説明

10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの光学的に純粋なジアステレオマーおよび該ジアステレオマーを用いる方法

本発明は、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンのジアステレオマー、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの光学的に純粋なジアステレオマー、特にC10位に関する2つの(R,S)ジアステレオマーを含む組成物に関する。これらのジアステレオマー、該ジアステレオマーを含有する組成物、ならびに炎症性障害および癌に関連する状態の治療に関するその使用もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの変異体型を含む化合物および組成物、ならびに癌および炎症性障害を治療する方法におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリン(「10−プロパルギル−10−dAM」、「プララトレキセート」、「ラセミ体PDX」、「(2S)−2−[[4−[(1RS)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸」、「(2RS)−2−[[4−[(1RS)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸」、および「PDX」を含む)は、癌の治療において試験され、そして有用であることが見出されてきている化合物である。ラセミ型、(2S)−2−[[4−[(1RS)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸は、米国食品医薬品局(FDA)によって、再発性および難治性末梢T細胞リンパ腫の治療として認可されてきている。(2S)−2−[[4−[(1RS)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸はまた、リンパ腫、肺癌、膀胱癌、および乳癌において使用するためにも研究中である。
【0003】
[0003]図1に示す構造を有する本化合物は、元来、DeGrawら, “Synthesis and Antitumor Activity of 10−Propargyl−10−deazaaminopterin,” J. Med. Chem. 36:2228−2231(1993)に記載され、そして酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼ(「DHFR」)の阻害剤として、そしてネズミL1210細胞株における増殖の阻害剤として作用することが示された。さらに、いくつかの結果が、E0771ネズミ乳腺腫瘍モデルを用いて、該化合物の抗腫瘍特性に関して提示された。
【0004】
[0004]米国特許第6,028,071号およびPCT公報第WO 1998/02163号は、非常に精製されたPDX組成物を異種移植片モデルにおいて試験すると、PDX組成物がヒト腫瘍に対して有効性を有することを開示する。PDXを用いた続く研究では、組成物がそれ自体で、そして他の療法剤と組み合わされて有用であることが示されてきている。例えば、Sirotnakら, Clinical Cancer Research Vol. 6, 3705−3712(2000)は、PDX、およびcMOAT/MRP様形質膜ATPアーゼ阻害剤であるプロベネシドを同時投与すると、ヒト固形腫瘍に対するPDXの有効性が非常に増進されると報告している。PDX、およびPDXと白金に基づく化学療法剤の組み合わせは、中皮腫に対して有効であることが示されてきている(Khokarら, Clin. Cancer Res. 7:3199−3205(2001))。リンパ腫の治療のためのゲムシタビン(Gem)との同時投与がWO/2005/117892に開示されてきている。タキソールとPDXの組み合わせが有効であると米国特許第6,323,205号に開示されている。PDXはまた、T細胞リンパ腫の治療にも有効であることが示されてきている。米国特許第7,622,470号を参照されたい。他の研究は、試料によって発現される還元型葉酸キャリアー−1酵素(RFC−1)の量を決定することによって、PDXでの治療に対するリンパ腫の感受性を評価するための方法を示してきており、ここで、より高レベルのRFC−1が発現されていると、10−プロパルギル−10−dAMに対する感受性がより高いことの指標になり、これは、PCT公報第WO 2005/117892号に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,028,071号
【特許文献2】PCT公報第WO 1998/02163号
【特許文献3】WO/2005/117892
【特許文献4】米国特許第6,323,205号
【特許文献5】米国特許第7,622,470号
【特許文献6】PCT公報第WO 2005/117892号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】DeGrawら, “Synthesis and Antitumor Activity of 10−Propargyl−10−deazaaminopterin,” J. Med. Chem. 36:2228−2231(1993)
【非特許文献2】Sirotnakら, Clinical Cancer Research Vol. 6, 3705−3712(2000)
【非特許文献3】Khokarら, Clin. Cancer Res. 7:3199−3205(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0005]本発明は、上に論じる問題の1またはそれより多くを克服することに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0006]1つの態様において、本発明には、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマー、またはその塩であって、ジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記ジアステレオマーまたはその塩が含まれる。1つの態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩である。別の態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩である。1つの側面において、塩は塩酸塩である。
【0009】
[0007]別の態様において、本発明には、実質的に純粋な(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩、あるいは実質的に純粋な(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、薬学的組成物が含まれる。いくつかの態様において、本発明には、薬学的に有効な量の実質的に純粋な(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩、あるいは実質的に純粋な(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、薬学的組成物が含まれる。いくつかの態様において、本発明の薬学的組成物は、癌を治療する方法において使用されてもよい。治療すべき癌には、前立腺癌、T細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、血液系腫瘍、頭部および頸部の癌、胃腸管の癌、卵巣癌、および骨肉腫が含まれる。いくつかの態様において、本発明の薬学的組成物は、炎症性障害を治療するための方法において使用されてもよい。治療すべき炎症性障害には関節リウマチが含まれる。いくつかの態様において、本発明の薬学的組成物は経口投与用に配合されており;他の態様において、本発明の薬学的組成物は、静脈内投与用に配合されている。
【0010】
[0008]別の態様において、本発明には、療法的に有効な量の10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマーまたはその塩を、癌の治療が必要な哺乳動物に投与する工程を含む、癌を治療するための方法であって、前記ジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記方法が含まれる。
【0011】
[0009]別の態様において、本発明には、療法的に有効な量の10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマーまたはその塩を、炎症の治療が必要な哺乳動物に投与する工程を含む、炎症を治療するための方法であって、前記ジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記方法が含まれる。1つの態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの総量の重量約90%より多い量の(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である。別の態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの総量の重量約90%より多い量の(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である。本発明の方法には、本発明の実質的に純粋なジアステレオマーとともに、薬学的に許容されうるキャリアーの使用がさらに含まれる。本発明の実質的に純粋なジアステレオマーは、経口または静脈内投与されてもよい。
【0012】
[0010]1つの態様において、本発明の実質的に純粋なジアステレオマーは毎週投与されてもよい。この態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、1回あたり30mg/mの量で、または1回あたり10〜150mg/mの量で投与されてもよい。
【0013】
[0011]1つの態様において、本発明の実質的に純粋なジアステレオマーは隔週で投与されてもよい。この態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、1回あたり100〜275mg/mの量で、または1回あたり10〜275mg/mの量で投与される。
【0014】
[0012]本発明の実質的に純粋なジアステレオマーは、1またはそれより多い周期で投与され、各周期が、1回あたり30〜150mg/mの量で1週間に1度、6週間投与を行い、その後、1週間の休薬を含んでもよい。
【0015】
[0013]場合によって、本発明の実質的に純粋なジアステレオマーの投与には、葉酸およびビタミンB12の補充が含まれる。1つの態様において、本発明の実質的に純粋なジアステレオマーは、1回あたり0.25〜4mg/kgの量で投与される。
【0016】
[0014]1つの態様において、本発明には、癌を治療するための薬学的組成物の製造における、本発明の実質的に純粋なジアステレオマーの使用が含まれる。本発明にはまた、炎症性障害を治療するための薬学的組成物の製造における、本発明の実質的に純粋なジアステレオマーの使用も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】[0015]図1は、(2S)−2−[[4−[(1RS)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸を調製する際に有用な合成スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0016]別に示さない限り、明細書および請求項で用いられる、成分、寸法、反応条件等の量を示すすべての数字は、すべての例において、用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。
【0019】
[0017]本出願および請求項において、単数形の使用には、特に別に言及しない限り、複数形が含まれる。さらに、「または」の使用は、別に言及しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「を含む」、ならびに他の形式、例えば「が含まれる」および「含まれた」の使用は限定的ではない。また、用語、例えば「要素」または「構成要素」は、特に別に言及しない限り、1つの単位を含む要素および構成要素、ならびに1より多い単位を含む要素および構成要素の両方を含む。
【0020】
[0018]本発明は、プララトレキセートのジアステレオマーを含む、癌および炎症性障害を治療するのに有効な方法および組成物に関する。プララトレキセートは、炭素10(C10)および炭素19(C19)位に非対称中心を含有する。1つの態様において、ラセミ体プララトレキセートには、C10キラル中心でのRおよびS立体配置のほぼ1:1ラセミ混合物が含まれ、そしてC19キラル中心での≧98.0%のS−ジアステレオマーが含まれる。この態様の2つのC10ジアステレオマーは:
[0019]PDX−10a[S立体配置]化学名:(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸
[0020]PDX−10b[R立体配置]化学名:(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸と称される。
【0021】
[0021]ラセミ体は、1つの態様において、(2S)−2−[[4−[(1RS)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸と記載されてもよく、分子量:477.5、分子式:C2323、C10でのジアステレオマーの1:1混合物であってもよい。
【0022】
[0022]式1:PDX−10a[S立体配置]化学名:(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸。
【0023】
【化1】

【0024】
[0023]式2:PDX−10b[R立体配置]化学名:(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸。
【0025】
【化2】

【0026】
[0024]PDXのC10ジアステレオマー、PDX−10aおよびPDX−10bでは、癌細胞株に基づいて多様である活性が観察されてきており;いくつかの場合、Sジアステレオマーは、ラセミ体に対して優れた活性を示し、他の場合では、優れた活性を有するのはRジアステレオマーである。互いに比較した際に、ジアステレオマーの薬物動態学においてもまた相違が見出されてきている。PDXがその活性の実質的な部分を発揮する葉酸経路は、多くの同定された酵素を含み、そしてさらに同定されていない酵素も含む可能性もあることが注目される。この複雑な経路における酵素には、還元型葉酸キャリアー−1酵素(RFC−1)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ホリルポリ−ガンマ−グルタミン酸シンテターゼ(FPGS)、チミジル酸シンターゼ(TS)、γ−グルタミルヒドロラーゼ(GGH)、およびグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)が含まれる。他のデアザアミノプテリンに関する技術によって、デアザアミノプテリンのC10キラル中心周囲の変動に関して許容度があることが示唆され(例えばDeGrawら, 1995, Current Medicinal Chem. 2:630およびDeGrawら 1986, J. Med. Chem. 29(6):1056)、これはさらに、ジアステレオマー間の活性において観察された相違を予期されぬものとする。
【0027】
[0025]他のジアステレオマー、ラセミ体、または両方に比較して、特定の癌において増進された活性を有するPDXの特定のジアステレオマーを選択することが可能であれば、癌患者を治療する際に、実際のそして実質的な利点が医師に提供される。例えば、治療する医師は、PDXのラセミ体、PDX−10a[S立体配置]およびPDX−10b[R立体配置]のラセミ体を選択する多数のオプションを有するであろう。本明細書の実施例においてより詳細に示すように、PDX−10aおよびPDX−10bを、多様な癌細胞株に対する有効性に関して、モデル系において試験してきている。
【0028】
[0026]ラセミ体PDXは、DeGrawの1993年の論文、上記、またはDeGrawら、米国特許第5,354,751号の実施例7に開示される方法を用いて合成可能である。PDX製造に関する特許第5,354,751号は、その全体が本明細書に援用される。ラセミ体PDXはまた、米国特許第6,028,071号、特に実施例1に提示される方法によっても合成可能であり、この実施例は、本明細書に援用される。
【0029】
[0027]PDX−10aおよび/またはPDX−10bを生成するため、本明細書および他に解説されるようにラセミ体PDXを合成し、そして続いて、いずれかの最終産物またはより初期の中間産物を出発物質として用いて、C10ジアステレオマーを分離してもよい。あるいは、実質的に純粋なPDX−10aおよび/またはPDX−10bが多くの出発物質のいずれかから直接産生される、キラル合成を使用してもよい。当該技術分野に知られるエナンチオマーまたはジアステレオマーを分離するキラルカラムを使用して、最終ラセミ体PDXまたはより初期の中間体のジアステレオマーを分離してもよい。ジアステレオマーを分離するのに適したキラルカラムには、エタノールを移動相として用いる、ダイセル化学工業、日本から入手可能なキラルカラムCHIRALAK ADが含まれる。
【0030】
[0028]1つの側面において、本発明は、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマー、あるいはその塩、エステル、溶媒和物、および/または多形型を含む化合物であって、実質的に純粋なジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記ジアステレオマーを提供する。1つの態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸、あるいはその塩、エステル、溶媒和物、および/または多形型である。別の態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸、あるいはその塩、エステル、溶媒和物、および/または多形型である。
【0031】
[0029]本発明はまた、療法的に有効な量の10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマー、あるいはその塩、エステル、溶媒和物、および/または多形型を、患者に投与する工程を含む、癌の治療が必要な患者において癌を治療するための方法であって、実質的に純粋なジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記方法も提供する。
【0032】
[0030]1つの癌治療態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸、あるいはその塩、エステル、溶媒和物、および/または多形型である。別の癌治療態様において、実質的に純粋なジアステレオマーは、(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸、あるいはその塩、エステル、溶媒和物、および/または多形型である。いくつかの態様において、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマー、あるいはその塩、エステル、溶媒和物、および/または多形型は、10−デアザアミノプテリンを実質的に含まない。
【0033】
[0031]「実質的に純粋なPDX−10a」は、本明細書において、PDX−10aの量が、10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約90%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約91%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約92%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約93%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約94%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約95%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約96%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約97%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約98%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約98.5%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99.5%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99.7%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99.8%より多く;そして10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99.9%より多いことを意味する。同様に、「実質的に純粋なPDX−10b」は、本明細書において、PDX−10bの量が、10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約90%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約91%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約92%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約93%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約94%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約95%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約96%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約97%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約98%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約98.5%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99.5%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99.7%より多く;10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99.8%より多く;そして10−プロパルギル−10−dAMの総量の重量約99.9%より多いことを意味する。
【0034】
[0032]PDX−10aおよび/またはPDX−10bを用いて治療すべき癌には、例えば、前立腺癌、乳癌、黒色腫、肺癌、およびT細胞リンパ腫が含まれる。T細胞リンパ腫に関しては、本発明のジアステレオマーを用いた治療に供される多様な状態があり、そしてこれらには:(a)悪性腫瘍が胸腺由来の原始リンパ前駆細胞で生じるリンパ芽球性リンパ腫;(b)T細胞前リンパ球性白血病、T細胞顆粒リンパ球性白血病、侵襲性NK細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉腫/セザリー症候群)、T細胞型未分化大細胞リンパ腫、腸疾患型T細胞リンパ腫、HTLV−1に関連するものを含む成人T細胞白血病/リンパ腫、および血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫、および皮下脂肪織炎性(panniculitic)T細胞リンパ腫を含む、成熟または末梢T細胞新生物;ならびに(c)最初はリンパ節傍皮質に関与し、そして真の濾胞パターンには決して増殖しない末梢T細胞リンパ腫が含まれる。治療すべき他の癌には、血液系腫瘍、頭部および頸部の癌、胃腸管の癌、卵巣癌、および骨肉腫が含まれる。
【0035】
[0033]別の態様において、本発明には、療法的に有効な量の10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマー、あるいはその塩、エステル、溶媒和物、および/または多形型を、炎症性障害に罹患した哺乳動物に投与する工程を含む、炎症性障害を治療するための方法であって、実質的に純粋なジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記方法が含まれる。
【0036】
[0034]用語「炎症性障害」は、本明細書において、炎症によって引き起こされるか、またはその症状に炎症が含まれる、いかなる障害も指す。例えば、炎症によって引き起こされる炎症性障害は、敗血症ショックであってもよく、そして症状が炎症を含む炎症性障害は、関節リウマチであってもよい。本発明の炎症性障害には、限定されるわけではないが:心臓血管疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、敗血症ショック、移植片対宿主病、喘息、鼻炎、乾癬、および湿疹が含まれる。1つの態様において、治療すべき炎症性障害には関節リウマチおよび若年性関節リウマチが含まれる。
【0037】
[0035]用語「治療」、「治療する」および「治療すること」は、本明細書において、症状を軽減し、一時的または永続的にのいずれかで癌または炎症性障害の原因を取り除き、障害の症状の出現および/または進行を遅延させるか、あるいは疾患を防止する(すなわち予防的に治療する)ことを意味する。予防的治療を受ける被験体は、一般的に、例えば遺伝的素因、食餌、障害を引き起こす物質への曝露、病原体への曝露等のため、癌または炎症性状態に関するリスクがある哺乳動物である。
【0038】
[0036]用語「患者」または「哺乳動物」は、本明細書において、ヒト、家畜および農場動物、ならびに動物園またはコンパニオン動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を含む、哺乳動物と分類されるいかなる動物も指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0039】
[0037]PDX−10aおよび/またはPDX−10bは、典型的には、当該技術分野に知られるように、患者が治療されているものに対して最も有効な治療(有効性および安全性の観点の両方から)を提供する投薬措置で、患者に投与されるであろう。本発明の治療法を行う際、PDX−10aおよび/またはPDX−10bは、当該技術分野に知られる任意の有効な方式で投与されてもよく、例えば、治療中の癌のタイプ、および例えば公表される臨床研究の結果に基づくような処方医師の医学的判断に応じて、経口、局所、静脈内、腹腔内、筋内、関節内、皮下、鼻内、眼内、膣、直腸、頭蓋内、または皮内経路によってもよい。
【0040】
[0038]実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bを薬学的調製物の一部として配合してもよい。特定の投薬型は、投与法に応じるが、錠剤、カプセル、経口液体、ならびに経口、静脈内、筋内、頭蓋内、または腹腔内投与等のための注射可能溶液が含まれてもよい。投薬は、mg/mとして表されてもよい。あるいは、投薬は当業者に認められうる任意の方式によって、mg/kg体重として表されてもよい。mg/kg体重で同等の投薬量を得るための1つの方法は、ほぼ1mg/mに同等であるように、平均的なヒトに関して、変換係数0.025mg/kgを適用することを伴う。この計算にしたがって、150mg/mの投薬量は、約3.75mg/kgにほぼ同等である。
【0041】
[0039]本発明のジアステレオマーに関する癌のための適切な投薬には、以下の投薬措置が含まれる。例えば、約10〜120mg/m体表面積/日(約0.25〜3mg/kg体重/日)の用量が適切である。毎週30mg/m(約0.75mg/kg)の投薬を3週間、その後、1週間の休薬、毎週30mg/m(約0.75mg/kg)の投薬を6週間、その後、1週間の休薬、あるいは毎週次第に増加する用量のPDXを6週間のスケジュールもまた適切である。患者寛容性および悪性腫瘍のタイプに基づいて、適切であるように、より低い用量を用いてもよい。より頻繁でない投与を用いる場合には、より高い用量を利用してもよい。したがって、一般的な意味で、多様な投薬スケジュールを用いて、10〜275mg/m(約0.25〜約6.9mg/kg)の投薬量が適切に用いられ、例えば約100〜275mg/m(約2.5〜約6.87mg/kg)の間を隔週投薬、および約10〜150mg/m(約0.25〜約3.75mg/kg)の間、またはより具体的には、約10〜60mg/mの間を毎週投薬する。
【0042】
[0040]米国特許第6,323,205号に記載されるものと類似のプロトコルを用いた適切な投薬決定は、当該技術分野の技術範囲内である。1つの態様において、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bジアステレオマーを、1回あたり約10〜約275mg/m(約0.25〜約6.87mg/kg)の量で投与してもよい。本発明の方法にはまた、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bジアステレオマーを毎週;約10mg/m(0.25mg/kg)または約30mg/m(0.75mg/kg)の用量で;1回あたり約10〜約150mg/m(約0.25〜約3.75mg/kg)の量を;隔週で;そして約100〜約275mg/m(約2.5〜約6.9mg/kg)の投薬量で、投与することも含まれる。1つの態様において、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bジアステレオマーを、約0.25mg/kg〜約4mg/kgの間の量で;約0.75mg/kg〜約3mg/kgの間の量で;約1.0mg/kg〜約2.5mg/kgの間の量で;約0.25mg/kgまたは約0.75mg/kgの量で(または体表面積(BSA)での同等量で)投与してもよい。
【0043】
[0041]炎症性障害の治療のため、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bジアステレオマーを、経口、筋内、静脈内、動脈内またはクモ膜下腔内経路によって投与してもよい。当業者には他の経路が思い浮かぶであろう。限定なしに、乾癬、関節リウマチ、および/または若年性関節リウマチを含む炎症性障害の治療のため、投薬には以下が含まれてもよい。成人関節リウマチまたは多関節型経過若年性関節リウマチに対する本発明の方法には、毎週1回約1〜約30mgの間の経口投与が含まれ;1つの態様において、約7.5mgを毎週1回投与する。他の投薬には、毎週1回投与される10mg/mが含まれてもよい。最適な反応を達成するため、投薬を次第に調整してもよい。より高い投薬量、例えば20mg/m/週を超える投薬量、または0.65〜1.0mg/kg/週の投薬量では、筋内または皮下投薬によって、より優れた吸収が達成可能である。適切な投薬にはまた、週あたり7.5mg、または約0.5〜約10mgの間の分割経口投薬が含まれることも可能であり;1つの態様において、投薬は、毎週1回のコースとして投与される3回の用量の12時間間隔での2.5mgの分割経口投薬であってもよい。投薬は、有効である限り続いてもよいし、そして投薬には、最大2年およびそれより長期間の療法が含まれる。
【0044】
[0042]実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bジアステレオマーおよび他の剤、例えばゲムシタビン、エルロチニブ、タキサン、またはボルテゾミブを同時に投与するか、または一般的な治療措置の一部として組み合わせて利用してもよく、ここで、PDX−10aおよび/またはPDX−10b、ならびに他の剤(単数または複数)は、同時にまたは異なる時点で投与される。本発明の1つの態様において、薬学的組成物は、抗癌剤と組み合わせて実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bジアステレオマーを含んでもよく、ここで前記抗癌剤は、アルキル化薬剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、ポドフィロトキシン、抗生物質、ニトロソ尿素、ホルモン療法剤、キナーゼ阻害剤、腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤、および抗血管形成剤からなる群より選択されるメンバーである。
【0045】
[0043]例えば、他の剤を、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bジアステレオマーの投与の前に、該投与の直後に、または該投与のある期間後(例えば24時間後)に投与してもよい。したがって、本出願の目的のため、用語、投与は、一般的に、薬剤の同時投与または連続投与を指し、そして別に明記しない限り、薬剤間に時間をおいてもまたはおかなくてもよいいずれかの順序の平行治療措置を指す。
【0046】
[0044]1つの態様において、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bは、治療措置開始時に始まる、5日間、または各5日間2周期の2mg/kg QDで投与されてもよい。
【0047】
[0045]実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bは、治療の副作用を減少させるため、葉酸およびビタミンB12補充と組み合わせて適切に用いられる。例えば、患者を葉酸(実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bジアステレオマーでの治療の1週間前に始まって毎日1mg/m、あるいはBSAに基づかず、毎日1mg経口(p.o.));およびB12(毎月1mg/m、あるいは8〜10週ごとに1mgとして(BSAに基づかず)筋内(IM.)投与、あるいはp.o.で毎日1mg(BSAに基づかず))で治療してもよい。
【0048】
[0046]実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bを非常に多様な異なる投薬型で投与してもよい。例えば、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bは、好ましくは経口または非経口で投与されてもよい。1つの態様において、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bを経口投与してもよい。1つの態様において、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bを非経口投与し、そして静脈内経路を介して投与してもよい。
【0049】
[0047]錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディ、粉末、スプレー、クリーム、軟膏(salve)、座薬、ジェリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏(ointment)、エリキシル剤、シロップ等の形で、多様な薬学的に許容されうる不活性キャリアーとともに、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bを投与してもよい。こうした投薬型の投与を単回または多数回用量で行ってもよい。キャリアーには、固形希釈剤または増量剤、無菌水性媒体および多様な非毒性有機溶媒、およびその他が含まれる。経口薬学的組成物に、適切に甘味を付けそして/またはフレーバーを付けてもよい。実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bの経口投与のため、1またはそれより多い活性剤を含有する錠剤を、例えば、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンなどの多様な賦形剤と、多様な崩壊剤、例えばデンプン(そして好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカ・デンプン)、アルギン酸および特定の複合ケイ酸とともに、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアカシアのような顆粒結合剤と一緒に、組み合わせる。さらに、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクは、しばしば、錠剤化目的には非常に有用である。類似のタイプの固形組成物はまた、ゼラチンカプセル中の増量剤として使用可能であり;これに関連して好ましい材料にはまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールも含まれる。水性懸濁物および/またはエリキシル剤が経口投与に望ましい場合、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bを、多様な甘味料またはフレーバー剤、着色剤または色素と組み合わせてもよく、そして望ましい場合、乳化剤および/または懸濁剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびその多様な同様の組み合わせなどの希釈剤とともに、組み合わせてもよい。場合によって、1またはそれより多い付属成分またはアジュバントとともに、圧縮または鋳造によって、本発明の組成物を含有する錠剤を調製してもよい。粉末または顆粒などの自由流動型の活性成分を、場合によって結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、表面活性剤または分散剤と混合して、適切な機械において圧縮することによって、圧縮錠剤を調製してもよい。不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械において鋳造することによって、鋳造錠剤を作製してもよい。各錠剤は、好ましくは、約0.05mg〜約10gの活性成分を含有し、そして各カシェーまたはカプセルは、好ましくは、約0.05mg〜約10gの活性成分を含有し;錠剤はまた、適切に、錠剤あたり約2.5mgの活性成分または錠剤あたり約7.5mgを含有してもよい。
【0050】
[0048]実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bの非経口投与のため、溶液、ならびに活性剤または対応するその水溶性の塩を含む無菌水溶液を使用してもよい。こうした無菌水溶液は、好ましくは、適切に緩衝され、そしてまた、例えば十分な生理食塩水およびグルコースで、等張性を与えられる。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋内、皮下、および腹腔内注射目的に特に適している。油性溶液は、関節内、筋内および皮下注射目的に適している。無菌状態下でのすべてのこれらの溶液の調製は、当業者に周知の標準的薬学的技術によって、容易に達成される。
【0051】
[0049]獣医学的目的のため、任意の型を用いて、そして上記経路のいずれかによって、活性剤を別個にまたはともに動物に投与してもよい。好ましい態様において、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bをカプセル、ボーラス、錠剤、液体水薬の形で、注射によって、または移植物として投与する。代替法として、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bを動物飼料とともに投与してもよく、そしてこの目的のため、濃縮飼料添加物またはプレミックスを通常の動物飼料用に調製してもよい。標準的獣医学的実施にしたがって、慣用的な方式で、こうした配合物を調製する。
【0052】
[0050]本発明はさらに、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bを含む単一の容器を含むキットを提供する。好ましい態様において、キット容器にはさらに、薬学的に許容されうるキャリアーが含まれてもよい。キットにはさらに、無菌希釈剤が含まれてもよく、これは好ましくは別個のさらなる容器中に保存される。キットにはさらに、癌および/または炎症性障害を治療するための方法として、併用治療の使用を指示する、印刷した使用説明書を含む添付文書が含まれてもよい。
【0053】
[0051]好ましくは、組成物は、薬学的に許容されうるキャリアー、ならびに療法的に有効な量の実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10b(各構成要素の薬学的に許容されうる塩、エステル、溶媒和物、および多形型を含む)で構成される。さらに、この好ましい態様内で、本発明は、薬学的に許容されうるキャリアーおよび非毒性の療法的に有効な量の実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10b(その薬学的に許容されうる塩を含む)を含み、その使用が、新生物細胞の増殖、良性もしくは悪性腫瘍、または転移の阻害、あるいは炎症の治療を生じる、疾患の治療のための薬学的組成物を含む。
【0054】
[0052]用語「薬学的に許容されうる塩」は、薬学的に許容されうる非毒性塩基または酸から調製される塩を指す。本発明の化合物が酸性である場合、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含む、薬学的に許容されうる非毒性塩基から好適に調製可能である。こうした無機塩基由来の塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(二価銅および一価銅)、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二マンガン(manganic)および二価マンガン(manganous))、カリウム、ナトリウム、亜鉛および同様の塩が含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。1つの態様において、塩は塩酸塩である。薬学的に許容されうる有機非毒性塩基由来の塩にはまた、一級、二級、および三級アミン、ならびに環状アミンおよび置換アミン、例えば天然存在および合成置換アミンの塩も含まれる。塩を形成可能な他の薬学的に許容されうる有機非毒性塩基には、イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアメイン(triethylameine)、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。
【0055】
[0053]上に示す一般的な投薬型に加えて、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10b(各構成要素の薬学的に許容されうる塩、エステル、溶媒和物,および多形型を含む)はまた、徐放手段および/または送達デバイスによって投与されてもよい。
【0056】
[0054]本発明の薬学的組成物は、キャリアーが固形である直腸投与に適した型であってもよい。混合物が単位用量座薬を形成することが好ましい。適切なキャリアーには、ココアバターおよび当該技術分野で一般的に用いられる他の材料が含まれる。座薬は、まず、軟化したまたは融解したキャリアー(単数または複数)と組成物を混合し、その後、冷却し、そして鋳型中で成形することによって、好適に形成可能である。
【0057】
[0055]前述のキャリアー成分に加えて、上記薬学的配合物には、適切なように、1またはそれより多いさらなるキャリアー成分、例えば希釈剤、緩衝剤、フレーバー剤、結合剤、表面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存剤(酸化防止剤を含む)等が含まれてもよい。さらに、意図されるレシピエントの血液と配合物を等張にする、他のアジュバントが含まれてもよい。また、PDX−10aおよび/またはPDX−10b(各構成要素の薬学的に許容されうる塩、エステル、溶媒和物、および多形型を含む)を含有する組成物を、粉末または液体濃縮型で調製してもよい。
【0058】
[0056]本発明の組み合わせの化合物に関する投薬レベルは、ほぼ、本明細書に記載するような、またはこれらの化合物に関して当該技術分野に記載されるようなものであろう。しかし、任意の特定の患者に関する特定の用量レベルは、年齢、体重、全身健康状態、性別、食餌、投与時期、投与経路、排出率、薬剤の組み合わせ、および療法を受けている特定の疾患の重症度を含む多様な要因に応じるであろう。
【0059】
[0057]1つの側面において、本発明には、癌を治療する方法において使用するための、本発明の薬学的組成物が含まれる。治療すべき癌は、本明細書の別の箇所に定義するような多くの癌のいずれであってもよく、限定なしに、前立腺癌、T細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、血液系腫瘍、頭部および頸部の癌、胃腸管の癌、卵巣癌、および骨肉腫が含まれる。
【0060】
[0058]1つの側面において、本発明には、炎症性障害を治療する際に使用するための本発明の薬学的組成物が含まれる。治療すべき炎症性障害は、本明細書の別の箇所に定義するような多くの炎症性障害のいずれであってもよく、そして例えば関節リウマチが含まれる。
【0061】
[0059]別の側面において、本発明には、癌を治療するための薬学的組成物の製造における本発明記載の化合物の使用が含まれる。治療すべき癌は、本明細書の別の箇所に定義するような多くの癌のいずれであってもよく、限定なしに、前立腺癌、T細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、血液系腫瘍、頭部および頸部の癌、胃腸管の癌、卵巣癌、および骨肉腫が含まれる。
【0062】
[0060]別の側面において、本発明には、炎症性障害を治療するための薬学的組成物の製造における本発明記載の化合物の使用が含まれる。治療すべき炎症性障害は、本明細書の別の箇所に定義するような多くの炎症性障害のいずれであってもよく、そして例えば関節リウマチが含まれる。本発明のさらなる目的、利点、および新規特徴は、限定を意図しない以下の実施例を検討すると、一般の当業者には明らかになるであろう。さらに、本明細書の上記に記述するような、そして以下の請求項セクションに請求するような本発明の多様な態様および側面の各々は、以下の実施例に実験的な裏付けを見出す。
【0063】
[0061]本開示の多様な態様にはまた、各従属クレームが、先行する従属クレームならびに独立クレームの各々の限定を取り込む、多重従属クレームであるかのように、請求項中で引用される多様な要素の順列も含まれる。こうした順列は、明らかに、本開示の範囲内である。
【0064】
[0062]本発明を、いくつかの態様に言及して特に示し、そして記載してきているが、当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に開示する多様な態様に対して型および詳細の変更が可能であり、そして本明細書に開示する多様な態様は、請求の範囲に対する限定として作用するよう意図されないことを、当業者は理解するであろう。本明細書に引用するすべての参考文献は、その全体が本明細書に援用される。
【実施例】
【0065】
[0063]例示目的のために以下の実施例を提供し、そして実施例は本発明の範囲を限定することは意図されない。
実施例1:ラセミ体PDXの調製
[0064]図1は、本発明にしたがって、10−プロパルギル−10−dAMを調製するのに有用な合成スキームを示す。18mLの篩乾燥THF中の油分散物(1.06g、26.5mmol)中の60%NaHの混合物を0℃に冷却した。冷えた混合物を、乾燥THF(7mL)中、ホモテレフタル酸ジメチルエステル(5.0g、24mmolの図1中の化合物1)の溶液で処理し、そして混合物を0℃で1時間攪拌した。プロパルギルブロミド(26.4mmol)を添加し、そして混合物を0℃でさらに1時間攪拌し、そして次いで室温で16時間攪拌した。生じた混合物を2.4mLの50%酢酸で処理し、そして次いで240mLの水に注いだ。混合物をエーテルで抽出した(150mL、2回)。エーテル抽出物を合わせ、NaSO上で乾燥させ、そして黄桃色油に濃縮した。シクロヘキサン−EtOAc(8:1)による溶出を用いて、シリカゲル(600mLの230〜400メッシュ)上のクロマトグラフィーを行うと、白色固体(4.66)としての産物α−プロパルギルホモテレフタル酸ジメチルエステル(化合物2)が得られ、これはTLC(シクロヘキサン−EtOAc、3:1)によると均質であるようであった。しかし、この産物に関する質量スペクトルデータは、これが所望の産物2およびジプロパルギル化化合物の混合物であることを示した。出発材料1はまったく検出されなかった。HPLCは、モノプロパルギル化産物対ジプロパルギル化産物の比が約3:1であることを示す。ジプロパルギル化産物は、化合物1とは異なり、反応の次の工程で望ましくない副産物を生じえないため、この物質は、化合物3に変換するのに適していた。最終産物を導く変換中に、続いて10−dAM形成が起こることを回避するため、合成において進行に用いる産物中に出発化合物1が存在しないことが好ましい。
【0066】
[0065]油分散物中、0.36gの60%NaH(9mmol)と、10mLの乾燥DMFを合わせることによって混合物を形成し、そして0〜5℃に冷却した。冷却混合物を10mL乾燥DMF中の最初の反応産物(化合物2)(2.94g、12mmol)の溶液、1滴ずつで処理し、そして次いで0℃で30分間攪拌した。−25℃に冷却した後、10mL乾燥DMF中の2,4,ジアミノ−6−(ブロモメチル)−プテリジン・ヒドロブロミド−0.2 2−プロパノール(1.00g、2.9mmol)の溶液を1滴ずつ添加する一方、温度をほぼ−25℃に維持した。攪拌混合物の温度を2時間の期間に渡って−10℃に上昇させた。−10℃でさらに2時間おいた後、温度を20℃に上昇させ、さらに2時間、室温での攪拌を続けた。次いで、固体COを添加することによって、反応をpH7に調整した。真空で濃縮して溶媒を取り除いた後、ジエチルエーテルで残渣を攪拌し、そしてエーテル不溶性物質を収集し、水で洗浄し、そして真空で乾燥させて1.49gの未精製産物を得た。この未精製産物を、シリカゲルカラムに適用するため、CHCl−MeOH(10:1)に溶解した。同じ溶媒系による溶出で、10−プロパルギル−10−カルボメトキシ−4−デオキシ−4−アミノ−10−デアザプテロイン酸メチルエステル(化合物3)を得て、これは40%収量(485mg)でTLCに関して均質であった。
【0067】
[0066]2−メトキシエタノール(5mL)中の化合物3(400mg、0.95mmol)の攪拌懸濁物を、水(5mL)で処理し、そして次いで、10%水酸化ナトリウム溶液(3.9mL)で処理した。混合物を室温で4時間攪拌し、その間、溶液が生じた。溶液を酢酸でpH8に調整し、そして高真空下で濃縮した。生じた残渣を15mLの水に溶解し、そしてpH5.5〜5.8に酸性化して、沈殿物の形成を生じた。沈殿物を収集し、水で洗浄し、そして真空で乾燥させて、340mgの化合物4(91%収量)を回収した。HPLC分析によって、産物純度が90%であることが示された。
【0068】
[0067]15mL DMSO中、115〜120℃で10分間加熱することによって、化合物4(330mg)を脱カルボキシル化した。10分後、HPLCによる試験によって、変換が本質的に完全であることが確認された。真空における蒸留によってDMSOを除去した(40℃槽)。残渣を0.5N NaOHと攪拌して、透明な溶液を生じた。1N HClでpH5.0に酸性化して、70%収量で黄色固体としての10−プロパルギル−4−デオキシ−4−アミノ−10−デアザプテロイン酸(化合物5)を得た。HPLCは、この段階での産物純度を90%と示した。
【0069】
[0068]トリエチルアミン(148mg、146mmol)を含有するDMF(10mL)中のBOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシtris(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロリン酸(287mg、0.65mmol、Aldrich Chemical Co.))を用いて、化合物5(225mg、0.65mmol)を、ジメチルL−グルタミン酸塩酸塩(137mg、0.65mmol)とカップリングした。混合物を20〜25℃で3時間攪拌し、そして次いで、蒸発乾固した。残渣を水と攪拌し、そして水不溶性未精製産物を収集し、そして真空中で乾燥させた。トリエチルアミン(体積0.25%)を含有するCHCl−MeOH(10:1)による溶出を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって、未精製産物(350mg)を精製して、165mgの10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンジメチルエステルを回収し(化合物6、50%収量)、これはTLC(CHCl−MeOH 5:1)では均質であった。
【0070】
[0069]化合物6(165mg、0.326mmol)を10mL攪拌MeOHに懸濁して、これに0.72mL(0.72meq)の1N NaOHを添加した。数時間後に溶液が生じるまで、室温での攪拌を続けた。溶液を20〜25℃で8時間維持し、次いで、10mLの水で希釈した。減圧下で蒸発させてメタノールを除去し、そして濃縮水溶液を20〜25℃でさらに24時間放置した。次いで、HPLCは、エステル加水分解が完全であることを示した。透明な水溶液を酢酸でpH4.0に酸性化して、淡黄色固体として10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンを沈殿させた。収集し、水で洗浄し、そして真空で乾燥させた産物は、重量122mg(79%収量)であった。元素分析、プロトンNMRおよび質量分析によるアッセイは、割り当てられた構造と完全に一致した。HPLC分析は98%の純度を示し、そして産物が10−デアザアミノプテリンを含まないことが確立された。
【0071】
実施例2:PDX−10aおよびPDX−10bジアステレオマーの調製
[0070]本発明のジアステレオマーを調製するため、225gのラセミ体化合物6(実施例1に示す方法によって調製)を移動相(100%エタノール)中に3.1g/lで溶解させた。攪拌および加熱を用いて、フィードを溶解した。フィード溶液を0.2μフィルターを通じてろ過した。キラルカラム内への注入体積は23分ごとに204mlであり、高いキラル純度を確実にするため、大きなミッドカット(mid−cut)を収集した。40℃および50mbarで20L回転蒸発装置を用いて、収集した分画を蒸発させた。カラムはCHIRALPAK AD 20μ、11cm内径x27cm長(ダイセル化学工業、日本から入手可能)であり;流速400ml/分、温度30℃、UV検出385nmであった。移動相90/5/5のエタノール/メタノール/イソプロピルアルコール:0.8ml/分、40℃、260nmでの検出を用いて、Chiralpak AD−H 4.6mmIDx250mmで決定すると、エナンチオマー純度は97%またはそれより大きかった。次いで、分離された化合物6(C10でのRジアステレオマー(ピーク2)およびC10でのSジアステレオマー(ピーク1)に分離された)を、実施例1に論じる方法によって、それぞれPDX−10bおよびPDX−10aとして、PDXの個々のジアステレオマー(化合物7)に変換した。
【0072】
実施例3:腫瘍細胞株中のラセミ体およびジアステレオマーのIC50
[0071]剤、PDX、PDX−10a、PDX−10bを、MDA−MB−435、SKBR−3およびNCI−H460ヒト腫瘍細胞株に対する増殖阻害活性に関して評価した。3時間の連続処理および72時間の回復インキュベーション後、MTSアッセイによって、増殖阻害を測定した。これらの研究の目的は、研究中の腫瘍細胞株研究における化合物の細胞傷害性活性を決定することであった。
【0073】
[0072]材料および方法。実施例1〜2に論じるように、PDX−10aおよびPDX−10bの調製を行った。PDX化合物を20mMの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)中で希釈した。この溶液から、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)での希釈によって、2mMのストック溶液を作製した。10%DMSO/90%PBS中のこの2mMストック溶液を用いて、1:1比で細胞培養に添加され、1x濃度を生じる、細胞増殖培地中の力価決定シリーズの2x濃度を作製した。細胞株−ヒト腫瘍細胞株:MDA−MB−435(黒色腫)、SKBR−3(乳癌)およびNCI−H460(肺癌)を、10パーセント透析ウシ胎児血清(FBS; Nova Tech、ニューヨーク州グランドアイランド)を含有するRPMI培地(RPMI; Nova Tech)中で培養した。細胞が70%集密に到達したら、トリプシン処理し、そして別の培地(5%透析FBS(Hyclone、ユタ州ローガン)を含有するRPMI)中に再懸濁した。処理の1日前(第0日)、培養を1〜7.5x10細胞/mlの濃度に懸濁し、そして100μlアリコットを1x10〜7.5x10細胞/ウェルの最終濃度で96ウェル・マイクロタイタープレートの各ウェル内にプレーティングした。剤に曝露する前に、細胞を37℃で24時間インキュベーションした。
【0074】
[0073]試験剤−ラセミ体PDX、および個々のジアステレオマーPDX−10aおよびPDX−10bを、上述のように調製した。プレーティング24時間後(第1日)、細胞をビヒクル(培地)のみまたは3pM〜10μMの間の濃度の上記試験剤で3時間処理した。
【0075】
[0074]単一剤パルス研究−試験剤または標準剤(対照)での処理を、細胞プレーティング24時間後(第1日)に開始した。各試験剤、または最終濃度215μMエトポシド、20μMタキソール、38.5nMベルケイドからなる「化学薬品カクテル」(陽性対照)と、細胞を37℃で3時間インキュベーションした。処理後、薬剤を除去し、増殖培地を添加し、そして細胞を37℃で72時間インキュベーションした。インキュベーション後、以下に記載するMTSアッセイによって、生存細胞数を定量化した。実験を同じ濃度で2回反復した。これらの研究の結果を用いて、各化合物に関するIC50値(細胞増殖をビヒクルの50%に阻害する薬剤の濃度)を計算した。Prizmソフトウェアを用いて、IC50値を生じた。
【0076】
[0075]MTSアッセイ−MTSアッセイを用いて、細胞生存度を決定した。この比色法は、生存細胞によるMTS試薬(テトラゾリウム塩)からホルマザンへの変換を測定する。490nmでの分光光度測定によって、ホルマザン産生を定量化し、そしてこれは生存細胞数に比例する。これらの研究のため、上に列挙するように細胞を培養し、そして処理した。処理終了時、20μl MTSテトラゾリウム(PBS、pH6.0中、1.9mg/ml)を細胞に37℃で1時間添加した。Dynex HDマイクロプレート読み取り装置を用いて、490nmの単一波長で、吸光度(OD)値を測定した。
【0077】
[0076]データ分析−各実験からデータを収集し、そして試験剤濃度のlog10に対するOD490として表した。Prizm分析ソフトウェア(GraphPad、カリフォルニア州サンディエゴ)の統計分析パッケージを用いて、非線形曲線適合を行い、試験物品の50%阻害濃度(IC50)を生じた。
【0078】
結果および考察
[0077]結果および考察。上記のように、MTS細胞生存度アッセイを用いて、試験剤ラセミ体PDX、ならびにジアステレオマーPDX−10aおよびPDX−10bを、MDA−MB−435、SKBR−3およびNCI−H460ヒト腫瘍細胞株に対して試験した。SKBR3細胞は、それぞれ、27.1、11.9および26.1nMに等しいIC50で、用量依存方式に、ラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10bに反応した。
【0079】
[0078]MDA−MBA435細胞は、それぞれ、128.7、100および120.6nMのIC50値で、用量依存方式に、PDX、PDX−10aおよびPDX−10b試験剤に反応した。
【0080】
[0079]NCI−H460細胞は、それぞれ、100、289および45.8nMのIC50値で、用量依存方式に、PDX、PDX−10aおよびPDX−10b試験剤に反応した。反復アッセイにおいて、PDX、PDX−10a、およびPDX−10bのIC50値はそれぞれ、124.3、169.3、および46.2nMであった。本明細書に記載する方法を用いて、CWR22−RV1(前立腺)細胞株に関するデータを別個の実験で得て、そしてこれを以下の表に含める。
【0081】
[0080]
【0082】
【表1】

【0083】
IC50=最大細胞傷害効果の半分を生じる濃度、nM=ナノモル。
【0084】
実施例4. PDXの薬物動態学的研究
[0081]バイオ分析法を開発し、そしてヒト、ラットおよびイヌの血漿および尿において、2つのプララトレキセートC10ジアステレオマー(PDX−10aおよびPDX−10b)の定量化に関して検証した。基本的なバイオ分析法は、C18固相抽出(SPE)カートリッジを利用してマトリックスからPDX−10aおよびPDX−10bを抽出し、その後、分離検出のためにジアステレオマーを誘導体化(塩化アセチルでメチル化)することを伴う。液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC/MS/MS)によって各ジアステレオマーを定量化するため、誘導体化抽出物をキラル高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)カラム上に注入する。血漿および尿マトリックス中の両ジアステレオマーに関する定量化下限(LLOQ)は、0.5ng/mLであった。
【0085】
[0082]ジアステレオマーの薬物動態学的パラメータ:2つのプララトレキセートC10ジアステレオマーのクリアランスには、種依存性の相違があり(以下の表を参照されたい)、ラットが最小限の相違を示し、そしてイヌが、PDX−10aに比較して、PDX−10bで2倍より高いクリアランスを示すことが、非臨床および臨床研究によって示された。ヒトでは、PDX−10bクリアランスは、腎クリアランス(CLren)および非腎クリアランス(CLnonren)の両方に関して、およそ50%より低かった。PDX−10bがより低いクリアランスであり、そして定常状態(Vdss)で〜2倍低い体積分布であるのは、ヒトにおいて観察される、PDX−10aと比較した、PDX−10bの2倍高い血漿曝露のためであるようである。しかし、両ジアステレオマーの血漿濃度−時間プロファイルは、平行して減少し、そして両ジアステレオマーの最終排除半減期(t1/2term)は、実質的に同一であった。種間で観察される立体選択性の生物学的原因は不明であるが、血漿タンパク質結合における異性体相違のためである可能性もある。組織分布および/または腎および肝胆道輸送における異性体相違もまた寄与している可能性もある。さらに、ヒト肝細胞および肝臓ミクロソームにおけるin vitro研究に由来するデータによって、個々のジアステレオマーは、有意な代謝には供されず、そして相互変換されないことが示された。
【0086】
[0083]反復投薬に際しての種に渡るラセミ体プララトレキセート薬物動態学的パラメータの比較
【0087】
【表2】

【0088】
著しく試料採取された患者からのノンコンパートメントPKデータ(n=10[C1D1]およびn=6[C1D6/C2D6])
ラセミ体混合物(PDX−10a+PDX−10b)、男性および女性(平均)
男性(雄)および女性(雌)に関して、そしてPDX−10aおよびPDX−10bに関して観察される平均の範囲
男性(雄)および女性(雌)に関する平均BWを用いて、概算値を計算した;ラットに関しては0.35kg、イヌに関しては8.5kg、そしてヒトに関しては85kg(PDX−008ノンコンパートメントPK集団由来の平均BW)
C=周期、D=用量、mg=ミリグラム、kg=キログラム、m=平方メートル、Cmax=最大濃度、ng=ナノグラム、mL=ミリリットル、AUC=無限大までの曲線下面積、min=分、CLtot=総クリアランス、BW=体重、ND=未測定、VdSS=定常状態での分布体積、L=リットル、t1/2term=最終半減期、h=時間
【0089】
[0084]癌患者におけるラセミ体PDX投与後のPDX−10aおよびPDX−10bに関する集団(POP)薬物動態学的(PK)パラメータおよび共変量因子(COV)の効果を分析した。POPPKデータを3つの研究からプールした:1)150〜325mg/mの静脈内(IV)用量を用いた非小細胞肺癌患者における第1期研究、2)80〜140mg/mのIV用量にタキサンを加えて用いた進行癌患者における第1期研究、および3)30mg/m/週IVの用量での再発性または難治性PTCL患者における第2期研究。一次条件付評価を伴う非線形混合効果モデルを用いて、各ジアステレオマーに関するPOP PKデータを分析した。モデル定量化には、ノンパラメトリック・ブートストラップおよび予測チェックが含まれた。
結果:POP PKデータベースは154人の患者(94人の男性および60人の女性、年齢21〜85歳、体重42.9〜158kg)で構成され、1176のPDX−10aおよび1173のPDX−10b血漿濃度に寄与した。PDX−10aおよびPDX−10bに関するPOP PKデータを、クリアランス(CL)、コンパートメント(CMT)1、2、および3に関する体積、ならびに第一および第二CMT間CLとしてパラメータ化した、3CMTモデルによって記載し、PDX−10aに関するパラメータ概算値は、それぞれ:35.0L/時間、11.0L、9.71L、50.6L、6.97L/時間、1.43L/時間であり、そしてPDX−10bに関しては:17.2L/時間、8.89L、6.79L、12.65L、5.53L/時間、および0.601L/時間であった。PDX−10aおよびPDX−10b CLは、クレアチニン・クリアランスにおいて、1mL/分あたり、0.13および0.08L/時間減少した。他のCOV知見は、PDX−10aおよびPDX−10bの両方に関して類似であった。
【0090】
実施例5:固形およびヘム癌細胞株におけるin vitro細胞傷害性アッセイ
[0085]実施例3に概略する方法にしたがって、さらなる癌細胞株を試験してもよい。T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、血液系腫瘍、頭部および頸部の癌、胃腸管の癌、卵巣癌、ならびに骨肉腫に関する癌細胞株をPDX−10aおよびPDX−10bで試験する。それぞれのジアステレオマーは示差的活性を有し、ある細胞株では、PDX−10aがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10bと比較して増加した活性を示し、他の細胞株では、PDX−10bがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10aと比較して増加した活性を示す。
【0091】
実施例6:固形腫瘍およびリンパ腫を用いたin vivo異種移植片モデル
[0086]ヌード雌マウスの右脇腹に、実施例5に論じるように適切な腫瘍細胞を皮下接種して、異種移植片を確立する。腫瘍体積および体重を週2回監視する。ひとたび確立された腫瘍が75〜150mmに達したら、マウスを、対照、ラセミ体PDX、PDX−10a、またはPDX−10bの治療群にランダム化する。IP注射によって治療を投与する。リン酸緩衝生理食塩水を対照ビヒクルとして投与する。それぞれのジアステレオマーは、示差活性を有する可能性もあり、ある外植片では、PDX−10aがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10bと比較して増加した活性を示し、他の外植片では、PDX−10bがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10aと比較して増加した活性を示す。
【0092】
実施例7:哺乳動物におけるラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10bの抗関節炎効果
[0087]本実施例は、哺乳動物における本発明のジアステレオマー化合物の抗関節炎活性を例示する。該研究は、Nature 283, 666−668(1890)に記載される方法にしたがった、II型コラーゲンでの抗原性曝露に対する反応を生じる、炎症性疾患のマウスモデルを用いる。完全フロイントアジュバント中で調製されたウシ胎児II型コラーゲン(1mg/ml)の懸濁物で、DBA/1マウスを免疫する。マウスあたり総量0.1mgのII型コラーゲンを与えるコラーゲン・エマルジョン0.1mlを用いて、一次注射を投与する。動物には、第21日、腹腔内注射によって、II型コラーゲン(0.01M酢酸中の100μg)のブースター注射を投与する。
【0093】
[0088]ラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10bのin vivo試験によって、薬剤投与を抗原(II型コラーゲン)投与の2日前に開始する予防措置を用いると、最初のそして唯一のII型コラーゲンでのブーストの2日前である第19日に薬剤を開始するよりもより有効であることが示されうる。このモデルにおいて、未処置陽性対照動物では、第44日に注射された動物の90%〜100%の範囲で関節炎が発生しうる。炎症の度合いに対するメトトレキセート、ならびに試験化合物ラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10bの効果を、視覚的観察によって、そしてノギス測定を用いた足浮腫の直接分析によって決定する。疾患を有する動物数の減少および足浮腫によって測定されるような炎症の度合いの減少の間に直接相関が存在しうる。それぞれのジアステレオマーは示差的活性を有し、関節炎のある構成要素/側面では、PDX−10aがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10bと比較して増加した活性を示し、そして関節炎の他の構成要素/側面では、PDX−10bがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10aと比較して増加した活性を示す。
【0094】
[0089]メトトレキセートの抗炎症活性は、他の化合物の抗炎症活性の決定に関して有効な比較標準として認められている。それぞれのジアステレオマーは示差的活性を有する可能性もあり、関節炎のある構成要素/側面では、PDX−10aがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10bと比較して増加した活性を示す可能性もあり、そして関節炎の他の構成要素/側面では、PDX−10bがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10aと比較して増加した活性を示す。
【0095】
[0090]実施例8:哺乳動物におけるラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10bの抗関節炎効果
哺乳動物
[0091]II型コラーゲン関節炎を17日間発展させている雌Lewisラットを、生理食塩水ビヒクル(qd)で、メトトレキセート(MTX、0.075、0.05、または0.025mg/kg)、またはラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10b(0.075、0.05、または0.025mg/kg)で、研究第0〜16日、1日1回(qd)、経口または静脈内投与で処置する。動物を研究第17日に屠殺する。有効性評価は、曲線下面積(AUC)として表される足首ノギス測定、および最終後足重量、ならびに足首および膝の組織病理学的評価に基づく。すべての動物は研究終了時まで生き延びる。
【0096】
[0092]特定の用量のMTX、ラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10bで、p.o.、q.d.処置されたラットにおいて、足首直径の阻害が見られうる。足首直径AUCの阻害は、特定の用量のMTX、ラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10bで、po、qd処置されたラットに関して有意でありうる。最終足重量の阻害は、MTX、ラセミ体PDX、PDX−10aおよびPDX−10bで、po、qd処置されたラットに関して有意でありうる。メトトレキセートの抗炎症活性は、他の化合物の抗炎症活性の決定のために有効な比較標準として認められている。それぞれのジアステレオマーは示差的活性を有する可能性もあり、関節炎のある構成要素/側面では、PDX−10aがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10bと比較して増加した活性を示し、そして関節炎の他の構成要素/側面では、PDX−10bがラセミ体PDXおよび/またはPDX−10aと比較して増加した活性を示す。
【0097】
[0093]実施例9:経口配合物−−錠剤
[0094]各錠剤は、実質的に純粋なPDX−10aまたはPDX−10bの表示する量に同等な量で、PDX−10aおよび/またはPDX−10bナトリウム(活性成分)を含有し、そして以下の不活性成分:無水ラクトース、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリソルベート80、あらかじめゼラチン処理したデンプン、炭酸ナトリウム一水和物、タルクおよび二酸化チタンを含有する。錠剤あたりの活性成分の量は、2.5mg、5mg、7.5mg、または10mgである。
【0098】
[0095]均一なブレンドが形成されるまで、活性成分を他の成分とブレンドする。1またはそれより多い他の成分を水とブレンドしてペーストを形成する。これを次いで、均一な顆粒が得られるまで混合する。1/4”ステンレススチールスクリーンを用いて、適切な製粉装置を通じて、顆粒をスクリーニングする。適切な乾燥オーブン中で、製粉された顆粒を乾燥させ、そして再び、適切な製粉装置を通じて製粉する。生じた混合物を所望の形状、濃さ、硬さおよび崩壊の錠剤に圧縮する。
【0099】
[0096]本発明の前述の考察は、例示および説明の目的で提示されている。前記は、本発明を本明細書に開示する単数または複数の型に限定することを意図されない。本発明の説明は、1またはそれより多い態様、ならびに特定の変型および修飾の説明を含んできているが、例えば本開示を理解した後、当業者の技術および知識の範囲内でありうるような、他の変型および修飾が、本発明の範囲内である。請求するものの代替、交換可能および/または同等の構造、機能、範囲または工程を含み、こうした代替、交換可能および/または同等の構造、機能、範囲または工程が本明細書に開示されているかどうかにかかわらず、そしていかなる特許可能主題に公的に捧げることも意図せず、認可された度合いまでの代替態様を含む権利を得るよう意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマー、またはその塩を含む化合物であって、ジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記化合物。
【請求項2】
実質的に純粋なジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
実質的に純粋なジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
塩が塩酸塩である、請求項1〜3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
実質的に純粋な(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩、あるいは実質的に純粋な(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、薬学的組成物。
【請求項6】
薬学的に有効な量の実質的に純粋な(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩、あるいは実質的に純粋な(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、薬学的組成物。
【請求項7】
癌を治療する方法において使用するための、請求項5または6の薬学的組成物。
【請求項8】
癌が、前立腺癌、T細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、血液系腫瘍、頭部および頸部の癌、胃腸管の癌、卵巣癌、および骨肉腫からなる群より選択される、請求項7の薬学的組成物。
【請求項9】
炎症性障害を治療する際に使用するための、請求項5または6の薬学的組成物。
【請求項10】
炎症性障害が関節リウマチである、請求項9の薬学的組成物。
【請求項11】
経口投与用に配合されている、請求項5または6記載の薬学的組成物。
【請求項12】
静脈内投与用に配合されている、請求項5または6記載の薬学的組成物。
【請求項13】
療法的に有効な量の10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマーまたはその塩を、癌の治療が必要な哺乳動物に投与する工程を含む、癌を治療するための方法であって、前記ジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記方法。
【請求項14】
癌が、前立腺癌、T細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、血液系腫瘍、頭部および頸部の癌、胃腸管の癌、卵巣癌、および骨肉腫からなる群より選択される、請求項13の方法。
【請求項15】
療法的に有効な量の10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの実質的に純粋なジアステレオマーまたはその塩を、炎症の治療が必要な哺乳動物に投与する工程を含む、炎症を治療するための方法であって、前記ジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸または(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、前記方法。
【請求項16】
炎症性障害が関節リウマチである、請求項15の方法。
【請求項17】
実質的に純粋なジアステレオマーが、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの総量の重量約90%より多い量の(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、請求項13〜16のいずれか記載の方法。
【請求項18】
実質的に純粋なジアステレオマーが、10−プロパルギル−10−デアザアミノプテリンの総量の重量約90%より多い量の(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸である、請求項13〜16のいずれか記載の方法。
【請求項19】
実質的に純粋なジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1S)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩である、請求項13〜18のいずれか記載の方法。
【請求項20】
実質的に純粋なジアステレオマーが、(2S)−2−[[4−[(1R)−1−[(2,4−ジアミノプテリジン−6−イル)メチル]ブト−3−イニル]ベンゾイル]アミノ]ペンタンジオン酸またはその塩である、請求項13〜18のいずれか記載の方法。
【請求項21】
塩が塩酸塩である、請求項13〜20のいずれか記載の方法。
【請求項22】
方法がさらに、実質的に純粋なジアステレオマーとともに薬学的に許容されうるキャリアーの使用を含む、請求項13〜21のいずれか記載の方法。
【請求項23】
実質的に純粋なジアステレオマーが経口投与される、請求項13〜22記載の方法。
【請求項24】
実質的に純粋なジアステレオマーが静脈内投与される、請求項13〜22記載の方法。
【請求項25】
実質的に純粋なジアステレオマーが毎週投与される、請求項13〜24記載の方法。
【請求項26】
実質的に純粋なジアステレオマーが、1回あたり30mg/mの量で投与される、請求項25の方法。
【請求項27】
実質的に純粋なジアステレオマーが、1回あたり10〜150mg/mの量で投与される、請求項25の方法。
【請求項28】
実質的に純粋なジアステレオマーが隔週で投与される、請求項24記載の方法。
【請求項29】
実質的に純粋なジアステレオマーが、1回あたり100〜275mg/mの量で投与される、請求項28の方法。
【請求項30】
実質的に純粋なジアステレオマーが、1回あたり10〜275mg/mの量で投与される、請求項28の方法。
【請求項31】
実質的に純粋なジアステレオマーが、1またはそれより多い周期で投与され、各周期が、1回あたり30〜150mg/mの量で1週間に1度、6週間投与を行い、その後、1週間の休薬を含む、請求項13〜24のいずれか記載の方法。
【請求項32】
葉酸およびビタミンB12の補充をさらに含む、請求項13〜31のいずれか記載の方法。
【請求項33】
実質的に純粋なジアステレオマーが、1回あたり0.25〜4mg/kgの量で投与される、請求項13〜32のいずれか記載の方法。
【請求項34】
癌を治療するための薬学的組成物の製造における、請求項1〜4のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項35】
癌が、前立腺癌、T細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、血液系腫瘍、頭部および頸部の癌、胃腸管の癌、卵巣癌、および骨肉腫からなる群より選択される、請求項34記載の使用。
【請求項36】
炎症性障害を治療するための薬学的組成物の製造における、請求項1〜4のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項37】
炎症性障害が関節リウマチである、請求項36記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518879(P2013−518879A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551957(P2012−551957)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/026262
【国際公開番号】WO2011/096947
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(504380286)アロス・セラピューティクス・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】