H, d, J=5.9 Hz, 21-H3)、2.12 (1H, br d ,J=12.8 Hz, 9β-H)、2.45 (1H, dd, J=11.6, 7.6 Hz, 14α-H);C14H24O (M+)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量208.1827、測定値208.1830。
【0113】
(e)ケトン5aのホスフィンオキシド6とのヴィティヒ-ホーナーカップリング。1α-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-2-[3'-[((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD3 tert-ブチルジメチルシリルエーテル(E異性体、7a)。-78℃で、無水THF(0.30mL)中にホスフィンオキシド6(11.5mg、15.6μmol)を含む溶液に、フェニルリチウム(ブチルエーテル中1.8M、9μL、16μmol)をアルゴン下、攪拌しながらゆっくり加えた。その溶液は濃オレンジ色に変った。混合物を-78℃で20分間攪拌した。無水THF(0.10mL)中にケトン5a(19mg、91μmol)を含む、予冷した(-78℃)溶液を、ゆっくりと加えた。混合物をアルゴン下、-78℃で2時間、6℃で16時間攪拌した。酢酸エチル及び水を加え、有機層を鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残渣をヘキサンに溶解し、シリカカラムに施し、ヘキサン/酢酸エチル(98.5:1.5)で洗い、シリル化したビタミン7a(1.44mg、13%)を製造した。その後、カラムをヘキサン/酢酸エチル(95:5)で洗い、未変化C,D-環ケトン5a(7mg)の部分を回収し、ヘキサン/酢酸エチル(6:4)を使用し、ジフェニルホスフィンオキシド6(4.2mg)を回収した。7a: 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ -0.023、0.051、0.050、0.059及び0.069 (3H, 3H, 3H, 3H及び6H、各s、6×SiCH3)、0.549(3H, s, 18-H3)、0.819、0.896及び0.923(各9H, 各s, 3×Si-t-Bu)、2.33 (2H, m, =CH-CH2)、2.79 (1H, dd, J〜 12.5, 3 Hz, 9β-H)、3.05(1H, dd, J=12.5, 4.4 Hz, 10β-H)、3.62 (2H, m, CH2-CH2-O)、4.34 (1H, m, w/2=21 Hz, 1β-H)、4.81 (1H, narr m, 3α-H)、5.47 (1H, t, J =7.5 Hz, =CH-CH2)、5.87及び6.11 (1H及び1H、各d, J=10.9 Hz, 7-及び6-H);C43H82O3Si3Na (M+ + Na)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量 753.5470、fd 753.5465。
【0114】
(f)19-ノルビタミンD誘導体7aにおけるシリル保護基の加水分解。1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD3(E異性体、8a)。無水THF(1.3mL)中に保護ビタミン7a(1.4mg、1.91μmol)を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1.0 M、86μL、86μmol)及びトリエチルアミン(16μL)を加えた。その混合物をアルゴン下、室温で18時間攪拌し、鹹水に加え、酢酸エチル及びジエチルエーテルを使用して抽出した。有機抽出物を鹹水で洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/2-プロパノール(8:2)溶媒系を使用し、HPLC(9.4mm×25cm Zorbax-Silカラム、4mL/分)を使用して精製した。純粋な19-ノルビタミン8a(0.56mg、72%)を、RV 25.5mLで回収した。メタノール/水(9:1)溶媒系を使用した逆相HPLC(9.4mm×25cm Eclipse XDB-C18カラム、4mL/分)において、ビタミン8aをRV 42mLで回収した。8a(「RBH」): UV(EtOH中) λmax 243.0、251.5、261.5nm; 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 0.549(3H, s, 18-H3)、0.917(3H, br d, J=5.5Hz, 21-H3)、0.837(3H, t, J=7.4Hz, 23-H3)、2.47(2H, narr m, 4α-及び4β-H)、2.36及び2.54(1H及び1H、各m、=CH-CH2)、2.82(1H, dm, J〜 13.5Hz, 9β-H)、3.16(1H, dd, J =13.2, 5.0 Hz, 10β-H)、3.66及び3.76(1H及び1H、各m、CH2-CH2-O)、4.44(1H, m, w/2=20 Hz, 1β-H)、4.85(1H, narr m, 3α-H)、5.67(1H, t, J=7.5Hz, =CH-CH2)、5.88及び6.31(1H 及び1H、各d、J=11.6Hz、7-及び6-H); HRMS(ESI) C25H40O3Na (M++Na) 411.3079、測定値411.3086。
【0115】
実施例II
(20S)-1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミン D3(8b)。スキームIIに示すように、出発二環アルデヒド2bを、グランジャ(Granja)ら、 J. Org. Chem. 58、124 (1993年)に示す方法により得た。
【0116】
(a)アルデヒド2bのヴィティヒ反応。安息香酸(1R,3aR,4S,7aR)-7a-メチル-1-((S)-1-メチル-プロプ-2-エニル)-オクタヒドロ-インデン-4-イルエステル(2b)。無水THF(0.5mL)中のエチルトリフェニルホスホニウムブロミド(63mg、0.179mmol)に0℃で、n-BuLi(ヘキサン中2.65M、128μL、0.340mmol)をアルゴン下、攪拌しながら滴下して加えた。5分後、Ph3P+CH3 Br-の他の部分を加え(63mg、0.179mmol)、その溶液を0℃で10分間、室温で20分間攪拌した。橙赤色混合物を-78℃に冷却し、吸い上げ、無水THF(0.2mL)中にアルデヒド1b(56mg、0.185mmol)を含む溶液を製造した。反応混合物を-78℃で攪拌し、ヴィティヒ試薬の第一の部分の添加の3時間後、1% HClを含む鹹水を加えることにより止めた。酢酸エチル(3mL)、ベンゼン(2mL)、エーテル(1mL)、飽和NaHCO3(1mL)及び水(1ml)を加え、混合物を、室温で18時間激しく攪拌した。有機層を分離し、鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。油状残渣をシリカSep-Pak(2g)を通して濾過した。ヘキサン/酢酸エチル(98:2)を使用した溶出により、純粋なオレフィン生成物2b(46mg、73%)を得た。2b: [α]24D +12°(c 0.39 CHCl3); 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.940 (3H, d, J =6.6Hz, 21-H3)、1.046 (3H, s, 18-H3)、4.87 (1H, dd, J=10.1, 1.6Hz, (23E)-H)、4.97(1H, dd, J=17.1, 1.6 Hz, (23Z)-H)、5.41(1H, narr m, 8α-H)、5.70(1H, dt, J=17.1, 9.7 Hz, 22-H)、7.44(2H, t, J=7.3 Hz, Ar-H)、7.55(1H, t, J=7.3 Hz, Ar-H)、8.05(2H, d, J=7.3 Hz, Ar-H; C17H21O2 C17H21O2 (M+-C6H5CO)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量257.1542、測定値257.1533。
【0117】
(b)22-オレフィン2bの水素化。安息香酸(1R,3aR,4S,7aR)-1-((S)-sec-ブチル)-7a-メチル-オオクタヒドロ-インデン-4-イルエステル(3b)。酢酸エチル(5.7mL)中にオレフィン2b(47mg、0.153mmol)を含む溶液に、Pd/C(10%、28mg)を加え、得られたサスペンジョンを一定の流れの水素の下、室温で20時間攪拌した。サスペンジョンをろ過した。ろ液を蒸発させ、シリカSep-Pakカートリッジ(2g)を適用した。ヘキサン/酢酸エチル(97:3)を使用した溶出により、純粋な油状エステル3b(40.5mg、86%)を生成した。3b:[α]24D +49.0°(c 0.37 CHCl3); 1H NMR(400MHz, CDC13) δ)、0.829(3H, d, J=6.6Hz, 21-H3)、0.850(3H、t、J=7.4Hz、23-H3)、1.045 (3H, s, 18-H3)、5.41 (1H, narr m, 8α-H)、7.44 (2H, t, J=7.6Hz, Ar-H)、7.55(1H, tt, J=7.4、〜1.4 Hz、Ar-H)、8.06(2H, m, Ar-H)。
【0118】
(c)ベンゾエート3bの加水分解。(1R,3aR,4S,7aR)-1-((S)-sec-ブチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-オール(4b)。10%メタノール性KOH(2mL)にエステル3b(40.5mg、0.131mmol)を含む溶液を50℃で23時間加熱し、水に注ぎ、酢酸エチルを使用して抽出した。有機層をNaHCO3及び水を使用して洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。油状残渣をシリカSep-Pak(2g)を使用して精製した。ヘキサン/酢酸エチル(97:3)を使用した溶出により、純粋な生成物4b(22mg、80%)を製造した。4b: [α]24D +25°(c 0.29 CHCl3); 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ0.822(3H、t,J=7.6Hz、23-H3)、0.813 (3H, d, J=7.3Hz, 21-H3)、0.929(3H, s, 18-H3)、4.07(1H, narr m, 8α-H);C14H26O (M+)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量210.1984、測定値210.1984。
【0119】
(d)アルコール4bの酸化。(1R,3aR,4S,7aR)-1-((S)-sec-ブチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-オン(5b)。塩化メチレン中にNMO(28mg)及び分子篩4Å(145mg)を含む溶液を、室温で15分間攪拌した。塩化メチレン(0.15mL)中に、4b(22mg、0.104mmol)を含む溶液、その後TPAP(3.0mg)を加えた。得られた暗色混合物を30分間攪拌し、シリカSep-Pak(2g)に適用した。ヘキサン/酢酸エチル(96:4)での溶出により、純粋なケトン5b(18.0mg、82%)を製造した。5b: [α]24D -27.5°(c 0.8 CHCl3); 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ0.636 (3H, s, 18-H3)、0.857 (3H, t, J=7.4Hz, 23-H3)、0.848 (3H, d, J〜7 Hz, 21-H3)、2.09 (1H, br d, J=12.0 Hz, 9β-H)、2.45 (1H, dd, J=11.5, 7.6Hz, 14α-H);C14H24O (M+)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量208.1827、測定値208.1836。
【0120】
(e)ケトン5bのホスフィンオキシド6とのヴィティヒ-ホーナーカップリング。(20s)-1α-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-2-[3’-[((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)プロ
ピリデン]-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミン D3 tert-ブチルジメチルシリルエーテル(E異性体、7b)。-78℃で、無水THF(0.30mL)中にホスフィンオキシド6(11.5mg、15.6μmol)を含む溶液に、フェニルリチウム(ブチルエーテル中1.8M、9μL、16μmol)をアルゴン下、攪拌しながらゆっくりと加えた。溶液は深い橙色に変わった。その混合物を-78℃で20分間攪拌した。無水THF(0.10mL)中にケトン5b(19mg、91μmol)を含む予冷した(-78℃)溶液をゆっくりと加えた。混合物をアルゴン下、-78℃で2時間、6℃で16時間攪拌した。酢酸エチル及び水を加えた。有機層を鹹水で洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣をヘキサンに溶解し、シリカゲルカラムに施し、ヘキサン/酢酸エチル(98.5:1.5)を使用して洗い、シリル化ビタミン7b(2.2mg、19%)を生成した。カラムをヘキサン/酢酸エチル(96:4)を使用して洗い、未変化C,D環ケトン5b(9mg)の一部を回収し、ヘキサン/酢酸エチル(6:4)を使用してジフェニルホスフィンオキシド6(4mg)を回収した。7b: UV(ヘキサン中) λmax 243.5、252.5、262.0nm; 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ -0.023、0.055、0.059及び0.069 (3H, 3H, 6H及び6H、各s、6×SiCH3)、0.552(3H, s, 18-H3)、0.819、 0.896及び0.923(各9H、各s、3×Si-t-Bu)、2.36及び2.54(1H及び1H、各m、=CH-CH2)、2.79(1H、br d、J〜12.7Hz、9β-H)、3.05(1H、dd、J〜12.、5.0Hz、10β-H)、3.63(2H、m、CH2-CH2-O)、4.34(1H、m、w/2=21Hz、1β-H)、4.81(1H、narr m、3α-H)、5.47(1H、t、J=7.5Hz、HC=C-CH2)、5.85及び6.13(1H及び1H、各d、J=11.6 Hz、7-及び6-H);C43H82O3Si3Na(M++Na)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量753.5470、測定値753.5462。
【0121】
(f)19-ノルビタミンD誘導体7bにおけるシリル保護基の加水分解。(20S)-1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD3(E異性体、8b)。無水THF(2mL)中に保護ビタミン7b(2.2mg、3.01μmol)を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1.0M、135μL、135μmol)及びトリエチルアミン(25μL)を加えた。その混合物をアルゴン下、室温で18時間攪拌し、鹹水に注ぎ、酢酸エチル及びジエチルエーテルを使用して抽出した。有機抽出物を鹹水を使用して洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/2-プロパノール(8:2)溶媒系を使用して、HPLC(9.4mm×25cm Zorbax-Silカラム、4mL/分)を使用して精製した。純粋な19-ノルビタミン8b(0.66mg、53%)を、Rv 25.5mLで回収した。メタノール/水(95:5)溶媒系を使用した逆相HPLC(9.4mm×25cm Eclipse XDB-C18 カラム、4 mL/分)において、ビタミン8bをRV 42mLで回収した。8b(「SBH」): UV(EtOH中) λmax 243.0、251.5、261.5nm; 1H NMR(400MHz、CDCl3) δ0.545(3H, s, 18-H3)、0.835(3H, d, J=5.8Hz, 21-H3)、0.836(3H, t, J=7.3 Hz, 23-H3)、2.47 (2H, narr m, 4α-及び4β-H)、2.36及び2.55(1H及び1H、各m、=CH-CH2)、2.82(1H, br d, J=12.9Hz、9β-H)、3.16(1H, dd, J=13.2, 5.0Hz, 10β-H)、3.66及び3.76(1H及び1H、各m、CH2-CH2-O)、4.45(1H, m, w/2=20 Hz, 1β-H)、4.85(1H、narr m、3α-H)、5.67(1H, t, J=7.5Hz、=CH-CH2)、5.88及び6.31(1H及び1H、各d、J=11.6Hz、7-及び6-H);C25H40O3Na (M++Na)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量411.3079、測定値411.3089。
【0122】
実施例III
(20R)-1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,23,24-トリノルビタミンD3(15a)及び(20S)-1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,23,24-トリノルビタミンD3(15b)。
(a)アルデヒド1aの22-ニトリル9への変換。安息香酸-(1R,3aR,4S,7aR)-1-((R-シアノ-メチル-メチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-イルエステル(9)。無水ピリジン(5mL)中にベンゾイルオキシアルデヒド1a(284mg、0.90mmol)を含む溶液に、NH2OH×HCl(210mg)を加えた。その混合物を室温で20時間攪拌した。混合物を水に注ぎ、酢酸エチルを使用して抽出した。合わせた有機層を分離し、飽和NaHCO3溶液、水及び飽和CuSO4溶液を使用して洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。油状残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。ヘキサン/酢酸エチル(9:1)を使用した溶出により、純粋な(極性の低い)E-オキシム(167mg)及び(より高い)極性のZ-オキシム(105mg、全収率89%)を製造した。E-オキシム: 1H NMR(400MHz、CDCl3)δ1.09(3H, d, J=6.7Hz, 18-H3)、1.14(3H, s, 21-H3)、2.40(1H, m, 20-H)、5.42(1H, narr m, 8α-H)、7.27(1H, d, J=8.0 Hz, 22-H)、7.45(2H, t, J〜7Hz, Ar-H)、7.56(1H, t, J=7.4 Hz, Ar-H)、8.04(2H, d, J=7.4 Hz, Ar-H)。Z-オキシム:1H NMR(400MHz、CDCl3)δ1.09(3H, d, J=6.7Hz, 18-H3)、1.13(3H, s, 21-H3)、3.28(1H, m, 20-H)、5.42 (1H, narr m, 8α-H)、6.25(1H, d, J=8.1Hz, 22-H)、7.45(2H, t, J〜7Hz, Ar-H)、7.56(1H, t, J =7.3Hz, Ar-H)、8.04(2H, d, J=7.3Hz, Ar-H)。
【0123】
無水酢酸(8mL)中にオキシム(両方の異性体、248mg、0.75mmol)を含む溶液を、1.5時間還流した。反応混合物を冷却し、注意深く氷に注ぎ、トルエンを使用して抽出した。抽出物を合わせ、水、NaHCO3及び鹹水で洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣をシリカSep-Pak(5g)に施した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)での溶出により、純粋な半結晶性ニトリル9(212mg、91%)を製造した。9:[α]24D +81.5°(c 0.9 CHCl3); 1H NMR(400MHz、CDCl3) δ1.124 (3H, s, 18-H3)、1.373 (3H, d, J=7.1 Hz, 21-H3)、1.90(1H, br d, J=12.8Hz, 9β-H)、2.68 (1H, pentet, J=7.0Hz, 20-H)、5.43(1H, narr m, 8α-H)、7.45(2H, t, J=7.6Hz, Ar-H)、7.57 (1H, t, J=7.5Hz, Ar-H)、8.03(2H, d, J=7.4Hz, Ar-H);C13H20ON (M+ -C6H5CO)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量206.1545、測定値206.1539。
【0124】
(b)ニトリル9のイソ-ブチルブロミドでのアルキル化。安息香酸-(1S,3aR,4S,7aR)-1-((S)-1-シアノ-1,3-ジメチル-ブチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-イルエステル(10)。n-
BuLi(ヘキサン中2.65M、103μL、0.272mmol)を0℃で、ジイソプロピルアミン(42μL、0.272 mmol)及びTHF(0.4mL)を含むフラスコに加えた。その溶液を0℃で20分間攪拌し、-78℃に冷却し、吸い上げ、THF(0.3mL)中の溶液9(77mg、0.248mmol)を製造した。得られた黄色混合物を30分間攪拌した。HMPA(100μL)を加えた。さらに15分間攪拌し続けた。(CH3)2CHCH2Br(68μL、0.62mmol)を加えた。溶液を1時間に渡って-40℃に温めた。飽和NH4Clを加えた。その混合物を酢酸エチルを使用して抽出した。合わせた有機層を水で洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣をシリカSepPak(2g)に施した。ヘキサン/酢酸エチル(98:2)を使用した溶出により純粋な半結晶10(60mg、66%;回収した基質をベースとして74%)を得た;さらにヘキサン/酢酸エチル(97:3)での溶出により未変化の9(8.5mg)を得た。10: [α]24D +66.5°(c 1.15 CHCl3); 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ1.055及び0.971 (3H及び3H、各d、J=6.6Hz、24-及び25-H3)、1.369 (3H, s, 18-H3)、1.456 (3H, s, 21-H3)、2.15 (1H, br d, J=12.7 Hz, 9β-H)、5.40(1H, narr m, 8α-H)、7.45(2H, t, J〜7Hz, Ar-H)、7.57(1H, t, J=7.4 Hz, Ar-H)、8.04 (2H, d, J=7.4 Hz, Ar-H);C24H33O2N (M+)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量367.2511、測定値367.2518。
【0125】
(c)ニトリル10中の8β-ベンゾイルオキシ基の加水分解。(S)-2-((1S,3aR,4S,7aR)-4-ヒドロキシ-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-1-イル)-2,4-ジメチル-ペンタンニトリル(11)。ベンゾイルオキシニトリル10(90mg、0.246mmol)を、10%メタノール性KOH(4mL)を使用して、50℃で18時間処理した。真空下での濃縮の後、反応混合物を水に注ぎ、ベンゼン及びエーテルを使用して抽出した。有機抽出物を合わせ、鹹水で洗い、MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。残渣をヘキサン/酢酸エチル(95:5)に再溶解した。溶液をシリカゲルSep-Pakカートリッジに通した。溶媒の蒸発により、ヒドロキシニトリル11(66mg、92%)を製造した。11: [α]24D+28°(c 0.29 CHCl3); 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ1.043及び0.959 (3H及び3H、2×d、J=6.6Hz、24-H3 及び25-H3)、1.236(3H, s, 18-H3)、1.410(3H, s, 21-H3)、2.08(1H, d m, J=12.4Hz、9β-H)、4.09(1H, narr m, 8α-H)、C17H29ON (M+)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量263.2249、測定値263.2254。
【0126】
(d)ヒドロキシニトリル11の還元的脱シアネート化(decyanation)。(1R,3aR,4S,7aR)-1-((R)-1,3-ジメチル-ブチル)-及び(1R,3aR,4S,7aR)-1-((S)-1,3-ジメチル-ブチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-オール(12a、b)。t-BuOH(50μL)及びエーテル(0.20mL)中にニトリル11(49mg、0.186mmol)を含む溶液を、0℃、アルゴン下で、HMPA(0.17mL)及びエーテル(0.42mL)中にカリウム(55mg、1.4mmol)を含む青色溶液に滴下して加えた。冷却浴を取り除き、室温、アルゴン下で4時間攪拌し続けた。反応混合物をベンゼンを使用して希釈した。未変化カリウムを除去し、数滴の2―プロパノールを加えた。有機層を水で洗い、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残渣をシリカSep-Pak(2g)に施した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)を使用した溶出により、エピマーアルコール12aと12b(37mg、84%)の1:1混合物を製造した。12a及び12b: 1H NMR(400MHz, CDCl3, 選択シグナル)δ0.932 (s, 12b中の18-H3)、0.944(s, 12a中の8-H3)、2.01(br d, J=12.7Hz、両方の異性体の9β-H)、4.07 (narr m, 両方の異性体の8α-H );C16H30O (M+)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量238.2297、測定値238.2294。
【0127】
(e)アルコール12a及び12bの酸化。(1R,3aR,7aR)-1-((R)-1,3-ジメチル-ブチル)-及び(1R,3aR,7aR)-1-((S)-1,3-ジメチル-ブチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-オン(13a 及び13b)。塩化メチレン(0.9mL)中にNMO(23mg)及び分子篩4Å(123mg)を含む溶液を、室温で15分間攪拌した。塩化メチレン(0.15mL)中に12a及び12b(20.5mg、86μmol)を含む溶液を、その後TPAP(2.5mg)を加えた。得られた暗色混合物を30分間攪拌し、塩化メチレンで希釈し、シリカSepPak(2g)を通して濾過した。塩化メチレンの溶出により、エピマーケトン13a及び13b(21mg、91%)の1:1混合物を製造した。異性体の分離は、ヘキサン/酢酸エチル(95:5)溶媒系を使用して、HPLC(9.4mm×25cm Zorbax-Silカラム、4mL/分)を使用して達成した。20Sケトン13bをRV39mLで、R異性体13aをRV40mLで回収した。13a: [α]24D+11°(c 0.28 CHCl3); 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ0.653(3H, s, 18-H3)、0.816及び0.881(3H及び3H、各d、J=6.6Hz、24-及び25-H3)、0.922 (3H, d, J=5.9Hz, 21-H3)、2.14 (1H, br d, J=12.4Hz, 9β-H)、2.44 (1H, dd, J=11.6, 7.6 Hz, 14α-H); HRMS (ESI) C16H28O (M+)に関して計算された正確な質量 236.2140、測定値236.2135。13b: [α]24D -48°(c 0.28 CHCl3); 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 0.641(3H, s, 18-H3)、0.827及び0.831(3H及び3H、各d、J=6.6Hz、24-及び25-H3)、0.894 (3H, d, J=5.9Hz, 21-H3)、2.12(1H, br d, J=12.7Hz, 9β-H)、2.44(1H, dd, J=11.5, 7.6Hz, 14α-H);C16H28O (M+)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量236.2140、測定値236.2135。
【0128】
(f)ケトン13a、bのホスフィンオキシド6とのヴィティヒ-ホーナーカップリング。
(a)1α-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-2-[3'-[((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]-19,23,24-トリノルビタミンD3 tert-ブチルジメチルシリルエーテル(E異性体、14a)。-78°で、無水THF(0.40mL)中にホスフィンオキシド6(28mg、38μmol)を含む溶液に、フェニルリチウム(ブチルエーテル中、1.8M、22μL、39μmol)を、アルゴン下、攪拌しながらゆっくりと加えた。溶液は、深い橙色に変わった。その混合物を-78℃で20分間攪拌し、無水THF(0.10mL)中にケトン13a(7.5mg、32μmol)を含む予冷却した(-78℃)溶液をゆっくりと加えた。混合物をアルゴン下、-78℃で2時間、6℃で16時間攪拌した。酢酸エチル及び水を加え、有機層を鹹水で洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣をヘキサンに溶解し、シリカSep-Pakカートリッジに施し、ヘキサン/酢酸エチル(95.5:0.5)を使用して溶出し、19ノルビタミン誘導体14a(12mg、50%)を製造した。Sep-Pakを、ヘキサン/酢酸エチル(98:2)を使用して洗い、未変化C、D-環ケトン13a(1mg)の一部を回収し、ヘキサン/酢酸エチル(6:4)でジフェニルホスフィンオキシド6(3mg)を回収した。14a: 1H NMR(400MHz, CDCl3) δ-0.023、0.052、0.056、0.059 0.062及び0.069(各3H、各s、6×SiCH3)、0.567(3H, s, 18-H3)、0.818、0.897及び0.923(各9H、各s、3×Si-t-Bu) 2.37 (2H、各m、=CH-CH2)、2.79(1H, br d, J=12.5Hz, 9β-H)、3.05(1H, dd, J=12.4、4.4 Hz、10β-H)、3.62(2H、各m、CH2-CH2-O)、4.34 (1H, m, w/2=20Hz, 1β-H)、4.80 (1H, narr m, 3α-H)、5.47(1H, t, J〜7Hz, =CH-CH2)、5.87及び6.11(1H及び1H、各d, J=11.1Hz、7-及び6-H)。
【0129】
(b)(20s)-1α-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-2-[3'-[((tert-ブチルジメチルシリル)オキシプロピリデン]-19,23,24-トリノルビタミンD3 tert-ブチルジメチルシリルエーテル(E異性体、14b)。-78℃で、無水THF(0.40mL)中にホスフィンオキシド6(27.5mg、37μmol)を含む溶液に、フェニルリチウム(ブチルエーテル中1.8M、21μL、38μmol)を、アルゴン下、攪拌しながらゆっくりと加えた。溶液は深い橙色に変わった。混合物を-78℃で20分間攪拌し、無水THF(0.10mL)中にケトン13b(7.0mg、30μmol)を含む予冷却した(-78℃)溶液をゆっくりと加えた。混合物をアルゴン下、-78℃で2時間、6℃で16時間攪拌した。酢酸エチル及び水を加え、有機層を鹹水を使用して洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣をヘキサンに溶解し、シリカSep-Pakカートリッジに施し、ヘキサン/酢酸エチル(95.5:0.5)を使用して溶出し、19-ノルビタミン誘導体14b(12mg、53%)を製造した。Sep-Pakを、その後、ヘキサン/酢酸エチル(98:2)を使用して洗い、未変化C、D環ケトン13b(1mg)の一部を回収し、ヘキサン/酢酸エチル(6:4)で、ジフェニルホスフィンオキシド6(2mg)を回収した。14b: 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ -0.023、0.056、0.060、0.071及び0.088 (3H, 3H, 6H, 3H及び3H、各s、6×SiCH3)、0.551 (3H, s, 18-H3)、0.819、0.897及び0.924(各9H、各s、3×Si-t-Bu)、2.33(2H, 各m、=CH-CH2)、2.79 (1H, br d, J=12.4 Hz, 9β-H)、3.04(1H, dd, J=12.4, 4.4Hz, 10β-H)、3.62 (2H, 各m, CH2-CH2-O)、4.34(1H, m, w/2=20 Hz, 1β-H)、4.81 (1H, narr m, 3α-H)、5.47 (1H, t, J〜7Hz, =HC-CH2)、5.87及び6.12 (1H及び1H、各d, J=11.1 Hz, 7-及び6-H)。
【0130】
(g)19−ノルビタミンD誘導体14a、bにおけるシリル保護基の加水分解。(a) (20R)-1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,23,24-トリノルビタミンD3(E異性体、15a)。無水THF(9.5mL)中に保護ビタミン14a(11.5mg、15μmol)を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1.0 M、450μL、450μmol)及びトリエチルアミン(84μL)を加えた。混合物をアルゴン下、室温で18時間攪拌し、鹹水に注ぎ、酢酸エチル及びジエチルエーテルを使用して抽出した。有機層を鹹水で洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/2-プロパノール(7:3)溶媒系を使用してHPLC(9.4mm×25cm Zorbax-Silカラム、4mL/分)を使用して精製した。純粋な19-ノルビタミン15a(6.2mg、98%)を、RV 24mLで回収した。メタノール/水(95:5)溶媒系を使用した逆相HPLC(9.4mm×25cm Eclipse XDB-C18カラム、4mL/分)において、ビタミン15aをRV 31.5mLで回収した。15a(「HPBR」): UV (EtOH中) λmax 243.0、251.0、261.0nm; 1H NMR (400MHz, CDCl3)δ 0.600 (3H, s, 18-H3)、0.894 (3H, d, J =6.0 Hz, 21-H3)、0.820及び0 879(1H及び1H、各d、J=6.4Hz、24-及び25-H3)、2.44(2H, narr m, 4α- 及び4β-H)、2.31及び2.52 (1H及び1H、各m、=CH-CH2)、2.81(1H, br d, J=12.7 Hz, 9β-H)、3.15 (1H, dd, J=13.0, 4.8 Hz, 10β-H)、3.65及び3.74 (1H及び1H、各m、CH2-CH2-O)、4.41 (1H, m, w/2=20 Hz, 1β-H)、4.82 (1H, narr m, 3α-H)、5.62 (1H, t, J=7.3 Hz, HC=C-CH2)、5.88及び6.30 (1H及び1H、各d, J =11.2 Hz, 7-及び6-H); HRMS (ESI) C27H44O3Na (M+ + Na)に関して計算された正確な質量439.3188、測定値439.3177。
【0131】
(b)(20S)-1α-ヒドロキシ-2-[3'-ヒドロキシプロピリデン]-19,23,24-トリノルビタミンD3 (E異性体、15b)。無水THF(9.5mL)中に保護ビタミン14b(11.5mg、15μmol)を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1.0 M、450μL、450μmol)及びトリエチルアミン(84μL)を加えた。混合物をアルゴン下、室温で18時間攪拌し、鹹水に注ぎ、酢酸エチル及びジエチルエーテルを使用して抽出した。有機層を鹹水で洗い、MgSO4を使用して乾燥し、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/2-プロパノール(7:3)溶媒系を使用してHPLC(9.4mm×25cm Zorbax-Silカラム、4mL/分)を使用して精製した。純粋な19-ノルビタミン15b(6.2mg、98%)をRV 24mLで回収した。メタノール/水(95:5)溶媒系を使用した逆相HPLC(9.4mm×25cm Eclipse XDB-C18 カラム、4mL/分)において、ビタミン15bをRV 30mLを使用して回収した。15b (「HPBS」): UV (EtOH中)λmax 243.0、251.0、261.0nm; 1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.546 (3H, s, 18-H3)、0.879 (3H, d, J = 6.5 Hz, 21-H3)、0.815及び0 824 (3H及び3H、各d, J=6.2 Hz及びJ=6.3 Hz、24-及び25- H3)、2.46 (2H, narr m, 4α-及び4β-H)、2.33及び2.54 (1H及び1H、各m、=CH-CH2)、2.81 (1H, br d, J=12.7Hz, 9β-H)、3.15 (1H, dd, J=13.0, 4.8 Hz, 10β-H)、3.67及び3.73 (1H及び1H、各m、CH2-CH2-O)、4.42 (1H, m, w/2=20Hz, 1β-H)、4.84 (1H, narr m, 3α-H)、5.65 (1H, t, J=7.3Hz, =CH-CH2)、5.88及び6.30 (1H及び1H、各d、J=11.2Hz、7-及び6-H);C27H44O3Na (M+ + Na)に関して計算された正確なHRMS(ESI)質量439.3188、測定値439.3180。
【0132】
スキームI及びスキームIIを以下に示す。
【0133】
【化35】

【0134】
【化36】

【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】(20S)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,23,24-トリ-ノル-ビタミンD3(「HPBS」)及び(20R)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,23,24-トリ-ノル-ビタミン-D3(「HPBR」)の、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に対する、競合的VDR結合(即ち、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3ブタ腸核内レセプターへの結合)における相対活性を、ダーム(Dame)ら(Biochemistry 25、4523〜4534(1986年))に示される方法に従って示したグラフである。
【図2】(20R)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,24,25,26,27-ペンタ-ノル-ビタミンD3(「RBH」)及び(20S)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,23,24-トリ-ノル-ビタミン-D3(「SBH」)の、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に対する、競合的VDR結合(即ち、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3ブタ腸核内レセプターへの結合)における相対活性を、ダーム(Dame)ら(Biochemistry 25、4523〜4534(1986年))に示される方法に従って示したグラフである。
【図3】1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、RBH及びSBHのHL-細胞分化活性百分率を、培地中の濃度の関数として示したグラフであり、単球へのHL-60前骨髄球の分化は、オステレム(Ostrem)ら(J. Biol. Chem. 262、14164〜14171頁(1987年))に記載されるように測定した。
【図4】1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、HPBS及びHPBRのHL-細胞分化活性百分率を、培地中の濃度の関数として示したグラフであり、単球へのHL-60前骨髄球の分化は、オステレム(Ostrem)ら(J. Biol. Chem. 262、14164〜14171頁(1987年))に記載されるように測定した。
【図5】1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、RBH及びSBHの転写活性を、濃度の関数として示したグラフであり、転写活性は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の24-ヒドロキシラーゼ(「24OHase」)遺伝子プロモーターアップストリームで安定的に形質移入されるROS 17/2.8 (骨)細胞において測定し(アーバウア(Arbour)ら、(1998年);及びアーバウアら、Nat. Genet. 25; 187 (2000年)を参照されたい)、細胞は用量の範囲を示し、細胞は投与後16時間に収集し、ルシフェラーゼ活性は照度計を使用して測定し、また、「RLU」は相対ルシフェラーゼ単位を指している。
【図6】1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、HPBR及びHPBSの転写活性を、濃度の関数として示したグラフであり、転写活性は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の24-ヒドロキシラーゼ(「24OHase」)遺伝子プロモーターアップストリームで安定的に形質移入されるROS 17/2.8 (骨)細胞において測定し(アーバウア(Arbour)ら、(1998年);及びアーバウアら、(2000年)を参照されたい)、細胞は容量の範囲を示し、細胞は投与後16時間に収集し、ルシフェラーゼ活性は照度計を使用して測定し、また、「RLU」は相対ルシフェラーゼ単位を指している。
【図7】低カルシウム食餌によるビタミンD欠乏性ラットに、様々な濃度で投与した1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、HPBR及びHPBSの骨カルシウム動員活性を示した棒グラフであり、それにより、血清カルシウム濃度における上昇は、骨カルシウムの動員を反映している。
【図8】低カルシウム食餌によるビタミンD欠乏性ラットに、様々な濃度で投与したビヒクル(即ちコントロール)、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、RBH及びSBHの骨カルシウム動員活性を示した棒グラフであり、血清カルシウム濃度における上昇は、骨カルシウムの動員を反映している。
【図9】低カルシウム食餌によるビタミンD欠乏性ラットに、様々な濃度で投与したビヒクル、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、HPBR及びHPBSの腸内カルシウム輸送活性を示す棒グラフであり、腸内カルシウム輸送は、小腸反転嚢(everted intestinal gut sac)法により測定した。
【図10】低カルシウム食餌によるビタミンD欠乏性ラットに、様々な濃度で投与したビヒクル、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、RBH及びSBHの腸内カルシウム輸送活性を示す棒グラフであり、腸内カルシウム輸送は、小腸反転嚢(everted intestinal gut sac)法により測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む一般式の化合物及びそれらのエステル:
【化1】

(式中、C(1')への実線は、該化合物が2-プロピリデンセグメントに関してE又はZ幾何異性体であることを提供し、
C(20)は、立体化学中心であり、
【化2】

は、R又はS配置を提供し、
nは、整数の1〜3であり、
Y1は、水素、重水素及び第一のヒドロキシ保護基からなる群より選ばれるメンバーであり、
Y2は、水素、重水素及び第二のヒドロキシ保護基からなる群より選ばれるメンバーであり、
Xは、第三のヒドロキシ保護基であり、
R1は、水素、重水素及びメチルからなる群より選ばれるメンバーであり、
R2は、水素、重水素及びメチルからなる群より選ばれるメンバーであり、
R3は、水素、重水素及びメチルからなる群より選ばれるメンバーであり、
【化3】

は、
【化4】

及び
【化5】

からなる群より選ばれるメンバーである)。
【請求項2】
Xが、水素、重水素、炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル、1以上のヒドロキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルコキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル、1以上のアリールオキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルコキシ基で置換されているカルボニル、炭素数1〜6の分岐又は直鎖アルカノイル、炭素数1〜6の分岐又は直鎖カルボキシアルカノイル、芳香族アシル、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル基で置換されているシリル、1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル基で置換されているシリル及び1以上のアリール基で置換されているシリルからなる群より選ばれるメンバーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルコキシ基で置換されているカルボニルが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソ-プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル及びアリルオキシカルボニルからなる群より選ばれるメンバーである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
炭素数1〜6の分岐又は直鎖カルボキシアルカノイルが、オキサリル、マロニル、サクシニル及びグルタリルからなる群より選ばれるメンバーであり、芳香族アシルが、ベンゾイル、ハロ置換ベンゾイル、ニトロ置換ベンゾイル及び炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル置換ベンゾイルからなる群より選ばれるメンバーである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルコキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル基が、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルからなる群より選ばれるメンバーである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
1以上の炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキル基で置換されているシリルが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル及びジブチルメチルシリルからなる群より選ばれるメンバーであり、1以上のアリール基で置換されているシリルが、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル及びジフェニル-t-ブチルシリルからなる群より選ばれるメンバーである、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
1以上のアリールオキシ基で置換されている炭素数1〜10の分岐又は直鎖アルキルが、フェニル置換フェニル、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル置換フェニル、ニトロ置換フェニル及びハロ置換フェニルからなる群より選ばれるメンバーである、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
化合物が、E幾何異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
化合物が、Z幾何異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Xが、t-ブチルジメチルシリルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
Y1が、t-ブチルジメチルシリルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Y2が、t-ブチルジメチルシリルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Xが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Y1が、水素である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Y2が、水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
nが1であり、R1及びR2がメチルであり、R3が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
(20R)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,24,25,26,27-ペンタ-ノル-ビタミンD3のE異性体を含む化合物。
【請求項18】
(20S)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,24,25,26,27-ペンタ-ノル-ビタミンD3のE異性体を含む化合物。
【請求項19】
(20R)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,23,24-トリ-ノル-ビタミンD3のE異性体を含む化合物。
【請求項20】
(20S)-1α-ヒドロキシ-2-(3'-ヒドロキシプロピリデン)-19,23,24-トリ-ノル-ビタミンD3のE異性体を含む化合物。
【請求項21】
請求項1の化合物(式中、nは1であり、R1、R2及びR3はそれぞれ水素であり、
【化6】

は、
【化7】

である)の製造に使用するための、ヒドリンダノン中間体化合物の製造方法であって、

以下の一般式の出発化合物を提供する工程:
【化8】

出発化合物をイリド反応体と反応させて、アルケン含有生成物を製造する工程、
アルケン含有生成物を水素化して油状エステル生成物を製造する工程、
油状エステル生成物を加水分解し、アルコール生成物を製造する工程、及び
アルコール生成物を酸化して、以下の一般式のヒドリンダノン中間体化合物を製造する工程を含む、前記方法。
【化9】

【請求項22】
請求項1に記載の化合物
(式中、nは1であり、R1、R2及びR3は、それぞれ水素であり、
【化10】

は、
【化11】

である)の製造方法であって;
請求項21に記載のヒドリンダノン中間体化合物をリチウムホスフィノキシカルボアニオンとカップリングし、保護基を有するカップリングした生成物を製造する工程及び
保護基を加水分解する工程を含む、前記方法。
【請求項23】
請求項1に記載の化合物(式中、nは1であり、R1、R2及びR3は、それぞれ水素であり、
【化12】

は、
【化13】

である)の製造に使用するための、ヒドリンダノン中間体化合物の製造方法であって;
以下の一般式の出発化合物を提供する工程、
【化14】

出発化合物をイリド反応体と反応させてアルケン含有生成物を製造する工程、
アルケン含有生成物を水素化して油状エステル生成物を製造する工程、
油状エステル生成物を加水分解してアルコール生成物を製造する工程、及び
アルコール生成物を酸化して、以下の一般式のヒドリンダノン中間体化合物を製造する工程を含む前記方法:
【化15】

【請求項24】
請求項1に記載の化合物
(式中、nは1であり、R1、R2及びR3はそれぞれ水素であり、
【化16】

は、
【化17】

である)の製造方法であって;
請求項21に記載のヒドリンダノン中間体化合物をリチウムホスフィノキシカルボアニオンとカップリングし、保護基を有するカップリングされた生成物を製造する工程、及び
保護基を加水分解する工程を含む前記方法。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物
(式中、R1、R2又はR3の少なくとも一つはメチルであり、
【化18】

は、
【化19】

である)の製造方法であって;
以下の一般式の出発化合物を提供する工程:
【化20】

(式中、
【化21】

は、
【化22】

及び
【化23】

からなる群より選ばれるメンバーである)
出発化合物をニトリル化合物に変換する工程、
ニトリル化合物を以下の一般式の第一の反応体でアルキル化してアルキル化ニトリル生成物を製造する工程;
【化24】

(式中、nは整数の1〜3であり、ZはBr、Cl及びIからなる群より選ばれるメンバーであり、R1、R2又はR3の少なくとも一つはメチルである)、
アルキル化ニトリル生成物を加水分解してヒドロキシニトリル生成物を製造する工程、
ヒドロキシニトリル生成物を還元的に脱シアネート化し、エピマーアルコール生成物の混合物を製造する工程、
エピマーアルコール生成物の混合物を酸化して20S-ケトン生成物及び20R-ケトン生成物の混合物を製造する工程、
20S-ケトン及び20R-ケトン生成物を分離する工程、
20Rケトン生成物をリチウムホスフィノキシカルボアニオンとカップリングして保護基を有するカップリングされた20R生成物を製造する工程、及び
保護基を加水分解する工程を含む前記方法。
【請求項26】
nが1であり、ZがBrであり、R1及びR2がメチルであり、R3が水素である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1に記載の化合物
(式中、R1、R2又はR3の少なくとも一つがメチルであり、
【化25】

は、
【化26】

である)の製造方法であって;
以下の一般式の出発化合物を提供する工程:
【化27】

(式中、
【化28】

は、
【化29】

及び
【化30】

からなる群より選ばれるメンバーである)
出発化合物をニトリル化合物に変換する工程、
以下の一般式の第一の反応体でニトリル化合物をアルキル化して、アルキル化ニトリル生成物を製造する工程:
【化31】

(式中、nは整数の1〜3であり、ZはBr、Cl及びIからなる群より選ばれるメンバーであり、R1、R2又はR3の少なくとも一つはメチルである)、
アルキル化ニトリル生成物を加水分解してヒドロキシニトリル生成物を製造する工程、
ヒドロキシニトリル生成物を還元的に脱シアネート化してエピマーアルコール生成物の混合物を製造する工程、
エピマーアルコール生成物の混合物を酸化して、20S-ケトン生成物及び20R-ケトン生成物の混合物を製造する工程、
20S-ケトンと20R-ケトン生成物を分離する工程、
20S-ケトン生成物をリチウムホスフィノキシカルボアニオンとカップリングして保護基を有するカップリングされた20S生成物を製造する工程、
及び保護基を加水分解する工程を含む前記方法。
【請求項28】
nが1であり、ZがBrであり、R1及びR2がメチルであり、R3が水素である、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−532482(P2009−532482A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504306(P2009−504306)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/008525
【国際公開番号】WO2007/117563
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(500395761)ウイスコンシン アラムニ リサーチ ファンデーション (25)
【Fターム(参考)】