説明

2−プロピルヘプタン酸に基づくエステルを含有する化粧品組成物

本発明は、2−プロピルヘプタン酸のエステル、および、化粧品および/または医薬品における、2−プロピルヘプタン酸のエステルの使用に関する。この化合物は、特に軽い感触を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−プロピルヘプタン酸のエステル、ならびに、化粧品および/または医薬品におけるそれらの使用、およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケアおよびヘアケアのための化粧品用エマルションの分野においては、消費者から数多くの要求がなされている:使用目的を決定する洗浄およびケア効果だけでなく、最高級の皮膚適合性、良好な再脂肪化特性、エレガントな外観、最適な感触印象および貯蔵安定性のような、様々なパラメーターが価値を持つ。
【0003】
一連の界面活性物質に加えて、人の肌および毛髪の洗浄およびケアのために使用される調製物は、一般に、特に油体および水を含有する。使用される油体/エモリエントは、例えば、炭化水素、エステル油、植物および動物油/脂/ワックスである。感覚特性および最適な皮膚適合性に関して高い市場の要求に応えるために、新規の油体および乳化剤混合物は絶えず開発され試験されている。化粧品におけるエステル油の使用は、以前から知られていた。それらの重要性のため、それらの新しい製造方法も絶えず開発がされている。特に、「より軽めの(lighter)」皮膚感触を与える分枝エステル油は、集中的に絶えず研究がされている。2−メチル−1,3−プロパンジオールモノエステルの使用は、例えば、DE10160681の主題であり、2−メチル−1,3−プロパンジオールエステルはDE10160682に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10160681号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10160682号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、感覚特性(軽さ、「べたべたしない皮膚感触」、柔軟性、伸展性、吸収性、分散性、油性)に関して改善されたプロフィールを有し、数多くの化粧品処方に組み込まれ得る、好ましくは20℃で液体である、化粧品および/または医薬品用途のための新規エステル油を提供することである。これに関して、エステルの加水分解安定性および低いpHでの該エステルの処方性もまた興味深いものである。さらに、該エステルはW/O処方およびO/W処方のどちらにも組み込むことができるべきである。さらに、該エステルは、特に、結晶性UVフィルター、顔料、制汗剤、塩およびシリコーンと相溶性があるべきである。さらに、該エステルは酸化安定性であるべきである。驚くべきことに、2−プロピルヘプタン酸のエステルが感触的に軽い調製物を導くことがわかった。DE10305562は、ポリマー添加剤として使用される直鎖カルボン酸とアルコールとのエステル混合物を記載する。WO2006/097235は、2−プロピルヘプタノールと直鎖状または分枝状カルボン酸とのエステル、すなわち2−プロピルヘプタノールと2−プロピルヘプタン酸とのエステルを記載する。G. Schomberg、Journal of Chromatography、1994年、第155〜177頁は、第165頁の表II、項目6に、ノナンカルボン酸−(4)のメチルエステルとしてメチル2−プロピルヘプタノエートを記載する。JP10−289441(ソニー株式会社)は、第4頁、第29欄、表1、項目2に、ノナデシル2−プロピルヘプタノエートを記載する。JP57−006790(キャノン株式会社)は、第486頁、No,11に2−ヘキシルデシル2−プロピルヘプタノエートを記載する。後半に挙げた3つの文献は、化粧品および/または医薬品を記載せず、また化粧品および/または医薬品における上述した化合物の使用を記載していない。本発明の課題は、先行技術に対する改良されたエステルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエート、メチル2−プロピルヘプタノエート、ノナデシル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ヘキシルデシル2−プロピルヘプタノエートを除く、一般式(I)のエステル:
【化1】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]
を提供する。
【0007】
特に好ましくは、2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエート、2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエート、2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエート、メチル2−プロピルヘプタノエート、ノナデシル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ヘキシルデシル2−プロピルヘプタノエートを除く、一般式(I)のエステル:
【化2】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]
を提供する。
【0008】
驚くべきことに、2−プロピルヘプタン酸のエステルは化粧品処方、とりわけ「軽い」皮膚感触が重要な処方に、特に好適である。これらのエステルは、様々な処方にとても容易に組み込むことができる。鎖長、分枝および二重結合の数に応じて、液状物質混合物が得られ、それに応じてこれらは油体またはエマルションに粘りを与える粘稠度調整剤として適している。該エステルは、酸化に対して高い安定性を示す。本発明によれば、単独の2−プロピルヘプタン酸エステルまたは任意の所望の混合物を使用し得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい実施態様は、総炭素数が14個または14個より多い、特に14個より多い、特に16個または16個より多い、特に16個より多いエステルに関する。
【0010】
本発明の好ましい実施態様は、総炭素数が24個または24個未満、特に24個未満、特に22個または22個未満、特に22個未満のエステルに関する。
【0011】
式(I)中のアルキル基Rは、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の、脂肪族または芳香族基であってよい。本発明の1つの実施態様において、3個までのOH基、特に2個までのOH基、好ましくは1つのOH基により置換される。本発明の1つの実施態様において、Rは、1〜24個、特に2〜20個、好ましくは6〜18個、特に6〜12個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0012】
言及し得る基Rは、炭素数1〜8個のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基(=1−メチルエチル基)、プロペニル基、イソブチル基(2−メチルプロピル基)、sec−ブチル基(=1−メチルプロピル基)、tert−ブチル基(1,1−ジメチルエチル基)、2−ブテニル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基である。
【0013】
言及し得る基Rは、炭素数9〜22個のアルキル基であり、例えば、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ウンデセニル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、エイコサノニル基、ベヘニル基である。
【0014】
基Rは、芳香族基であってよく、例えばフェニル基、例えばトリル基のようなメチル置換フェニル基、例えば2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、ベンジル基のようなヒドロキシ置換フェニル基、メチル置換ベンジル基、例えば2−ヒドロキシベンジル基または3−ヒドロキシベンジル基のようなヒドロキシ置換ベンジル基であり得る。
【0015】
基Rは、3個までのOH基により置換されていてよく、1つの好ましい実施態様において、基Rは1つのOH基を有するアルキル基、例えばヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシドデシル基、2,3−ジヒドロキシ−n−プロピル基(グリセロール由来)、2−ヒドロキシエチル基(エチレングリコール)、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基(プロピレングリコール由来)、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシプロピル基、1−メチル−2−ヒドロキシプロピル基、6−ヒドロキシヘキシル基、8−ヒドロキシオクチル基、10−ヒドロキシデシル基、12−ヒドロキシドデシル基、14−ヒドロキシテトラデシル基、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル基(トリメチロールプロパン由来)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピル基(ペンタエリスリトール由来)である。
【0016】
同様に、基Rとして、2−プロピルヘプタン酸とC36ダイマージオールとの反応により生成され得る36個の炭素原子を有するアルキル基が適当である。C36−ダイマージオールは、オクチルアルコール(=9−オクタデセン−1−オール)のダイマー化またはダイマー脂肪酸(エステル)の水素化により生成され得る、α、ω−C36−ジオールをいう。
【0017】
特に好ましくは、n−ヘキシル2−プロピルヘプタノエート、n−ヘプチル2−プロピルヘプタノエート、n−オクチル2−プロピルヘプタノエート、n−ノニル2−プロピルヘプタノエート、n−デシル2−プロピルヘプタノエート、n−ウンデシル2−プロピルヘプタノエート、n−ドデシル2−プロピルヘプタノエートからなる群から選択されるエステルである。
【0018】
本発明は、個々のエステルおよび異なるエステルの混合物のいずれをも含む。
【0019】
さらに、本発明は、化粧品および/または医薬品における、2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエートを除く、一般式(I)のエステル:
【化3】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]
の使用を提供する。特に好ましくは、化粧品および/または医薬品における、2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除くこれらのエステルの使用が挙げられる。特に好ましくは、化粧品および/または医薬品における、請求項1に記載のエステル、特に2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除く請求項1に記載のエステルの使用が挙げられる。該エステルは、特に、化粧品および/または医薬品における油体として適当である。
【0020】
さらに、本発明は、化粧品および/または医薬品の製造のための、2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエートを除く、一般式(I)のエステル:
【化4】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]
の使用を提供する。特に好ましくは、化粧品および/または医薬品の製造のための、2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除くこれらのエステルの使用が挙げられる。特に好ましくは、化粧品および/または医薬品の製造のための、請求項1に記載のエステル、特に2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除く請求項1に記載のエステルの使用が挙げられる。
【0021】
さらに、本発明は、ボディー洗浄および/またはボディーケアのために使用される日用ワイプおよび衛生用ワイプの湿潤または含浸あるいは被覆のための化粧品および/または医薬品の製造における、2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエートを除く、一般式(I)のエステル:
【化5】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]
の使用を提供する。特に好ましくは、2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除くこれらのエステルの使用が挙げられる。特に好ましくは、請求項1に記載のエステル、特に2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除く請求項1に記載のエステルの使用が挙げられる。
【0022】
また、2−プロピルヘプタン酸および対応するアルコールを含んで成る混合物を反応させる、本発明のエステルの製造方法を提供する。同様に、本発明の方法は、2−プロピルヘプタン酸と対応するアルコール混合物を一緒に反応させるエステル混合物の生成を含む。
【0023】
本発明の1つの好ましい実施態様において、2−プロピルヘプタン酸および対応するアルコールを含んで成る混合物を、エステル化触媒を添加して反応させる。
【0024】
1つの好ましい実施態様において、2−プロピルヘプタン酸および対応するアルコールを含んで成る混合物を加熱し、形成される水を絶えず除去し、その後、粗生成物を蒸留する。この方法は、エステル化触媒を添加して、例えば、酸性触媒または塩基性触媒の下、行うことができる。1つの好ましい実施態様において、この方法は溶媒の添加なしで、好ましくは、可能な限り無水の出発物質を用いて行う。
【0025】
該方法の好ましい実施態様において、スズ触媒が使用される。適当なスズ触媒は、例えば、シュウ酸スズ(例えば、Fascat(登録商標)2001)、酸化スズ(SnO、Fascat(登録商標)2000)、およびスズIV触媒、例えばジブチルスズジアセテート(Fascat(登録商標)4200)、ジブチルスズオキシド(Fascat(登録商標)4201)、およびジブチルスズラウレート(Fascat(登録商標)4202)または酸化スズ(SnO)である。これらは、以前はAtofinaにより販売されていたが、現在はArkemaにより販売されている。
【0026】
該エステル化は、好ましくは100〜300℃の間の温度で、特に200〜250℃で行う。
【0027】
さらなる実施態様において、使用される触媒は、少なくとも1つの酵素である。適当な酵素は、アルコールと酸のエステル化を触媒することができる、当業者に既知のすべての酵素または酵素混合物であり、挙げ得る例は、リパーゼ、アシルトランスフェラーゼおよびエステラーゼである。この酵素的触媒エステル化は、通常、20〜100℃の温度で、好ましくは40〜80℃で行う。
【0028】
また、本発明のエステルは、2−プロピルヘプタン酸と対応するアルコールとのアルキルエステル(例えば、メチルエステルまたはブチルエステル)を、エステル交換触媒を添加して反応させることにより製造し得る。この方法は、エステル混合物の製造にも適当である。
【0029】
そのような方法においては、2−プロピルヘプタン酸と対応するアルコールとのアルキルエステルを含んで成る混合物を、エステル触媒を添加して加熱し、形成される水を絶えず除去し、その後、粗生成物を蒸留する。好ましい実施態様において、この方法は溶媒の添加なしで、好ましくは、可能な限り無水の出発物質を用いて行う。好ましくは、該エステル化は100〜300℃の間の温度で、特に200〜250℃で行う。使用し得るエステル交換触媒は、当業者に既知のすべてのエステル交換触媒であって、エステル交換触媒としてのナトリウムメチレートまたはテトラアルキルチタネートを使用することが好ましい。
【0030】
触媒として、少なくとも1つの酵素を使用し得る。適当な酵素は、アルコールと酸メチルエステルのエステル交換を触媒することができる、当業者に既知のすべての酵素または酵素混合物であり、挙げ得る例は、リパーゼ、アシルトランスフェラーゼおよびエステラーゼである。この酵素的触媒エステル化は、通常、20〜100℃の温度で、好ましくは40〜80℃で行う。
【0031】
[化粧品/医薬品]
本発明のエステルは、特に軽い皮膚感触を有する安定的な化粧品および医薬品エマルションの調製を可能にする。
【0032】
従って、本発明は、さらに、
(a)2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエートを除く、少なくとも1つの一般式(I)のエステル:
【化6】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]、
(b)少なくとも1つの乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および/または他の油体(b−5)を含んで成る、化粧品および/または医薬品を提供する。
【0033】
好ましくは、
(a)2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエート、2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除く、少なくとも1つの一般式(I)のエステル:
【化7】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]、
(b)少なくとも1つの乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および/または他の油体(b−5)を含んで成る、化粧品および/または医薬品を提供する。
【0034】
さらに、本発明は、
(a)少なくとも1つの請求項1のエステル
(b)少なくとも1つの乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および/または他の油体(b−5)を含んで成る、化粧品および/または医薬品を提供する。
【0035】
好ましくは、
(a)2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除く、少なくとも1つの請求項1のエステル
(b)少なくとも1つの乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および/または他の油体(b−5)を含んで成る、化粧品および/または医薬品を提供する。
【0036】
本発明の調製物は、好ましくは、0.1〜80重量%、特に0.5〜70重量%、好ましくは0.75〜60重量%、特に1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%の、少なくとも1つのエステル(a)を含んで成る。
【0037】
本発明は、さらに、
a)2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエートを除く、好ましくは2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除く、0.1〜80重量%、特に0.1〜70重量%、好ましくは0.1〜60重量%、特に0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%の、少なくとも1つの一般式(I)のエステル:
【化8】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]、
b)0.1〜20重量%の乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)、
b−5)0.1〜40重量%の他の油体、および、
c)0〜98重量%の水
を含んで成る、化粧品および/または医薬品を提供する。
【0038】
さらに、本発明の調製物は、
a)2−エチルブチル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ブチルオクチル2−プロピルヘプタノエートを除く、0.1〜80重量%、特に0.1〜70重量%、好ましくは0.1〜60重量%、特に0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%の、少なくとも1つの請求項1に記載のエステル
b)0.1〜20重量%の乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)、
b−5)0.1〜40重量%の他の油体、および、
c)0〜98重量%の水
を含んで成る、化粧品および/または医薬品を提供する。
【0039】
本発明の調製物は、好ましくは、少なくとも0.1重量%、特に少なくとも0.5重量%、特に少なくとも0.75重量%、好ましくは少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%の、1つまたはそれ以上のエステル(a)を含んで成る。
【0040】
すべての重量%のデータは、化粧品および/または医薬品に基づく重量%である。
【0041】
本発明の1つの実施態様において、該調製物は、n−ヘキシル2−プロピルヘプタノエート、n−ヘプチル2−プロピルヘプタノエート、n−オクチル2−プロピルヘプタノエート、n−ノニル2−プロピルヘプタノエート、n−デシル2−プロピルヘプタノエート、n−ウンデシル2−プロピルヘプタノエート、n−ドデシル2−プロピルヘプタノエートまたはそれらの望ましい混合物からなる群から選択される少なくとも1つのエステルを含んで成る。
【0042】
本発明の調製物、本発明の組成物、本発明のエステルは、ボディーケアおよびボディー洗浄のためのすべての化粧品組成物、例えばボディーオイル、ベビーオイル、ボディーミルク、クリーム、ローション、噴霧可能なエマルション、日焼け止め組成物、制汗剤、液状石鹸、固形石鹸等において、基材として組み込むのに適している。それらはまた、界面活性剤含有処方、例えば、フォームおよびシャワーバス、ヘアーシャンプーおよびケアリンスにおいても使用し得る。それらは、衛生学およびケアの分野において使用されるティッシュ、ペーパー、ワイプ、不繊布製品、スポンジ、パフ、石膏および包帯(ベビー衛生およびベビーケア用ウェットワイプ、洗浄ワイプ、洗顔ワイプ、スキンケアワイプ、皮膚老化に対する活性成分を含むケアワイプ、日焼け止め処方および防虫剤を含むワイプ、また化粧用または日焼け治療のためのワイプ、トイレ用ウェットワイプ、制汗用ワイプ、オムツ、ポケットワイプ、ウェットワイプ、衛生製品およびセルフタンニングワイプ)に、ケア成分として適用することができる。それらはまた、とりわけ、ヘアケア、洗髪、染毛のための調製物においても適用し得る。
【0043】
用途により、化粧品処方物は、例えば界面活性剤、他の油体、乳化剤、真珠光沢ワックス、粘稠度調整剤、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、生体活性成分、UV光防護剤、抗酸化剤、脱臭剤、制汗剤、フケ防止剤、皮膜形成剤、膨張剤、防虫剤、セルフタンニング剤、チロシナーゼ阻害剤(脱色剤)、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油、染料等の一連の他の助剤および添加剤を含んで成る。これらの例を下記に列挙する。
【0044】
[乳化剤b−1)]
本発明の1つの実施態様において、本発明の調製物は、少なくとも1つの乳化剤を含んで成る。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、また特には0.1〜10重量%の量の乳化剤を含んで成る。
【0045】
本発明の1つの実施態様において、本発明の調製物は、1つより多くの乳化剤を含んで成る。当業者は、一般的な乳化剤系(例えば、乳化剤および共乳化剤など)を、他の構成成分に応じて使用する。
【0046】
[非イオン性乳化剤]
非イオン性乳化剤のグループは、例えば以下のものを含む。
(1)8〜40個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール、12〜40個の炭素原子を有する脂肪酸、アルキル基に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、2〜50molのエチレンオキシドおよび/または1〜20molのプロピレンオキシドの付加生成物。
(2)グリセロールへの、1〜50molのエチレンオキシドの付加生成物のC12〜C18脂肪酸モノ−およびジエステル。
(3)6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸のソルビタンモノ−およびジエステル、およびそれらのエチレンオキシド付加生成物。
(4)アルキル基に8〜22個の炭素原子を有するアルキルモノ−およびオリゴグリコシド、およびそれらのエトキシル化類似体。
(5)ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への7〜60molのエチレンオキシドの付加生成物。
(6)ポリオール、特にポリグリセロールエステル、例えばポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレート、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリグリセロールジイソステアレートまたはポリグリセロールダイメレート。同様に、これらの物質類の2個以上から成る化合物の混合物も適当である。
(7)ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への2〜15molのエチレンオキシドの付加生成物。
(8)直鎖、分枝、不飽和または飽和C〜C22脂肪酸、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸および、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)、およびポリグルコシド(例えばセルロース)に基づく部分エステル、または混合エステル、例えば、グリセリルステアレートシトレートおよびグリセリルステアレートラクテート。
(9)ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテル共重合体および対応する誘導体。
(10)ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸の混合エステル、メチルグルコースおよびポリオール、好ましくはグリセロールまたはポリグリセロール。
【0047】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、グリセロールモノ−およびジエステル、また脂肪酸のソルビタンモノ−およびジエステルまたはヒマシ油へのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、既知であり、市販の製品である。これらは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと付加反応を行うのに用いる基質との量比に対応する平均アルコキシル化度の同族体混合物である。エトキシル化度に応じて、これらはW/OまたはO/W乳化剤となる。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノ−およびジエステルは、化粧品のための再脂肪化剤として既知である。
【0048】
本発明によれば、穏やかで特に好適な乳化剤は、ポリオールポリ−12ヒドロキシステアレートおよびそれらの混合物であり、これらは、例えば、「Dehymuls(登録商標)PGPH」(W/O乳化剤)または「Eumulgin(登録商標)VL75」(ココグルコシドとの重量比1:1の混合物、O/W乳化剤)またはDehymuls(登録商標)SBL(W/O乳化剤)の名称のもと、Cognis Deutschland GmBHから販売されている。これに関して、特に欧州特許EP0766661B1が参照される。これらの乳化剤のポリオール成分は、少なくとも2個の、好ましくは3〜12個の、また特には3〜8個のヒドロキシ基および2〜12個の炭素原子を有する物質に由来する。
【0049】
適当な親油性W/O乳化剤は、原則として1〜8のHLB値を有する乳化剤であり、これらは多くの表において集約され、また当業者に既知である。これらの乳化剤のいくつかは、例えば、Kirk−Othmer、「Encyclopedia of Chemical Technology」、第3版、1979年、第8巻、913ページに記載されている。エトキシル化生成物のために、HLB値は下記式により計算し得る:
HLB=(100−L):5
[式中、Lは親油基の重量分率、すなわち、エチレンオキシド付加物における脂肪アルキル基または脂肪アシル基の重量%である]。
【0050】
W/O乳化剤の群から、ポリオールの部分エステル、特にC〜Cポリオール、例えばペンタエリスリトールの部分エステルまたは糖エステル、例えば、スクロースジステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタータレート、ソルビタンセスキタータレート、ソルビタンジタータレート、ソルビタントリタータレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエート、およびそれらの工業グレード混合物は、特に有利である。特定のソルビタンエステルへの1〜30mol、好ましくは5〜10molのエチレンオキシドの付加生成物も、適当な乳化剤である。
【0051】
処方に応じて、非イオン性O/W乳化剤(HLB値:8〜18)および/または可溶化剤の群からの少なくとも1つの乳化剤を使用することは、さらに有利となり得る。これらは、例えば、対応する高いエトキシル化度、例えばO/W乳化剤について10〜20エチレンオキシド単位およびいわゆる可溶化剤について20〜40エチレンオキシド単位を有する、序論ですでに述べたエチレンオキシド付加物である。本発明によれば、特に有利なO/W乳化剤は、セテアレス−12およびPEG−20ステアレートである。適当な可溶化剤は、好ましくは、Eumulgin(登録商標)HRE 40(INCI名:PEG−40 hydrogenated castor oil(PEG−40水添ヒマシ油))、Eumulgin(登録商標)HRE 60(INCI名:PEG−60 hydrogenated castor oil(PEG−60水添ヒマシ油))、Eumulgin(登録商標)L(INCI名:PPG−1−PEG−9 lauryl glycol ether(PPG−1−PEG−9 ラウリルグリコールエーテル))、およびEumulgin(登録商標)SML 20(INCI名:Polysorbate−20(ポリソルベート−20))である。
【0052】
アルキルオリゴグリコシドの群からの非イオン性乳化剤は、特に皮膚なじみがよく、O/W乳化剤として好適である。C〜C22アルキルモノ−およびオリゴグリコシド、それらの製造およびそれらの使用は、先行技術から既知である。それらの製造は、特に、グルコースまたはオリゴ糖と8〜22個の炭素原子を有する一級アルコールとの反応により行われる。グルコシド基に関しては、1つの環状糖基が脂肪アルコールにグリコシド結合したモノグリコシドおよび、好ましくは約8までのオリゴマー化度を有するオリゴマーグリコシドのどちらも適当である。ここで、オリゴマー化度は、このような工業グレード製品にとって一般的な同族体分布に基づく統計的平均値である。Plantacare(登録商標)の名称のもとで入手可能である製品は、平均オリゴマー化度1〜2のオリゴグルコシド基にグルコシド結合したC〜C16アルキル基を含んで成る。グルカミンから誘導されるアシルグルカミドも非イオン性乳化剤として適当である。本発明によれば、Emulgade(登録商標)PL 68/50の名称のもと、Cognis Deutschland GmbHより販売され、アルキルポリグルコシドおよび脂肪アルコールの1:1の混合物である製品が好ましい。本発明によれば、Eumulgin(登録商標)VL 75の名称のもと市販されている、ラウリルグルコシド、ポリグリセロール−2ジポリヒドロキシステアレート、グリセロールおよび水の混合物を有利に使用し得る。
【0053】
レシチンおよびリン脂質のような物質も、適当な乳化剤である。挙げ得る天然レシチンの例は、ケファリンであり、これはホスファチジン酸とも呼ばれ、1,2−ジアシル−sn−グリセロール−3−リン酸の誘導体である。それに対して、リン脂質は、通常、リン酸とグリセロールとのモノ−および好ましくはジエステル(グリセロールリン酸)を意味するものとして理解され、これらは一般に脂肪に分類される。さらに、スフィンゴシンおよび/またはスフィンゴ脂質も適当である。
【0054】
[界面活性剤b−2)]
本発明の1つの実施態様において、本発明の調製物は少なくとも1つの界面活性剤を含んで成る。界面活性物質には、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および/または両性または双性イオン性界面活性剤が存在し得る。例えば、シャワージェル、フォームバス、シャンプー等の界面活性剤含有化粧品には、好ましくは、少なくとも1つの陰イオン性界面活性剤が存在する。
【0055】
本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜40重量%、好ましくは0〜20重量%、好ましくは、0.1〜15重量%、また特には0.1〜10重量%の量の界面活性剤を含んで成る。
【0056】
非イオン性界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルおよび混合ホルマール、任意に部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドおよびグルクロン酸誘導体、脂肪酸N−アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギに基づく植物生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含んでいる場合、これらは通常の同族体分布を有することができるが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0057】
双性イオン性界面活性剤は、少なくとも1つの四級アンモニウム基および少なくとも1つの−COO(−)または−SO(−)基を分子中に持っている界面活性化合物を称するために使用される用語である。特に適当な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタインであり、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピルN,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および、それぞれアルキル基またはアシル基に8〜18個の炭素原子を有する2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン、およびココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名Cocamidopropyl Betaine(コカミドプロピルベタイン)のもと知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0058】
特に、共界面活性剤として、同様に適当なのは、両性界面活性剤である。両性界面活性剤は、分子中のC〜C18アルキル基またはアシル基とは別に、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの−COOHまたは−SOH基を含有し、分子内塩の形成をし得る、界面活性化合物を意味すると理解される。適当な両性界面活性剤の例は、それぞれアルキル基中に8〜18個の炭素原子を有する、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオン酸塩、ココアシルアミノエチルアミノプロピオン酸塩およびC12−18−アシルサルコシンである。
【0059】
陰イオン性界面活性剤は、水溶化にする、アニオン基、例えばカルボキシレート基、硫酸基、スルホン酸基またはリン酸基および親油基により特徴付けられる。皮膚適合性陰イオン性界面活性剤は、多数の関連するハンドブックから当業者に既知であり、また市販されている。特に、アルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアンモニウム塩の形態におけるアルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテル炭酸塩、アシルイセチオン酸塩、アシルサルコシネート、12〜18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基またはアシル基を有するアシルタウリン、ならびにそれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形態におけるスルホコハク酸塩およびアシルグルタミン酸塩である。
【0060】
使用し得る陽イオン性界面活性剤は、特に四級アンモニウム化合物である。好ましいのはハロゲン化アンモニウムであり、特に塩化物、臭化物、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドおよびトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。さらに、とても容易に生分解可能な四級エステル化合物、例えば、商品名Stepantex(登録商標)のもと販売されているジアルキルアンモニウムメトスルフェートおよびメチルヒドロキシアルキルジアルコイルオキシアルキルアンモニウムメトスルフェート、および対応するDehyquart(登録商標)シリーズの製品を、陽イオン性界面活性剤として使用し得る。用語「エステルクォート」は、一般に、四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩を意味するものと理解される。本発明によれば、これらは、組成物に特にソフトな感触を与えることができる。これらは、有機化学の関連方法により製造される既知の物質である。さらに本発明に使用し得る陽イオン性界面活性剤は、四級化タンパク質加水分解物である。
【0061】
[ワックス成分b−3)]
本発明の1つの実施態様において、本発明の調製物は、少なくとも1つのワックス成分を含んで成る。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜40重量%、特に0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、また特には0.1〜10重量%の量のワックス成分を含んで成る。
【0062】
用語ワックスは、一般に、以下の特性を有するすべての天然または合成的に得られる物質および混合物質を意味するものと理解される:それらは固体のものから脆く硬い稠度のもの、粗い結晶構造のものから細かい結晶構造のもの、透明のものから不透明のものまであり、分解せずに30℃以上で溶解する。融点を少し超えた場合でさえも、これらは低粘度であり、非曳糸性であり、高い温度依存性の稠度および溶解性を示す。本発明によれば、30℃またはそれ以上で溶解するワックス成分またはワックス成分の混合物を使用することが可能である。
【0063】
本発明によれば、ワックス様稠度を有する脂肪および脂肪様物質も、それらが所要の融点を有するならば、使用し得るワックスである。これらは、とりわけ、脂肪(トリグリセリド)、モノ−およびジグリセリド、天然および合成ワックス、脂肪アルコールおよびワックスアルコール、脂肪酸、脂肪アルコールおよび脂肪酸のエステル、および脂肪酸アミドまたはこれらの物質の適当な混合物を含む。
【0064】
脂肪は、トリアシルグリセロール、すなわち、脂肪酸とグリセロールとのトリプルエステルを意味するものと理解される。好ましくは、それらは飽和、非分枝および不飽和脂肪酸基を含んで成る。これらは、混合エステル、すなわち、グリセロールと様々な脂肪酸とのトリプルエステルであってもよい。部分水素化により得られる、いわゆる硬化油脂は、本発明に使用することができ、また、粘稠度調整剤として特に適当である。植物性硬化油脂が好ましく、例えば、硬化ヒマシ油、ピーナッツ油、大豆油、セイヨウアブラナ油、菜種油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、ヤシ油、パーム核油、亜麻仁油、アーモンド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ゴマ油、ココアバターおよびヤシ油である。
【0065】
とりわけ、グリセロールとC12〜C60脂肪酸および、特にC12〜C36脂肪酸とのトリプルエステルが適当である。これらは、硬化ヒマシ油、例えば、Cutina HRの名称のもと市販されているグリセロールおよびヒドロキシステアリン酸のトリプルエステルを含む。グリセロールトリステアレート、グリセロールトリベヘネート(例えば、Syncrowax HRC)、グリセロールトリパルミネートまたはSyncrowax HGLCの名称のもと知られるトリグリセリド混合物も、ワックス成分またはその混合物の融点が、30℃またはそれ以上であるならば、同じく適当である。
【0066】
本発明によれば、使用し得るワックス成分は、特に、モノ−およびジグリセリドおよびこれらの部分グリセリドの混合物である。本発明に使用し得るグリセリド混合物は、Cognis Deutschland GmbH & Co.KGより市販されている製品Novata ABおよびNovata B(C12〜C18−モノ−、ジ−、トリグリセリドの混合物)およびCutina MDまたはCutina GMS(グリセロールステアレート)を含む。
【0067】
本発明でワックス成分として使用し得る脂肪アルコールは、C12〜C50脂肪アルコールを含む。脂肪アルコールは、天然油脂およびワックス、例えば、ミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール、アラキジルアルコール、1−ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコールまたはミリシルアルコールから得ることができる。本発明によれば、飽和、非分枝の脂肪アルコールが好ましい。しかしながら、不飽和、分枝または非分枝の脂肪アルコールも、それらが所要の融点を有するならば、ワックス成分として本発明に使用し得る。本発明によれば、例えば、牛脂、ピーナッツ油、セイヨウアブラナ油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム核油、亜麻仁油、ヒマシ油、トウモロコシ油、菜種油、ゴマ油、ココアバターおよびヤシ脂肪のような天然に存在する油脂の還元時に生成される脂肪アルコールカットも使用することが可能である。しかしながら、例えば、チーグラー合成の直鎖、偶数脂肪アルコール(アルフォール)またはオキソ合成からの部分分枝アルコール(ドバノール)のような合成アルコールを使用することも可能である。本発明によれば、例えば、Lanette 16(C16アルコール)、Lanette 14(C14アルコール)、Lanette O(C16/C18アルコール)およびLanette 22(C18/C22アルコール)の名称のもと、Cognis Deutschland GmbHにより市販されている、C14〜C22脂肪アルコールが特に好適である。脂肪アルコールは、トリグリセリドよりも乾燥した皮膚感触を組成物に与えるため、後者より好ましい。
【0068】
C14〜C40脂肪酸またはそれらの混合物も、使用し得るワックス成分である。これらは、例えば、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリッシン酸、エルカ酸およびエレオステアリン酸、および置換脂肪酸、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、ならびに脂肪酸のアミドまたはモノエタノールアミドを含む。このリストは例示であって特性を限定するものではない。
【0069】
本発明によれば、例えば、天然植物性ワックス、例えば、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、木蝋、エスパルトグラスワックス、コルクワックス、グアルマワックス、コメ胚芽油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリーワックス、モンタンワックス、ヒマワリワックス、フルーツワックス、例えばオレンジワックス、レモンワックス、グレープフルーツワックス、ヤマモモワックス、および、動物性ワックス、例えば、ミツロウ、シェラックワックス、鯨ロウ、羊毛ワックスおよび尾脂を使用することが可能である。本発明において、水素化または硬化ワックスの使用も有利であり得る。本発明に使用し得る天然ワックスは鉱物ワックス、例えば、セレシンおよびオゾケライトまたは石油化学ワックス、例えば、ペトロラタム、パラフィンワックス、マイクロワックスも含む。化学変性ワックス、特に硬質ワックス、例えば、モンタンエステルワックス、サゾールワックスおよび水素化ホホバワックスも使用し得るワックス成分である。本発明において使用し得る合成ワックスには、例えば、ワックス様ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスが含まれる。本発明によれば、植物性ワックスが好ましい。
【0070】
同様に、ワックス成分は、飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸および飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールのワックスエステルの群、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸)および飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールのエステルの群、および、長鎖ヒドロキシカルボン酸のラクチドの群から選択することができる。そのようなエステルの例は、C16〜C40アルキルステアレート、C20〜C40アルキルステアレート(例えば、Kesterwachs K82H)、ダイマー酸のC20〜C40ジアルキルエステル、C18〜C38アルキルヒドロキシステアロイルステアレートまたはC20〜40アルキルエルケートである。また、C30〜C50アルキルミツロウ、トリステアリルシトレート、トリイソステアリルシトレート、ステアリルヘプタノエート、ステアリルオクタノエート、トリラウリルシトレート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジ(12−ヒドロキシステアレート)、ステアリルステアレート、パルミチルステアレート、ステアリルベへネート、セチルエステル、セテアリルべへネートおよびベヘニルベヘネートも使用し得る。
【0071】
[ポリマーb−4)]
本発明の1つの実施態様において、本発明の調製物は少なくとも1つのポリマーを含んで成る。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、また特には0.1〜10重量%の量のポリマーを含んで成る。
【0072】
適当なカチオンポリマーは、例えばカチオンセルロース誘導体、例えば、Polymer JR 400(登録商標)の名称のもとAmercholから入手可能な四級化ヒドロキシエチルセルロース、カチオンデンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体、四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えば、Luviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールとアミンの縮合生成物、四級化コラーゲンポリペプチド、例えば、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L/Gruenau)、四級化コムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオンシリコンポリマー、例えば、アミドメチコン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンとの共重合体(Cartaretine(登録商標)/Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとの共重合体(Merquat(登録商標)550/Chemviron)、ポリアミノポリアミド、カチオンキチン誘導体、例えば、任意で微晶質分布の四級化キトサンであり、例えばジブロモブタンのようなジハロアルキレンと例えばビスジメチルアミノ−1,3−プロパンのようなビスジアルキルアミンとの縮合生成物、カチオングアーガム、例えば、CelaneseからのJuguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C−17、Jaguar(登録商標)C−16、四級化アンモニウム塩ポリマー、例えば、MiranolからのMirapol(登録商標)A−15、Mirapol(登録商標)AD−1、Mirapol(登録商標)AZ−1である。
【0073】
適当な陰イオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソブロニル共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体およびそれらのエステル、非架橋のポリアクリル酸およびポリオール架橋ポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレート共重合体、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert−ブチルアミノエチルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマー、および任意に誘導体化されたセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0074】
同様に、適当なポリマーは多糖であり、特にキサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギン酸塩およびチロースである。
【0075】
[他の油体b−5)]
クリーム、ボディーオイル、ローションおよびミルクのようなボディーケア組成物は、通常、感触特性をさらに最適化することに寄与する一連の他の油体およびエモリエントを含んで成る。油体(本発明のエステルおよび他の油体)は、通常、合計0.1〜80重量%、特に0.5〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、特に1〜50重量%、特に、1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%、好ましくは5〜15重量%の量で存在する。他の油体は、通常、0.1〜40重量%の量で存在する。
【0076】
適当な他の油体は、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、およびさらに付加的なエステルであり、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびエルカ酸エルシルである。同じく、適当なのは、C18〜C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分枝C〜C22脂肪アルコールとのエステルであり、特にジオクチルマレート、直鎖および/または分枝脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)とのエステル、C〜C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C〜C18脂肪酸に基づく液状モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、C〜C22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C〜C12ジカルボン酸と2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシ基を有するポリオールとのエステル、植物油、分枝第一級アルコール、置換シクロヘキサン、例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC)のような直鎖および分枝C〜C22脂肪アルコールカーボネート、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分枝C〜C22アルコール(例えば、Finsolv(登録商標)TN)とのエステル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)のようなアルキル基に6〜22個の炭素原子を有する、直鎖または分枝の、対称または非対称のジアルキルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールでの開環生成物、および炭化水素またはそれらの混合物(Cetiol(登録商標)DD)である。
【0077】
[他の成分]
適当な増粘剤は、例えば、Aerosilグレード(親水性シリカ)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチル−およびヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよび例えばBentone(登録商標)Gel VS−5PC(Rhoex)のようなベントナイトである。
【0078】
UV光防護剤は、例えば、室温で結晶または液状形態で存在し、紫外線を吸収することができ、吸収したエネルギーをさらに長波長の放射線の形態で、例えば熱、として放出することができる有機物質(光保護フィルター)を意味するものと理解される。UV−Bフィルターは油溶性または水溶性であり得る。適当な典型的なUV−Aフィルターは、特に、ベンゾイルメタンの誘導体である。UV−AおよびUV−Bフィルターは、もちろん、例えば、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)および2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−フェニルシンナメート(オクトクリレン)、および桂皮酸のエステル、好ましくは2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート、および/またはプロピル4−メトキシシンナメートおよび/またはイソアミル4−メトキシシンナメートのような、ベンゾイルメタン誘導体の組み合わせで、混合して使用することもできる。そのような組み合わせは、しばしば、例えば、2−フェニルベンジイミダゾール−5−スルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカンモニウム塩のような水溶性フィルターと組み合わされる。
【0079】
特定の溶性物質に加えて、不溶性光防護顔料、すなわち、細かく分散した金属酸化物も適当である。適当な金属酸化物の例は、特に酸化亜鉛および二酸化チタンである。主要な光防護物質の二つの上記群に加えて、UV線が皮膚に浸透する時に引き起こされる光化学反応鎖を阻害する抗酸化型の第二の光防護剤を使用することもできる。
【0080】
生体活性成分は、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびそれらの断片化生成物、β−グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、疑似セラミド、精油、例えばプルーン抽出物、バンバラナッツ抽出物のような植物抽出物およびビタミン複合体を意味するものと理解される。
【0081】
脱臭活性成分、制汗剤は、体臭を抑制し、隠し、または除去する。体臭は、不快臭のある分解生成物が形成されるアポクリン汗での皮膚細菌の作用によって生じる。従って、適当な脱臭活性成分は、とりわけ、抗菌剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気マスキング剤である。
【0082】
適当な防虫剤は、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオールまたは、Insect Repellent(登録商標)3535の名称のもとMerck KGaAにより販売されているエチル3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)プロピオネートおよびブチルアセチルアミノプロピオネートである。
【0083】
適当なセルフタンニング剤は、ジヒドロキシアセトンである。メラニンの生成を抑制し、脱色素組成物として使用される適当なチロシン阻害剤は、例えば、アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマリン酸およびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0084】
適当な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、また、Surfacine(登録商標)の名称のもと既知である銀錯体および化粧品条例(Cosmetics Ordinance)の別表6、パートAおよびBに記載された分類の他の物質である。
【0085】
挙げ得る香油は天然および合成香料の混合物である。天然香料は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針葉および枝、樹枝およびバルサムから抽出される。また、例えばシベットおよび海狸香のような動物性原料、またエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成香料化合物も適当である。
【0086】
特に界面活性処方における使用のために適当な真珠光沢ワックスは、例えば:アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多塩基の、任意でヒドロキシ置換したカルボン酸と6〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;脂肪物質、例えば、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート(少なくとも24個の炭素原子を有する)、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸のような脂肪酸、12〜22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドと12〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシ基を有するポリオールとの開環生成物、およびそれらの混合物である。
【0087】
使用し得る過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチン、およびポリエトキシル化またはアシル化したラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドのような物質であり、後者は同時に気泡安定剤としてもはたらく。
【0088】
使用し得る安定剤は脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸および/またはリシノール酸のマグネシウム塩、アルミニウム塩および/または亜鉛塩である。
【0089】
流動性の向上のために、ヒドロトロープ、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、またはポリオールも使用し得る。ここで、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも二つのヒドロキシ基を有するポリオールが適当である。ポリオールは他の官能基、特にアミノ基を含有することができ、および/またはこれを窒素で修飾することもできる。
【0090】
本発明の調製物、本発明の組成物および本発明のエステルは、特に、化粧品および/または医薬品において、ボディー洗浄および/またはボディーケアのために使用される日用ワイプおよび衛生用ワイプの湿潤または含浸あるいは被覆に適している。
【0091】
一例として挙げられる日用ワイプおよび衛生用ワイプは:衛生学およびケアの分野において使用されるティッシュ、ペーパー、ワイプ、不繊布製品、スポンジ、パフ、石膏および包帯である。これらは、ベビー衛生およびベビーケアのためのウェットワイプ、洗浄ワイプ、洗顔ワイプ、スキンケアワイプ、皮膚老化に対する活性成分を含むケアワイプ、日焼け止め処方および防虫剤を含むワイプ、また化粧用または日焼け治療のためのワイプ、トイレ用ウェットワイプ、制汗用ワイプ、オムツ、ティッシュ、ウェットワイプ、衛生製品およびセルフタンニングワイプでもあり得る。
【実施例】
【0092】
68.4gの2−プロピルヘプタン酸(AN=111.1)、16.8gのオクタノールおよび0.3gのシュウ酸スズを、水分離器で一緒に、220℃にて6時間加熱した。反応粗生成物(AN=2.4)を、オイルポンプ真空器中、250mmVigreuxカラムを使用して蒸留した。0.04mbar、114〜117℃で、42gの精製n−オクチル2−プロピルヘプタノエートが、黄色油として生成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエート、メチル2−プロピルヘプタノエート、ノナデシル2−プロピルヘプタノエートおよび2−ヘキシルデシル2−プロピルヘプタノエートを除く、一般式(I)のエステル。
【化1】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]
【請求項2】
Rが6〜12個の炭素原子を有するアルキル基である請求項1に記載のエステル。
【請求項3】
n−ヘキシル2−プロピルヘプタノエート、n−ヘプチル2−プロピルヘプタノエート、n−オクチル2−プロピルヘプタノエート、n−ノニル2−プロピルヘプタノエート、n−デシル2−プロピルヘプタノエート、n−ウンデシル2−プロピルヘプタノエート、n−ドデシル2−プロピルヘプタノエートからなる群から選択される、請求項1または2に記載のエステル。
【請求項4】
2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエートを除く、一般式(I)のエステル:
【化2】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]
の、化粧品および/または医薬品における使用。
【請求項5】
ボディー洗浄および/またはボディーケアのために使用される日用ワイプおよび衛生用ワイプの湿潤または含浸あるいは被覆のための、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
2−プロピルヘプタン酸および対応するアルコールを含有する混合物を反応させる、請求項1〜5のいずれかに記載のエステルの製造方法。
【請求項7】
(a)2−プロピルヘプチル2−プロピルヘプタノエートを除く、少なくとも1つの一般式(I)のエステル:
【化3】

[式中、Rは1〜36個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは3個までのOH基により置換されていてもよい。]
(b)少なくとも1つの乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および/または他の油体(b−5)、
を含んで成る化粧品および/または医薬品組成物。
【請求項8】
0.1〜80重量%、特に0.1〜70重量%、好ましくは0.1〜60重量%、特に0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%の少なくとも1つの(a)のエステルを含んで成る、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
エステル(a)として、n−ヘキシル2−プロピルヘプタノエート、n−ヘプチル2−プロピルヘプタノエート、n−オクチル2−プロピルヘプタノエート、n−ノニル2−プロピルヘプタノエート、n−デシル2−プロピルヘプタノエート、n−ウンデシル2−プロピルヘプタノエート、n−ドデシル2−プロピルヘプタノエートまたはそれらの任意の所望の混合物を含んで成る、請求項7または8に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−526111(P2010−526111A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506825(P2010−506825)
【出願日】平成20年4月26日(2008.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003399
【国際公開番号】WO2008/135187
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】