説明

2−ピリジニルシクロアルキルベンズアミド誘導体及びその殺菌剤としての使用

一般式(I)で表される化合物。その化合物の調製方法。一般式(I)で表される化合物を含んでいる殺菌剤組成物。一般式(I)で表される化合物又はその化合物を含んでいる組成物を施用することによる植物の処理方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規N−[2−(2−ピリジニル)シクロアルキル]ベンズアミド誘導体、それらを調製する方法、殺菌剤としてのそれらの使用、特に、殺菌剤組成物の形態におけるそれらの使用、及び、それら化合物又はそれらの組成物を使用して植物の植物病原性菌類を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願WO01/11965号には、殺菌性化合物の広範なファミリーが開示されている。N−[2−(2−ピリジニル)シクロアルキル]ベンズアミド誘導体についての具体的な開示は成されていない。
【0003】
当業者に既に知られている化合物よりも活性が高い殺虫化合物を使用して、それにより、同等の効力を維持しながら化合物の使用量を低減し得るということは、農薬の分野においては常に高い関心が持たれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、殺菌活性を有する化合物の一般的に知られているファミリーよりも強い殺菌活性を示す化合物の新しいファミリーを見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、一般式(I):
【0006】
【化6】

[式中、
・ nは、1、2又は3である;
・ pは、1、2、3、4又は5である;
・ Rは、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルである;
・ 各置換基Xは、残りの置換基Xから独立して、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又はC−C−ハロゲノアルキルであるように選択される;
・ Aは、3員、4員、5員、6員又は7員の非芳香族炭素環である;
・ R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、(N−C−C−アルキル)オキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、(N−C−C−アルキル)−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、2,6−ジクロロフェニル−カルボニルアミノ基又はフェニル基であるように選択される;
・ Rは、水素原子、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シアノアルキル、C−C−アミノアルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲンアルキルカルボニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C−シクロアルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−ベンジルオキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、又は、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニルであるように選択される;
及び、
・ 各置換基Yは、残りの置換基Yから独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルケニル、C−C−アルキルスルファニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルコキシカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル又はC−C−アルキルスルホンアミドであるように選択される]
で表されるN−[2−(2−ピリジニル)シクロアルキル]ベンズアミド誘導体、並びに、その塩、N−オキシド、金属錯体、半金属錯体及び光学活性異性体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に関連して:
・ ハロゲンは、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素を意味する;
・ カルボキシは、−C(=O)OHを意味し、カルボニルは、−C(=O)−を意味し、カルバモイルは、−C(=O)NHを意味し、N−ヒドロキシカルバモイルは、−C(=O)NHOHを意味する;
・ アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、並びに、これらの用語を含んでいる部分構造は、直鎖又は分枝鎖であり得る。
【0008】
本発明に関連して、2置換されているアミノ基及び2置換されているカルバモイル基の場合、当該2つの置換基がそれらを担持している窒素原子と一緒に3〜7個の原子を含んでいる飽和ヘテロ環を形成していてもよいということも、理解されなくてはならない。
【0009】
本発明の化合物はいずれも、その化合物内の不斉中心の数に応じて、1種類以上の光学異性体形態又はキラル異性体形態で存在し得る。かくして、本発明は、等しく、全ての光学異性体及びそれらのラセミ混合物又はスケールミック混合物(用語「スケールミック(scalemic)」は、種々の比率のエナンチオマー混合物を意味する)、並びに、可能な全ての立体異性体の全ての比率における混合物に関する。当業者は、自体公知の方法により、ジアステレオ異性体及び/又は光学異性体を分離することができる。
【0010】
本発明の化合物はいずれも、その化合物内の二重結合の数に応じて、1種類以上の幾何異性体形態でも存在し得る。かくして、本発明は、等しく、全ての幾何異性体及び全ての比率における可能な全ての混合物に関する。当業者は、自体公知の一般的な方法により、幾何異性体を分離することができる。
【0011】
一般式(I)[式中、Rはヒドロキシ基若しくはスルファニル基を表し、及び/又は、Xはヒドロキシ基、スルファニル基若しくはアミノ基を表す]で表される化合物は、いずれも、当該ヒドロキシ基、スルファニル基又はアミノ基のプロトンのシフトの結果として、その互変異性体として見いだされ得る。上記化合物のそのような互変異性体も、本発明の一部である。さらに一般的にいえば、一般式(I)[式中、Rはヒドロキシ基若しくはスルファニル基を表し、及び/又は、Xはヒドロキシ基、スルファニル基若しくはアミノ基を表す]で表される化合物の全ての互変異性体、及び、該調製方法において中間体として場合により使用可能で且つそれらの調製方法についての記載において定義されている化合物の互変異性体も、本発明の一部である。
【0012】
本発明では、該2−ピリジルは、どの位置においても(X)及びRで置換されることが可能であり、その際、X、R及びnは、上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(2−ピリジニル)シクロアルキル]ベンズアミド誘導体に関し、ここで、種々の特性は、下記のものとして、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ nに関しては、nは、1又は2であり、さらに好ましくは、nは1である;
・ Xに関しては、Xは、好ましくは、ハロゲン原子であるように選択され;さらに好ましくは、Xは、塩素である;
・ Rに関しては、Rは、好ましくは、−CFであるように選択される;
・ 2−ピリジルの置換位置に関しては、2−ピリジルは、3位及び/又は5位において置換され、さらに好ましくは、2−ピリジルは、3位においてXで置換され、且つ、5位においてRで置換されている。
【0013】
さらに好ましくは、2−ピリジルは、3位において−Clで置換され、且つ、5位において−CFで置換されている。
【0014】
本発明では、Aは、3員、4員、5員、6員又は7員の非芳香族炭素環である。好ましくは、Aは、3員、5員、6員又は7員の非芳香族炭素環である。さらに好ましくは、Aは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルから選択される。
【0015】
本発明では、該フェニル基は、いずれかの位置において(Y)で置換されており、その際、Y及びpは、上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(2−ピリジニル)シクロアルキル]ベンズアミド誘導体に関し、ここで、種々の特性は、下記のものとして、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ pに関しては、pは、1又は2である;
・ Yに関しては、Yは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、又は、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルである;
・ フェニル部分がYで置換されるその位置に関しては、フェニル部分は、優先的に、第一に、オルト位においてYで置換されている。
【0016】
本発明では、式(I)で表される化合物のシクロアルキル部分の炭素原子のうちの2つは、それぞれ、RとRで置換されている。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(2−ピリジニル)シクロアルキル]ベンズアミド誘導体にも関し、ここで、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルアミノ又はフェニル基であるように選択され得る。さらに好ましくは、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はC−C−アルキルカルボニルアミノであるように選択され得る。さらに好ましくは、R及びRは、いずれも水素原子である。
【0017】
本発明では、式(I)で表される化合物のカルボキサミド部分の窒素原子は、Rで置換されており、ここで、Rは上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(2−ピリジニル)シクロアルキル]ベンズアミド誘導体にも関し、ここで、Rは、水素原子又はC−C−シクロアルキルであるように選択され得る。さらに好ましくは、該C−C−シクロアルキルはシクロプロピルである。
【0018】
本発明は、さらにまた、一般式(I)で表される化合物を調製する方法にも関する。かくして、本発明のさらに別の態様において、上記で定義されている一般式(I)で表される化合物を調製する方法が提供され、ここで、該調製方法は、一般式(II):
【0019】
【化7】

[式中、X、Y、n、p、R、R、R及びAは、上記で定義されているとおりである]
で表される2−ピリジン誘導体又はその塩のうちの1種類を、一般式(III):
【0020】
【化8】

[式中、Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR又は−OCORであるように選択される脱離基であり、その際、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル、又は、式
【0021】
【化9】

で表される基である]
で表されるカルボン酸誘導体と、触媒の存在下で、また、Lがヒドロキシル基である場合は、縮合剤の存在下で、反応させることを含む。
【0022】
本発明の調製方法は、触媒の存在下で実施する。適切な触媒は、4−ジメチル−アミノピリジン、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール又はジメチルホルムアミドであるように選択し得る。
【0023】
がヒドロキシル基である場合、本発明の調製方法は、縮合剤の存在下で実施する。適切な縮合剤は、酸ハロゲン化物形成物質(former)、例えば、ホスゲン、三臭化リン、三塩化リン、五塩化リン、酸化三塩化リン(phosphorous trichloride oxide)若しくは塩化チオニルなど;無水物形成物質、例えば、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸イソブチル若しくはメタンスルホニルクロリドなど;カルボジイミド類、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、又は、別の慣習的な縮合剤、例えば、五酸化リン、ポリリン酸、N,N’−カルボニル−ジイミダゾール、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/テトラクロロメタン、4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド水和物若しくはブロモ−トリピロリジノ−ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェートなどであるように選択することができる。
【0024】
が水素原子である場合、一般式(I)で表される化合物を調製するための上記方法は、一般式(Ia)で表される化合物を一般式(XVII)で表される化合物と反応させて一般式(I)で表される化合物を生成させることを含む以下の反応スキーム:
【0025】
【化10】

[ここで、
・ R、R、A、R、X、Y、n及びpは、上記で定義されているとおりである;
・ R3aは、水素原子、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シアノアルキル、C−C−アミノアルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲンアルキルカルボニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C−シクロアルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−ベンジルオキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、又は、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニルであるように選択される;
及び、
・ Lは、ハロゲン原子、4−メチルフェニルスルホニルオキシ又はメチルスルホニルオキシであるように選択される脱離基である]
に従うさらなるステップで場合により完結させることができる。
【0026】
A、R、R及びRの定義に応じて、一般式(II)で表されるアミン誘導体は、種々の調製方法で調製することができる。そのような調製方法の1つの例(a)は、以下のとおりであり得る:
・ R、R、A、R、X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
・ Rが、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである場合;
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、以下のステップを含む調製方法により調製することができる:
− 反応スキーム(a−1):
【0027】
【化11】

[ここで、
・ R、A、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ R及びRは、C−C−アルキルであるか、又は、5員、6員若しくは7員の炭素環式環若しくはヘテロ環式環を形成することができ;
・ Uは、ハロゲン、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、0℃〜200℃の温度で、一般式(V)で表されるエナミン誘導体を一般式(IV)で表されるピリジン誘導体でアリール化して、一般式(VIa)で表される2−(ピリジル)ケトン誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(a−2):
【0028】
【化12】

[ここで、
・ R、A、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキルであり;
・ Wは、ハロゲン原子、C−C−アルキルスルホネート、C−C−ハロアルキルスルホネート又は4−メチル−フェニルスルホネートである]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、一般式(VIa)で表される化合物を一般式(VII)で表される試薬でアルキル化して、一般式(VIb)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(a−3):
【0029】
【化13】

[ここで、
・ R、A、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、水素原子又はC−C−アルキルであり;
・ Rは、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、一般式(VIa)又は一般式(VIb)で表される化合物を式R−NHで表されるアミンと反応させて、一般式(VIII)で表されるイミン誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(a−4):
【0030】
【化14】

[ここで、
・ R、A、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、水素原子又はC−C−アルキルであり;
・ Rは、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである]
による第四ステップ(ここで、該第四ステップは、一般式(VIII)で表されるイミン誘導体を、同一のポット又は異なったポット内で、水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(IIa)で表されるアミン誘導体又はその塩のうちの1種類を生成させることを含む)。
【0031】
上記調製方法の第二の例(b)は、以下のとおりであり得る:
・ R、R、R、A、X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
・ Rが、水素原子である場合;
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、以下のステップを含む調製方法により調製することができる:
− 反応スキーム(b−1):
【0032】
【化15】

[ここで、
・ R、R、A、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Uは、ハロゲン、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基であり;
・ Mは、金属種又は半金属種である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、0℃〜200℃の温度で、一般式(IV)で表されるピリジン誘導体を一般式(IX)で表されるビニル種とのカップリング反応に付して、一般式(X)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(b−2):
【0033】
【化16】

[ここで、R、R、A、X及びnは、上記で定義されているとおりである]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、一般式(X)で表される化合物にフタルイミド又はその塩のうちの1種類を付加させて、一般式(XI)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(b−3):
【0034】
【化17】

[ここで、R、R、A、X及びnは、上記で定義されているとおりである]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、一般式(XI)で表される化合物を、ヒドラジン水和物又はヒドラジン塩を用いて脱保護して、一般式(IIb)で表されるアミン誘導体又はその塩のうちの1種類を生成させることを含む)。
【0035】
本発明による調製方法(b)の第一ステップ(ステップ(b−1))は、一般式(IX)[式中、Mは、金属種又は半金属種であり得る]で表されるビニル種の存在下で実施する。好ましくは、Mは、スズ誘導体又はホウ素誘導体である。さらに好ましくは、Mは、トリ−n−ブチルスズ基である。
【0036】
本発明による調製方法(b)の第一ステップ(ステップ(b−1))は、0℃〜200℃の温度で実施する。
【0037】
本発明による調製方法(b)の第一ステップ(ステップ(b−1))は、溶媒の存在下で実施し得る。好ましくは、該溶媒は、水、有機溶媒、又は、水と有機溶媒の混合物であるように選択される。適切な有機溶媒は、例えば、脂肪族溶媒、脂環式溶媒又は芳香族溶媒であり得る。
【0038】
本発明による調製方法(b)の第一ステップ(ステップ(b−1))は、さらにまた、触媒の存在下でも実施し得る。好ましくは、該触媒は、パラジウム塩又はパラジウム錯体であるように選択される。さらに好ましくは、該触媒は、パラジウム錯体であるように選択される。適切なパラジウム錯体触媒は、例えば、反応混合物にパラジウム塩と錯体配位子を別々に添加することにより該反応混合物中で直接生成させ得る。適切な配位子は、例えば、バルキーなホスフィン配位子又はアルシン配位子、例えば、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;又は、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物などであり得る。
【0039】
本発明による調製方法(b)の第一ステップ(ステップ(b−1))は、さらにまた、塩基の存在下でも実施し得る。好ましくは、該塩基は、無機塩基又有機塩基であるように選択される。そのような塩基の適切な例は、例えば、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコラート、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、又は、第三級アミンであり得る。
【0040】
上記調製方法の第三の例(c)は、以下のとおりであり得る:
・ R、R、X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
・ R及びRが、水素原子であり;
・ Aが、シクロプロピル環である場合;
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、以下のステップを含む調製方法により調製することができる:
− 反応スキーム(c−1):
【0041】
【化18】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Uは、ハロゲン、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基であり;
・ Mは、金属種又は半金属種である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、0℃〜200℃の温度で、一般式(IV)で表されるピリジン誘導体を一般式(XII)で表されるビニル種とのカップリング反応に付して、一般式(XIII)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(c−2):
【0042】
【化19】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキル基である]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、0℃〜200℃の温度で、一般式(XIII)で表されるビニルピリジン誘導体を一般式(XIV)で表されるジアゾ種とのシクロプロパン化反応に付して、一般式(XV)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(c−3):
【0043】
【化20】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキル基である]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、一般式(XV)で表されるエステル誘導体をアミド化(amidification)反応に付して、一般式(XVI)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(c−4):
【0044】
【化21】

[ここで、R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりである]
による第四ステップ(ここで、該第四ステップは、一般式(XVI)で表される第一級アミド誘導体を、ハロゲン化剤の存在下で、転位反応に付して、一般式(IIc)で表されるアミンを生成させることを含む)。
【0045】
本発明による調製方法(c)の第一ステップ(ステップ(c−1))は、一般式(XII)[式中、Mは、金属種又は半金属種であり得る]で表されるビニル種の存在下で実施する。好ましくは、Mは、スズ誘導体又はホウ素誘導体である。さらに好ましくは、Mは、トリ−n−ブチルスズ基である。
【0046】
本発明による調製方法(c)の第一ステップ(ステップ(c−1))は、0℃〜200℃の温度で実施する。
【0047】
本発明による調製方法(c)の第一ステップ(ステップ(c−1))は、溶媒の存在下で実施し得る。好ましくは、該溶媒は、水、有機溶媒、又は、水と有機溶媒の混合物であるように選択される。適切な有機溶媒は、例えば、脂肪族溶媒、脂環式溶媒又は芳香族溶媒であり得る。
【0048】
本発明による調製方法(c)の第一ステップ(ステップ(c−1))は、さらにまた、触媒の存在下でも実施し得る。好ましくは、該触媒は、パラジウム塩又はパラジウム錯体であるように選択される。さらに好ましくは、該触媒は、パラジウム錯体であるように選択される。適切なパラジウム錯体触媒は、例えば、反応混合物にパラジウム塩と錯体配位子を別々に添加することにより該反応混合物中で直接生成させ得る。適切な配位子は、例えば、バルキーなホスフィン配位子又はアルシン配位子、例えば、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;又は、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物などであり得る。
【0049】
本発明による調製方法(c)の第一ステップ(ステップ(c−1))は、さらにまた、塩基の存在下でも実施し得る。好ましくは、該塩基は、無機塩基又有機塩基であるように選択される。そのような塩基の適切な例は、例えば、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコラート、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、又は、第三級アミンであり得る。
【0050】
本発明の化合物は、上記で記述した調製方法に準じて調製することができる。それにもかかわらず、当業者が、自分の一般的な知識及び利用可能な刊行物に基づいて、合成することが望まれる化合物のそれぞれの特性に応じて該方法を適合させることができるということは理解されるであろう。
【0051】
一般式(I)で表される化合物を調製するための中間体として使用される一般式(II)の化合物は、新規である。従って、本発明は、さらに、一般式(I)で表される化合物を調製するのに有用な新規中間体化合物にも関する。かくして、本発明により、一般式(II):
【0052】
【化22】

[式中、X、n、R、R、R及びAは、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物が提供される。
【0053】
本発明は、さらに、有効量の一般式(I)で表される活性物質を含んでいる殺菌剤組成物にも関する。従って、本発明により、活性成分としての有効量の上記で定義されている一般式(I)の化合物、及び、農業上許容される支持体、担体又は増量剤を含んでいる殺菌剤組成物が提供される。
【0054】
本明細書において、用語「支持体(support)」は、該活性物質と組み合わせて、特に植物の一部分に対して、より容易に施用できるようにする、天然又は合成の有機物質又は無機物質を意味する。このような支持体は、従って、一般に不活性であり、また、農業上許容されるものであるべきである。支持体は、固体であってもよいし、又は、液体であってもよい。適切な支持体の例としては、クレー、天然又は合成のシリケート、シリカ、樹脂、蝋、固形肥料、水、アルコール(特に、ブタノール)、有機溶媒、鉱油及び植物油、並びに、それらの誘導体などを挙げることができる。このような支持体の混合物を使用することもできる。
【0055】
上記組成物は、さらにまた、付加的な成分も含有することができる。特に、該組成物は、さらに、界面活性剤を含有することができる。該界面活性剤は、イオン性若しくは非イオン性のタイプの乳化剤、分散剤若しくは湿潤剤であるか、又は、そのような界面活性剤の混合物であることが可能である。例えば、以下のものを挙げることができる:ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩若しくはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物、エチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウレート)、ポリオキシエチル化アルコールのリン酸エステル若しくはポリオキシエチル化フェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、並びに、硫酸官能基、スルホン酸官能基又はリン酸官能基を含んでいる上記化合物の誘導体。該活性物質及び/又は該不活性支持体が水不溶性である場合、及び、施用のための媒介物(vector agent)が水である場合、一般に、少なくとも1種類の界面活性剤を存在させることが必要である。好ましくは、界面活性剤の含有量は、該組成物の5〜40重量%であり得る。
【0056】
場合により、さらなる成分、例えば、保護コロイド、粘着剤、増粘剤、チキソトロピック剤、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤などを含ませることもできる。さらに一般的には、該活性物質は、通常の製剤技術に従う固体又は液体の任意の添加剤と組み合わせることが可能である。
【0057】
一般に、本発明の組成物は、0.05〜99%(重量基準)の活性物質、好ましくは、10〜70重量%の活性物質を含有することができる。
【0058】
本発明の組成物は、エーロゾルディスペンサー、カプセル懸濁液剤、冷煙霧濃厚剤(cold fogging concentrate)、散粉性粉剤、乳剤、水中油型エマルション剤、油中水型エマルション剤、カプセル化粒剤、細粒剤、種子処理用フロアブル剤、ガス剤(加圧下)、ガス生成剤(gas generating product)、粒剤、温煙霧濃厚剤(hot fogging concentrate)、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤、油混和性液剤、ペースト剤、植物用棒状剤(plant rodlet)、乾燥種子処理用粉剤、農薬粉衣種子、可溶性濃厚剤(soluble concentrate)、可溶性粉剤、種子処理用溶液剤、懸濁液剤(フロアブル剤)、微量液剤(ultra low volume (ulv) liquid)、微量懸濁液剤(ultra low volume (ulv) suspension)、顆粒水和剤、水分散性錠剤、泥水処理用水和剤、水溶性顆粒剤、水溶性錠剤、種子処理用水溶性粉剤及び水和剤などのような、さまざまな形態で使用することが可能である。
【0059】
これらの組成物には、処理対象の植物又は種子に対して噴霧装置又は散粉装置のような適切な装置により施用される状態にある組成物のみではなく、作物に対して施用する前に希釈することが必要な商業的な濃厚組成物も包含される。
【0060】
さらにまた、本発明の化合物は、1種類以上の殺虫剤、殺菌剤、殺細菌剤、誘引性殺ダニ剤若しくはフェロモン、又は、生物学的活性を有する別の化合物と混合することもできる。そのようにして得られた混合物は、拡大された活性スペクトルを有する。別の殺菌剤との混合物が特に有利である。
【0061】
本発明の殺菌剤組成物を使用して、作物の植物病原性菌類を治療的又は予防的に防除することができる。従って、本発明のさらに別の態様により、作物の植物病原性菌類を治療的又は予防的に防除する方法が提供され、ここで、該方法は、上記で定義した殺菌剤組成物を、種子、植物及び/若しくは植物の果実に施用するか、又は、植物が成育している土壌若しくは植物を栽培するのが望ましい土壌に施用することを特徴とする。
【0062】
作物の植物病原性菌類に対して使用する本発明の組成物は、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の一般式(I)の活性物質を含有している。
【0063】
「有効で且つ植物に対して毒性を示さない量」という表現は、作物上に存在しているか又はおそらく出現するであろう菌類を防除又は駆除するのに充分で、且つ、該作物について感知可能などのような植物毒性の症状も引き起こすことのない、本発明組成物の量を意味する。そのような量は、防除対象の菌類、作物のタイプ、気候条件、及び、本発明の殺菌剤組成物に含まれている化合物に応じて、広い範囲で変動し得る。
【0064】
そのような量は、当業者が実行可能な範囲内にある体系的な圃場試験により決定することが可能である。
【0065】
本発明による処置方法は、塊茎又は根茎のような繁殖材料を処置するのに有効であるのみではなく、種子、苗木又は移植苗木(seedlings pricking out)及び植物又は移植植物(plants pricking out)を処置するのにも有効である。この処置方法は、根を処置するのにも有効であり得る。本発明による処置方法は、関係している植物の樹幹、茎又は柄、葉、花及び果実のような植物の地上部を処置するのにも有効であり得る。
【0066】
本発明の方法で保護可能な植物の中で、以下のものを挙げることができる:ワタ;アマ;ブドウ;果実作物、例えば、Rosaceae sp.(例えば、種子果(pip fruit)、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、石果、例えば、アンズ、アーモンド及びモモ)、 Ribesioidae sp.、 Juglandaceae sp.、 Betulaceae sp.、 Anacardiaceae sp.、 Fagaceae sp.、 Moraceae sp.、 Oleaceae sp.、 Actinidaceae sp.、 Lauraceae sp.、 Musaceae sp.(例えば、バナナの木及びプランタン)、 Rubiaceae sp.、 Theaceae sp.、 Sterculiceae sp.、 Rutaceae sp.(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ); マメ科作物、例えば、Solanaceae sp.(例えば、トマト)、 Liliaceae sp.、 Asteraceae sp.(例えば、レタス)、 Umbelliferae sp.、 Cruciferae sp.、 Chenopodiaceae sp.、 Cucurbitaceae sp.、 Papilionaceae sp.(例えば、エンドウ)、 Rosaceae sp.(例えば、イチゴ); 大型作物(big crop)、例えば、Graminae sp.(例えば、トウモロコシ、禾穀類、例えば、コムギ、イネ、オオムギ及びライコムギ)、 Asteraceae sp.(例えば、ヒマワリ)、 Cruciferae sp.(例えば、ナタネ)、 Papilionaceae sp.(例えば、ダイズ)、 Solanaceae sp.(例えば、ジャガイモ)、 Chenopodiaceae sp.(例えば、ビート(beetroot)); 園芸作物及び森林作物(forest crops);さらに、これら作物の遺伝的に修飾された相同物。
【0067】
本発明の方法で保護される植物及びそれら植物の可能性のある病害の中で、以下のものを挙げることができる:
・ コムギ〔以下に示す種子の病害の防除に関して〕:フザリア(fusaria)(Microdochium nivale、及び、Fusarium roseum)、なまぐさ黒穂病(Tilletia cariesTilletia controversa、又は、Tilletia indica)、セプトリア病(Septoria nodorum)、及び、裸黒穂病;
・ コムギ〔以下に示す植物の地上部の病害の防除に関して〕:穀類眼紋病(cereal eyespot)(Tapesia yallundaeTapesia acuiformis)、立枯病(Gaeumannomyces graminis)、赤かび病(foot blight)(F.culmorumF.graminearum)、ブラックスペック(black speck)(Rhizoctonia cerealis)、うどんこ病(Erysiphe graminis forma specie tritici)、さび病(Puccinia striiformis、及び、Puccinia recondita)、及び、セプトリア病(Septoria tritici、及び、Septoria nodorum);
・ コムギ及びオオムギ〔細菌病及びウイルス病の防除に関して〕:例えば、オオムギ縞萎縮病(barley yellow mosaic);
・ オオムギ〔以下に示す種子の病害の防除に関して):網斑病(Pyrenophora gramineaPyrenophora teres、及び、Cochliobolus sativus)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、及び、フザリア(fusaria)(Microdochium nivale、及び、Fusarium roseum);
・ オオムギ〔以下に示す植物の地上部の病害の防除に関して〕:穀類眼紋病(cereal eyespot)(Tapesia yallundae)、網斑病(Pyrenophora teres、及び、Cochliobolus sativus)、うどんこ病(Erysiphe graminis forma specie hordei)、小さび病(Puccinia hordei)、及び、葉枯病(Rhynchosporium secalis);
・ ジャガイモ〔塊茎の病害の防除に関して〕:(特に、Helminthosporium solaniPhoma tuberosaRhizoctonia solaniFusarium solani)、べと病(Phytopthora infestans)、及び、特定のウイルス(ウイルスY);
・ ジャガイモ〔以下に示す茎葉部の病害の防除に関して〕:夏疫病(Alternaria solani)、べと病(Phytophthora infestans);
・ ワタ〔種子から生育した幼植物の以下に示す病害の防除に関して〕:立枯病及び地際部腐敗(collar rot)(Rhizoctonia solaniFusarium oxysporum)、及び、黒根腐病(black root rot)(Thielaviopsis basicola);
・ タンパク質産生作物(protein yielding crop)、例えば、エンドウ〔以下に示す種子の病害の防除に関して〕:炭疽病(Ascochyta pisiMycosphaerella pinodes)、フザリア(fusaria)(Fusarium oxysporum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、及び、べと病(Peronospora pisi);
・ 油料作物(oil-bearing crop)、例えば、ナタネ〔以下に示す種子の病害の防除に関して〕:Phoma lingamAlternaria brassicae、及び、Sclerotinia sclerotiorum
・ トウモロコシ〔種子の病害の防除に関して〕:(Rhizopus sp.、Penicillium sp.、Trichoderma sp.、Aspergillus sp.、及び、Gibberella fujikuroi);
・ アマ〔種子の病害の防除に関して〕:Alternaria linicola
・ 森林樹〔立枯病の防除に関して〕:(Fusarium oxysporumRhizoctonia solani);
・ イネ〔以下に示す地上部の病害の防除に関して〕:いもち病(Magnaporthe grisea)、紋枯病(bordered sheath spot)(Rhizoctonia solani);
・ マメ科作物〔種子又は種子から生育した幼植物の以下に示す病害の防除に関して〕:立枯病及び地際部腐敗(collar rot)(Fusarium oxysporumFusarium roseumRhizoctonia solaniPythium sp.);
・ マメ科作物〔以下に示す地上部の病害の防除に関して〕:灰色かび病(Botrytis sp.)、うどんこ病(特に、Erysiphe cichoracearumSphaerotheca fuliginea、及び、Leveillula taurica)、フザリア(fusaria)(Fusarium oxysporumFusarium roseum)、斑点病(Cladosporium sp.)、褐点病(alternaria leaf spot)(Alternaria sp.)、炭疽病(Colletotrichum sp.)、セプトリア斑点病(septoria leaf spot)(Septoria sp.)、ブラックスペック(black speck)(Rhizoctonia solani)、べと病(例えば、Bremia lactucaePeronospora sp.、Pseudoperonospora sp.、Phytophthora sp.);
・ 果樹〔地上部の病害に関して〕:モニリア病(Monilia fructigenaeM.laxa)、瘡痂病(Venturia inaequalis)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha);
・ ブドウ〔茎葉部の病害に関して〕:特に、灰色かび病(Botrytis cinerea)、うどんこ病(Uncinula necator)、黒腐病(Guignardia biwelli)、及び、べと病(Plasmopara viticola);
・ ビート(beetroot)〔以下に示す地上部の病害に関して〕:サーコスポラ葉枯病(cercospora blight)(Cercospora beticola)、うどんこ病(Erysiphe beticola)、斑点病(Ramularia beticola)。
【0068】
本発明の殺菌剤組成物は、材木の表面又は内部で発生するであろう菌類病に対しても使用することができる。用語「材木」は、全ての種類の木、そのような木を建築用に加工した全てのタイプのもの、例えば、ソリッドウッド、高密度木材、積層木材及び合板などを意味する。本発明による材木の処理方法は、主に、本発明の1種類以上の化合物又は本発明の組成物を接触させることにより行う。これには、例えば、直接的な塗布、噴霧、浸漬、注入、又は、別の適切な任意の方法が包含される。
【0069】
本発明の処置において通常施用される活性物質の薬量は、茎葉処理における施用では、一般に、及び、有利には、10〜800g/ha、好ましくは、50〜300g/haである。種子処理の場合は、活性物質の施用薬量は、一般に、及び、有利には、種子100kg当たり2〜200g、好ましくは、種子100kg当たり3〜150gである。上記で示されている薬量が本発明を例証するための例として挙げられていることは、明確に理解される。当業者は、処理対象の作物の種類に基づいて、該施用薬量を適合させる方法を理解するであろう。
【0070】
さらにまた、本発明の殺菌剤組成物は、遺伝子組み換え生物の本発明化合物又は本発明農薬組成物による処理においても使用することができる。遺伝子組み換え植物は、興味深いタンパク質をコードする異種の遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。「興味深いタンパク質をコードする異種の遺伝子(heterologous gene encoding a protein of interest)」という表現は、本質的に、形質転換された植物に新しい農業的特性を付与する遺伝子を意味するか、又は、形質転換された植物の農業的特性を改善する遺伝子を意味する。
【0071】
さらにまた、本発明の組成物は、例えば、真菌症、皮膚病、白癬菌性疾患(trichophyton disease)及びカンジダ症、又は、Aspergillus spp.(例えば、Aspergillus fumigatus)に起因する疾患のようなヒト及び動物の菌類病を治療的又は予防的に処置するのに有用な組成物を調製するのに使用することもできる。
【0072】
本発明の態様について、化合物についての下記表及び下記実施例を参照して説明する。以下の表A〜表Vは、本発明の殺菌性化合物の例について非限定的に例証している。下記実施例において、「M+1」(又は、「M−1」)は、それぞれ、質量分析において観察された分子イオンピークプラス1a.m.u.(原子質量単位)又はマイナス1a.m.u.(原子質量単位)を意味する。
【0073】
【表1】

【実施例】
【0074】
一般式(I)で表される化合物の調製方法についての実施例
N−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−シス−シクロヘキシル}−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド及びN−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−トランス−シクロヘキシル}−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(化合物1及び化合物2)の調製
1.15gの2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキサンアミン(0.00413mol)、0.63mLのトリエチルアミン及び860mg(0.00413mol)の2−トリフルオロメチルベンゾイルクロリドを、15mLのジクロロメタン中で室温で一晩撹拌する。
【0075】
その反応混合物を濃縮乾固させ、シリカで精製して、0.66gのN−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−シス−シクロヘキシル}−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(35%)(質量スペクトル:[M+1]=451)、及び、0.46gのN−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−トランス−シクロヘキシル}−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(25%)(質量スペクトル:[M+1]=451)を得る。
【0076】
N−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキシル}−2−(ジフルオロメチル)ベンズアミド(化合物3)の調製
100mgの2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキサンアミン(0.00036mol)、62mgの2−ジフルオロメチル安息香酸及び0.10gの4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド水和物(0.00036mol)を、2mLのメタノール中で室温で一晩撹拌する。
【0077】
その反応混合物を濃縮乾固させ、シリカで精製して、31mgのN−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキシル}−2−(ジフルオロメチル)ベンズアミド(20%)を得る。
質量スペクトル:[M+1]=433。
【0078】
N−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘプチル}−2−ヨードベンズアミド(化合物7)の調製
0.35gの2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘプタンアミン(0.00119mol)、0.25mLのトリエチルアミン及び320mg(0.0012mol)の2−ヨードベンゾイルクロリドを、2mLのジクロロメタン中で室温で一晩撹拌する。
【0079】
その反応混合物を濃縮乾固させ、シリカで精製して、0.13gのN−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘプチル}−2−ヨードベンズアミド(21%)を得る。
質量スペクトル:[M+1]=523。
【0080】
一般式(II)で表される中間体の調製方法についての実施例
2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキサノンの調製
10g(0.05mol)の3−クロロ−2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン及び15.8gの1−(1−シクロヘキセン−1−イル)ピロリジン(0.105mol)を、それらだけで一緒に、100℃で12時間撹拌し、室温で3日間撹拌する。
【0081】
その反応混合物を100mLの1M硫酸でクエンチする。形成した沈澱物を濾過し、水で濯ぎ洗いし、風乾して、10.05gの2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキサノン(72%)を得る。
質量スペクトル:[M+1]=278。
【0082】
2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキサンアミンの調製
5.0g(0.018mol)の2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキサノンを25mLのメタノールで希釈する。次いで、4gのモレキュラーシーブ4Å、13.85g(0.18mol)の酢酸アンモニウム及び1.09g(0.018mol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加する。
【0083】
室温で24時間反応させた後、反応媒体を濾過し、濃縮乾固させ、30mLの20%水性水酸化ナトリウムを添加する。
【0084】
水相を100mLのジエチルエーテルで3回抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。得られた粗物質をシリカで精製して、2.95gの所望の2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘキサンアミン(32%)を得る。
質量スペクトル:[M+1]=279。
【0085】
2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘプタノンの調製
10.07g(0.05mol)の3−クロロ−2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン及び5.96gの4−(1−シクロヘプテン−1−イル)モルホリン(0.015mol)を、それらだけで一緒に、120℃で3時間撹拌する。
【0086】
その反応混合物を、200mLの5%硫酸でクエンチする。水相を100mLのジエチルエーテルで4回抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固させて、2.53gの2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘプタノン(58%)を得る。
質量スペクトル:[M+1]=292。
【0087】
2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘプタンアミンの調製
2.5g(0.0086mol)の2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘプタノンを25mLのメタノールで希釈する。次いで、2gのモレキュラーシーブ4Å、6.62g(0.086mol)の酢酸アンモニウム及び1.14g(0.017mol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加する。
【0088】
室温で24時間反応させた後、反応媒体を濾過し、濃縮乾固させ、20mLの20%水性水酸化ナトリウムを添加する。100mLの酢酸エチルを添加し、相を分離させる。
【0089】
水相を50mLの酢酸エチルで2回抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、2.20gの所望の2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]シクロヘプタンアミン(88%)を得る。
質量スペクトル:[M+1]=293。
【0090】
一般式(I)で表される化合物の生物学的活性についての実施例
実施例A: Alternaria brassicae(アブラナ科の植物の斑点病(leaf spot))に対するインビボ試験
被験活性成分を、ポッター均質化(potter homogenisation)により、100g/Lの濃厚懸濁液型製剤として調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0091】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18〜20℃で生育させたスターターカップ(starter cup)内のハツカダイコン植物(品種 Pernot)を、子葉期で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。
【0092】
対照として使用する植物は、活性物質を含んでいない水溶液で処理する。
【0093】
24時間経過した後、Alternaria brassicaeの胞子の水性懸濁液(1cm当たり40,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、12〜13日間培養したものから採取する。
【0094】
汚染されたハツカダイコン植物を、湿潤雰囲気下、約18℃で、6〜7日間インキュベートする。
【0095】
上記汚染から6〜7日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。
【0096】
これらの条件下、以下の化合物を330ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:1、2、3、4及び5。
【0097】
実施例B: Erysiphe graminis f.sp.tritici(コムギのうどんこ病)に対するインビボ試験
被験活性成分を、ポッター均質化により、100g/Lの濃厚懸濁液型製剤として調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0098】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育させたスターターカップ内のコムギ植物(品種 Audace)を、1葉期(草丈10cm)で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。
【0099】
対照として使用する植物は、活性物質を含んでいない水溶液で処理する。
【0100】
24時間経過した後、発病している植物を用いてErysiphe graminis f.sp.triticiの胞子を振りかけることにより、該植物を汚染する。
【0101】
上記汚染から7〜14日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。
【0102】
これらの条件下、以下の化合物を330ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:1及び2。
【0103】
実施例C: Pyrenophora teres(オオムギの網斑病)に対するインビボ試験
被験活性成分を、ポッター均質化により、100g/Lの濃厚懸濁液型製剤として調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0104】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育させたスターターカップ内のオオムギ植物(品種 Express)を、1葉期(草丈10cm)で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。対照として使用する植物は、活性物質を含んでいない水溶液で処理する。
【0105】
24時間経過した後、Pyrenophora teresの胞子の水性懸濁液(1mL当たり12,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、12日間培養したものから採取する。汚染されたオオムギ植物を、約20℃、相対湿度100%で24時間インキュベートし、次いで、相対湿度80%で12日間インキュベートする。
【0106】
上記汚染から12日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。
【0107】
これらの条件下、以下の化合物を330ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:1、2、3、4、5、6及び7。
【0108】
特許出願W001/11965により開示されたN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−フェニルベンズアミド(表Dの化合物316を参照されたい)は、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinereaに対しては効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−3−ニトロベンズアミド(表Dの化合物307を参照されたい)も、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinereaに対しては効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−ベンズアミド及びN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−ベンズアミド(表Dの化合物304及び化合物314を参照されたい)も、330ppmで、Botrytis cinereaに対して効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−クロロベンズアミド、N−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−2−ブロモベンズアミド及びN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−メトキシベンズアミド(表Dの化合物306、化合物310及び化合物315を参照されたい)も、330ppmで、Botrytis cinereaに対して効果を示さなかった。
【0109】
特許出願WO01/11965により開示されたN−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]メチル)−5−チエニルアセトアミド(表Bの化合物101を参照されたい)は、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinerea及びPeronospora parasiticaに対しては効果を示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、
・ nは、1、2又は3である;
・ pは、1、2、3、4又は5である;
・ Rは、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルである;
・ 各置換基Xは、残りの置換基Xから独立して、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又はC−C−ハロゲノアルキルであるように選択される;
・ Aは、3員、4員、5員、6員又は7員の非芳香族炭素環である;
・ R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、(N−C−C−アルキル)オキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、(N−C−C−アルキル)−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、2,6−ジクロロフェニル−カルボニルアミノ基又はフェニル基であるように選択される;
・ Rは、水素原子、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シアノアルキル、C−C−アミノアルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲンアルキルカルボニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C−シクロアルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−ベンジルオキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、又は、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニルであるように選択される;
及び、
・ 各置換基Yは、残りの置換基Yから独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルケニル、C−C−アルキルスルファニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルコキシカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル又はC−C−アルキルスルホンアミドであるように選択される]
で表される化合物、並びに、その塩、N−オキシド、金属錯体、半金属錯体及び光学活性異性体。
【請求項2】
nが1又は2であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xがハロゲン原子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Xが塩素であることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が−CFであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
2−ピリジルが、3位及び/又は5位において置換されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
2−ピリジルが、3位においてXで置換され、且つ、5位においてRで置換されていることを特徴とする、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
2−ピリジルが、3位において−Clで置換され、且つ、5位において−CFで置換されているとを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
Aが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルから選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
pが1又は2であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
Yが、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、又は、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
フェニル部分が、第一に、オルト位においてYで置換されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
及びRが、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルアミノ又はフェニル基であるように選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
及びRが、両方とも水素原子であることを特徴とする、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、水素原子又はC−C−シクロアルキルであるように選択されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかで定義されている一般式(I)で表される化合物を調製する方法であって、
一般式(II):
【化2】

[式中、X、Y、n、p、R、R、R及びAは、請求項1で定義されているとおりである]
で表される2−ピリジン誘導体又はその塩のうちの1種類を、一般式(III):
【化3】

[式中、Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR又は−OCORであるように選択される脱離基であり、その際、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル、又は、式
【化4】

で表される基である]
で表されるカルボン酸誘導体と、触媒の存在下で、また、Lがヒドロキシル基である場合は、縮合剤の存在下で、反応させることを含む、前記方法。
【請求項17】
が水素原子であり、且つ、該調製方法が、一般式(Ia)で表される化合物を一般式(XVII)で表される化合物と反応させて一般式(I)で表される化合物を生成させることを含む以下の反応スキーム:
【化5】

[ここで、
・ R、R、A、R、X、Y、n及びpは、上記で定義されているとおりである;
・ R3aは、水素原子、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シアノアルキル、C−C−アミノアルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲンアルキルカルボニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C−シクロアルキル、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−ベンジルオキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、又は、1個〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニルであるように選択される;
及び、
・ Lは、ハロゲン原子、4−メチルフェニルスルホニルオキシ又はメチルスルホニルオキシであるように選択される脱離基である]
に従うさらなるステップにより完結されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
有効量の請求項1〜15のいずれかに記載の化合物及び農業上許容される支持体を含んでいる、殺菌剤組成物。
【請求項19】
作物の植物病原性菌類を予防的又は治療的に防除する方法であって、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の請求項19に記載の組成物を、植物の種子、又は、植物の葉及び/若しくは植物の果実、又は、植物がそこで生育している土壌若しくは植物をそこで栽培するのが望ましい土壌に施用することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2007−534721(P2007−534721A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509999(P2007−509999)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005800
【国際公開番号】WO2005/103004
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(503325538)バイエル・クロツプサイエンス・エス・アー (73)
【Fターム(参考)】