説明

2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸及びその調製方法

本発明は、マストーンにおけるΔE*(黒/白)が、22.0未満±0.7であることを特徴とする、2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸(C.I.ピグメントイエロー151):(I)、その調製方法、及び天然又は合成由来の高分子有機材料を着色するためのその使用に関する。本顔料は、高い不透明度及び高い色強度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マストーンにおけるΔE(黒/白)が22.0未満±0.7であることを特徴とする、2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸(C.I.ピグメントイエロー151):
【0002】
【化3】

【0003】
その調製方法、及び天然又は合成由来の高分子有機材料を着色するためのその使用に関する。本顔料は、高い不透明度及び高い色強度を有する。
【0004】
US-A-4,024,124は、カルボキシ基を含有するモノアゾアセトアセチルアミノベンゾイミダゾロン顔料を記載している。実施例1では、C.I.ピグメントイエロー151の調製方法が開示されている。水性媒体中でのカップリングによって得た粗顔料を、単離後乾燥させ、粉末化し、氷酢酸中で2時間還流し、吸引濾過し、洗浄し、乾燥させている。この方法により、良好な着色力及び明るい色彩の柔らかい粒子の顔料が得られる。
【0005】
US-A-4,906,735は、炭素原子8〜14個を有するアルコール又はアルコール混合物とエチレンオキシド3〜10モルとのオキシエチレン化生成物存在下で、成分を水性媒体中カップリングし、カップリング完了後にその水性顔料懸濁液を加熱することによる、C.I.ピグメントイエロー151の改良された調製方法を開示している。かくして得た顔料は、無水有機溶媒中での後処理を回避する。本顔料は、US-A-4,024,124の実施例1のそれに匹敵する形態で得られる。
【0006】
本発明の目的は、独自の、かつ驚くべき色特性を有する、新規な2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸(C.I.ピグメントイエロー151)を提供することにある。
【0007】
したがって、本発明は、マストーンにおけるΔE(黒/白)22.0未満±0.7、特に20未満±0.7、とりわけ19未満±0.7を有する、2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸(C.I.ピグメントイエロー151):
【化4】


に関する。
【0008】
化合物(顔料)の色強度は、ホワイトリダクション(white reduction)(5:95)における標準としてのHostaperm(登録商標)Yellow H4G(Clariant AG)の色強度よりも6〜55%、特に10〜36%高い。
【0009】
ジョイス・ルーブルディスク遠心機で測定した平均粒度(D50%)が、0.30〜0.45μmの範囲、特に0.40μm未満、とりわけ0.34〜0.39μmの範囲である、実質的に立方体乃至立方体様の粒子形と、20〜25m/gの範囲の比表面積(BET)を有する、本2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸は、高い不透明度、高い色強度及び優れた耐候性挙動を示す。電子鏡検法により示されるように、粒子の大部分に関して、長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比は、1:2.5未満である。
【0010】
図1は、Hostaperm(登録商標)Yellow H4G(Clariant AG;2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸;C.I.ピグメントイエロー151)の透過電子顕微鏡写真(TEM)である。
【0011】
図2は、本発明による、2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸(C.I.ピグメントイエロー151)のTEMである。
【0012】
これらのTEMから明らかなように、本発明の顔料は、立方体又は立方体様を有するのに対し、Hostaperm(登録商標)Yellow H4Gは、より棒状の粒子形態を有する。
【0013】
適用例1bに記載のように測定された、マストーンにおける本発明の顔料のC.I.E.色空間値は、
=83.9〜85.6、特に84.3〜85.6、
=86.1〜90.1、特に86.3〜90.1、
h=86.4〜88.4、特に86.6〜88.4である。
【0014】
適用例1cに記載のように測定された、ホワイトリダクション(5:95)における本発明の顔料のC.I.E.色空間値は、
=92.6〜93.4、
=42.7〜50.9、
h=96.9〜98.3である。
【0015】
さらに、本発明は、ジアゾ化されたアントラニル酸(1−アミノベンゼン−2−カルボン酸)と5−アセトアセチルアミノ−ベンゾイミダゾロンを水性媒体中でカップリングし、続いて熱により後処理する(この熱による後処理は、5.5より高いpHで実施)ことにより、式
【化5】


の化合物を調製する方法を提供する。
【0016】
熱による後処理は、特にpH6.0〜7.3、とりわけ6.5〜7.3で実施される。
【0017】
有利には、出発物質の、好ましくは水溶液又は懸濁液を反応器に連続的に、続けて又は同時に、そして好ましくは、当量供給する。樹脂、界面活性剤及び他の添加剤のような典型的な処理助剤を、本発明の方法において同様に使用してもよい。
【0018】
ジアゾ化反応の出発物質は、アントラニル酸(1−アミノベンゼン−2−カルボン酸)である。
【0019】
カップリング成分は、5−アセトアセチルアミノ−ベンゾイミダゾロンである。
【0020】
アゾカップリングは、好ましくは、水溶液中で実施されるが、有機溶媒を、適切であれば、水と混合して使用することも可能である。例えば、芳香族炭化水素、ハイドロクロロカーボン、グリコールエーテル、ニトリル、エステル、ジメチルホルムアミド、テトラメチル尿素及びN−メチルピロリドンである。
【0021】
ジアゾ化は、−15〜+80℃、好ましくは−12〜+10℃、アゾカップリングは、−10〜90℃、好ましくは−5〜40℃の温度で実施される。
【0022】
ジアゾ化は、例えば、亜硝酸塩、例えば、亜硝酸ナトリウムのようなアルカリ金属亜硝酸塩を用いて、鉱酸を含有した媒体中、例えば、塩酸を含有した媒体中で、通常、−15〜80℃、好ましくは−12〜10℃の温度で実施される。過剰な亜硝酸塩は、尿素又はスルファミン酸のような、標準的なスカベンジャーで分解される。
【0023】
カップリング成分へのカップリングは、酸性又は中性〜弱アルカリ性のpH値、例えば、pH値1〜8で、そして、例えば、−10〜90℃、好ましくは、−5〜40℃の温度で、それ自体公知の方法で実施される。
【0024】
本発明によるアゾカップリング反応を実施するために、ジアゾニウム塩の溶液又は懸濁液とカップリング成分の溶液又は懸濁液を、連続的に、続けて又は同時に反応器に導入し、そして連続的に各々を混合し、反応させることができる。
【0025】
本発明の方法は、カップリング成分の溶液又は懸濁液を、特に、カップリング成分の塩基性の溶液又は懸濁液を、調製したばかりのジアゾ化された化合物の溶液又は懸濁液に、ゆっくりと加えることにより、有利に実施される。反応が、ほぼ完了した後、水酸化ナトリウム溶液のようなアルカリ金属水酸化物水溶液を添加することにより、pHを中性範囲、例えば、pH4.5〜8、特に4.5〜7.0、とりわけ6.1〜7.0に維持する。得られた顔料懸濁液を、反応が完了するまで撹拌し、続いて熱により後処理する。生成物を濾過により単離する。得られたプレスケーキをオーブンで、減圧下で又は減圧せずに乾燥し、最後に、粉砕又は粉砕及び篩過する。
【0026】
ジアゾ化及びアゾカップリング双方のために、反応物溶液を緩衝液、好ましくは、有機酸及びその塩の緩衝液、例えば、酢酸/酢酸塩、クエン酸/クエン酸塩、あるいは無機酸及びその塩の緩衝液、例えば、リン酸/リン酸塩又はカルボン酸/カルボン酸塩と混合してよい。
【0027】
有利には、リン酸二水素ナトリウム又は酢酸ナトリウムを、カップリング反応に先立ちジアゾ溶液に加える。
【0028】
添加終了後、顔料懸濁液を、場合により、水で希釈し、5.5より高いpH、特にpH6.0〜7.3、とりわけpH6.5〜7.3で、80℃より高い温度、特に90〜110℃、とりわけ98〜102℃で、1〜24時間、特に6〜15時間加熱する。pHは、酸、特に弱酸、好ましくは酢酸を加えて調整する。その後、顔料を懸濁液から単離し、洗浄し、乾燥し、場合により、粉砕する。
【0029】
本発明の顔料は、天然又は合成由来の高分子有機材料、例えば、プラスチック、樹脂、コーティング、塗料又は電子写真トナー及び顕色剤、ならびに印刷インクなどのインクを着色するのに有用である。
【0030】
本発明にしたがって調製された顔料は、ヒドロキシル含有又は窒素含有の天然有機基材及び合成基材の染色又は印刷に有用である。このような基材には、例えば、主に天然もしくは再生されたセルロース又は天然もしくは合成のポリアミドを含む合成又は天然の繊維材料及び皮革素材が包含される。アセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、PVC及びポリウレタン繊維ならびにウール又は特に綿をベースとする織物材料の染色及び印刷に特に有用である。そのために、本顔料を通常の吸尽法、パッド法又は印刷方法により、織物材料に適用することができる。
【0031】
本発明の顔料は、電子写真トナー及び顕色剤、例えば、1成分又は2成分の粉末トナー(1成分又は2成分顕色剤としても公知)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナーならびに特製トナーにおける着色剤として有用である。
【0032】
典型的なトナーバインダーは、付加重合、重付加及び重縮合の樹脂、例えば、スチレン、スチレン−アクリラート、スチレン−ブタジエン、アクリラート、ポリエステル、フェノール−エポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタンのそれぞれ又はそれらの組み合わせ、ならびにポリエチレン及びポリプロピレンであり、それぞれがさらに、電荷制御剤、ワックス又は流動化助剤のような成分を含有してよく、あるいは、後からこれらの添加剤により改質される。
【0033】
本発明の顔料は、さらに、粉末及び粉末コーティング、特に、例えば、金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、織物材料、紙又はゴムからなる物体の表面被覆に使用される、摩擦電気的又は動電学的にスプレー可能な粉末コーティングにおける着色剤として有用である。
【0034】
粉末コーティング樹脂は、典型的には、エポキシ樹脂、カルボキシル−及びヒドロキシル−含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂ならびにアクリル樹脂であり、慣用の硬化剤と一緒に用いられる。樹脂の組み合わせも使用される。例えば、エポキシ樹脂は、しばしば、カルボキシル−及びヒドロキシル−含有ポリエステル樹脂と組み合わせて使用される。典型的な硬化剤成分(樹脂の系による)には、例えば、酸無水物、イミダゾール及びジシアンジアミドとその誘導体、キャップされたイソシアナート、ビスアシルウレタン、フェノール樹脂及びメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌラート、オキサゾリンならびにジカルボン酸を包含する。
【0035】
本発明の顔料は、インク、好ましくは、インクジェットインク、例えば、水性又は非水性ベースのマイクロエマルジョンインク、ならびにホットメルト原理により作動するインクにおける着色剤としても有用である。
【0036】
インクジェットインクは、通常、本発明による化合物1つ以上を合計で、(乾燥しているとみなして)0.5〜15重量%、好ましくは1.5〜8重量%含有する。マイクロエマルジョンインクは、有機溶媒と水とをベースとし、追加的な溶水性の物質(界面媒介物質)を加える場合と加えない場合がある。マイクロエマルジョンインクは、本発明による化合物1つ以上0.5〜15重量%、好ましくは1.5〜8重量%、水5〜99重量%、ならびに有機溶媒及び/又はハイドロトロピック化合物0.5〜94.5重量%を含有する。
【0037】
溶媒ベースのインクジェットインクは、好ましくは本発明による化合物1つ以上0.5〜15重量%、有機溶媒及び/又はハイドロトロピック化合物85〜99.5重量%を含有する。
【0038】
ホットメルトインクは、室温で固体であり、加熱(好ましい溶融範囲は、約60℃〜約140℃)すると液化する、ワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール又はスルホンアミドを主としてベースとする。ホットメルトインクジェットインクは、実質的に、例えば、ワックス20〜90重量%と本発明による化合物1つ以上1〜10重量%とからなる。これらは、さらに(「染料溶媒」として)追加的なポリマー0〜20重量%、分散剤0〜5重量%、粘度調整剤0〜20重量%、可塑剤0〜20重量%、粘着性添加剤0〜10重量%、(例えば、ワックスの結晶化を防ぐ)透明性安定剤0〜10重量%、及び酸化防止剤0〜2重量%を含有してよい。典型的な添加剤及び助剤は、例えば、US-A-5,560,760に記載されている。
【0039】
本発明の顔料は、さらに、カラーフィルターの着色剤として及び添加剤として、さらに減法による色生成に有用である。
【0040】
以下の実施例は、本発明を説明するが、その範囲を限定しない。断りない限り、パーセント及び部は、それぞれ、重量パーセント及び重量部である。
【0041】
実施例
実施例1
2−アミノ安息香酸29.15gを、水200gと塩酸(濃度32%)98.05gとの混合物に加えた。懸濁液を0℃に冷却し、温度を0℃に維持しながら、亜硝酸ナトリウム溶液(濃度約24%)61.2gで30分かけて処理した。清澄な溶液を30分間撹拌し、水と氷140gで希釈した。過剰な亜硝酸塩をスルファミン酸溶液(濃度20%)で分解した。清澄な溶液に水76g及びリン酸水素二ナトリウム21.12gを加え、それを水106g中に溶解させた。溶液を水と氷91gで冷却し、水酸化ナトリウム溶液(30%)45.3g及び水と氷202gで処理した。
【0042】
半分のジアゾ溶液(580g)を水42g中の5−アセトアセチルアミノ−ベンゾイミダゾロン25gの溶液及び水酸化ナトリウム溶液(30%)25gで、0℃で1時間かけて処理した。カップリング溶液を加えてから10分後、pH6.3を観測した。橙黄色の顔料懸濁液を20℃に加熱し、追加の水260gで処理し、99〜100℃で15時間加熱した(pH7.1〜7.2)。pHを、酢酸(50%)10.3gでpH5.9に調整し、懸濁液を99〜100℃でさらに3時間撹拌した。その懸濁液を70℃に冷却し、濾過し、水で洗浄した。プレスケーキをオーブンで乾燥し、最後に粉砕した。(収量:36.5g)。
【0043】
【表1】

【0044】
実施例2
2−アミノ安息香酸29.15gを、水200gと塩酸(濃度32%)98.05gとの混合物に加えた。懸濁液を0℃に冷却し、温度を0℃に維持しながら、亜硝酸ナトリウム溶液(濃度約24%)61.2gで30分かけて処理した。清澄な溶液を30分間撹拌し、水と氷140gで希釈した。過剰な亜硝酸塩をスルファミン酸溶液(濃度20%)で分解した。清澄な溶液に水76g及び水60g中に溶解した酢酸ナトリウム三水和物28.94gを加えた。溶液を水40gと氷91gで冷却し、水酸化ナトリウム溶液(30%)45.3g及び水と氷202gで処理した。半分のジアゾ溶液(585g)を水42g中の5−アセトアセチルアミノ−ベンゾイミダゾロン25gの溶液及び水酸化ナトリウム溶液(30%)25gで0℃で1時間かけて処理した。カップリング溶液を加えてから5分後、pH5.8を観測した。橙黄色の顔料懸濁液を20℃に加熱し、追加の水260gで処理し、99〜100℃で15時間加熱した(pH7.2〜7.3)。pHを、酢酸(50%)6.5gでpH5.8に調整し、99〜100℃でさらに3時間撹拌した。懸濁液を70℃に冷却し、濾過し、水で洗浄した。プレスケーキを真空オーブンで乾燥し、最後に粉砕し篩過した。得られた収量は、34.5gであった。
【0045】
【表2】

【0046】
実施例3
2−アミノ安息香酸29.15gを、氷水200gと塩酸(濃度32%)98.0gとの混合物に加えた。懸濁液を1℃に冷却し、温度を0〜1℃に維持しながら、亜硝酸ナトリウム溶液(濃度約28%)52.4mlで20分かけて処理した。清澄な溶液を30分間撹拌し、追加の亜硝酸ナトリウム2mlで処理した。清澄な溶液を、温度を0℃に維持しながら、水143gで希釈した。過剰な亜硝酸塩をスルファミン酸溶液(濃度20%)で分解した。清澄な溶液に水75g及びリン酸水素二ナトリウム水溶液(濃度25%)87.07gを加えた。溶液を水と氷215gで冷却し、水酸化ナトリウム溶液(30%)45.3g及び水と氷202gで処理した。ジアゾ溶液を水150g中の5−アセトアセチルアミノ−ベンゾイミダゾロン50gの溶液及び水酸化ナトリウム溶液(30%)54.6gで0〜7℃で1時間かけて処理した。カップリング溶液を加えてから10分後、pH6.6を観測した。半分の橙黄色の顔料懸濁液を20℃に加熱し、追加の水500gで処理し、95℃に15時間加熱した(pH7.1〜7.3)。pHを、酢酸(50%)13gでpH6.0に調整し、95℃でさらに3時間撹拌した。懸濁液を70℃に冷却し、濾過し、水で洗浄した。プレスケーキをオーブンで乾燥し、最後に粉砕した。得られた収量は33.9gであった。
【0047】
【表3】

【0048】
比較例1(US4,906,735の実施例1)
アントラニル酸13.7gを水250mlと5N塩酸50mlと一緒に撹拌し、5N亜硝酸ナトリウム溶液20mlでジアゾ化した。このジアゾ溶液を25℃で、撹拌しながら、カップリング成分の酢酸懸濁液に注いだ。これは次のように調製された:5−アセトアセチルアミノ−ベンゾイミダゾロン24gを室温で水200mlと一緒に撹拌し、5N水酸化ナトリウム溶液60mlを加えて溶解した。溶液を活性炭で清澄化し、濾液を、撹拌しながら30分以内で水30ml、氷酢酸41ml、5N水酸化ナトリウム溶液80ml及びLUTEWSOL OW 50(BASF AG)3gの溶液に滴下した。
【0049】
カップリング(pH〜5.1)完了後、懸濁液を蒸気の導入により95〜97℃に加熱し、この温度で3時間維持した。60〜70℃で、懸濁液を濾過し、プレスケーキを洗浄して塩を取り除き、乾燥し、摩砕した。
【0050】
【表4】

【0051】
適用例1
色の決定
a)ミルベース配合物
250mlの広口壜に半径2mmのガラスビーズを100g装填し、上記で得られた顔料2.50g、Disperbyk(登録商標)161 0.85g及び透明仕上げ剤(Anreibelack AM90)46.65gを仕込んだ。
(1).広口壜の中の混合物をSkandex振とう機(Skandex Disperser BA S20)上で2時間振とうした(DIN 53238 Part 13)。ミルベースは、顔料5%を、顔料/バインダー比1/9で含有した。
【0052】
b)マストーンカラー
上記のミルベースを黒/白対照チャート上に100μm rakel coater(Spiralrakel)で塗布した。皮膜を30分間風乾し、次に130℃で30分間焼付け、黄色のチャートを得た。以下の色特性データは、CGRECソフトウェアを搭載したMinolta 3600d分光光度計を用いて被覆チャート上で計測した。:D65光源及び観測角度10°を使用した測定のC.I.E.色空間値L,C,h;ΔTr;ΔE(黒/白)。
【0053】
c)ホワイトリダクション(5:95(顔料:TiO)):
100mlの広口壜に白色仕上げ剤(2.2)23.75g及び上記ミルベース配合物6.25gを仕込んだ。配合物を、混合機(Farbmischer FAS 500)中で5分間均一に混合し、白チャート上に100μm rakel coater(Spiralrakel)で塗布した。皮膜を30分間風乾し、次に130℃で30分間焼付けた。以下の色特性データは、CGRECソフトウェアを搭載したMinolta 3600d分光光度計を用いて被覆チャート上で計測した。:D65光源及び観測角度10°を使用したC.I.E.色空間値L,C,h;色強度。
【0054】
透明仕上げ剤(1):
Alkydal F310(ナフサ溶媒中60%) 54.62g
キシレン 17.29g
ブタノール 1.84g
1−メトキシ−2−プロパノール 1.84g
シリコン油A(キシレン中1%) 0.91g
Maprenal MF 650(イソブチルアセタート中55%) 23.50g
【0055】
白色仕上げ剤(2):
ミルベースの配合(2.1)
TiO 55.00g
Alkydal F310 34.36g
EFKA 4401 1.76g
Aerosil 200 0.50g
シリコン油A(キシレン中1%) 1.00g
1−メトキシ−2−プロパノール 1.10g
ブタノール 1.10g
キシレン 5.18g
上記ミルベースは、パールミルで分散させた。
【0056】
レットダウンの配合(2.2)
ミルベース(2.1) 45.45g
Alkydal F310 33.65g
Maprenal MF 650 17.90g
Tinuvin 123 0.60g
キシレン 2.40g
上記成分を、攪拌機で30分間均一に混合した。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、Hostaperm(登録商標)Yellow H4G(Clariant AG;2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸;C.I.ピグメントイエロー151)の透過電子顕微鏡写真(TEM)である。
【図2】図2は、本発明による、2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸(C.I.ピグメントイエロー151)のTEMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マストーンにおけるΔE(黒/白)22.0未満±0.7、特に20未満±0.7、とりわけ19未満±0.7を有する、2−[[1−[[(2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル]−2−オキソプロピル]アゾ]−安息香酸:
【化1】

【請求項2】
化合物の色強度が、ホワイトリダクション(5:95)における標準としてのHostaperm(登録商標)Yellow H4G(Clariant AG)の色強度よりも6〜55%、特に10〜36%高い、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
立方体又は立方体様の粒子形を特徴とする、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
ジアゾ化されたアントラニル酸(1−アミノベンゼン−2−カルボン酸)と5−アセトアセチルアミノ−ベンゾイミダゾロンとを水性媒体中でカップリングし、熱により後処理する(この熱による後処理は、5.5より高いpHで実施される)ことを含む、式:
【化2】


の化合物を調製する方法。
【請求項5】
熱による後処理が、pH6.0〜7.3で実施される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の方法により得られる化合物。
【請求項7】
天然又は合成由来の高分子有機材料、例えば、プラスチック、樹脂、コーティング、塗料又は電子写真トナー及び顕色剤、ならびに印刷インクを含むインクを着色するための、請求項1〜3又は6のいずれか記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−523871(P2009−523871A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550716(P2008−550716)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050148
【国際公開番号】WO2007/082813
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】