説明

2サイクルエンジン及びそれを用いたエンジン作業機

【課題】
2サイクルエンジンの分離給油方式において、オイルポンプによりオイルをエンジンの吸気ポートに送出するまでの流路構成をシンプルにして信頼性を向上させる。
【解決手段】
シリンダ11と、クランク16と、クランク16を収容する共にシリンダ11を保持するクランクケース12(12a、12b)を有し、クランクケース12から延びるクランクシャフト13の一端側から動力伝達機構(7)を介して出力が取り出される2サイクルエンジンにおいて、クランクケース12bの側面であってクランクシャフト13の他端側(後端側)にオイルタンク41を設けた。オイルタンク41はクランクシャフト13の後端部を収容するように配置し、オイルタンク41内にオイルポンプ50が設けられる。オイルポンプ50から送出されるオイルは、クランクケース12及びシリンダ11のブロック内に形成されたオイル通路を通って吸気ポートに送出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機等で搭載する小型2サイクルエンジンのオイル供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
刈払機やチェンソー等の小型の作業機には、動力源として小型のエンジン、特に2サイクルエンジンが広く用いられている。2サイクルエンジンは、小型軽量で大きな出力を得ることができ、燃料を供給することにより長時間の作業が可能である。しかしながら、2サイクルエンジンの場合、作業者がオイル(潤滑油)を、各機種の取扱説明書に指示された混合比率に従いガソリン等の燃料に混合し、燃料タンクに適宜補充する必要がある。
【0003】
しかしながら、作業者が誤って不適切な比率でオイルを混合したり、あるいはガソリンの少量追加の際にオイルを補充せずに不適切な混合比になってしまう場合があり得る。また、オイルが混合された燃料は劣化が早く、長期間の保管には向いていないという問題があった。そこで、エンジンの信頼性や耐久性を現状以上にさらに向上させるためには、潤滑方式の見直しが重要な解決課題となる。このため、例えば特許文献1では、分離給油方式を採用し、燃料に直接オイルを混合するのではなく、別体に設けたオイルタンクからオイルを供給するようにしている。
【0004】
一方、取り扱いの容易性や長期間使用しない場合の再始動の容易性から、近年、カセット式のガスボンベを用いて、ガスを燃料とするエンジンが用いられるようになってきた。ガス燃料を供給するエンジンを実現するには、4サイクルエンジンではオイル(潤滑油)の問題はおきないが、2サイクルエンジンの場合は、燃料たるガスにオイルを混合して混合油とすることができないので、オイルの供給をどうするかが重要な解決課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58−62110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2サイクルエンジンにおいて分離給油方式を採用する場合であっても、刈払機やチェンソー等で用いられる小型エンジンの場合は、オイルタンク(潤滑油タンク)をどこに設けるか、そこからどのようにオイルを供給するかということが重要な設計課題となる。例えば特許文献1では、オイルを送る方法として戻し配管系と吸い込み配管系を設けて、オイルタンクからシリンダの吸気部分へと長い配管を設けている。また、この配管は外部に露出するために腐食に強いように構成する必要があった。
【0007】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、作業者がエンジンにオイルを混合する作業を省き、作業の効率化を図ることができる2サイクルエンジン及びそれを用いたエンジン作業機を実現することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、オイルタンクと燃料タンクを別々に設置する分離給油方式において、オイルタンクの配置位置を最適化して、コンパクトで使いやすい2サイクルエンジン及びそれを用いたエンジン作業機を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、オイルをエンジンの中に取り込むまでのオイル流路構成をシンプル且つ高信頼性で実現し、製造コストの上昇を抑えた2サイクルエンジン及びそれを用いたエンジン作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
【0011】
本発明の一つの特徴によれば、吸気ポートと排気ポートを有するシリンダと、シリンダの内部で往復動するピストンの往復エネルギーを回転エネルギーに変換するクランクと、クランクを収容する共にシリンダを保持するクランクケースと、シリンダ内で燃焼させる燃料のタンクを有し、クランクケースから延びるクランクシャフトの一端側から動力伝達機構を介して出力が取り出される2サイクルエンジンであって、クランクケースの側面であってクランクシャフトの他端側に、吸気ポートへ供給されるオイルを貯蔵するオイルタンクを設けた。オイルタンクはクランクシャフトの軸端部を収容するように配置される。また、エンジンのスタータは、クランクシャフトの一端側であって動力伝達機構に隣接して設けられる。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、オイルタンクの内部にクランクシャフトの回転力で駆動され、オイルを吸引する吸引口と、オイルを排出する排出口を有するオイルポンプを設けた。排出口から送出されるオイルは、クランクケース及びシリンダに形成されたオイル通路を介して吸気ポートに供給されるように構成する。オイル通路は、クランクケース及びシリンダのブロック内(肉厚部分)に形成される。オイルポンプは、クランクシャフトに接する位置であって排出口がオイル通路の開口部に接するように設けられる。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、オイルポンプはクランクシャフトの下側に設けられ、吸引口にはオイルタンク内のオイルを吸い上げるためのパイプが接続される。パイプの先端には不純物を濾過するためのフィルタを設けると良い。またオイルポンプには、吸入口から吸引されるオイルの一部を逃がすためのオーバーフロー出口が設けられ、オーバーフロー出口はオイルタンク内に開口する。オイルタンクは、残量が外部から目視できるように、透明又は半透明材料によって形成するか、又は、残量確認窓付きの不透明材料にて形成すると良い。オイルタンクには、オイルの注入口と注入口を封止するキャップが設けられる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、クランクシャフトの他端側に、吸気ポートへ供給されるオイルを貯蔵するオイルタンクを設けたので、2サイクルの小型エンジンにおいて、ガソリンとオイルを所定の比率で混合するという煩わしい作業を省略することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、オイルタンクの内部にクランクシャフトの回転力により駆動されるオイルポンプを設けたので、クランクシャフトからオイルポンプまでの動力伝達機構と、オイルポンプから排出される排出路をシンプルに構成できる。
【0016】
請求項3の発明によれば、オイルタンクをクランクシャフトの軸端部を収容するように配置したので、最短距離でエンジン各部にオイルを供給することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、スタータはクランクシャフトの一端側であって動力伝達機構に隣接して設けられるので、通常スタータが設けられるクランクシャフトの出力軸とは反対側の端部にオイルタンクを配置でき、エンジンの小型化を達成することができる。また、オイルタンクから吸気ポートまでの距離を短くすることができ、部品を縮小化した小型エンジンを提供できる。
【0018】
請求項5の発明によれば、排出口から送出されるオイルは、クランクケース及びシリンダに形成されたオイル通路を介して吸気ポートに供給されるので、ゴム等のチューブを用いることなく耐久性に優れて信頼性の高いオイル通路を形成させることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、オイル通路はクランクケース及びシリンダの肉厚部分に形成されるので、クランクケースからシリンダの吸気ポートまで貫通させた孔を通り、エンジンのピストン上下運動により生じる負圧により、シリンダの吸気ポートよりエンジン内部に取り込むことができる。また、オイルポンプはクランクケースに固定されるので、振動等によりオイル通路が破損することなく、安定してオイルを送出することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、オイルポンプはクランクシャフトに接する位置であって排出口がオイル通路の開口部に接するように設けられるので、オイルポンプからクランクケースまでを最短距離で接続することができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、オイルポンプはクランクシャフトの下側に設けられるので、オイルタンクの下部にたまったオイルを効率よく吸引することができる。
【0022】
請求項9の発明によれば、パイプの先端に不純物を濾過するためのフィルタを設けたので、オイルポンプ、オイル通路や燃焼室にゴミや不純物が入ることを防止でき、信頼性が高く耐久性に優れた2サイクルエンジンを実現できる。
【0023】
請求項10の発明によれば、オイルタンク内に開口するオーバーフロー出口が設けられるので、エンジンの回転数にかかわらずに適切な量のオイルをエンジンに供給することができる。
【0024】
請求項11の発明によれば、オイルタンクは透明又は半透明材料によって形成されるか、又は、残量確認窓付きの不透明材料にて形成されるので、作業者はオイルの残量を容易に確認することができる。
【0025】
請求項12の発明によれば、請求項1から11のいずれか一項に記載の2サイクルエンジンを備えたので、小型で信頼性が高くて使いやすいエンジン作業機を実現できる。
【0026】
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例に係る刈払機1のエンジン部分の外観を示す部分斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る刈払機1のエンジン部分の縦断面図である。
【図3】図2のエンジン10単体の背面図であって、オイルタンク41、マフラー、キャブレタ等を取り外した状態を示す図である。
【図4】図3のA−A部の断面図である。
【図5】図4のB部の拡大断面図である。
【図6】図4のC部の拡大断面図である。
【図7】図2のオイルポンプ50の背面図である。
【図8】図2のオイルポンプ50の断面図であり、図7のD−D部の断面を示す。
【図9】図2のオイルポンプ50の縦断面図を示す。
【図10】図2のオイルポンプ50の動作を示す断面図であって、図7のE−E部の断面図を示す。
【図11】本発明の実施例に係るエンジン作業機(刈払機1)の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
【0029】
図11はエンジン作業機の一例である刈払機1の外観図である。図11に示すように、な小型の2サイクルエンジンを搭載した刈払機1は、操作桿105の先端に回転刃103が取り付けられ、操作桿105には図示しない駆動軸が配置され、駆動軸を操作桿105の一端側に設けたエンジンにて回転させることで、回転刃103等の先端工具を回転させる。回転刃103の近傍には、刈り払った草の飛散防止のための飛散防御カバー107が設けられる。操作桿105の後端にはハウジング2と、エンジンを覆うエンジンカバー3が取り付けられる。作業者は操作桿105に取り付けられたハンドル104を把持して、ハンドル104に設けられたスロットルレバー106を操作することにより刈払機1を操作する。スロットルレバー106の操作は、ワイヤー108にてエンジンの気化器(後述)に伝達される。
【0030】
図1は、本発明の実施例に係る刈払機1のエンジン部分の外観を示す部分斜視図である。エンジン作業機の一例である刈払機1(図11参照)は、樹脂製のハウジング2及びエンジンカバー3からなるエンジン保持部の内側にエンジンが収容され、エンジンの左側側部にはキャブレタ(図示せず)と、キャブレタとエンジンの吸気ポートを連結する気化器絶縁板22を覆うと共に吸入する空気を濾過するエアクリーナーの格納空間を構成するエアクリーナーカバー5が設けられる。エンジンの右側側面にはマフラー(図示せず)が設けられ、作業者がマフラーに直接触れてしまうのを防止するため、樹脂製のマフラーガード4が取り付けられる。収容されるエンジンは、ピストンの往復動方向が鉛直方向となるように、いわゆる縦置きに配置され、点火プラグ17がエンジンの上部に位置する。
【0031】
エンジンの出力はハウジング2の前方側に取り出され、ハウジング2の前端側には図示しない駆動軸が接続される。ハウジング2の下側には、シリンダ11内で燃焼されるガソリンを入れるための燃料タンク31が設けられる。燃料タンク31は、例えば半透明の高分子樹脂によって製造され、外部から残量を目視することができる。燃料タンク31の一部には、燃料を入れるための注入口(図示せず)が設けられ、注入口は燃料キャップ32にて塞がれる。燃料タンク31の下側には、燃料タンク31の平坦な底面部を覆う保護カバーとなるタンクガード33が設けられる。タンクガード33は、例えば強化プラスチックなどの強固な樹脂、あるいは金属にて形成することができ、その下部には、補強及び載置時の安定性のためにリブが形成される。
【0032】
エンジンの後方部分には、オイルタンク41が設けられる。オイルタンク41は、エンジンの潤滑用のオイルであって、例えば2サイクルエンジン用のオイルを貯蔵する。オイルタンク41は円筒形の容器であって、その一部(本実施例では右側側面)にオイルの注入口42が設けられる。注入口42の開口部分の外周側には雄ねじが形成され、キャップ43により封止される。
【0033】
図2は、本発明の実施例に係る刈払機1のエンジン部分の縦断面図である。刈払機1の主要な部分であるエンジン10は、2サイクルの単気筒エンジンであり、クランクケース12は、クランクシャフト13の軸方向前後に、前側クランクケース12aと後側クランクケース12bに分割できるタイプである。但し、シリンダ11を一体成形にするか分割構造にするか、クランクケース12の分割の仕方などは任意であり、他の形状にて構成しても良い。例えば、クランクケース12は、クランクシャフト13の軸方向の上下で分割するような形状としても良い。クランクシャフト13にはコンロッド15を介してピストン14が連結され、ピストン14がシリンダ11の内部で上下動する。エンジン10の吸入−圧縮−爆発−排気の行程は、公知の2サイクルエンジンと同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。本実施例では、シリンダ11は、シリンダ本体円筒部、ヘッド部分、放熱フィンが、例えばアルミニウム合金の一体鋳造で形成され、シリンダ11の上部には点火プラグ17が取り付けられる。
【0034】
クランクシャフト13の前側(出力側)には、遠心クラッチ7を介して図示しない駆動軸の一端部がクラッチシャフト8を介して連結される。遠心クラッチ7の取り付け部であるマグネトロータ18には、エンジン冷却用のフィンが一体に形成される。遠心クラッチ7は、その詳細構造の図示は省略しているが、クランクシャフト13の回転数が一定以上になると遠心力によってクラッチが接続される公知の遠心クラッチを用いることができ、遠心式の揺動子と、揺動子を収納するとともに駆動軸側に連結したカップ状のクラッチドラムを用いて構成できる。遠心クラッチ7とマグネトロータ18の間には、牽引ひもを巻回するリール23が設けられる。リール23に巻かれた牽引ひもの先端にはノブ24が設けられ、作業者がエンジン始動時にノブ24を強く引くことによってエンジンを始動することができる。
【0035】
マグネトロータ18の外周側には、その回転位置を検出することによって点火プラグ17への高圧電流の供給を行うタイミングを決定する点火装置19が設けられる。点火装置19から点火プラグ17までは、ハイテンションコード20にて接続される。遠心クラッチ7、操作棹等の挿入部2aはハウジング2により覆われ、ハウジング2はボルト37等にて前側クランクケース12aの下部とエンジンカバー3に固定される。
【0036】
エンジンカバー3は、例えばプラスチック製の覆いであり、運転時に高温になるシリンダ11を覆い、作業者がそれらに直接触れないようにしている。そのため、エンジンカバー3には、断面がスリット状の多数の通風口が形成される。
【0037】
クランクケース12の下部には、プラスチック等の樹脂或いは金属にて製造される燃料タンク31(図1参照)、又は、図2のようにカセットボンベ38が択一的に取り付けられる。図2は燃料タンク31でなくて、カセットボンベ38を取り付けた状態の断面図である。カセットボンベ38を取り付けるときには燃料タンク31を外して、替わりにカセットボンベ室ハウジング36を取り付ける。カセットボンベ室ハウジング36には図示していないが、カセットボンベ用の接続アダプタ(図示せず)が設けられ、カセットボンベ38を着脱可能にしている。また、カセットボンベ38から供給されるガスは、接続アダプタから図示しないレギュレータ(高圧のカセットボンベ38から一定圧に調整した低圧のガスを得る機器)を介してキャブレタ(図示せず)に導く。本実施例においては、カセットボンベ室ハウジング36と燃料タンク31(図1参照)が択一的に、ネジ39によってエンジン10の下部に取り付けられるように構成される。このカセットボンベ室ハウジング36と燃料タンク31は、製造メーカで双方をつけて販売して、ユーザ側で自由に交換できるように構成しても良いし、製造メーカがあらかじめ一方だけを取り付けて販売して、ユーザ側には交換作業をさせないように構成しても良い。
【0038】
カセットボンベ室ハウジング36は、カセットボンベ38を内部に完全に収容すると共に、接続アダプタ(図示せず)へのカセットボンベ38の装着が可能になるように、開閉可能な開口部(図示せず)が設けられる。カセットボンベ室ハウジング36の底部は、刈払機1を床等に置いたときに安定するように平面状に構成するのが望ましく、かつ、十分な強度を有するように形成すると良い。
【0039】
前後方向に水平に伸びるクランクシャフト13の後端部付近には、オイルタンク41が設けられる。本図から理解できるように、オイルの貯蔵部分となる閉鎖空間は、後側クランクケース12bとオイルタンク41によって形成され、クランクシャフト13の後端面(後端部分)は、その閉鎖空間内(オイルタンク41の内部空間内)に位置している。オイルタンク41は、例えばプラスチック等の高分子樹脂の一体成形でできた円筒状の容器であり、後方側が閉鎖され、前方側の開口部がエンジン10の後側クランクケース12bにねじ止めされる。オイルタンク41の側方にはオイルの注入口42が設けられ、注入口42はキャップ43により封止される。オイルタンク41の内部には、2サイクルエンジン用のオイルが入れられ、内部に配置されるオイルポンプ50によってエンジン10の回転数に応じた量のオイルが後述する吸気ポートに供給される。オイルポンプ50は、クランクシャフト13の後端付近の下側に設けられ、フィルタ45及びパイプ44を介してオイルタンク41内のオイルを吸引する。オイルポンプ50をクランクシャフトに接する位置であって、クランクシャフト13の下側に設けるのは、オイルを吸引及び排出するにあたって、重力的に下側に設ける方が効率が良いからである。オイルポンプ50はクランクシャフト13に接続されるウォームギヤ28によって稼働されるもので、クランクシャフト13の回転速度に応じて送出されるオイルの量が決定される。
【0040】
図3は図2のエンジン10単体の背面図であって、オイルタンク41、マフラー、キャブレタ21等を取り外した状態を示す図である。本実施例ではシリンダ11がアルミニウム合金の一体成形により形成され、前側クランクケース12aと後側クランクケース12bのそれぞれがアルミニウム合金の一体成形により形成され。シリンダ11には、右側側方に排気ポート26が、左側側方には吸気ポート25が設けられる。図3では図示していないが、クランクシャフト13の軸を通る鉛直面からみて左右に分けてマフラーとキャブレタが配置される。
【0041】
本実施例における後側クランクケース12bは、オイルタンク41の開口部を閉鎖する機能を有するもので、略正方形の接合面34が形成される。この接合面34にオイルタンク41をかぶせて、複数のねじ又はボルト(図示せず)で固定することによって、所定の閉鎖空間が形成される。接合面34の周囲には複数のネジ穴35a、35c、35d、35fが設けられ、それらには雌ねじが形成される。クランクシャフト13の下側にはオイルポンプ50が設けられる。オイルポンプ50にはクランクシャフト13の回転力が伝えられて、所定の吸気口に接続されたパイプ44を介してオイルが吸引される。パイプ44の先端にはゴミ等を取り除くためのフィルタ45が設けられる。オイルポンプ50はねじ46によって後側クランクケース12bに固定され、オイルポンプ50の後述するオイル排出通路は後側クランクケース12bに形成された後述する開口空間に接続され、開口空間からは後側クランクケース12bに形成されたオイル通路72を通って吸気ポートに送出される。
【0042】
ここで、図3から理解できるように接合面34は後側クランクケース12bと等しい、あるいはそれよりも大きい外径を有し、内部にオイルポンプ50を収容するのに十分な空間が確保される。接合面34の上端はシリンダ11とクランクケース12との接合面付近に位置する。本実施例ではオイルポンプ50はクランクシャフト13の下側に設けられている。尚、オイルポンプ50の位置はクランクシャフト13の下側だけに限られずに、クランクシャフト13の上側に位置するようでも、右側又は左側にするように配置しても良い。しかしながら、本実施例のようにクランクシャフト13の下側に配置するようにすれば、パイプ44の長さを短くすることができる上に、オイルポンプ50の後述するオイル排出通路53をオイル通路72の位置に最適配置でき、好都合である。
【0043】
図4は図3のA−A部の断面図である。本実施例の後側クランクケース12bの後端面には、オイルポンプ50のオイル排出通路53が接続される開口空間71が形成される。開口空間71とオイルポンプ50の間にはOリング77を介在させて密閉され、開口空間71側からオイルタンク41側にオイルが漏れないように構成される。開口空間71から上方向には縦方向にオイル通路72が形成される。オイル通路72は後側クランクケース12bのブロック部(肉厚部分)に形成された縦方向に延びる円筒状の細い通路であって、所定量のオイルを送出するのに適切な径に設定される。後側クランクケース12bは、アルミニウム合金の一体成形、例えば鋳造にて製造されるが、オイル通路72は、鋳造後にドリル等で後側クランクケース12bの肉厚部分に縦方向の穴を開けることにより形成する。
【0044】
オイル通路72の上端部分はシリンダ11と後側クランクケース12bの接合部分(矢印B)において、シリンダ11の肉厚部分内に形成されたオイル通路73と連結される。シリンダ11の肉厚部分には、オイル通路72の後側クランクケース12bの接合部分から連続するオイル通路(73〜75)が形成され、吸気ポート25に接続される。縦方向のオイル通路73は横方向オイル通路74と接続され、横方向オイル通路74は縦方向オイル通路75と接続され、縦方向オイル通路75が吸気ポート25と開口する。シリンダ11もアルミニウム合金の一体成形、例えば鋳造にて製造されるが、オイル通路(73〜75)は鋳造後にドリル等でシリンダ11の肉厚部分に縦方向の2本の穴と、それを結ぶ横方向の穴を開けて、横方向の一部(開口部)をロウ付けやピンを圧入すること等により塞ぐことによって図4に示すようなオイル通路72〜75を形成できる。尚、シリンダ11の横方向オイル通路74は、シリンダ11とクランクケース12の接合面においてどちらか一方又は両方に溝を形成することにより、接合部分に横方向オイル通路74を形成して、オイル通路72から縦方向オイル通路75の間を接続するように構成しても良い。このように構成すれば、横方向オイル通路74の製造コストを抑えることが可能となる。
【0045】
オイル通路75によって吸気ポート25の内部に排出されたオイルは、ピストン14の上下運動により生じるクランクケース12内の負圧によりクランクケース12へと流入する。クランクケース12へと流入しすぎたオイルは後側クランクケース12bやクランクシャフトのカウンターウェイト16によりボールベアリングやコンロッド末端のニードルベアリングに運搬され、潤滑に使用される。以上のように、オイルポンプ50によって吸引されたオイルは、オイル通路72〜75を通って吸気ポート25の内部に排出される。この際、オイルポンプ50はクランクシャフト13の回転力によって駆動されるので、エンジン10の回転速度に応じて供給量が決定され、適切な量のオイルを供給する。
【0046】
後側クランクケース12bの後方には、オイルタンク41が取り付けられる。本実施例では、エンジン10の排気量が27cc、燃料タンク31(図1参照)が約500ccに対して、オイルタンク41の容量が約80ccなので、ガソリンとオイルの混合比が20:1とすると、ガソリン16回分の給油量に相当するオイルをオイルタンク41内にためることができる。図4から理解できるように、オイルを収容する空間は後側クランクケース12bとオイルタンク41により画定される。後側クランクケース12bとオイルタンク41とOリング77が介在させた上で接合される。図4ではOリング77を介した接合状況を理解しやすいように、後側クランクケース12bとオイルタンク41の隙間を広く図示しているが、実際には隙間がわからない程度に後側クランクケース12bとオイルタンク41は密接される。オイルタンク41は、例えば6本のボルトによって後側クランクケース12b固定される。そのため、オイルタンク41には6つのボルト用の貫通穴(図示せず)が形成され、後側クランクケース12bには図3で示したように6つのねじ穴35a〜35fが形成される。
【0047】
ここで、オイルの流れについて説明する。図4において、オイルタンク41は後側クランクケース12bに装着されており、オイルタンク41の中にオイル用のフィルタ45とオイルポンプ50が内蔵されている。オイルはオイルタンク41に貯蔵される。図では、オイルが入っていない状態を図示しているが、実際には注入口42付近までオイルを入れることができる。キャップ43には圧力開放用の弁(図示せず)を設けると好ましく、内部の圧力を調整することによりオイルポンプ50によるオイルの吸引がスムーズに行われる。オイルはフィルタ45よりゴミを除去し吸入され、オイルポンプ50に取り込まれる。エンジン10のピストン14の上下運動は、クランクケース12内におけるクランクの回転運動へと変換され、クランクシャフト13が回転する。クランクシャフト13の後端部にはウォームギヤ28が取り付けられ、ウォームギヤ28のネジ送り運動がオイルポンプ50に内蔵される駆動軸(後述)の回転運動に変換され、これがオイル運搬のポンピング運動へと変換される。このポンピング運動によって、所定量のオイルがオイルポンプ50から開口空間71に送られ、オイルポンプ50でオーバーフローしたオイルがオーバーフロー通路54からオイルタンク41内に戻る。
【0048】
一方、燃料の流れに関しては、オイル通路72〜75を除いてエンジン10の基本構造は通常の2サイクルエンジンとほぼ同様であるので、燃料タンク6(図1参照)より燃料がキャブレタに取り込まれ、気化器絶縁板22(図1参照)、シリンダ11の吸気ポートを通過し、上述のオイルと合流する。クランクケースで合流した燃料と空気とオイルは掃気路を通じて燃焼室に取り込まれ、ピストン14により圧縮・燃焼し、ピストン14の上下運動によりクランクシャフト13の回転力へと変換され、遠心クラッチ7等の動力伝達機構を介して図示しない先端工具を回転させる。
【0049】
以上説明したように、本実施例では2サイクルエンジンにオイルタンク41を設けて分離給油方式を採用したので、常に適切なオイルをエンジン内に供給することができ、安定してエンジン10を運転することができる。本実施例のオイル収容容器は、後方側から見ると略円筒形をしているが、その形状は円筒形だけに限られず、後側クランクケース12bと共同してオイル収容空間を構成し、オイルポンプ50を内部に収容でき、所定量の容量を確保できるならばその他の任意の形状であっても良い。さらに、作業中や運搬中において、オイルタンク41に対して強い力がかかることがあるので、オイルタンクガードや何らかの保護部材を設けるようにして、オイルタンク41を保護するように構成すると良い。また、燃料のタンクガード33をエンジンの後側まで延長し、一体的に保護するように構成しても良い。
【0050】
図5は、図4の後側クランクケース12bとシリンダ11の接合部分(矢印B)の拡大図である。通常クランクケース12とシリンダ11の接合部にはガスケット78が介在される。本実施例ではガスケット78に加えて、オイル通路72、73の周囲を覆うように円環状のOリング77が介在させる。このようにOリング77を介在させることによって、後側クランクケース12bとシリンダ11の接合部分からオイルが漏れることを効果的に防止することができる。
【0051】
図6は、図4の後側クランクケース12bとオイルタンク41の接合部分(矢印C)の拡大図である。後側クランクケース12bとオイルタンク41の接合部分には、オイルタンク41の接合面34全体に沿って配置される断面が円筒形のOリング77が介在される。図6の状態では、後側クランクケース12bとオイルタンク41が適正トルクで締め付ける前の状態であって、Oリング77が変形していない。しかしながら、図示しない取付ボルトを適正トルクで締め付けることによって後側クランクケース12bとオイルタンク41の間隔が狭まり、Oリング77が扁平状態になって十分なシール性能が得られる。接合部分には、Oリング77が嵌る位置決め用の凹部があるように構成しても良い。
【0052】
次に図7から図10を用いてオイルポンプ50の詳細について説明する。図7はオイルポンプ50の背面図であり、刈払機1の後側からオイルポンプ50を見た状態である。オイルポンプ50の後述する駆動軸55のウォームホイール56には、ウォームギヤ28(図2参照)が噛合し、クランクシャフト13の回転力が伝達される。オイルポンプ50は図示しないねじによって後側クランクケース12bに固定され、オイルポンプハウジング51の左右中央付近下部には、下側にせり出すフランジ部51bが設けられ、そこにはねじ穴51cが形成される。オイルポンプハウジング51の左側端部付近において、後方からオイル流入通路52が設けられ、下側にはオーバーフロー通路54が設けられる。オイルポンプハウジング51の右側端部付近には、流量調整用絞り58が設けられる。流量調整用絞り58は、下側のマイナス溝を回すことによってオイル流入通路52から吸引されるオイルの流量を調整するものであり、ピン64によってオイルポンプハウジング51から抜けないように固定され、スプリング59によって下方向に付勢される。
【0053】
図8は図7のD−D部の断面図である。オイルポンプ50の駆動軸55は、クランクシャフト13の回転によって矢印の方向に回転し、オイル流入通路52からオイルを吸引し、所定の送出圧力にてオイル排出通路53からオイルを排出する。図4で説明したようにオイル排出通路53は、開口空間71に位置するので、排出されたオイルはオイル通路72〜75(図4参照)を通って吸気ポート25(図4参照)に送出される。なお、本実施例のオイルポンプ50では、オイル排出通路53から排出されるオイルよりも多くの量のオイルを送出できるため、オーバーフロー通路54を設けて、オイル排出通路53は適正量のオイルが排出されるように構成し、オーバーフローしたオイルは、オーバーフロー通路54から再びオイルタンク41の内部に戻されるようにした。この構成により、エンジン10の回転数(クランクシャフト13の回転数)の大小によらずに適切な量のオイルを吸気ポート25に送出することができる。
【0054】
尚、オーバーフロー通路54は必ず設けなければならないものではなく、オーバーフロー通路54を省略して、オイル流入通路52とオイル排出通路53だけを有するオイルポンプとしても良い。その場合であっても駆動軸55の形状は同じままでよい。また、図8の例ではオイル流入通路52とオイル排出通路53が一直線に並ぶように配置されたが、オイル流入通路方向とオイル排出方向が所定の角度を有するように、例えば90度となるように配置しても良い。
【0055】
図9はオイルポンプ50の縦断面図であり、図4のF−F部の断面である。オイルポンプ50は、オイルポンプハウジング51の一方の端部(左側端部)付近内側であって、駆動軸55との間に形成される空気室57と、駆動軸55を空気室57から離れる方向(左方)に付勢するバネ61と、駆動軸55の空気室57から離れた側(図の右側)の端部に形成される傾斜部55bに当接する流量調整用絞り58とから主に構成される。オイルポンプハウジング51の中央付近上側には開口部51aが形成され、開口部51aからは駆動軸55に連結されるウォームホイール56の一部分が露出する。ウォームギヤ28の回転力により駆動軸55のウォームホイール56が回転すると、駆動軸55はバネ61に付勢されて傾斜部55bが常に流量調整用絞り58に当接しながら回転する。駆動軸55の右端には傾斜部55bが形成されるので、駆動軸55が回転することにより駆動軸55の空気室57側(図の左側)の端部が、駆動軸55の軸方向、つまり左右方向に往復運動する。流量調整用絞り58は、供給するオイルの量を調整するためのもので、これを回すことにより傾斜部55bの当接箇所が変わり、空気室57の容積を調整することができる。
【0056】
図10は、オイルポンプ50の動作を示す横断面図であって、図7のE−E部の断面図を示す。オイルポンプ50は、空気室57が膨張して減圧した状態から駆動軸55が回転すると、オイルタンク41内のオイル70がオイル流入通路52から空気室57内に吸入されながら図10(1)の状態に移行する(吸入過程)。このときの駆動軸55の左端と空気室絞り部右端とは距離aとなる。
【0057】
そして、図10(1)の状態から駆動軸55がさらに回転すると、空気室57内が圧縮されながら図10(2)の状態となり、この状態からさらに駆動軸55が回転すると図10(3)に示すようにこのときの駆動軸55の左端と空気室絞り部右端は距離bとなる(但しa>b)。この結果、空気室57のオイル70は圧縮される。駆動軸55がさらに回転すると駆動軸55に形成された窪み部55cがオイル排出通路53側に面するので、それに伴って圧縮されたオイル70が移動してオイル排出通路53から開口空間71に排出されながら図10(3)の状態となる。この際、所定の圧力にてオイル70が送出されるので、開口空間71に排出されたオイルは、オイル通路72〜75を通ってシリンダ11の吸気ポート25(図4参照)に供給される。図10(3)の状態では、駆動軸55の左端と空気室絞り部右端との距離は再び距離bに戻る。
【0058】
図10(3)からさらに駆動軸55が90度回転すると、駆動軸55に形成された窪み部55cがオーバーフロー通路54(図8参照)と面するので、重力の作用により内部の余分なオイルがオイルタンク41の内部に戻される。このようにして、オイルポンプ50の駆動中は図10(1)−(3)の状態が順に繰り返され、所定量のオイルがクランクケース12とシリンダ11に供給される。本実施例の構成では、エンジン10がアイドリング時には、オイルポンプ50の駆動軸55の回転は低速度で、少量のオイルが吸気ポート25に供給される。また、エンジン10の回転(クランクシャフト13の回転)の上昇に比例してオイルポンプ50の駆動軸55の回転速度が上昇するので、回転速度の増大に適した量のオイルが吸気ポート25に供給される。以上説明したように、オイルポンプ50を用いたエンジン潤滑用のオイルの供給を、燃料の供給とは独立して行うので、焼き付きの発生等を回避することができる。さらに、オイルが常に適切量だけエンジンに供給されるので、排気ガスをクリーンにすることができ、エンジンの耐久性を大幅に向上させることができる。
【0059】
本発明によれば、2サイクルの小型エンジンにおいて、ガソリンと潤滑油を混合するという作業者の作業を省略することができるので、大変使い勝手の良い2サイクルエンジン及びそれを用いたエンジン作業機を実現できる。また、分離給油方式としたために、2サイクルエンジンをカセットガス等の液体ガスにて容易に駆動させることができる。さらに、潤滑油タンクからエンジン内に供給されるまでのオイル流路が、クランクケース及びシリンダの内部に形成された通路を通って供給され、ゴムチューブ等の別配管を用いる必要がないので配管が劣化する恐れがなく、信頼性が高く、部品数の増加を抑えた小型エンジン及びそれを用いたエンジン作業機を実現できる。
【0060】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では、エンジン作業機として刈払機の例で説明したが、これだけに限られずに、発電機、チェンソー、ブロワ、ヘッジトリマ等の他の作業機器においても適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 刈払機 2 ハウジング 2a 挿入部
3 エンジンカバー 4 マフラーガード 5 エアクリーナーカバー
6 燃料タンク 7 遠心クラッチ 8 クラッチシャフト
10 エンジン 11 シリンダ 12 クランクケース
12a 前側クランクケース 12b 後側クランクケース
13 クランクシャフト 14 ピストン
15 コンロッド 16 カウンターウェイト
17 点火プラグ 18 マグネトロータ
19 点火装置 20 ハイテンションコード
21 キャブレタ 22 気化器絶縁板
23 リール 24 ノブ 25 吸気ポート
26 排気ポート 28 ウォームギヤ 31 燃料タンク
32 燃料キャップ 32a〜32f ねじ 33 タンクガード
34 接合面 35a〜35f ねじ穴
36 カセットボンベ室ハウジング 37 ボルト
38 カセットボンベ 39 ネジ 41 オイルタンク
42 注入口 43 キャップ 44 パイプ
45 フィルタ 46 ねじ 47d ねじ
50 オイルポンプ 51 オイルポンプハウジング
51a 開口部 51b フランジ部 51c ねじ穴
52 オイル流入通路 53 オイル排出通路 54 オーバーフロー通路
55 駆動軸 55b 傾斜部 55c 窪み部
56 ウォームホイール 57 空気室 59 スプリング
61 バネ 64 ピン 70 オイル
71 開口空間 72 オイル通路 73 オイル通路
74 横方向オイル通路 75 縦方向オイル通路 77 Oリング
78 ガスケット 103 回転刃 104 ハンドル
105 操作桿 106 スロットルレバー 107 飛散防御カバー
108 ワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気ポートと排気ポートを有するシリンダと、
前記シリンダの内部で往復動するピストンの往復エネルギーを回転エネルギーに変換するクランクと、
前記クランクを収容する共に前記シリンダを保持するクランクケースと、
前記シリンダ内で燃焼させる燃料のタンクを有し、
前記クランクケースから延びるクランクシャフトの一端側から動力伝達機構を介して出力が取り出される2サイクルエンジンであって、
前記クランクケースの側面であって前記クランクシャフトの他端側に、前記吸気ポートへ供給されるオイルを貯蔵するオイルタンクを設けたことを特徴とする2サイクルエンジン。
【請求項2】
前記オイルタンクの内部に前記クランクシャフトの回転力で駆動されるオイルポンプを設け、
前記オイルポンプは、オイルを吸引する吸引口と、オイルを排出する排出口を有することを特徴とする請求項1に記載の2サイクルエンジン。
【請求項3】
前記オイルタンクはクランクシャフトの軸端部を収容するように配置されることを特徴とする請求項2に記載の2サイクルエンジン。
【請求項4】
前記2サイクルエンジンを始動するためのスタータを有し、
前記スタータは前記クランクシャフトの一端側であって前記動力伝達機構に隣接して設けられることを特徴とする請求項3に記載の2サイクルエンジン。
【請求項5】
前記排出口から送出されるオイルは、前記クランクケース及び前記シリンダに形成されたオイル通路を介して前記吸気ポートに供給されることを特徴とする請求項3又は4に記載の2サイクルエンジン。
【請求項6】
前記オイル通路は、前記クランクケース及び前記シリンダの肉厚部分に形成されることを特徴とする請求項5に記載の2サイクルエンジン。
【請求項7】
前記オイルポンプは、前記クランクシャフトに接する位置であって前記排出口が前記オイル通路の開口部に接するように設けられることを特徴とする請求項6に記載の2サイクルエンジン。
【請求項8】
前記オイルポンプは前記クランクシャフトの下側に設けられ、
前記吸引口には、前記オイルタンク内のオイルを吸い上げるためのパイプが接続されることを特徴とする請求項7に記載の2サイクルエンジン。
【請求項9】
前記パイプの先端に不純物を濾過するためのフィルタを設けたことを特徴とする請求項8に記載の2サイクルエンジン。
【請求項10】
前記オイルポンプには、吸入口から吸引されるオイルの一部を逃がすためのオーバーフロー出口が設けられ、
前記オーバーフロー出口は前記オイルタンク内に開口することを特徴とする請求項3から9のいずれか一項に記載の2サイクルエンジン。
【請求項11】
前記オイルタンクは、透明又は半透明材料によって形成されるか、又は、残量確認窓付きの不透明材料にて形成され、
オイルの注入口と前記注入口を封止するキャップが設けられることを特徴とする請求項10に記載の2サイクルエンジン。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の前記2サイクルエンジンを備えたことを特徴とするエンジン作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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