説明

1,5−ジアリール−3−置換ピラゾールの製造方法

【課題】既知の方法よりもはるかに高収率及び低コストでテポキサリンを製造する方法の提供。
【解決手段】式(V)で表される化合物をアルコールと反応させて、対応するエステルを生成せしめ、そしてこのエステルをN−メチルヒドロキシルアミンと反応させて、対応する化合物(テポキサリン)を生成せしめる。


(式中、R1、R2、R3及びR4は同じであるか又は相異なり、そして個々に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノなどから選ばれるか、あるいはR1、R2又はR3、R4はそれらが結合しているフェニル基と一緒になってナフチルもしくは置換されたナフチル基を形成する)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式
【0002】
【化1】

【0003】
式中、
1、R2、R3及びR4は同じであるか又は相異なり、そして個々に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノ、アセタミド、フェニル、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルチオ、ニトロ、トリフルオロメチル、ω−トリフルオロメチル低級アルコキシよりなる群から選ばれるか、あるいはR1、R2又はR3、R4はそれらが結合しているフェニル基と一緒になってナフチルもしくは置換されたナフチル基を形成する、
の1,5−ジアリール−3−置換ピラゾール類を製造する方法に関する。
【0004】
好ましい態様では、本発明は、テポキサリン(tepoxalin)として知られている式Ia
【0005】
【化2】

【0006】
の化合物、5−(4−クロロフェニル)−N−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−1H−ピラゾール−3−プロパンアミドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0007】
式Iの化合物及び式Iの化合物を製造及び使用する方法は、1989年5月2日発行の米国特許第4,826,868号に記載されており、これはその引用を以て本明細書に加入される。
【0008】
テポキサリンは、アラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ及びリポキシゲナーゼ経路の両方の効力のある抑制剤である(米国特許第4,826,868号及びRobi
nson,C.,Drugs of the Future,15,9.902(1990)。
【0009】
テポキサリンを合成する既知の方法は下記の方法を包含する。米国特許第4,826868号は、アルコール、5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパノールをジョーンズ試薬(Jones reagent)と反応させて、酸、5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパン酸を形成させ、これをテトラヒドロフラン(“THF”)中でジメチルホルムアミド及び塩化オキサリルと反応させ、これを次いでTHF中でメチルヒドロキシルアミン塩酸塩及びトリエチルアミンと反応させることを記載している。
【0010】
米国特許第4,898,952号は、ヒドラジンをジケト酸と反応させてピラゾール酸を形成させ、ピラゾール酸をジメチルホルムアミド及び塩化オキサリルと反応させてピラゾール酸クロリドを生成させ、これをメチルヒドロキシルアミン塩酸塩及びトリエチルアミント反応させてテポキサリンを得ることを含んで成るテポキサリンを製造する方法を記載している。ジケト酸は、リチウムジイソプロピルアミドの溶液(低温でTHF中でジイソプロピルアミン及びn−ブチルリチウムから製造されたLDA)に適当に置換されたアセトフェノンを加えることにより製造される。別法として、リチウムヘキサメチルジシラジド(lithium hexamethyl disilazide)をリチウムジイソプロピルアミドの代わりに塩基として使用することができる。次いで無水コハク酸をこの溶液に加えてジケト酸を生成させる。
【0011】
米国特許第5,117,054号は、p−クロロアセトフェノンを無水コハク酸と反応させて4−クロロ−γ,ε−ジオキソ−ベンゼンヘキサン酸を形成させ、これを無水酢酸又は塩化アセチルと反応させて5−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチリデン]ジヒドロ−2(3H)−フラノンを生成させる方法を記載している。この化合物を次いでN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩及びアミンン塩基、例えばトリエチルアミン、ヒュニッヒの塩基(Hunig′s base)、ピリジン又はルチジン及び溶媒、例えば塩化メチレン又はクロロホルムの混合物に加えて、4−クロロ−N−ヒドロキシ−N−メチル−γ,ε−ジオキソ−ベンゼンヘキサンアミドを形成させ、これをアルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール又はプロパノール中で、上記した如きアミン塩基、4−メトキシフェニル−ヒドラジン塩酸塩と結合させる。
【0012】
リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、LDA・LiCl、マグネシウムジイソプロピルアミド(MDA)、MDA・1LiBr、MDA・2LiBr又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドから選ばれた種々の塩基を利用するp−クロロアセトフェノンからの4−クロロ−γ,ε−ジオキソ−ベンゼンヘキサン酸の製造はMurray et
al,Synthesis 1991,p.18−20に開示された。
【0013】
コスト、毒性及び危険の考慮により、試薬リチウムヘキサメチルジシラジド、塩化オキサリル及び塩化メチレンなしにそして過剰のp−クロロアセトフェノンなしに、1,5−ジアリール−3−置換ピラゾール類、特にテポキサリンを合成することができることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,826,868号明細書
【特許文献2】米国特許第4,898,952号明細書
【特許文献3】米国特許第5,117,054号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Robinson,C.,Drugs of the Future,15,9.902(1990)
【非特許文献2】Murray et al,Synthesis 1991,p.18−20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、既知の方法よりもはるかに高い全体の収率及び減少したコストでテポキサリンを製造するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、式I
【0018】
【化3】

【0019】
式中、
1、R2、R3及びR4は同じであるか又は相異なり、そして個々に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノ、アセタミド、フェニル、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルチオ、ニトロ、トリフルオロメチル、ω−トリフルオロメチル低級アルコキシよりなる群から選ばれるか、あるいはR1、R2又はR3、R4はそれらが結合しているフェニル基と一緒になってナフチルもしくは置換されたナフチル基を形成する、
の化合物を製造する方法であって、
式II
【0020】
【化4】

【0021】
式中、R3及びR4は上記のとおりである、
の化合物を無水コハク酸及びアルコキシド塩基と反応させて、式III
【0022】
【化5】

【0023】
式中、R3及びR4は上記のとおりである、
の対応する化合物を生成せしめ、これを式IV
【0024】
【化6】

【0025】
式中、R1及びR2は上記のとおりである、
の化合物と反応させて、式V
【0026】
【化7】

【0027】
式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりである、
の対応する化合物を生成せしめ、式Vの化合物をアルコールと反応させて、式VI
【0028】
【化8】

【0029】
式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりであり、そしてRは低級アルキル又はシクロアルキルである、
の対応するエステルを生成せしめ、そして式VIのエステルをN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩及び塩基と反応させて式Iの対応する化合物を生成せしめることを含んでなるる方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上記式において、R1、R2、R3及びR4は、ピラゾール環の位置1及び5の水素原子に代わって置換されたフェニル環における置換基である。R1及びR2の少なくとも1つ及びR3及びR4の1つはそれらのそれぞれのフェニル環の4−位置で置換されることが好ましい。
【0031】
低級アルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチル−3−ブチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、オクチル等を包含する。
【0032】
低級アルコキシは、前記した低級アルキルから形成された酸素エーテルを意味するものとする。
【0033】
1、R2、R3及びR4の低級アルキルチオ基はチオエーテルであり、従って上記したエーテルに類似している。
【0034】
ハロ基は好ましくはクロロ及びブロモ並びにフルオロ及びヨードを包含する。
【0035】
低級アルキルスルホニル基は、それ自体またフェニル環にも結合しているSO2部分に結合した上記した低級アルキル基を含有する。かくして例示的な低級アルキルスルホニル基はメチルスルホニル、エチルスルホニル、2−エチルブチルスルホニル等を包含する。
【0036】
ω−トリフルオロメチル低級アルコキシ基は、アルキル鎖におけるフェニル環への結合の位置から最も遠い位置にトリフルオロメチル基を更に含む前記した低級アルコキシ基である。このような基の例は2,2,2−トリフルオロエトキシである。
【0037】
ナフチル及び置換されたナフチル基は、1−位置又は2−位置のいずれかにおいてここの(herein)アリール基に置き代わってそれぞれ1−ナフチル又は2−ナフチル置換基を与えることができる。ナフチル基上の置換基は有用なアリール置換基であるとして本明細書で記載された置換基であることができる。例示的な置換された1−及び2−ナフチルは6−メトキシ−2−ナフチル等を包含する。
【0038】
本明細書で使用する、アルキル又はアルコキシで使用される「低級」という用語は、特記しない限り、1〜6個の炭素原子の炭素鎖構成を意味する。
【0039】
「アルコキシド塩基」という用語は、低級第一級アルコキシド、第二級低級アルコキシド又は第三級アルコキシド、例えば、メトキシド、エトキシド、2−プロポキシド、tert−ブトキシド等を指す。好ましい塩基は第三級アルコキシドであり、好ましくはカリウムtert−ブトキシドである。
【0040】
本発明は、式I
【0041】
【化9】

【0042】
の化合物の製造方法であって、
式II
【0043】
【化10】

【0044】
の化合物を無水コハク酸及びアルコキシド塩基と反応させて、式III
【0045】
【化11】

【0046】
の対応する化合物を形成させ、これを式IV
【0047】
【化12】

【0048】
の化合物と反応させて、式V
【0049】
【化13】

【0050】
の対応する化合物を形成させ、式Vの化合物をアルコールと反応させて、式VI
【0051】
【化14】

【0052】
式中、Rは低級アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、好ましくはエチル又はアリールである、
の対応するエステルを生成せしめ、そして式VIのエステルをN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩及び適当な塩基、例えばアルコキシド塩基、アミン塩基又は無機塩基、例えばNaOHもしくはKOH、好ましくはエタノール中のナトリウムエトキシド、と反応させて式Iの対応する化合物を生成せしめることを含んで成る方法に関する。
【0053】
好ましい態様では、本発明は、式I
【0054】
【化15】

【0055】
【表1】

【0056】
の化合物を製造する方法に関する。
【0057】
特に好ましい態様では、本発明は、R1が4−OMeでありそしてR3が4−Clであり、R2がHでありそしてR4がHである、テポキサリン(Ia)
を製造する方法に関する。
【0058】
【化16】

【0059】
スキーム1に記載のとおり、既知の化合物又は既知の方法により製造された化合物である式IIの化合物を、極性非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)又はTHF、好ましくはDMF中で、無水コハク酸及びアルコキシド塩基、例えばLi、Na、もしくはKtert−アルコキシド、好ましくはK−tert−アルコキシドと、約−5〜20℃、更に好ましくは0〜5℃、特に好ましくは0℃の初期温度で反応させ、次いで45〜50℃の温度に、好ましくは45℃で、加熱して式IIIの対応する化合物
を生成せしめる。
【0060】
好ましくは式IIの化合物及び無水コハク酸の各々1当量を2当量のアルコキシド塩基と反応させる。
【0061】
式IIIの化合物を、既知の化合物又は既知の方法により製造される化合物である式IVの化合物、又は、好ましくはそのHCl塩及び塩基、例えば、KHCO3、NaHCO3、KOH又はNaOH、好ましくはNaHCO3を用い、低級アルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール又は2−プロパノール、好ましくはメタノール中で、好ましくは約45〜55℃の温度で処理して式Vの対応する化合物を生成せしめる。既知の方法、好ましくは、ろ過してNaClを除去すること、ろ液の種晶添加(seeding)及び冷却、及びろ過して式Vの化合物を単離することにより、式Vの化合物が単離される。
【0062】
式Vの化合物をアルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール又はペンジルアルコール、好ましくはエタノール中で、触媒量の酸、例えば硫酸、塩酸又はp−トルエンスルホン酸と還流温度で反応させて式VIの対応するエステル(メチル、エチル、イソプロピル又はベンジル、エチルが好ましい)を生成させる。
【0063】
式VIのエステルを、慣用の手段、例えば濃縮、播種及び得られる固体のろ過により単離する。式VIのエステルをN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(固体として又は水性溶液から製造されたアルコール性溶液として)及び塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムベンジルオキシド又はナトリウムイソプロポキシド(好ましくはナトリウムエトキシド)あるいはN−メチルヒドロキシルアミン遊離塩基(既知の化合物)で、アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール又はベンジルアルコール(好ましくはエタノール)中で処理して式Iの化合物を生成せしめる。生成物を既知の方法、好ましくは水性クエンチ(aqueous quench)、続いてろ過により単離する。
【0064】
別法として、式VIのエステルを単離しない。この場合には、式Vの化合物を、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はベンジルアルコール、好ましくはエタノール及び触媒量の酸、例えば硫酸、塩酸又はp−トルエンスルホン酸で処理しそして加熱還流して式VIのエステルを生成せしめそして反応を冷却する。式VIのエステルの得られる溶液を直接N−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(固体として又は水性溶液から製造されたアルコール性溶液として)と反応させ、そして適当な塩基、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムベンジルオキシド又はナトリウムイソプロポキシド、好ましくはナトリウムエトキシドで塩基性にして式Iの化合物を生成せしめる。生成物を既知の方法、好ましくは水性クエンチ、続くろ過により単離する。
【0065】
別法として、式Vの酸も式VIのエステルも単離せず、そして式IIIの化合物を式Iの生成物に転化する(V又はVIを単離しないで)。この場合には、式IIIの化合物を既知の化合物又は既知の方法により製造される化合物である式VIの化合物又は好ましくはそのHCl塩及び塩基、例えば、KHCO3、NaHCO3、KOH又はNaOH、好ましくはNaOHで、低級アルコール溶媒、例えば、MeOH、EtOH又は2−プロパノール、好ましくはエタノール中で、好ましくは約20〜55℃の温度で(好ましくは周囲の温度、約25℃で)処理して、式Vの対応する化合物を生成せしめる。次いで式Vの化合物の得られる混合物を酸、例えば硫酸、塩酸又はp−トルエンスルホン酸で処理しそして加熱還流して式VIの対応するエステルを生成させる。式VIのエステルの得られる反応混合物を次いで直接N−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(固体として又は水性溶液から製造されたアルコール性溶液として)で処理し、そして適当な塩基、例えば、ナトリウ
ムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムベンジルオキシド又はナトリウムイソプロポキシド、好ましくはナトリウムエトキシドで塩基性にして式Iの対応する化合物を生成させる。生成物を既知の方法、好ましくは水性クエンチ、続くろ過により単離する。
【0066】
他の態様では、特許請求の範囲に記載の本発明は、式IIの化合物をアルコキシド塩基中で無水コハク酸と反応させることを含んで成る、式III
【0067】
【化17】

【0068】
の中間体を製造する方法に関する。
【0069】
更に、特許請求の範囲に記載の本発明は、式Vの化合物をアルコールと反応させて式VIの対応するエステル(式中、例えばR=Me、Et、iPr、好ましくはEt)を生成せしめ、そして式VIの対応するエステルをN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させることを含んで成る式Iの1,5−ジアリール−3−置換ピラゾール類、特にテポキサリンを製造する方法に関する。
【0070】
本発明は、式VI(式中、例えばRはメチル、エチル又はイソプロピル、好ましくはエチルである)の新規な中間体にも関する。
【実施例】
【0071】
下記の実施例は本発明を更に詳細に記載しそして本発明を説明することを意図するが、本発明を限定することを意図するものではない。
【0072】
実施例1
【0073】
【化18】

【0074】
カリウムtert−ブトキシド(112.2g、1モル)をDMF(250mL)に溶解しそして窒素雰囲気下に0℃に冷却した。DMF(50mL)中のp−クロロアセトフェノン(77.3g、0.5モル)を0℃で約30分にわたり加え、次いで0℃で30分間撹拌した。無水コハク酸(50.0g、0.5モル)を室温でDMF(170mL)に溶解した(DMFに無水コハク酸を溶解するのに加熱が必要なことがある)。この溶液はそれをエノレート溶液(enolate solution)に加える前に室温に冷却されるべきであり、そして0〜5℃で80分にわたり上記エノレート溶液に加えられた。反応混合物を0〜5℃で25分間撹拌し、次いで30分間55℃に加熱した。反応混合物を
外部冷却なしに水(400mL)を加えることによりクエンチした。最終温度は約52〜55℃であった。クエンチの後直ちに反応混合物を濃HClでpH5に酸性化し、最終温度は約55〜56℃であった。反応混合物は淡褐色の曇った溶液となった。混合物を撹拌しそして5〜10℃に冷却した。黄色の固体生成物が約30℃で形成し始めた。得られる黄色固体をろ過により集めそして水(300mL)で洗浄した。水の大部分が排出された後、固体をトルエン(250mL)で洗浄してすべての残留p−クロロアセトフェノン及び色の大部分を除去した。固体を一夜空気乾燥した。収率:68.8g(53%)。
【0075】
実施例2
【0076】
【化19】

【0077】
5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパン酸(300g、840ミリモル)及びエタノール(3L)をフラスコに入れた。濃H2SO4(2.4mL、86.4ミリ当量)を撹拌しながら加えた。次いで反応を加熱還流した。約30分の後懸濁液は溶解した。反応をTLC(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル:メタノール70:20:10)により監視した。9時間還流の後、すべての出発物質が去りそしてエタノール2Lが蒸留により除去された。残りの溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、そして既知のエチル−5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパノエートで種晶添加した。得られる懸濁液を0℃で30分間撹拌し、次いでろ過しそして冷エタノール(100mL)で洗浄しそして真空乾燥して(室温、約5mmHg)、エチル−5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパノエート(275.0g、85%収率)がクリーン白色粉末(clean white powder)(融点=80〜81℃)として得られた。母液の容積を約100mLに減少させそして既知のエチル−5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパノエートで種晶添加した後、追加の27.9gのエチル−5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパノエートが黄褐色粉末(tan powder)として得られた。
【0078】
実施例3
【0079】
【化20】

【0080】
a)オーブンで乾燥した1000mLの三つ口丸底フラスコはオーブンで乾燥した磁性撹拌バー、アルゴン入り口、乾燥管、温度計、及びオーブン乾燥した250mL添加漏斗を備えていた。乾燥アルゴンの流れを供給しながらフラスコを室温に冷却した。フラスコに添加漏斗を介して乾燥エタノール(160mL)(4Aモレキュラーシーブで乾燥した
200プルーフ無変性エタノール(200proof undenatured ethanol)を使用した)を入れそしてN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(16.3gm、0.195モル)を撹拌溶媒に加えて透明な無色溶液を生成させた。得られる混合物を撹拌しながら氷水浴(1.0℃)で冷却しそして添加漏斗にNaOEt(21重量%、170mL、0.46モル)を入れた。NaOEtのすべてをN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩の冷却した撹拌溶液に30分の期間にわたり滴下により加えた(添加の経過中にNaClが沈殿しそして温度が6.0℃に上昇した)。得られるスラリーを約15分撹拌した後、エチルエステル(エチル−5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパノエート)(50.0gm、0.13モル)を良好な撹拌を伴って加えた。得られる混合物を約10分撹拌させ、次いで反応を周囲の温度に加温させた。反応をTLCにより監視した(生成物についてはCH2Cl2中の10%MeOH、出発物質についてはヘキサン中の50%EtOAc)。
【0081】
b)反応を16時間撹拌させた。磁性撹拌バーを除去し、そしてフラスコに機械的撹拌器及び500mL添加漏斗を備え付けた。氷水浴を使用して反応を冷却した(2.5℃)。添加漏斗に氷酢酸(15mL、0.26モル)及び蒸留水330mLの冷却した(氷水浴)混合物を入れた。水性酢酸混合物を反応混合物に良好な撹拌を伴って30分間にわたり滴下により加えた。水性クエンチの経過中に温度は7.8℃に上昇した。水性酢酸混合物155mLの添加の後、反応混合物は透明な褐色溶液になった。生成物は水性酢酸混合物の添加の残りの期間にゆっくりと析出し始め、そして添加の完了後の連続した撹拌及び冷却はより多くの物質の沈殿を生じさせた。クエンチの終わりのpHはリトマス紙により決定して6.4〜6.8であった。得られるミルク状褐色混合物を氷水浴で連続的に冷却しながら撹拌して、固体生成物を完全に沈殿させた。氷水浴を除去した。温水浴を使用して34.4℃までの加熱を伴う真空下の(80mmHg)蒸留により反応からエタノールを除去した。混合物を氷水浴で冷却し、そしてpHを1N NaOH21mLの添加により6.0から6.4〜6.8に調節した。得られる混合物を氷水浴で冷却しながら30分撹拌し、そして生成物を粗い等級の焼結ガラス漏斗を通してのろ過により単離した。単離した固体を氷冷蒸留水(2×75mL)で洗浄した。生成物を空気乾燥し、次いで真空オーブン中に60℃で14.5時間入れて、淡黄褐色(light tan)固体(48.38gm、96.5%収率)として粗製テポキサリンを得た。
【0082】
c)1000mLの丸底三つ口フラスコは、機械的撹拌器、コンデンサ及び温度計を備えていた。フラスコに粗製テポキサリン(48.18gm、0.125モル)及び酢酸エチル190mLを入れた。混合物を良好な撹拌を伴って加熱還流して琥珀色の溶液を生成させた。溶液をセライトを通して別の1000mLのフラスコに熱ろ過した(ろ過中に冷却されると生成物が析出した)。ろ液を加熱還流して透明な琥珀色の溶液を生成させた。溶液を撹拌しながら周囲の温度に冷却して結晶化させた。周囲の温度で2時間撹拌した後、混合物を氷水浴を使用して冷却しそして3時間撹拌した。混合物をろ過しそして集めた固体を氷冷酢酸エチル(2×50mL)で洗浄した。生成物を空気乾燥し、そして真空オーブンに入れた。生成物を真空中で60℃で15時間乾燥して、最終生成物(45.08gm、89.9%収率、>99%HPLC重量%純度))を生成させた。
【0083】
実施例4
【0084】
【化21】

【0085】
a)オーブン乾燥した300mL三つ口丸底フラスコは、磁性撹拌バー、ア ルゴン入り口及び乾燥管を備えていた。フラスコに5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−プロパン酸(10gm、28.03ミリモル)を入れ、続いてエタノール(100mL)を入れた。得られる溶液を氷水浴を使用して冷却し、撹拌溶液を濃H2SO4(0.07mL、2.52ミリ当量)で処理した。次いでフラスコを氷水浴から取り出し、アルゴン入り口及び乾燥管を除去し、そしてフラスコにコンデンサ及び熱電対を備え付けた。反応混合物を加熱還流しそしてTLC(1:2:6MeOH:EtOAc:ヘキサン溶媒系を使用して)により監視した。還流で5時間撹拌した後、反応フラスコにショートパス(short path)蒸留装置を取り付けそしてエタノールを留去した(70mL)。得られる残留物を10℃に冷却しそしてNaOEt(21重量%、37.7mL、101.04ミリモル)で滴下により処理した。次いで得られる混合物をN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.51gm、42.05ミリモル)で処理した。次いで反応フラスコに乾燥管及びアルゴン入り口を再び取り付け、そして反応を周囲の温度で撹拌した。
【0086】
b)反応を周囲の温度で18時間撹拌させた。TLC分析(ヘキサン中の50%EtOAc及びCH2Cl2中の10%メタノールを使用して)は反応の完了を示した。反応フラスコを氷水浴に入れ、そして反応混合物を氷酢酸(3.3mL、57.4ミリモル)及び蒸留水33mLの冷却した(氷水浴)混合物で滴下により処理した。水性酢酸溶液の添加が完了した後、混合物のpHを1N NaOHで6.4〜6.8に調節した(リトマス)。次いで混合物を追加の蒸留水(5mL)で処理すると、固体が析出し始めた。次いで反応フラスコにショートパス蒸留装置を取り付けそして約27mLの溶媒を除去した(30〜35℃で80mmのHg真空)。得られる混合物のpHを6.4〜6.8に再調節し、そして混合物を氷水浴で冷却しながら30分撹拌させた。固体をろ過により集め、そして固体生成物を氷冷蒸留水で洗浄した。次いで空気乾燥した生成物を真空オーブンに入れ、そして真空下に60℃で18時間乾燥してテポキサリン9.51gm(87.9%収率、98.6%のHPLC重量%純度)を得た。
【0087】
実施例5
【0088】
【化22】

【0089】
a)オーブン乾燥した250mLの三つ口丸底フラスコは、アルゴン入り口、乾燥管及び磁性撹拌バーを備えていた。乾燥アルゴンの流れを供給し、そしてフラスコに4−クロ
ロ−γ,ε−ジオキソ−ベンゼンヘキサン酸(10gm、39.27ミリモル)、p−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(11.32gm、42.78ミリモル)及び無水エタノール(80mL、トルエンで変性された)を入れた。得られるスラリーを氷水浴を使用して撹拌しながら冷却した。混合物を粉末NaOH(1.73gm、43.25ミリモル)で処理した。混合物を室温で14時間撹拌して反応を完了させた(紫外線検出を伴うプレートを4〜5回展開する塩化メチレン中の5%MeOHを使用する薄層クロマトグラフィーにより反応を監視する)。反応フラスコにショートパス蒸留装置を備え付け、そして溶媒を減圧下に除去した(真空蒸留のために約40mmのHgの真空を使用した)。真空蒸留からの残留物をトルエンにより共沸乾燥した(2×40mL)。(共沸(azeotroping)のために約40mmのHgの真空を使用した)。エタノール(66mL)を残留物に加え、そして混合物を撹拌して微細な懸濁液を生成させた。懸濁液を濃硫酸(0.1mL、3.6ミリ当量)で処理し、そして混合物を加熱還流した。反応を還流で16時間撹拌した(反応混合物は硫酸を添加すると非常に暗色になった)。反応をTLC(塩化メチレン中の10%MeOH)により監視する。次いで溶媒をショートパス蒸留装置を介して減圧下に除去して油状残留物を生成させた。(真空蒸留のために約40mmのHgの真空を使用した)。
【0090】
真空蒸留からの残留物をショートパス蒸留装置を使用してトルエンで共沸乾燥した(2×40mL)。(共沸のために約40mmのHgの真空を使用した)。生成物は共沸プロセスの間に析出した。得られる残留物をエタノール(66mL)中に希釈し、そして混合物を還流で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、次いで氷水浴を使用して5℃に冷却した。反応をN−メチルヒドロキシルアミンHCl(4.92gm、58.91ミリモル)で処理し、続いて直ちにオーブン乾燥した滴下漏斗を介して良好な撹拌を伴う20分にわたる滴下による添加によりNaOMe(25重量%溶液33mL、144.21ミリモル)で処理した。
【0091】
b)得られる反応混合物を室温で16時間撹拌した(反応をTLCヘキサン中の50%EtOAcで監視する)。ショートパス蒸留装置を介して減圧下に反応から溶媒を除去した。(真空蒸留のために約40mmのHgの真空を使用した)。エタノール(20mL)を粘稠な(thick)反応混合物に加えて撹拌させた。反応を氷水浴を使用して5℃に冷却し、そして水性酢酸の溶液(水66mL中の氷酢酸4.6mL、80.04ミリモル)をゆっくりと加えた。反応混合物は透明になりそして混合物に純粋なテポキサリンを播種した。播種を伴う水性酢酸溶液のゆっくりした添加により反応をクエンチすること(全添加時間約20分)を続けた。添加の終わりまでに固体生成物が析出した。反応のpHを6.8〜7.0に調節し、そして得られる混合物を撹拌しながら室温に加温した。(反応のpHを氷酢酸を使用してpH9から6.8〜7.0に調節した)。
【0092】
得られるスラリーを室温で1時間撹拌し、そしてエタノールをショートパス蒸留装置を介して減圧で反応から除去した(真空蒸留のために約40mmのHgの真空を使用し、28℃の最大温度が得られた)。反応のpHを6.8〜7.0に調節し、そして得られる混合物を氷水浴中で2時間撹拌した。混合物を粗い等級の(coarse rated)焼結ガラス漏斗を通してろ過し、次いで固体を蒸留水(5×60mL)で洗浄した。集めた固体を空気乾燥し、次いで固体を真空下に60℃で12時間乾燥して、粗製テポキサリン(13.09gm、86.39%粗製物収率、95.26%のHPLC重量%純度)が褐色固体(brown solid)として得られた。
【0093】
c)磁性撹拌バー及びコンデンサを備えた250mLの丸底三つ口フラスコに粗製テポキサリン(12.90gm)を入れた。粗製生成物をEtOAc(50mL)で処理し、そして得られるスラリーを加熱還流して透明な暗褐色溶液を生成させた。熱溶液をセライトを通してろ過し、そしてセライトを熱EtOAc(5mL)で洗浄した。(生成物はろ
過の間に析出した)。ろ液を加熱還流して析出した生成物を溶解し、そして混合物をゆっくりと室温に冷却した。混合物を室温で1.0時間撹拌し、次いで氷水浴で冷却しながら2時間撹拌した。得られる固体をろ過により集め、そして生成物を氷冷EtOAc(3×13mL)で洗浄した。空気乾燥の後生成物を70℃で42時間オーブ乾燥して、精製したテポキサリン(11.25gm)を僅かに褐色の固体(87.21%回収率、>99.9%HPLC重量%純度)として生成させた。
【0094】
実施例6
N−メチルヒドロキシルアミンHClのアルコール性溶液の製造
500mLの一口丸底フラスコに、N−メチルヒドロキシルアミンHClの水性溶液(30mL)及びトルエン(250mL)を入れた。フラスコにディーン−シュタークトラップ(Dean−Stark trap)を備え付けそして約15mLの水を留去した。ディーン−シュタークトラップを短行路蒸留装置で置き換え、そして残りのトルエンを留去した。次いで得られる残留物を無水エタノール(250mL)に溶解した。1H NMR分析は約0.83Mのモル濃度を与えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
1、R2、R3及びR4は同じであるか又は相異なり、そして個々に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノ、アセタミド、フェニル、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルチオ、ニトロ、トリフルオロメチル、ω−トリフルオロメチル低級アルコキシ、アミノ、アセタミド、カルボキシ、アルキルヒドロキサム酸よりなる群から選ばれるか、あるいはR1、R2又はR3、R4はそれらが結合しているフェニル基と一緒になってナフチルもしくは置換されたナフチル基を形成する、
の化合物を製造する方法であって、
式V
【化2】

式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりである、
の化合物をアルコールと反応させて、式VI
【化3】

式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりである、
の対応するエステルを含んで成る反応混合物を生成せしめ、そして式VIのエステルを単離することなく、式VIのエステルの反応混合物をN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させて式Iの化合物を生成せしめることを含んでなる方法。
【請求項2】
式I
【化4】

式中、
1、R2、R3及びR4は同じであるか又は相異なり、そして個々に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノ、アセタミド、フェニル、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルチオ、ニトロ、トリフルオロメチル、ω−トリフルオロメチル低級アルコキシよりなる群から選ばれるか、あるいはR1、R2又はR3、R4はそれらが結合しているフェニル基と一緒になってナフチルもしくは置換されたナフチル基を形成する、
の化合物を製造する方法であって、
式III
【化5】

式中、R3及びR4は上記のとおりである、
の化合物を式IV
【化6】

式中、R1及びR2は上記のとおりである、
の化合物と反応させて、式V
【化7】

式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりである、
の化合物を生成せしめ、式Vの化合物を単離することなく、
式Vの化合物の反応混合物をアルコールと反応させて、式VI
【化8】

式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりである、
の対応するエステルを含んでなる反応混合物を生成せしめ、そして式VIのエステルを単離することなく、式VIのエステルの反応混合物をN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩及び塩基と反応させて式Iの化合物を生成せしめる
ことを含んでなる方法。
【請求項3】
式I
【化9】

式中、
1、R2、R3及びR4は同じであるか又は相異なり、そして個々に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノ、アセタミド、フェニル、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキルスルホニル、低級アルキルチオ、ニトロ、トリフルオロメチル、ω−トリフルオロメチル低級アルコキシよりなる群から選ばれるか、あるいはR1、R2又はR3、R4はそれらが結合しているフェニル基と一緒になってナフチルもしくは置換されたナフチル基を形成する、
の化合物を製造する方法であって、
式III
【化10】

式中、R3及びR4は上記のとおりである、
の化合物を式IV
【化11】

式中、R1及びR2は上記のとおりである、
の化合物と反応させて、式V
【化12】

式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりである、
の化合物を生成せしめ、式Vの化合物を単離し、
式Vの化合物をアルコールと反応させて、式VI
【化13】

式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりである、
の対応するエステルを含んでなる反応混合物を生成せしめ、式VIのエステルを単離することなく、式VIのエステルの反応混合物をN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩及び適当な塩基と反応させて式Iの化合物を形成させる
ことを含んでなる方法。

【公開番号】特開2012−51929(P2012−51929A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233200(P2011−233200)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2001−514305(P2001−514305)の分割
【原出願日】平成12年8月1日(2000.8.1)
【出願人】(598093026)オーソ−マクニール・フアーマシユーチカル・インコーポレーテツド (25)
【Fターム(参考)】