説明

1以上の組み合わせ変異を含むプロテアーゼ

【課題】遺伝子組み換えされたプロテアーゼ変異体の分野において、悪条件に耐えることができ、かつ当該分野で現在知られている活性よりも改善された活性を保持しまたは獲得することができる酵素系の必要性が依然存在する。
【解決手段】本発明は、遺伝子組み換えされたプロテアーゼ変異体を提供する。特に、該プロテアーゼ変異体は、選択された表面位置における組み合わせ変異を含み、この組み合わせ変異は該酵素の電荷および/または疎水性に影響を与えて、得られた変異体酵素の選択された用途における少なくとも1の所望の特性を高める。該プロテアーゼ変異体を含む組成物および同を用いる方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年11月11日に出願された米国特許仮出願番号第61/113,545号および2009年6月19日に出願された米国特許仮出願番号第61/218,802号に基づく優先権を主張し、これらの双方は参照によって本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明は、遺伝子組み換えされたプロテアーゼ変異体を提供する。特に、該プロテアーゼ変異体は、選択された表面位置における組み合わせ変異を含み、この組み合わせ変異は該酵素の電荷および/または疎水性に影響を与えて、得られた変異体酵素の選択された用途における少なくとも1の所望の特性を高める。該プロテアーゼ変異体を含む組成物および同を用いる方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
セリンプロテアーゼは、広範囲の特異性および生物学的機能を有する多様な部類の酵素を含む、カルボニルヒドロラーゼの亜群である。多くの研究がスブチリシンについて、主に洗浄および飼料の用途におけるその有用性の故に実施されている。さらなる研究が、様々な用途におけるこれらの酵素の機能性を減退させることがある悪環境条件(たとえば、酸化剤、キレート剤、極端な温度および/またはpHへの曝露)に焦点を当てている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第95/07991号パンフレット
【特許文献2】国際公開第91/00345号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それにもかかわらず、当該分野において、これらの悪条件に耐えることができ、かつ当該分野で現在知られている活性よりも改善された活性を保持しまたは獲得することができる酵素系の必要性が依然存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遺伝子組み換えされたプロテアーゼ変異体を提供する。特に、該プロテアーゼ変異体は、選択された表面位置における組み合わせ変異を含み、この組み合わせ変異は該酵素の電荷および/または疎水性に影響を与えて、得られた変異体酵素の選択された用途における少なくとも1の所望の特性を高める。該プロテアーゼ変異体を含む組成物および同を用いる方法も提供される。
【0007】
1の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシン(Bacillus subtilisin)の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)スブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0008】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。
【0009】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0010】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。
【0011】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, A45Q, A45E, A45L, A45R, S101Q, S101E, S101L, S101R, N109Q, N109E, N109L, N109R, K213Q, K213E, K213L, K213R, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0012】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, A45Q, A45E, A45L, A45R, S101Q, S101E, S101L, S101R, N109Q, N109E, N109L, N109R, K213Q, K213E, K213L, K213R, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。
【0013】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S101Q-G118Q-T213Q, G118Q-T213Q, S24E-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24L-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-G118Q-T213Q, S24L- R45L-S101L-Q109L-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213L, S24R-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101R- G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q-L217QおよびS24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q-L217Eから選択された置換の組み合わせを含み、その位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0014】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、置換T213Qを含み、当該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0015】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, N109Q-N118Q-K213Q, N118Q-K213Q, S24E-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24L-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213L, S24R-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217QおよびS24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217Eから選択された置換の組み合わせを有し、その位置は配列番号1のBPN’スブチリシンの位置に対応する。
【0016】
他の実施態様では、プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、置換K213Qを含み、当該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0017】
他の実施態様では、本発明は上記のプロテアーゼ変異体のうちのいずれか1をコードする単離された核酸を提供する。
【0018】
他の実施態様では、本発明は上記のプロテアーゼ変異体のうちのいずれか1をコードする単離された核酸を含む発現ベクターを提供する。
【0019】
他の実施態様では、本発明は発現ベクターを含む宿主細胞であって、該発現ベクターが次なる順番として上記のプロテアーゼ変異体のうちのいずれか1をコードする単離された核酸を含む、宿主細胞を提供する。
【0020】
他の実施態様では、本発明は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含む洗浄組成物を提供し、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0021】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0022】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0023】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗浄組成物は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0024】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, A45Q, A45E, A45L, A45R, S101Q, S101E, S101L, S101R, N109Q, N109E, N109L, N109R, K213Q, K213E, K213L, K213R, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物はさらに、少なくとも1の安定剤を含む。
【0025】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S101Q-G118Q-T213Q, G118Q-T213Q, S24E-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24L-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-G118Q-T213Q, S24L- R45L-S101L-Q109L-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213L, S24R-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101R- G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q-L217QおよびS24Q-R45Q-S
101Q-G118Q-T213Q-L217Eから選択された置換の組み合わせを含み、その位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0026】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、置換T213Qを含み、当該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0027】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含む洗浄組成物を提供し、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, N109Q-N118Q-K213Q, N118Q-K213Q, S24E-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24L-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213L, S24R-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N11
8R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217QおよびS24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217Eから選択された置換の組み合わせを含み、その位置は配列番号1のBPN’ スブチリシンの位置に対応する。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。他の実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。さらに他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0028】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、置換K213Qを含み、当該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0029】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0030】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有し、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0031】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0032】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有し、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0033】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, A45Q, A45E, A45L, A45R, S101Q, S101E, S101L, S101R, N109Q, N109E, N109L, N109R, K213Q, K213E, K213L, K213R, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有し、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0034】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S101Q-G118Q-T213Q, G118Q-T213Q, S24E-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24L-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-G118Q-T213Q, S24L- R45L-S101L-Q109L-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213L, S24R-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101R- G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q-L217QおよびS24Q-R45Q-S
101Q-G118Q-T213Q-L217Eから選択された置換の組み合わせを含み、その位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0035】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、置換T213Qを含み、当該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0036】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, N109Q-N118Q-K213Q, N118Q-K213Q, S24E-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24L-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213L, S24R-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118R-K213R,
S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217QおよびS24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217Eから選択された置換の組み合わせを含み、その位置は配列番号1のBPN’スブチリシンの位置に対応し、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。他の実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。さらに他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0037】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のプロテアーゼ変異体を含み、該プロテアーゼ変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、置換K213Qを含み、当該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ該スブチリシン変異体は1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む。この追加の酵素または酵素誘導体は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ、またはこれらの混合物から選択される。ある実施態様では、この洗浄組成物は洗剤である。ある実施態様では、この洗剤は食器洗剤である。他の実施態様では、この洗剤はランドリー洗剤、たとえば重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である。あるいは他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1の安定剤をさらに含む。
【0038】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0039】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。
【0040】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0041】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。
【0042】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, A45Q, A45E, A45L, A45R, S101Q, S101E, S101L, S101R, N109Q, N109E, N109L, N109R, K213Q, K213E, K213L, K213R, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0043】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q, S24E, S24L, S24R, A45Q, A45E, A45L, A45R, S101Q, S101E, S101L, S101R, N109Q, N109E, N109L, N109R, K213Q, K213E, K213L, K213R, L217QおよびL217Eから選択された2以上の位置における2以上の置換を含み、該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられ、かつ0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する。
【0044】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S101Q-G118Q-T213Q, G118Q-T213Q, S24E-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24L-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-G118Q-T213Q, S24L- R45L-S101L-Q109L-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213L, S24R-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101R- G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q-L
217QおよびS24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q-L217Eから選択された置換の組み合わせを含み、その位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0045】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンGG36の単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、置換T213Qを含み、当該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0046】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, N109Q-N118Q-K213Q, N118Q-K213Q, S24E-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24L-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213L, S24R-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-
N109E-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217QおよびS24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217Eから選択された置換の組み合わせを含み、その位置は配列番号1のBPN’スブチリシンの位置に対応する。
【0047】
他の実施態様では、該洗浄組成物は少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント含み、該スブチリシン変異体は、バチルススブチリシンFNAの単離されたスブチリシン変異体の成熟型であり、該スブチリシン変異体はタンパク質分解活性を有し、置換K213Qを含み、当該位置は、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられる。
【0048】
他の実施態様では、本発明は、表面および/または布地を含む物品を上記の洗浄組成物のうちのいずれか1と接触させる工程、ならびに任意的に当該表面もしくは物品を洗いおよび/またはすすぐ工程を含む、洗浄する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】成熟型の親プロテアーゼGG36(配列番号4)およびFNA(配列番号7)とBPN’(配列番号1)とのアラインメントを示す図である。特に指定しない限り、置換位置はBPN’との関係で示される。
【図2】pH8.6におけるアミノ酸残基の置換についての電荷の変化を表す電荷変化マトリクスを示す表である。
【図3】アミノ酸残基の置換についての疎水性指標(hydropathicity)の変化を表すカイト−ドリトル(Kyte−Dolittle)の疎水性指標変化マトリクスを示す表である。このマトリクスから、親酵素と比較した変異体酵素の正味疎水性指標変化が容易に決定されることができる。
【図4】pAC−GG36ciの遺伝子地図である。
【図5】pAC−FNAreの遺伝子地図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、遺伝子組み換えされたプロテアーゼ変異体を提供する。特に、該プロテアーゼ変異体は、選択された表面位置における組み合わせ変異を含み、この組み合わせ変異は該酵素の電荷および/または疎水性に影響を与えて、得られた変異体酵素の選択された用途における少なくとも1の所望の特性を高める。該プロテアーゼ変異体を含む組成物および同を用いる方法も提供される。
【0051】
本明細書に示されるように、スブチリシンの電荷および/または疎水性に影響を与える置換を導入することは、少なくとも1の組み合わせ変異を含む酵素をもたらして、関心の対象である少なくとも1の特性を表す性能指数が親酵素の性能指数と比較するとそれが0.5超である性能指数を有する変異体プロテアーゼを提供する。組み合わせ変異は、様々な用途における少なくとも1の所望の酵素特性を表す性能指数を高める働きをする。関心の対象である特性は、電荷、疎水性、溶解度、洗浄性能、たとえば布地および/または硬質表面からの染みの除去、熱安定性、貯蔵安定性、洗剤安定性、基質結合性、酵素阻害性、発現レベル、反応速度および基質分解を含むが、これらに限定されない。ある実施態様では、関心の対象である特性は、電荷、疎水性、発現レベル(TCA PI)および洗浄性能、たとえば染みの除去(BMI PI)から選択された1以上の特性である。本明細書ではプロテアーゼならびに血液、ミルクおよびインクの染み(BMI)に関して記載されているけれども、本発明のプロテアーゼ変異体は、用途、たとえば洗浄用途によって決められる任意の様々な反応媒体中における任意の酵素−基質相互作用について最適化されることが意図されている。
【0052】
これまで、優れたタンパク質を開発する努力は、表面への酵素の結合を最小限にすることに焦点が当てられていた。たとえば、ある方法はスブチリシン配列を変えて、不溶性基質への吸着が減少された変異体酵素を得ることに関わるものであった(たとえば、国際公開第95/07991号参照)。他の研究方法では、規定のpHにおいてゼロの正味電荷を有する変異体酵素を得るために、スブチリシンのpIが変えられた(たとえば、国際公開第91/00345号参照)。しかし、本発明の開発の間に見つけ出されたように、これらの研究方法は常に成功するわけではない。本発明の開発の過程で、酵素の表面特性は一般に、表面電荷および/または疎水性の変化の関数として決定される最適値を有することが見つけ出された。通常は極めて活性である酵素についてさえ、表面特性は、ある条件下およびある基質との反応では、他の条件下および他の基質との反応よりも全反応がはるかに遅くなる原因となることがある。ある実施態様では、本発明は、変異体プロテアーゼ酵素上の1以上のアミノ酸の性質を変えることによって得られた修飾された表面特性を含む変異体プロテアーゼを提供する。これらの変化が、いずれの他のアミノ酸とも相互作用をせずまた酵素の機能に必要でない表面上の部位で起きるときは、そのタンパク質の特性は、本明細書に記載されたような位置で置換されたアミノ酸の特性に基づいて予測される。
【0053】
部位は構造データから容易に同定され、あるいは代わりに相同配列アラインメント、部位評価ライブラリーデータおよび/またはこれらの任意の組み合わせが用いられる。アミノ酸評点マトリクス(たとえば、図1)および/または疎水性尺度(たとえば、図2)が、アミノ酸の1または複数の置換を導くのに、およびこの置換されたアミノ酸の特性と相関付けられるタンパク質のこれらの物理的特性を同定するために用いられる。
定義
【0054】
特に示されない限り、本発明の実施は、分子生物学、微生物学および組み換えDNAにおいて通常用いられる従来技術であって、当業者の技能の範囲内であるものを含む。かかる技術は当業者に知られており、当業者に周知の多数の教科書および参考文献に記載されている。本明細書で上記されたものおよび下記されるものの双方の全ての特許、特許出願、論文および刊行物は、参照によって本明細書にここで明示的に取り込まれる。
【0055】
本明細書で他様に規定されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が関わる技術分野の当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法および物質と類似のまたは同等の任意の方法および物質が本発明の実施に用いられ、好ましい方法および物質の一部が本明細書に記載される。したがって、この直ぐ下に定義された用語は、本明細書全体を参照することによってより完全に説明される。
【0056】
また、本明細書で用いられる単数の「一つの(aおよびan)」および「その(the)」は、文脈が他様に明示的に示さない限り複数への言及をも包含する。数値範囲はその範囲を規定する数値を包含する。他様に示されない限り、核酸は左から右に5’から3’の方向に、アミノ酸配列は左から右にアミノ基からカルボキシ基の方向に、それぞれ書かれる。本発明は記載された特定の方法、手順および試薬に限定されないことが理解されなければならない。というのは、これらのものが当業者によって用いられる文脈に応じてこれらのものは変わりうるからである。
【0057】
本明細書の全体を通して示される全ての最大数値限定は全てのそれより小さい数値限定を、あたかもかかる、より小さい数値限定が本明細書に明示的に書かれているかのように包含することが意図される。本明細書の全体を通して示される全ての最小数値限定は全てのそれより大きい数値限定を、あたかもかかる、より大きい数値限定が本明細書に明示的に書かれているかのように包含する。本明細書の全体を通して示される全ての数値範囲は、かかる、より広い数値範囲内に含まれる全てのそれより狭い数値範囲を、あたかもかかる、より狭い数値範囲が本明細書に全て明示的に書かれているかのように包含する。
【0058】
さらにまた、本明細書に示された見出しは本発明の様々な側面または実施態様の限定ではなく、本明細書全体を参照することによって理解されることができる。したがって、直ぐ下に定義された用語は本明細書全体を参照することによってより完全に定義される。それにもかかわらず、本発明の理解を容易にするために多数の用語が以下に定義される。
【0059】
本明細書で用いられる「性能指数(PI)」の語は、所与のアッセイにおける変異体酵素の性能と親または参照酵素の性能との比をいう。洗浄性能を表すPIは本明細書では血液、ミルクおよびインクの染み(BMI)を除く性能として提示され、BMI PI値として示される。発現レベル性能を表すPIは本明細書ではトリクロロ酢酸(TCA)沈殿によって測定された生成タンパク質のレベルとして提示され、TCA PI値として示される。
【0060】
本明細書で用いられる「組み合わせ変異」とは、突然変異を含む変異体が少なくとも1の特性について、0.5よりも大きい性能指数(PI)値を有するような突然変異である。組み合わせ変異は、1以上の所望の特性について適切な性能指数を有するタンパク質を生み出すために組み合わされることができる突然変異であり、電荷および/または疎水性の変化を有する。突然変異が起きる位置は以下のように分類される。すなわち、非制限位置は少なくとも1の特性について20%に等しい中立突然変異を有し、制限位置は活性および安定性について20%より小さい中立突然変異を有する。
【0061】
「単離され」または「精製され」の語は、その物質の元の環境(たとえば、それが天然に存在するものであれば、その天然の環境)から取り出される物質をいう。たとえば、その物質が天然に存在する有機体もしくは野生型の有機体中に存在するよりも、または天然に存在する有機体もしくは野生型の有機体から発現した後、通常は存在しない成分と組み合わされて存在するよりも、高いまたは低い濃度で特定の組成物中に存在するとき、その物質は「精製され」たといわれる。たとえば、生きている動物中に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、天然の系中の共存物質の一部もしくは全てから分離されたその同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されている。ある実施態様では、かかるポリヌクレオチドがベクターの一部であり、および/またはかかるポリヌクレオチドもしくはポリペプチドが組成物の一部であっても、かかるベクターもしくは組成物がその天然環境の一部ではないという点において、かかるポリヌクレオチドまたはポリペプチドはやはり単離されていることになる。好まれる実施態様では、核酸またはタンパク質は、たとえばそれが電気泳動ゲルまたはブロット中に本質的に1のバンドを生じるならば、精製されているといわれる。
【0062】
「単離され」の語は、DNA配列に関して用いられるときは、その天然の遺伝子環境から取り出され、したがって他の外来または不要のコード配列を含まず、かつ遺伝子操作されたタンパク質産生系内での使用に適した形態をしているDNA配列をいう。かかる単離された分子はその天然環境から分離された分子であり、cDNAおよび遺伝子クローンを含む。本発明の単離されたDNA分子は、それが通常、結合している他の遺伝子を含まないが、天然に存在する5'および3'の非翻訳領域、たとえばプロモーターおよびターミネーターを含んでいてもよい。結合領域の特定は当業者には明白であろう(たとえば、DynanおよびTijan, Nature, 316:774-78 [1985]参照)。「単離されたDNA配列」の語は、あるいは「クローン化DNA配列」とも呼ばれる。
【0063】
「単離され」の語は、タンパク質に関して用いられるときは、その天然の環境以外の状態中に見出されるタンパク質をいう。好まれる形態では、単離されたタンパク質は他のタンパク質、特に他の相同タンパク質を実質的に含まない。単離されたタンパク質はSDS-PAGEによって測定されて約10%超純度が高く、好ましくは約20%超純度が高く、さらにより好ましくは約30%超純度が高い。本発明のさらなる側面は、SDS-PAGEによって測定された高い純度の形をした(すなわち、約40%超純度が高く、約60%超純度が高く、約70%超純度が高く、約80%超純度が高く、約90%超純度が高く、約95%超純度が高く、約97%超純度が高く、さらに約99%超純度が高い) タンパク質を含む。
【0064】
本明細書で用いられる「親」タンパク質とは、修飾されたタンパク質、たとえば1以上のアミノ酸置換を導入することによって修飾されてその親タンパク質の1以上の変異体を生成するタンパク質をいう。したがって、「プロテアーゼ変異体」および「変異体プロテアーゼ」の語は、変異体プロテアーゼに、特にその機能において変異体プロテアーゼに類似するが、そのアミノ酸配列に変異を有する親プロテアーゼに関して用いられ、そのアミノ酸配列の変異は1〜20個のアミノ酸の位置において親プロテアーゼとは配列の違いを生じる。典型的な親プロテアーゼの成熟領域のアミノ酸配列が、図1のアラインメントに示される。FNA(配列番号7)およびGG36(配列番号4)は成熟親プロテアーゼであり、これらは1以上の組み合わせ置換を含むように修飾されており、本発明の変異体プロテアーゼを生じる。GG36は野生型バチルスレンタス(Bacillus lentus)プロテアーゼであり、FNAはY217L置換を含むバチルスアミロリクエファシエンスBPN'プロテアーゼである。
【0065】
本明細書で用いられる「プロテアーゼ」および「タンパク質分解活性」の語は、ペプチドまたはペプチド結合を有する基質を加水分解する能力を示すタンパク質またはペプチドをいう。タンパク質分解活性を測定するための多くの周知の方法が存在する(Fiechter (編), Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology, [1988]中のKalisz,「微生物プロテイナーゼ(Microbial Proteinases)」)。たとえば、タンパク質分解活性は、市販の基質を加水分解する各プロテアーゼの能力を分析する比較アッセイによって確認されることができる。プロテアーゼまたはタンパク質分解活性の分析に有用な典型的な基質は、ジメチルカゼイン(Sigma社C-9801), 牛コラーゲン(Sigma社C-9879), 牛エラスチン(Sigma社E-1625)および牛ケラチン(ICN Biomedical社902111)を含むが、これらに限定されるものではない。これらの基質を用いる熱量アッセイは当該分野で周知である(たとえば、国際公開第99/34011号および米国特許第6,376,450号参照。これらの双方とも参照によって本明細書に取り込まれる。)。pNAアッセイ(たとえば、Del Marら、Anal. Biochem., 99:316-320 [1979]参照)も、傾斜溶離の間に集められた画分の活性酵素濃度の測定に用いられる。このアッセイは、酵素が可溶性合成基質であるスクシニル−アラニン−アラニン−プロリン−フェニルアラニン−pニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)を加水分解するときにp−ニトロアニリンが放出される速度を測定する。加水分解反応による黄色の生成速度が分光光度計で410 nmにおいて測定され、これは活性酵素濃度に比例する。さらに、280 nmにおける吸光度測定が全タンパク質濃度を測定するために用いられることができる。活性酵素/全タンパク質の比は、酵素の純度を示す。
【0066】
本明細書で用いられる「スブチリシン」の語は、MEROPOPS−ペプチダーゼデータベース(MEROPS - The Peptidase Data base)(Rawlingsら, MEROPS: the peptidase database, Nucleic Acids Res, 34 Database issue, D270-272, 2006、ウェブサイトではmerops.sanger.ac.uk/cgi-bin/merops.cgi?id=s08;action=.)に記載されたS8セリンプロテアーゼ科の任意の構成員をいう。以下の情報が2008年11月6日時点のMEROPOPS−ペプチダーゼデータベースから得られた。すなわち、「ペプチダーゼS8科はセリンエンドペプチダーゼスブチリシンおよびその相同体を含む(Biochem J, 290:205-218, 1993)。」。S8科はスブチラーゼ(subtilase)科としても知られ、セリンペプチダーゼの中の2番目に大きい科であり、これは2の亜科に分けられることができ、S8A亜科の典型例であるスブチリシン(S08.001)およびS8B亜科の典型例であるケキシン(kexin) (S08.070)を含む。トリペプチジルペプチダーゼII(TPP-II; S08.090)は以前には第3の亜科の典型例と考えられていたが、その後、誤って分類されたものと決定された。S8科の構成員は配列中にAsp、HisおよびSerの順番の触媒的三つ組を有し、これはS1、S9およびS10科のそれとは異なる順番である。S8A亜科では、活性部位残基はしばしばモチーフAsp-Thr/Ser-Gly(これはAAクラン(clan)中のアスパラギン酸エンドペプチダーゼ科の中の配列モチーフに類似している。)、His-Gly-Thr-HisおよびGly-Thr-Ser-Met-Ala-Xaa-Pro中に生じる。S8B亜科では、触媒残基はしばしばモチーフAsp-Asp-Gly、His-Gly-Thr-Arg、His-Gly-Thr-HisおよびGly-Thr-Ser-Ala/Val-Ala/ Ser-Pro中に生じる。S8科のほとんどの構成員はエンドペプチダーゼであり、中性〜弱アルカリ性のpHにおいて活性である。この科の中の多くのペプチダーゼは熱安定性である。カゼインはしばしばタンパク質基質として用いられ、典型的な合成基質はsuc-AAPFである。この科のほとんどの構成員は、疎水性残基の後で開裂する傾向を有する非特異性ペプチダーゼである。しかし、S8B亜科の構成員、たとえばケキシン(S08.070)およびフリン(S08.071)は二塩基アミノ酸の後で開裂する。S8科のほとんどの構成員は、一般的なセリンペプチダーゼ阻害剤、たとえばDFPおよびPMSFによって阻害される。この科の多くの構成員は安定のためにカルシウムと結合するので、EDTAおよびEGTAでは阻害が認められることがあり、これらはしばしば金属ペプチダーゼの特異性阻害剤であると考えられる。タンパク質阻害剤は、シチメンチョウオボムコイド(turkey ovomucoid)第3ドメイン(101.003)、ストレプトマイセス(Streptomyces)スブチリシン阻害剤(116.003)、ならびに113科の構成員、たとえばエグリン(eglin) C (113.001) および大麦阻害剤CI-1A (113.005)を包含し、これらの多くはキモトリプシン(chymotrypsin) (S01.001)も阻害する。スブチリシンプロペプチド(propeptide)はそれ自体阻害性であり、サッカロマイセス(Saccharomyces)由来の相同プロテイナーゼB阻害剤はセレビシン(cerevisin) (S08.052)を阻害する。S8科のいくつかの構成員の三次構造が今、決定された。典型的なS8タンパク質構造は、2層のらせんの間に挟まれた7本鎖のβシートを有する3層からなる。スブチリシン(S08.001)はクランSB(SB)の型構造である。異なる構造にもかかわらず、スブチリシンとキモトリプシン(S01.001)との活性部位は重ね合わされることができ、このことはこの類似性が分岐進化よりもむしろ収束進化の結果であることを示唆する。
【0067】
本明細書で用いられる「バチルス」および「バチルス属(genus Bacillus)」の語は当業者に知られている「バチルス」属内の全ての種を包含し、以下のものに限定されることなく、バチルススブチリス(Bacillus subtilis)、バチルスリケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルスレンタス(Bacillus lentus)、バチルスブレビス(Bacillus brevis)、バチルスステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルスアルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルスクラウシ(Bacillus clausii)、バチルスハロジュランス(Bacillus halodurans)、バチルスメガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、バチルスシルクランス(Bacillus circulans)、バチルスラウタス(Bacillus lautus)、バチルスツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)を含む。Bacillus属は分類上の再編成を受け続けていると認識されている。したがって、この属は再分類された種を含むことが意図されており、以下のものに限定されることなく、バチルスステアロテルモフィルスのような有機体を含み、これは現在「ゲオバチルスステアロテルモフィルス(GeoBacillus stearothermophilus)」と命名されている。酸素の存在下に耐性の内生胞子を産生することがバチルス属を定義する特徴と考えられる。もっとも、この特徴は最近命名されたアリシクロバチルス(AlicycloBacillus)、アンフィバチルス(AmphiBacillus)、アネウリニバチルス(AneuriniBacillus)、アノキシバチルス(AnoxyBacillus)、ブレビバチルス(BreviBacillus)、 フィロバチルス(FiloBacillus)、グラシリバチルス(GraciliBacillus)、ハロバチルス(HaloBacillus)、パエニバチルス(PaeniBacillus)、サリバチルス(SaliBacillus)、テルモバチルス(ThermoBacillus)、ウレイバチルス(UreiBacillus)およびビルギバチルス(VirgiBacillus)にも当てはまる。
【0068】
「タンパク質」および「ポリペプチド」の語は本明細書では互換的に用いられる。生化学命名法に関するIUPAC-IUB共同委員会(JCBN)に準拠して規定されたアミノ酸を表す3文字コードがこの明細書全体を通して用いられる。また、遺伝子コードの縮重性の故に、ポリペプチドは1より多いヌクレオチド配列によってコードされることができるものと理解される。
【0069】
「プロ配列」とは、シグナル配列とプロテアーゼの成熟領域との間のアミノ酸配列である。プロ配列は成熟過程の間に解裂し、活性な成熟型のプロテアーゼの産生をもたらす。
【0070】
「シグナル配列」または「シグナルペプチド」の語は、成熟型または前駆体型のタンパク質の分泌に関与するヌクレオチドおよび/またはアミノ酸の任意の配列をいう。シグナル配列のこの定義は機能的なものであり、タンパク質遺伝子のN末端部分によってコードされるような全てのアミノ酸配列を含むことが意図され、これらのアミノ酸配列はタンパク質の分泌の遂行に関与する。これらのアミノ酸配列はしばしば、しかし普遍的というわけではなく、タンパク質のN末端部分または前駆体タンパク質のN末端部分に結合される。シグナル配列は内因性であることも外因性であることもある。シグナル配列は、通常、タンパク質(たとえば、プロテアーゼ)に結合されたものであることもあり、または他の分泌されるタンパク質をコードする遺伝子に由来することもある。1の典型的な外因性シグナル配列は、バチルススブチリススブチリシン由来のシグナル配列の最初の7個のアミノ酸残基がバチルスレンタス由来のスブチリシンのシグナル配列の残部に融合されたものを含む(ATCC 21536)。
【0071】
「ハイブリッドシグナル配列」の語は、配列の一部が、発現されるべき遺伝子のシグナル配列に融合された発現宿主から得られるシグナル配列をいう。ある実施態様では、合成配列が用いられる。
【0072】
「成熟」型のタンパク質またはペプチドの語は、最終的に機能する型のタンパク質またはペプチドをいう。典型例を挙げると、本発明で提供される成熟型のFNAプロテアーゼは配列番号7のアミノ酸配列を含み、他方、成熟型のGG36プロテアーゼは配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0073】
本明細書の「プレカーサー」の語は、成熟タンパク質のアミノまたはカルボニル末端に機能しうるように連結されたプロ配列を有するタンパク質またはペプチドの型をいう。典型例を挙げると、配列番号3および6は、それぞれ、成熟したGG36(配列番号4)およびFNA(配列番号7)のプレカーサーの配列である。プレカーサーはまたプロ配列のアミノ末端に機能しうるように連結された「シグナル」配列を有することもある。プレカーサーはまた翻訳後活性に関係する追加のポリヌクレオチドを有することもある(たとえば、それから開裂されたポリヌクレオチドは成熟型のタンパク質またはペプチドを残す)。
【0074】
「天然に存在する酵素」および「天然に存在するタンパク質」とは、天然に見出されるアミノ酸配列と同一の、修飾されていないアミノ酸配列を有する酵素またはタンパク質をいう。天然に存在する酵素は、天然の酵素、すなわち特定の微生物中に自然に発現されまたは見出されるような酵素を含む。
【0075】
「に由来し(derived from)」および「から得られ(obtained from)」の語は、関心の対象である有機体の株から産生された、または産生されうる酵素(たとえば、プロテアーゼ)のみならず、かかる株から単離されかかるDNA配列を含む宿主有機体中で産生されたDNA配列によってコードされた酵素をもいう。さらに、この語は、合成および/またはcDNA由来のDNA配列によってコードされ、関心の対象である酵素の識別できる特性を有する酵素をいう。
【0076】
この定義の範囲内で「誘導体」とは、一般にその誘導体が、野生型、天然または親の型と同様の目的に有用である限度において、その野生型、天然または親の型において観察される特徴的なタンパク質分解活性を保有する。機能性酵素誘導体は、親酵素の全般的な特徴を有する天然の、合成のまたは遺伝子組み換えによって産生されたペプチドもしくはペプチド断片を含む。
【0077】
本明細書で用いられる「との対応によって」とは、タンパク質またはペプチド中の番号を付けられた位置にある残基のことをいう。
【0078】
本明細書で用いられる「置換され」および「置換」とは、親配列中の1以上のアミノ酸残基または核酸塩基の置き換えをいう。ある実施態様では、置換は天然に存在する残基又は塩基の置き換えを含む。ある実施態様では、2以上のアミノ酸が置換されて、アミノ酸置換の組み合わせを含む変異体プロテアーゼが生成される。ある実施態様では、置換の組み合わせは置換が行われるアミノ酸の位置によって表示される。たとえば、E6A-E30Gによって示される組み合わせは、位置6にあるグルタミン酸(E)がアラニン(A)によって、および位置30にあるグルタミン酸(E)がグリシン(G)によって置換されることを意味する。アミノ酸の位置はスブチリシンBPN'(配列番号1)の成熟領域中の番号を付けられた位置との対応によって示される。
【0079】
本明細書の「2以上の位置における置換」の句は、同じタンパク質中で行われる2以上の置換の組み合わせをいう。したがって、「2以上の位置における置換」とは、2、3、4、5、6および7個のアミノ酸置換のうちのいずれか一つをいう。
【0080】
本明細書で用いられる「発現カセット」および「発現ベクター」の語は、ある標的細胞中の特定の核酸の転写を可能にする一連の特定された核酸要素(nucleic acid element)を有する、組み換え的にまたは合成的に生成された核酸構築体をいう。組み換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルスまたは核酸断片中に組み込まれることができる。典型的には、発現ベクターの組み換え発現カセット部分は、いくつかある配列の中でも特に、転写されるべき核酸配列およびプロモーターを含む。好ましい実施態様では、発現ベクターは宿主細胞中に非相同DNA断片を組み込みそして発現する能力を有する。多くの原核生物および真核生物の発現ベクターが商業的に入手可能である。適切な発現ベクターの選択は当業者の知識の範囲内である。「発現カセット」の語は、本明細書では「DNA構築体」およびその文法的同義語と互換的に用いられる。適切な発現ベクターの選択は当業者の知識の範囲内である。
【0081】
本明細書で用いられる「ベクター」の語は、核酸を1以上の細胞型中に導入するように設計されたポリヌクレオチド構築体をいう。ベクターは、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、カセット等を包含する。ある実施態様では、ポリヌクレオチド構築体は、適当な宿主中でDNAの発現を遂行することのできる適当なプロ配列(たとえば、分泌腺など)に機能しうるように連結されたプロテアーゼ(たとえば、プレカーサーまたは成熟プロテアーゼ)をコードするDNA配列を含む。
【0082】
本明細書で用いられる「プラスミド」の語は、クローニングベクターとして用いられる環状二重鎖(ds)DNA構築体をいい、このプラスミドはある真核生物もしくは原核生物中では染色体外自己複製遺伝子要素を形成し、または宿主染色体に一体化する。
【0083】
本明細書で用いられる「宿主株」または「宿主細胞」の語は、本発明に従うDNAを含む発現ベクターに適した宿主をいう。
【0084】
本明細書で用いられる「洗浄組成物」および「洗浄配合物」とは、洗浄されるべき品目、たとえば布地、食器、コンタクトレンズ、他の固形基材、毛髪(シャンプー)、皮膚(石けんおよびクリーム)、歯(マウスウォッシュ、練り歯磨き)等から望ましくない化合物を除くのに用いられる組成物をいう。これらの語は、所望の特定のタイプの洗浄組成物および製品の形態(たとえば、液体、ゲル、顆粒、粉末またはスプレー組成物)のために選択される任意の素材/化合物を包含する。洗浄組成物の素材の具体的な選択は、洗浄されるべき表面、品目または布地、および使用時の洗浄条件に適した該組成物の所望の形態を考慮することによって容易に行われる。
【0085】
これらの語は、任意の物体および/もしくは表面の洗浄、漂白、殺菌ならびに/または消毒に適した任意の組成物をいう。これらの語は、以下のものに限定されることなく、洗浄組成物(たとえば、液状および/または固形ランドリー洗剤ならびにきめ細かい布地用洗剤;硬質表面洗浄配合物、たとえばガラス、木材、セラミックおよび金属カウンター甲板ならびに窓用のもの;カーペット洗剤;オーブン洗剤;布地消毒剤;布地柔軟剤;織物予備染み抜き剤およびランドリー予備染み抜き剤、ならびに食器洗剤)を含むことが意図される。
【0086】
実際に、本明細書で用いられる「洗浄組成物」の語は、特に指定のない限り、乾燥状態の、たとえば、顆粒状または粉末状の汎用もしくは重質の洗い剤、とりわけ洗浄洗剤;液状、ゲル状またはペースト状の汎用洗い剤、とりわけいわゆる重質液状(HDL)タイプ;きめ細かい織物用液状洗剤;食器手洗い洗剤または軽質食器洗い機洗剤、とりわけ高泡立ちタイプのもの;食器洗い機洗剤、たとえば家庭用及び業務用の様々な錠剤型、顆粒状、液状およびすすぎ補助タイプのもの;液状洗剤および殺菌剤、たとえば抗菌性手洗いタイプ、棒状石鹸、マウスウォッシュ、義歯洗浄剤、自動車またはカーペット用シャンプー、浴室洗剤;ヘアシャンプーおよびヘアリンス;シャワーゲルおよび泡バスおよび金属洗浄剤;ならびに洗浄補助剤、たとえば漂白添加剤および「ステインスティック(stain-stick)」または前処理タイプのものを含む。
【0087】
本明細書で用いられる「布地洗浄組成物」とは、手洗いおよび機械洗いランドリー洗剤組成物、たとえばランドリー添加剤組成物ならびに染みの付いた布地(たとえば、衣類、リネンおよび他の織物素材)の浸漬および/または前処理に用いるのに適した組成物を含む。
【0088】
本明細書で用いられる「非布地洗浄組成物」とは、非織物(すなわち、非布地)表面洗浄組成物、たとえば以下のものに限定されることなく、食器洗い洗剤組成物、口腔洗浄組成物、義歯洗浄組成物およびパーソナルケア洗浄組成物を含む。
【0089】
本明細書で用いられる「洗剤組成物」および「洗剤配合物」の語は、汚れた物体を洗浄するための洗い媒体中で用いることを意図された混合物に関して用いられる。好まれる実施態様では、これらの語は、食器、カトラリー等(たとえば、「食器洗剤」または「食器洗い機洗剤」)を洗浄するために用いられる洗剤に関して用いられる。本発明は何らかの特定の洗剤配合物または組成物に限定されることを意図していない。実際、本発明の少なくとも1のプロテアーゼを含有する洗剤に加えて、これらの語が界面活性剤、1または複数のトタンスフェラーゼ、加水分解酵素、オキシドレダクターゼ、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、青味剤および蛍光染料、固化防止剤、マスキング剤、酵素活性化剤、酸化防止剤および溶解剤を含有する洗剤を包含することが意図される。
【0090】
本明細書で用いられる「食器洗い組成物」とは、食卓用食器、たとえばカトラリーを洗浄するための全ての形態の組成物をいい、顆粒および液体の形態を含むがこれらに限定されない。本発明は、何らかの特定のタイプまたは食卓用食器の組成物に限定されることを意図していない。実際、本発明は、任意の素材、たとえば以下のものに限定されることなくセラミック、プラスチック、金属、陶磁器、ガラス、アクリル等の食卓用食器(たとえば、器、たとえば以下のものに限定されることなく平皿、カップ、グラス、ボウル等)およびカトラリー(たとえば、用具、たとえば以下のものに限定されることなくスプーン、ナイフ、フォーク、給仕用具等)を洗浄するのに用いられる。「食卓用食器」の語は、本明細書では食器およびカトラリーの双方に関して用いられる。
【0091】
本明細書で用いられる「リン酸塩非含有食器洗い洗剤」とは、0.5%以下のリンを含有する洗剤である(すなわち、リンは微量元素である。)。
【0092】
本明細書で用いられる変異体プロテアーゼの「洗い性能」または「洗浄性能」とは、プロテアーゼ変異体なしで得られた洗浄組成物の洗浄能力と比較したときの、変異体プロテアーゼによってもたらされる洗浄組成物の洗浄能力への貢献度をいう。
【0093】
「本発明に関連する洗い条件」の語は本明細書では、家庭で、食器用またはランドリー用洗剤市場セグメントで実際に用いられる条件、とりわけ洗い温度、時間、洗い機構、泡濃度(sud concentration)、洗剤のタイプおよび水の硬度を示すために用いられる。
【0094】
「改善された洗い性能」の語は、本発明に関連する洗浄条件下の染み除去において、対応する野生型または出発の親プロテアーゼと比較して、より良い最終結果が得られること、あるいは、同じ最終結果を得るために必要になる変異体プロテアーゼが重量基準でより少ないことを示すために用いられる。
【0095】
本明細書で用いられる「殺菌する」の語は、品目の表面から汚染物質を除去すること、ならびにその表面上の微生物を抑制または殺菌することをいう。本発明は、何らかの特定の表面、品目、または除去されるべき1もしくは複数の汚染物質もしくは微生物に限定されることを意図しない。
【0096】
本明細書で用いられる「有効な量の酵素」とは、特定の用途(たとえば、パーソナルケア製品、洗浄組成物等)に要求される酵素活性を達成するために必要な酵素の量をいう。かかる有効な量は当業者によって容易に確認され、多くの因子、たとえば用いられる具体的な酵素変異体、洗浄用途、洗浄組成物の具体的な組成、および液状または乾燥(たとえば、顆粒状、棒状)組成物のどちらが要求されるか等に基づいて決まる。
【0097】
本明細書における洗浄組成物の「コンパクト」な形態は、密度、および組成面では無機フィラー塩の量によって最もよく反映される。無機フィラー塩は粉末形態の洗剤組成物の慣用成分である。従来の洗剤組成物では、フィラー塩は実質的な量、典型的には全組成物の約17〜35重量%で存在する。対照的に、コンパクト組成物では、フィラー塩は全組成物の約15%を超えない量で存在する。ある実施態様では、フィラー塩は組成物の約10重量%を超えない量、より好ましくは約5%を超えない量で存在する。ある実施態様では、無機フィラー塩はサルフェートおよびクロライドのアルカリおよびアルカリ土類金属塩から選択される。好ましいフィラー塩は硫酸ナトリウムである。
【0098】
本明細書で用いられる「補助成分」または「補助物質」とは洗浄用物質をいい、以下のものに限定されることなく、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、他の酵素、酵素安定系、キレート剤、蛍光増白剤、防汚ポリマー、染料転移剤、分散剤、起泡抑制剤、染料、香料、着色剤、フィラー塩、ヒドロトロープ、光活性化剤、蛍光剤、布地柔軟剤、加水分解性界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、収縮防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、防カビ剤、色ムラ防止剤、シルバーケア、防サビ剤および/または防食剤、アルカリ性源、溶解剤、担体、加工助剤、顔料ならびにpH調節剤を含む(たとえば、米国特許第6,610,642号、6,605,458号、5,705,464号、5,710,115号、5,698,504号、 5,695,679号、5,686,014号および5,646,101号参照。これらの全ては参照によって本明細書に取り込まれる。)。
【0099】
本明細書で用いられる「食器洗い組成物」とは食器を洗浄するための、顆粒および液体の形態に限定されることなくこれらを含む全ての形態の組成物をいう。
【0100】
本明細書で用いられる「布地洗浄組成物」とは布地を洗浄するための、顆粒、液体および棒の形態に限定されることなくこれらを含む全ての形態の洗剤組成物をいう。
【0101】
本明細書で用いられる「布地」は任意の織物素材を包含する。したがって、この語は衣服、ならびに布地、ヤーン、繊維、不織素材、天然素材、合成素材および何らかの他の織物素材を包含することを意図している。
【0102】
本明細書で用いられる「織物」とは、織布、ならびにヤーン、織物、ニットおよび不織布に変換されるのに適した、またはこれらとして用いられる短繊維およびフィラメントをいう。この語は天然ならびに合成の(たとえば、製造された)繊維からつくられたヤーンを包含する。
【0103】
本明細書で用いられる「織物素材」とは、繊維、ヤーン中間体、ヤーン、布地および布地からつくられた製品(たとえば、衣服および他の物品)を表す一般的な語である。
【0104】
工業、民生または医薬の用途におけるタンパク質の性能を改善するために現在用いられているほとんどの戦略は、触媒効率を増加するために、酵素の活性部位のまたはその近傍のアミノ酸の置換に焦点を当てている。しかし、本発明の開発の過程で、酵素表面上の他の場所での突然変異が、触媒効率の改善によって可能となる酵素性能を超えて酵素性能を劇的に増加することが認められた。基本的に、酵素を媒介とする基質から産物への転化を支配する反応速度は、化学触媒的転化段階単独の速度によっては部分的にしか制御されない。酵素および基質は、酵素−基質ES複合体としてそれらが会合する前に、ならびに形成された酵素−産物EP複合体から化学的転化の後に解離する際に、コロイドとして相互作用する。反応段階が速い速度で進行するとしても、同じ符号のコロイドが静電反発力を受ける場合のように、基質に向かう酵素の接近は極めてゆっくりに(たとえば、拡散律速に)なることがある。同様に、酵素−産物EP複合体からの酵素の脱離は、コロイドが吸引性の短距離の疎水性および分散性力を受ける場合のように、極めてゆっくりに(たとえば、拡散律速に)なることがある。これらの両方の条件とも酵素が基質から産物へ移動する時間を増加し、化学的転化との比較で律速段階となる。逆帯電したコロイドがES複合体の形成を実際には(たとえば、拡散律速を超えて)促進することを想定することは可能であるけれども、その後のEP複合体の解離は(電荷は生成も消滅もしないと仮定すると)極度にゆっくりとなり、全体としての反応速度は減少することになろう。したがって、ESおよびEP複合体の両方の最小通過時間を確保するために、ペアワイズ相互作用電位の非対称性が利用される。このことは工業的バイオ技術において特に重要である。というのは、多くの場合に酵素律速である条件下で可能な最短時間で基質の全てを産物に転化することが望ましいからである。歴史的に、タンパク質技術者は、化学的転化段階の特異的な酵素−基質相互作用に焦点を当ててきており、会合および解離段階を支配している分子間のコロイド力および表面力から生じる短距離および長距離の両方についての非特異的相互作用の寄与を認識することを怠ってきた。本発明の目的は、酵素表面上の1以上のアミノ酸の性質を変えることによって得られた改変された表面特性を有するプロテアーゼ変異体を提供することであり、この改変された表面特性は化学的転化段階が律速段階になる程度まで分子間力を最適化する。
【0105】
表面特性の修飾は、本明細書に記載された方法を用いて酵素の電荷および/または疎水性を改変するアミノ酸置換を導入することによって達成される。いったん化学的転化段階が律速段階になると、酵素活性部位の変化によって変異体酵素の性能のさらなる改善が達成されることができる。この目的は、基質が溶液中の小さいペプチドであっても不溶性の巨視的基質であっても適用可能である。それにもかかわらず、本発明品をつくり、使用するためには関係する機構の知識は必要ないし、本発明が何らかの特定の機構に限定されることも意図されていない。
【0106】
簡単にいうと、本発明のプロテアーゼ変異体を生成するために用いられる方法は、(I)ある物理的特性範囲にわたるプローブタンパク質をアッセイする段階;(II)所与の好ましい結果を得るための物理的特性最適値を決定する段階;および(III)該物理的特性最適値を有する変異体タンパク質を準備する段階を含む。
I.プローブタンパク質のアッセイ
【0107】
プローブタンパク質のアッセイは、関心の対象である物理的特性(すなわち、「関心の対象である特性」)のその範囲にわたる複数のプローブタンパク質(すなわち、「プローブタンパク質折りたたみ」)を適当なアッセイで試験することを含む。プローブタンパク質は、限定された組数のタンパク質および/またはその変異体を含む。ある典型的な実施態様では、少なくとも1のセリンプロテアーゼが1以上の効用点について試験された。たとえば、2のセリンプロテアーゼであるGG36およびFNAの親酵素と比較した変異体の正味電荷の変化が提供された。本明細書に記載されたGG36およびFNAの変異体についての正味電荷の変化は、それぞれの親酵素と比較して−7〜0の相対正味電荷の変化の範囲にわたっていた。
II.物理的特性最適値の決定
【0108】
物理的特性最適値の決定、すなわち関心の対象である特性の最適値を決定することは、有益な成果を得るための物理的特性最適値またはその範囲を特定することを含む。ある典型的な実施態様では、本明細書においてFNAおよびGG36プロテアーゼ変異体のBMI PIとして示される洗浄性能指数が測定された。他の実施態様では、本明細書においてFNAおよびGG36プロテアーゼ変異体のTCA PIとして示される発現レベルが測定された。これらの実施態様において、同じ折りたたみを有するタンパク質、すなわちセリンプロテアーゼで得られる効用と比較するときは、相対的な「測定された」が用いられる(たとえば、野生型または親タンパク質と比較した正味電荷の差異)。あるいは、異なる折りたたみを有するタンパク質、たとえばセリンプロテアーゼおよび金属プロテアーゼで得られる効用と比較するときは、一般的な物理的特性尺度が用いられる(たとえば、ゼータ電位として報告されるタンパク質電荷)。広い物理的特性の範囲にわたるプローブタンパク質が、その物理的特性についての最適値を明確にする尤度を増加するために用いられる。プローブタンパク質をアッセイすることによって関心の対象である効用についての最適値または最適範囲がいったん確立されてしまえば、劣った役者たるタンパク質(たとえば、最適範囲外に居るタンパク質)を優れた役者たるタンパク質(たとえば、最適範囲内に居るタンパク質)に変換するために必要となる見込みが高い変化の全般的な方向および大きさの双方を予測することが可能になる。
【0109】
関心の対象である効用についての異なる物理的特性最適値の特定を可能にするために、1組より多いプローブタンパク質の使用が検討される。たとえば、ある実施態様では、洗剤プロテアーゼFNAおよびGG36の親酵素の正味電荷および疎水性の変化を基準とした、正味電荷および疎水性の双方の変化が、血液、ミルク、インクアッセイにおいて洗浄性能について試験される。ある例では、異なる効用には異なる最適値があることを示すために、同じ物理的特性が検討される。たとえば、FNAの洗浄性能(BMI PI)についてはある最適プロテアーゼ電荷が存在し、これは発現レベル(TCA PI)についての最適プロテアーゼ電荷とは明確に異なる。
【0110】
ある実施態様では、電荷に関連した物理的特性が、測定されたゼータ電位、正味電荷、電荷密度および/またはイオン性基の表面計測数の面から、親ならびに変異体タンパク質にわたって比較される。一般に、滴定または電気泳動測定値からタンパク質電荷を決定する任意の方法が、異なるタンパク質折りたたみを比較するのに適している。異なるタンパク質変異体を比較することは、タンパク質の1次、2次および/または3次配列情報が入手可能であればそれに基づいて1以上の上記の量を計算することによって行われる。かかる目的に用いられる典型的なバイオインフォマティクス解法ツールは、ヘンダーソン−ハッセルバルヒ(Henderson-Hasselbalch)の式を用いる等電点計算ツール(たとえば、European Molecular Biology Laboratory社)またはポアソン−ボルツマン(Poisson-Boltzmann)静電ソルバー(たとえば、DelPhi、MOE)を含む。
III.物理的特性最適値を有する変異体タンパク質の準備
【0111】
前段階においていったん最適値または最適範囲が決定されると、関心の対象である物理的特性について制約された複数の候補タンパク質が準備される。候補タンパク質を準備する適当な方法は、以下のものに限定されることなく、組み換え技術による人工酵素変異体の生産ならびにクロマトグラフィーによる天然酵素変異体(たとえば、相同体)の精製、グリコシル化もしくはリン酸化酵素変異体のin vitro合成または酵素接合体のin vitro生産を含む。グリコシル化によってタンパク質の疎水性を変える他の方法は、酵素の表面上に新しいグリコシル化部位を生成することである。これらの変異体は発現の際にin vivoでグリコシル化されることになる。
【0112】
ある実施態様では、全プロテアーゼ変異体にわたって、疎水性に関連した物理的特性が、得られた変異体の正味疎水性変化への置換された残基による全寄与の面から、親酵素のそれを基準として比較される。ある実施態様では、タンパク質の1次、2次および/または3次構造情報を考慮に入れた、文献から入手でき当業者に知られている多くのアミノ酸疎水性尺度のうちの1以上を用いて、全疎水性の寄与が計算される。ある例では、疎水性に関連した物理的特性が、異なるタンパク質折りたたみにわたって、タンパク質の天然の水性環境と疎水性相との間で測定されたそのタンパク質の分配の面から比較される。実施例は、以下のものに限定されることなく、空気−水またはヘプタン−水界面における表面張力、ならびに水性相と固形基質含有相との間の接触角および濡れ性の測定を含む。一般に、2相間のタンパク質の分配を特性分析するのに適したどの方法も、本発明で用いるのに適しており、たとえば光学的(たとえば、偏光解析、表面プラズモン共鳴、干渉分光および/または反射率)、音響的(たとえば、水晶微量天秤)、蛍光分光(たとえば、減衰全反射赤外)または濃度(たとえば、酵素活性)の測定法である。
【0113】
帯電した残基は親水特性を増すので、電荷および疎水性の尺度は互いに独立ではない。したがって、他の尺度よりもよいとして1の尺度を単に選ぶよりも、本発明のある実施態様は物理的特性の依存関係を特定するために(たとえば、理論的または実験的に決定された)複数の異なる尺度を採用する。最も普通に用いられる疎水性尺度のうちの23件の参考文献は以下のものを含む。すなわち、疎水性(RaoおよびArgos)は膜挿入ヘリックスパラメータを計算する(RaoおよびArgos, Biochim. Biophys. Acta 869:197-214 [1986]);疎水性(BlackおよびMould)は生理的L−アルファアミノ酸の疎水性を計算する(BlackおよびMould, Anal. Biochem., 193:72-82 [1991]);疎水性(BullおよびBreese)は疎水性(表面への輸送のkcal/モル単位の自由エネルギー)を計算する(BullおよびBreese, Arch. Biochem. Biophys. 161 :665-670 [1974]);疎水性(Chothia)は(12個のタンパク質において)95%貫通残基の割合を計算する(Chothia, J. Mol. Biol., 105:1-14 [1976]);疎水性(KyteおよびDoolittle)は疎水性指標を計算する(KyteおよびDoolittle, J. Mol. Biol., 157:105-132 [1982]);疎水性(Eisenbergら)は正規化コンセンサス疎水性尺度を計算する(Eisenbergら, J. Mol. Biol. 179:125-142 [1984]);疎水性(FauchereおよびPliska)は疎水性尺度(pi-r)を計算する(FauchereおよびPliska, Eur. J. Med. Chem., 18:369-375 [1983]);疎水性(Guy)は輸送の自由エネルギー(kcal/モル)に基づいた疎水性尺度を計算する(Guy, Biophys J., 47:61-70 [1985]);疎水性(Janin)は球状タンパク質の内側から外側への輸送の自由エネルギーを計算する(Janin, Nature 277:491-492 [1979]);疎水性(AbrahamおよびLeo)は疎水性(delta G1/2 cal)を計算する(AbrahamおよびLeo,「タンパク質:構造、機能および遺伝学(Proteins: Structure, Function and Genetics)」2:130-152 [1987]);疎水性(Manavalanら)は平均環境疎水性を計算する(Manavalanら, Nature 275:673-674 [1978]);疎水性(Miyazawaら)は疎水性尺度 (3Dデータから誘導された接触エネルギー)を計算する(Miyazawaら,Macromolecules 18:534-552 [1985]);疎水性(Aboderin)はクロマトグラフィー紙(RF)上のアミノ酸の移動度を計算する(Aboderin, Int. J. Biochem., 2:537-544 [1971]);疎水性HPLC (Parkerら)はHPLCペプチド保持時間から誘導された疎水性尺度を計算する(Parkerら,Biochem., 25:5425-5431 [1986]); Hphob. HPLC pH3.4はHPLCによって測定されたpH3.4における疎水性指数を計算する(CowanおよびWhittaker,Peptide Res., 3:75-80 [1990]);Hphob. HPLC pH7.5はHPLCによって測定されたpH7.5における疎水性指数を計算する (CowanおよびWhittaker, Peptide Res., 3:75-80 [1990]);疎水性(Roseら)(AA)は平均部分エリア消失(f) [平均エリア貫通/標準状態エリア]を計算する(Roseら, Science 229:834-838 [1985));および疎水性(Roseman)は疎水性尺度(pi-r)を計算する(Roseman, J. Mol. Biol., 200:513-522 (1988))。
【0114】
同じタンパク質折りたたみ内でまたは異なるタンパク質折りたたみにわたって、プロテアーゼおよびその変異体にわたって比較される他の物理的特性は、以下のものに限定されることなく、溶解度に関連した物理的特性、サイズに関連した物理的特性およびタンパク質の融解温度を含む。溶解度に関連した物理的特性は、異なるタンパク質折りたたみにわたって上記の電荷および疎水性尺度の両者の面から比較される。一般に、タンパク質−タンパク質対タンパク質−溶媒の相互作用を特性付ける任意の熱力学的または速度論的な量は本発明の方法に用いるのに適している。たとえば、第二ビリアル係数(Wilson, Acta Crystallographica, D50:361-365 [1994]参照)、カイパラメーター、浸透圧および理想の混合挙動からの偏差を反映する活量係数またはフガシティー係数が用いられる(たとえば、Reidら、「気体および液体の性質(The Properties of Gases and Liquids)」, 4th Ed. McGraw-Hill, [1987]参照)。サイズに関連した物理的特性は、異なるタンパク質折りたたみにわたってタンパク質またはポリマーの寸法を測定するのに適した任意の実験的手段を用いて比較される。サイズは、普通に利用可能な、タンパク質またはポリマーの立体配座(コイル状、球状、分枝状)およびそれらの分子量と、流体力学半径または旋回半径と、の相関関係を用いて分子量から推測される。サイズまたは分子量の測定に適した手法は静的および動的光散乱、ゲル電気泳動、質量分光分析およびクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない。あるいは、サイズは、実験的に決定されたタンパク質結晶構造または構造的相同性モデルの知識から容易に推定される。
【0115】
タンパク質融解温度(Tm)は、典型的には温度スキャン全域でレポーター物理的特性を監視することによって測定される。適当な方法は、示差走査熱量測定、円偏光二色性、動的光散乱および紫外−可視光分光法を含むが、これらに限定されない。
セリンプロテアーゼ酵素の応用
【0116】
プロテアーゼ変異体を生成するために創生された組み合わせ変異が、様々な応用の中の少なくとも1の所望の酵素特性について性能指数を高めるのに役立つように、たとえば性能最適値の所在を見つけるために検討される。性能/特性最適値の所在は一般に、用いられた媒体(たとえば、洗剤の配合、pH、イオン強度等)ならびに関心の対象である酵素のアミノ酸残基の正味電荷および電荷分布によって影響される。したがって、様々なpH、イオン強度、界面活性剤のタイプおよび割合、ビルダーおよびキレート剤は、これらの全てが静電気現象に影響を与え、これらの様々な配合物について、最適な酵素が存在するように検討される。酵素ブレンドの各構成員が異なる電荷最適値を有するような酵素ブレンドの使用が、広範囲の条件に適した配合物の製造のために検討される(たとえば、水の硬度に違いがある様々な地域または場所で販売される洗剤配合物中のプロテアーゼ)。酵素ブレンドの各構成員が異なる染みの洗浄に優れているような酵素ブレンドの使用も、多種多様な染みの洗浄に適した配合物の製造のために検討される。さらに、酵素ブレンドの各構成員が異なる電荷最適値を有するような酵素ブレンドの使用が、酵素基質自体が酵素反応の間に電荷の変化をする場合のために検討される。
【0117】
プロテアーゼと、血液、ミルクおよびインクの染みと、の関係において本明細書に記載されたけれども、用途、たとえば洗浄用途によって決まる任意の様々な反応媒体(すなわち、反応条件)中の任意の酵素−基質相互作用について本発明のプロテアーゼ変異体が最適化されることが検討される。
【0118】
本明細書に、より詳細に記載されるように、本発明の変異体プロテアーゼは、自身を特定の用途に非常に適したものにする重要な特性を有する。たとえば、ある好まれる実施態様では、本発明の変異体プロテアーゼは、現在用いられている一部のプロテアーゼと比較して変えられた電荷および/または疎水性を有する。したがって、これらのプロテアーゼは洗浄組成物にとりわけ用いられる。実際、特定の洗浄条件下で本発明のプロテアーゼは、現在用いられているスブチリシンプロテアーゼと比較して比肩しうるもしくは高められた発現および/または染み除去活性を示す。したがって、本発明の洗浄および/または酵素組成物は様々な洗浄組成物に提供されるだろうと考えられる。したがって、本発明のプロテアーゼは様々な洗浄組成物、ならびに動物飼料用途、皮革処理(たとえば、脱灰)、タンパク質の加水分解および織物用途に用いられる。この特定されたプロテアーゼはパーソナルケア用途にも用いられる。
【0119】
実際、本発明のプロテアーゼは多数の工業用途、とりわけ洗浄、殺菌、動物飼料および織物/皮革の産業の中に用いられる。ある実施態様では、本発明の1または複数のプロテアーゼは洗剤、ビルダー、漂白剤および他の慣用成分と組み合わされて、ランドリーおよび他の洗浄技術、たとえばランドリー洗剤(粉末状および液状の双方)、ランドリー前浸漬剤、全布地漂白剤、自動食器洗い機洗剤(液状および粉末状の双方)、家庭用洗浄剤、特に棒状および液状石けん用途ならびに排水管洗浄剤に有用な多種多様な新規な洗浄組成物を製造する。さらに、本発明の変異体プロテアーゼは、コンタクトレンズの洗浄ならびに他の品目に、かかる物質をこの洗浄組成物の水性溶液と接触させることによって用いられる。さらに、これらの変異体プロテアーゼは、たとえばペプチドの加水分解、廃棄物処理、織物用途、医療器具洗浄、バイフィルム除去に、およびタンパク質産生における融合−開裂酵素として等に用いられることができる。本発明の1または複数の変異体プロテアーゼが、用いられる設定場面においてその機能を維持する限り、これらの製品の組成は本発明にとって決定的に重要ではない。ある実施態様では、洗浄に有効な量のプロテアーゼ変異体または変異体プロテアーゼ酵素調製物を含む酵素組成物と、かかる組成物の慣用の成分の分野で広く認められている量のそれらの成分と、を一緒にすることによって、本発明の組成物は容易に調製される。
洗浄組成物
【0120】
特に断りのない限り、本明細書に提示される全ての成分または組成物のレベルは、その成分または組成物の活性レベルに関して設定され、商業的に入手可能な源には存在するかもしれない不純物、たとえば残留溶媒または副生成物を除いたものである。酵素成分の重量は全活性タンパク質を基準とする。全てのパーセントおよび割合は、特に指定のない限り重量によって計算される。全てのパーセントおよび割合は、特に指定のない限り全組成物を基準として計算される。典型的な洗剤組成物では、酵素レベルは全組成物の重量基準の純粋な酵素によって表わされ、特に指定のない限り洗剤成分は全組成物の重量によって表わされる。
【0121】
本明細書に示されるように、ある実施態様では、本発明の洗浄組成物はさらに補助物質、たとえば以下のものに限定されることなく、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、他の酵素、酵素安定系、キレート剤、蛍光増白剤、防汚ポリマー、染料転移剤、分散剤、起泡抑制剤、染料、香料、着色剤、フィラー塩、ヒドロトロープ、光活性化剤、蛍光剤、布地柔軟剤、加水分解性界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、収縮防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、防カビ剤、色ムラ防止剤、シルバーケア、防サビ剤および/または防食剤、アルカリ性源、溶解剤、担体、加工助剤、顔料ならびにpH調節剤を含む(たとえば、米国特許第6,610,642号、6,605,458号、5,705,464号、5,710,115号、5,698,504号、5,695,679号、5,686,014号および5,646,101号参照。これらの全ては参照によって本明細書に取り込まれる)。具体的な洗浄組成物素材の実施態様は以下に詳細に例示される。洗浄補助物質が洗浄組成物中の本発明の変異体プロテアーゼと相容性でない実施態様では、洗浄補助物質と1または複数のプロテアーゼとをこれらの2の成分を一緒にするのが適切になるまで分離しておく(すなわち、互いに接触させない)適当な方法が用いられる。かかる分離方法は従来技術で知られたいずれかの適当な方法(たとえば、ジェルキャップ、カプセル封入、錠剤、物理的分離等)を含む。
【0122】
本発明の洗浄組成物は、たとえばランドリー用途、硬質表面洗浄、食器洗い用途ならびに美容用途、たとえば義歯、歯、毛髪および皮膚に用いられると有利である。さらに、より低温の溶液中で有効性が高いという独特の利点の故に、本発明の酵素はランドリー用途に理想的に適している。さらにその上、本発明の酵素は顆粒状および液状組成物に用途を見出す。
【0123】
本発明の変異体プロテアーゼは洗浄添加製品にも用途を見出す。ある実施態様では、低温溶液洗浄用途に用いられる。ある実施態様では、本発明は本発明の少なくとも1の酵素を含む洗浄添加製品を提供し、これは追加的な漂白効果が望まれるときに洗い工程に含められるのに理想的に適している。かかる例は低温溶液洗浄用途を含むが、これに限定されない。ある実施態様では、この添加製品はその最も簡単な形態をした1以上のプロテアーゼである。ある実施態様では、この添加物は洗浄工程に添加するための1用量の形態に包装される。ある実施態様では、この添加物は、過酸素源が用いられて高められた漂白効果が望まれる洗浄工程に添加するための1用量の形態に包装される。任意の好適な1の用量単位の形態が本発明に用いられ、丸薬、錠剤、ジェルキャップまたは他の1の用量単位、たとえば計量済み粉末もしくは液体を含むが、これらに限定されない。ある実施態様では、1もしくは複数のフィラーまたは1もしくは複数の担体物質が、かかる組成物の体積を増加するために含められる。好適なフィラーまたは担体物質は、サルフェート、カーボネートおよびシリケートの様々な塩ならびにタルク、粘土等を含むがこれらに限定されない。液状組成物用の好適なフィラーまたは担体物質は、水または低分子量の1級ならびに2級アルコール、たとえばポリオールおよびジオールを含むがこれらに限定されない。かかるアルコールの例はメタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールを含むがこれらに限定されない。ある実施態様では、組成物は約5%〜約90%のかかる物質を含有する。酸性フィラーがpHを下げるために用いられる。あるいは、ある実施態様では、洗浄添加物は補助成分を含み、以下に、より完全に記載される。
【0124】
本発明の洗浄組成物および洗浄添加物は、本明細書で提示されるプロテアーゼ変異体のうちの少なくとも1の有効な量を、単独でまたは他のプロテアーゼおよび/もしくは追加の酵素と組み合わされて要求する。酵素の要求されるレベルは、本発明の1以上のプロテアーゼ変異体の添加によって達成される。典型的には、本発明の洗浄組成物は少なくとも約0.0001重量パーセント、約0.0001〜約10、約0.001〜約1またはさらに約0.01〜約0.1重量パーセントの少なくとも1の本発明の変異体プロテアーゼを含む。
【0125】
本明細書の洗浄組成物は典型的には、水性洗浄操作に用いられる間に洗い水が約5.0〜約11.5またはさらに約7.5〜約10.5のpHを有すように配合される。液状製品配合物は、典型的には約3.0〜約9.0またはさらに約3〜約5の原pHを有するように配合される。顆粒状ランドリー製品は、典型的には約9〜約11のpHを有するように配合される。推奨される使用レベルにpHを調節する手法は緩衝液、アリカリ、酸等の使用を含み、当業者には周知である。
【0126】
好適な低pH洗浄組成物は、典型的には約3〜約5の原pHを有し、典型的にはかかるpH環境で加水分解する界面活性剤を含んでいない。かかる界面活性剤は、少なくとも1のエチレンオキシド部分またはさらに約1〜約16モルのエチレンオキシドを含むアルキル硫酸ナトリウム界面活性剤を含む。かかる洗浄組成物は典型的には十分な量のpH調節剤、たとえば水酸化ナトリウム、モノエタノールアミンまたは塩酸を含み、これはかかる洗浄組成物に約3〜約5の原pHを与える。かかる組成物は典型的には少なくとも1の酸安定性酵素を含む。ある実施態様では、組成物は液状であり、他方他の実施態様では、固形である。かかる液状組成物のpHは、典型的には原pHとして測定される。かかる固形組成物のpHは当該組成物の10%固形分溶液として測定され、その溶媒は蒸留水である。これらの実施態様では、全てのpH測定は特に指定のない限り20℃で行われる。
【0127】
ある実施態様では、1または複数の変異体プロテアーゼが顆粒状組成物または液状組成物に用いられるときは、この変異体プロテアーゼがカプセル封入された粒子の形態をしており、この変異体プロテアーゼが貯蔵の間、顆粒状組成物の他の成分から保護されることが望ましい。これに加えて、カプセル封入は洗浄工程の間の変異体プロテアーゼの供給量を調節する手段でもある。ある実施態様では、カプセル封入は1もしくは複数の変異体プロテアーゼおよび/または追加の酵素の性能を高める。この点に関連して、本発明の変異体プロテアーゼは、従来技術で知られた任意の適当なカプセル化材料でカプセル封入される。ある実施態様では、このカプセル化材料は典型的には本発明の1もしくは複数の変異体プロテアーゼのための触媒の少なくとも一部をカプセル封入する。典型的には、カプセル化材料は水溶性および/または水中分散性である。ある実施態様では、カプセル化材料は0℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する。ガラス転移温度は国際公開第97/11151号に、より詳細に記載されている。カプセル化材料は典型的には炭水化物、天然または合成ゴム、キチン、キトサン、セルロースおよびセルロース誘導体、シリケート、ホスフェート、ボレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィンワックスならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。カプセル化材料が炭水化物であるときは、これは典型的には単糖類、オリゴ糖類、多糖類およびこれらの組み合わせから選択される。ある典型的な実施態様では、カプセル化材料はデンプンである(たとえば、欧州特許第0 922 499号、米国特許第4,977,252号、米国特許第5,354,559号および米国特許第5,935,826号参照)。ある実施態様では、カプセル化材料はプラスチック、たとえば熱可塑性物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルおよびこれらの混合物からつくられたミクロスフェアであり、用いられる商業的に入手可能なミクロスフェアは、EXPANCEL(商標) (スウェーデン国、Stockviksverken)、およびPM 6545、PM 6550、PM 7220、PM 7228、EXTENDOSPHERES(商標)、LUXSIL(商標)、Q-CEL(商標)ならびにSPHERICEL(商標)(米国、ペンシルベニア州、Valley Forge、PQ社)によって供給されるものを含むが、これらに限定されない。
【0128】
本明細書に記載されるように、本発明の変異体プロテアーゼは、洗浄産業、たとえば以下に限定されることなくランドリー洗剤および食器洗剤にとりわけ用いられる。これらの用途は酵素を様々な環境ストレス下に置く。本発明の変異体プロテアーゼは、様々な条件下でのその安定性の故に現在用いられている多くの酵素に勝る利点を提供する。
【0129】
実際、様々な洗い条件、たとえば各種の洗剤配合物、洗い水量、洗い水温度および洗い時間の長さがあり、洗いにかかわるプロテアーゼはこれらに曝露される。加えて、異なる地域で用いられる洗剤配合物は、洗い水中に存在するその洗剤配合物の課題に関係する成分の異なる濃度を有する。たとえば、欧州の洗剤は典型的には洗い水中に約4500〜5000ppmの洗剤成分を有し、他方、日本の洗剤は典型的には洗い水中に約667ppmの洗剤成分を有する。北米、特に米国では、洗剤は典型的には洗い水中に約975ppmの洗剤成分を有する。
【0130】
低洗剤濃度系は、約800ppm未満の洗剤成分が洗い水中に存在する洗剤を含む。日本の洗剤は約667ppmの洗剤成分が洗い水中に存在するので、典型的には低洗剤濃度系と考えられる。
【0131】
中程度の洗剤濃度は、約800ppm〜約2000ppmの洗剤成分が洗い水中に存在する洗剤を含む。北米の洗剤は一般に、約975ppmの洗剤成分が洗い水中に存在するので中洗剤濃度系であると考えられる。ブラジルは典型的には、洗い水中に存在する約1500ppmの洗剤成分を有する。
【0132】
高洗剤濃度系は、約2000ppm超の洗剤成分が洗い水中に存在する洗剤を含む。欧州の洗剤は一般に、約4500〜5000ppmの洗剤成分を洗い水中に有するので高洗剤濃度系であると考えられる。
【0133】
中南米の洗剤は一般に高泡立ちリン酸塩ビルダー洗剤であり、中南米で用いられる洗剤の範囲は、洗い水中に1500ppm〜6000ppmの洗剤成分の範囲にあるので、中および高洗剤濃度の双方に該当するといえる。上述のように、ブラジルは典型的には洗い水中に存在する約1500ppmの洗剤成分を有する。しかし、他の高泡立ちリン酸塩ビルダー洗剤の地域は、他の中南米国に限らず、約6000ppmまでの洗剤成分が洗い水中に存在する高洗剤濃度系を有することがある。
【0134】
上述に照らして、全世界にわたる典型的な洗い溶液中の洗剤組成物の濃度は、約800ppm未満の洗剤組成物(「低洗剤濃度地域」)、たとえば日本の約667ppmから、約800ppm〜約2000ppm(「中洗剤濃度地域」)、たとえば米国の約975ppmおよびブラジルの約1500ppmへ、さらに約2000ppm超(「高洗剤濃度地域」)、たとえば欧州の約4500ppm〜約5000ppmおよび高泡立ちリン酸塩ビルダー地域の約6000ppmまでの様々であることがわかる。
【0135】
典型的な洗い溶液の濃度は経験的に決まる。たとえば、米国では典型的な洗濯機は約64.4Lの洗い溶液の量を入れることができる。したがって、洗い溶液中約975ppmの洗剤濃度を得るためには、約62.79gの洗剤組成物が64.4Lの洗い溶液に加えられなければならない。この量は、洗剤とともに提供される計量カップを用いて消費者によって洗い水中に計り入れられる典型的な量である。
【0136】
さらなる例として、異なる地域は異なる洗い温度を用いる。日本の洗い水の温度は典型的には欧州で用いられているのよりも低い。たとえば、北米および日本における洗い水の温度は典型的には約10〜約30℃(たとえば、約20℃)であり、他方、欧州における洗い水の温度は典型的には約30〜約60℃(たとえば、約40℃)である。しかし、エネルギーを節約する利益のために、多くの消費者は冷水洗いを用いるように切り替えている。加えるに、あるさらなる実施態様では、冷水は典型的にはランドリーならびに食器洗いの用途に用いられている。ある実施態様では、本発明の「冷水洗い」は約10℃〜約40℃、または約10℃〜約30℃、または約15℃〜約25℃、ならびに約10℃〜約40℃の範囲内の全ての他の組み合わせの温度における洗いを用いる。さらなる例として、異なる地域は典型的には異なる水の硬度を有する。水硬度は通常、1ガロン中のCa2+/Mg2+の合計グレイン数を単位として記載される。硬度は水中のカルシウム(Ca2+)およびマグネシウム(Mg2+)の量の尺度である。米国のほとんどの水は硬水であるが、硬さの程度は様々である。中程度に硬い(60〜120ppm)〜硬い(121〜181ppm)水は60〜181ppmの硬度の鉱物を有する(ppmからグレイン毎米国ガロンへの換算は、ppm数割る17.1がグレイン毎ガロンに等しい。)。
【表1】

【0137】
欧州の水の硬度は典型的には約10.5(たとえば、約10.5〜約20)合計Ca2+/Mg2+グレイン毎ガロン(たとえば、約15合計Ca2+/Mg2+グレイン毎ガロン)である。北米の水硬度は典型的には、日本の水硬度より高いが、欧州の水硬度より低い。たとえば、北米の水硬度は約3〜約10グレイン、約3〜約8グレインまたは約6グレインである。日本の水硬度は典型的には北米の水硬度より低く、通常約4未満、たとえば約3合計Ca2+/Mg2+グレイン毎ガロンである。
【0138】
したがって、ある実施態様では、本発明は少なくとも1組の洗い条件(たとえば、水温度、水硬度および/または洗剤濃度)において驚くべき洗い性能を示す変異体プロテアーゼを提供する。ある実施態様では、本発明の変異体プロテアーゼは他のスブチリシンプロテアーゼと洗い性能において同等である。ある実施態様では、本発明の変異体プロテアーゼは現在商業的に入手可能なスブチリシンプロテアーゼと比較して高められた洗い性能を示す。このように、本発明のある好ましい実施態様では、本明細書に提示された変異体プロテアーゼは高められた酸化安定性、高められた熱安定性、様々な条件下における高められた洗浄能力および/または高められたキレート剤安定性を示す。さらに、本発明の変異体プロテアーゼは、洗剤を含んでいない洗浄組成物に、この場合にも単独であるいはビルダーおよび安定剤と組み合わされて用いられる。
【0139】
本発明のある実施態様では、洗浄組成物は、該組成物の重量基準による約0.00001%〜約10%のレベルで少なくとも1の本発明の変異体プロテアーゼを含み、残部は該組成物の重量基準による洗浄補助物質(たとえば、約99.999%〜約90.0%)である。本発明の他の側面では、本発明の洗浄組成物は、該組成物の重量基準による約0.0001%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.001%〜約2%、約0.005%〜約0.5%のレベルで少なくとも1の変異体プロテアーゼを含み、該洗浄組成物の残部は洗浄補助物質(たとえば、約99.9999%〜約90.0%、約99.999%〜約98%、約99.995%〜約99.5重量%)である。
【0140】
ある実施態様では、本発明の洗浄組成物は1以上の追加の洗剤酵素を含み、これは洗浄性能および/または布地の柔軟仕上げおよび/または食器洗いの効用をもたらす。好適な酵素の例は、以下のものに限定されることなく、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポオキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼまたはこれらの混合物を含む。ある実施態様では、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼおよび/またはセルラーゼのような慣用の利用可能な酵素をアミラーゼと併せて含む酵素の組み合わせ(すなわち、「カクテル」)が用いられる。
【0141】
本明細書に提示されたプロテアーゼ変異体に加えて、任意の他の好適なプロテアーゼが本発明の組成物に用いられる。好適なプロテアーゼは、動物、植物または微生物由来のプロテアーゼを含む。ある特に好ましい実施態様では、微生物プロテアーゼが用いられる。ある実施態様では、化学的または遺伝学的に修飾された突然変異体が含まれる。ある実施態様では、プロテアーゼはセリンプロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼまたはトリプシン様プロテアーゼである。アルカリ性プロテアーゼの例はスブチリシン、とりわけバチルス(たとえば、スブチリシン、レンタス、アミロリクエファシエンス、スブチリシンカールスバーグ、スブチリシン309、スブチリシン147およびスブチリシン168)に由来するものを含む。さらなる例は、米国再発行特許第34,606号、米国特許第5,955 340号、5,700,676号、6,312,936号および6,482,628号に記載されたような変異体プロテアーゼを含み、これらの全ては参照によって本明細書に取り込まれる。さらなるプロテアーゼの例は、以下のものに限定されることなくトリプシン(たとえば、豚または牛由来のもの)および国際公開第89/06270号に記載されたフサリウム(Fusarium)プロテアーゼを含む。ある実施態様では、本発明に用いられる商業的に入手可能なプロテアーゼ酵素は、以下のものに限定されることなくMAXATASE(商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、OPTICLEAN(商標)、OPTIMASE(商標)、PROPERASE(商標)、PURAFECT(商標)、PROPERASE(商標)、EXCELLASE(商標)、 PURAFAST(商標)およびPURAFECT(商標)OXP (Genencor社); ALCALASE(商標)、SAVINASE(商標)、PRIMASE(商標)、DURAZYM(商標)、POLARZYME(商標)、OVOZYME(商標)、LIQUANASE(商標)、KANNASE(商標)、NEUTRASE(商標)、RELASE(商標)およびESPERASE(商標)(Novozymes社); ならびにBLAP(商標)(独国、Duesseldorf、Aktien、Henkel Kommanditgesellschaft社)を含む。様々なプロ
テアーゼが国際公開第95/23221号、国際公開第92/21760号、米国特許出願公開第2008/0090747号、および米国特許第5,801,039号、5,340,735号、5,500,3645号、5,855,625号、米国再発行特許第34,606号、米国特許第5,955,340号、5,700,676号、6,312,936号および6,482,628号ならびに各種の他の特許に記載されている。ある実施態様では、金属プロテアーゼ、たとえば国際公開第07/044993号に記載された中性金属プロテアーゼがこれに限定されることなく本発明に用いられる。
【0142】
さらに、任意の好適なリパーゼが本発明に用いられる。好適なリパーゼは、細菌または真菌由来のものを含むが、これらに限定されない。化学的または遺伝学的に修飾された変異体が本発明に包含される。有用なリパーゼの例は、フミコーララヌギノーサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(たとえば、欧州特許第258 068号および305 216号参照)、リゾムコールミエヘイ(Rhizomucor miehei) リパーゼ(たとえば、欧州特許第238 023号参照)、カンディダ(Candida) リパーゼ、たとえばカンディダアンタークティカ(C. antarctica)リパーゼ(たとえば、カンディダアンタークティカリパーゼAまたはB、たとえば、欧州特許第214 761号参照)、シュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ、たとえばシュードモナスアルカリジーン(P. alcaligenes) リパーゼおよびシュードモナスシュードアルカリジーン(P. pseudoalcaligenes)リパーゼ(たとえば、欧州特許第218 272号参照)、シュードモナスセパシア(P. cepacia)リパーゼ(たとえば、欧州特許第331 376号参照)、シュードモナススタツェリ(P. stutzeri)リパーゼ(たとえば、英国特許第1,372,034号参照)、シュードモナスフルオレセンス(P. fluorescens)リパーゼ、バチルスリパーゼ(たとえば、バチルススブチリスリパーゼ[Dartoisら、Biochem. Biophys. Acta 1131 :253-260 [1993]); バチルスステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)リパーゼ[たとえば、特開昭64/744992号参照]; ならびにバチルスプミルス(B. pumilus)リパーゼ[たとえば、国際公開第91/16422号参照])を含む。
【0143】
さらにその上、多数のクローン化されたリパーゼ、たとえば以下のものに限定されることなくペニシリウムカマンベルティ(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchiら、Gene 103:61-67 [1991]参照)、ゲオトリカムカンディダム(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimadaら、J. Biochem., 106:383-388 [1989]参照)および各種のリゾプス(Rhizopus)リパーゼ、たとえばリゾプスデレマー(R. delemar)リパーゼ(Hassら、Gene 109:117-113 [1991] 参照)、SLリゾプスニベアス(SL R. niveus)リパーゼ(Kugimiyaら、Biosci. Biotech. Biochem. 56:716-719 [1992]参照)およびリゾプスオリザエ(R. oryzae)リパーゼが、本発明のある実施態様に用いられる。
【0144】
他のタイプの脂肪分解酵素、たとえばクチナーゼ、たとえば以下のものに限定されることなくシュードモナスメンドシナ(Pseudomonas mendocina)に由来するクチナーゼ(国際公開第88/09367号参照)およびフサリウムソラニピシ(Fusarium solani pisi)に由来するクチナーゼ(国際公開第90/09446号参照)も本発明のある実施態様に用いられる。
【0145】
さらなる好適なリパーゼは、商業的に入手可能なリパーゼ、たとえばM1 LIPASE(商標)、LUMA FAST(商標)およびLIPOMAX(商標)(Genencor社); LIPOLASE(商標)およびLIPOLASE(商標)ULTRA (Novozymes社); ならびにLIPASE P(商標)「アマノ」 (日本国、天野製薬社)を含む。
【0146】
本発明のある実施態様では、本発明の洗浄組成物はさらに、該組成物の重量基準による約0.00001%〜約10%の追加のリパーゼのレベルでリパーゼを含み、残部は組成物の重量基準による洗浄補助物質である。本発明の他の側面では、本発明の洗浄組成物はまた、該組成物の重量基準による約0.0001%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.001%〜約2%、約0.005%〜約0.5%のリパーゼのレベルでリパーゼを含む。
【0147】
本発明のある実施態様では、任意の好適なアミラーゼが本発明に用いられる。ある実施態様では、アルカリ溶液に用いるのに適した任意のアミラーゼ(たとえば、アルファおよび/またはベータアミラーゼ)も用いられる。好適なアミラーゼは細菌または真菌由来のものを含むが、これらに限定されない。化学的または遺伝学的に修飾された変異体がある実施態様に含められる。本発明に用いられるアミラーゼはバチルスリケノフォルミスから得られたα−アミラーゼ(たとえば、英国特許第1,296,839号参照)を含むが、これに限定されない。本発明に用いられる商業的に入手可能なアミラーゼは、以下のものに限定されることなく、DURAMYL(商標)、TERMAMYL(商標)、FUNGAMYL(商標)、STAINZYME(商標)、STAINZYME PLUS(商標)、STAINZYME ULTRA(商標)、NATALASE(商標)およびBAN(商標)(Novozymes社)ならびにPOWERASE(商標)、RAPIDASE(商標)およびMAXAM YL(商標)P (Genencor社)を含む。
【0148】
本発明のある実施態様では、本発明の洗浄組成物はさらに該組成物の重量基準による約0.00001%〜約10%の追加のアミラーゼのレベルでアミラーゼを含み、残部は該組成物の重量基準による洗浄補助物質である。本発明の他の側面では、本発明の洗浄組成物はまた、該組成物の重量基準による約0.0001%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.001%〜約2%、約0.005%〜約0.5%のアミラーゼのレベルでアミラーゼを含む。
【0149】
あるさらなる実施態様では、任意の好適なセルラーゼが本発明の洗浄組成物に用いられる。好適なセルラーゼは、細菌または真菌由来のものを含むが、これらに限定されない。化学的または遺伝学的に修飾された変異体がある実施態様に含められる。好適なセルラーゼは、フミコーラインソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ(たとえば、米国特許第4,435,307号参照)を含むが、これに限定されない。とりわけ好適なセルラーゼはカラーケアの効用を有するセルラーゼである(たとえば、欧州特許第0 495 257号参照)。本発明に用いられる商業的に入手可能なセルラーゼは、CELLUZYME(商標)、CAREZYME(商標)(Novozymes社)およびKAC-500(B) (商標)(花王社)を含むが、これらに限定されない。ある実施態様では、セルラーゼは成熟野生型もしくは変異体のセルラーゼの一部または断片として取り込まれ、その場合そのN末端の一部が欠失される(たとえば、米国特許第5,874,276号参照)。ある実施態様では、本発明の洗浄組成物はさらに該組成物の重量基準による約0.00001%〜約10%の追加のセルラーゼのレベルでセルラーゼを含み、残部は該組成物の重量基準による洗浄補助物質である。本発明の他の側面では、本発明の洗浄組成物はまた、該組成物の重量基準による約0.0001%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.001%〜約2%、約0.005%〜約0.5%のセルラーゼのレベルでセルラーゼを含む。
【0150】
洗剤組成物に用いるのに適した任意のマンナーゼも本発明に用いられる。好適なマンナーゼは細菌または真菌由来のものを含むが、これらに限定されない。化学的または遺伝学的に修飾された変異体が本発明に用いられる。本発明に用いられる様々なマンナーゼが知られている(たとえば、米国特許第6,566,114号、6,602,842号および6,440,991号参照。これらの全ては参照によって本明細書に取り込まれる。)。ある実施態様では、本発明の洗浄組成物はさらに該組成物の重量基準による約0.00001%〜約10%の追加のマンナーゼのレベルでマンナーゼを含み、残部は該組成物の重量基準による洗浄補助物質である。本発明の他の側面では、本発明の洗浄組成物はまた、該組成物の重量基準による約0.0001%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.001%〜約2%、約0.005%〜約0.5%のマンナーゼのレベルでマンナーゼを含む。
【0151】
ある実施態様では、ペルオキシダーゼが過酸化水素またはその源(たとえば、パーカーボネート、パーボレートまたはパ−サルフェート)と組み合わされて本発明の組成物に用いられる。ある別の実施態様では、オキシダーゼは酸素と組み合わされて用いられる。両方のタイプの酵素が「溶液漂白(solution bleaching)」のために(すなわち、洗い液中で複数の布地が一緒に洗われたときに染色された布地から他の布地へ織物染料が転移するのを防ぐために)、好ましくは増強剤とともに用いられる(たとえば、国際公開第94/12621号および95/01426号参照)。好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは、植物、細菌または真菌由来のものを含むが、これらに限定されない。化学的または遺伝学的に修飾された変異体がある実施態様に含められる。ある実施態様では、本発明の洗浄組成物はさらに該組成物の重量基準による約0.00001%〜約10%の追加のペルオキシダーゼおよび/またはオキシダーゼのレベルでペルオキシダーゼおよび/またはオキシダーゼを含み、残部は該組成物の重量基準による洗浄補助物質である。本発明の他の側面では、本発明の洗浄組成物はまた、該組成物の重量基準による約0.0001%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.001%〜約2%、約0.005%〜約0.5%のペルオキシダーゼおよび/またはオキシダーゼのレベルでペルオキシダーゼおよび/またはオキシダーゼを含む。
【0152】
ある実施態様では、追加の酵素はペルヒドロラーゼを用いるが、これに限定されない(たとえば、国際公開第05/056782号参照)。さらに、あるとりわけ好ましい実施態様では、上記の酵素の混合物、とりわけ1以上の追加のプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼおよび/または少なくとも1のセルラーゼが本発明に包含される。実際、これらの酵素の様々な混合物が本発明に用いられることが検討される。様々なレベルの1または複数の変異体プロテアーゼおよび1以上の追加の酵素が双方とも独立に約10%までの範囲であり、この洗浄組成物の残部が洗浄補助物質であることも検討される。洗浄補助物質の具体的な選択は、表面、品目または洗浄されるべき布地および使用の際の(たとえば、洗い洗剤の使用による)洗浄条件のために所望される組成物の形態を考慮することによって容易に行われる。
【0153】
好適な洗浄添加物質の例は、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、他の酵素、酵素安定化系、キレート剤、蛍光増白剤、防汚ポリマー、染料転移剤、染料転移抑制剤、触媒物質、過酸化水素、過酸化水素源、予成形過酸剤、ポリマー分散剤、粘土除去剤、構造弾性付与剤(structure elasticizing agent)、分散剤、起泡抑制剤、染料、香料、着色剤、フィラー塩、ヒドロトロープ、光活性化剤、蛍光剤、布地仕上剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、顔料、加水分解性界面活性剤、保存料、酸化防止剤、抗収縮剤、防しわ剤、殺菌剤、抗カビ剤、色ムラ防止剤、シルバーケア、防サビ剤および/または腐食防止剤、アルカリ性源、溶解剤、担体、加工助剤、顔料ならびにpH調整剤(たとえば、米国特許第6,610,642号、6,605,458号、5,705,464号、5,710,115号、5,698,504号、5,695,679号、5,686,014号および5,646,101号参照。これらの全ては参照によって本明細書に取り込まれる。)特定の洗浄組成物材料の実施態様は以下に詳細に例示される。洗浄補助物質が、洗浄組成物の中の本発明の変異体プロテアーゼと相容性でない実施態様では、洗浄補助物質と1または複数のプロテアーゼとを一緒にするのが適切になるまで、これらの2成分を分離して(すなわち、互いに接触させないで)おく適当な方法が用いられる。かかる分離方法は従来技術で知られた任意の適当な方法(すなわち、ジェルキャップ、カプセル化、錠剤、物理的分離等)を含む。
【0154】
好まれるある実施態様では、本明細書に提示される1以上の変異体プロテアーゼの有効な量が、タンパク質性の染みの除去が必要な様々な表面を洗浄するために有用な組成物中に含められる。かかる洗浄組成物は、硬質表面、布地および食器を洗浄するような用途のための洗浄組成物を含む。実際、ある実施態様では、本発明は布地洗浄組成物を提供し、他方、他の実施態様では、本発明は布地以外用の洗浄組成物を提供する。特に、本発明はパーソナルケアに適した洗浄組成物、たとえば口腔衛生(たとえば、歯磨き粉、練歯磨き、口腔洗浄液等ならびに義歯洗浄組成物)、皮膚および毛髪用の洗浄組成物も提供する。本発明は、任意の形態(すなわち、液体、顆粒、棒、半固体、ゲル、懸濁液、錠剤、カプセル等)の洗剤組成物を包含することが意図される。
【0155】
実施例として、本発明の変異体プロテアーゼが用いられるいくつかの洗浄組成物が以下に、より詳細に記載される。本発明の洗浄組成物がランドリー洗濯機による1または複数の洗い方法に用いられるのに適した組成物として処方される、ある実施態様では、本発明の組成物は好ましくは少なくとも1の界面活性剤および少なくとも1のビルダー化合物、ならびに有機ポリマー化合物、漂白剤、追加の酵素、起泡抑制剤、分散剤、石灰―石けん分散剤、土懸濁および再付着防止剤、および腐食防止剤から好ましくは選択された1以上の洗浄補助物質を含有する。ある実施態様では、ランドリー組成物は、柔軟剤(すなわち、追加の洗浄補助物質として)も含有する。本発明の組成物は、固体または液体形態の洗剤添加製品にも用いられる。かかる添加製品は従来の洗剤組成物の性能を補いおよび/または促進することを意図しており、洗浄工程の任意の段階で添加されることができる。ある実施態様では、本発明のランドリー洗剤組成物の密度は、20℃で測定されて約400〜約1200g/組成物リットルの範囲にあり、他方、別の実施態様では約500〜約950g/組成物リットルの範囲にある。
【0156】
食器手洗い方法に用いられる組成物として処方される実施態様では、本発明の組成物は、好ましくは少なくとも1の界面活性剤、ならびに有機ポリマー化合物、起泡促進剤、第II族金属塩、溶媒、ヒドロトロープおよび追加の酵素から選択された好ましくは少なくとも1の追加の洗浄補助物質を含有する。
【0157】
ある実施態様では、様々な洗浄組成物、たとえば米国特許第6,605,458号に提示されたものが、本発明の変異体プロテアーゼとともに用いられる。したがって、ある実施態様では、本発明の少なくとも1の変異体プロテアーゼを含む組成物は、コンパクト顆粒状布地洗浄組成物であり、他方、別の実施態様では、この組成物は着色された布地のランドリー洗濯に有用な顆粒状布地洗浄組成物であり、さらなる実施態様では、この組成物は洗濯限度容量全部の柔軟化を達成する顆粒状布地洗浄組成物であり、追加的な実施態様では、この組成物は重質液状布地洗浄組成物である。ある実施態様では、本発明の少なくとも1の変異体プロテアーゼを含む組成物は、布地洗浄組成物、たとえば米国特許第6、610、642号および第6,376,450号に記載されたものである。加えて、本発明の変異体プロテアーゼは、欧州または日本の洗い条件下で特に有用な顆粒状ランドリー洗剤組成物に用いられる(たとえば、米国特許第6,610,642号参照)。
【0158】
ある別の実施態様では、本発明は、本明細書に提示された少なくとも1の変異体プロテアーゼを含む硬質表面洗浄組成物を提供する。したがって、ある実施態様では、少なくとも1の本発明の変異体プロテアーゼを含む組成物は、米国特許第6,610,642号、第6,376,450号および第6,376,450号に記載されているような硬質表面洗浄組成物である。
【0159】
さらなる実施態様では、本発明は、本明細書に提示された少なくとも1の変異体プロテアーゼを含む食器洗い組成物を提供する。したがって、ある実施態様では、少なくとも1の本発明の変異体プロテアーゼを含む組成物は米国特許第6,610,642号および第6,376,450号の組成物のような硬質表面洗浄組成物である。さらに他の実施態様では、本発明は本明細書に提示された少なくとも1の変異体プロテアーゼを含む食器洗い組成物を提供する。あるさらなる実施態様では、少なくとも1の本発明の変異体プロテアーゼを含む組成物は、口腔ケア組成物、たとえば米国特許第6,376,450号および第6,376,450号の組成物を含む。上述の米国特許第6,376,450号、第6,605,458号、第6,605,458号および第6,610,642号に含まれている化合物および洗浄補助物質の配合および記載は、本明細書に提示された変異体プロテアーゼとともに用いられる。
【0160】
本発明の洗浄組成物は、任意の好適な形態に配合され、配合業者によって選択された任意の製造方法によって調製され、その非限定的な実施例は米国特許第5,879,584号、第5,691,297号、第5,574,005号、第5,569,645号、第5,565,422号、第5,516,448号、第5,489,392号および第5,486,303号に記載されており、これらの全ては参照によって本明細書に取り込まれる。低pH洗浄組成物が所望されるときは、かかる組成物のpHはモノエタノールアミンのような物質またはHClのような酸性物質の添加によって調整される。
【0161】
本発明の目的に必須ではないけれども、以下に例示される非限定的なリストの補助剤は、本発明の洗浄組成物に用いられるのに適している。ある実施態様では、これらの補助剤は、たとえば洗浄性能を補助しまたは高めるために、洗浄されるべき基体の処理のために、または香料、着色剤、染料等と同じ様に洗浄組成物の美感を修飾するために取り込まれる。かかる補助剤は本発明の変異体プロテアーゼに添加されるものであると理解される。これらの追加の成分の正確な性質およびその添加量は、組成物の物理的形態およびそれが用いられることになる洗浄操作の性質に依存する。好適な補助物質は、以下のものに限定されることなく界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料転移抑制剤、沈着助剤、分散剤、追加の酵素および酵素安定剤、触媒物質、漂白活性剤、漂白促進剤、過酸化水素、過酸化水素源、予成形過酸剤、ポリマー分散剤、粘土除去/再付着防止剤、増白剤、起泡抑制剤、染料、香料、構造弾性付与剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤および/または顔料を含む。下の開示に加えて、このような他の補助剤および使用レベルの適当な例は、米国特許第5,576,282号、第6,306,812号および第6,326,348号に見出され、これらの内容は参照によって取り込まれる。上述の補助成分は本発明の洗浄組成物の残部を構成することができる。
【0162】
ある実施態様では、本発明に従う洗浄組成物は少なくとも1の界面活性剤および/または界面活性剤系を含み、該界面活性剤は非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、対イオン界面活性剤、半極性非イオン界面活性剤およびこれらの混合物から選択される。ある低pH洗浄組成物(たとえば、約3〜約5の原pHを有する組成物)の実施態様では、該組成物は典型的にはエトシル化硫酸アルキルを含有していない。というのは、かかる界面活性剤は酸性内容物のかかる組成物によって加水分解されることがあると考えられているからである。ある実施態様では、界面活性剤は洗浄組成物の重量基準で約0.1%〜約60%のレベルで存在し、他方、別の実施態様では該レベルは約1%〜約50%であり、さらに別の実施態様では該レベルは約5%〜約40%である。
【0163】
ある実施態様では、本発明の洗浄組成物は、1以上の洗剤ビルダーまたはビルダー系を含む。少なくとも1のビルダーを取り込んでいるある実施態様では、洗浄組成物は、該洗浄組成物の重量基準で少なくとも約1%、約3%〜約60%またはさらに約5%〜約40%のビルダーを含む。ビルダーは以下のものに限定されることなく、ポリリン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類およびアルカリ金属炭酸塩、アルミノケイ酸塩、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレンまたはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸およびカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の種々のアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、たとえばエチレンジアミン4酢酸およびニトリロ3酢酸、ならびにポリカルボキシレート、たとえばメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸ならびにこれらの可溶性塩を含む。実際、任意の好適なビルダーが本発明の様々な実施態様に用いられることが検討される。
【0164】
ある実施態様では、ビルダーは水溶性硬度イオン錯体(たとえば、封鎖性ビルダー)、たとえばシトレートおよびポリリン酸塩(たとえば、トリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウムならびにトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムとの混合物等)を形成する。任意の好適なビルダー、たとえば従来技術で知られたものを本発明に用いることが検討される(たとえば、欧州特許第2 100 949号参照)。
【0165】
ある実施態様では、本発明の洗浄組成物は少なくとも1のキレート剤を含有する。好適なキレート剤は以下のものに限定されることなく、銅、鉄および/またはマンガンキレート剤ならびにこれらの混合物を含む。少なくとも1のキレート剤が用いられる実施態様では、本発明の洗浄組成物は、その対象洗浄組成物の重量基準で約0.1%〜約15%またはさらに約3.0%〜約10%のキレート剤を含む。
【0166】
あるさらなる実施態様では、本明細書に提示された洗浄組成物は、少なくとも1の沈着剤を含有する。好適な沈着剤は以下のものに限定されることなく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボキシレート、防汚ポリマー、たとえばポリテレフタル酸、粘土、たとえばカオリナイト、モンモリロナイト、アタプルガイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイトおよびこれらの混合物を含む。
【0167】
本明細書に示されるように、ある実施態様では、再付着防止剤が本発明のある実施態様に用いられる。ある好ましい実施態様では、非イオン界面活性剤が用いられる。たとえば、自動食器洗いの実施態様では、非イオン界面活性剤が表面修飾の目的のために、とりわけ敷布地のために、被膜形成および染み形成を防ぐために、ならびに光沢を改善するために用いられる。これらの非イオン界面活性剤は土の再付着を防止するのにも用いられる。ある好まれる実施態様では、再付着防止剤は従来技術で知られた非イオン界面活性剤である(たとえば、欧州特許第2 100 949号参照)。
【0168】
ある実施態様では、本発明の洗浄組成物は1以上の染料転移抑制剤を含む。好適なポリマー性染料転移抑制剤は、以下のものに限定されることなくポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾールまたはこれらの混合物を含む。少なくとも1の染料転移抑制剤が用いられる実施態様では、本発明の洗浄組成物は、該洗浄組成物の重量基準で約0.0001%〜約10%、約0.01%〜約5%、またはさらに約0.1%〜約3%を含む。
【0169】
ある実施態様では、本発明の洗浄組成物内にケイ酸塩が含められる。あるこのような実施態様では、ケイ酸ナトリウム(たとえば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよび結晶性フィロケイ酸塩)が用いられる。ある実施態様では、ケイ酸塩は約1%〜約20%のレベルで存在する。ある好ましい実施態様では、ケイ酸塩は該組成物の重量基準で約5%〜約15%のレベルで存在する。
【0170】
あるさらなる追加的な実施態様では、本発明の洗浄組成物は分散剤も含有する。好適な水溶性有機物質は、以下のものに限定されることなくホモもしくはコポリマー酸またはこれらの塩を含み、この場合に該ポリカルボン酸は2以下の炭素原子によって互いに隔てられている少なくとも2のカルボキシ基を含んでいる。
【0171】
あるさらなる実施態様では、本発明の洗浄組成物に用いられる酵素は任意の適当な手法によって安定化される。ある実施態様では、本明細書で用いられる酵素は、仕上げられた組成物中のカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの水溶性源の存在によって安定化され、この仕上げられた組成物はかかるイオンを該酵素に供給する。ある実施態様では、酵素安定剤はオリゴ糖類、多糖類および無機2価金属塩、たとえばアルカリ土類金属塩、たとえばカルシウム塩を含む。酵素安定化のための様々な手法を本発明に用いることが検討される。たとえば、ある実施態様では、本明細書で用いられる酵素は、仕上げられた組成物中の亜鉛(II)、カルシウム(II)および/またはマグネシウム(II)イオンの水溶性源の存在によって安定化され、この仕上げられた組成物はかかるイオンを該酵素に供給し、ならびに他の金属イオン(たとえば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(II)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)およびオキソバナジウム(IV))も供給する。塩化物および硫酸塩も本発明のある実施態様に用いられる。好適なオリゴ糖類および多糖類(たとえば、デキストリン)の実施例は従来技術で知られている(たとえば、国際公開第07/145964号参照)。ある実施態様では、所望により安定性をさらに改善するために可逆的プロテアーゼ阻害剤、たとえばホウ素含有化合物(たとえば、ホウ酸塩、4−ホルミルフェニルホウ酸)および/またはトリペプチドアルデヒドも用いられる。
【0172】
ある実施態様では、漂白剤、漂白活性化剤および/または漂白触媒が本発明の組成物中に存在する。ある実施態様では、本発明の洗浄組成物は1または複数の無機および/または有機漂白化合物を含む。無機漂白剤は過水和塩(たとえば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩および過ケイ酸塩)を含むがこれに限定されない。ある実施態様では、無機過水和塩はアルカリ金属塩である。ある実施態様では、無機過水和塩は結晶性固体として追加の保護なしに含められる。もっとも、ある別の実施態様では、該塩は被覆される。従来技術で知られた任意の適当な塩が本発明に用いられる(たとえば、欧州特許第2 100 949号参照)。
【0173】
ある実施態様では、漂白活性化剤が本発明の組成物に用いられる。漂白活性化剤は典型的には、60℃以下の温度での洗浄の過程で漂白作用を高める有機過酸前駆体である。本発明に用いるのに適した漂白活性化剤は、過加水分解条件下に、好ましくは約1〜約10の炭素原子、とりわけ約2〜約4の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸および/または任意的に置換されていてもよい過安息香酸を与える化合物を含む。さらなる漂白活性化剤が従来技術で知られており、本発明に用いられる(たとえば、欧州特許第2 100 949号参照)。
【0174】
さらに、ある実施態様においておよび本明細書にさらに記載されるように、本発明の洗浄組成物はさらに、少なくとも1の漂白触媒を含む。ある実施態様では、マンガントリアザシクロノナンおよび関連する錯体、ならびにコバルト、銅、マンガンおよび鉄の錯体が用いられる。さらなる漂白触媒が本発明に用いられる(たとえば、米国特許第4,246,612号、第5,227,084号、第4,810410号、国際公開第99/06521号および欧州特許第2 100 949号参照)。
【0175】
ある実施態様では、本発明の洗浄組成物は1以上の触媒金属錯体を含有する。ある実施態様では、金属含有漂白触媒が用いられる。ある好ましい実施態様では、金属漂白触媒は、所定の漂白触媒活性の遷移金属カチオン(たとえば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデンまたはマンガンのカチオン)、漂白触媒活性をほとんどまたは全く有しない補助金属カチオン(たとえば、亜鉛またはアルミニウムカチオン)ならびに触媒および補助金属カチオンに対して所定の安定性定数を有する封鎖剤、特にエチレンジアミン4酢酸、エチレンジアミン4(メチルホスホン酸)およびこれらの水溶性塩を含む触媒系を含む(たとえば、米国特許第4,430,243号参照)。ある実施態様では、本発明の洗浄組成物はマンガン化合物によって触媒される。かかる化合物および使用のレベルは従来技術で周知である(たとえば、米国特許第5,576,282号参照)。さらなる実施態様では、コバルト漂白触媒が本発明の洗浄組成物に用いられる。様々なコバルト漂白触媒が従来技術で知られており(たとえば、米国特許第5,597,936号および第5,595,967号参照、公知の方法によって容易に調製される。
【0176】
さらなる実施態様では、本発明の洗浄組成物は大多環式剛性配位子(MRL)の遷移金属錯体を含む。実際問題としてかつ限定としてでなく、ある実施態様では、本発明によって提供される組成物および洗浄工程は、水性洗い媒体中にほぼ少なくとも1億分の1部程度の活性MRL種をもたらすように、ある好まれる実施態様では洗い液中に約0.005ppm〜約25ppm、より好ましくは約0.05ppm〜約10ppm、最も好ましくは約0.1ppm〜約5ppmのMRLをもたらすように調整される。
【0177】
本発明の遷移金属漂白触媒中の好まれる遷移金属はマンガン、鉄およびクロムを含むが、これらに限定されない。好まれるMRLも架橋した特別な超剛性配位子(たとえば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン)を含むが、これに限定されない。好適な遷移金属MRLは公知の手順によって容易に調製される(たとえば、国際公開第2000/32601号および米国特許第6,225,464号参照)。
【0178】
ある実施態様では、本発明の洗浄組成物はメタルケア(metal care)剤を含む。メタルケア剤は金属、たとえばアルミニウム、ステンレス鋼および非鉄金属(たとえば、銀および銅)の変色、腐食および/または酸化を防止しおよび/または低減するのに用いられる。好適なメタルケア剤は欧州特許第2 100 949号、国際公開第9426860号および第94/26859号に記載されたものを含む。ある実施態様では、メタルケア剤は亜鉛塩である。あるさらなる実施態様では、本発明の洗浄組成物は約0.1%〜約5重量%の1以上のメタルケア剤を含む。
【0179】
上記のように、本発明の洗浄組成物は、任意の好適な形態に調合され、調合業者によって選択された任意の製造方法によって調製され、非限定的な例は米国特許第5,879,584号、第5,691,297号、第5,574,005号、第5,569,645号、第5,516,448号、第5,489,392号および第5,486,303号に記載され、これらの全ては参照によって本明細書に取り込まれる。低pH洗浄組成物が望まれるある実施態様では、かかる組成物のpHは酸性物質、たとえばHClの添加によって調整される。
【0180】
本明細書に開示された洗浄組成物は、場所(たとえば、表面、食卓用食器または布地)の洗浄に用いられる。典型的には、適所の少なくとも一部が本発明の洗浄組成物の1実施態様と原形態でまたは洗い液中に希釈されて接触され、次にその場所が任意的に洗われおよび/またはすすがれてもよい。本発明の目的のためには、「洗い」とはごしごし洗うことおよび機械的撹拌を含むが、これらに限定されない。ある実施態様では、洗浄組成物は典型的には溶液中約500ppm〜約15,000ppmの濃度で用いられる。洗い溶媒が水であるときは水温は典型的には約5℃〜約90℃の範囲であり、適所が布地を含むときは水と布地との質量比は典型的には約1:1〜約30:1である。
実験
【0181】
以下の実施例は、本発明のある好まれる実施態様および側面を実証しさらに例示するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0182】
以下に続く実験の開示においては、以下の略称が用いられる。すなわち、℃(セ氏度);rpm(1分間当りの回転数);HO(水);HCl(塩酸);aaおよびAA(アミノ酸);bp(塩基対);kb(キロ塩基対);kD(キロダルトン);gm(グラム);μgおよびug(マイクログラム);mg(ミリグラム);ng(ナノグラム);μlおよびul(マイクロリットル);ml (ミリリットル); mm (ミリメートル);nm (ナノメートル);μmおよびum(マイクロメータ);M (モル);mM (ミリモル);μMおよびuM (マイクロモル);U (単位);V (ボルト); MW (分子量);sec(秒); min(s)(分);hr(s)(時間);MgCl (塩化マグネシウム);NaCl(塩化ナトリウム);OD280 (280nmにおける光学密度);OD405 (405nmにおける光学密度);OD600 (600nmにおける光学密度);PAGE(ポリアクリルアミド ゲル電気泳動法);EtOH (エタノール);PBS (リン酸緩衝生理食塩水 [150mM NaCl、10mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2]); LAS (ラウリル硫酸ナトリウム);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);Tris(トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン);TAED(N,N,N’N’−テトラアセチルエチレンジアミン);BES (ポリエステルスルホン);MES (2−モルフォリノエタンスルホン酸一水和物;f.w.195.24;Sigma#M−3671);CaCl(無水塩化カルシウム;f.w.110.99;Sigma#C−4901);SRI(染み除去指数)、BMI(血液ミルクインク)およびBMIPI(血液ミルクインク性能指数)、TCA(トリクロロ酢酸)およびTCAPI(トリクロロ酢酸性能指数)。
【0183】
さらに材料物質はいくつかの以下の機関から得られた。すなわち、TIGR (ゲノム調査機構(The Institute for Genomic Research), Rockville, MD); AATCC (米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of Textile and Coloring Chemists)); Amersham (Amersham Life Science, Inc. Arlington Heights, IL); Corning (Corning International, Corning, NY); ICN (ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CA); Pierce (Pierce Biotechnology, Rockford, IL); Equest (Equest, Warwick International Group, Inc., Flintshire, UK); EMPA (スイス材料検査および試験協会(Eidgenossische Material Prufungs und Versuch Anstalt), St. Gallen, Switzerland); CFT (材料試験センター(Center for Test Materials), Vlaardingen, The Netherlands); Amicon (Amicon, Inc., Beverly, MA); ATCC (American Type Culture Collection, Manassas, VA); Becton Dickinson (Becton Dickinson Labware, Lincoln Park, NJ); Perkin-Elmer (Perkin-Elmer, Wellesley, MA); Rainin (Rainin Instrument, LLC, Woburn, MA); Eppendorf (Eppendorf AG, Hamburg, Germany); Waters (Waters, Inc., MiIf ord, MA); Geneart (Geneart GmbH, Regensburg, Germany); Perseptive Biosystems (Perseptive Biosystems, Ramsey, MN); Molecular Probes (Molecular Probes, Eugene, OR); BioRad (BioRad, Richmond, CA); Clontech (CLONTECH Laboratories, Palo Alto, CA); Cargill (Cargill, Inc., Minneapolis, MN); Difco (Difco Laboratories, Detroit, MI); GIBCO BRLまたはGibco BRL (Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD); New Brunswick (New Brunswick Scientific Company, Inc., Edison, NJ); Thermoelectron (Thermoelectron Corp., Waltham, MA); BMG (BMG Labtech, GmbH, Offenburg, Germany); Greiner (Greiner Bio-One, Kremsmuenster, Austria); Novagen (Novagen, Inc., Madison, WI); Novex (Novex, San Diego, CA); Finnzymes (Finnzymes OY, Finland); Qiagen (Qiagen, Inc., Valencia, CA); Invitrogen (Invitrogen Corp., Carlsbad, CA); Sigma (Sigma Chemical Co., St. Louis, MO); DuPont Instruments (Asheville, NY); Global Medical InstrumentationまたはGMI (Global Medical Instrumentation; Ramsey, MN); MJ Research (MJ Research, Waltham, MA); Infors (Infors AG, Bottmingen, Switzerland); Stratagene (Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA); Roche (Hoffmann La Roche, Inc., Nutley, NJ); Agilent (Agilent Technologies, Palo Alto, CA); Merck (Merck & Co., Rahway, NJ); Ion Beam Analysis Laboratory (Ion Bean Analysis Laboratory, The University of Surrey Ion Beam Centre (Guildford, UK); TOM(Terg-o-Meter); BMI (血液、ミルク、インク); BaChem (BaChem AG, Bubendorf, Switzerland); Molecular Devices (Molecular Devices, Inc., Sunnyvale, CA); Corning (Corning International, Corning, NY); MicroCal (Microcal, Inc., Northhampton, MA); Chemical Computing (Chemical Computing Corp., Montreal, Canada); NCBI (National Center for Biotechnology Information); Beckman (Beckman-Coulter, Fullerton, CA); SeitzSchenk (SeitzSchenk Filtersystems GmbH, Bad Kreuznach, Germany); Pall (Pall Corp., East Hills, NY); Malvern Instruments (Malvern Instruments Inc., Worcestershire, UK); DNA 2.0 (Menlo Park, CA); Molecular Devices (Sunnyvale, CA); Coster (Cambridge, MA)。
【実施例1】
【0184】
アッセイ
以下の実施例では、読むのが楽なように以下に記載された様々なアッセイが用いられた。以下に提示される手順から外れる個所はいずれも明示される。

A.96ウェルマイクロタイタープレートにおけるタンパク質含量測定のためのTCAアッセイ
【0185】
FNA(たとえば、親プロテアーゼ)およびその変異体について、230rpmでの振とうおよび加湿通気下に33℃で3〜4日間成長させた、マイクロタイタープレートからろ過された培養物上清を用いて、このアッセイは開始された。新鮮な96ウェル平底マイクロタイタープレート(MTP)がこのアッセイに用いられた。最初に、100μl/ウェルの0.25N HClが各ウェルに入れられた。次に、50μlのろ過された培養物ブロスが添加された。「ブランク」の読み取り値を得るために、405nmにおける光散乱/吸光度(プレートリーダーで5秒間混合モードを使用)が次に測定された。試験のために、100μL/ウェルの15(重量/体積)%トリクロロ酢酸(TCA)がプレートに入れられ、室温で5〜30分間温置された。405nmにおける光散乱/吸光度(プレートリーダーで5秒間混合モードを使用)が次に測定された。
【0186】
GG36(たとえば、親プロテアーゼ)およびその変異体について、300rpmでの振とうおよび加湿通気下に37℃で約3日間成長させたマイクロタイタープレートからろ過された培養物上清を用いて、このアッセイは開始された。このアッセイでは、100μLの0.25M HCl溶液が96ウェル平底マイクロタイタープレートの各ウェルに添加された。その後、(プロテアーゼを含有する)ろ過された培養物上清の25μLアリコートがウェルに添加された。「ブランク」の読み取り値を得るために、405nmにおける光散乱/吸光度(プレートリーダーで5秒間混合モードを使用)が次に測定された。この測定の後、100μLの30(重量/体積)%TCA溶液が各ウェルに添加され、このマイクロタイタープレートが室温で5〜15分間温置された。最後に、405nmにおける最終的な光散乱/吸光度(プレートリーダーで5秒間混合モードを使用)が測定された。
【0187】
用いられた装置はBiomek FXロボット(Beckman Coulter社)およびSpectraMAX (タイプ340;Molecular Devices社) MTPリーダーであり、MTPはCostar社 (タイプ9017) から入手した。用いられた装置はBiomek FXロボット(Beckman Coulter社)およびSpectraMAX タイプ340(Molecular Devices社) MTPリーダーであり、MTPはタイプ9017 (Costar社) であった。
【0188】
TCAを用いた試験の読み取り値からブランク(TCAなし)を差し引くことによって計算がされて、サンプル中のタンパク質含有量の相対測定値が与えられた。所望であれば、既知の換算係数を有するクローンのAAPFアッセイを用いてTCA読み取り値を較正することによって、標準曲線が作成されることができる。しかし、TCAの結果はタンパク質50〜500マイクログラム毎ml(ppm)のタンパク質濃度に関して線形であり、したがって良好な性能の変異体を選ぶ目的のためには、酵素性能に対して直接プロットすることができる。サンプルの濁度/光散乱の増加は培養物上清中の沈殿性タンパク質の総量に相関する。
B.洗浄性能アッセイ
【0189】
参照セリンプロテアーゼおよびその変異体のマイクロスウォッチ(microswatch)上の染み除去性能が、商業的に入手可能なTIDE(商標)2X Cold洗剤中でマイクロタイタープレート(MTP)の規模で測定された。プロテアーゼ活性の消失が確認された熱不活性化されたTIDE(商標)2X Cold(即納洗剤)がアッセイに用いられた。市販洗剤配合物の熱不活性化は、非酵素成分の特性は保持しながら、在りうるタンパク質成分の酵素活性を破壊する役割をする。したがって、この方法は、本発明の酵素変異体を試験するのに用いるための商業的に入手した洗剤の下処理をするのに適している。用いられた試薬は、5mM HEPES、pH8.0または5mM MOPS、pH7の緩衝液、中程度の水硬度用3:1 Ca:Mg: (CaCl2:MgCl2・6H2O)の15000グレイン毎ガロン(gpg)原料が6 gpgに希釈されたものである。CFTで処理された2のEMPA-116 BMI(血液/ミルク/インク)綿スウォッチがウェル毎に用いられた。マイクロスウォッチは環境温度において脱イオン水中で20分間前洗いされた。前洗い段階の後、スウォッチはペーパータオル上に置かれて乾燥された。風乾されたスウォッチは次にエクスパルションプレス上で1/4インチ円形ダイを用いて穴をあけられた。最後に、2のマイクロスウォッチが96ウェルMTPの各ウェル中に垂直に(すなわち、ウェルの底に平らでなく)入れられて表面部全体が曝されるようにされた。作業洗剤溶液が表1−1に示される。
【表2】

【0190】
培養器は16℃に設定された。約10 ppm酵素の原液希釈プレートからの10μLのサンプルが、上表に示された190 μLの作業洗剤溶液を入れられたBMIの2のスウォッチのプレートに添加された。量はアッセイプレート中の変異体について0.5 ppmの最終濃度となるように調整された。このプレートに直ちにiEMS培養器/振とう器(Thermo/Labsystems社)に移され、所定温度で30分間1400rpmで振とうされながら温置された。温置後、100μLの上清が新しい96ウェルプレート(Costarタイプ9017が温置後の読み取り用反応プレートとして用いられた。)中に移され、吸光度がSpectraMAX MTPリーダー (タイプ340; Molecular Devices社)中で405nmおよび/または600 nmにおいて測定された。2のマイクロスウォッチおよびプロテアーゼサンプルを添加していない洗剤を含む対照ウェルも試験に含められた。405nmにおける測定値は比較高い値を与え顔料の除去を追跡し、他方、600 nmにおける測定値は濁度および洗浄性を追跡する。このアッセイでは、プロテアーゼは基質を加水分解し、基質から顔料および不溶性粒子を開放する。したがって、濁度の変化速度は酵素活性の尺度である。
染み除去活性の計算
【0191】
得られた吸光度値はブランク値(酵素なしの基質)について較正され、加水分解活性の尺度を与える。各サンプル(変異体)について性能指数が計算された。性能指数は、同じタンパク質濃度における変異体(実測値)と標準酵素(理論値)との性能を比較する。さらに、理論値は標準酵素のラングミュアの式のパラメータを用いて計算されることができる。
性能指数
【0192】
性能指数は、同じタンパク質濃度における変異体(実測値)と親プロテアーゼ(理論値)との性能を比較する。さらに、理論値は標準プロテアーゼの結合曲線(すなわち、ラングミュアの式)のパラメータを用いて計算されることができる。少なくとも1の特性について0.5より大きい値を有する性能指数(PI)は、1以上の変異と組み合わされることができる少なくとも1の変異を含み、0.5より大きいPI値がすでに測定されている関心の対象である特性以外のまたはそれに加えて、関心の対象である1以上の特性について適切な性能指数を有するタンパク質を生成することができる変異体を特定する。
【実施例2】
【0193】
バチルススブチリスGG36スブチリシン変異体
この実施例では、GG36(本明細書ではバチルスレンタススブチリシンとも呼ばれる。)を産生するために実施された実験が記載される。形質転換は従来技術で知られているように実施された(たとえば、国際公開第02/14490号参照)。
バチルススブチリス中でのGG36プロテアーゼの産生
【0194】
発現プラスミドpAC-GG36ciが、コンセンサスaprEプロモーターおよびBPN'転写ターミネーターの制御下にaprEシグナル配列の8番目のコドンで融合された、コドンの改善された遺伝子GG36を用いて組み立てられた。以下に提示された配列(配列番号2)において、太字かつイタリック体のフォントはコンセンサスaprEプロモーターを示し、標準フォントはシグナル配列を示し、下線付きのフォントはプロ配列を示し、太字のフォントはGG36成熟プロテアーゼをコードするDNAを示し、下線付きかつイタリック体のフォントはBPN'ターミネーターを示す。GG36成熟領域をコードするDNA配列(配列番号4)はクローニングのための制限部位KpnIおよびXhoIによって隣接される。
【数1】

【0195】
図4に示されたプラスミドpAC-GG36ciが、バチルススブチリス中のGG36プロテアーゼの発現のために用いられた。プラスミドの要素は以下の通りである。すなわち、pUB 110=プラスミドpUB 110由来のDNA断片[McKenzie T., Hoshino T., Tanaka T., Sueoka N.、 (1986)、「pUB110のヌクレオチド配列:複製およびその制御に関するある顕著な特徴(The Nucleotide Sequence of pUB110: Some Salient Features in Relation to Replication and Its Regulation)」、 Plasmid 15:93-103] 、pBR322=プラスミドpBR322由来のDNA断片[Bolivar F, Rodriguez RL, Greene PJ, Betlach MC, Heyneker HL, Boyer HW. (1977) 、「新規なクローニング媒体の構築および特性解析II.多目的クローニング系(Construction and characterization of new cloning vehicles. II. A multipurpose cloning system)」、Gene 2:95-113]、pC194 = プラスミドpC194由来のDNA断片[Horinouchi S., Weisblum B. (1982) 、「pC194のヌクレオチド配列および機能マップ、誘導性クロマムフェニコール耐性を指定するプラスミド(Nucleotide sequence and functional map of pC194, a plasmid that specifies inducible chloramphenicol resistance)」、J. Bacteriol 150:815-825]。
【0196】
プラスミドの特徴は以下の通りである。すなわち、バチルススブチリスのOri=pUB110由来の複製起点、CAT=pC194由来のクロマムフェニコール耐性遺伝子、pMB1起点=pBR322由来の複製起点、bla=pBR322由来のベータラクタマーゼ、短いaprEプロモーター=コンセンサス転写プロモーター、シグナルペプチド=シグナルペプチド、プロペプチド=GG36プロ領域、GG36ci成熟ペプチド=(この研究で発現された各変異体のコード領域によって置き換えられた)成熟GG36、BPN'ターミネーター=スブチリシンBPN'由来の転写ターミネーター。
【0197】
GG36前駆体タンパク質のアミノ酸配列が以下に提示される(配列番号3)。この配列において、太字は成熟GG36プロテアーゼ(野生型)を表し、これは配列番号4としても提示される。
【数2】

【数3】


バチルスレンタススブチリシン(=GG36)の組み換え電荷/疎水性ライブラリー(CCHL)の設計および生成
【0198】
バチルスレンタススブチリシンの組み換え電荷/疎水性ライブラリー(CCHL)が、7個のほどよく分配され表面に曝されたアミノ酸を同定することによって設計された。これらの残基はS24, R45, S101, Q109, G118, T213および L217である。置換の位置の番号はBPN'スブチリシン中の列挙された位置(BPN'の番号付け:図1)との対応によって付けられる。表2−1に示されるように、33構成員の組み換え疎水性ライブラリー(GH2〜GH33)が、各部位における四つの可能性、すなわち野生型、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)およびアルギニン(R)を組み合わせることによって生成された。
【0199】
コドンの改善されたGG36遺伝子を有するpAC-GG36ciプラスミドがCHLの生成のためにDNA 2.0社 (Menlo Park, CA)に送られた。バチルススブチリス株(遺伝子型: ΔaprE, ΔnprE, ΔspoIIE, amyE::xylRPxylAcomK-phleo)が、GG36変異体スブチリシンをコードするDNAの形質転換のための宿主株として提供された。変異体は96ウェルプレート中のグリセロール保存物として供給された。
【0200】
表2−1は変異体を生成するためにGG36にされた置換を示す。表2−1はまた、変異体GG36と野生型との間の正味電荷および疎水性の差異も示す。
プロテアーゼ変異体の発現
【0201】
GG36またはFNAの発現ベクターを有するバチルススブチリスのクローンが、グリセロール保存物から鋼製96ウェル複製器で複製され、200 μlのLB培地+25 μg/ml のクロマムフェニコールを含有する96ウェル培養物プレート(Becton Dickinson社, 353075)に入れられ、加湿囲い中220rpm、37℃において一晩成長された。一晩経た培養物からの200μlが5 mlのプラスチック製振とう管中の2000μl限定培地+25 μg/ml のクロマムフェニコールに接種するために用いられた。培養培地は、主窒素源として尿素、主炭素源としてグルコースを含み、頑健な細胞成長のために1%ソイトンを強化されたMOPに基づいた強化半限定培地であった。振とう管は37℃、220 rpmで60時間温置された。60時間後、上清が8000×RCF超の遠心分離機中で遠心分離された。溶液が15 mlポリプロピレン円錐管中にデカンテーションされ保存された。これ以上の精製または濃縮は実施されなかった。上清保存物は長期安定性のために40%プロピレングリコールとなるように調合され4℃で貯蔵された。
【表3】



【実施例3】
【0202】
バチルススブチリスFNAスブチリシン変異体
バチルススブチリス中でのFNAプロテアーゼの産生
この実施例では、バチルススブチリス中でFNA(本明細書ではバチルススブチリススブチリシンBPN'-Y217L (=FNA)とも呼ばれる。)を産生するために実施された実験が記載される。形質転換は従来技術で知られているように実施された(たとえば、国際公開第02/14490号参照)。
【0203】
発現プラスミドpAC- FNAreが、コンセンサスaprEプロモーターおよびBPN'転写ターミネーターの制御下にaprEシグナル配列の8番目のコドンで融合されたFNA遺伝子を用いて組み立てられた。以下に提示された配列(配列番号5)において、太字かつイタリック体のフォントはコンセンサスaprEプロモーターを示し、標準フォントはシグナル配列を示し、下線付きのフォントはプロ配列を示し、太字のフォントはFNA成熟プロテアーゼをコードするDNAを示し、下線付きかつイタリック体のフォントはBPN'ターミネーターを示す。FNA成熟領域はクローニングのための制限部位KpnIおよびXhoIを含む(図5参照)。
【数4】

【0204】
図5に示されたプラスミドpAC-FNAreが、バチルススブチリス中のFNAプロテアーゼの発現のために用いられた。プラスミドの要素は以下の通りである。すなわち、pUB 110=プラスミドpUB 110由来のDNA断片[McKenzie T., Hoshino T., Tanaka T., Sueoka N.、 (1986)、「pUB110のヌクレオチド配列:複製およびその制御に関するある顕著な特徴(The Nucleotide Sequence of pUB110: Some Salient Features in Relation to Replication and Its Regulation)」、 Plasmid 15:93-103] 、pBR322=プラスミドpBR322由来のDNA断片[Bolivar F, Rodriguez RL, Greene PJ, Betlach MC, Heyneker HL, Boyer HW. (1977) 、「新規なクローニング媒体の構築および特性解析II.多目的クローニング系(Construction and characterization of new cloning vehicles. II. A multipurpose cloning system)」、Gene 2:95-113]、pC194 = プラスミドpC194由来のDNA断片[Horinouchi S., Weisblum B. (1982) 、「pC194のヌクレオチド配列および機能マップ、誘導性クロマムフェニコール耐性を指定するプラスミド(Nucleotide sequence and functional map of pC194, a plasmid that specifies inducible chloramphenicol resistance)」、J. Bacteriol 150:815-825]。
【0205】
プラスミドの特徴は以下の通りである。すなわち、バチルススブチリスのOri=pUB110由来の複製起点、CAT=pC194由来のクロマムフェニコール耐性遺伝子、pMB1起点=pBR322由来の複製起点、bla=pBR322由来のベータラクタマーゼ、短いaprEプロモーター=コンセンサス転写プロモーター、シグナルペプチド=シグナルペプチド[が指定する]、プロペプチド=FNAプロ領域、FNA成熟ペプチド=(この検討で発現された各変異体のコード領域によって置き換えられた)成熟FNA、BPN'ターミネーター=スブチリシンBPN'由来の転写ターミネーター。
【0206】
FNA前駆体タンパク質のアミノ酸配列が以下に提示される(配列番号6)。この配列において、太字は成熟FNAプロテアーゼ(野生型)を表し、これは配列番号7としても提示される。
【数5】

【数6】

スブチリシンBPN'-Y217L (=FNA)の組み換え電荷/疎水性ライブラリー(CHL)の設計および生成
【0207】
スブチリシンBPN'-Y217Lの組み換え電荷/疎水性ライブラリーが、7個のほどよく分配され表面に曝されたアミノ酸を同定することによって設計された。これらの残基はS24, A45, S101, N109, N118, K213およびL217である。表3−1に示されるように、32構成員の組み換え疎水性ライブラリー(FH2〜FH33)が、各部位における四つの可能性、すなわち野生型、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)およびアルギニン(R)を組み合わせることによって生成された。
【0208】
FNA遺伝子を有するpAC-FNAreプラスミドが組み換え疎水性ライブラリーの生成のためにDNA 2.0社 (Menlo Park, CA)に送られた。バチルススブチリス株(遺伝子型: ΔaprE, ΔnprE, ΔspoIIE, amyE::xylRPxylAcomK-phleo)が、FNA変異置換体をコードするDNAの形質転換のために提供された。変異体は96ウェルプレート中のグリセロール保存物として供給された。
【0209】
表3−1は変異体を生成するためにFNAにされた置換を示す。表3−1はまた、変異体FNAと野生型との間の正味電荷および疎水性の差異も示す。
プロテアーゼ変異体の発現
【0210】
GG36またはFNAの発現ベクターを有するバチルススブチリスのクローンが、グリセロール保存物から鋼製96ウェル複製器で複製され、200 μlのLB培地+25 μg/ml のクロマムフェニコールを含有する96ウェル培養物プレート(Becton Dickinson社, 353075)に入れられ、加湿囲い中220rpm、37℃において一晩成長された。一晩経た培養物からの200μlが5 mlのプラスチック製振とう管中の2000μl限定培地+25 μg/ml のクロマムフェニコールに接種するために用いられた。培養培地は、主窒素源として尿素、主炭素源としてグルコースを含み、頑健な細胞成長のために1%ソイトンを強化されたMOPに基づいた強化半限定培地であった。振とう管は37℃、220 rpmで60時間温置された。60時間後、上清が8000×RCF超の遠心分離機中で遠心分離された。溶液が15 mlポリプロピレン円錐管中にデカンテーションされ保存された。これ以上の精製または濃縮は実施されなかった。上清保存物は長期安定性のために40%プロピレングリコールとなるように調合され4℃で貯蔵された。
【表4】



【実施例4】
【0211】
染み除去および相対発現の評価

この実施例は、BMIマイクロスウォッチアッセイにおけるGG36およびFNA組み換え疎水性ライブラリー変異体の試験を記載する。実施例1に提示された方法が用いられた。表4−1(GG36)および表4−2(FNA)に示された結果は、相対タンパク質発現(TCA PI)および染み除去活性(BMI PI)について、これらの変異体の性能がそれぞれの親と比較される性能指数を表す。0.05以下の性能指数は0.05とされ、太字イタリック体で示された。NDは検出されなかったことを示す。
【表5】




【表6】




【0212】
本明細書で言及された全ての特許および刊行物は、本発明が関係する当業者の水準を示す。当業者は、本発明がその対象を実施するために状況に応じて容易に改変され、本明細書に述べられた目的および利点、ならびに本発明の固有のものを達成することを直ちに理解する。本明細書に記載された組成物および方法は、好まれる実施態様の代表例であり、本発明の範囲の限定を意図するものではない。本発明の範囲および精神から離れることなく、本明細書に開示された発明に様々な置換および変形が行われることができることは当業者には容易にわかることである。
【0213】
本明細書に例示的に記載された発明は、本明細書に具体的に開示されていない何らかの要素または複数の要素、限定または複数の限定がなくても適切に実施されることができる。用いられた用語および表現は、説明の言葉として用いられており、限定の言葉として用いられているのではない。かかる用語および表現の使用において、示されおよび記載された特徴の何らかの均等物またはその一部を除外する意図はなく、特許請求された発明の範囲内において様々な改変が可能であることが認識されるべきである。このように、本発明は、好まれる実施態様および任意的な特徴によって具体的に開示されたけれども、本明細書に開示された概念の修飾および変形が当業者によって用いられることができ、かつ、かかる修飾および変形は特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内であるとみなされることが理解されなければならない。
【0214】
本発明は、本明細書に広く、かつ属との関連で記載されてきた。属に関する開示の範囲内に属する、より狭い化学種および亜属の集団のそれぞれも、本発明の一部を構成する。このことは、削除された物質が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、その属から何らかの対象を除外するという条件または否定的限定を有する本発明の属に関する記載についても適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バチルススブチリシン(Bacillus subtilisin)の単離されたスブチリシン変異体であって、当該スブチリシン変異体が、タンパク質分解活性を有し位置24、45、101、109、118、213および217から選択された2以上の位置における置換を含む成熟型であり、当該位置が、配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)スブチリシンBPN’のアミノ酸配列との対応によって番号を付けられた、単離されているスブチリシン変異体。
【請求項2】
当該スブチリシン変異体が、0.5以上である相対タンパク質発現レベル性能指数(TCA PI)および/または染み除去活性性能指数(BMI PI)を有する、請求項1に記載の単離されているスブチリシン変異体。
【請求項3】
当該バチルススブチリシンがGG36であり、2以上の位置における当該置換がS24Q, S24E, S24L, S24R, R45Q, R45E, R45L, S101Q, S101E, S101L, S101R, Q109E, Q109L, Q109R, G118Q, G118E, G118L, G118R, T213Q, T213L, T213R, T213E, L217QおよびL217Eから選択され、当該位置が配列番号1のBPN’スブチリシンの位置に対応する、請求項1または2に記載の単離されているスブチリシン変異体。
【請求項4】
当該バチルススブチリシンがFNAであり、2以上の位置における当該置換がS24Q, S24E, S24L, S24R, A45Q, A45E, A45L, A45R, S101Q, S101E, S101L, S101R, N109Q, N109E, N109L, N109R, K213Q, K213E, K213L, K213R, L217QおよびL217Eから選択され、当該位置が配列番号1のBPN’スブチリシンの位置に対応する、請求項1または2に記載の単離されているスブチリシン変異体。
【請求項5】
当該バチルススブチリシンがGG36であり、2以上の位置における当該置換がS24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S101Q-G118Q-T213Q, G118Q-T213Q, S24E-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101Q-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118Q-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213Q, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24L-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101Q-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-G118Q-T213Q, S24L- R45L-S101L-Q109L-G118Q-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213Q, S24L-R45L-S101L-Q109L-G118L-T213L, S24R-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101Q-G118Q-T213Q, S24R-S101R- G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118Q-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213Q, S24R-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101R-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109R-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118R-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213R, S24E-R45E-S101E-Q109E-G118E-T213E, S24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q-L217QおよびS24Q-R45Q-S101Q-G118Q-T213Q-L217Eから選択され、当該位置が配列番号1のBPN’スブチリシンの位置に対応する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離されているスブチリシン変異体。
【請求項6】
当該スブチリシン変異体が、タンパク質分解活性を有し置換T213Qを含む成熟型であり、当該位置が配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列に対応する、バチルススブチリシンGG36の単離されているスブチリシン変異体。
【請求項7】
当該バチルススブチリシンがFNAであり、2以上の位置における当該置換がS24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, N109Q-N118Q-K213Q, N118Q-K213Q, S24E-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109Q-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118Q-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213Q, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24L-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109Q-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118Q-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213Q, S24L-A45L-S101L-N109L-N118L-K213L, S24R-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109Q-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118Q-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213Q, S24R-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45R-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101R-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109R-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118R-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213R, S24E-A45E-S101E-N109E-N118E-K213E, S24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217QおよびS24Q-A45Q-S101Q-N109Q-N118Q-K213Q-L217Eから選択され、当該位置が配列番号1のBPN’スブチリシンの位置に対応する、請求項1、2および4のいずれか1項に記載の単離されているスブチリシン変異体。
【請求項8】
当該スブチリシン変異体が、タンパク質分解活性を有し置換K213Qを含む成熟型であり、当該位置が配列番号1として記載されたバチルスアミロリクエファシエンススブチリシンBPN’のアミノ酸配列に対応する、バチルススブチリシンFNAの単離されているスブチリシン変異体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のスブチリシン変異体をコードする、単離されている核酸。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸を含んでいる、発現ベクター。
【請求項11】
請求項10に記載の発現ベクターを含んでいる、宿主細胞。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の少なくとも1のスブチリシン変異体を含んでいる、洗浄組成物。
【請求項13】
当該洗浄組成物が洗剤である、請求項12に記載の洗浄組成物。
【請求項14】
当該洗剤が重質の液状または乾燥ランドリー洗剤である、請求項13に記載の洗浄組成物。
【請求項15】
当該洗剤が食器洗剤である、請求項13に記載の洗浄組成物。
【請求項16】
ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼもしくはこれらの混合物から選択された1以上の追加の酵素または酵素誘導体をさらに含む、請求項12〜15のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項17】
少なくとも1の安定剤をさらに含む、請求項12〜16のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項18】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の少なくとも1のスブチリシン変異体を少なくとも0.0001重量パーセント、および任意的な少なくとも1の適当な補助成分を含んでいる、洗浄組成物。
【請求項19】
洗浄する方法であって、当該方法が
a)表面および/または布地を含む物品を請求項12〜18のいずれか1項に記載の洗浄組成物と接触させる工程、および
b)任意的に、当該表面もしくは物品を洗いおよび/またはすすぐ工程
を含む、洗浄する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−508031(P2012−508031A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536413(P2011−536413)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/063837
【国際公開番号】WO2010/056653
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(509240479)ダニスコ・ユーエス・インク (81)
【Fターム(参考)】