説明

2以上の表面特性を有する粒子及び/又は細胞を分離する方法

本発明は細胞及び/または粒子の液体(好ましくは血液)からの穏やかな分離のための簡便な方法に関する。この目的で、磁気分離法の公知のステップを捕獲粒子ふるい分離法と組み合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2以上の表面特性(特異性)を有する粒子及び/又は細胞を分離する方法に関する。本発明の使用分野は医薬及び薬化学である。
【背景技術】
【0002】
粒子、特に、体細胞及び病原体を複合流体(例えば血液)から同定し、分離することは疾患の研究、診断及び治療を行うために必須のステップである。遠心分離法及び濾過は異なる固有密度(比重)を有する粒子(例えば、白血球と赤血球)を分離するのに有用であることが判明している。疾患の病因及び免疫発生の研究の進歩につれて、同一の固有密度であるが、異なる機能を有する細胞を同定し、分離することへの要求が大きくなっている。例えば、リンパ球の異なる機能は細胞外膜における典型的な構造の発現に付随して起こる(例えば、「分化抗原群(clusters of differentiation)」-CD)。これらの構造に対する抗体を生成させることが可能であり、それは、より特異的な分離方法のために極めて重要な手段である。数十年の間、蛍光活性化分離法及び磁気分離法はこの目的に有用であることが判明しており、最近、Pluriselect(Germany)は捕獲粒子を用いたふるい分離法も販売し始めた。
【0003】
これらの方法は、簡便な方法で、膜上のたった1つの特性によりその他の細胞と異なる細胞を複合流体から区別することを可能にする。異なる機能を有する細胞は、多くの場合、その表面上に同一の特性(A)、さらに、その他の機能について特徴的であり、細胞集団の中で異なって分布する別の特性(B、C…)を示す。A、B又はCの望ましい組合せの1つのみを有する細胞の単離は、生物学的研究において今も大きな課題である。現在、この目的は多重ラベリング(multiple labeling)を用いる蛍光活性化細胞分類(FACS)によってのみ達成することができる。FACSが細胞分離の代表例であることは疑いがないが、機器及び人材の観点の要求が非常に大きい。この技術は、他にも、単離した細胞についての過度のストレス、複雑な滅菌技術、さらに、比較的大量の生体細胞を分類する方法的な限界の点において不利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題は磁気分離法及び捕獲(capture)粒子を用いた分離方法の新規組合せによる本発明により解決される。本発明は請求項1〜9に従って実施される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
特性A、B及びCを有する典型的な細胞は血液から単離される。前記の表面特性は7つの異なる組合せ(A、B、C、AB、AC、ABC、BC)をもたらす。
【0006】
前記課題はA、B及びCに対する特異抗体を使用することにより解決される。本例において、Aに対する抗体は直径40μmの粒子とカップリングし、Bに対する抗体は直径20μmの粒子とカップリングし、Cに対する抗体は10μm未満の磁化可能な粒子とカップリングする。
【実施例】
【0007】
手順1
血液サンプルを検出システムA及びCにより10分間事前にインキュベートする。その後、検出システムBを加え、さらに10分間インキュベートする。その後、サンプルをメッシュサイズ40μmと20μmの2つのふるいを備えたカスケード状のふるいを通して濾過し、十分にすすぐ。
【0008】
40μmのふるいはA、AB、AC、ABCを保持する
20μmのふるいはB及びBCを保持する
通過画分はCを含有する
手順2
3つのサンプル全てについて磁気分離法を実施する。
【0009】
40μmの画分をA、AB及びAC、ABCに分離する。
【0010】
20μmの画分を均一の画分B及びBCに分離する。
【0011】
通過画分から、均一の画分Cを分離する。
【0012】
手順3
画分A、AB及びAC、ABCを捕獲粒子Aから公知の方法により取り除く。Bと一緒のインキュベーションが示される。その後、サンプルを20μmのふるいを通して分離する。
【0013】
ふるいはAB及びABCを保持する。
【0014】
通過画分はA及びACを含有する。
【0015】
手順4
両方の画分に磁気分離法を実施し、均一な画分AC及びABC、並びにA及びABに分離する。
【0016】
前記方法は少ない労力で、短時間で、さらに、細胞に対し低いストレスで、大量の細胞を使用して実施することができる。当業者は磁気粒子とサイズが規定された捕獲粒子を好適な方法で組み合わせることにより、幅広い組合せを展開することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の表面特性を有する粒子又は細胞を分離する方法であって、粒子を用いた分離及び磁気分離の組合せを含む前記方法。
【請求項2】
磁化可能な捕獲粒子が非磁化可能な捕獲粒子よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粒子又は細胞を含む混合物を、
表面特性Aに対する捕獲粒子と、
表面特性Bに対する捕獲粒子と、
適宜、表面特性Cに対する捕獲粒子と、
さらに、適宜、別の特性について、連続して又は同時に培養し、ここで、該捕獲粒子が異なるサイズを有し、かつ/又は磁化可能であり、その後、該捕獲粒子をふるい膜により分離するか、又は磁気分離法を実施し、その後、適宜処理することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
非磁化可能な捕獲粒子をふるい膜により分離することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
複数の非磁化可能な捕獲粒子をそのために必要であるメッシュ/孔のサイズを有するふるい/膜を用いて分離することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
非磁化可能な捕獲粒子を磁場作用により分離することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
核酸、ペプチド又はタンパク質、好ましくは抗体を捕獲特性として使用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
定着した粒子/細胞を公知の方法により取り除くことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
研究目的のために、並びに、疾患の診断及び治療のために、複合流体、好ましくは血液から粒子及び/又は細胞を分離する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法の使用。

【公表番号】特表2013−501924(P2013−501924A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524109(P2012−524109)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000830
【国際公開番号】WO2011/018067
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(510234962)プルリセレクト ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】