説明

1−(2−アルキル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−4−イル)−ピロリジン−3−イルアミンアシル化合物

本発明は新規1−(2−アルキル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルアミンアシル化合物、それらのメラトニン作用性障害の処置または予防における使用、およびその組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明はメラトニンレセプターに対し高い親和性を有する化合物の分野、特に1−(2−アルキル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−4−イル)−ピロリジン−3−イルアミン化合物、およびさらに特に1−(2−アルキル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−4−イル)−ピロリジン−3−イルアミンアシル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
(技術状態)
不眠症は非常にありふれた障害であって、成人人口の20〜40%が罹患しており、年配の人々で増加傾向を有する。不眠症は多くの原因によることができる。これらの原因の一つは睡眠−目覚めサイクルの正常な調節の乱れである。この非同期生は病的変化の結果であることができる。この作用を軽減するための強力な治療的処置はメラトニン作用性システム(melatonergic system)を調整することによって睡眠−目覚めサイクルを再同期化することからなる(Sun L.Q. et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2005, 15, 1345-49)。
【0003】
メラトニンは哺乳動物の松果体により分泌されるホルモンであって、夜間に産生され、身体における睡眠−目覚めサイクルの調整を助長し、また光周性情報および網膜生理学の調節に応答する。ヒトにおけるメラトニンの分泌は夜行性睡眠と同時的に生じ、メラトニンレベルの増加は夕方の傾眠の増加と関連する。身体が産生するメラトニンの量は加齢とともに減少し、これは年配の人々が一般の人々よりさらに頻繁に不眠症を患う理由を説明することができる。人におけるメラトニンの治療的使用は睡眠期後退症候群および時差ぼけの処置を包含し、また夜間労働者および催眠それ自体の処置を包含する。しかしながら、その短い半減期(分単位)はその治療的使用を限定する。メラトニンの合成およびその夜間分泌はスープラキアスマティック核(supraquiasmatic nucleus)によって制御され、また周囲の光によって同期化される(Osamu Uchikawa et al., J. Med. Chem.2002, 45, 4222-39; Pandi-Perumal et al., Nature Clinical Practice, 2007, 3(4), 221-228)。
【0004】
メラトニンレセプターは薬理学的プロフィールに基づきMT1、MT2およびMT3に分類されている。MT1レセプターは視床下部中枢神経系に局限化されるのに対し、MT2レセプターは中枢神経系および網膜に分布している。MT1レセプターおよびMT2レセプターの存在は末端レベルでも開示されている。MT1レセプターおよびMT2レセプターは数多くの症状、例えばうつ病、ストレス、睡眠障害、不安症、季節性感情障害、心臓血管系疾病、消化器系疾病、時差ぼけによる不眠または疲労、精神分裂症、パニック障害、メランコリー、食欲障害、肥満症、不眠症、精神病的障害、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老年性痴呆、通常の加齢または病的な加齢に付随する障害、偏頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病、および脳循環障害に含まれる。MT3レセプターはキノンレダクターゼ−2(QR2)酵素と相同性を有する特徴を有する。MT1およびMT2レセプターは、そのアゴニストによる刺激がアデニレートシクラーゼ活性の減少を生じさせ、引続いて細胞内cAMPの減少を生じさせるG−プロテイン−結合レセプター(G-Protein-coupled Receptor)(GPCR)に結合する。
【0005】
合成メラトニンレセプターアゴニストは最近の熱心な研究の目標であった。不眠症用の最初の用途に加え、中でも、これらは乱れた心拍の同期化、年配の人々における睡眠不調、季節性感情障害および時差ぼけに潜在的用途を有することができる。さらにまた、メラトニンレセプターアゴニストは人におけるメラトニンにより発生する低体温、低血圧または徐脈の全部を誘発しないことが示されている。
【0006】
ラメルテオン(ramelteon)、N−[2−[(8S)−1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド(US 6034239、例19および20)は、米国食品医薬局(US Food and Drug Administration)(FDA)において治療的使用が承認されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ラメルテオンの承認はメラトニン標的に関する証拠に対し重要なマイル標石を表しており、研究に新しい可能性を開いた。しかしながら、改善された性質、例えばメラトニンレセプターにより媒介される症状の改良された処置を提供するためのさらに持続する血漿レベルを有する新規化合物に対する要求が増大している。
【0008】
特許EP1189900B1およびSun L.Q.等、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2003), 13(24), 4381-4384は、メラトニン作用性活性を有する多くの1−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アミン化合物を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による化合物は2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン環の2位に特定のアルキル置換基を有することにより従来技術とは相違している。本発明による化合物はメラトニンレセプターにより媒介される全部の疾病の処置および予防に有用である。メラトニン作用性障害の幾つかの非限定的な例には、うつ病、ストレス、睡眠障害、不安症、季節性感情障害、心臓血管系疾病、消化器系疾病、時差ぼけによる不眠または疲労、精神分裂症、パニック障害、メランコリー、食欲障害、肥満症、不眠症、精神病性障害、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老年性痴呆、通常の加齢または病的な加齢に付随する障害、偏頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病および脳循環系障害がある。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、遊離の形態または医薬上で許容される塩、溶媒和物、水和物、およびエナンチオマー形態の一般式Iで表される1−(2−アルキル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−4−イル)−ピロリジン−3−イルアミンアシル化合物に関する:
【化1】


式中、
は水素およびハロゲンからなる群から選択され;
は直鎖状または分枝鎖状(1−6C)アルキルからなる群から選択され;
は1〜3個のFにより置換されていてもよい直鎖状または分枝鎖状(1−6C)アルキルおよび(3−6C)シクロアルキルからなる群から選択され;
ZはNHまたはOからなる群から選択され;および
nは0または1である。
【0011】
医薬上で許容される塩は哺乳動物などの患者に投与することができる塩(例えば、指定の投与計画に従い哺乳動物に安全に許容される塩)である。このような塩は医薬上で許容される無機および有機塩基および医薬上で許容される無機および有機酸から得ることができる。医薬上で許容される無機塩基から得られる塩はアンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄および第二鉄塩、リチウム、マグネシウム、第一マンガンおよび第二マンガン塩、カリウム、ナトリウム、アエン塩などを包含する。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩は特に好ましい。医薬上で許容される有機塩基から得られる塩は一級、二級および三級アミン塩(置換アミンを包含する)、環状アミン、天然アミンなど、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを包含する。医薬上で許容される酸から得られる塩は、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンホスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、エディシル酸(edisylic)、フマール酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸(lactobionic)、マレイン酸、リンゴ酸、マンデリン酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オロチン酸、パモ酸(pamoic)、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、キシナホイック酸(xinafoic)などを包含する。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、マレイン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、リン酸、硫酸および酒石酸は特に好適である。
【0012】
式Iで表される特定の化合物は下記化合物からなる群から選択される:
(i)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(ii)2,2,2−トリフルオロ−N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(iii)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド;
(iv)2−フルオロ−N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロパンアミド;
(v)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)ブチルアミド;
(vi)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)イソブチルアミド;
(vii)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)シクロプロパンカルボキシアミド;
【0013】
(viii)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)ペンタンアミド;
(ix)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)−2−メチルブタンアミド;
(x)メチル(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート;
(xi)エチル(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート;
(xii)1−エチル−3−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)尿素;
(xiii)N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(xiv)2,2,2−トリフルオロ−N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
【0014】
(xv)N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド;
(xvi)N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)イソブチルアミド;
(xvii)N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)シクロプロパンカルボキシアミド;
(xviii)3−メチル−N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)ブタンアミド;
(xix)N−((3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(xx)N−((3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド;および
(xxi)N−((3S)−1−(2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド;
ならびにその医薬上で許容される塩、溶媒和物、水和物、およびエナンチオマー。
【0015】
表1は各化合物に関連する置換基の意味を示す:
【表1】

【0016】
式Iから、本発明による化合物がそれらの構造内に少なくとも2個の不斉炭素原子を有する、すなわちR置換基を有する炭素原子およびピロリジン環の3位置に不斉炭素原子を有することは明白である。この中心の絶対配置は立体化学の記号RおよびSによって示される。別段の記載がないかぎり、化合物の化学名は全部の可能な立体化学上の異性体形態の混合物を表し、これらの混合物は基本分子構造の全部のジアステレオマーおよびエナンチオマーを含有する。式Iで表される化合物の立体化学異性体形態は本発明の範囲内に明白に包含される。
【0017】
本発明はもう一つの態様において、表1からの特定の化合物をメラトニン作用性障害の処置または予防用の医薬製品の製造に使用することにある。このメラトニン作用性障害はうつ病、ストレス、睡眠障害、不安症、季節性感情障害、心臓血管系疾病、消化器系疾病、時差ぼけによる不眠または疲労、精神分裂症、パニック障害、メランコリー、食欲障害、肥満症、不眠症、精神病性障害、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老年性痴呆、通常の加齢または病的な加齢に付随する障害、偏頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病および脳循環系障害から選択される。
【0018】
本発明のもう一つの態様は、表1からの特定の化合物および1種または2種以上の医薬上で許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供することにある。
【0019】
本発明のもう一つの態様は、上記医薬組成物のメラトニン作用性障害の処置または予防用の医薬製品の製造における使用を提供することにある。このメラトニン作用性障害はうつ病、ストレス、睡眠障害、不安症、季節性感情障害、心臓血管系疾病、消化器系疾病、時差ぼけによる不眠または疲労、精神分裂症、パニック障害、メランコリー、食欲障害、肥満症、不眠症、精神病性障害、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老年性痴呆、通常の加齢または病的な加齢に付随する障害、偏頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病および脳循環系障害から選択される。
【0020】
本発明のもう一つの態様は、有効量の表1からの特定の化合物を患者に投与することを含むメラトニン作用性障害の処置または予防方法を提供することにある。
【0021】
一般式Iで表される化合物は下記のとおりにして製造することができる:
i)式X:
【化2】


(式中、RおよびRは前記定義のとおりである)
で表される化合物を、a)式R−COClで表される酸クロライド;b)式R−O−COClで表されるクロロホーメート;およびc)式R−N=COで表されるイソシアネートからなる群から選択されるカップリング剤と反応させる(上記Rは前記定義のとおりである)。
ii)生成した式Iで表される化合物を遊離の形態または医薬上で許容される塩、溶媒和物、水和物およびエナンチオマーの形態で回収する。
【0022】
本発明による化合物はスキーム1に従い2−フルオロ−4−ニトロ−フェノール(R=Fの場合)から製造することができる。R=Hである本発明による化合物は同一スキームに従い市販されているN−(3−メトキシフェニル)ピバルアミド(IV、R=H)から製造することができる。最終工程は前記定義のとおりのR、R、Z、nおよびRの全部の意味の場合について一般化されて示されている。
【0023】
【化3】

【0024】
ニトロ基の還元および生成されたアニリンの保護により1−フルオロ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼンIIから出発し、化合物IVを得る。IVから生じたアニオンおよびBuLiを必要なエポキシドと反応させ、エチルヒドロキシ誘導体Vを生成する。ワンポットメトキシ分裂および閉環性エーテル形成によってベンゾフラン誘導体VIが生成される。ジアゾニウム塩媒介反応はフェノール誘導体VIIを生成させ、誘導体VIIはトリフレート誘導体VIIIへの活性化を受ける。このトリフレート誘導体を脱保護化される中間体化されたIXに対するブッチワルド(Buchwald)反応によってHClと反応させ、アミンXを生成する。最後に、Xを数種のカップリング剤と反応させ、一般構造式Iで表される最終生成物を得る。
【0025】
適当なカップリング剤は、a)式R−COClで表されるアシルクロライド、b)式R−O−COClで表されるクロロホーメート、およびc)式R−N=C=Oで表されるイソシアネートを含み、これにより式IにおいてR−(Z)n−がa)R(ここで、Rは直鎖状または分枝鎖状(1−6C)アルキル、(3−6C)シクロアルキル、CHFCHおよびCFを表す);b)OR(ここで、Rは前記定義のとおりである);およびc)NHR(ここで、Rは前記定義のとおりである)を表す式Iで表される化合物が得られる。
【0026】
工程(ii)で生成された化合物の有用な回収方法は当業者に知られている慣用の方法、例えば結晶化およびクロマトグラフィ法、キラル固定相を用いるクロマトグラフィ式分離によるラセミ体形態の分割および分別結晶化を包含する。この回収方法は特に、各エナンチオマーの分離、例えばキラル酸、例えば(+)−酒石酸、(−)−酒石酸、または(+)−10−カンホスルホン酸により形成されるジアステレオマーの分離を包含することができる。
【0027】
式Iで表される化合物はさらに長く持続する血漿レベルに維持され、従って長期間作用性であるという驚くべき利点を示す。これは、例えばラットに経口投与後の15分および60分の時点で血漿レベルを測定することによって証明することができ、本発明による化合物はさらに低い比値をもたらす。すなわち、Rがアルキル基であることを特徴とする式Iで表される化合物は、従来技術の化合物(EP1189900B1)、すなわちRが水素である化合物に比較し、さらに長く持続する血漿レベルを示す。他方で、本発明による化合物はさらに長い睡眠持続時間をもたらす。従って、本発明による化合物はさらに効果的な治療を可能にする:ゆっくりした排泄は無毒性の有効レベルにおける安定な血漿レベルの保持を促進し、および延長された期間にわたる効果は前記医薬により処置される対象に良好な追従をもたらすものと予想することができる。
【0028】
本発明による化合物を含む医薬組成物は経口、直腸および非経口投与(皮下、筋肉内および血管内経路を包含する)に適する組成物を包含するが、最適の経路は処置する病気の性質および重篤度に依存する。本発明による化合物の好適な投与経路はしばしば、経口である。
【0029】
活性成分は製薬用の慣用の調剤技術に従い1種または2種以上の調剤用賦形剤と混合することができる。調製する医薬形態に従い、数種の賦形剤を使用することができる。液状経口組成物(例えば、懸濁液、溶液、エマルジョン、エアロゾルおよび口腔洗浄剤など)には、例えば水、グリコール類、油類、アルコール類、風味増強剤、保存剤、着色剤などを使用することができる。固形経口組成物には、例えばデンプン類、糖類(例えば、乳糖、ショ糖およびソルビトールなど)、セルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび微結晶セルロースなど)、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ジカルシウム、ゴム類、コポピドン、表面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエートおよびポリエチレングリコールなど)、金属酸化物(例えば、二酸化チタンおよび酸化第二鉄など)、およびその他の調剤用希釈剤、例えば水が使用される。このようにして、本発明による化合物を含有する均質な予備組成物が生成される。
【0030】
予備組成物の場合、組成物は活性成分が組成物中に均一に分散されているように均質であり、従って錠剤、被覆錠剤、粉末およびカプセル剤などの均等な単位投与形態に分割することができる。
【0031】
錠剤およびカプセル剤は、それらの投与が容易であることから最も有利な経口用形態である。錠剤は所望により、水性または非水性の慣用の技術を用いて被覆することができる。被覆の形成には多数の材料を使用することができる。このような材料は多種のポリマー状酸および別種の成分、例えばセラック、セチルアルコールおよびセルロースアセテートなどとのそれらの混合物を包含する。
【0032】
本発明による化合物を経口投与用または注射投与用に配合することができる液体形態は水性溶液、液体またはゲルを充填したカプセル、風味増強剤を含有するシロップ、油中水性懸濁液および食用油(例えば、綿実油、ゴマ油、ココナツ油または落花生油など)により風味付けしたエマルジョン、ならびに口腔洗浄剤および類似の調剤用担体を包含する。水性懸濁液の調製に適する分散剤または懸濁剤は合成および天然ガム類、例えばトラガカント、アカシア、アルギネート類、デキストラン類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロジドンまたはゼラチンなどを包含する。
【0033】
使用される適当な投薬範囲はほぼ、一日あたり総投薬量が0.1〜500mgであり、さらに好ましくは一回投与または必要に応じて分離投与のどちらかで1mg〜100mgである。
【0034】
(発明の態様)
本発明を下記例によってさらに説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0035】
式IVで表される中間体の製造
N−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピバルアミド
工程1:4−フルオロ−3−メトキシアニリン
【化4】


ニトロ化合物II(6.5g、0.038mol)および鉄粉末(10.6g、0.19mol)を0°Cにおいてエタノール(90ml)に懸濁した。この反応混合物に濃HCl(120ml)を滴下添加した。反応混合物を20°Cにおいて18時間にわたり攪拌した。反応混合物を次いで、セライトに通して濾過し、次いでエタノールで反復洗浄した。次いで、エタノールを濃縮し、残留物を固形NaCOにより塩基性にした。次いで、酢酸エチルで抽出し、次いで水およびブラインで洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、次いで減圧で濃縮し、生成物を得た(5g、Y=93%)。HPLC−MS:純度97%、M+1=142.1。
【0036】
工程2:N−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピバルアミド
【化5】


化合物III(8.9g、0.063mol)を乾燥ジクロロメタン(DCM)(90ml)に溶解した。この反応混合物に20°Cにおいてピリジン(10.2ml)を滴下添加した。次いで、ピバロイルクロライド(8.3g、0.069mol)および4−ジメチルアミノピリジン(76mg、0.0006mol)を0°Cにおいて反応混合物に添加した。反応混合物を20°Cにおいて10時間にわたり攪拌した。溶媒を除去し、次いで残留物を水性クエン酸溶液で洗浄し、次いで酢酸エチルで抽出した。有機層をNaCOおよびブライン溶液で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、次いで減圧で濃縮し、粗製生成物を得た(13.7g、Y=96%)。この粗製生成物はさらに精製することなく次の工程で使用した。HPLC−MS:純度80%、M+1=226.2。
【0037】
式Vで表される中間体の製造
【化6】

【0038】
N−(4−フルオロ−2−(2−ヒドロキシプロピル)−3−メトキシフェニル)ピバルアミド
【化7】


N−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピバルアミド(2.4g、0.01mol)を0°Cにおいて窒素雰囲気下に乾燥テトラヒドロフラン(40ml)中に装入した。次いで、この反応混合物にn−BuLi(ヘキサン中1.2M溶液、23.3ml、0.028mol)を滴下添加した。反応混合物を0°Cにおいて2時間にわたり攪拌し、脱プロトン化を確実にした。プロピレンオキシド(1.18ml、0.0169mol)を0°Cにおいて滴下添加し、次いで0°Cにおいてさらに1時間にわたり攪拌した。反応混合物を次いで、10時間にわたり還流させた。その後、反応を室温まで冷却させ、次いでNHCl溶液により沈静化した。粗製生成物を次いで、酢酸エチルにより抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、最後に減圧で濃縮し、生成物を得た(350mg、Y=12%)。HPLC−MS:純度75%、M+1=284.3。
【0039】
N−(2−(2−ヒドロキシプロピル)−3−メトキシフェニル)ピバルアミド
【化8】


上記合成方法に従いN−(3−メトキシフェニル)ピバルアミドおよびプロピレンオキシドから表題の化合物を得た。Y=44%、HPLC−MS:純度80%、M+1=266.3。
【0040】
N−(2−(2−ヒドロキシブチル)−3−メトキシフェニル)ピバルアミド
【化9】


上記合成方法に従いN−(3−メトキシフェニル)ピバルアミドおよび2−エチルオキシランから表題の化合物を得た。Y=50%、HPLC−MS:純度88%、M+1=280.3。
【0041】
N−(2−(2−ヒドロキシペンチル)−3−メトキシフェニル)ピバルアミド
【化10】


上記合成方法に従いN−(3−メトキシフェニル)ピバルアミドおよび2−プロピルオキシランから表題の化合物を得た。Y=30%、HPLC−MS:純度80%、M+1=294.4。
【0042】
式VIで表される中間体の製造
【化11】

【0043】
7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−アミン
【化12】


N−(4−フルオロ−2−(2−ヒドロキシプロピル)−3−メトキシフェニル)ピバルアミド(1g、3.52mmol)および47%HBr(10ml)を密封管に装入し、次いで5分間かけて窒素をフラッシュした。反応混合物を100°Cにおいて16時間にわたり加熱した。その後、反応混合物を氷冷却した水中に注ぎ入れ、次いでNaHCOにより中和した。酢酸エチルを添加し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、次いで減圧で濃縮した。化合物VIa(400mg、Y=68%)をカラムクロマトグラフィによって単離した。HPLC−MS:純度95.33%、M+1=168.1。
【0044】
2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−アミン
【化13】


上記合成方法に従いN−(2−(2−ヒドロキシプロピル)−3−メトキシフェニル)ピバルアミドから表題の化合物を得た。Y=69%、HPLC−MS:純度93%、M+1=150.2。
【0045】
2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−アミン
【化14】


上記合成方法に従いN−(2−(2−ヒドロキシブチル)−3−メトキシフェニル)ピバルアミドから表題の化合物を得た。Y=49%、HPLC−MS:純度90%、M+1=164.2。
【0046】
2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−アミン
【化15】


上記合成方法に従いN−(2−(2−ヒドロキシペンチル)−3−メトキシフェニル)ピバルアミドから表題の化合物を得た。Y=30%、HPLC−MS:純度80%、M+1=178.2。
【0047】
式VIIで表される中間体の製造
【化16】

【0048】
7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−オール
【化17】


7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−アミン(69mg、0.41mmol)を濃HCl(0.18ml)および水(5ml)に装入した。この溶液を0°Cに冷却させた。NaNO(31mg、0.44mmol)の水性溶液を滴下添加した。反応混合物を100°Cにおいて10分間にわたり攪拌し、次いで予め100°Cに予備加熱されている濃HClと水との混合物(1:1)15ml中に滴下添加した。混合物を100°Cにおいてさらに5分間にわたり攪拌した。次いで、冷却させ、次いでNaCOで中和し、次いで酢酸エチルで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、次いで蒸発させ、最終生成物VIIaを得た(69mg、Y=99%)。HPLC−MS:純度99%、M+1=169.1。
【0049】
2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−オール
【化18】


上記合成方法に従い2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−アミンから表題の化合物を得た。Y=69%、HPLC−MS:純度89%、M+1=151.17。
【0050】
2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−オール
【化19】


上記合成方法に従い2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−アミンから表題の化合物を得た。Y=65%、HPLC−MS:純度82%、M+1=165.2。
【0051】
2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−オール
【化20】


上記合成方法に従い2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−アミンから表題の化合物を得た。Y=62%、HPLC−MS:純度78%、M+1=179.2。
【0052】
式VIIIで表される中間体の製造
【化21】

【0053】
7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート
【化22】


7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−オール(1.2g、7.13mmol)を窒素雰囲気下にDCM(90ml)に溶解した。次いで、ピリジン(1.15ml)を0°Cにおいて反応混合物に添加した。10分後、無水トリフリック酸(triflic anhydride)(1.44ml)を反応混合物にゆっくり添加し、次いで20°Cにおいて2時間にわたり攪拌した。その後、反応混合物に水(200ml)を添加し、次いでDCMで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、次いで減圧下に濃縮し、粗製生成物を得た(1.35g、Y=64%)。この生成物はさらに精製することなく次の合成工程で使用した。HPLC−MS:純度90%、M+1=301.2。
【0054】
2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート
【化23】


上記合成方法に従い2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−オールから表題の化合物を得た。Y=53%、HPLC−MS:純度95%、M+1=283.2。
【0055】
2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート
【化24】


上記合成方法に従い2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−オールから表題の化合物を得た。Y=60%、HPLC−MS:純度90%、M+1=297.2。
【0056】
2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート
【化25】


上記合成方法に従い2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−オールから表題の化合物を得た。Y=55%、HPLC−MS:純度87%、M+1=311.3。
【0057】
式IXで表される中間体の製造
【化26】

【0058】
tert−ブチル(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート
【化27】


Pd(OAc)(8.8mg、0.039mmol)および[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[ジフェニルホスフィン](BINAP)(37mg、0.058mmol)をN雰囲気下に乾燥トルエン(7ml)中に懸濁し、次いで混合物を脱気した。次いで、(S)−3−(Boc−アミノ)ピロリジン(60mg、0.326mmol)を反応混合物に添加した。次いで、CsCO(213mg、0.65mmol)を添加し、混合物を再度、脱気した。さらに10時間の攪拌後、トルエン中の7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イルトリフルオロメタン−スルホネート(98mg、0.32mmol)を添加し、反応混合物を一晩還流させた。その後、反応混合物を冷却させ、次いでセライトに通して濾過した。セライト床をEtOAcにより2回、洗浄した。有機層を次いで、蒸発させ、粗製生成物(100mg、Y=91%)をカラムクロマトグラフィによって精製した。HPLC−MS:純度96%、M+1=337.4。
【0059】
tert−ブチル(3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート
【化28】


上記合成方法に従い2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イルトリフルオロメタンスルホネートから表題の化合物を得た。Y=31%、HPLC−MS:純度95%、M+1=319.4。
【0060】
tert−ブチル(3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート
【化29】


上記合成方法に従い2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イルトリフルオロメタンスルホネートから表題の化合物を得た。Y=30%、HPLC−MS:純度93%、M+1=333.4。
【0061】
tert−ブチル(3S)−1−(2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート
【化30】


上記合成方法に従い2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イルトリフルオロメタンスルホネートから表題の化合物を得た。Y=30%、HPLC−MS:純度90%、M+1=347.4。
【0062】
式Xで表される中間体の製造
【化31】

【0063】
(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−アミン
【化32】


tert−ブチル(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート(1g、0.002mol)を乾燥DCM(20ml)に溶解した。そこにHClガスを15分かけて通し、次いで15分間にわたり攪拌しながら放置した。DCMを蒸発させ、粗製生成物をエーテルで洗浄した。最後に、粗製生成物をDCM−ヘキサン−エーテル混合物から結晶化させ、生成物(484mg、Y=69%)を得た。HPLC−MS:純度98%、M+1=237.3。
【0064】
(3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−アミン
【化33】


上記合成方法に従いtert−ブチル(3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメートから表題の化合物を得た。Y=100%、HPLC−MS:純度95%、M+1=219.3。
【0065】
(3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−アミン
【化34】


上記合成方法に従いtert−ブチル(3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメートから表題の化合物を得た。Y=98%、HPLC−MS:純度95%、M+1=233.3。
【0066】
(3S)−1−(2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−アミン
【化35】


上記合成方法に従いtert−ブチル(3S)−1−(2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメートから表題の化合物を得た。Y=85%、HPLC−MS:純度95%、M+1=247.4。
【発明を実施するための形態】
【0067】
(例)
(例1)
N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド
【化36】

【0068】
化合物Xa(133mg、0.56mmol)を窒素雰囲気下にDCM(20ml)に溶解した。EtN(2ml)を添加し、混合物を0°Cに冷却した。10分後、アセチルクロライド(0.04ml、0.56mmol)を添加した。その後、反応混合物を20°Cで12時間にわたり攪拌した。その後、溶媒を蒸発させた。水を添加し、次いで混合物をDCMで抽出した。有機層をNaHCOで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、次いで減圧下に濃縮した。粗製生成物をカラム精製に付し、最終生成物を得た(36mg、Y=22%)。HPLC−MS:
純度92%、M+1=279.3。
【0069】
(例2〜9)
N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)−カルボキシアミド
【化37】


化合物2〜9は例1に記載の合成に従い対応するアシルクロライドから得た。得られた結果を表2にまとめて示す。
【0070】
【表2】

【0071】
(例10)
メチル(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート
【化38】


例1に記載の合成方法に従いメチルクロロホルミエートおよび中間体Xaから表題の化合物を得た。Y=28%、HPLC−MS:純度94%、M+1=296.3。
【0072】
(例11)
エチル(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート
【化39】


例1に記載の合成方法に従いエチルクロロホルミエートおよび中間体Xaから表題の化合物を得た。Y=19%、HPLC−MS:純度91%、M+1=309.35。
【0073】
(例12)
1−エチル−3−(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)尿素
【化40】


例1に記載の合成方法に従いエチルイソシアネートおよび中間体Xaから表題の化合物を得た。Y=27%、HPLC−MS:純度96%、M+1=308.3。
【0074】
(例13〜18)
N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)−カルボキシアミド
【化41】


化合物13〜18は出発材料としてXaの代わりに(3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−アミンを使用し、例1に記載の合成に従い対応するアシルクロライドから得た。得られた結果を表2にまとめて示す。
【0075】
【表3】

【0076】
(例19)
N−((3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド
【化42】


化合物19は出発材料としてXaの代わりに(3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−アミンを使用し、例1に記載の合成に従いアセチルクロライドから得た。Y=60%。HPLC−MS:純度98%、M+1=275.3。
【0077】
(例20)
N−((3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド
【化43】


化合物20は出発材料としてXaの代わりに(3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−アミンを使用し、例1に記載の合成に従いプロピオニルクロライドから得た。Y=56%、HPLC−MS:純度95%、M+1=289.3。
【0078】
(例21)
N−((3S)−1−(2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド
【化44】


化合物21は出発材料としてXaの代わりに(3S)−1−(2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−アミンを使用し、例1に記載の合成に従いプロピオニルクロライドから得た。Y=31%。HPLC−MS:純度94.33%、M+1=303.4。
【0079】
(例22)
インビトロMT1スクリーニング
MT1レセプター上における化合物スクリーニングを行うために、組換えヒト−MT1レセプターの安定な過剰発現を特徴とする細胞系を使用した。この細胞系はミトコンドリアのアポエクオリン(mitochondrial apoaequorin)およびサブユニットGα16を共発現する。
【0080】
サブユニットGα16はGPCR超科に属し、細胞内シグナル変換はホスホリパーゼ(PLC)を経て発生される。PLCの活性化はイノシトール−トリホスフェートレベルおよび細胞内カルシウムレベルの増加を生じさせる。従って、このカルシウムレベルの増加は独立しており、またMT−1レセプターのシグナル変換と充分に互換性である。
【0081】
アポエクオリンはエクオリン、ホスホプロテインの不活性形態であり、活性形態への活性化には補欠分子疎水性基、コレンテラジン(colenterazine)が必要である。カルシウムに結合した後、エクオリンはコレンテラジンのコレンテラミドへの酸化、発光反応を行う。
【0082】
アゴニストスクリーニングに係わる分析計画は細胞およびコレンテラジンの一夜にわたる培養からなり、これはAequoScreen(登録商標)システム装置(PerkinElmer、米国)によって行われる。スクリーニングする化合物の溶液を含有するプレート上にこの混合物を注入し、発光を直ちに、読取った。アンタゴニズムスクリーニングの場合のみは、最初の注入の15〜30分後に対照アゴニストを同一ウエルに添加し、次いで発光を測定した。
【0083】
アゴニスト活性はEC100濃度における対照アゴニストに対する活性パーセンテージとして計算した。化合物のMT−1レセプターのアゴニズム%を表3にまとめて示す。
【表4】

【0084】
(例23)
薬物の血漿レベル
雄のスプラーグドーリーラットに3mg/kgを経口投与した後の15分および60分の時点で測定された薬物の血漿レベルは本発明による化合物について低い比値が得られた。これは従来技術による化合物に比較し、さらに長く持続する血漿レベルを示している。データ結果を表4にまとめて示す。
【表5】

【0085】
結論として、メラトニン作用性活性は、本発明による化合物が対照医薬とほぼ同一の活性を示すことを示す。しかしながら、それらの優れた医薬効果、例えばさらに長く持続する血漿レベルの観点から、新規化合物が臨床用医薬として非常に有用であることは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−(2−アルキル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−4−イル)−ピロリジン−3−イルアミンアシル化合物であって、下記化合物からなる群から選択される化合物:
(i)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(ii)2,2,2−トリフルオロ−N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(iii)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド;
(iv)2−フルオロ−N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロパンアミド;
(v)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)ブチルアミド;
(vi)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)イソブチルアミド;
(vii)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)シクロプロパンカルボキシアミド;
(viii)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)ペンタンアミド;
(ix)N−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)−2−メチルブタンアミド;
(x)メチル(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート;
(xi)エチル(3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イルカルバメート;
(xii)1−エチル−3−((3S)−1−(7−フルオロ−2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)尿素;
(xiii)N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(xiv)2,2,2−トリフルオロ−N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(xv)N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド;
(xvi)N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)イソブチルアミド;
(xvii)N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)シクロプロパンカルボキシアミド;
(xviii)3−メチル−N−((3S)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)ブタンアミド;
(xix)N−((3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)アセトアミド;
(xx)N−((3S)−1−(2−エチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド;および
(xxi)N−((3S)−1−(2−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−4−イル)ピロリジン−3−イル)プロピオンアミド;
ならびにその医薬上で許容される塩、溶媒和物、水和物、またはエナンチオマー形態。
【請求項2】
メラトニン作用性障害の処置または予防用の医薬製品の調製における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項3】
上記メラトニン作用性障害がうつ病、ストレス、睡眠障害、不安症、季節性感情障害、心臓血管系疾病、消化器系疾病、時差ぼけによる不眠または疲労、精神分裂症、パニック障害、メランコリー、食欲障害、肥満症、不眠症、精神病性障害、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老年性痴呆、通常の加齢または病的な加齢に付随する障害、偏頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病および脳循環系障害から選択される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物および1種または2種以上の医薬上で許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項5】
メラトニン作用性障害の処置または予防用の医薬製品の調製における請求項4に記載の医薬組成物の使用。
【請求項6】
上記メラトニン作用性障害がうつ病、ストレス、睡眠障害、不安症、季節性感情障害、心臓血管系疾病、消化器系疾病、時差ぼけによる不眠または疲労、精神分裂症、パニック障害、メランコリー、食欲障害、肥満症、不眠症、精神病性障害、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老年性痴呆、通常の加齢または病的な加齢に付随する障害、偏頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病および脳循環系障害から選択される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
有効量の1種または2種以上の請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含むメラトニン作用性疾病の処置または予防方法。
【請求項8】
メラトニン作用性疾病の処置または予防に使用するための請求項1に定義されている化合物。
【請求項9】
メラトニン作用性疾病がうつ病、ストレス、睡眠障害、不安症、季節性感情障害、心臓血管系疾病、消化器系疾病、時差ぼけによる不眠または疲労、精神分裂症、パニック障害、メランコリー、食欲障害、肥満症、不眠症、精神病性障害、てんかん、糖尿病、パーキンソン病、老年性痴呆、通常の加齢または病的な加齢に付随する障害、偏頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病および脳循環系障害から選択される、請求項8に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−530097(P2012−530097A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515437(P2012−515437)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058178
【国際公開番号】WO2010/145989
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(501108452)フエルレル インターナショナル,ソシエダッド アノニマ (39)
【Fターム(参考)】