説明

2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸の調製方法

2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)の調製方法であって、当該方法は:a)5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテン(III)を、マグネシウムと反応し、その後ジエチルシュウ酸塩と反応して、エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)を得;b)エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)を、アルカリ性アミド及び酢酸メチルと反応して、エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)を得;c)エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)を、アルカリ性金属水酸化物と反応して、対応する2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を得;d)2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を、ギ酸で環化して、2−カルボキシメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピランカルボン酸(VII)を得;e)2−カルボキシメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピランカルボン酸(VII)を、2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)へと単一のエステル化を行い、ステージe)において、2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)は、シクロヘキシルアミンの対応する塩(IA)を形成することにより、精製されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)の2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸は、化学療法剤として公知のアルカロイドであるホモハリングトニン(homoharringtonine)の合成にキーとなる中間体である。
【0003】
【化4】

【0004】
事実、特許文献1に述べるように、対応する無水物に可能に変換された式(I)の化合物は、ジクロロヘキシルカルボジイミドの存在下で、セファロタキシン(IX)と反応して、式(X)のホモハリングトニンを得る。
【0005】
【化5】

【0006】
【化6】

【0007】
この先行技術において、下記のステージを包含する式(I)の酸の調製方法について、述べる。つまり:
【0008】
a)式(III)の5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテンを、マグネシウムと反応し、その後、ジエチルシュウ酸塩と反応して、エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)を得るステージ;
【0009】
【化7】

【0010】
【化8】

【0011】
b)エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)をアルカリ性アミド及び酢酸メチルと反応して、エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)を得るステージ;
【0012】
【化9】

【0013】
c)エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)を、アルカリ性金属水酸化物と反応して、対応する2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を得るステージ;
【0014】
【化10】

【0015】
d)2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を、ギ酸を用いて、2−カルボキシメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピランカルボン酸(VII)に環化するステージ;
【0016】
【化11】

【0017】
e)2−カルボキシメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピランカルボン酸(VII)を、2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)にモノエステル化(monoesterification)するステージである。
【0018】
この方法は、一連の欠点を示す。
【0019】
第一に、事実、式(I)の産物は、式(I’)の産物及び式(I’’)のジエステルからなるかなりの量の副産物とともに、かなりの量の未反応の酸(VII)の存在下で得られる。
【0020】
【化12】

【0021】
【化13】

【0022】
高純度の式(I)の中間体を有することについて、上記のステージe)の終期において、又は次のホモハリングトニン反応においてのいずれかで実行されてもよいカラム抽出によって、精製が行われるべきものである。
【0023】
カラムクロマトグラフィーの分離は、工業的な精製システムではない。また、上記の先行技術の文献に言及する方法は、純粋な中間体(V)を得るように、ステージa)の終期において中間体のバルブ蒸留(bulb distillation)に付し、且つステージb)の終期において中間体(V)のカラムクロマトグラフィーによる精製に付す精製を行い、さらに、最終産物の反応収率を低下させ、従って、この方法が工業スケールで達成され得る可能性をさらに低下させてしまう。
【0024】
従って、上記の欠点を示さない中間体(I)を調製する方法を達成する要求がある。
【特許文献1】国際公開第99/48894号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本願出願人は、上記の式(I)の中間体を調製する方法に斯かる欠点を克服し、工業スケールで達成可能な調製方法を驚くべきことに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0026】
従って、本発明の主題は、下記のステージを有する下記の方法である。
【0027】
a)5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテン(III)を、マグネシウムと反応し、その後ジエチルシュウ酸塩と反応して、エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)を得るステージと;
b)エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)を、アルカリ性アミド及び酢酸メチルと反応して、エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)を得るステージと;
c)エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)を、アルカリ性金属水酸化物と反応して、対応する2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を得るステージと;
d)2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を、ギ酸を用いて、2−カルボキシメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピランカルボン酸(VII)に環化するステージと;
e)2−カルボキシメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピランカルボン酸(VII)を、2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)にモノエステル化(monoesterification)するステージと;
を有し、
ステージe)において、2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)は、シクロヘキシルアミンとの対応する塩(IA)の形成により、精製されることを特徴とする。
【0028】
【化14】

【0029】
事実、本願出願人は、上記の精製により、92%以上、好ましくは、95%以上のHPLC純度で、式(I)の塩化した酸を得ることが可能であることを驚くべきことに見出した。本発明のさらなる主題は、上記の式(IA)の塩である。
【0030】
事実、式(I)の対応する酸に変換され、又は関連する無水物に変換された上記の塩は、上記の通り、ホモハリングトニンの調製に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
好ましくは、式(I)の化合物の調製方法において、式(III)、(IV)、(V)及び(VII)の中間体は、精製されない一方、中間体(V)の精製のみが、この産物を対応するシクロヘキシルアミンの塩(VIA)に変換することにより、ステージc)の終期において実行され、これは、その後、ステージd)の前に、強鉱酸、より好ましくは塩酸又はリン酸を用いた処理のための対応する酸に変換されるものである。
【0032】
【化15】

【0033】
酸(VI)のシクロヘキシルアミンの塩(VIA)への塩化は、極性プロトン性溶媒、好ましくは、sec−ブチルアルコール中で、好ましく実行される。
【0034】
本発明による方法のステージa)〜b)は、極性非プロトン性溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で、好ましく実行される。
【0035】
好ましくは、本発明による方法のステージb)におけるアルカリ性アミドとして、特許文献1に使用されるリチウムビス(トリメチル)シリルアミドに代えて、リチウムジイソプロピルアミドを用いる。
【0036】
事実、本願出願人は、リチウムジイソプロピルアミドを用いることにより、試薬(III)を精製することなく、式(IV)の産物を得ることが可能である。
【0037】
本発明による方法のステージc)に使用するアルカリ性水酸化物は、好ましくは、水酸化カリウム水溶液である。
【0038】
本発明による方法のステージe)におけるモノエステル化は、強鉱酸の存在下、好ましくは、濃硫酸の存在下、メタノールを用いて、好ましく実行される。
【0039】
上記の対応する塩(VIA)への式(I)の産物の塩化は、極性非プロトン性溶媒、好ましくは、酢酸メチル中で、実行される。
【0040】
本発明による方法のステージa)に用いられる5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテン(III)は、シクロプロピルメチルケトン(II)を、臭化メチルマグネシウムと反応し、その後、極性非プロトン性溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で、強鉱酸、好ましくは、硫酸と反応することにより、調製される。
【実施例】
【0041】
純粋に示すことを目的として、限定せず、本発明による方法を用いて対応するシクロヘキシルアミンの塩(IA)の形態での式(I)の化合物の調製について、例示する。
【0042】
(例1)
メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸の調製方法
100%の濃度での12.6kgの同様のものに対応する105kgの12%の臭化メチルマグネシウムを有するTHFを、ステンレス製反応器に導入する。
【0043】
塩浴(brine bath)を用いて冷却することにより30〜35℃の温度で反応を維持しながら、6.7kgのシクロプロピルメチルケトン(II)を注入する。注入が完了した後、反応混合物を、少なくとも1時間、30〜35℃で攪拌し、その後、5〜10℃に冷却し、反応混合物を、60kgの35%の硫酸を有する0〜10℃に冷却した他のエナメル反応器に注入する。
【0044】
この反応混合物を、25〜30℃の温度とし、少なくとも15分間、この温度で保持し、各相を、分離し、底相を除去する。
【0045】
有機相を、6.7kgの脱塩水で洗浄する。これを、25〜30℃で攪拌し、デカントして、2つの相を分離させる。底部の水相を除去する。
【0046】
油状の残渣が得られるまで、真空蒸留により、有機相から溶媒を除去し、これに、10.1kgのTHFを添加し、完全に溶解するまで、この混合物を攪拌する。その後、その溶液を、適当な容量を有する容器に注入し、次のステージに送る。
【0047】
10kgの産物を100%で得る。
【0048】
収率:シクロプロピルメチルケトン(II)のkgを参照して、77%
【0049】
1−2)エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)の調製
1.55kgのマグネシウム、及び10kgのTHFを、液体窒素冷却器を設けたステンレススチール反応器に導入する。これを、還流下(60〜70℃)、加熱し、この温度で、100%の10kgの5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテン(III)を含有する溶液0.5Lを注入する。これを、反応が開始するまで、少なくとも10分間、還流下で保持する。この反応混合物を、その後、50〜60℃に冷却し、塩浴を用いて、この温度で保持し、シクロプロピルメチルケトン(II)を有するTHFの残りの溶液を注入する。この反応混合物を、少なくとも1.5時間、50〜60℃で保持し、40kgのTHFを添加する。この反応混合物を、液体窒素を用いて、−65/−70℃に冷却し、この温度で、7.2kgのジエチルシュウ酸塩を添加する。この反応混合物を、攪拌下、少なくとも1時間、−65/−70℃で保持する。このようにして得た混合物を、その後、30kgの脱塩水に溶解した10kgの32%塩酸を有する前もって0〜10℃に冷却した他のエナメル反応器に注入する。
【0050】
この反応混合物を、その後、20〜30℃とし、各相が分離するまで、載置する。水相を除去する一方、有機相を、20〜30℃において、5kgの脱塩水に溶解した0.25kgの重炭酸ナトリウムを用いて、洗浄する。反応混合物を、上記と同様の温度で攪拌し、各相が分離するまで、載置する。底部の水相を除去する一方、油状の残渣を得るまで、真空蒸留により、有機相から溶媒を除去する。その後、15kgのTHFを添加し、得た混合物を、溶液が得られるまで、攪拌し、次のステージに送る。
【0051】
収率は、同定していない。
【0052】
1−3)エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)の調製
26%のリチウムジイソプロピルアミドを有するTHFの溶液21.5kgを、液体窒素冷却器を設けたステンレススチール反応器に導入する。
【0053】
反応混合物を、液体窒素を用いて、−70/−80℃に冷却し、この温度で、4.50kgの酢酸メチルを注入する。反応混合物を、その後、上記の温度で、少なくとも30分間、攪拌する。その後、さらにこの温度で、前のステージで得た5−エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエートを注入する。得た反応混合物を、少なくとも30分間、−70/−80℃で常に保持し、その後、30kgの脱塩水に溶解した32%の塩酸15.0kgを有する前もって0〜10℃に冷却した他のエナメル反応器に注入する。反応混合物を、その後、20〜25℃とし、各相が分離するまで、載置する。その後、水相を消失させる。油状の残渣が得られるまで、真空蒸留により、有機相から溶媒を除去する。
【0054】
その後、この油状残渣に、6.5kgのメタノールを添加し、溶液が得られるまで、攪拌し、次のステージに送る。
【0055】
1−4)2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)の調製
40kgの脱塩水、及び10kgの水酸化カリウムを、ステンレススチール反応器に導入する。これを、5分間、20〜30℃で攪拌し、その後、この温度において、前のステージで得たエチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエートの全溶液を注入する。この混合物を、その後、還流下(75〜85℃)、加熱し、この温度で、少なくとも30分間、攪拌下で保持する。これを、25〜30℃に冷却し、13kgの塩化メチレンを添加する。これを攪拌し、その後、各相が分離するまで、載置する。底部の有機相を除去する一方、水相を、エナメル反応器に導入し、その後、これに、20kgのTHFを添加する。
【0056】
反応混合物を、25〜30℃で保持し、これを冷却する一方、19kgの32%の塩酸を注入する。この混合物を、その後、攪拌し、各相が分離するまで、載置する。水相を除去する一方、有機相に、30.0kgのsec−ブチルアルコールを添加する。40〜45℃の初期の温度から開始して、55〜60℃に昇温し、6.0kgのシクロヘキシルアミンを注入する。
【0057】
その塩の沈殿物及び反応混合物を、30〜35℃に冷却し、遠心分離する。遠心分離した産物を、15.0kgのsec−ブチルアルコールで洗浄する。得た固形物の全てを、その後、ステンレススチール反応器に導入し、30kgの脱塩水、及び10kgの塩化メチレンを添加する;20〜25℃で反応混合物を保持し、30%の水酸化ナトリウム溶液9kgを注入する。これを、上記と同様の温度で保持し、その有機相に、7.5kgの32%の塩酸、及び16kgの酢酸エチルを添加する。反応混合物を、その後、20〜25℃で保持し、各相が分離するまで、載置する。その水相を消失させる。溶液の重量を測定し、2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸の量を同定するように、電位差滴定により、分析する。5kgの所望の産物を、100%で得る。例1−2)で得た10kgの5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテンを参照した収率は、37.7%である。
【0058】
1−5)2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(VII)の調製
前のステージで得、5kgの2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸100%を含有する溶液を、エナメル反応器に導入する。この残渣を、その後、20〜30℃に冷却し、15kgのギ酸99%を添加する。この混合物を、その後、70〜75℃に加熱し、攪拌下、この温度で、少なくとも4時間、保持する。これを、その後、50〜60℃に冷却し、油状の残渣が得られるまで、真空蒸留により、水を除去する。この油状残渣を、30〜35℃に冷却し、15kgの酢酸エチル、及び5kgの脱塩水を添加する。得た混合物を、30〜35℃で常に攪拌し、各相が分離するまで、載置し、水相を消失させる一方、油状の残渣が得られるまで、真空蒸留により、有機相から溶媒を除去する。この残渣を、その後、冷却し、10.0kgのメタノールを添加する。
【0059】
この混合物を、その後、溶液が得られるまで、攪拌し、得た溶液を、次のステージに送る。
【0060】
収率は、同定していない。
【0061】
1−6)2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸のシクロヘキシルアミン塩(IA)の調製
前のステージで得た全溶液を、エナメル反応器に導入する。冷却により20〜30℃の温度で保持し、1.50kgの96%の硫酸を注入する。これを、少なくとも6時間、25〜30℃で保持する。その後、0〜10℃に冷却する一方、5.5kgの重炭酸カリウムを有する16.5kgの脱塩水の溶液を注入する。約10.0kgの溶媒を蒸留し、これを除去し、得た混合物に、5.0kgの塩化メチレンを添加する。得た混合物を、その後、30〜35℃で攪拌し、各相が分離するまで、載置する。混合物を30〜35℃に常に保持しつつ、底部の有機相を消失させる一方、その水相に、15kgの塩化メチレンを添加する。その後、4.00kgの85%のリン酸を注入し、各相が分離するまで、混合物を載置する。水相を除去する一方、油状の残渣が得られるまで、蒸留により、有機相から溶媒を除去し、これに、20.0kgの酢酸メチルを添加する。得た溶液に、3kgのシクロヘキシルアミンを添加する。このようにして、シクロヘキシルアミンの塩(IA)が沈殿し、沈殿物を有する混合物を、30分間、25〜30℃で保持する。その後、これを遠心分離し、遠心分離した産物を、5kgの酢酸メチルで洗浄する。得た産物を、30〜40℃で乾燥する。このようにして、3.5kgの所望の産物を得る。例1−4で得た5kgの2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を参照した収率は、46.0%である。HPLC純度は、95%を越える。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による方法の好適実施例の合成図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)を調製する方法であって:
a)5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテン(III)を、マグネシウムと反応し、その後ジエチルシュウ酸塩と反応して、エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)を得るステージと;
b)エチル−2−オキソ−6−メチル−5−ヘプタノエート(IV)を、アルカリ性アミド及び酢酸メチルと反応して、エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)を得るステージと;
c)エチル−2−メトキシカルボニルメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタノエート(V)を、アルカリ性金属水酸化物と反応して、対応する2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を得るステージと;
d)2−カルボキシメチル−2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ヘプタン酸(VI)を、ギ酸を用いて、2−カルボキシメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピランカルボン酸(VII)に環化するステージと;
e)2−カルボキシメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピランカルボン酸(VII)を、2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)にモノエステル化するステージと;
を有し、
ステージe)において、2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸(I)は、シクロヘキシルアミンとの対応する塩(IA)
【化1】


の形成により、精製されることを特徴とする方法。
【請求項2】
中間体(III)、(IV)、(V)及び(VII)は、精製されない一方、
中間体(VI)の精製のみは、ステージc)の終期において、対応するシクロヘキシルアミンの塩(VIA)
【化2】


へと転換することにより、実行されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項3】
ステージd)の前に、前記の塩(VIA)は、強鉱酸を用いた処理用の、対応する酸(VI)に再度変換されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の酸は、塩酸及びリン酸から選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステージa)乃至c)は、極性非プロトン性溶媒中で、実行されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記極性非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフランであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステージb)において、アルカリ性アミドとして、リチウムジイソプロピルアミドを用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステージc)において、前記のアルカリ性水酸化物は、水酸化カリウム水溶液であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステージe)におけるモノエステル化は、強鉱酸の存在下、メタノールを用いて、実行されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記強鉱酸は、濃硫酸であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(I)の産物の対応する塩(IA)への塩化は、極性非プロトン性溶媒中で、実行されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記極性非プロトン性溶媒は、酢酸メチルであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステージa)で用いられる5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテン(III)は、シクロプロピルメチルケトン(II)を、臭化メチルマグネシウムと反応し、その後、極性非プロトン性溶媒中で強鉱酸と反応することにより、調製されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記強鉱酸は、硫酸であり、
前記極性非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフランであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
5−ブロモ−2−メチルケトン(II)は、ステージa)において、粗産物として、使用されることを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
2−メトキシカルボニルメチル−6,6−ジメチル−2−テトラヒドロピラン−カルボン酸のシクロヘキシルアミンとの塩(IA)。
【化3】

【請求項17】
任意でシクロヘキシルカルボジイミドの存在下、酸又は無水物と、セファロタキシンとの反応による、ホモハリングトニンを調製する方法において、式(I)の対応する酸、又は関連する無水物へと最終的に変換される、請求項16に記載の塩の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−501196(P2009−501196A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520889(P2008−520889)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064273
【国際公開番号】WO2007/009953
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(508012895)エレジーレ ソシエタ ペル アチオニ (1)
【出願人】(508011809)ストラゲン ファルマ ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】