説明

2個の組立部品を固定接続するためのねじ接続構造

【課題】耐久性を具備して互いに変位不可能に、2個の組立部品を固定接続する。
【解決手段】接続部材(3)は接続部材(3)および一方の組立部品(9)を貫通するタッピンねじ(8)によって組立部品(1,9)の間に取り付けられ、かかるねじは一方の組立部品(9)および接続部材(3)の安定端位置から開始して双方の部分にねじ溝を刻設し、ねじ(8)はかかるねじ溝によって接続部材(3)および一方の組立部品(9)に螺合するのに適合し、ねじ(8)のタッピングねじ山によって、接続部材(3)および一方の組立部品(9)は互いに固定された位置に保持され、他方の組立部品(1)が接続部材(3)に直接に締結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに変位可能に取り付けられている2個の組立部品を、ねじが貫通されている接続部材を用いて固定接続するための、ねじ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
2個の組立部品を固定接続することが頻繁に行われる。特に、家具製造の領域で、家具部品同士、特には互いに直角に接合される家具部品同士、が互いに係合し、ねじによって固定接続が実現する。ここで、ねじを受け入れる部材に代表される製品自体の不正確さによって、しばしば問題に遭遇する。すなわち、ねじ頭を受け入れる孔と、雄ねじを受け入れる孔が、互いに同軸に配置されないという問題である。それゆえ修正を可能にする対策を与える必要がある。これは、ほとんどの場合、接続ねじを受け入れるための座部により達成され、ねじの円頭部(cheese head)が隙間を介して包囲される。あるいは、修正を可能にする対策は、2個の家具部品を接続する接続部材(独国実用新案明細書G 88 10 628.4 第3頁 第1段落)によって、与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国実用新案明細書G 88 10 628.4 第3頁 第1段落
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の修正を可能にする対策は役に立たないことがわかった。これは、互いに接続される2個の部品が、使用中に振動を受けることにより互いに変位しようとし、この結果、各自の締結手段が拡大された受け穴の中で前後方向へ移動するためである。上述の修正を可能にする対策は、多くの対象において役に立たない。特に、特定の組立部品が別々に、車体に固定される自動車の組立において、製品の不正確さは、各自の組立部品と同様に、車体にも生じる。しかし、それにもかかわらず、変位することがない座部により最後まで安定した接続が保証されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ねじによって貫通される接続部材を使用することにより、互いに変位可能に取り付けられる2個の組立部品を固定接続するためのねじ接続構造によって、この問題は解決される。その結果、接続部材および一方の組立部品を貫通するタッピンねじによって、接続部材は組立部品の間に取り付けられる。ねじは、一方の組立部品および接続部材の安定端位置から開始して、双方の部分にねじ溝を刻設する。ねじは、かかるねじ溝によって接続部材および一方の組立部品に螺合するのに適合する。ねじのタッピングねじ山によって、接続部材および一方の組立部品は互いに固定された位置に保持される。他方の組立部品が接続部材に直接に締結される。
【0006】
この構造におけるタッピンねじの特徴は、初期において移動可能に維持されているが、ねじによる螺合の後は固定されることである。これは、タッピンねじが所定の位置まで螺合することにより2個の組立部品がそれぞれねじ溝を備えることになり、ねじおよびねじ山によって、このように組み立てられた2個の組立部品は変位不可能な位置に保持されるからである。また、2個の組立部品の組み立て後、ねじが螺合する間、2個の組立部品は結果的に自身の位置に安定して保持される。かかる接続部材および一方の組立部品は、ねじを受け入れるために同軸の孔をそれぞれ有する突起を備える。ねじは孔に同軸に螺合するよう適合する。これにより孔に螺合したねじは、一方の組立部品および接続部材を、螺合によって得られた位置に保持する。
【0007】
タッピンねじが同軸配置された孔に螺合することによって2個の組立部品の距離を保持するという上述の効果は、ねじによってタッピングされることから、組立部品がタッピンねじを備えて所定位置に固定されるときに組立部品を各自の位置にして、組立部品の接続をもたらす。
【0008】
有利な実施形態として、特に安定した耐久性のある接続構造を提供するために、組立部品および接続部材は、孔を伴う複数の突起を備える。
【0009】
本発明の実施形態は図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】2個の組立部品間の接続部材を示す初期位置の図である。
【図2】接続部材が2個の組立部品の一方へ直接移動した位置を示す図である。
【図3】接続部材を、接続部材および一方の組立部品を貫通するタッピンねじとともに示す図である。
【図4】接続部材を、接続部材および一方の組立部品を完全に貫通するタッピンねじとともに示す図である。
【図5】接続部材を、図4に表される貫通ねじと、接続部材にねじ止めされた第2組立部品とともに示す図である。
【図6】図2に描かれた実施形態の変形例を、接続部材とともに示す図である。
【図7】接続部材のみを示す図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1には組立部品1が示される。その接続に関しては後で詳しく説明する。接続部材3のフランジ2は組立部品1と並置される。接続部材3はさらに、本体4と、壁6を介して本体4に接続される腹板5を備える。結果的に、接続部材3はフランジ2と、本体4と、壁6と、腹板5とを備える。本体4および腹板5は、タッピンねじ8が螺合する孔(孔7を参照)をそれぞれ有する。タッピンねじ8は本体4を貫通する孔に螺合する。
【0012】
接続部材3に並置される第2組立部品9は、底部10を伴う本体11が設けられ、接続部材3に沿って延びる。本体11は孔12を有し、図1に示す組立位置で、同軸である組立部品2の孔12,13および腹板5の孔7が、ねじ8が貫通する本体4の孔と同軸になるよう、接続部材3および2個の組立部品2,11は整列される。接続部材3の腹板5と略平行に延びる延出部14は、孔7と同軸の孔13を備え、組立部品9の底部10から延出する。図1に示されるように組立部品1に接合したナット15は、最終的に、接続部材3によって組立部品9に接続される。図2は、接続部材3による2個の組立部品1,9の取り付けの初期段階を示す。ここで接続部材3は所定の位置にされて、フランジ2が組立部品1に隣接し、接続部材3の腹板5が本体11により近づく方向に移動する。本図に示すように、ねじ8を受け入れる孔と、他の孔13,7,および12は、同軸に整列する。
【0013】
接続部材によって組立部品1および9を確実に接続するために、ねじ8がさらに組立部品9および接続部材3へ螺合する。ここで、まず、図3に示すように、ねじ8が本体4、孔13および孔7を貫通する状態になる。ねじ8は、ねじ8が貫通した部分にねじ溝を刻設する。この結果、ねじ8のねじ山によって、ねじ8を包囲する部分がそれぞれ軸方向に規定される距離で保持される。接続部材3および組立部品9は、ねじ溝が刻設されることを許容する材料、すなわち例えばプラスチックまたは適切に成形可能な金属からなる。
【0014】
図4は、接続の製作における終期段階を示す。引き続きねじ8は、さらに接続部材3および組立部品9へ螺合する。ここで、ねじ8は、最終的に組立部品9の本体11をも完全に貫通する。ねじ8およびねじ8に設けられたねじ溝によって、接続部材3の本体4から、延出部14と、腹板5とを通過して、本体11までの固定接続が現れる。かかる方法によりタッピンねじ8で貫通されるこれらの部分は、ねじ8のねじ山によって間隔を空けて保持される。そして、ねじ8でそれぞれに部分に刻設されるねじ溝によって、上述の空間は安定して維持される。これにより、組立部品1と組立部品9との確実な接続が、タッピンねじ8のねじ山で変位不能に保持された接続部材3によって現れる。
【0015】
また図5に示すように、組立部品1は、ねじ16によってフランジ2に固定されてもよい。図5には、組立部品9としてヘッドライト27と、自動車の組立部品1として車体28が例示される。
【0016】
図6は図1〜図5に示す構造の変形例を示し、2個の組立部品の一層確実な軸方向固定を達成するために、腹板19,20および突起21,22によって、組立部品18および接続部材17が組み合わされる。これは、接続部材17が2個の腹板19,20を備え、第2組立部品18が2個の突起21,22を備えることによって達成される。かかる組み合わせによれば、ねじ23の完全な螺合により、複数の取り付け点が得られて2個の組立部品1,18を各自の取り付け点で固定することが達成される。
【0017】
図7および図8は接続部材3のみを示し、図8は図7のVIII−VIII線に沿った断面を示す。
【0018】
図7を参照して、接続部材3は、本体4と接続するフランジ2を含む。フランジ2から2枚の壁6,6´が延び(断面図である図1〜図5には壁6のみが表される)、これらの壁の間に腹板5が包囲される。図7に表れない延出部14は、図1〜図5を参照して理解されるように、空所24へ延びている。図8から明らかなように、2枚の壁6,6´は段差25,25´をそれぞれ有する。本体4、フランジ2、および腹板5には、孔内を通る破線によって表されるように、孔がそれぞれ貫通する。したがって、図4〜図6に示すように、組立部品にタッピンねじ8が螺合する。
【0019】
図8の断面図を参照して、壁6は、孔7を有する腹板5を支持し、フランジ2とともに本体4を貫通する孔が孔7と同軸に整列していることが明らかである。それゆえ図1〜図5に示すように、2箇所の孔は、組み立ての際にねじ8によって貫通される。それゆえフランジ2に含まれる孔26は、さらなる組立部品をフランジ2に固定するためにねじを受け入れることに役立つ。ねじ16の取り付けは、図5に図示される。
【符号の説明】
【0020】
1 組立部品、3 接続部材、4 本体、5 腹材、8 タッピンねじ、9 組立部品、11 本体 23 タッピンねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ(8)によって貫通される接続部材(3)を使用して、互いに変位可能な位置に取り付けられる2個の組立部品(1,9)を固定接続するためのねじ接続構造において、
接続部材(3)は、接続部材(3)および一方の組立部品(9)を貫通するタッピンねじ(8)によって、組立部品(1,9)の間に取り付けられ、
前記ねじは、一方の組立部品(9)および接続部材(3)の安定端位置から開始して、双方の部分にねじ溝を刻設し、
ねじ(8)は、かかるねじ溝によって接続部材(3)および一方の組立部品(9)に螺合するのに適合し、
ねじ(8)のタッピングねじ山によって、接続部材(3)および一方の組立部品(9)は互いに固定された位置に保持され、
他方の組立部品(1)が接続部材(3)に直接に締結されることを特徴とする、2個の組立部品を固定接続するためのねじ接続構造。
【請求項2】
接続部材(3)および一方の組立部品(9)は、ねじ(8)を受け入れるために同軸の孔(7,12,13)をそれぞれ有する突起(5,14)を備え、
ねじ(8)は孔(7,12,13)に同軸に螺合するよう適合し、
これにより孔(7,12,13)に螺合したねじ(8)は、一方の組立部品(9)および接続部材(3)を、螺合によって得られた位置に保持することを特徴とする、請求項1に記載のねじ接続構造。
【請求項3】
接続部材(3)および一方の組立部品(9)は、複数の突起(19,20,21,22)をそれぞれ備えることを特徴とする、請求項1に記載のねじ接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−286114(P2010−286114A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71434(P2010−71434)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(509135533)エーヨット ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (4)
【Fターム(参考)】