説明

1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンカルボキサミド誘導体、その調製方法及び治療における該誘導体の使用

本発明は、一般式(I)


(Xは、N又は一般式C−Rを有する基を表し;P、Q、R及びWは、それぞれ、N又は式C−Rを有する基を表し;Rは、H又はアルキルを表し;Rは、アルキルを表し、Rは、H若しくはハロゲン、又はアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、又は一般式−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR、NRS(=)NR、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)ONR、−OC(=O)SR、−C(=O)OR、C(=O)R、−C(=O)NR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、−S(=O)NRを有する基、又は複素環を表し;並びにR、R及びRは、それぞれ、H又はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、又はヘテロシクロアルキル又はアリールを表す。)を有する化合物に関する。本発明は、治療における該化合物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチン受容体リガンドである化合物に関する。これらは、ニコチン受容体の機能障害に関連した疾患の治療又は予防に有用である。
【発明の開示】
【0002】
本発明の化合物は、一般式(I)と合致する。
【0003】
【化2】

(式中、
Xは、窒素原子又は一般式C−Rの基を表し、
P、Q、R及びWは、互いにそれぞれ独立に、窒素原子又は一般式C−Rの基を表し、
は、水素原子又は(C−C)アルキル基を表し、
は、(C−C)アルキル基を表し、
は、水素若しくはハロゲン原子又は(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基若しくはシアノ基、又は一般式−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR、NRS(=O)NR、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)ONR、−OC(=O)SR,−C(=O)OR、C(=O)R、−C(=O)NR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)若しくは−S(=O)NRの群、又は(ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基若しくはシアノ基、又は一般式−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR、NRS(=O)NR、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)ONR、−OC(=O)SR、−C(=O)OR、−C(=O)NR、SR、−S(=O)R、−S(=O)若しくは−S(=O)NRの群から選択される1つ以上の基によって必要に応じて置換される)フェニル基を表し、
又は、Rは、イミダゾール環系、ピリジン環系、ピリダジン環系、ピリミジン環系、ピラゾール環系、ピラジン環系、トリアゾール環系、キノリン環系、イソキノリン環系、テトラゾール環系、フラン環系、チオフェン環系、チアゾール環系、イソチアゾール環系、オキサゾール環系、イソキサゾール環系、ピロール環系、テトラヒドロキノリン環系、テトラヒドロイソキノリン環系、インドール環系、ベンズイミダゾール環系、ベンゾフラン環系、ジヒドロベンゾフラン環系、シンノリン環系、インダゾール環系、フタラジン環系、トリアジン環系、イソインドール環系、オキサジアゾール環系、チアジアゾール環系、フラザン環系、ベンゾフラザン環系、ベンゾチオフェン環系、ジヒドロベンゾチオフェン環系、ベンゾトリアゾール環系、ベンゾチアゾール環系、ベンズイソチアゾール環系、ベンゾオキサゾール環系、ベンズイソキサゾール環系、キナゾリン環系、キノキサリン環系、ナフチリジン環系、ジヒドロキノリン環系、ジヒドロイソキノリン環系、フロピリジン環系、ジヒドロフロピリジン環系、ピロロピリジン環系、チエノピリジン環系、ジヒドロチエノピリジン環系、イミダゾピリジン環系、ピラゾロピリジン環系、オキサゾロピリジン環系、イソキサゾロピリジン環系、イソキサゾロピリジン環系、チアゾロピリジン環系、イソチアゾロピリジン環系、ピロロピリミジン環系、フロピリミジン環系、ジヒドロフロピリミジン環系、チエノピリミジン環系、ジヒドロチエノピリミジン環系、イミダゾピリミジン環系、ピラゾロピリミジン環系、オキサゾロピリミジン環系、イソキサゾロピリミジン環系、チアゾロピリミジン環系、イソチアゾロピリミジン環系、フロピラジン環系、ジヒドロフロピラジン環系、ピロロピラジン環系、チエノピラジン環系、ジヒドロチエノピラジン環系、イミダゾピラジン環系、ピラゾロピラジン環系、オキサゾロピラジン環系、イソキサゾロピラジン環系、チアゾロピラジン環系、イソチアゾロピラジン環系、フロピリダジン環系、ジヒドロフロピリダジン環系、ピロロピリダジン環系、チエノピリダジン環系、ジヒドロチエノピリダジン環系、イミダゾピリダジン環系、ピラゾロピリダジン環系、オキサゾロピリダジン環系、イソキサゾロピリダジン環系、チアゾロピリダジン環系又はイソチアゾロピリダジン環系から選択される基を表し、
、R及びRは、互いにそれぞれ独立に、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分岐状(C−C)アルキル基、直鎖状若しくは分岐状(C−C)アルケニル基、又は直鎖若しくは分岐状(C−C)アルキニル基、又は(C−C)シクロアルキル基、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルケニル基又はフェニル基を表し、
一般式NR及びNRの基は、これらを持つ窒素原子とともに、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、アゼピニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピロリニル基、インドリニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリニル基、3H−インドリル基、キヌクリジニル基及びキノリジニル基から選択される基を形成することが可能である。
【0004】
本発明の化合物は、塩基の形態若しくは酸付加塩の形態、水和物の形態又は溶媒和物の形態で存在し得る。
【0005】
ジアザビシクロオクタン環系は不斉炭素原子を含有するので、本発明の化合物は、純粋な鏡像異性体状の形態又は鏡像異性体の混合物の形態で存在し得る。前記鏡像異性体は、キラル酸のジアステレオマ塩の分別結晶による分離又はキラル支持体上のクロマトグラフィーによる分離など、当業者に公知の方法で分離し得る。
【0006】
本発明に従って、一般式(I)の化合物は、下記のスキーム1によって図解された方法によって調製され得る。
【0007】
式(II)の1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンは、例えば、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中のN,N’−カルボニルジイミダゾール等のカップリング剤の存在下で、上述されている一般式(III)の化合物(X、P、Q、R、W及びRは、上記定義のとおりである。)と反応させられる。ジクロロエタン等の溶媒中の1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンと反応させるために、一般式(III)の化合物上に存在するカルボン酸官能基は、事前の工程で、酸塩化物官能基に転換することも可能である。
【0008】
【化3】

【0009】
あるいは、一般式(I)の化合物は、下記のスキーム2で図解される方法によって調製できる。
【0010】
式(II)の1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンは、一酸化炭素及び例えばビス(トリフェニルホスフィノ)ジクロロパラジウムなどのパラジウム触媒並びに、例えばジメチルホルムアミドなどの溶媒中の例えばトリエチルアミン等の塩基の存在下で、一般式(IV)の化合物(X、P、Q、R、W及びRは上記定義のとおりであり、Zは臭素又はヨウ素原子を表す。)と反応される。
【0011】
【化4】

【0012】
一般式(III)の化合物は、市販されており、又は例えば「Can. J. Chem. 1988,66,420−8」などの出版物に記載の方法によって入手できる。
【0013】
一般式(IV)の化合物は、市販されており、又は例えば「J. Het. Chem. 1983,475」などの出版物に記載方法によって入手できる。
【0014】
1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの調製は、「J. Med. Chem. 1977,20,1333」に記載されている。
【0015】
下記の実施例は、本発明の多数の化合物の調製を詳細に説明している。微量元素分析並びにIRスペクトル及びNMRスペクトルは、取得された化合物の構造を確認する。表題の括弧内に示された化合物の番号は、後出の表の番号と一致する。化合物名において、ハイフン「−」は、語の一部を形成しており、アンダーライン「_」は、単に改行の役目を果たし、改行が無い場合は削除する必要があり、通常のハイフン又はスペースの何れでも置き換えるべきでない。
【実施例1】
【0016】
(化合物番号2)
3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−4−イルカルボニル)−1H−インダゾール塩酸塩1:1。
【0017】
50ml反応器に、1H−インダゾール−3−カルボン酸0.165g(1.02mmol)及びチオニル塩酸塩1mlを投入し、混合物を、1時間30分還流下に加熱し、減圧下で濃縮する。次いで、この混合物にピリジン1.2ml及び1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン0.30g(2.67mmol)を添加し、この混合物を還流下に1時間30分加熱する。
【0018】
溶媒を減圧下に蒸発させ、残留物をクロロホルム1mlに取り出し、シリカゲルカラム上のクロマトグラフィーにより、酢酸エチル、メタノール及び水性アンモニアの70/30/3混合物で溶出して精製する。
【0019】
これにより0.16gの生成物を得、この生成物をアセトン10mlに溶解し、これにイソプロピルアルコール中の塩化水素酸の5N溶液0.47mlを添加する。結晶(0.17g)を、ろ過により収集し、減圧下で乾燥させる。
融点:286〜287℃。
【実施例2】
【0020】
(化合物番号3)
6−クロロ−3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−4−イルカルボニル)−1H−インダゾール臭化水素酸塩1:1。
【0021】
10mlの反応器に、3−ヨード−6−クロロ−1H−インダゾール0.25g(0.9mmol)、ビス(トリフェニルホスフィノ)−ジクロロ−パラジウム0.09g(0.13mmol)、1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン0.25g(2.24mmol)及び溶液のトリエチルアミン0.31ml(2.24mmol)(ジメチルホルムアミド1ml中)を続けて投入する。次いで、混合物を一酸化炭素でパージし、70℃で8時間加熱する。この反応混合物を、10mlの飽和塩化アンモニウム水溶液へ注ぎ、水相をクロロホルムで抽出する。有機相を乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにより、クロロホルム、メタノール及びアンモニア水の90/10/1の混合物で溶出し、精製する。
【0022】
これにより0.2gの生成物を得、この生成物をイソプロピルアルコール1mlに溶解し、これにイソプロピルアルコール中の塩化水素酸の5N溶液0.13mlを添加する。
【0023】
結晶(0.076g)をろ過により収集し、減圧下で乾燥させる。
融点:285〜286℃。
【実施例3】
【0024】
(化合物番号1)
3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−4−イルカルボニル)−6−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン臭化水素酸塩2:1。
【0025】
実施例2と同様にして、3−ブロモ−6−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン0.7g(3.3mmol)を、実施例1に記載の条件下で、ビス(トリフェニルホスフィノ)ジクロロパラジウム0.35g(0.5mmol)及びトリエチルアミン2.3ml(ジメチルホルムアミド10ml中)の存在下に、1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン1.1g(9.9mmol)と反応させ、生成物0.21gを得る。この生成物をアセトン20mlアセトンに溶解して、これに酢酸中の臭化水素酸の5.7N溶液0.27mlを添加する。ジヒドロブロミドの結晶を、ろ過により収集し、真空下で乾燥させる。
融点:290〜291℃。
【実施例4】
【0026】
(化合物番号4)
3−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−4−イルカルボニル)−5−フルオロ−1H−インダゾール臭化水素酸塩2:1。
【0027】
実施例2と同様にして、3−ヨード−5−フルオロ−1H−インダゾール0.23g(0.88mmol)を、実施例2に記載の条件下で、ビス(トリフェニルホスフィノ)ジクロロパラジウム0.092g(0.13mmol)及びトリエチルアミン0.3ml(ジメチルホルムアミド1mlの中)の存在下に、1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン0.25g(2.19mmol)と反応させる。これにより、0.136gの生成物を得、この生成物をアセトン20mlに溶解し、酢酸中の臭化水素酸の5.7N溶液0.18mlを添加する。ジヒドロブロミドの結晶を、ろ過により収集し、真空下で乾燥させる。
融点:283〜284℃。
【0028】
下記の表は、本発明の、多数の化合物の化学構造及び物理的性質を説明している。
【0029】
「Q」列において、「Me」はメチル基を意味し、「Ms」はメタンスルホニルを意味する。
「St.」列において、「(+/−)」はラセミ化合物を意味し、「(+)」及び「(−)」は右旋性と左旋性の鏡像異性体を個々に意味する。
「塩」列において、「−」は塩基形の化合物を意味し、「HBr」は臭化水素酸塩を意味し、「ox.」はシュウ酸塩又はエタンジオアートを意味する。
【0030】
【化5】

【0031】
【表1】

【0032】
本発明の化合物は、薬理試験に付され、医薬の活性物質としてのこれらの有用性が示された。
【0033】
本発明の化合物は、例えば「Anderson及びArneric、Eur. J. Pharmacol. 1994,253,261及び「Hall et al. in Brain Res. 1993,600,127」に記載の方法に従って、αβサブユニットを含有するニコチン性受容体に対する親和性について調べられた。
【0034】
体重150から200gの雄のスプラグ ドーリー ラットを断頭し、直ちに全脳を取り出し、15倍容量の0.32Mの蔗糖液中で4℃にて均質化し、次いで1、000Gで10分間遠心分離する。ペレットを廃棄し、上清を20、000Gで4℃にて20分間遠心分離する。ペレットを回収し、PolytronTMミルを使用して15倍容量の再蒸留水中で4℃にて均質化し、次いで8、000Gで20分間遠心分離する。ペレットを廃棄し、上清及び上膜層(バフィコート)を40、000Gで20分間遠心分離して、ペレットを回収し、15mlの再蒸留水中に再懸濁し、40、000Gで再度遠心分離し、−80℃で保存する。
【0035】
実験当日、組織をゆっくりと解凍し、3倍容量の緩衝液中に懸濁する。この膜懸濁液150μlを、最終容量が500μlの緩衝液中の1nM [H]−シチジン100μlの存在下、試験化合物の存在又は不在下において、4℃で120分間保温する。反応を、ポリエチレンイミンで前処理したWhatman GF/BTMフィルターでろ過することにより停止し、フィルターを4℃にて5mlの緩衝液で2度すすぎ、このフィルター上に保たれた放射能を液体シンチグラフィーで測定する。非特異的結合を(−)−ニコチン10μMの存在下に測定する。前記非特異的結合は、フィルター上に回収された総結合の75%から85%を表す。化合物の試験した各濃度について、50%の特異結合を阻害する化合物の濃度であるIC50を計算して、 [H]−シチジンの特異結合の阻害パーセントを決定する。
【0036】
本発明の化合物の最大の親和性を有するもののIC50値は、1から10μMの間にある。
【0037】
本発明の化合物は、また、「Mark and Collins J. Pharmacol. Exp. Ther. 1982,22,564」及び「Marks et al. Mol. Pharmacol. 1986,30,427」に記載の方法により、αサブユニットを含有するニコチン性受容体に対するこれら化合物の親和性についても調べられた。
【0038】
体重150〜200gの雄のOFAラットを断頭し、直ちに全脳を取り出し、15倍容量の0.32Mの蔗糖液で4℃にてPolytronTMミルを使用して均質化し、次いで1、000Gで10分間遠心分離する。ペレットを廃棄し、上清を8、000Gで4℃にて20分間遠心分離する。ペレットを回収し、PolytronTMミルを使用して15倍容量の再蒸留水で4℃にて均質化し、次いで8、000Gで20分間遠心分離する。ペレットを廃棄し、上清及び上膜層(バフィコート)を40、000Gで20分間遠心分離する。ペレットを回収し、15倍容量の再蒸留水で再懸濁し、40、000Gで再度遠心分離し、−80℃で保存する。
【0039】
実験当日、組織をゆっくりと解凍し、5倍容量の緩衝液で懸濁する。膜懸濁液150μlを、表題化合物の存在又は不在下において、暗所にて37℃に保温する。次いで、この膜を、最終容量250μlの20mMHEPES中の1nM[H]−α−ブンガロトキシン50μl、0.05%ポリエチレンイミン緩衝液の存在下、37℃で60分間暗所に保温する。反応を、0.05%のポリエチレンイミンで、3時間、前処理したWhatmanGF/CTMフィルターでろ過して停止する。前記フィルターを2回5mlの緩衝液にて4℃ですすぎ、各フィルターに保有されている放射能を液体のシンチグラフィーで測定する。非特異的結合を、最終1μMにおけるα−ブンガロトキシンの存在下で測定する。前記非特異的結合は、フィルター上に回収された総結合の約60%を表す。化合物の調べた各濃度において、 [H]−α−ブンガロトキシンの特異結合の阻害パーセントを測定し、次いでIC50(特異結合の50%を阻害する化合物の濃度)を計算する。
【0040】
本発明の化合物の最大の親和性を有するもののIC50値は、0.010から0.10μMの間にある。
【0041】
一部の具体的化合物のIC50値を下表に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
上記の結果は、本発明の化合物がニコチン性受容体のαサブユニットにおける選択的リガンドであることを示す。
【0044】
様々な試験結果が、ニコチン性受容体の機能障害、特に中枢神経系内の、を伴う疾患の治療又は予防における化合物の使用を示唆している。
【0045】
これらの障害には、(アルツハイマー病、病的老化(老人性記憶障害、AAMI)、パーキンソン病、トリソミー21(ダウン症)、アルコール性コルサコフ症及び血管性痴呆(多種梗塞痴呆、MDI)に関連する)認識機能障害、より具体的には記憶障害、注意力障害などの障害が含まれる。
【0046】
本発明の化合物は、パーキンソン病又は他の神経系疾患、例えばハンチントン舞踏病、トゥーレット症、遅発性ジスキネジー及び運動過剰症など、で観察される運動障害の治療でも有用であり得よう。
【0047】
本発明の化合物は、脳血管障害及び脳低酸素症の治療処置又は対症療法の構成要素ともなり得る。これらの化合物は、精神病:精神分裂病、鬱病、不安神経症、パニック発作及び強迫行動、においても使用可能である。
【0048】
これら化合物は、喫煙、アルコール並びに(コカイン、LSD、大麻並びにベンゾジアゼピン等の依存を誘導する)様々な薬物の使用中止により引き起こされる症状を予防し得る。
【0049】
更に、本発明の化合物は、下肢虚血、下肢の閉塞性動脈炎(PAD:末梢動脈疾患)、心虚血(安定狭窄症)、心筋梗塞、心不全、糖尿病患者の皮膚瘢痕形成欠損症及び静脈不全の結節性潰瘍の治療でも使用可能である。
【0050】
前述の病状において、ニコチン性薬剤のみで及び/又は前記病状で必要とされる関連薬剤と組み合わせて、治療を行なうことが可能である。
【0051】
従って、本発明は、更に、塩基の形態又は塩の形態もしくは薬学的に許容される溶媒和物の形態で、及び適切な場合好適な賦形剤との混合で、本発明の少なくとも一つの化合物の有効投与量を含有する医薬組成物を提供する。
【0052】
前記賦形剤は、所望の医薬形態及び投与様式に従って選択される。
【0053】
本発明の医薬組成物は、したがって、経口投与、舌下投与、皮下投与、筋肉投与、静脈内投与、局所投与、気管内投与、鼻腔内投与、経皮投与、経直腸投与又は眼球内投与を意図し得る。
【0054】
投与単位形態は、例えば、錠剤、ゲルカプセル、顆粒類、粉末剤、経口又は注射の液剤又は懸濁液、経皮パッチ又は坐薬剤などであり得る。局所投与のために、軟膏剤、ローション剤及び点眼剤を挙げることができる。
【0055】
医薬の形態に応じて、体重1kgにつき活性成分の0.01から20mgの日々投与が可能になるように、前記単位形態が投与される。
【0056】
錠剤を調製するには、前記活性成分を、微粉化形態又はその他の形態で、薬物ビヒクルと混合される。これら薬物ビヒクルは、希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、殿粉)及び調合助剤(例えば結合剤(ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、滑走剤(シリカなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、トリベヘン酸グリセロール及びフマル酸ステアリルナトリウム等など)など)から成り得る。ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤又は表面活性剤の添加も可能である。
【0057】
製造技術は、直接打錠、乾式造粒、湿式造粒又は加熱溶融であり得る。
【0058】
錠剤は、素錠、例えばスクロースで被覆した被覆錠又は様々なポリマー若しくは他の適切な物質に包まれた封入剤とすることができる。これら錠剤は、ポリマーマトリックス又は被覆に使用される特定のポリマーによる活性成分の迅速放出、遅延放出又は持続的放出が可能になるように設計することができる。
【0059】
ゲルカプセルを調製するには、活性成分を、乾燥した薬学的ビヒクル(単純混合、乾式若しくは湿式造粒又は加熱溶融)又は液体若しくは半固体の薬学的ビヒクルと混合する。
【0060】
ゲルカプセルは、硬カプセル又は軟カプセルであり得、迅速な、持続する、または延長した活性(例えば、腸溶形態)が発揮されるように、フィルム被覆され得る。
【0061】
シロップ若しくはエリキシル形態の組成物又は点滴投与用組成物は、活性成分を、甘味剤好ましくはノンカロリーの甘味剤、防腐剤としてのメチルパラベン又はプロピルパラベン、風味強化剤及び着色料と共に含有し得る。
【0062】
水分散性の粒剤及び粉末は、分散若しくは湿潤剤、又はポリビニルピロリドンなどの分散剤、並びに甘味剤及び矯味剤と混合された活性成分を含有し得る。
【0063】
経直腸投与のために、カカオ脂又はポリエチレングリコールなどの直腸の温度で融解する結合剤を用いて調製された坐薬が使用される。
【0064】
非経口投与のために、薬理学的に適合性のある分散剤及び/又は湿潤剤(プロピレングリコール若しくはブチレングリコールなど)を含有する、例えば水性懸濁液、等張塩水溶液又は無菌注射溶液を使用する。
【0065】
活性成分は、適宜1つ以上のビヒクル若しくは添加剤と共に、そうでなければポリマーマトリックス又はシクロデキストリン(経皮貼布形態及び持続放出形態)と共に、マイクロカプセル形態でも調合され得る。
【0066】
本発明の局所組成物は、皮膚と適合する媒体を含む。これら組成物は、特に、水性、アルコール性又は水性―アルコール性の溶液、ゲル、クリーム又はゲルの外観を有する油中水型エマルション又は水中油型エマルション、マイクロエマルション又はエアゾール、そうでなければ、イオン性及び/又は非イオン性脂質を含有する小胞分散剤の形態であり得る。これらの医薬形態は、当該分野における通常の方法に従って調製される。
【0067】
最後に、本発明の医薬組成物は、一般式(1)の化合物に加えて、上述の障害及び疾病の治療に有用であり得る他の活性成分を含有し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基の形態、溶媒和物の形態又は酸付加塩の形態の、一般式(I)の純粋な鏡像異性体形態又は鏡像異性体混合物形態の化合物
【化1】

(式中、
Xは、窒素原子又は一般式C−Rの基を表し、
P、Q、R及びWは、互いにそれぞれ独立に、窒素原子又は一般式C−Rの基を表し、
は、水素原子又は(C−C)アルキル基を表し、
は、(C−C)アルキル基を表し、
は、水素若しくはハロゲン原子又は(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基若しくはシアノ基、又は一般式−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR、NRS(=O)NR、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)ONR、−OC(=O)SR、−C(=O)OR、C(=O)R、−C(=O)NR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)若しくは−S(=O)NRの群、又は(ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基若しくはシアノ基、又は一般式−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR、NRS(=O)NR、−OR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)ONR、−OC(=O)SR、−C(=O)OR、−C(=O)NR、SR、−S(=O)R、−S(=O)若しくは−S(=O)NRの群から選択される1つ以上の基によって必要に応じて置換される)フェニル基を表し、
又は、Rは、イミダゾール環系、ピリジン環系、ピリダジン環系、ピリミジン環系、ピラゾール環系、ピラジン環系、トリアゾール環系、キノリン環系、イソキノリン環系、テトラゾール環系、フラン環系、チオフェン環系、チアゾール環系、イソチアゾール環系、オキサゾール環系、イソキサゾール環系、ピロール環系、テトラヒドロキノリン環系、テトラヒドロイソキノリン環系、インドール環系、ベンズイミダゾール環系、ベンゾフラン環系、ジヒドロベンゾフラン環系、シンノリン環系、インダゾール環系、フタラジン環系、トリアジン環系、イソインドール環系、オキサジアゾール環系、チアジアゾール環系、フラザン環系、ベンゾフラザン環系、ベンゾチオフェン環系、ジヒドロベンゾチオフェン環系、ベンゾトリアゾール環系、ベンゾチアゾール環系、ベンズイソチアゾール環系、ベンゾオキサゾール環系、ベンズイソキサゾール環系、キナゾリン環系、キノキサリン環系、ナフチリジン環系、ジヒドロキノリン環系、ジヒドロイソキノリン環系、フロピリジン環系、ジヒドロフロピリジン環系、ピロロピリジン環系、チエノピリジン環系、ジヒドロチエノピリジン環系、イミダゾピリジン環系、ピラゾロピリジン環系、オキサゾロピリジン環系、イソキサゾロピリジン環系、イソキサゾロピリジン環系、チアゾロピリジン環系、イソチアゾロピリジン環系、ピロロピリミジン環系、フロピリミジン環系、ジヒドロフロピリミジン環系、チエノピリミジン環系、ジヒドロチエノピリミジン環系、イミダゾピリミジン環系、ピラゾロピリミジン環系、オキサゾロピリミジン環系、イソキサゾロピリミジン環系、チアゾロピリミジン環系、イソチアゾロピリミジン環系、フロピラジン環系、ジヒドロフロピラジン環系、ピロロピラジン環系、チエノピラジン環系、ジヒドロチエノピラジン環系、イミダゾピラジン環系、ピラゾロピラジン環系、オキサゾロピラジン環系、イソキサゾロピラジン環系、チアゾロピラジン環系、イソチアゾロピラジン環系、フロピリダジン環系、ジヒドロフロピリダジン環系、ピロロピリダジン環系、チエノピリダジン環系、ジヒドロチエノピリダジン環系、イミダゾピリダジン環系、ピラゾロピリダジン環系、オキサゾロピリダジン環系、イソキサゾロピリダジン環系、チアゾロピリダジン環系又はイソチアゾロピリダジン環系から選択される基を表し、
、R及びRは、互いにそれぞれ独立に、ハロゲン原子又は直鎖状若しくは分岐状(C−C)アルキル基、直鎖状若しくは分岐状(C−C)アルケニル基、又は直鎖若しくは分岐状(C−C)アルキニル基、又は(C−C)シクロアルキル基、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルケニル基又はフェニル基を表し、
一般式NR及びNRの基は、これらを持つ窒素原子とともに、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、アゼピニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピロリニル基、インドリニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリニル基、3H−インドリル基、キヌクリジニル基及びキノリジニル基から選択される基を形成することが可能である。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物からなることを特徴とする医薬。
【請求項3】
賦形剤と組み合わせた請求項1に記載の化合物を含有することを特徴とする医薬組成。
【請求項4】
認知障害及び注意力障害若しくは運動障害、神経障害若しくは精神障害により引き起こされる障害の治療を目的とする、又は依存を誘発する物質の使用中止から引き起こされる症状の予防を目的とする、又は心臓、血管、動脈及び静脈病変の治療を目的とする医薬を調製するための、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−517838(P2007−517838A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548338(P2006−548338)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000027
【国際公開番号】WO2005/077955
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】