説明

1,3イミダゾリジン誘導体及び、カルバペネムの生成におけるそれらの使用

1β−メチルカルバペネム生成における光学的に純粋な重要である中間体の立体選択的合成に有用な1,3−イミダゾリジン構造を特徴とする、新規複素環化合物の調製。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルバペネム、特に1β−メチルカルバペネムの立体選択的合成において有用な1,3イミダゾリジン中間体に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の複素環式化合物は、式(I)
【0003】
【化1】

(式中、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲンであり、Yは、酸素、硫黄及びNRからなる群から選択され、Rは、(C−C)脂肪族、(C−C)脂環式、(C−C)複素環式、フェニル、アリール又は、ヘテロアリール(ハロゲン、ニトロ基、(C−C)アルコキシから選択される3個以下の置換基を有する。)であり、Eは、酸素及び硫黄からなる群から選択され、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、(C−C)脂肪族アルキル、(C−C)脂環式アルキル、1−ハロエチル(−CHX−CH)(Eが酸素である場合のみ)、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、(C−C)脂肪族アルキルオキシ、(C−C)脂環式アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール(C−C)アルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール(C−C)アルキルオキシ、(C−C)脂肪族アルキルチオ、(C−C)脂環式アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリール(C−C)アルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリール(C−C)アルキルチオからなる群から選択され、一方で、R、R、R及びRは、独立に、水素、メチル、エチル、(C−C)脂肪族アルキル、(C−C)脂環式アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキルからなる群から選択され、相互に組み合わされてベンゾ[d]−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール構造など、1,3イミダゾリジン環を伴うo−フェニレン構造を形成することができ、ならびにRがRにカップリングされ及びRがRにカップリングされる場合、それらは互いに組み合わされてアルキレン基又は環状スピロ構造、例えば複素環1,3−イミダゾリジンの配位子など、を形成する。)で表される。
【0004】
それらが、2−ハロプロピオン酸(Xが前述の意味を有する、CH−CHX−COOH)由来である場合、式(I)の化合物は、次の段階の式(II)の中間体:
【0005】
【化2】

様々な1β−メチルカルバペネムの合成のための重要なキラル中間体、の立体選択的合成のために使用される(式中、Gは、水素及び[「Protective Groups in Organic Synthesis」(1981)(John Wiley & Sons、New York、U.S.A.より出版)、「New Experimental Chemistry」(日本語の「新実験化学講座」)Vol.14(1978)、丸善、東京より出版、「Chimica Organica Applicata」(Umberto Valcavi著)、CLUED、Milan Italyより出版、ISBN88−7059−041−0)などの様々な教科書及びこれらの3冊の教科書で言及される参考文献に記載のものからの]ヒドロキシ保護基、即ち(C−C)アルキル、メトキシメチル、メチルチオメチル、アリル、プロパルギル、メトキシエトキシメチル、(C−C)ジアルキルボリル、9−ボラビシクロノン−9−イル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、(1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、トリクロロエチルから選択される)置換エチル、従ってフェニルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、p−メトキシフェニルメチル、o−ニトロフェニルメチル、p−ニトロフェニルメチル、p−クロロフェニルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルから選択される、アリールで置換されるメチル及びさらに、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル又はt−ブチルジフェニルシリル基から選択される置換シリル及びさらにホルミロイル(formyloyl)、(C−C)アルカノイル、ハロゲン化(C−C)アルカノイル、(ベンゾイル、p−メチルベンゾイル、ナフトイルから選択される)アリーロイル及びさらに(C−C)アルコキシカルボニル[好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブトキシカルボニルから選択]、ハロゲン化エトキシカルボニル[好ましくは2−ヨード−エトキシカルボニル及び2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルから選択]、(C−C)アルケニルカルボニル[好ましくはアリルオキシカルボニル、3−メチルアリルオキシカルボニルから選択]及びアリールメトキシカルボニル[好ましくはフェニルメトキシカルボニル、p−メトキシフェニルメトキシカルボニル、2,4−ジメトキシフェニルメトキシカルボニル、o−ニトロフェニルメトキシカルボニル、p−ニトロフェニルメトキシカルボニルから選択]からなる群から選択される。)。
【0006】
式(II)の化合物は、抗菌活性のある1β−メチルカルバペネムの合成における、公知の重要なキラル中間体である。
【0007】
式(II)の化合物は、様々なストラテジーにより、特に、EP232786Bで記載及び請求されるように、本発明に記載のものとは異なる複素環に結合する2−ハロプロピオン酸の誘導体によって、合成されていることが知られている。
【0008】
EP232786B1の記載と同じように式(I)の化合物はまた、2−ハロプロピオン酸誘導体のエノラートとして、式(III)のアゼチジオン中間体:
【0009】
【化3】

(式中、Gは式(II)の化合物に対して記載される意味を有し、一方でLは、ハロゲン、ホルミロイルオキシ(formyloyloxy)、アセトキシ、(C−C)アルキルカルボニルオキシ、(C−C)シクロアルキルカルボニルオキシ、(C−C)アシルオキシ(カルボニルに対して隣位の不飽和物及びハロゲン化物から選択される。)、アリールカルボニルオキシ[好ましくは、ベンゾイルオキシ、p−メチルベンゾイルオキシ、p−メトキシベンゾイルオキシ、p−クロロベンゾイルオキシ、p−ニトロベンゾイルオキシから選択]、(C−C)アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ[好ましくはフェニルスルホニルオキシ、p−クロロフェニルスルホニルオキシ、p−メチルフェニルスルホニルオキシから選択]、(C−C)アルキルスルホニル、アリールスルホニル[好ましくはフェニルスルホニル、p−クロロフェニルスルホニル、p−メチルスルホニルから選択]、(C−C)アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル[好ましくはフェニルスルフィニル、p−クロロフェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルから選択]及び最後に(C−C)アルキルスルフェニル及びアリールスルフェニル[好ましくはフェニルスルフェニル及びp−クロロフェニルスルフェニルから選択]からなる群から選択される離核性配位子であり、離核性Lの性質は、エノラートとして活性化された種(I)と種(III)との間の縮合において機能的である。)と反応して、新しい中間体種(IIIb)
【0010】
【化4】

(式中、G、Y、E、R、R、R及びRは、化合物(I)及び(II)に対して記載される意味を有し、一方でR’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、(C−C)脂肪族アルキル、(C−C)脂環式アルキル、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、(C−C)脂肪族アルキルオキシ、(C−C)脂環式アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール(C−C)アルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール(C−C)アルキルオキシ、(C−C)脂肪族アルキルチオ、(C−C)脂環式アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリール(C−C)アルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリール(C−C)アルキルチオからなる群から選択される。)を得る。
【0011】
本発明は、驚くべきことに、中間体種(IIIb)が立体異性体として純粋に単離され、即ち種(III)への種(I)−由来のエノラートの左右対称の付加によって、立体特異的及び立体選択的反応性により種(IIIb)が生成されたことを実証した。
【0012】
種(IIIb)は、相対的構造式で使用される一般的な配位子表示文字(graphic ligand describer)により識別可能な4つの隣接する立体中心を示し、それぞれが、図式的に明確ではっきりとした絶対的配置により特徴付けられる。左右対称の立体特異的付加は、Andrew H.Berks「Preparation of Two Pivotal Intermediates for the synthesis of 1β−methyl Carbapenem Antibiotics」、Tetrahedron(1996)52(2)、p.331−375の概説に記載の機構により種(I)由来のエノラートが立体特異的に付加される、対応する一過性のアゼチノン中間体(IIIc):
【0013】
【化5】

の形成によって、アゼチジオン種(III)から離核性種L(HLとして)を最初に除去することを含み:従って、記載されることから、種HLの除去を伴う、種(III)への種(I)由来のエノラートの付加の結果得られる種(IIIb)の形成は、除去−付加機構により行われる。
【0014】
本発明はまた、驚くべきことに、式(I)の化合物に含まれる化合物(Ib):
【0015】
【化6】

(式中、Eは酸素に相当し、Rは1−ハロエチルに相当する。)が、2つの同等の配位子(これらのそれぞれは、カルボニルに対して隣位の炭素上のエノラート型のカルバニオンに位置し得る。)を含むという特有の構造特性を有することも、立証した。従って、種(Ib)は、2つのカルバニオンを生成させることができ、従って、二座試薬として機能する複素環式構造であり;特に、反応性中間体(IIIc)を形成させるために、配位子の1つにおいて形成される第一のカルバニオンが種(III)において塩基として作用し、続いて、式(IIIb)の生成物に含まれる種(IIId):
【0016】
【化7】

を得るために、その他の配位子において形成される第二のカルバニオンが、まさに形成された種(IIIc)に求核試薬として添加できることが分かった際に、この特徴が驚くべきことに有利であることが立証された。
【0017】
結果として、立体異性体の面で純粋な種(IIId)を得るために、最新技術において現在のところ公知である2−ハロプロピオン酸のその他の複素環式誘導体と比較して50%未満のモル量で化合物(Ib)を有利に使用可能であるが、これは、まさに、それらが二重のエノラートの特徴、即ち下記でまとめられるように「二官能性」又は「二座配位」を示し、
【0018】
【化8】

種(III)のアミド窒素における塩基として及び一過性反応性中間体(IIIc)(次のスキームに従い形成される。)における求核試薬としての両方で作用することができる。
【0019】
【化9】

【0020】
最先端技術において現在のところ公知である全てのものなど、何らかのその他の単官能基(「単座」)エノラートは、種(IIIc)を得るために塩基として最初に作用し、次いでさらなる生成物を得るために求核試薬として作用しなければならないので、大過剰量で使用され、この点において、EP232786B1の実験例から明らかであるように、最大収率は、選択された2−ハロプロピオン酸の複素環式誘導体の少なくとも2モル当量反応(種(III)に対して)を用いて達成される。
【0021】
次に、アルカリ金属水酸化物存在下で過酸化水素で処理し、還元種、好ましくは亜硫酸ナトリウムを最終的に添加することにより、種(IIIb)が種(II)に直接変換される。
【0022】
上記の直接変換に代わる手段として、種(IIIb)を種(IIIe):
【0023】
【化10】

(式中、Gは、式(IIIb)の化合物に対して定義される意味を有し、一方でEは、(C−C)アルキル、アリル、アリールメチル、ジアリールメチル、トリアリールメチル(各アリール置換基は、場合によっては、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から独立に選択される3個以下の置換基を芳香環配位子として与え得る。)からなる群から選択される。)に変換することができる。
【0024】
従って、式(II)の化合物は、EP232786B1に記載の手順によるか又はエステルを脱保護するためのその他の公知の方法により、Eがアリル基である場合は例えばパラジウム錯体の使用により、種(IIIe)から得られる。
【0025】
種(II)は、式(IIIb)の化合物及び式(IIIe)の誘導体の両方から、立体異性体の面で純粋に得られる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
式(I)の化合物は、化合物(IV):
【0027】
【化11】

(式中、Y、R、R、R及びRは、式(I)の化合物に対して記載される意味を有する。)から出発して合成され、US4681948、EP232786B1及びEP573667B1で、及び、2−イミノ−1,3−イミダゾリジン複素環の合成に対する一般的アプローチに対する「Best Practice & Research Clinical Anaesthesiology」、14(2)、237−246(2000)で記載されるように調製される(この4つの文書で言及される参考文献も考慮)。
【0028】
第一に、式(IV)で記載のものに含まれる化合物を−80℃から+50℃の間の温度で、好ましくはテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、C脂環式炭化水素、(C−C10)脂肪族炭化水素、ベンゼン、(C−C)アルキル置換ベンゼン、(C−C)ジアルキル置換ベンゼン、(C−C)トリアルキル置換ベンゼン、ハロゲン化(C−C)脂肪族炭化水素、グリム、ジグリム、ジ(C−C)アルキルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン及びヘキサメチルホスホラミドから選択される、少なくとも1つの非プロトン性不活性溶媒中で、式(V)の活性化誘導体:
【0029】
【化12】

(式中、E及びRは、式(I)の化合物に対して記載される意味を有し、一方でYは、アシル化反応の典型である離核性基である[好ましくは、Xとは独立に、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択される。])の1モル当量以下と、アルカリ金属水素化物、(C−C)アルキルリチウム誘導体、アリールリチウム誘導体、ヘテロアリールリチウム誘導体及びアルカリ金属から選択される塩基の存在下で、反応させ中間体(IVビス):
【0030】
【化13】

を得、得られた中間体(IVビス)は、単離せずにでも、−80℃から+50℃の間の温度で、少なくとも1つの非プロトン性不活性溶媒中で、場合により同じタイプの他の溶媒との混合液中で、言及されたものから選択される塩基のさらなる当量と反応させ、次いで、2−ハロプロピオニル誘導体(VI):
【0031】
【化14】

(式中、Xは、式(I)の化合物に対するものと同じ意味を有し、Yは、アシル化反応の典型である離核性基である[好ましくは、Xとは独立に、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択される。]。)の少なくとも1モル当量を添加して化合物(I)を単離する。
【0032】
化合物(Ib)を合成する場合、即ち試薬(V)が試薬(VI)と一致する場合、対応するジアステレオ異性体(Ic)、(Id)、(Ie)及び(If):
【0033】
【化15】

を得ることができる。
【0034】
、R、R及びRが同一対の形態であり(RがRと同じであり、RがRと同じである。)、この対の同じ置換基がトランス立体化学により相互に関連がある場合、(Ic)及び(Ie)は、ジアステレオ異性体であり、一方で(Id)及び(If)は一致し、この対の同じ置換基がシス立体化学により相互に関連がある場合、(Ic)及び(Ie)は鏡像異性体であり、従ってラセミ体として一緒に単離され、一方で(Id)及び(If)はジアステレオ異性体であり、対照的に、R、R、R及びRが同一である場合、(Ic)及び(Ie)は鏡像異性体であり、ラセミ体として一緒に単離され、一方で(Id)及び(If)は、単一のメソ型で一致する。
【0035】
続いて、亜鉛粉末又はTetrahedron 60(2004)、9325−9374(レポート692)の報告に記載のその他の還元剤の存在下で、レフォルマトスキー型反応に従って、純粋な立体異性体として中間体(IIIb)を得るために、式(I)の化合物を化合物(III)と反応させる。
【0036】
種(III)から誘導される種(IIIc)に適切な種(Ib)を添加する反応により、再現可能なより高い収率で、純粋なジアステレオ異性体として、中間体種(IIId)(Gはt−ブチルジメチルシリルに相当し、Yは酸素に相当し、R=R=R=R=メチルである。)を得ることが可能となり(種(Ib)に対する可能な選択肢で、ラセミ体(Ic)+(Ie)が、メソ型(Id)よりも好ましい場合);さらに、メソ型(Id)はそれ自身、平衡の観点からラセミ体/メソ型ジアステレオ異性体比が約65/35であるように、基Xに結合する立体中心としてsp炭素原子が反転される溶液中での触媒酸リバランス(catalyzed acid rebalancing)により、より有効なラセミ体(Ic)+(Ie)に有利に変換され得、従って、結果として得られる溶液の標的ラセミ体が全体的に濃縮され、次いでこれが公知のクロマトグラフィー法により固体の形態で単離されることも確認された。
【0037】
中間体(IIIb)を得るために縮合収率を向上させるため、化合物(I)及び亜鉛粉末をモル過剰量で使用することができ:この亜鉛は、1から5モル当量(基質(III)に対して)、好ましくは2から5モル当量の量で使用され、一方で、化合物(I)は、0.5から3モル当量(基質(III)に対して)、好ましくは1から3モル当量で使用される。使用される化合物(I)が、ジアステレオ異性体の面で純粋な化合物(Id)である場合、この反応により、亜鉛1モル当量(基質(III)に対して)及び(Id)(この場合、これは反応の制限物質である。)0.5モル当量(基質(III)に対して)を用いた場合でさえ、立体異性体の面で純粋な中間体(IIId)が高収率で得られる。中間体(IIIb)の形成に対する、式(I)の化合物と(III)の化合物との間の縮合反応は、−50℃から+150℃の間、好ましくは0℃から100℃の間の温度で行われる。
【0038】
次に、種(IIIb)は、−10℃から+30℃の間の反応温度で、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、(C−C)脂肪族アルコール、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンから選択される水性有機溶媒中で、1から10モル当量(基質(IIIb)に対して)で使用されるアルカリ金属水酸化物(好ましくは水酸化リチウム)の存在下で、1から20モル当量(基質(IIIb)に対して)で使用される過酸化水素で処理し、反応終了時に還元種、好ましくは亜硫酸ナトリウムを添加することにより、種(II)に直接変換される。
【0039】
あるいは、アルカリ金属炭酸塩又は、溶媒として選択される(C−C)脂肪族アルコールのアルコラート存在下で、中間体(IIIb)を(C−C)脂肪族アルコール中に添加するか、又は、(C−C)脂肪族アルコラート又はアルカリ金属のアリールメトキシラートもしくはジアリールメトキシラートもしくはトリアリールメトキシラート(この場合、各アリール置換基は場合によっては芳香族配位子として存在し得、最大3個の置換基が、独立にニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシからなる群から選択される。)存在下で、(C−C)アルキルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、グリム、ジグリム、(C−C10)脂肪族炭化水素、(C−C)脂環式炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ベンゼン、トルエン及びその他の芳香族炭化水素、極性非プロトン性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホラミドから選択される。)から選択される非プロトン性不活性溶媒中に種(IIIb)を添加し、この混合物を−20℃から+50℃の間の温度で約1時間反応させて種(IIIe)を得て、次にこれをEP232786B1で示されるように、光学的に純粋な重要な中間体(II)に変換させる。
【0040】
本発明の提案される非限定実験例を下記に記載する。
【実施例】
【0041】
(実施例1−a及び1−b)
ジアステレオ異性体(Ic)及び(Id)の調製及び単離(X=臭素、Y=酸素、R=R=R=R=メチル)
(実施例1−a)
不活性アルゴン雰囲気下で、50mLの4−ネックフラスコ内の無水テトラヒドロフラン10mL中で化合物(IV)(R=R=R=R=メチル及びY=酸素)の200mgを縣濁する。氷浴中で0℃まで5分間、縣濁液を冷却する。激しく撹拌しながらヘキサン中の1.6M n−ブチルリチウム1.8mLを2回に分けて添加し、数分後、溶液が透明になる。これを0℃で10分間撹拌する。次に、氷浴中で0℃に維持し、激しく撹拌しながら、テトラヒドロフラン5mL中の2−ブロモプロピオニルブロミド(317μL;3.0モル)の溶液に、細管を通してこれを滴下して(不活性アルゴン雰囲気下で)注ぐ。この添加を約20分間継続する。0℃で10分間撹拌下に置き、次いで、周囲温度に30分間置く。
【0042】
次に、pH6.5のリン酸緩衝液20mLを添加することによって反応を停止させる。テトラヒドロフランをロータリーエバポレーター(rotavapor)中で蒸発させる。縣濁液中の白色結晶を含有する水溶液を酢酸エチルで3回抽出し、0℃で30分間、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。これをろ過し、蒸発させて、ジアステレオ異性体(Ic)及び(Id)からなる粗製残渣560mgを得る。
【0043】
得られたジアステレオ異性体をシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーにより分離し、9/1 v/vシクロヘキサン/酢酸エチル溶液で溶出し、ラセミ体(Ic)+(Ie)として化合物(Ic)302mg及び単一のメソ型として化合物(Id)255mgを得る。
【0044】
HNMR−CDCl−300MHz:(Ic)+(Ie)(ラセミ体)1.45ppm(一重線、12H)、1.85ppm(二重線、J=6.6Hz、6H)、5.84ppm(四重線、4H)、(Id)1.44ppm(一重線、6H)、1.46ppm(一重線、6H)、1.84ppm(二重線、J=6.6Hz、6H)、5.75ppm(四重線、4H)。得られた化合物の構造及び絶対配置は、2つの生成物の化学シフトの値を分析することにより、及びPM3コンピュータ分析により、同定した。
【0045】
(実施例1−b)
化合物(IV)1.0gから出発して、実施例1−aの反応を繰り返し、ジアステレオ異性体(Ic)及び(Id)からなる粗製残渣2.8mgを得た。得られたジアステレオ異性体をMPLCカラムでのクロマトグラフィーにより分離し、Biotage 50gKP−SIL Snap Flashカートリッジカラム、流速30mL/分を用いて、95/5 v/vシクロヘキサン/酢酸エチル溶液で溶出し、ラセミ体(Ic)+(Ie)として化合物(Ic)1.5g(Rf=0.71の、カラムにおいて保持時間が最も短い生成物)及び単一のメソ型として化合物(Id)1.2g(Rf=0.40の、カラムにおいて保持時間が最長の生成物)を得る。
【0046】
HNMR−CDCl3−300MHz:化合物(Ic)+(Ie)(ラセミ体)及び化合物(Id)(メソ型)に対するHNMRの特徴は、実施例1−aに記載のものと重なり合う。得られた化合物の構造及び絶対配置は、2つの生成物の化学シフトの値を分析することにより、及びPM3コンピュータ分析により、確認した。
【0047】
(実施例2)
対応するラセミ体(Ic)+(Ie)(R=R=R=R=メチル、Y=酸素及びX=臭素)へのメソ型(Id)の変換
生成物(Id)200mgをアセトニトリル50mLに添加し、それに65%w/w臭化水素酸水0.5mLを添加し、平衡に達するまで約4時間、混合物を撹拌する(ここで、ラセミ体/メソ型比は約65/35となる。)。ロータリーエバポレーター(rotavapor)中で溶液を蒸発させ、32.5%(Ic)、32.5%(Ie)及び35%(Id)からなる粗製生成物200mgを得て、その後、実施例1−a及び実施例1−bに対して上記で示された方法に基づき、クロマトグラフィーによって精製可能であり、ラセミ生成物(Ic)+(Ie)を純粋な形で単離する。
【0048】
(実施例3−a、3−b及び3−c)
中間体(IIId)の調製(Y=酸素、G=t−ブチルジメチルシリル、R=R=R=R=メチル)
(実施例3−a)
不活性アルゴン雰囲気下、活性化亜鉛粉末121.4mg存在下で、化合物(III)(G=t−ブチルジメチルシリル及びL=アセトキシ)431mgを3mL無水テトラヒドロフラン中で溶解させる。化合物(Ic)(ラセミ体として)306mgの無水テトラヒドロフラン中の溶液6mLを縣濁液に50分間にわたり滴下添加し、マグネチックスターラーを用いて撹拌し、+90℃の浴槽により還流下で加熱する。次に混合物をさらに30分間、還流下で加熱する。撹拌下で15分間、周囲温度まで冷ます。次に、混合物を0℃に冷却し、次いでpH6.5のリン酸緩衝液20mLを添加し、結晶状の白色固体を沈殿させる。減圧下での蒸発により、テトラヒドロフランを混合物から除去する。得られた水溶液を酢酸エチルで3回抽出する。有機相を水で1回洗浄し、−10℃で12時間、硫酸ナトリウムで乾燥させる。粗製反応生成物をシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーにより精製し、9/1 v/vシクロヘキサン/酢酸エチルから出発し、シクロヘキサン/酢酸エチル比=7/3 v/vまでの勾配のシクロヘキサン/酢酸エチル溶液で溶出し、生成物(IIId)13mgを得る。
【0049】
HNMR−CDCl−300MHz:(IIId)0.09ppm(一重線、6H)、0.89ppm(一重線、9H)、1.13−1.24ppm(9H)、1.39−1.44ppm(12H)、2.87ppm(多重線、1H)、2.94ppm(多重線、1H)、3.06(多重線、1H)、3.96ppm(多重線、1H)、4.12ppm(多重線、1H)、4.22ppm(多重線、1H)、5.91(一重線、1H)。
【0050】
(実施例3−b)
不活性アルゴン雰囲気下、活性化亜鉛粉末219mgの存在下で、化合物(III)582mg(G=t−ブチルジメチルシリル及びL=アセトキシ)を3mL無水テトラヒドロフラン中で溶解させる。化合物(Ic)(ラセミ体として)700mgの溶液14mLを縣濁液に50分間にわたり滴下添加し、マグネチックスターラーを用いて撹拌し、+90℃の浴槽により還流下で加熱する。次に混合物をさらに30分間、還流下で加熱する。撹拌下で15分間、周囲温度まで冷ます。次に、混合物を0℃に冷却し、次いでpH6.5のリン酸緩衝液40mLを添加して、結晶状の白色固体を沈殿させる。減圧下での蒸発により、テトラヒドロフランを混合物から除去する。得られた水溶液を酢酸エチルで3回抽出する。有機相を水で1回洗浄し、−10℃で12時間、硫酸ナトリウムで乾燥させる。
【0051】
次に、乾燥溶液を蒸発させ、シリカゲルの入ったMPLCカラム(カラム、Biotage 50g KP−SIL Snap Flashカートリッジ、流速30mL/分)でのクロマトグラフィーにより粗製反応生成物を精製し、8/2 v/vシクロヘキサン/酢酸エチル溶液で溶出し、生成物(IIId)746mgを得る。
【0052】
HNMR−CDCl−300MHz:化合物(IIId)に対するHNMRの特徴は実施例2−aに記載のものと重なり合う。
【0053】
(実施例3−C)
実施例3−aの手順に従うが、活性化亜鉛粉末29mg及び、(Ic)の代わりに化合物(Id)(メソ型)73mgの存在下で、化合物(III)(G=t−ブチルジメチルシリル及びL=アセトキシ)102mgを用いる。
【0054】
実施例2に記載のようなクロマトグラフィー精製後、生成物(IIId)70mgを得る。
【0055】
HNMR−CDCl−300MHz:化合物(IIId)に対するHNMRの特徴は実施例2−aに記載のものと重なり合う。
【0056】
(実施例4)
式(II)の化合物(G=t−ブチルジメチルシリル)の調製
37%過酸化水素355mg(3.12mmol)、続いて水酸化リチウム一水和物71mg(1.8mmol)を化合物(IIIb)300mg(0.65mmol)(G=t−ブチルジメチルシリル、Y及びEは両者とも酸素に相当、R’=エチル、R=R=R=R=メチル)からなる0.05M溶液に撹拌下で添加し、テトラヒドロフラン/水=3/1 v/vからなる溶液中で溶解させ、0℃に冷却する。TLC(溶出液シクロヘキサン/酢酸エチル=8/2 v/v)により基質(IIIb)の消失を監視しながら、混合物を0℃で1時間撹拌する。反応終了時に、(デンプン−ヨウ素試験紙により評価されるように)過酸化物を除去するために、十分な亜硫酸ナトリウムを添加する。次に、テトラヒドロフランをロータリーエバポレーター(rotavapor)中で蒸発させ、白色沈殿物が現れるまで、水相を10%w/w塩酸水で酸性化し、この沈殿物を酢酸エチル10mLで3回抽出する。得られた有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーター(rotavapor)中で蒸発させ、固体形態の式(II)の化合物190mgを得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の複素環式化合物
【化1】

(式中、Xは、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲンであり、Yは、酸素、硫黄及びNRからなる群から選択され、Rは、(C−C)脂肪族、(C−C)脂環式、(C−C)複素環式、フェニル、アリール、ヘテロアリール(ハロゲン、ニトロ基、(C−C)アルコキシから選択される3個以下の置換基を有する。)であり、Eは、酸素及び硫黄からなる群から選択され、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、(C−C)脂肪族アルキル、(C−C)脂環式アルキル、1−ハロエチル(−CHX−CH)(Eが酸素である場合のみ)、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、(C−C)脂肪族アルキルオキシ、(C−C)脂環式アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール(C−C)アルキルオキシ、ヘテロアリール(C−C)アルキルオキシ、(C−C)脂肪族アルキルチオ、(C−C)脂環式アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリール(C−C)アルキルチオ、ヘテロアリール(C−C)アルキルチオからなる群から選択され、一方で、R、R、R及びRは、独立に、水素、メチル、エチル、(C−C)脂肪族アルキル、(C−C)脂環式アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキルからなる群から選択され、相互に組み合わされてベンゾ[d]−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール構造など、1,3イミダゾリジン環を伴うo−フェニレン構造を形成することができ、ならびにRがRにカップリングされ及びRがRにカップリングされる場合、それらは互いに組み合わされてアルキレン基又は環状スピロ構造、例えば複素環1,3−イミダゾリジンの配位子など、を形成する。)。
【請求項2】
Y及びEが、独立に酸素及び硫黄からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Eが酸素に相当し、ならびにRが1−ハロエチル(−CHX−CH)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Eが酸素に相当し、Rが1−ハロエチル(−CHX−XH)であり、ならびに置換基Xに結合するこの2つの立体中心のそれぞれの絶対配置が、次の式、(Ic)、(Id)、(Ie)及び(If):
【化2】

で図示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式(IIIb)の化合物:
【化3】

(式中、Y、E、R、R、R及びRは、請求項1の化合物(I)に対して記載される意味を有し、Gは、水素、(C−C)アルキル、メトキシメチル、メチルチオメチル、アリル、プロパルギル、メトキシエトキシメチル、(C−C)ジアルキルボリル、9−ボラビシクロノン−9−イル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、置換エチル(1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、トリクロロエチルから選択される。)、従って、フェニルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、p−メトキシフェニルメチル、o−ニトロフェニルメチル、p−ニトロフェニルメチル、p−クロロフェニルメチルから選択されるアリールで置換されるメチル及びさらに、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル又はt−ブチルジフェニルシリル基から選択される置換シリル及びさらにホルミル、(C−C)アルカノイル、ハロゲン化(C−C)アルカノイル、アリーロイル(ベンゾイル、p−メチルベンゾイル、ナフトイルから選択される。)及びさらに(C−C)アルコキシカルボニル、ハロゲン化エトキシカルボニル、(C−C)アルケニルカルボニル及びアリールメトキシカルボニルからなる群から選択され、一方でR’は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、(C−C)脂肪族アルキル、(C−C)脂環式アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、(C−C)脂肪族アルキルオキシ、(C−C)脂環式アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール(C−C)アルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール(C−C)アルキルオキシ、(C−C)脂肪族アルキルチオ、(C−C)脂環式アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリール(C−C)アルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリール(C−C)アルキルチオからなる群から選択される。)。
【請求項6】
Y及びEが、独立に、酸素及び硫黄からなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Eが酸素に相当し、R’がエチルであり、ならびにGが、水素、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル及びt−ブチルジフェニルシリルからなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
Y及びEが酸素に相当し、R’がエチルであり、ならびにGが水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
Y及びEが酸素に相当し、R、R、R及びRがメチルに相当し、R’がエチルであり、ならびにGがt−ブチルジメチルシリルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1の式(I)の化合物を調製するための方法であって、式(IV)の化合物
【化4】

(式中、Y、R、R、R及びRは、式(I)の化合物に対して記載される意味を有する。)から出発し、これを、−80℃から+50℃の間の温度で、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、C脂環式炭化水素、(C−C10)脂肪族炭化水素、ベンゼン、(C−C)アルキル置換ベンゼン、(C−C)ジアルキル置換ベンゼン、(C−C)トリアルキル置換ベンゼン、ハロゲン化(C−C)脂肪族炭化水素、グリム、ジグリム、ジ(C−C)アルキルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン及びヘキサメチルホスホラミドから選択される少なくとも1つの非プロトン性不活性溶媒中で、アルカリ金属水素化物、(C−C)アルキルリチウム誘導体、アリールリチウム誘導体、ヘテロアリールリチウム誘導体及びアルカリ金属から選択される塩基の存在下で、式(V)の活性化誘導体:
【化5】

(式中、E及びRは、式(I)の化合物に対して記載される意味を有し、一方でYは、アシル化反応の典型である離核性基である。)の1モル当量以下と反応させて、中間体(IVビス):
【化6】

を得、
これを単離せずにでも、−80℃から+50℃の間の温度で、あるいは同じタイプのその他の溶媒との混合液中で、非プロトン性不活性溶媒において述べられるものから選択される塩基のさらなる当量と反応させ、次に、2−ハロプロピオニル誘導体(VI)
【化7】

(式中、Xは、式(I)の化合物に対するものと同じ意味を有し、Yは、アシル化反応の典型である離核性基である。)の少なくとも1モル当量を添加して化合物(I)を単離する、方法。
【請求項11】
試薬(V)が試薬(VI)と同じである、請求項4の化合物(Ic)、(Id)、(Ie)及び(If)を調製するための、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
試薬(V)が試薬(VI)と一致し、ならびに両者がラセミであるか又は光学的に純粋であるが、相互の鏡像異性体である場合、形成される立体異性体がクロマトグラフィーにより分離され、ラセミ体として又は純粋な立体異性体として得られる、請求項4の化合物(Ic)、(Id)、(Ie)及び(If)を調製するための、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
触媒酸リバランス(Ccatalyzed acid rebalancing)と、それに続く、得られたジアステレオ異性体生成物の、公知のクロマトグラフィー法による単離による、請求項4の化合物(Ic)、(Id)、(Ie)及び(If)の置換基Xに結合する立体中心の配置を反転させるための方法。
【請求項14】
化合物(Ic)、(Id)、(Ie)及び(If)が、同一の置換基R、R、R及びRを表し、得られたメソ型((d)が(If)と一致し、対応するラセミ体(Ic)+(Ie)に変換される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項5の化合物(IIIb)を調製するための方法であって、請求項1の式(I)の化合物が、レフォルマトスキー型反応に従い、還元剤の存在下で、式(III)の化合物:
【化8】

(式中、Gは、式(IIIb)の化合物に対して記載される意味を有し、一方でLは、ハロゲン、ホルミロイルオキシ(formyloyloxy)、アセトキシ、(C−C)アルキルカルボニルオキシ、(C−C)シクロアルキルカルボニルオキシ、カルボニルに対して隣位での不飽和物及びハロゲン化物から選択される(C−C)アシルオキシ、アリールカルボニルオキシ、(C−C)アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、(C−C)アルキルスルホニル、アリールスルホニル、(C−C)アルキルスルフィニル及びアリールスルフィニル、(C−C)アルキルスルフェニル及びアリールスルフェニルからなる群から選択される離核性配位子である。)と、反応する(この反応において、−50℃から+150℃、好ましくは0℃から+100℃の温度で、1から5モル当量の亜鉛粉末及び0.5から3モル当量(置換基(III)に対して)の化合物(I)が使用される。)、方法。
【請求項16】
式(IIIe)の中間体:
【化9】

(式中、Gは、請求項5の式(IIIb)の化合物に対して定義される意味を有し、一方でEは、(C−C)アルキル、アリル、アリールメチル、ジアリールメチル、トリアリールメチルからなる群から選択される。)を調製するための方法であって、請求項5の中間体(IIIb)を、アルカリ金属の、(C−C)脂肪族アルコラート、アリールメトキシラート、ジアリールメトキシラート、トリアリールメトキシラートからなる群から選択されるアルコラートと反応させ、ならびに−20℃から+50℃の温度で約1時間反応させておく、方法。
【請求項17】
式(II)の化合物:
【化10】

(式中、Gは、請求項5の式(IIIb)の化合物に対して定義される意味を有する。)を調製するための方法であって、−10℃から+30℃の反応温度で、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、(C−C)脂肪族アルコール、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンから選択される水性有機溶媒中で、1から10モル当量(基質(IIIb)に対して)のアルカリ金属水酸化物の存在下で、1から20モル当量(基質(IIIb)に対して)の過酸化水素を反応させ、反応終了時に還元剤を添加することにより、前記式(IIIb)に含まれる化合物が式(II)の化合物に変換される、方法。

【公表番号】特表2012−506843(P2012−506843A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532567(P2011−532567)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062754
【国際公開番号】WO2010/049233
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(594135140)
【Fターム(参考)】